2σ Guide

道路交通法で定められた
事故時の義務とは

交通事故直後に求められる停止、救護、危険防止、警察報告を、道路交通法72条、警察実務、救急医療、保険・事故証明の観点から整理します。

4つ 事故直後の義務
72条 中心となる条文
35点 ひき逃げの基礎点数
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道路交通法で定められた 事故時の義務とは

交通事故 直後に求められる停止、救護、危険防止、警察報告を、道路交通法72条、警察実務、救急医療、保険・事故証明の観点から整理します。

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道路交通法で定められた 事故時の義務とは
交通事故 直後に求められる停止、救護、危険防止、警察報告を、道路交通法72条、警察実務、救急医療、保険・事故証明の観点から整理します。
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  • 道路交通法で定められた 事故時の義務とは
  • 交通事故 直後に求められる停止、救護、危険防止、警察報告を、道路交通法72条、警察実務、救急医療、保険・事故証明の観点から整理します。

POINT 1

  • 道路交通法で定められた事故時の義務とは何か
  • 事故が起きたら、止まる。救護する。危険を防ぐ。警察へ報告する。
  • 直ちに停止する
  • 負傷者を救護する
  • 危険を防止する
  • 停止、救護、危険防止、警察報告の4つを、事故直後の実務として整理します。

POINT 2

  • 道路交通法72条の事故時義務 ― 前段と後段の構造
  • 停止・救護・危険防止と、警察官への報告を分けて確認します。
  • 警察へ報告する内容
  • 道路交通法72条1項は、事故時の措置を前段と後段に分けて定めています。
  • 前段は停止、救護、危険防止など必要な措置を講じる義務であり、後段は警察官への報告義務です。

POINT 3

  • 道路交通法上の交通事故と義務を負う人
  • 物損、自転車、非接触事故、被害者側運転者でも注意が必要です。
  • 物損事故
  • 自転車事故
  • 非接触事故

POINT 4

  • 道路交通法の事故時義務を現場でどう果たすか
  • 1. 直ちに停止する:事故に気付いたら安全に停止し、現場と負傷者の状況を確認します。
  • 2. 負傷者を救護する:意識、呼吸、出血、痛み、歩行可否を確認し、必要に応じて119番通報をします。
  • 3. 道路上の危険を防ぐ:ハザード、発炎筒、停止表示器材、退避、散乱物や油漏れの確認を行います。
  • 4. 警察へ報告する:日時、場所、死傷者、損壊物、積載物、講じた措置を説明します。
  • 5. 安全を妨げない範囲で記録する:写真、映像、目撃者、相手方情報、ドラレコを保全します。

POINT 5

  • 警察への報告と交通事故証明書の実務
  • 1. 110番などで警察へ報告:現場の場所、死傷者、損壊物、講じた措置などを伝えます。
  • 2. 警察・救急の指示に従う:交通整理、車両移動、破片回収、実況見分、聞き取りなどは安全確保と証拠保全に関係します。
  • 3. 交通事故証明書の入口を作る:交通事故証明書は、警察に届出された資料をもとに発行される重要書類です。
  • 4. 保険・治療・損害賠償へつなげる:診断書、修理見積、休業資料、通院記録、事故状況資料と合わせて手続を進めます。

POINT 6

  • 道路交通法の事故時義務に違反した場合の責任
  • 刑事責任、行政処分、民事・保険実務への影響を分けて確認します。
  • 事故時の義務違反は、単なる民事上の過失割合問題ではなく、刑事責任、行政処分、民事賠償、保険実務へ影響し得ます。
  • 各行で、問題になる内容と注意点を読み取ってください。
  • 次の横棒グラフは、行政処分で代表的に説明される点数の重さを比較するものです。

POINT 7

  • 道路交通法の事故時義務でよくある誤解
  • 相手が悪い事故
  • 事故原因が相手にあるように見えても、事故時義務は別に発生し得ます。
  • 物損だけに見える事故
  • けががないように見える物損事故でも、警察への届出や危険防止が必要になることがあります。

