2σ Guide

死亡事故の
逸失利益の計算で
裁判と保険会社の
金額差が
生まれる理由

同じ計算式に見えても、基礎収入、
生活費控除率、就労可能年数、
事故日の法定利率、証拠の厚みが変わると、
死亡事故の逸失利益は
大きく変わります。

3000万 自賠責限度
2324万 モデル差額
3% 法定利率
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

死亡事故の 逸失利益の計算で 裁判と保険会社の 金額差が生まれる理由

同じ計算式に見えても、基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日の法定利率、証拠の厚みが変わると、死亡事故の逸失利益は 大きく変わります。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
死亡事故の 逸失利益の計算で 裁判と保険会社の 金額差が
生まれる理由
同じ計算式に見えても、基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日の法定利率、証拠の厚みが変わると、死亡事故の逸失利益は 大きく変わります。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 死亡事故の 逸失利益の計算で 裁判と保険会社の 金額差が生まれる理由
  • 同じ計算式に見えても、基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日の法定利率、証拠の厚みが変わると、死亡事故の逸失利益は 大きく変わります。

POINT 1

  • 死亡事故の逸失利益の計算で裁判と保険会社の金額差が出る全体像
  • まず、差が生まれる理由を制度、証拠、計算前提に分けて整理します。
  • 死亡事故の逸失利益の差は、数式ではなく入力値の差から生まれます
  • 交通事故の死亡事案で遺族が戸惑いやすいのは、保険会社の提示額と、裁判で語られる損害額が大きく違って見えることです。
  • 逸失利益は数式で計算できるように見えるため、同じ事故なのになぜ差が出るのかという疑問が生まれます。

POINT 2

  • 死亡事故の逸失利益の計算式と用語を押さえる
  • 計算式は単純でも、各項目の意味を誤ると比較が崩れます。
  • 次の用語一覧は、計算式に入る各項目が何を意味するかを表しています。
  • 自賠責支払基準では、死亡逸失利益は年間収入等から本人生活費を控除し、就労可能年数に対応する係数を掛ける構造です。
  • 有職者、35歳未満、収入立証が困難な人、学生、家事従事者などで、基礎収入の置き方が変わります。

POINT 3

  • 死亡事故の逸失利益で保険会社と裁判をそのまま比べてはいけない理由
  • 自賠責、任意保険、人身傷害、裁判の数字が混ざると、正しい比較になりません。
  • 自賠責保険
  • 任意保険の提示
  • 裁判の認定

POINT 4

  • 死亡事故の逸失利益の金額差を生む7つの争点
  • 基礎収入
  • 生活費控除率
  • 就労可能年数
  • 事故日と法定利率
  • 自賠責の限度額
  • 証拠の厚み
  • 総額での評価
  • 差額の原因を、基礎収入から既払金の控除まで分解します。

POINT 5

  • 死亡事故の逸失利益の金額差を数字で見る
  • モデル計算を使って、どの程度の差が生じるかを確認します。
  • モデルA ― 35歳会社員、年収600万円、配偶者と子2人、事故日2026年
  • モデルB ― 67歳家事従事者、年金受給あり
  • モデルC ― 事故日だけが違う場合

POINT 6

  • 死亡事故の逸失利益で裁判例が示す実務感覚
  • 専業主婦、年少者、大学生の例から、現在収入だけでは決まらないことを確認します。
  • 裁判例を見ると、死亡事故の逸失利益は「現在の収入があるか」だけで決まるものではありません。
  • 家事労働、将来の学歴見込み、就労開始時期、生活費控除率などが具体的に評価されます。
  • 専業主婦だから逸失利益がゼロになるわけではありません。

POINT 7

  • 死亡事故の逸失利益で遺族が確認すべき順番
  • 1. 1. 数字の種類を確認:自賠責、任意保険、人身傷害、裁判想定額のどれかを分けます。
  • 2. 2. 事故日を確認:2020年4月1日前後で法定利率が異なり、2026年事故は年3%です。
  • 3. 3. 基礎収入の根拠を確認:源泉徴収票、確定申告、賃金センサス、学歴、家事労働、年金を点検します。
  • 4. 4. 生活費控除率を確認:扶養の有無、家族構成、家計内役割から、なぜその率なのかを見ます。
  • 5. 5. 自賠責限度額と総損害額を分ける:3,000万円は支払限度額であり、損害額全体の上限ではありません。
  • 6. 6. 証拠で補強できる点を整理:不足資料を確認し、個別の見通しは専門家に相談する必要があります。

