外部責任と内部負担を分け、最高裁判例、保険、労災、給与天引き、事故直後対応まで整理します。
外部責任と内部負担を分け、最高裁判例、保険、労災、給与天引き、事故直後対応まで整理します。
被害者に対する外部責任と、会社・従業員間の内部負担を分けて考えます。
社用車で事故を起こした場合の従業員と会社の責任割合は、「何対何」と一律に答えられるものではありません。被害者から見た請求先の問題と、会社が支払った後に従業員へどれだけ負担を求められるかという内部負担の問題は別に整理する必要があります。
次の一覧は、責任割合を考えるときの入口を4つに分けたものです。読者にとって重要なのは、被害者保護のために会社や保険が関係する場面と、会社・従業員間で公平に分担する場面を混同しないことです。各項目では、誰に対する責任なのかを読み取ってください。
会社が被害者へ賠償しても、従業員へ全額請求できるとは限りません。信義則上相当な範囲が問題になります。
最高裁判例は、事業利益、危険創出、保険加入、安全管理、労働条件を踏まえ、公平な分担を求めています。
事故態様、業務性、保険契約、給与控除、懲戒、労災、再発防止を別々に記録して判断します。
社用車、従業員、責任割合、使用者責任、運行供用者責任、求償を整理します。
社用車とは、会社、法人、個人事業主、団体などが事業のために使用する自動車をいいます。会社名義の車両だけでなく、リース車、レンタカー、役員車、営業車、配送車、サービスカー、作業車、送迎車、バス、トラック、タクシー、従業員の持込車を業務に使う場合も、広い意味では社用車問題に含まれます。
従業員には、正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト、嘱託社員、業務委託に近い形で働く人など、さまざまな立場が含まれ得ます。法律上は名称だけでなく、会社の指揮監督の下で業務を行っていたかという実態が重視されます。
次の比較表は、責任割合という言葉に含まれる3つの意味を分けたものです。この区別が重要なのは、相手方との過失割合がそのまま会社と従業員の内部負担割合になるわけではないからです。各行で、誰と誰の関係を示しているのかを読み取ってください。
| 責任割合の意味 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 交通事故当事者間の過失割合 | 交差点、追突、右左折、歩行者事故などで、当事者の落ち度を割合で評価します。 | 従業員側80%・相手方20%でも、従業員が会社に80%負担するとは限りません。 |
| 被害者から見た請求先の責任関係 | 従業員、会社、車両所有者、運行供用者、保険会社の誰に請求できるかを整理します。 | 被害者保護の観点で、会社や保険が関係する場面があります。 |
| 会社と従業員の内部負担割合 | 会社が支払った後、最終的に会社と従業員のどちらがどれだけ負担するかを考えます。 | 事業利益、危険創出、保険、安全管理、労働条件が重要です。 |
次の一覧は、社用車事故で頻出する制度用語を並べています。制度名だけでは関係が見えにくいため、読者にとっては何を判断する言葉なのかを押さえることが重要です。各項目で、外部責任か内部負担かを意識して読んでください。
従業員が事業の執行について第三者へ損害を与えた場合、会社が賠償責任を負う制度です。
会社が車両を管理し、事業のために運行させていた場合、人の生命・身体の損害について問題になります。
会社が被害者へ賠償した後、従業員へ一部負担を求める場面です。全額請求は当然ではありません。
従業員が先に被害者へ賠償した場合、会社が本来負担すべき部分を求めることがあります。
民事責任、刑事・行政責任、労務・内部負担は、それぞれ目的と判断軸が違います。
社用車事故では、治療費、慰謝料、逸失利益、車両修理費、代車費用、評価損、積荷損害などの民事責任が中心になります。人身事故では刑事責任や免許処分も並行し、会社と従業員の間では修理費、求償、給与天引き、懲戒、労災、復職が問題になります。
次の比較表は、責任を三層に分けて整理したものです。層ごとに関係者と判断目的が異なるため、責任割合の議論を混線させないために重要です。左から順に、何の責任か、主な内容、確認すべき資料を読み取ってください。
| 層 | 主な内容 | 確認すべき資料 |
