示談書は、交通事故の損害賠償について「何を、いくらで、どこまで終わらせるか」を証拠化する重要文書です。福岡県内で使える相談先、証拠、損害項目、後遺障害の留保、書式例まで整理します。
示談書は、交通事故の損害賠償について「何を、いくらで、どこまで終わらせるか」を証拠化する重要文書です。
署名前に確認したい結論を、最初に短く整理します
福岡県で交通事故の示談書を作成するときに最も重要なのは、何について、いくらで、どこまで終わらせるのかを文書上で明確にすることです。示談書は単なる確認メモではなく、損害賠償をめぐる当事者間の合意を証拠化する文書です。
特に人身事故では、治療終了前、症状固定前、後遺障害の見通しが不明な段階で「今後一切請求しない」という趣旨の文言を入れると、後から大きな損害が分かっても追加請求が難しくなる可能性があります。
次の重要ポイントは、示談書で何を確定し、何をまだ残すべきかを表しています。署名前の確認漏れは後日の紛争につながりやすいため、各項目から「清算範囲」「資料」「留保」の3点を読み取ることが大切です。
物損だけ、人身損害だけ、後遺障害を除く傷害部分だけなど、どこまで終わらせる合意かを明記します。
後遺障害や将来治療費の可能性があるときは、全面清算ではなく留保条項を検討します。
福岡県内では、福岡県警察、自動車安全運転センター、福岡県交通事故相談所、日弁連交通事故相談センター福岡相談所、交通事故紛争処理センター福岡支部、そんぽADRセンターなど、複数の相談・紛争解決窓口があります。示談書は一度署名すると後戻りが難しいため、こうした窓口を署名前の安全確認に使う発想が重要です。
この重要表示は、示談書が単なる定型書類ではなく、将来の請求可否を左右する文書であることを示しています。全体の読み方として、金額だけでなく「清算条項」と「留保条項」の有無を中心に確認してください。
正しく作れば早期解決の道具になりますが、範囲を誤ると後遺障害、休業損害、将来介護費などの請求を閉ざす文書にもなり得ます。
示談、免責証書、和解契約、自賠責保険の関係を整理します
示談とは、交通事故の当事者が裁判によらず話し合いで損害賠償の内容を合意することです。民法上の和解は、当事者が互いに譲歩して争いをやめる契約として位置づけられます。交通事故の示談も、この和解契約の一種として理解できます。
口頭でも理論上は合意が成立し得ますが、交通事故では支払金額、支払期限、過失割合、治療費、休業損害、慰謝料、車両修理費、後遺障害、将来請求の可否など、後で争いになりやすい要素が多くあります。そのため、書面化が非常に重要です。
次の比較表は、示談書と免責証書、和解契約の位置づけを表しています。名称だけで判断すると危険なため、読者は「追加請求を制限する内容か」「どの損害を終わらせる内容か」を読み取ることが重要です。
| 文書・制度 | 意味 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 示談書 | 交通事故の当事者が合意した損害賠償内容を文書化したものです。 | 支払額、支払期限、清算範囲、留保の有無を確認します。 |
| 免責証書 | 一定額を支払う代わりに、それ以上の請求をしない趣旨を含むことがあります。 | 名称が違っても実質的には示談書と同様に扱われ得ます。 |
| 和解契約 | 当事者が互いに譲歩し、争いを終わらせる契約です。 | 清算条項の効力が強く、後日の請求可否に影響します。 |
交通事故の損害賠償請求の基本は、民法709条の不法行為責任です。信号無視、前方不注視、速度超過、安全確認義務違反、車間距離不保持、右左折時の確認不足などが、過失の有無や過失割合に関係します。
次の一覧は、交通事故の示談書を読むときに前提となる法律上の考え方を表しています。条文名を暗記するためではなく、示談書の金額や清算範囲がどの制度に結びつくかを把握するために重要です。
故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した場合、損害賠償責任が問題になります。
被害者側にも過失がある場合、損害額から過失割合に応じた減額がされることがあります。
示談書の清算条項は、争いを終局させる契約として強い意味を持ちます。
生命・身体を害する不法行為では、損害および加害者を知った時からの主観的期間が5年に伸長されています。
傷害、後遺障害、死亡などに限度額があり、傷害部分では治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが含まれます。
交通事故直後には、負傷者の救護、道路の危険防止、警察への報告が求められます。