POINT 8

  • 死亡事故の逸失利益の計算差を再現可能な論点として見る
  • 保険会社の金額が低いか高いかだけでなく、どの前提が違うかを確認します。
  • 自賠責は国の公開基準に従う制度的支払です。
  • 任意保険会社の初回提示は、その公開基準や立証状況を意識した保守的整理になりやすい場面があります。
  • 次の最終確認一覧は、死亡事故の逸失利益の提示額を見るときに最後に点検すべき項目を表しています。

まとめ

  • 死亡事故の 逸失利益の計算で 裁判と保険会社の 金額差が
  • 死亡事故の逸失利益の計算で裁判と保険会社の金額差が出る全体像:まず、差が生まれる理由を制度、証拠、計算前提に分けて整理します。
  • 死亡事故の逸失利益の計算式と用語を押さえる:計算式は単純でも、各項目の意味を誤ると比較が崩れます。
  • 死亡事故の逸失利益で保険会社と裁判をそのまま比べてはいけない理由:自賠責、任意保険、人身傷害、裁判の数字が混ざると、正しい比較になりません。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

死亡事故の逸失利益の計算で裁判と保険会社の金額差が出る全体像

まず、差が生まれる理由を制度、証拠、計算前提に分けて整理します。

交通事故の死亡事案で遺族が戸惑いやすいのは、保険会社の提示額と、裁判で語られる損害額が大きく違って見えることです。逸失利益は数式で計算できるように見えるため、同じ事故なのになぜ差が出るのかという疑問が生まれます。

結論は、同じ式を使っているように見えても、前提となる基準、証拠、評価方法、支払構造が異なるという点にあります。自賠責保険は公開基準による基礎補償、任意保険会社の初回提示は立証状況を踏まえた実務上の整理、裁判は証拠に基づく損害賠償額の認定です。

次の強調表示は、このページ全体の結論を一文に圧縮したものです。死亡事故の逸失利益を見るうえで重要なのは、提示額の高低だけでなく、どの前提が変わったために差が出たのかを読み取ることです。

死亡事故の逸失利益の差は、数式ではなく入力値の差から生まれます

基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日、年金や家事労働の扱い、証拠の厚みを分解すると、保険会社提示と裁判実務の差を再現可能な論点として理解できます。

次の比較表は、死亡事故の逸失利益を検討するときに混同しやすい3つの層を表しています。どの層の金額なのかを区別することが重要で、読者は「保険金の支払額」と「損害賠償額の認定」が同じものではない点を読み取ってください。

比較する層性格金額差につながる理由
自賠責保険公開基準に従う基礎補償死亡による損害は被害者1人につき3,000万円の限度額があり、迅速・公平な支払を重視します。
任意保険の提示自賠責の上積みを含む実務上の提示初回提示では、提出済み資料の範囲で保守的に計算されやすい場面があります。
裁判の認定個別事情に基づく損害額の認定学歴、職歴、家族構成、年金、家事労働、法定利率などを証拠で精査します。
注意このページは一般的な制度説明です。過失相殺、既払金、相続関係、事故日、提出資料によって結論は変わるため、個別の見通しは資料を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 01

死亡事故の逸失利益の計算式と用語を押さえる

計算式は単純でも、各項目の意味を誤ると比較が崩れます。

死亡事故における逸失利益とは、被害者が死亡しなければ将来得られたはずの収入から、被害者自身が生活のために消費したであろう部分を差し引き、将来分を一時金で受け取ることに伴う中間利息控除をした損害です。

基本式死亡逸失利益 = 基礎収入 × (1 − 生活費控除率) × ライプニッツ係数

次の用語一覧は、計算式に入る各項目が何を意味するかを表しています。どの項目の認定が変わると金額が動くのかを理解するために重要で、読者は「式」ではなく「式に入れる前提」を確認する視点を読み取ってください。