|---|---|---|
| 第1層 民事責任 | 被害者への損害賠償。治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益、車両修理費など。 | 事故証明書、診断書、修理見積、保険記録、過失割合資料 |
| 第2層 刑事・行政責任 | 過失運転致死傷、危険運転、道路交通法違反、免許停止・取消しなど。 | 警察資料、供述、違反内容、救護・報告状況、飲酒・薬物の有無 |
| 第3層 労務・内部負担 | 会社が従業員に修理費や賠償金を請求できるか、給与天引き、懲戒、労災、復職など。 | 就業規則、車両管理規程、保険契約、勤怠、点呼、教育、整備記録 |
この三層を分ける理由は、被害者救済では会社や保険が広く関係し得る一方、会社と従業員の内部負担では公平な損害分担が中心になるためです。刑事・行政処分は原則として運転者個人に関わりますが、過労運転や酒気帯び確認不備など会社管理が背景にある場合は、会社側の責任も別途問題になります。
従業員個人の不法行為責任、会社の使用者責任、運行供用者責任が重なります。
従業員が前方不注視、安全確認不足、信号無視、速度超過、車間距離不保持、右左折時の確認不足などで事故を起こした場合、従業員個人は民法709条の不法行為責任を負う可能性があります。一方、事故が会社の事業の執行について起きた場合、会社も使用者責任を負う可能性があります。
次の比較表は、被害者から見た責任関係を整理したものです。外部責任では被害者保護が重視されるため、会社と従業員の内部負担とは別に考える必要があります。各行で、被害者が誰に何を請求し得るかを読み取ってください。
| 関係者 | 責任が問題になる場面 | 補足 |
|---|---|---|
| 従業員個人 | 直接運転して過失により損害を与えた場合 | 会社の車だから従業員の責任が一切消えるわけではありません。 |
| 会社 | 事故が事業の執行について起きた場合 | 営業先、配送、顧客訪問、現場移動、出張中の移動などは業務関連性が強くなります。 |
| 運行供用者 | 会社が社用車を管理し、業務のために運転させていた場合 | 人身損害で特に重要です。運行支配と運行利益が問題になります。 |
| 保険会社 | 任意保険や自賠責保険の適用がある場合 | 示談代行、損害調査、支払対応が中心になることがあります。 |
次の強調枠は、外部責任と内部負担の違いを金額例で示しています。被害者が二重に回収できない一方、支払後の会社・従業員間の分担が残る点を理解するために重要です。500万円という数字は、外部支払と内部調整を分けて読むための例です。
損害が500万円で会社が500万円を支払えば、被害者は同じ損害についてさらに従業員から500万円を重ねて受け取ることはできません。その後、会社と従業員の間で最終負担をどう分けるかが別に問題になります。
物損と人身でも制度は異なります。自賠法上の運行供用者責任は、人の生命・身体に関する損害を中心とする制度です。相手車両の修理費、ガードレール、積荷、建物損傷などの物損は、民法上の不法行為責任や使用者責任、保険契約が中心になります。
求償・逆求償は、最高裁判例の公平な分担の枠組みで検討します。
会社が被害者へ賠償した場合でも、会社が従業員へ当然に全額請求できるわけではありません。会社は社用車を使って事業を営み、営業車や配送車を走らせることで利益を得ています。その反面、交通事故のリスクも事業に伴うものとして発生します。
次の一覧は、内部負担を決めるときに考慮される主要事情を整理しています。過失割合だけで決まらない理由を理解するために重要です。各項目では、従業員の落ち度だけでなく、会社の危険創出と損失分散の能力を読み取ってください。
営業先、配送、現場移動など業務中であれば会社の事業リスクとして評価されやすく、私用・無断使用では従業員負担が重くなり得ます。
会社が売上、配送、顧客対応、事業拡大のために車両を使っていた事情は、会社負担を重く見る材料になります。
点呼、アルコールチェック、免許確認、整備、教育、労働時間管理が不十分なら、会社側の負担が重くなり得ます。
軽過失か、飲酒・無免許・重大な速度超過・ひき逃げなど故意に近い事情があるかで評価が変わります。
保険に入っていない、または使わない判断をしたことだけで、従業員負担を当然に増やせるわけではありません。
