2σ Guide

ECサイトで表示必須の
特商法項目の全リスト

販売価格、送料、支払方法、返品・解約、事業者情報、定期購入条件まで、広告・商品ページと最終確認画面の双方で確認すべき表示を企業法務向けに整理します。

17項目 広告・販売ページ側の表示
6項目 最終確認画面の確認事項
3層 広告・確認画面・運用証跡
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一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
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ECサイトで表示必須の 特商法項目の全リスト

広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。

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ECサイトで表示必須の 特商法項目の全リスト
広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。
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  • ECサイトで表示必須の 特商法項目の全リスト
  • 広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。

POINT 1

  • ECサイトで表示必須の特商法項目の全体像
  • 広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。
  • ECサイトの特商法表示は、広告、最終確認画面、運用証跡を一体で管理します
  • 広告・商品ページ・LP
  • 注文確定直前の最終確認画面

POINT 2

  • ECサイトの特商法表示が必要になる通信販売の対象
  • 有償デジタルサービス
  • オンライン講座、会員制配信、アプリ、SaaS、電子書籍、動画配信などは、役務や権利の提供として確認が必要です。
  • 個人・副業販売
  • 営利意思をもって反復継続して販売すれば、個人でも販売業者又は役務提供事業者に該当し得ます。

POINT 3

  • ECサイトで表示必須の特商法項目の全リスト
  • 上の一覧は実務上分かりやすいよう17行に分けています。
  • SNS・チャット型ECでも、契約申込みの直前に当たる画面がある場合は同様に確認します。

POINT 4

  • ECサイト特商法項目ごとの実務上の書き方
  • 価格、送料、支払時期、返品、事業者情報、定期購入、メール広告まで詳しく確認します。
  • 販売価格・役務の対価
  • 支払時期・支払方法
  • 引渡時期・役務提供時期

POINT 5

  • 特商法表記ページだけでは足りない画面別チェック
  • 1. 商品条件を確定:価格、送料、支払方法、発送時期、返品・解約、定期条件を商品単位で整理します。
  • 2. 広告・商品ページに反映:購入判断に影響する条件を、購入ボタン周辺と特商法表記ページに整合的に表示します。
  • 3. 最終確認画面で6項目を一覧化:分量、価格、支払時期、引渡時期、申込期間、撤回・解除事項を注文確定直前に確認できるようにします。
  • 4. 出稿・販売前に修正:表示不足、誤認表示、解約しにくい設計、証跡不足を修正します。
  • 5. 表示証跡を保存:画面、広告入稿内容、承認記録、同意ログを保存し、変更時に再確認します。

POINT 6

  • 特定商取引法に基づく表記の雛形と追加項目
  • 一般的な物販EC、定期購入、デジタルコンテンツで必要になりやすい記載を整理します。

POINT 7

  • ECサイトの特商法表示に違反した場合のリスク
  • 行政処分・罰則
  • 業務改善の指示、業務停止命令、役員等の業務禁止命令、罰則の対象となる可能性があります。
  • 取消し・撤回・解除
  • 最終確認画面の不表示、不実表示、誤認表示があると、消費者の申込み取消しが問題になり得ます。

POINT 8

  • ECサイト特商法対応の社内ガバナンスと証跡管理
  • 1. 商品条件シートを作成:事業部が価格、送料、支払方法、発送時期、返品・解約、定期条件を整理します。
  • 2. 物流・CSが実態を確認:送料、配送不可地域、発送時期、返品対応、解約受付方法が実際に処理できるかを確認します。
  • 3. 経理・税務が金額を確認:税込表示、手数料、支払時期、返金処理、請求処理を確認します。
  • 4. 法務・コンプライアンスが審査:特商法、景品表示法、利用規約、返品特約、個人情報表示を確認します。
  • 5. 画面設計・開発が反映:最終確認画面、スマホ表示、訂正導線、表示ログが要件を満たすか確認します。
  • 6. 掲載後の証跡を保存:スクリーンショット、HTML、広告入稿内容、同意ログ、承認記録を保存します。
  • 7. 条件変更時に再審査:法改正、商品条件変更、送料改定、決済変更、広告差し替え時に再確認します。