用語意味争点になりやすい点
基礎収入事故がなければ得られたと評価される年収の土台です。実収入、賃金センサス、学歴別平均、家事労働評価、年金のどれを使うかが問題になります。
生活費控除率被害者本人が自分のために使ったであろう生活費を差し引く割合です。扶養の有無、家族構成、家計内の役割により、30%、35%、45%、50%などの違いが出ます。
就労可能年数何歳まで収入を得られたとみるかという期間評価です。67歳までを基本にしつつ、大学卒業時からの開始、高齢者の平均余命、年金部分の評価が問題になります。
ライプニッツ係数将来のお金を現在価値に引き直す係数です。事故日の法定利率が5%か3%かで、中間利息控除の大きさが変わります。

自賠責支払基準では、死亡逸失利益は年間収入等から本人生活費を控除し、就労可能年数に対応する係数を掛ける構造です。有職者、35歳未満、収入立証が困難な人、学生、家事従事者などで、基礎収入の置き方が変わります。

生活費の立証が困難な場合、自賠責基準では被扶養者あり35%、被扶養者なし50%という整理が示されています。一方で裁判では、個別事情を踏まえて30%や45%など異なる率が採用されることがあります。

Section 02

死亡事故の逸失利益で保険会社と裁判をそのまま比べてはいけない理由

自賠責、任意保険、人身傷害、裁判の数字が混ざると、正しい比較になりません。

一般に「保険会社の金額」と言われる数字には、自賠責保険の支払額、任意保険会社の対人賠償実務上の提示額、被害者側の人身傷害保険の金額が混ざることがあります。まず、その数字がどの保険の、どの局面のものかを確認する必要があります。

次の比較一覧は、自賠責保険、任意保険、裁判の役割の違いを表しています。死亡事故の逸失利益を正しく見るうえで重要なのは、左から順に「制度上の支払」「上積みを含む提示」「損害額の認定」と性格が変わる点を読み取ることです。

Jibaiseki

自賠責保険

死亡による損害の限度額は被害者1人につき3,000万円です。葬儀費、逸失利益、本人および遺族の慰謝料が対象ですが、制度的な基礎補償としての性格が強く、個別事情を徹底的に積み上げる構造ではありません。

Voluntary

任意保険の提示

対人賠償責任保険は、自賠責保険の超過部分を支払う役割を持ちます。一括払実務では自賠責部分を含む一つの提示に見えることがあり、提出資料が少ない段階では保守的な整理になりやすいことがあります。

Court

裁判の認定

裁判所は保険会社の内部基準を追認するのではなく、証拠、統計、生活実態、扶養状況、就労可能性、事故日、法定利率などから、その事案の損害賠償額を認定します。

次の比較表は、死亡事故の逸失利益を計算するときに、保険会社の初期整理と裁判で検討されやすい点の違いを表しています。どの列の考え方が使われているかを確認することが重要で、読者は「低いか高いか」ではなく「どの前提が採用されたか」を読み取ってください。

論点保険会社の初期整理で見られやすい方向裁判で検討される方向
基礎収入直近年収や提出済み資料を起点にする学歴、職歴、企業規模、昇進可能性、家事労働、年金を精査する
生活費控除率自賠責基準や定型的な率を起点にする扶養状況、家族構成、家計内役割を個別にみる
就労可能年数年齢表や定型的な期間で整理する大学卒業時からの就労、高齢者の家事労働、年金部分を分けて考える
証拠提出された範囲で保守的に評価する追加資料、陳述書、統計資料で認定を補強する

このため、死亡事故の逸失利益の計算で裁判と保険会社の金額差が出るのは、比べているものが制度上の支払額と個別事案の損害認定額で異なるからです。

Section 03

死亡事故の逸失利益の金額差を生む7つの争点

差額の原因を、基礎収入から既払金の控除まで分解します。

死亡事故の逸失利益では、計算式そのものよりも、式に入れる数字の認定が争点になります。特に基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日、限度額、証拠、総額評価の7点で差が広がります。

次の重要要素の一覧は、どの論点が金額差に直結しやすいかを表しています。遺族にとって重要なのは、提示額を一つの数字として見るのではなく、どの要素が低く評価されているのかを読み取ることです。