POINT 8

  • 道路交通法の事故時義務を専門職別に見る
  • 警察、救急、医療、法律、保険、鑑定、福祉の出発点になります。
  • 警察報告は、義務であると同時に補償手続の土台です
  • 交通事故は、現場対応、医療、法律、保険、工学、福祉・生活再建が重なる複合領域です。
  • 道路交通法72条の義務は、各分野の出発点となり、後日の事故処理や補償にも影響します。

まとめ

  • 道路交通法で定められた 事故時の義務とは
  • 道路交通法72条の事故時義務 ― 前段と後段の構造:停止・救護・危険防止と、警察官への報告を分けて確認します。
  • 道路交通法上の交通事故と義務を負う人:物損、自転車、非接触事故、被害者側運転者でも注意が必要です。
  • 道路交通法の事故時義務を現場でどう果たすか:停止、救護、危険防止、報告を、優先順位に沿って動かします。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

道路交通法で定められた事故時の義務とは何か

停止、救護、危険防止、警察報告の4つを、事故直後の実務として整理します。

道路交通法で定められた事故時の義務とは、交通事故が発生したときに、事故に関係する車両等の運転者その他の乗務員が、直ちに停止し、負傷者を救護し、道路上の危険を防止し、警察官へ事故内容を報告する義務です。中心となる条文は道路交通法72条1項です。

この重要ポイントは、事故直後に最初に行う4つの行動を表しています。なぜ重要かというと、相手が悪い、損傷が軽い、相手が大丈夫と言った、物損だけに見えるといった事情があっても、道路交通法上の義務が消えるとは限らないためです。上から順に、命、安全、記録、後日の手続へのつながりを読み取ってください。

事故が起きたら、止まる。救護する。危険を防ぐ。警察へ報告する。

この4点は、過失割合や加害者・被害者という民事上の立場とは別に、事故直後の出発点になります。

次の一覧は、事故時義務の4本柱を現場行動として分けたものです。なぜ重要かというと、通報や写真撮影だけでは、救護や危険防止の義務を尽くしたことにならない場面があるからです。各項目で、何を確認し、何につながるかを読み取ってください。

STOP

直ちに停止する

事故に気付いたら安全に停止し、現場と負傷者の状況を確認します。遠方へ離れる対応は危険です。

RESCUE

負傷者を救護する

負傷の有無を確認し、必要に応じて119番通報を行い、救急隊到着まで安全確保を行います。

SAFETY

危険を防止する

ハザード、発炎筒、停止表示器材、安全な退避、散乱物や油漏れの確認などで二次事故を防ぎます。

REPORT

警察へ報告する

日時、場所、死傷者、損壊物、積載物、講じた措置などを警察官へ報告します。

基本保険会社への連絡、当事者間の話し合い、名刺交換、現場での示談は、警察官への報告の代わりにはなりません。
Section 01

道路交通法72条の事故時義務 ― 前段と後段の構造

停止・救護・危険防止と、警察官への報告を分けて確認します。

道路交通法72条1項は、事故時の措置を前段と後段に分けて定めています。前段は停止、救護、危険防止など必要な措置を講じる義務であり、後段は警察官への報告義務です。どちらも事故直後に重要です。

次の比較表は、72条1項の前段と後段を実務上の行動に分けたものです。なぜ重要かというと、停止しただけ、通報しただけ、相手と連絡先を交換しただけでは、必要な対応が不足することがあるためです。列ごとに、義務の内容、現場での行動、注意点を読み取ってください。

区分義務の内容現場での行動注意点
前段直ちに停止し、負傷者を救護し、道路上の危険を防止するため必要な措置を講じる義務停止、負傷確認、119番、退避、表示器材、散乱物確認単なる一時停止では足りず、状況に応じた継続対応が必要になることがあります。
後段事故の発生日時、場所、死傷者、損壊物、積載物、講じた措置などを警察官へ報告する義務110番、警察署・交番・駐在所への報告、現場での説明保険会社、勤務先、家族、修理工場への連絡では代替できません。

警察へ報告する内容

次の比較表は、警察官へ報告する主な事項と、実務上何を意味するかを整理したものです。なぜ重要かというと、報告内容は交通事故証明書、実況見分、保険実務、後日の損害立証の入口になるためです。各行で、何を伝えるべきかを確認してください。