会社の指揮命令下で低い裁量のまま運転していた場合、事故リスクを個人へ全面転嫁することは問題になりやすいです。
次の時系列は、最高裁判例が示した考え方の流れを整理したものです。どの判例が何を示したかを押さえることで、責任割合を固定数字で考えない理由が分かります。上から順に、求償制限、逆求償、公平な分担の視点を読み取ってください。
事業の性格、規模、施設、業務内容、労働条件、勤務態度、事故態様、損失分散などを考慮し、信義則上相当な限度でのみ請求できるとしました。
会社側の請求が損害の4分の1の限度で認められましたが、すべての社用車事故で4分の1になるという意味ではありません。
従業員が先に被害者へ賠償した場合でも、損害の公平な分担の見地から相当な範囲で会社へ求償できると判断しました。
大企業が事業用車両を使い、従業員が個人である通常事故では、従業員負担が小さい、またはゼロとなることもあり得る趣旨が示されています。
軽過失、重大過失、飲酒、私用、通勤、整備不良、過労で評価が変わります。
社用車事故の内部負担は、事故類型によって大きく変わります。通常の業務中の軽過失事故と、飲酒運転、無免許運転、私的利用、過労運転、整備不良が関係する事故では、会社と従業員のどちらの事情が重く見られるかが異なります。
次の比較表は、典型的な事故類型ごとの考え方を整理したものです。実際の割合を断定するものではありませんが、どの事情が従業員負担・会社負担を強めるかを読むために重要です。各行で、事故類型、負担の傾向、確認資料を対応させてください。
| 事故類型 | 内部負担の考え方 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 通常の業務中の軽過失事故 | 従業員への全額請求は認められにくく、負担はゼロまたは限定的となる可能性があります。 | 業務指示、保険加入、安全教育、事故報告書 |
| 重い過失を伴う業務中事故 | 従業員負担が大きくなる可能性がありますが、会社の過労管理や安全教育不足も考慮されます。 | 速度、信号、スマホ使用、勤務時間、納期設定 |
| 飲酒・薬物影響下の運転 | 従業員責任が非常に重くなります。ただし会社の黙認や酒気帯び確認不備があれば会社側も重大です。 | アルコールチェック、接待後の運行、管理者記録 |
| 無免許・免許停止中の運転 | 従業員の重大な義務違反ですが、会社の免許確認体制も問題になります。 | 免許証確認記録、運転者台帳、申告体制 |
| 私的利用中の事故 | 業務関連性が弱くなり、従業員負担が重くなり得ます。会社の黙認や鍵管理不備は別途考慮されます。 | 使用許可、鍵管理、過去の利用実態 |
| 通勤中の事故 | 直行直帰、自宅保管、翌日業務のための持ち帰りなどで評価が変わります。 | 通勤許可、業務予定、会社物品、車両保管状況 |
| 整備不良・車両欠陥 | 会社が点検・整備を怠っていれば会社負担が重くなります。 | 点検記録、整備記録、不具合報告 |
| 過労・無理な運行計画 | 会社の労務管理・運行管理の問題として会社負担が重くなり得ます。 | 勤怠、休憩、配送計画、連続運転時間 |
| 単独の自損事故 | 相手方がいなくても修理費等の内部負担が問題になります。業務中の軽過失なら全額請求は慎重です。 | 事故状況、車両保険、免責金額、過失程度 |
次の判断の流れは、事故類型から内部負担を検討する順番を示しています。固定割合で考えないために重要です。上から順に、業務性、過失の重さ、会社管理、保険・労務手続を確認します。
会社の指示や利益との結びつきを確認します。
軽過失か、重大違反か、飲酒・無免許・ひき逃げの有無を確認します。
点検、保険、教育、労働時間、運行計画、アルコールチェックを確認します。
事故資料、保険記録、就業規則、労災資料をそろえて判断します。
賠償金、修理費、免責金額、保険料増額分、休車損害、罰金を分けます。
会社から従業員へ請求されやすい費目には、相手方への賠償金、社用車の修理費、保険の免責金額、保険料増額分、休車損害・営業損害、反則金・罰金があります。しかし、請求できる可能性と、従業員へ当然に全額請求できるかは別問題です。