自賠責保険・共済では、傷害による損害の支払限度額が被害者1人につき120万円とされています。ただし、最終賠償額は自賠責基準だけでなく、任意保険基準、裁判実務上の基準、過失割合、後遺障害等級、証拠の強弱によって変わります。
物損、人身、後遺障害で、署名できる時期は変わります
車両修理費、レッカー代、代車費用、評価損、積載物損害など、物的損害だけが問題で、双方が損害額と過失割合に納得している場合は、比較的早期に示談書を作成できることがあります。
ただし、事故直後にけがはないと思っていても、翌日以降に頚部痛、腰痛、頭痛、めまい、しびれなどが出ることがあります。物損だけを先に示談するなら、人身損害を清算対象から明確に除外する条項が重要です。
この時系列は、事故発生から最終示談までに何を先に確認するかを表しています。示談の早さだけを優先すると損害の見落としにつながるため、各段階で「確定済みの損害」と「未確定の損害」を分けて読み取ってください。
交通事故証明書や診断書の基礎になります。警察への届出がないと事故証明書を申請できない場合があります。
車両修理費などが確定していても、人身損害は除外する文言を入れるか確認します。
治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料、後遺障害の見通しを整理します。
後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、将来介護費などを清算対象に含めるか慎重に検討します。
人身事故では、治療期間、通院実日数、症状固定日、後遺障害等級、職業、収入、年齢、家事労働、将来労働能力への影響によって損害額が変わります。症状が残っている段階で最終示談をすることは、一般的には慎重に扱われます。
次の判断の流れは、示談書に署名してよい時期か、留保を検討すべき時期かを表しています。分岐の「はい」「いいえ」は結論を保証するものではなく、専門家確認の必要性を読み取るための目安です。
人身、物損、休業、後遺障害、将来損害を分けます。
身体症状が残る段階では清算範囲の確認が重要です。
物損限定または傷害部分限定などを検討します。
既払い金、過失割合、後遺障害の有無を照合します。
神経症状、可動域制限、頭部外傷、PTSDなどを確認します。
後遺障害損害を別途請求できる余地を残します。
資料と金額に不明点がないかを確認します。
むち打ち、神経症状、骨折後の可動域制限、脳外傷後の高次脳機能障害、視力・聴力障害、醜状痕、歯牙障害、外傷性てんかん、PTSDなどでは、後遺障害の有無が賠償額に大きく影響します。後遺障害の見通しが不明なときは、署名前に弁護士等の専門家へ確認する必要があります。
タイトルよりも、当事者、事故の特定、損害範囲、支払条件、清算条項が重要です
示談書のタイトルは「交通事故示談書」「示談書」「損害賠償に関する合意書」などで構いません。重要なのは、後で何の事故について誰が何を合意したのかが分かる内容です。
次の表は、示談書の基本項目と、それぞれで確認すべき内容を表しています。どれか一つでも曖昧だと保険請求や後日の紛争で説明が難しくなるため、読者は「誰」「どの事故」「どの損害」「いつ支払うか」を中心に読み取ってください。
| 項目 | 記載内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 当事者 | 被害者、加害運転者、車両所有者、保険会社、法人使用者、未成年者の親権者、相続人など | 誰が支払義務を負い、誰が請求を放棄するのかを明確にします。 |
| 事故の特定 | 発生日時、場所、車両、事故態様、届出警察署、交通事故証明書番号 | 交通事故証明書と記載が食い違わないよう照合します。 |
| 損害の範囲 | 人身損害、物的損害、休業損害、後遺障害、将来損害 | 清算対象と除外対象を分けます。 |
| 支払条件 | 金額、支払期限、振込先、振込手数料、一括または分割 | 支払いが遅れた場合の対応も検討します。 |
| 清算条項 | 示談書に定めるほか債権債務がない旨 | 治療中や後遺障害未確定の段階では広すぎる文言に注意します。 |
| 留保条項 | 後遺障害や将来治療費などを後で請求できる範囲 | 文言の適否は事案ごとに変わります。 |
交通事故では、被害者本人、加害運転者、車両所有者、使用者・勤務先会社、保険契約者、未成年者の親権者、相続人、法人代表者、リース会社、レンタカー会社などが関係することがあります。運転者と車両所有者が違う場合、会社の業務中の事故、レンタカー、社用車、家族名義車両では、誰を示談当事者に入れるかを慎重に確認します。