報告事項実務上の意味現場での確認例
事故発生の日時事故の特定に使われます。何月何日、何時何分頃かを確認します。
事故発生の場所実況見分や事故証明の基礎になります。道路名、交差点名、住所、進行方向、車線を確認します。
死傷者の数救急対応と人身事故処理の入口になります。けが人、死亡者の有無と人数を確認します。
負傷の程度救急搬送や医療機関受診の判断に関係します。意識、出血、痛み、歩行可否、しびれを確認します。
損壊物と程度物損、道路管理、事故態様の記録になります。車両、標識、ガードレール、建物、積載物を確認します。
積載物荷崩れ、危険物、散乱物の有無に関係します。危険物、油、積荷、破片の状態を確認します。
講じた措置救護・危険防止の履行状況を説明します。救急要請、負傷者保護、車両移動、発炎筒、通行規制を整理します。
Section 02

道路交通法上の交通事故と義務を負う人

物損、自転車、非接触事故、被害者側運転者でも注意が必要です。

道路交通法上の交通事故は、人身事故だけを意味しません。車両等の交通による人の死傷や物の損壊が中心であり、物損事故、単独事故、自転車事故、非接触で相手が転倒した事故も、要件を満たせば交通事故に当たり得ます。

次の一覧は、事故時義務が問題になりやすい場面を整理したものです。なぜ重要かというと、「ぶつかっていない」「自動車ではない」「物損だけ」と考えて現場を離れると、後から法的・保険上の問題が大きくなる可能性があるからです。各項目で、届出や救護が必要になり得る理由を読み取ってください。

PROPERTY

物損事故

負傷者がいないように見えても、停止、危険防止、警察への報告は別問題です。標識やガードレールの損壊も含まれます。

BICYCLE

自転車事故

自転車は軽車両として扱われる場面があり、自転車同士や歩行者との事故でも義務が問題になります。

NO CONTACT

非接触事故

急な接近や進路変更で相手が急ブレーキや転倒をした場合、接触がなくても交通事故となる可能性があります。

DRIVER

義務を負う人

加害者と評価される側だけでなく、事故に関係した車両等の運転者も義務主体となる場面があります。

「自分は被害者だから何もしなくてよい」とは限りません。事故に関係した運転者等として、停止、負傷確認、危険防止、警察報告を行う必要がある場面があります。一般同乗者や目撃者も、人命救助や119番・110番への協力が被害拡大防止に直結することがあります。

注意相手が「大丈夫」と言って立ち去った場合でも、負傷の有無を外見だけで判断できないことがあります。警察へ事故を報告し、必要な医療確認につなげることが重要です。
Section 03

道路交通法の事故時義務を現場でどう果たすか

停止、救護、危険防止、報告を、優先順位に沿って動かします。

事故時義務は、頭の中で条文を唱えるためではなく、現場の危険を減らし、負傷者を医療につなぎ、事故処理を正確にするための行動順序です。負傷者の重症度、火災や燃料漏れ、交通量、道路形状、夜間や悪天候によって優先順位を調整します。

次の判断の流れは、事故発生直後に行う標準的な順序を示しています。なぜ重要かというと、写真撮影や保険会社への電話を先にしてしまうと、救護や危険防止が遅れるおそれがあるからです。上から順に、安全、救護、通報、記録、保険・医療へ進む流れを確認してください。

事故直後の標準的な順序

直ちに停止する

事故に気付いたら安全に停止し、現場と負傷者の状況を確認します。

負傷者を救護する

意識、呼吸、出血、痛み、歩行可否を確認し、必要に応じて119番通報をします。

道路上の危険を防ぐ

ハザード、発炎筒、停止表示器材、退避、散乱物や油漏れの確認を行います。

警察へ報告する

日時、場所、死傷者、損壊物、積載物、講じた措置を説明します。

安全を妨げない範囲で記録する

写真、映像、目撃者、相手方情報、ドラレコを保全します。

救護義務と119番通報

次の比較表は、負傷者がいる、または負傷の可能性が否定できない場合の優先順位を整理したものです。なぜ重要かというと、外見上軽い事故でも、頭部外傷、むち打ち、内出血、骨折、靱帯損傷、PTSDなどが時間差で明らかになることがあるためです。左から優先順位、行動、注意点の順に確認してください。