まとめ

  • ECサイトで表示必須の 特商法項目の全リスト
  • ECサイトで表示必須の特商法項目の全体像:広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。
  • ECサイトの特商法表示が必要になる通信販売の対象:物販ECだけでなく、デジタルコンテンツ、SaaS、個人販売、越境ECまで確認します。
  • ECサイトで表示必須の特商法項目の全リスト:上の一覧は実務上分かりやすいよう17行に分けています。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

ECサイトで表示必須の特商法項目の全体像

広告・商品ページ、最終確認画面、注文後運用の3層で整理します。

ECサイトの特商法表示は、フッターに「特定商取引法に基づく表記」ページを置くだけで完結するものではありません。通信販売に当たる取引では、広告・商品ページ・ランディングページ・メール広告に販売条件を示し、注文確定直前の最終確認画面でも契約内容を一覧で確認できるようにする必要があります。

このページでは、ECサイトで表示必須の特商法項目の全リストを、広告表示、最終確認画面、注文後通知・広告配信・社内運用の3層で整理します。読者は、自社サイトのどの画面にどの条件を出すべきか、定期購入やデジタルコンテンツではどこが高リスクになるかを確認できます。

次の強調表示は、ECサイトの特商法対応を検討するときの出発点を示しています。単なる法定項目の羅列ではなく、消費者が申込み前に契約条件を理解できる状態になっているかを読むことが重要です。

ECサイトの特商法表示は、広告、最終確認画面、運用証跡を一体で管理します

販売価格、送料、支払時期、引渡時期、返品・解約、事業者情報、継続条件を、購入判断前と注文確定直前の双方で明確に示すことが基本です。

次の一覧は、特商法表示を3つの層に分けたものです。どの画面で何を表示するかを分けて考えることで、特商法表記ページだけに情報を集めてしまう漏れを発見しやすくなります。

第1層

広告・商品ページ・LP

販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品特約、事業者情報などを、購入判断前に確認できるように表示します。

第2層

注文確定直前の最終確認画面

分量、価格、支払時期・方法、引渡時期、申込期間、撤回・解除事項を、注文ボタンの直前で一覧確認できるようにします。

第3層

注文後通知・広告配信・社内運用

承諾通知、メール広告の同意記録、返品・解約対応、画面証跡の保存まで、表示どおりに運用されているかを管理します。

次の比較表は、最初に整えるべき4点を示しています。表示場所ごとの役割を分けて読むと、商品ページ、最終確認画面、問い合わせ運用のどこに不足があるかを確認できます。

整えるもの主な役割実務で見るポイント
特定商取引法に基づく表記ページ事業者情報と共通取引条件をまとめる正式名称、住所、電話番号、責任者、支払方法、返品・解約条件を整合させる
商品ページ・LP・広告面の表示購入判断前に販売条件を見せる価格、送料、定期条件、返品不可条件、申込期限を購入ボタン近くにも示す
カート・最終確認画面申込み直前に契約内容を確認させる分量、総額、支払時期、引渡時期、撤回・解除事項を一覧にする
返品・解約・問い合わせの実運用表示した条件を実際に処理する受付方法、期限、ログ、対応記録、CS回答が表示と一致しているかを確認する
注意このページは一般的な情報提供です。商品、取引形態、広告表現、決済導線、越境販売、個人事業者の住所表示などにより結論が変わる可能性があるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ確認する必要があります。
Section 01

ECサイトの特商法表示が必要になる通信販売の対象

物販ECだけでなく、デジタルコンテンツ、SaaS、個人販売、越境ECまで確認します。

特商法上の通信販売とは、販売業者又は役務提供事業者が、郵便、電話、ファクシミリ、インターネットなどの通信手段で申込みを受けて行う商品・特定権利の販売又は有償の役務提供をいいます。ホームページやネットオークションを見た消費者がインターネット等で申込みをする取引も含まれます。

対象は物販ECに限られません。有料情報配信、オンライン講座、会員制コンテンツ、デジタル教材、ソフトウェア、アプリ、SaaS型サービスなども、取引構成によって通信販売規制の対象となり得ます。