次の比較表は、費目ごとの扱いを整理しています。費目によって、実損性、事業コスト性、因果関係、労働法上の制限が異なるため重要です。各行で、請求されやすさと慎重に見るべき理由を読み取ってください。
| 費目 | 請求が問題になる場面 | 慎重に見る理由 |
|---|---|---|
| 相手方への賠償金 | 会社が治療費、慰謝料、休業損害、修理費などを支払った場合 | 求償は信義則上相当な範囲に制限されます。 |
| 社用車の修理費 | 会社車両の破損を理由に修理代を請求される場合 | 社用車は事業用資産であり、業務上の軽過失事故は会社の事業リスクでもあります。 |
| 保険の免責金額 | 車両保険や任意保険の自己負担額を請求される場合 | 免責金額は会社が選んだリスク保有部分であり、自動転嫁は問題になり得ます。 |
| 保険料増額分 | 翌年度以降の保険料上昇分を請求される場合 | 将来的・間接的な不利益で、事故との因果関係や金額算定が複雑です。 |
| 休車損害・営業損害 | 営業車が使えず売上減少や代替車費用が生じた場合 | 算定が難しく、会社の事業リスクとしての性格も強い項目です。 |
| 反則金・罰金 | 交通違反や刑事罰として運転者本人に科される場合 | 会社独自の一律事故罰金は、労働法上問題になる可能性があります。 |
賃金全額払い、賠償予定の禁止、減給制裁、処分の相当性を確認します。
従業員が事故を起こしたとしても、会社が一方的に損害額を決め、給与から天引きすることは、労働基準法上の賃金全額払い原則との関係で問題になります。控除には、法令上の根拠、労使協定、または従業員の自由意思に基づく明確な同意が必要になります。
次の一覧は、事故後の労務対応で特に紛争になりやすい項目を整理しています。金銭請求だけでなく、書面や懲戒が後の証拠になるため重要です。各項目で、会社がどこまで一方的に進められるかを読み取ってください。
修理費や賠償金を同意なく差し引くことは、賃金全額払い原則との関係で問題になります。
事故1回につき一律5万円、社用車を傷つけたら一律10万円などは、賠償予定の禁止や減給制裁の制限との関係で危険です。
事実経過や再発防止を整理する目的ならあり得ますが、全額賠償を認める文言や事実と異なる内容の強制は問題になります。
戒告、減給、出勤停止、降格、解雇などは、就業規則の根拠、処分理由、相当性、過去例、会社管理状況を踏まえて判断されます。
次の判断の流れは、会社が事故後に労務対応を行う前の確認順序を示しています。従業員に不当な負担を押し付けず、会社としても紛争を避けるために重要です。上から順に、事実、根拠、相当性、手続を確認します。
事故態様、損害額、保険適用、過失の程度を証拠で整理します。
賃金控除、賠償予定、減給制裁、懲戒根拠を確認します。
安全教育、点検、労働時間、保険設計、過去対応との公平性を検討します。
全額負担の署名、給与控除、重い処分を急ぐと労務紛争化しやすくなります。
補償の入口、免責、示談代行、第三者行為災害を整理します。
社用車事故では、自賠責保険、任意保険、車両保険、人身傷害、搭乗者傷害、弁護士費用特約、労災保険、健康保険が関係することがあります。保険が使えるかどうかは、契約者、被保険者、運転者範囲、使用目的、免責金額、飲酒・無免許・故意事故の扱いで変わります。
次の比較表は、主な保険・制度の役割を整理したものです。どの制度が何を補償し、どの手続で調整されるかを理解するために重要です。各行では、対象損害と注意点を読み取ってください。
| 制度 | 主な対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自賠責保険 | 自動車事故の人身損害について最低限の被害者救済を担います。 | 物損は対象外で、重い後遺障害や死亡事故では不足することがあります。 |
| 任意保険 | 対人賠償、対物賠償、人身傷害、搭乗者傷害、示談代行など。 | 業務使用、運転者範囲、年齢条件、免責、飲酒・無免許の扱いを確認します。 |
| 車両保険 | 社用車自体の修理費など。 | 免責金額や保険料増額分を従業員へ自動転嫁できるとは限りません。 |
| 労災保険 | 従業員自身が業務中・通勤中に負傷した場合の療養・休業・障害補償。 | 相手方がいる事故では第三者行為災害届や自賠責・任意保険との調整が必要です。 |