優先順位対応注意点
1自分と周囲の安全確保後続車、火災、燃料漏れ、転落危険を確認します。
2負傷者の意識・呼吸・出血の確認無理に動かすと悪化する場合があります。
3119番通報場所、事故態様、負傷者数、意識・呼吸の有無を伝えます。
4指令員の指示に従う心肺蘇生、止血、体位保持などは指示に従います。
5救急隊へ情報提供発生時刻、症状変化、行った応急手当を伝えます。

高速道路や危険な道路上での対応

次の一覧は、二次事故の危険が高い場面で優先したい措置を示しています。なぜ重要かというと、高速道路や交通量の多い道路では、停止車両付近にとどまること自体が危険になるためです。各項目で、自分と同乗者の退避、後続車への注意喚起、通報の順序を確認してください。

1

追突防止

発炎筒、停止表示板、停止表示灯などで後続車へ知らせます。無理に車線内で作業しないようにします。

二次事故
2

安全な退避

運転者や同乗者は、状況に応じてガードレール外側など安全な場所へ移動します。

退避
3

通報と連携

110番、非常電話、道路管理者、消防、レッカー、ロードサービスと必要に応じて連携します。

通報

危険防止措置は、負傷者救護と矛盾する形で行ってはいけません。負傷者を放置して車両損傷の確認や保険会社への電話を優先することは避ける必要があります。一方で、車道上での救護が二次事故の危険を高める場合は、救急や警察の指示を受けつつ安全な位置で対応します。

Section 04

警察への報告と交通事故証明書の実務

事故証明、保険、医療、損害賠償の入口を作ります。

警察への報告は、事故の客観的把握、二次事故防止、負傷者救護、交通規制、実況見分、刑事手続、行政処分、交通事故証明書、保険実務の基礎になります。届出がないと、後から事故の存在、日時、場所、当事者、事故態様を証明しにくくなります。

次の時系列は、警察報告から後日の手続につながる順番を示しています。なぜ重要かというと、現場で警察へ報告しない判断が、保険金請求や人身事故処理、損害立証まで影響することがあるためです。上から順に、報告、記録、証明、保険・賠償へのつながりを読み取ってください。

事故直後

110番などで警察へ報告

現場の場所、死傷者、損壊物、講じた措置などを伝えます。相手が立ち去った場合でも報告が重要です。

現場対応

警察・救急の指示に従う

交通整理、車両移動、破片回収、実況見分、聞き取りなどは安全確保と証拠保全に関係します。

手続

交通事故証明書の入口を作る

交通事故証明書は、警察に届出された資料をもとに発行される重要書類です。

後日

保険・治療・損害賠償へつなげる

診断書、修理見積、休業資料、通院記録、事故状況資料と合わせて手続を進めます。

次の比較表は、保険会社への連絡と警察報告の違いを整理したものです。なぜ重要かというと、どちらも必要な場面がありますが、役割が違い、片方で片方を代替できないためです。左から連絡先、目的、代替できない理由を確認してください。

連絡先目的代替できない理由
警察事故報告、現場確認、危険防止、事故記録、交通事故証明書の入口道路交通法上の報告義務の相手方です。
保険会社保険契約上の事故通知、支払調査、相手方対応、修理や治療費の相談保険実務上重要ですが、警察官への報告ではありません。
勤務先・家族業務、通勤、生活面の連絡や支援現場の安全確保や事故証明の入口にはなりません。
修理工場・ロードサービス車両の搬送、修理、保管、見積交通事故の公的記録を作る機関ではありません。

現場保持は、負傷者救護や危険防止より優先される絶対目的ではありません。車両や破片を動かさないことが二次事故を招く場合は安全確保を優先し、移動前後の写真、動画、メモ、ドライブレコーダー、目撃者情報で位置関係を残します。

Section 05

道路交通法の事故時義務に違反した場合の責任

刑事責任、行政処分、民事・保険実務への影響を分けて確認します。

事故時の義務違反は、単なる民事上の過失割合問題ではなく、刑事責任、行政処分、民事賠償、保険実務へ影響し得ます。実際の責任は、事故態様、負傷結果、救護の有無、報告の有無、飲酒・無免許・速度超過・信号無視、証拠隠滅行為、示談状況などによって大きく変わります。