次の一覧は、ECサイトで特商法の検討が必要になりやすい取引類型を示しています。法人か個人か、物販か役務かだけで判断しないことが重要で、読者は自社の販売導線がどの類型に近いかを読み取る必要があります。

有償デジタルサービス

オンライン講座、会員制配信、アプリ、SaaS、電子書籍、動画配信などは、役務や権利の提供として確認が必要です。

個人・副業販売

営利意思をもって反復継続して販売すれば、個人でも販売業者又は役務提供事業者に該当し得ます。

プラットフォーム利用

BASE、Shopify、STORES、minne、メルカリShops等を使う場合でも、販売主体が自社又は個人であれば表示義務を確認します。

BtoB・越境取引

事業者向けや海外事業者の販売でも、一般消費者が申し込める設計なら消費者向け通信販売としてのリスクを見ます。

次の表は、対象になる場合と注意すべき適用除外を整理したものです。該当性は表示だけでなく申込資格、契約主体確認、審査手順、広告の見え方にも左右される点を読み取ってください。

観点整理実務上の注意点
通信販売に当たる取引インターネット等で申込みを受ける商品販売、権利販売、有償役務提供が中心です。物販、デジタル、SaaS、オンライン講座など、提供形態ごとに販売条件表示を確認します。
個人・スモールビジネス営利意思と反復継続性があれば、個人でも対象となり得ます。屋号やSNS名だけではなく、氏名・住所・電話番号表示の要否を検討します。
BtoB専用サービス営業のため又は営業として締結する取引は適用除外となる場合があります。一般消費者が申し込めるサイト設計なら、法人専用であることや審査手順を明確にします。
海外向け・海外事業者海外にいる人への販売などは適用除外となる場合があります。日本国内の消費者向けに広告・販売する実態がある場合は、国内事務所や連絡先表示も確認します。
国・地方公共団体等一定の取引は他法令による消費者保護があるため適用除外となる場合があります。除外に当たるかは取引主体と根拠法令を個別に確認します。
Section 02

ECサイトで表示必須の特商法項目の全リスト

広告・特商法表記ページの17項目と、最終確認画面の6項目を一覧で確認します。

ECサイトで表示必須の特商法項目は、広告・販売ページ側の表示と、注文確定直前の最終確認画面の表示に分けると整理しやすくなります。次の一覧では、各項目の必須性、表示場所、実務上の読み取り方をまとめています。