次の記載例は、当事者表示で最低限どの情報を並べるかを表しています。後で権限や請求権者が争われないように、役割、住所または所在地、氏名または商号、代表者を読み取ることが重要です。
甲(被害者) 住所 福岡県○○市○○
氏名 山田 太郎
乙(加害運転者) 住所 福岡県○○市○○
氏名 佐藤 一郎
丙(乙車両所有者・使用者) 所在地 福岡県○○市○○
商号 株式会社○○
代表者 代表取締役 佐藤 花子事故を特定できない示談書は危険です。次の表は、事故の特定に必要な項目と記載例を表しています。交通事故証明書、診断書、保険会社書類と照合するため、日時・場所・車両・届出警察署の一致を読み取ってください。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 発生日時 | 令和8年4月10日午後6時30分ころ |
| 発生場所 | 福岡市中央区○○交差点付近 |
| 事故類型 | 追突事故、右直事故、出会い頭事故、横断歩行者事故など |
| 当事者車両 | 甲運転の普通乗用自動車、乙運転の普通貨物自動車 |
| 登録番号 | 福岡○○○ あ ○○○○ |
| 交通事故証明書番号 | 第○○○○号 |
| 届出警察署 | 福岡県○○警察署 |
示談書で最も重要なのは、どの損害を清算するかです。次の比較表は、よく使われる清算範囲の表現と意味を表しています。文言が広いほど後日の請求が制限されやすいため、症状固定前か、後遺障害が未確定かを読み取ってください。
| 書き方 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 本件事故による一切の損害 | 人身・物損・後遺障害を含め全清算する趣旨になり得ます。 | 治療中や症状固定前は慎重な確認が必要です。 |
| 本件事故による物的損害 | 車両等の物損だけを清算する趣旨です。 | 人身損害は別途と明記します。 |
| 傷害部分の損害 | 後遺障害を除く治療中損害を清算する趣旨です。 | 後遺障害留保条項を入れるか検討します。 |
| 後遺障害等級○級に基づく損害 | 等級認定後の後遺障害損害も清算する趣旨です。 | 等級、算定根拠、既払い金控除を確認します。 |
支払金額は、総額だけでなく、可能であれば内訳も残します。治療費300,000円、通院交通費20,000円、休業損害480,000円、傷害慰謝料750,000円、車両修理費300,000円などの形で内訳を入れると、税務、労災、健康保険、保険会社間求償、第三者行為届、相続、後遺障害留保との関係を説明しやすくなります。
人身損害、物的損害、休業損害、保険調整を分けて整理します
人身損害は、身体・生命に関する損害です。自賠責保険では、傷害による損害として治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料が挙げられています。次の表は、人身損害の主な項目と証拠を表しています。示談金の内訳と証拠が対応しているかを読み取ることが重要です。
| 損害項目 | 内容 | 主な証拠 |
|---|---|---|
| 治療費 | 診察、手術、投薬、処置、入院等 | 診療報酬明細書、領収書 |
| 通院交通費 | 通院に必要な交通費 | 交通費明細、領収書、IC履歴 |
| 付添看護費 | 入院・通院・自宅看護の付添費 | 医師の指示、家族付添記録 |
| 入院雑費 | 入院中の日用品等 | 入院日数、領収書 |
| 休業損害 | 事故で働けなかった収入減 | 休業損害証明書、給与明細、確定申告書 |
| 傷害慰謝料 | 入通院による精神的苦痛 | 通院期間、実通院日数、診断書 |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害による将来収入減 | 後遺障害等級、収入資料、職務内容 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残った精神的苦痛 | 後遺障害等級、医師意見書 |
| 将来介護費 | 重度後遺障害の将来介護費 | 介護記録、医師意見、福祉資料 |
| 家屋改造費 | バリアフリー化等 | 見積書、介護認定資料 |
物的損害は、車両や物の損害です。次の表は、物損で争点になりやすい項目と証拠を表しています。車両所有者が運転者と違う場合は、誰が請求権者なのかも合わせて読み取ってください。
| 損害項目 | 内容 | 主な証拠 |
|---|---|---|
| 修理費 | 事故車両の修理費 | 修理見積書、請求書、写真 |
| 車両時価額 | 全損時の車両価値 | 査定資料、中古車相場資料 |
| 評価損 | 修理後も残る価値低下 | 査定書、事故歴資料 |