次の比較表は、事故時義務違反で問題になり得る主な責任を整理したものです。なぜ重要かというと、刑事処分、行政処分、民事賠償、保険実務は別系統で動き、どれか一つの結果が他を自動的に決めるわけではないためです。各行で、問題になる内容と注意点を読み取ってください。

区分主な内容注意点
刑事責任停止、救護、危険防止、報告を怠った場合に道路交通法上の罰則が問題になります。人を死傷させた運転行為自体については、自動車運転死傷処罰法も別途問題になり得ます。
行政処分ひき逃げやあて逃げ、人身事故の治療期間などに応じて免許の点数や停止・取消しが問題になります。刑事事件が不起訴でも行政処分が問題になることがあります。
民事責任損害賠償、慰謝料、過失相殺、被害者感情、示談交渉に影響することがあります。事故後の対応は、事故原因そのものの過失割合とは別に重く受け止められることがあります。
保険実務事故証明書がない、事故態様が確認しにくい、医療経過との因果関係が争われるなどの問題が生じ得ます。届出不足は、後日の保険金請求や損害確認を難しくします。

次の横棒グラフは、行政処分で代表的に説明される点数の重さを比較するものです。なぜ重要かというと、ひき逃げと物件事故での措置義務違反では、免許への影響が大きく異なるためです。棒の長さは点数の大きさ、右端の数字は基礎点数または加算点数の目安を示します。

ひき逃げ
35点
あて逃げ
5点
点数制度は累積方式です。実際の処分は事故態様や他の違反、前歴などで変わります。

刑事責任については、現行法の表記に合わせて拘禁刑という用語が使われる場面があります。過去の資料や古い解説では懲役と表記されていることがあるため、資料の時点と法令表記を確認することが大切です。

Section 06

道路交通法の事故時義務でよくある誤解

相手の過失、物損、相手の大丈夫、保険会社への連絡で義務は消えません。

事故時義務で危険なのは、「この程度なら大丈夫だろう」という自己判断です。相手が悪い事故、物損だけに見える事故、相手が先に立ち去った事故、非接触事故でも、停止、救護、危険防止、警察報告が必要になることがあります。

次の一覧は、事故現場で起こりやすい誤解と落とし穴を示しています。なぜ重要かというと、誤解に基づく現場離脱や通報しない判断が、後の刑事・行政・民事・保険実務に広く影響するためです。各項目で、何をすべきではないか、何を確認すべきかを読み取ってください。

相手が悪い事故

事故原因が相手にあるように見えても、事故時義務は別に発生し得ます。一方的な判断で離れないことが重要です。

物損だけに見える事故

けががないように見える物損事故でも、警察への届出や危険防止が必要になることがあります。

相手が大丈夫と言った場面

負傷の有無は外見だけでは判断できません。後から痛みが出ることがあり、警察報告と医療確認が重要です。

相手が立ち去った場面

相手が先に離れても、自分側の報告義務が当然に消えるわけではありません。警察へ状況を伝えます。

保険会社へ電話した場面

保険会社への連絡は重要ですが、道路交通法上の警察報告の代わりではありません。

接触していない場面

非接触でも、車両等の交通が相手の転倒や物損を引き起こした可能性があれば、交通事故として扱われることがあります。

次の比較表は、事故類型ごとの注意点を整理したものです。なぜ重要かというと、自動車同士、歩行者・自転車、子ども、高齢者、社用車、死亡事故では、同じ義務でも確認すべき危険が違うためです。各行で、特に見落としやすい点を確認してください。