基礎収入

直近年収だけでなく、学歴別統計、企業規模、昇進可能性、資格手当、転職直後や独立直後の一時的な低収入が問題になります。

生活費控除率

被扶養者あり35%、被扶養者なし50%という自賠責の考え方を起点にしつつ、裁判では30%や45%など個別事情に応じた率が採用されることがあります。

就労可能年数

67歳までを基本にする場合でも、大学卒業時からの就労開始、高齢者の平均余命、家事労働部分と年金部分の分離が問題になります。

事故日と法定利率

2020年4月1日以後の事故では法定利率が年3%となり、中間利息控除が小さくなるため、逸失利益は増えやすくなりました。

自賠責の限度額

死亡による損害の自賠責限度額は3,000万円です。これは損害額の上限ではなく、基礎補償の限度額として区別する必要があります。

証拠の厚み

源泉徴収票、確定申告書、賃金表、在学資料、家事従事の実情、年金額通知書などがそろうほど、計算前提を具体化しやすくなります。

総額での評価

遺族が実感する差は、逸失利益だけでなく、死亡慰謝料、葬儀費、自賠責上限超過部分、既払金控除が重なって広がることがあります。

次の比較表は、死亡事故の逸失利益で属性別に基礎収入がどう問題になるかを表しています。属性ごとに重視される資料が違うため、読者は自分の事案に近い行で、何を確認すべきかを読み取ってください。

被害者の属性主な検討点差が出やすい理由
有職者実収入、学歴、企業規模、昇進、資格、転職時期直近収入が将来の収入実態を過小に見せることがあります。
専業主婦・家事従事者家事労働の経済的価値、賃金センサス、家族内の役割収入がなくても家事労働に経済的価値が認められることがあります。
学生・年少者学歴見込み、就労開始時期、将来の平均的収入現在無収入でも、将来の就労可能性をどこに置くかで大きく変わります。
高齢者就労収入、家事労働、年金、平均余命家事労働部分と年金部分を分けて計算することで、自賠責限度額を超えることがあります。

法定利率も見落とせません。2020年4月1日より前は年5%、同日以後は年3%となり、2026年4月1日から2029年3月31日までの第3期も年3%のままです。同じような属性でも、事故日が違うと逸失利益は大きく変わります。

混同注意自賠責の3,000万円は死亡損害の支払限度額であり、裁判で認定される損害額そのものの上限ではありません。損害保険料率算出機構の2023年度統計では、対人賠償責任保険における死亡認定額のうち4,000万円超の事案が4割以上を占めており、逸失利益、死亡慰謝料、葬儀費などを合算した総損害額が限度額を超える事案もあります。
Section 04

死亡事故の逸失利益の金額差を数字で見る

モデル計算を使って、どの程度の差が生じるかを確認します。

以下の数字は理解のためのモデルです。過失相殺、既払金、相続、慰謝料、事故日、証拠関係によって実際の結論は変わります。ただし、基礎収入や生活費控除率が変わるだけで差が数千万円規模になり得ることを確認できます。

モデルA ― 35歳会社員、年収600万円、配偶者と子2人、事故日2026年

次の比較表は、同じ35歳会社員の死亡事故で、保険会社側で低めに整理されやすい例と、裁判で立証が通った場合の例を表しています。計算式は同じでも、基礎収入と生活費控除率が変わるだけでどれだけ差が出るかを読み取ってください。

整理計算前提計算結果
保険会社側で低めに出やすい例基礎収入600万円、生活費控除率35%、就労可能年数32年、3%係数20.38886,000,000 × 0.65 × 20.3888 = 79,516,320円
裁判で立証が通った例基礎収入720万円、生活費控除率30%、その余の条件は同じ7,200,000 × 0.70 × 20.3888 = 102,759,552円
差額基礎収入と生活費控除率の違い約2,324万円

次の縦方向の比較は、モデルAの2つの計算結果の大きさを表しています。高さは高い方の金額を100%として相対化しており、読者は基礎収入と生活費控除率の違いだけで、低めの整理が約77%にとどまる点を読み取ってください。