| 代車費用 | 修理期間中の代車 | 代車契約書、領収書 |
| レッカー代 | 事故車搬送費 | レッカー請求書 |
| 保管料 | 車両保管費 | 保管料請求書 |
| 積載物損害 | 車内の物品破損 | 写真、購入資料、領収書 |
| 休車損害 | 営業車両が使えない損害 | 運行記録、売上資料、車両稼働率 |
次の一覧は、休業損害や健康保険・労災が絡む場面で確認すべき資料を表しています。示談額が単純な日数計算だけで決まらないことがあるため、雇用形態や給付制度との関係を読み取ることが重要です。
休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、有給休暇の扱いが重要です。
確定申告書、帳簿、売上台帳、請求書、事故前後の売上推移が問題になります。
実際の賃金収入がなくても、家事労働への支障が損害として評価されることがあります。
業務中・通勤中の事故では、労災給付と第三者の賠償との調整が必要になることがあります。
健康保険を使って治療した場合、第三者行為による傷病届や示談前報告が関係します。
自賠責、任意保険、人身傷害保険、搭乗者傷害保険などの支払いを控除・調整します。
休業損害は、事故前からの持病、不況、事業縮小、勤務先の制度、有給休暇の使用、労災給付、傷病手当金などが絡むことがあります。健康保険、労災、自賠責、任意保険が重なる事故では、示談書に署名する前に、保険者・労基署・弁護士等へ確認する必要があります。
警察資料、医療資料、修理資料、交渉経過をそろえてから文言を確認します
交通事故では、整形外科、脳神経外科、救急科、リハビリテーション科、精神科・心療内科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科などが関与することがあります。法律・保険・後遺障害実務の中核資料は、通常、医師の診断書、診療録、画像所見、検査結果、後遺障害診断書です。
次の確認一覧は、示談書を作る前に医療面で何を見るかを表しています。症状固定前に清算していないか、後遺障害診断書が必要かを読み取ることが大切です。
診断名、事故との関連、初診日、症状経過が医師の記録上どう整理されているかを確認します。
医療資料画像検査、神経学的検査、可動域測定が実施されているかを確認します。
後遺障害むち打ちや神経症状では、通院頻度、症状の一貫性、事故態様、車両損傷、治療経過が重要になります。
注意高次脳機能障害では、神経心理検査、家族・職場の観察記録、リハビリ記録が重要になることがあります。
見落とし注意PTSD、不眠、運転恐怖、抑うつ、不安などは、既往症や生活環境も含めて慎重に整理します。
生活影響道路交通法上、交通事故時には必要な措置と報告が求められます。警察に届け出ていない事故では、交通事故証明書が取得できず、任意保険、自賠責、健康保険の第三者行為届、労災、後日の訴訟・ADRで不利になる可能性があります。
自動車安全運転センターの申請方法には、ゆうちょ銀行・郵便局での払込み、センター事務所窓口、インターネット申請があります。交通事故証明書の交付手数料は1通につき1,000円と案内されています。福岡県警察も、令和7年10月1日以降の申請では交付手数料が1,000円になる旨を案内しています。
次の表は、示談書作成前に集めるべき証拠を分野別に表しています。証拠をそろえずに合意すると、後で「その損害は示談金に含まれていた」「証拠がない」と争われる可能性があるため、分野ごとに不足資料を読み取ってください。
| 分野 | 証拠 |
|---|---|
| 事故状況 | 交通事故証明書、実況見分調書、現場写真、信号サイクル、防犯カメラ、ドライブレコーダー、目撃者メモ |
| 車両損傷 | 修理見積書、損傷写真、レッカー記録、整備記録、時価資料 |
| 医療 | 診断書、診療録、画像、検査結果、後遺障害診断書、薬剤情報 |
| 収入 | 源泉徴収票、給与明細、休業損害証明書、確定申告書、帳簿、売上資料 |
| 支出 | 領収書、交通費記録、介護用品費、家屋改造見積 |
| 生活影響 | 家族の介護記録、家事支障記録、通学・通勤支障、復職面談記録 |
| 交渉経過 | 保険会社とのメール、書面、提示額、電話メモ |
保険会社の書類をそのまま受け入れる前に、地域の相談ルートを確認します
多くの交通事故では、加害者本人ではなく、加害者側任意保険会社の担当者が示談交渉を行います。保険会社から提示される示談書・免責証書は形式が整っていることが多い一方、被害者にとって有利とは限りません。
次の一覧は、保険会社の提示書面を見るときの確認点を表しています。提示額だけでなく、既払い金、治療費打切り後の治療費、慰謝料基準、後遺障害の扱いを読み取ることが重要です。