| 健康保険 | 交通事故治療で使い分けが問題になることがあります。 | 業務災害・通勤災害なら原則として労災保険の検討が必要です。 |
会社が「保険料が上がるから保険を使わない」と判断した場合でも、その判断によって従業員の負担を当然に増やせるわけではありません。保険を使えば支払われたはずの損害を、会社の都合で保険を使わず従業員に請求する場合、会社の請求は制限される可能性があります。
警察資料、医療資料、保険資料、車両技術、労務資料をそろえます。
社用車事故では、事故態様だけでなく、会社の安全管理、保険、労務、車両整備が内部負担を左右します。人身事故では警察資料と医療資料、物損では修理見積や損害調査、内部負担では就業規則や車両管理規程が重要です。
次の比較表は、証拠の種類と役割を整理したものです。責任割合を感覚で決めず、事実と評価を分けるために重要です。各行で、どの資料が事故原因、損害額、会社管理、労務判断のどれに関係するかを読み取ってください。
| 資料 | 主な役割 | 関係する専門分野 |
|---|---|---|
| 警察関係資料 | 事故発生日時、場所、当事者、信号、速度、停止位置、負傷状況、違反行為を確認します。 | 警察実務、刑事・行政手続 |
| 医療資料 | 診断書、診療録、画像検査、後遺障害診断書により受傷と治療経過を確認します。 | 医療、労災、損害賠償 |
| 保険・損害調査資料 | 事故受付、損害調査、修理見積、査定、代車費用、保険金、免責金額を確認します。 | 保険、損害調査 |
| 車両技術・事故鑑定 | ドラレコ、EDR、損傷部位、制動痕、速度、衝突角度、視認性、道路構造を分析します。 | 事故鑑定、車両技術 |
| 労務・安全管理資料 | 就業規則、車両管理規程、勤怠、点呼、アルコールチェック、教育、免許確認、整備記録を確認します。 | 人事労務、安全運転管理 |
次の一覧は、専門職ごとの検討ポイントを整理しています。社用車事故は法務だけで完結しないため、複数の視点を合わせることが重要です。各項目では、どの専門分野がどの事実を確認するかを読み取ってください。
民法709条、715条、自賠法3条、判例法理、労働法規、保険約款、証拠関係を統合して検討します。
法務事故日時、場所、当事者、負傷者、違反、信号、速度、飲酒・薬物、救護義務違反を確認します。
捜査受傷機転、初診症状、画像所見、治療経過、後遺障害、労務復帰可能性を確認します。
医療契約者、被保険者、使用目的、対人・対物、車両保険、免責、示談代行を確認します。
保険ドラレコ、EDR、車両損傷、制動痕、道路状況、速度、回避可能性を分析します。
鑑定労災、第三者行為災害、賃金控除、懲戒、就業規則、安全配慮義務、復職判断を整理します。
労務救護、二次事故防止、警察報告、会社・保険連絡、証拠保全、発言管理を行います。
事故直後は、責任割合や会社への報告よりも、人命救助が最優先です。車両を安全な位置に停め、負傷者の有無を確認し、必要に応じて119番通報を行います。発炎筒、三角表示板、ハザードランプなどで後続車へ知らせ、警察へ報告します。
次の時系列は、社用車事故直後の対応順序を示しています。順番が重要なのは、救護・安全・証拠・保険・労災の各手続が後からつながるためです。上から順に、現場安全から会社・保険連絡、証拠保全、発言管理までを読み取ってください。
安全な位置に停車し、負傷者確認と119番通報を優先します。
発炎筒、三角表示板、ハザードランプなどで危険を防止します。高速道路では車内に残る危険にも注意します。
軽微な物損に見えても、交通事故証明書、保険請求、労災手続のために届出が重要です。
上司、総務、法務、安全運転管理者、保険担当者へ連絡し、任意保険会社の事故受付を行います。
相手方情報、現場写真、車両損傷、信号・標識、ドラレコ、目撃者、天候、路面状況を記録します。
謝罪や救護は必要ですが、全額支払う、会社に言わない、示談で済ませるといった発言は避けます。
社用車管理規程、安全運転管理者、アルコールチェック、労働時間、保険設計を見直します。
企業は、社用車の使用目的、運転資格、私用利用の可否、鍵の管理、点検、事故時対応、保険手続、ドライブレコーダー管理、アルコールチェック、懲戒・費用負担の基準を明文化する必要があります。ただし、費用負担規程を作る場合でも、事故を起こした従業員が全額負担、免責金額は一律従業員負担という設計は問題になり得ます。