事故類型注意点確認する行動
自動車同士エアバッグ展開、走行不能、油漏れ、車線閉塞、むち打ちや腰部痛の遅発警察報告、負傷確認、必要な受診
歩行者・自転車身体防護が弱く、頭部外傷、骨折、内出血、高齢者の転倒骨折が生じやすい119番検討、警察報告、相手の状態確認
子ども恐怖や動揺でけがを隠すことがあります。警察報告、保護者への連絡、医療確認
高齢者骨折、頭部外傷、抗凝固薬による出血リスク、症状説明困難が問題になります。救急要請や受診判断を慎重に行います。
社用車・業務中会社報告、労災、運行管理、安全運転管理が関係します。ただし会社連絡より先に、停止、救護、危険防止、警察報告です。
死亡事故刑事責任、遺族感情、損害賠償、相続実務へ重大な影響があります。救護可能性が少しでもある場合、救急要請と応急対応を尽くします。
Section 07

道路交通法の事故時義務を専門職別に見る

警察、救急、医療、法律、保険、鑑定、福祉の出発点になります。

交通事故は、現場対応、医療、法律、保険、工学、福祉・生活再建が重なる複合領域です。道路交通法72条の義務は、各分野の出発点となり、後日の事故処理や補償にも影響します。

次の比較表は、事故時義務が各専門職の実務にどうつながるかを示しています。なぜ重要かというと、現場での停止、救護、報告が、医療記録、保険調査、事故鑑定、生活再建資料まで連鎖するためです。分野ごとに、何を担い、どの資料につながるかを読み取ってください。

分野主な役割事故時義務との関係
警察・交通捜査事故受付、現場確認、交通規制、実況見分、供述聴取、証拠収集停止、救護、報告の履行状況が、ひき逃げ、あて逃げ、事故不申告などの捜査に関係します。
救急・消防緊急度判断、応急処置、搬送先選定、医療機関への情報提供119番通報時の場所、負傷者数、意識・呼吸、火災や漏油の有無が活動の質を左右します。
医療外傷、神経症状、画像所見、後遺障害の可能性を評価受診遅れは、症状と事故との因果関係をめぐる争いを生じさせることがあります。
法律刑事事件、民事損害賠償、示談交渉、行政処分争訟への整理事故後の行動は、必要措置を臨機に講じたかという観点から評価されます。
保険・損害調査事故証明書、事故状況、損害写真、診断書、通院経過、過失資料の確認警察届出がない事故では、事故発生の客観的確認が難しくなります。
鑑定・車両技術衝突速度、衝突角度、制動開始地点、視認可能性、車両損傷を分析現場が適切に保全され、警察へ報告されることが鑑定の信頼性を高めます。
労務・福祉・心理労災、休業補償、障害年金、復職支援、心理支援業務中・通勤中事故、重度後遺障害、高次脳機能障害、PTSDなどで関与します。

次の重要ポイントは、交通事故証明書と届出が後日の補償にどう関係するかをまとめています。なぜ重要かというと、事故時義務は罰則のためだけでなく、補償を受けるための入口にもなるからです。届出、証明、医療、保険、労災のつながりを確認してください。

警察報告は、義務であると同時に補償手続の土台です

交通事故証明書は、保険金請求、損害賠償、後遺障害認定、労災、休業損害、各種支援制度で必要になることがあります。

Section 08

道路交通法の事故時義務チェックリスト

事故現場で混乱したときに、順番に確認する項目です。

事故現場では、感情的なやり取りや保険会社への連絡よりも、まず安全、救護、危険防止、警察報告を優先します。以下の項目は、現場で順番に確認するための実務チェックです。

次の一覧は、事故時義務を現場で確認するためのチェック項目を整理したものです。なぜ重要かというと、現場で一つでも抜けると、人命、安全、事故証明、保険、医療、損害立証に影響することがあるためです。各項目を、済んだかどうかではなく、何のために必要かまで読み取ってください。