治療費、休業損害、慰謝料、車両費、既払い金控除が分かれているか確認します。
治療費打切り後の治療費や症状固定日の前提がどう扱われているかを確認します。
過失割合が事故態様、証拠、裁判実務上の考え方と整合するか確認します。
自賠責、人身傷害、労災、健康保険との調整が済んでいるかを確認します。
次の表は、福岡県内で利用できる相談・紛争解決ルートの概要を表しています。示談前の安全確認、保険会社との争い、裁判以外の解決手段を選ぶため、相談内容と使いどころを読み取ってください。
| 窓口 | 概要 | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 福岡県交通事故相談所 | 福岡県庁1階で、専門相談員が無料相談に応じます。県内8か所で巡回相談もあります。 | 自賠責保険等の請求方法、損害賠償額、示談の進め方の確認 |
| 日弁連交通事故相談センター福岡相談所 | 面接相談、高次脳機能障害面接相談、示談あっ旋を扱います。面接相談は30分×5回まで無料と案内されています。 | 提示額、後遺障害、過失割合、清算条項の確認 |
| 交通事故紛争処理センター福岡支部 | 福岡市中央区天神に所在し、法律相談、和解あっ旋、審査手続を行う機関です。 | 保険会社との示談交渉がまとまらない場合 |
| そんぽADRセンター | 損害保険や交通事故に関する相談、苦情、紛争解決支援を行う指定紛争解決機関です。 | 損害保険会社とのトラブルが解決しない場合 |
| 福岡地方裁判所・簡易裁判所 | 民事訴訟、調停、少額訴訟などを検討する場面があります。 | 交渉・ADRで解決できない場合 |
裁判所の管轄は、事故地、相手方住所、請求額、手続の種類によって変わる場合があります。物損中心の少額請求であっても、証拠や管轄、相手方の住所、法人関係、保険会社の関与によって手続選択が変わります。
そのまま使う前に、使用場面と清算範囲を必ず確認します
示談書の書式は、事故内容と清算範囲によって変わります。次の比較表は、4種類の書式例がどの場面を想定しているかを表しています。読者は「後遺障害が未確定か」「人身損害を残すか」「未払いリスクがあるか」を読み取ってください。
| 書式例 | 使用場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 人身・物損をまとめる | 治療終了、症状固定、後遺障害の有無、物損が確認済みの場合 | 未確定損害がある段階では使わないよう注意します。 |
| 物損だけを先に解決 | 車両修理費など物損は確定したが、身体症状は治療中の場合 | 人身損害を清算対象から除外します。 |
| 傷害部分だけを解決 | 治療費、休業損害、傷害慰謝料は合意できるが、後遺障害が未確定の場合 | 後遺障害損害の留保文言を確認します。 |
| 分割払い | 加害者本人が任意保険未加入、または保険でカバーされない損害を分割払いする場合 | 期限の利益喪失、公正証書化を検討します。 |
次の書式例は、治療が終了し、後遺障害の有無も確認したうえで、物損を含めて最終解決する場合を表しています。完全清算の文言が入るため、未確定損害が残っていないことを読み取ってから使う必要があります。
交通事故示談書
甲(被害者)と乙(加害者)は、下記交通事故(以下「本件事故」という。)に関し、次のとおり示談する。
第1条(事故の表示)
1 本件事故の表示は次のとおりである。
(1)発生日時 令和○年○月○日 午前・午後○時○分ころ
(2)発生場所 福岡県○○市○○町○丁目○番○号付近
(3)甲車両 登録番号 ― 福岡○○○ あ ○○○○
(4)乙車両 登録番号 ― 福岡○○○ い ○○○○
(5)事故態様 乙車両が甲車両に追突した事故
(6)届出警察署 福岡県○○警察署
(7)交通事故証明書番号 第○○○○号
第2条(損害賠償金)
乙は甲に対し、本件事故による人身損害および物的損害の損害賠償金として、既払金を除き、金○○円を支払う。
第3条(内訳)
前条の損害賠償金の内訳は、次のとおりである。
(1)治療費 金○○円
(2)通院交通費 金○○円
(3)休業損害 金○○円
(4)傷害慰謝料 金○○円
(5)後遺障害逸失利益 金○○円
(6)後遺障害慰謝料 金○○円
(7)車両修理費 金○○円
(8)その他 金○○円
第4条(支払方法)
乙は、令和○年○月○日限り、前条の金員を、甲指定の下記口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
金融機関名 ○○銀行
支店名 ○○支店
預金種別 普通