7,952万
低めの整理
1億276万
立証後の整理
2,324万
差額

モデルB ― 67歳家事従事者、年金受給あり

次の表は、高齢者、家事従事者、年金受給者の死亡逸失利益を、家事労働部分と年金部分に分けて考える例を表しています。死亡事故では単一の年収だけでなく複数の収入価値が問題になるため、読者はどの部分を別建てで見るかを読み取ってください。

区分計算前提逸失利益
家事労働部分基礎収入3,819,200円、生活費控除率30%、ライプニッツ係数9.252624,736,270円
年金部分基礎収入1,200,000円、生活費控除率50%、ライプニッツ係数16.44369,866,160円
合計家事労働部分と年金部分を合算34,602,430円

モデルC ― 事故日だけが違う場合

次の比較表は、22歳サラリーマン死亡の例で、法定利率5%時代と3%時代の差を表しています。事故日の違いだけで中間利息控除が変わるため、読者は古い裁判例の数字を現在の提示額と単純比較しない必要があることを読み取ってください。

法定利率死亡逸失利益の例読み取り方
年5%約5,940万円2020年4月1日前の感覚で計算すると、中間利息控除が大きくなります。
年3%約8,200万円2020年4月1日以後は控除が小さくなり、逸失利益が増えやすくなります。
差額約2,260万円属性差ではなく、事故日の法定利率差から生じる差です。
Section 05

死亡事故の逸失利益で裁判例が示す実務感覚

専業主婦、年少者、大学生の例から、現在収入だけでは決まらないことを確認します。

裁判例を見ると、死亡事故の逸失利益は「現在の収入があるか」だけで決まるものではありません。家事労働、将来の学歴見込み、就労開始時期、生活費控除率などが具体的に評価されます。

次の比較表は、原資料で示された複数の裁判例・実務例を整理したものです。属性によって基礎収入や控除率が大きく違うため、読者は同じ死亡事故でも、被害者の生活実態と将来可能性が金額に反映される点を読み取ってください。

事案の属性主な計算前提認定・整理された逸失利益
31歳専業主婦基礎収入388万円、生活費控除率30%、36年間、5%係数16.54694,494万1380円
3歳児男女学歴計全年齢平均500万6900円、生活費控除率45%、18歳から67歳まで2,406万6516円
19歳大学1年生22歳から67歳まで45年間、男性大卒全年齢平均年収674万4700円、生活費控除率50%5,177万8724円
67歳家事従事者家事労働部分と年金部分を分けて評価合計3,460万2430円

専業主婦だから逸失利益がゼロになるわけではありません。家事労働は損害賠償実務上、経済的価値を持つものとして扱われます。また、年少者や学生では、現在無収入であることより、将来どのような就労可能性を相当とみるかが重要になります。

次の比較一覧は、裁判例から読み取れる実務上の視点を表しています。裁判例を金額だけで見ると誤解しやすいため、読者は金額の背後にある「なぜその前提が採用されたのか」を確認してください。

01

家事労働の評価

家事従事者の死亡逸失利益では、賃金センサスを基礎に、家族内で担っていた役割の経済的価値が問題になります。

家事立証
02

将来の就労可能性

学生や年少者では、今の収入ではなく、学歴や平均的就労可能性をどこに置くかが金額を左右します。

学生将来収入
03

複数収入の分離

高齢者では、家事労働部分と年金部分を分けて評価することで、単純な就労収入だけでは見えない損害を整理します。

年金高齢者
Section 06

死亡事故の逸失利益で遺族が確認すべき順番

提示額を感覚で判断せず、計算構造を分解して確認します。

保険会社の提示は最終解答ではありませんが、無意味な数字でもありません。公開基準、未立証部分の扱い、争点化しそうな部分の保守的処理、早期解決可能性が反映されていることがあります。

次の判断の流れは、死亡事故の逸失利益で確認すべき順番を表しています。数字だけを見て迷わないために重要で、読者は上から順に、保険の種類、事故日、基礎収入、控除率、証拠という確認手順を読み取ってください。