No.表示項目必須性典型的な記載内容主な表示場所実務上の注意点
1販売価格又は役務の対価原則必須商品代金、サービス料金、各プラン料金、初回価格、2回目以降価格商品ページ、LP、料金表、特商法表記、最終確認画面実売価格を表示します。希望小売価格や参考価格だけでは不足します。税込表示にも注意します。
2送料商品販売では原則必須全国一律送料、地域別送料、送料無料条件、クール便・大型便加算商品ページ、配送案内、特商法表記、最終確認画面「送料実費」だけでは不十分です。金額又は負担額を認識できる方法で示します。
3代金・対価の支払時期原則必須前払い、後払い、決済日、請求日、口座振替日、定期購入の各回請求時期商品ページ、支払方法ページ、特商法表記、最終確認画面いつ支払うのかが分かる必要があります。後払い、分割、定期課金では特に具体化します。
4代金・対価の支払方法原則必須クレジット決済、銀行振込、代引き、コンビニ払い、後払い、電子マネー、QR決済商品ページ、支払方法ページ、特商法表記、最終確認画面利用可能な支払方法を網羅します。一部だけを記載する運用は避けます。
5商品の引渡時期、権利の移転時期、役務提供時期原則必須注文後何営業日以内発送、入金確認後何日以内、予約商品の発送予定、サービス開始日商品ページ、配送案内、特商法表記、最終確認画面「入荷次第」「できるだけ早く」は避け、期間又は期限で示します。
6申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及び内容条件付き必須申込期限、販売期間、予約受付期間、キャンペーン申込期間LP、商品ページ、バナー遷移先、最終確認画面カウントダウン、期間限定販売、季節商品では必須です。虚偽の期限表示は重大リスクです。
7契約申込みの撤回又は解除に関する事項原則必須キャンセル可否、返品可否、返品期間、返品送料、解約方法、解約期限、違約金商品ページ、返品ポリシー、利用規約、特商法表記、最終確認画面返品特約がある場合は内容を明確に表示します。返品不可でも明示が必要です。
8事業者の氏名又は名称、住所、電話番号原則必須法人名、個人氏名又は登記商号、所在地、連絡可能な電話番号特商法表記、会社概要、フッターリンク屋号・サイト名だけでは足りません。私書箱のみは避け、確実に連絡可能な番号を示します。
9法人が電子情報処理組織を利用して広告する場合の代表者又は通信販売業務責任者の氏名条件付き必須代表取締役名、EC事業責任者名、通信販売責任者名特商法表記、会社概要Web広告やメール広告では法人に必要です。責任者は代表権者に限られません。
10外国法人又は外国住所の個人で、国内に事務所等がある場合の国内所在場所及び電話番号条件付き必須日本国内事務所所在地、国内連絡先電話番号特商法表記、会社概要海外法人の日本向けEC、国内拠点・代理店・事務所を持つ場合に確認します。
11販売価格・送料等以外に購入者が負担すべき金銭条件付き必須代引手数料、決済手数料、梱包料、設置費、工事費、事務手数料、解約料商品ページ、料金表、特商法表記、最終確認画面「手数料がかかります」だけでは不足します。内容と金額を示します。
12商品が種類又は品質に関して契約内容に適合しない場合の販売業者の責任に関する定め条件付き必須不良品対応、交換、返金、保証範囲、責任制限特約返品ポリシー、利用規約、特商法表記民法の一般原則と異なる責任制限等を設ける場合は表示します。
13ソフトウェア取引の場合の動作環境条件付き必須OS、ブラウザ、CPU、メモリ、容量、対応端末、推奨環境、利用制限商品ページ、仕様ページ、特商法表記アプリ、ダウンロードソフト、デジタル教材、SaaS等では具体化します。
14契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件又は提供条件条件付き必須定期購入回数、最低購入回数、総額、各回価格、契約期間、自動更新、解約条件LP、商品ページ、定期購入説明、最終確認画面初回割引・定期購入・サブスクの最重要項目です。1回限りと誤認させない表示にします。
15商品販売数量制限その他特別な販売条件又は役務提供条件条件付き必須1人何個まで、地域限定、年齢条件、在庫限り、最低注文数、提供対象地域商品ページ、LP、申込フォーム、特商法表記数量、地域、年齢、資格、利用条件がある場合は明示します。
16請求によりカタログ等を別途送付する場合で有料のときの金額条件付き必須カタログ代、資料送付費、郵送費資料請求ページ、特商法表記オンライン完結でも、有料資料請求導線がある場合は対象となります。
17電子メールによる商業広告を送る場合の事業者の電子メールアドレス条件付き必須問い合わせ用メール、広告送信者メールアドレスメール広告本文、配信フッターメール広告規制、オプトイン、配信停止導線、承諾記録保存と一体で管理します。

上の一覧は実務上分かりやすいよう17行に分けています。法令やガイド上は、販売価格に送料を含める整理や、有料カタログ等を請求により交付する書面又は提供する電磁的記録として整理する場合がありますが、重要なのは、消費者に負担させる金銭、契約条件、撤回・解除条件、事業者連絡先、継続条件を購入判断前に認識できるようにすることです。

次の表は、最終確認画面で表示すべき6項目を示しています。注文ボタンを押す直前に契約内容を簡単に確認できることが重要で、特に定期購入やサブスクでは各回の請求・配送・解約期限まで読み取れる必要があります。