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 ○○○○
第5条(既払金)
甲および乙は、本件事故に関し、乙または乙加入保険会社から甲に対し、既に金○○円が支払われていることを確認する。
第6条(清算条項)
甲および乙は、本示談書に定めるほか、本件事故に関し、相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する。
第7条(保険手続への協力)
必要な保険手続について、信義に従い必要な範囲で協力する。
第8条(管轄)
本示談書に関して紛争が生じた場合には、法令の定めに従い管轄を有する裁判所を利用する。
本示談成立の証として、本書2通を作成し、甲乙署名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲 住所
氏名 印
乙 住所
氏名 印次の書式例は、車両修理費などの物的損害だけを先に終わらせる場合を表しています。人身損害を清算対象から除外する文言が中心なので、身体症状が残る場合はここを読み取ることが重要です。
交通事故物損示談書
甲(被害者・車両所有者)と乙(加害者)は、本件事故に関し、物的損害についてのみ、次のとおり示談する。
第1条(事故の表示)
本件事故の表示は次のとおりである。
(1)発生日時 令和○年○月○日 午前・午後○時○分ころ
(2)発生場所 福岡県○○市○○付近
(3)甲車両 登録番号 ― 福岡○○○ あ ○○○○
(4)乙車両 登録番号 ― 福岡○○○ い ○○○○
(5)届出警察署 福岡県○○警察署
(6)交通事故証明書番号 第○○○○号
第2条(物的損害の賠償)
乙は甲に対し、本件事故による物的損害の賠償として、金○○円を支払う。
第3条(支払方法)
乙は、令和○年○月○日限り、甲指定口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
第4条(人身損害の除外)
本示談は、本件事故による物的損害に限るものであり、甲の傷害、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、後遺障害、逸失利益その他一切の人身損害については清算の対象としない。
第5条(物的損害に関する清算)
甲および乙は、本示談書に定めるほか、本件事故による物的損害に関し、相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する。
本示談成立の証として、本書2通を作成し、甲乙署名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲 住所
氏名 印
乙 住所
氏名 印次の書式例は、傷害部分の損害は一部合意できるが、後遺障害の有無や等級が未確定の場合を表しています。後遺障害損害の留保は事案ごとに文言の適否が変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ確認する必要があります。
交通事故傷害部分示談書
甲(被害者)と乙(加害者)は、本件事故に関し、後遺障害に関する損害を除く傷害部分の損害について、次のとおり示談する。
第1条(事故の表示)
本件事故の表示は次のとおりである。
(1)発生日時 令和○年○月○日 午前・午後○時○分ころ
(2)発生場所 福岡県○○市○○付近
(3)事故態様 ○○
(4)届出警察署 福岡県○○警察署
(5)交通事故証明書番号 第○○○○号
第2条(傷害部分の損害賠償)
乙は甲に対し、本件事故による後遺障害損害を除く傷害部分の損害賠償金として、金○○円を支払う。
第3条(支払方法)
乙は、令和○年○月○日限り、甲指定口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
第4条(後遺障害損害の留保)
本示談は、本件事故による後遺障害損害を清算するものではない。後日、本件事故と相当因果関係のある後遺障害が認定され、または医学的に判明した場合、甲は乙に対し、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、将来介護費、将来治療費その他後遺障害に関する損害賠償を別途請求することができる。
第5条(傷害部分に関する清算)
甲および乙は、本示談書に定めるほか、本件事故による後遺障害損害を除く傷害部分の損害に関し、相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する。
本示談成立の証として、本書2通を作成し、甲乙署名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲 住所