提示額を確認する順番

1. 数字の種類を確認

自賠責、任意保険、人身傷害、裁判想定額のどれかを分けます。

2. 事故日を確認

2020年4月1日前後で法定利率が異なり、2026年事故は年3%です。

3. 基礎収入の根拠を確認

源泉徴収票、確定申告、賃金センサス、学歴、家事労働、年金を点検します。

4. 生活費控除率を確認

扶養の有無、家族構成、家計内役割から、なぜその率なのかを見ます。

5. 自賠責限度額と総損害額を分ける

3,000万円は支払限度額であり、損害額全体の上限ではありません。

6. 証拠で補強できる点を整理

不足資料を確認し、個別の見通しは専門家に相談する必要があります。

次の資料一覧は、死亡事故の逸失利益で計算前提を補強しやすい資料を表しています。資料の有無が基礎収入や扶養状況の認定に影響するため、読者はどの論点をどの資料で説明できるかを読み取ってください。

確認資料主に関係する論点確認したい内容
源泉徴収票、確定申告書、課税証明書基礎収入事故前の実収入、一時的な低収入か、申告額が実態を反映しているかを確認します。
就業規則、賃金表、昇給実績、役職記録将来収入昇給、昇格、資格手当、役職手当の見込みを確認します。
在学証明、成績、進路資料、内定、資格取得状況学生・年少者の将来収入高卒想定か大卒想定か、卒業時からの就労可能性を確認します。
家事従事の実情を示す陳述書、家計資料家事労働、生活費控除率家庭内で担っていた役割、扶養状況、同居状況、家計内の貢献を確認します。
年金額通知書、死亡診断書、検案書、カルテ年金、因果関係、損害項目年金部分の評価、死亡との関係、既払金や他費目との整理を確認します。

「賃金センサスを使う」といっても、一つの数字が自動的に決まるわけではありません。性別、年齢、学歴、企業規模、賞与の扱い、年収化の方法で議論は変わります。自賠責基準、任意保険実務、裁判実務の基準層を混ぜずに、同じ土俵で比較することが大切です。

Section 07

死亡事故の逸失利益の計算差を再現可能な論点として見る

保険会社の金額が低いか高いかだけでなく、どの前提が違うかを確認します。

死亡事故の逸失利益の計算で裁判と保険会社の金額差が生じる理由は、同じ数式を使っているように見えても、入れている前提事実が違うからです。

自賠責は国の公開基準に従う制度的支払です。任意保険会社の初回提示は、その公開基準や立証状況を意識した保守的整理になりやすい場面があります。これに対し裁判は、基礎収入、生活費控除率、就労可能年数、事故日、年金や家事労働の位置づけまで含めて、個別事情を証拠で認定し、損害額そのものを決めます。

次の最終確認一覧は、死亡事故の逸失利益の提示額を見るときに最後に点検すべき項目を表しています。どれか一つでも未確認だと金額差の理由を見誤るため、読者は各行の問いに答えられる状態を目指してください。

確認する問い見落とすと起きること
どの保険の数字か自賠責限度額、任意保険提示、人身傷害、裁判想定額を混同します。
事故日の法定利率は何%か5%時代の感覚で3%時代の逸失利益を低く見積もることがあります。
基礎収入の根拠は何か将来の昇給、学歴、家事労働、年金の評価が抜けることがあります。
生活費控除率はなぜその率か扶養状況や家計内役割が反映されないことがあります。
就労可能年数は妥当か学生の卒業時期、高齢者の平均余命、年金部分の評価を見落とします。
自賠責上限と総損害額を混同していないか3,000万円を死亡事故の損害額の相場と誤解することがあります。
一般情報死亡事故の損害額は、事故態様、証拠関係、過失相殺、既払金、相続関係、各費目の主張立証状況で変動します。具体的な対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Reference

参考資料

公的資料、統計資料、裁判所資料を中心に整理しています。

公的資料・統計資料

  • 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「限度額と補償内容」
  • 国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
  • 損害保険料率算出機構「2024年度 自動車保険の概況」
  • 損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2019年度(2018年度統計)」
  • 法務省「令和5年4月1日以降の法定利率について」
  • 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

裁判所資料

  • 裁判所「令和5年10月27日判決言渡」公表裁判例
  • 名古屋高等裁判所 公表裁判例(19歳大学1年生の死亡逸失利益に関する事案)
  • 大阪地方裁判所「損害額一覧表(人身損害)」サンプル