1

停止と安全確保

車両を停止し、自分と同乗者、相手方、歩行者、自転車の安全を確認します。

停止
2

負傷確認と119番

意識、呼吸、出血、痛み、しびれ、歩行可否を確認し、必要に応じて119番通報をします。

救護
3

二次事故防止

ハザード、発炎筒、停止表示器材、退避、散乱物や油漏れの確認を行います。

危険防止
4

警察報告

110番などで警察へ報告し、相手が大丈夫と言った場合や先に立ち去った場合でも状況を説明します。

報告
5

安全な範囲の記録

ドライブレコーダー、写真、目撃者情報、相手方情報を、救護や通報を妨げない範囲で確保します。

記録
6

医療・保険・勤務先

医療機関受診、診断書取得、保険会社、勤務先、家族への連絡を進めます。

後日対応
順番負傷者がいるのに撮影を優先する行動は問題になり得ます。記録作業は、救護、危険防止、警察報告を妨げない範囲で行います。
Section 09

道路交通法の事故時義務が重要な政策背景

事故件数や重傷者数を見ると、救護と二次事故防止の重要性が残っています。

事故時義務は、単なる罰則規定ではありません。現場の数分間で生命・身体・財産の被害を最小化し、交通秩序を回復し、正確な事故処理を可能にするための制度的な土台です。

次の棒グラフは、警察庁が公表した令和7年の交通事故発生状況に含まれる死者数と重傷者数を、規模感として比較するものです。なぜ重要かというと、死者数が減少しても重傷者が多数いる状況では、事故直後の救護、迅速な救急搬送、二次事故防止、医療接続の重要性が高いままだからです。棒の高さは人数の規模を表し、数字は人数を示します。

2,547人
死者数
27,563人
重傷者数
278人増
重傷者前年比

事故現場で、止まる、救護する、危険を防ぐ、警察へ報告するという4点を徹底することは、道路交通法の要請であり、警察、救急、医療、法律、保険、福祉の各分野が共有する実務の出発点です。

Section 10

道路交通法の事故時義務のよくある質問

一般的な制度説明として、個別判断に踏み込みすぎない形で整理します。

相手が悪い事故でも救護や報告は必要ですか

一般的には、事故の過失割合と道路交通法72条の義務は別に考えられます。相手方の飛び出しや信号無視が主な原因に見える場合でも、事故に関係した運転者等として停止、救護、危険防止、警察報告が必要になる可能性があります。具体的な評価は事故態様や証拠関係で変わります。

物損だけなら警察を呼ばなくてもよいですか

一般的には、物損交通事故でも警察への届出が必要とされています。負傷者がいないように見える場合でも、停止、危険防止、報告の問題は残ります。具体的な対応は現場状況によって変わるため、安全確保のうえで警察へ状況を伝えることが重要です。

相手が大丈夫と言って帰った場合はどう考えますか

一般的には、交通事故直後の負傷は外見や本人の発言だけでは判断しにくいとされています。後から痛みや症状が出ることもあるため、相手が大丈夫と言った場合でも、事故状況を警察へ報告し、必要に応じて医療機関につなげることが重要です。

保険会社に連絡すれば警察報告の代わりになりますか

一般的には、保険会社への連絡は保険契約上・実務上重要ですが、道路交通法上の警察官への報告義務とは別です。交通事故証明書や事故状況の客観的確認にも関係するため、警察への報告を省略できるとは考えない方が安全です。

接触していない場合も事故になりますか

一般的には、直接接触がなくても、車両等の交通が相手の急ブレーキ、転倒、物損などを引き起こした場合、交通事故として扱われる可能性があります。因果関係や事故態様によって判断が変わるため、現場を離れず警察へ状況を説明することが重要です。

事故後に車両を動かしてはいけませんか

一般的には、現場の位置関係を残すことは重要ですが、車両や破片を動かさないことが二次事故を招く場合には、安全確保が優先されます。動かした場合は、可能な範囲で写真、動画、メモ、目撃者情報などにより移動前の状況を記録します。

Reference

道路交通法の事故時義務の参考資料

法令・裁判所資料

  • e-Gov法令検索「道路交通法」
  • 最高裁判所第二小法廷 令和7年2月7日判決

警察・消防・医療関連資料

  • 大阪府警察「交通事故を起こしたら」
  • 高知県警察「交通事故で救護義務違反として処罰されないために」
  • 愛知県警察「交通事故に関すること」
  • 総務省消防庁「119番緊急通報」
  • 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
  • 警察庁「高速道路」
  • 警察庁「交通事故の発生状況等について」

事故証明・行政処分資料

  • 自動車安全運転センター「交通事故に関する証明書 申請方法」
  • 国土交通省「交通事故にあったときには」
  • 警視庁「点数計算の原則」
  • 警視庁「交通事故の付加点数」