氏名 印
乙 住所
氏名 印次の条項例は、加害者本人が分割払いを約束する場面を表しています。未払いリスクが高いため、支払回数、期限の利益喪失、公正証書化の協力を読み取ることが重要です。
第○条(分割払い)
乙は甲に対し、本件事故による損害賠償金○○円を、次のとおり分割して支払う。
(1)令和○年○月末日限り 金○○円
(2)令和○年○月から令和○年○月まで、毎月末日限り 各金○○円
第○条(期限の利益喪失)
乙が前条の分割金の支払いを1回でも怠り、その額が金○○円に達したときは、乙は当然に期限の利益を失い、甲に対し、残額全額およびこれに対する期限の利益喪失日の翌日から支払済みまで年○%の割合による遅延損害金を直ちに支払う。
第○条(公正証書)
甲および乙は、甲が求めた場合、本示談内容について、強制執行認諾文言付公正証書を作成するために必要な協力をする。分割払いでは、法務省が説明する公証制度、特に金銭債務について強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書の執行力を検討する価値があります。
署名後の追加請求や刑事手続への影響に注意します
示談書では、短い一文が後日の請求可否に大きく影響することがあります。次の注意一覧は、特に慎重に読むべき文言と理由を表しています。どの文言が「広すぎる清算」「因果関係の否定」「権限の白紙化」につながるかを読み取ってください。
「今後名目のいかんを問わず一切請求しない」という趣旨の文言は、治療中、症状固定前、後遺障害未申請の段階では危険です。
治療の一部や症状について因果関係を否定する文言は、後の後遺障害申請や追加請求に影響する可能性があります。
金額や内容が未定のまま委任状を渡すことは危険です。健康保険の第三者行為届でも、白紙委任状を渡さないことが示されています。
「刑事処罰を望まない」「寛大な処分を求める」などの文言は、被害者の意思や事案の重大性に関わるため慎重に検討します。
死亡事故、重傷事故、飲酒運転、ひき逃げ、危険運転、無免許、信号無視などでは、安易な宥恕文言を入れることは慎重に扱われます。民事の損害賠償、刑事処分、行政処分は別々に進むため、示談書で何を表明するのかを分けて確認する必要があります。
追突、交差点、歩行者・自転車、バイク、事業用車両で争点が変わります
事故類型によって、示談書で強調すべき証拠や損害項目は変わります。次の比較表は、代表的な事故類型ごとの確認ポイントを表しています。過失割合、後遺障害、所有者、使用者責任など、類型ごとの争点を読み取ってください。
| 事故類型 | 示談書作成ポイント | 注意すべき損害・証拠 |
|---|---|---|
| 追突事故 | 加害者側の過失が大きくなることが多い一方、低速衝突ではけがとの因果関係や治療期間が争点になり得ます。 | 車両損傷、診療録、通院経過、むち打ちや腰痛の後遺障害 |
| 交差点事故 | 右直事故、出会い頭事故、信号、一時停止、優先道路、速度などが過失割合に関係します。 | 信号サイクル、実況見分、ドライブレコーダー、目撃者情報 |
| 歩行者・自転車事故 | 頭部外傷、骨折、高齢者の寝たきり、子どもの成長障害、通学支障などが問題になります。 | 医療資料、家族記録、学校・職場資料、親権者の関与 |
| バイク事故 | 転倒による骨折、靭帯損傷、関節可動域制限、醜状痕、車両全損が問題になりやすいです。 | 後遺障害診断書、ヘルメット損傷、改造部品、休業損害 |
| 事業用車両事故 | タクシー、トラック、バス、社用車、配送車では会社の使用者責任や休車損害が絡みます。 | 運行記録、売上資料、運行管理、整備記録、労災資料 |
相談を検討したい場面と、専門職ごとの確認点を一覧化します
次の一覧は、示談書に署名する前に弁護士等の専門家への確認を検討したい場面を表しています。金額が大きい場合だけでなく、後遺障害、過失割合、保険、当事者関係が複雑な場合も、どこにリスクがあるかを読み取ってください。
後遺障害が残りそう、または等級認定を受けた場合は、逸失利益や慰謝料が大きく変わります。
保険会社の提示額、慰謝料基準、休業損害、家事労働、逸失利益に不明点がある場合です。
事故状況について双方の言い分が違う、または過失割合に納得できない場合です。
加害者が無保険、労災、健康保険、人身傷害保険、弁護士費用特約が絡む場合です。
死亡事故、重傷事故、高次脳機能障害、脊髄損傷、未成年者、相続人、法人、外国人が関係する場合です。
相手方が今日署名しないと支払えないと急がせる場合や、不安な文言がある場合です。