No.最終確認画面の表示項目表示すべき内容定期購入・サブスクでの追加注意
1分量商品数量、サービス提供回数、購入数、セット内容、容量各回の数量、配送頻度、提供回数、最低購入回数を表示します。
2販売価格・対価商品代金、送料、手数料、支払総額初回価格だけでなく、2回目以降価格、一定期間の総額又は目安を表示します。
3支払の時期・方法決済方法、請求日、引落日、後払い期限各回の請求時期、更新後の課金時期、無料期間終了後の課金時期を表示します。
4引渡・提供時期発送時期、納期、役務開始日、デジタル提供時期次回発送時期、継続提供の開始日・更新日を表示します。
5申込みの期間申込期限、販売期間、予約締切、キャンペーン期限期限のある販売であることを明確にします。架空の期限表示は避けます。
6申込みの撤回・解除に関すること返品、キャンセル、解約方法、連絡先、条件、期限、違約金解約方法、解約期限、電話番号、フォームURL、次回発送前の締切等を分かりやすく表示します。

最終確認画面とは、インターネット通販で、消費者がその画面内の申込みボタン等をクリックすることで契約申込みが完了する画面をいいます。SNS・チャット型ECでも、契約申込みの直前に当たる画面がある場合は同様に確認します。

Section 03

ECサイト特商法項目ごとの実務上の書き方

価格、送料、支払時期、返品、事業者情報、定期購入、メール広告まで詳しく確認します。

販売価格・役務の対価

販売価格は、消費者が実際に支払う取引価格です。希望小売価格、標準価格、メーカー希望価格、通常価格、参考価格だけを表示しても、実際の販売価格が分からなければ不十分です。消費者向け価格表示では、消費税額・地方消費税額を含めた税込価格を表示する総額表示にも注意します。

表示例販売価格 ― 3,980円(税込)。送料 ― 全国一律550円(税込)。支払総額 ― 商品代金3,980円(税込)に送料550円(税込)を加算します。

定期購入では、初回価格だけを大きく表示する設計は高リスクです。初回価格、2回目以降価格、最低購入回数、一定期間の支払総額、解約条件を近接して表示します。

高リスク例初回500円だけを強調し、2回目以降5,980円、最低4回、4回購入時の支払総額、解約期限を離れた場所や小さい文字だけで示す設計は、誤認リスクが高くなります。

送料

送料は、商品販売で消費者の負担額を左右する重要条件です。「送料実費」だけでは金額が分からないため、全国一律、地域別、最低・最高、送料表への明確な導線、注文前の送料計算結果などにより、負担額を認識できるようにします。

支払時期・支払方法

支払方法は、銀行振込、クレジット決済、代金引換、コンビニ払い、後払い、電子マネー、QR決済、口座振替など、利用可能な方法を網羅します。支払時期は、前払いなら注文後何日以内、後払いなら商品到着後何日以内、決済サービスなら注文時決済又はサービス所定の支払日に準ずるなど、利用者が予測できる表現にします。

引渡時期・役務提供時期

次の比較表は、引渡時期の危険な表現と改善例を示しています。期間又は期限が読み取れるかが重要で、曖昧な表現のままでは消費者が到着時期を予測できません。

避けたい表現改善例読み取るポイント
できるだけ早く発送します。通常商品は注文確定後3営業日以内に発送します。具体的な期間があるか。
入荷次第発送します。予約商品は2026年7月下旬から順次発送予定です。遅延が生じる場合はメールで通知します。予定時期と遅延時の連絡方法があるか。
銀行振込の確認後に発送します。銀行振込の場合は入金確認後3営業日以内に発送します。入金確認後の期間があるか。
決済後に利用できます。デジタルコンテンツは決済完了後、直ちにダウンロードURLを表示し、登録メールアドレスにも送信します。提供開始時点と提供方法が分かるか。

申込みの期間

次の表は、期限表示を何の期限かで分けたものです。商品自体を申し込める期間、価格の適用期限、特典の付与期限、在庫条件を混同しないことが重要で、読者は各期限が実態と一致しているかを確認します。

表示対象表示方法
商品自体の申込期限予約受付は2026年6月30日23:59まで商品ページ、LP、最終確認画面で明示します。
価格の適用期限初回割引は2026年6月30日23:59まで価格表示の近くに明示します。
特典の付与期限ノベルティは先着1,000名まで特典表示の近くに明示します。
在庫条件在庫がなくなり次第終了在庫表示・購入数量制限と一体で表示します。