次の一覧は、企業が整えるべき再発防止体制を機能別に示しています。事故後の内部負担割合にも影響するため重要です。各項目では、会社がどの程度事故予防に配慮していたかを示す記録を読み取ってください。
使用目的、運転資格、私用利用、鍵管理、点検、事故時対応、保険手続、費用負担基準を明文化します。
規程個別考慮運転者の適性把握、運行計画、安全運転指導、点呼、アルコールチェック、記録管理を実施します。
管理運転前後の酒気帯び確認、記録、検知器の管理、直行直帰時の確認、代替体制を整えます。
確認記録過労、睡眠不足、長距離運転、過密スケジュール、休憩不足を防ぎます。
過労対人・対物、車両保険、弁護士費用、搭乗者・人身傷害、使用目的、運転者範囲、免責金額を見直します。
保険免責次の比較表は、従業員側と会社側が事故後に確認するリストを整理したものです。両者の確認事項を分けることで、責任追及だけでなく再発防止と適正手続に進めるため重要です。各行で、確認項目と目的を読み取ってください。
| 立場 | 主な確認項目 | 目的 |
|---|---|---|
| 従業員側 | 業務中・通勤中・私用中の別、警察届出、ドラレコ、会社報告、修理費・免責・保険適用、給与天引き同意、労災手続 | 不当な全額負担や一方的控除を避けるため |
| 会社側 | 救護、警察報告、保険会社連絡、事故報告書、保険適用、就業規則、給与控除回避、安全管理記録、長時間労働、過去対応との公平性 | 事実と推測を分け、組織的な再発防止へつなげるため |
一律回答になりやすい疑問を、一般情報として整理します。
一般的には、一律の割合はありません。被害者に対する外部責任では従業員、会社、運行供用者、保険会社が関係し、会社と従業員の内部負担では、業務性、過失の重さ、会社の安全管理、保険加入、労働条件などを総合して判断されます。具体的な割合は資料を整理して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、免責金額を必ず従業員が負担するとはいえません。免責金額は会社が選択した保険条件でもあり、事業上のリスク管理の一部です。従業員の過失、事故の業務性、会社の安全管理、就業規則、同意の有無で結論が変わります。
一般的には、従業員の自由意思に基づく明確な同意なく、会社が一方的に給与から修理代を差し引くことは、賃金全額払いの原則との関係で問題になる可能性があります。会社に損害がある場合でも、給与控除とは別に適法な手続で整理する必要があります。
一般的には、私用利用中の事故では従業員の内部負担が重くなる可能性があります。ただし、会社が私用利用を黙認していた、通勤利用を許可していた、鍵や車両管理が不十分だった場合などは、会社側の責任も問題になり得ます。
一般的には、飲酒運転では従業員の責任が非常に重く評価されます。ただし、会社が飲酒後の運転を黙認した、アルコールチェックを怠った、酒気帯びの兆候を把握しながら運転させた場合には、会社の安全管理上の責任も重大になります。
一般的には、一定の場合に会社へ逆求償できる可能性があります。最高裁判例は、従業員が被害者へ賠償した場合でも、損害の公平な分担という見地から、会社に対して相当な範囲で求償できると判断しています。具体的な範囲は個別事情によって変わります。
一般的には、軽微な業務中事故だけで直ちに解雇が有効になるとは限りません。事故の重大性、過失の程度、飲酒・無免許・ひき逃げの有無、会社の規程、過去の処分例、再発可能性、職務内容などを総合して判断されます。
一般的には、業務中の事故であれば業務災害、通勤中であれば通勤災害として、労災保険の対象となる可能性があります。相手方がいる事故では、第三者行為災害の届出や、自賠責・任意保険との調整が必要になります。
一般的には、会社が任意保険に入っていなかったことだけで、従業員が当然に全額負担するわけではありません。会社には事業活動に伴う事故リスクを保険などで分散する立場があり、保険未加入は会社側のリスク管理不足として評価される場合があります。
一般的には、そうとは限りません。相手方との過失割合は交通事故当事者間の責任を示すもので、会社と従業員の内部負担では、業務性、会社の利益、保険、安全管理、労働条件などを別途考慮します。
公的資料、法令、最高裁判例、制度資料を中心に整理しています。