次の一覧は、警察、医療、法務、保険、工学、修理、労務、福祉の視点で何を確認するかを表しています。示談書は複数分野の資料を束ねる文書なので、専門ごとに見落としやすい点を読み取ってください。
事故発生日時・場所・当事者、交通事故証明書との一致、人身事故への切替え、事故態様を確認します。
初診日、診断名、画像検査、神経学的検査、症状固定前の清算、後遺障害診断書を確認します。
当事者、請求権者、清算条項、留保条項、時効、遅延損害金、管轄、分割払いの担保を確認します。
自賠責と任意保険の支払範囲、既払い金、健康保険、労災、人身傷害保険との調整を確認します。
速度、衝突角度、視認性、回避可能性、ドライブレコーダー、EDR、防犯カメラを確認します。
修理見積、既存損傷との区別、骨格損傷、事故歴、評価損、代車期間を確認します。
業務災害・通勤災害、第三者行為災害届、休業補償、傷病手当金、復職支援を確認します。
介護保険、障害福祉、住宅改修、通院移動、就労支援、心理的支援を確認します。
個別の結論ではなく、一般的な制度説明として整理します
一般的には、手書きでも有効になり得ます。ただし、金額、事故日、当事者名、清算範囲の読み間違いを防ぐため、パソコンで作成し、署名欄だけ自署する方法が多く使われます。訂正がある場合は、訂正印や再作成を検討します。
一般的には、通常の示談書では認印や署名でも作成されます。ただし、金額が大きい、分割払い、加害者本人が保険未加入、後で署名の真正が争われそうな場合は、実印・印鑑証明、公正証書化を検討することがあります。具体的な必要性は事案によって変わります。
一般的には、内容によっては合意の証拠になる可能性があります。ただし、交通事故では清算範囲や後遺障害の扱いが曖昧になりやすいため、最終合意は書面化することが望ましいとされています。
一般的には、物損だけを清算した示談書で人身損害を明確に除外していれば、請求できる余地があります。ただし、「本件事故による一切の損害」と書いてあると争いになります。事故態様、症状、文言、証拠で結論は変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、示談前であれば、後遺障害等級、労働能力喪失率、基礎収入、喪失期間、慰謝料を検討できます。示談後に完全清算条項がある場合は追加請求が難しくなる可能性があります。具体的な見通しは、示談書の文言と資料を確認する必要があります。
一般的には、提示額が妥当な場合もありますが、裁判実務上の水準と一致するとは限りません。後遺障害、休業損害、家事労働、過失割合、逸失利益がある場合は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家に確認する価値があります。
一般的には、保険会社から一括で支払われる通常の示談では、公正証書まで必要ないこともあります。一方、加害者本人による分割払い、任意保険未加入、支払能力に不安がある場合は、公正証書化を検討することがあります。
一般的には、事故地、被害者住所、相手方住所、保険会社所在地、裁判管轄、ADRの利用条件によって変わります。福岡県内の相談窓口で初期相談をし、必要に応じて管轄や申立先を確認する方法があります。
一般的には、未成年者本人だけでなく、親権者、監督義務者、車両所有者、保険契約者、使用者などが関係することがあります。民法上の行為能力、親権者の同意、保険契約、車両所有関係で結論が変わる可能性があります。
一般的には、死亡事故では相続人の範囲、葬儀費、死亡逸失利益、死亡慰謝料、近親者慰謝料、相続、保険金、税務、刑事手続、被害者参加、遺族感情が複雑に絡みます。通常の物損・傷害事故の書式だけで足りるとは限らないため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
テンプレートを埋める前に、損害と証拠と清算範囲を確認します
福岡県の交通事故の示談書で大切なのは、形式的に書式を埋めることではありません。示談書は、警察資料、医療資料、保険資料、修理資料、労務資料、福祉・生活再建資料を総合して、損害賠償関係を終わらせるための法律文書です。
福岡県内で交通事故に遭った場合は、まず警察への届出と医療機関の受診を確実に行い、交通事故証明書、診断書、修理見積書、休業資料などを整えます。次に、示談書で清算する範囲を明確にし、人身損害、物的損害、後遺障害、将来損害を不用意に混同しないことが重要です。
治療中、後遺障害の可能性がある、提示額が不明確、過失割合に争いがある、相手方が急がせる、分割払いである、未成年者・死亡事故・労災・健康保険が絡む。このような場合は、示談書に署名する前に、福岡県内の相談窓口や弁護士等の専門家に確認する必要があります。