架空のカウントダウン、リロードで期限が延びるタイマー、常時開催なのに「本日限り」と表示する広告は、特商法だけでなく景品表示法上の有利誤認リスクも生じます。

契約申込みの撤回・解除、返品特約

通信販売には訪問販売のようなクーリング・オフ制度はありません。ただし、商品引渡し等から一定期間内の撤回・解除、事業者が広告で明瞭に表示した返品特約、最終確認画面での表示が問題になります。次の表は返品・解約表示で具体化すべき項目です。

項目記載すべき内容
返品可否返品を認めるか、認めないか。
返品可能期間商品到着後何日以内など。
返品条件未使用、未開封、タグ付き、食品・衛生用品は不可など。
返品送料事業者負担か購入者負担か。
不良品対応交換、返金、送料負担、連絡期限。
キャンセル可否注文後、発送前、受注生産後などの可否。
解約方法電話、フォーム、マイページ、メールなど。
解約期限次回発送予定日の何日前までなど。
違約金・キャンセル料金額又は算定方法。
連絡先確実につながる電話番号、メール、フォームURLなど。
不十分な例「返品はご相談ください」「返品は原則不可です」「解約は当社所定の方法によります」だけでは、返品可否、期限、方法、費用負担が分かりにくくなります。
改善例商品に欠陥がある場合を除き、お客様都合による返品には応じません。不良品の場合は商品到着後7日以内にお問い合わせフォームからご連絡ください。当社送料負担で交換又は返金します。定期購入の解約は、次回発送予定日の10日前までにマイページ又はお問い合わせフォームから行ってください。

事業者の氏名・名称、住所、電話番号

事業者情報は、消費者がトラブル時に相手方を特定し、問い合わせや法的対応を行うための基礎情報です。個人事業者なら氏名又は登記商号、法人なら登記簿上の名称が必要で、通称、屋号、ブランド名、サイト名だけでは不足します。住所は現に活動している住所を正確に表示し、私書箱のみの表示は避けます。電話番号は確実に連絡できる番号である必要があります。

個人事業者にとって自宅住所・電話番号の表示はプライバシー上の負担を伴います。一定の要件を満たす場合、プラットフォーム事業者や仮想オフィスの住所・電話番号の表示が検討されますが、その連絡先が通信販売取引の連絡先として機能し、運営者が本人情報を把握して確実に連絡できることなどを確認します。

法人の代表者又は通信販売業務責任者

法人がウェブサイトや電子メール等を利用して広告する場合、代表者又は通信販売に関する業務責任者の氏名を表示します。通信販売業務責任者は、担当役員、担当部長、EC事業責任者など実務責任者で足り、必ずしも代表権者である必要はありません。ただし、退職者、実在しない担当者、問い合わせに対応しない窓口を表示する運用は避けます。

外国法人・海外事業者の国内事務所等

海外法人が日本向けにEC販売を行う場合でも、日本国内の消費者に対する販売実態があれば特商法リスクを検討します。外国法人又は外国住所の個人で国内に事務所等を有する場合、その所在場所及び電話番号表示が問題になります。越境ECでは、準拠法、裁判管轄、消費者契約法、個人情報の越境移転、関税・輸入者、返品時の国際送料、決済通貨、為替、配送遅延、国内代理店表示、プラットフォーム規約も総合的に確認します。

追加で購入者が負担する金銭

次の表は、販売価格・送料以外に消費者が負担する費用の典型例です。金銭負担の内容と金額を表示することが重要で、「手数料がかかる場合があります」だけでは負担額を予測できない点を読み取ってください。

費用表示例
代引手数料代引手数料330円(税込)
後払い手数料後払い手数料220円(税込)
大型配送費大型商品配送追加料金2,200円(税込)
設置費設置作業費5,500円(税込)
工事費標準工事費11,000円(税込)。追加工事が必要な場合は事前見積り。
解約料最低利用期間内の解約料9,800円(税込)

契約不適合の場合の責任に関する定め

商品が種類又は品質に関して契約内容に適合しない場合、民法上の契約不適合責任が問題になります。販売業者の責任について特約を設ける場合には、その内容を表示します。通常返品と不良品・契約不適合時の対応は分けて表示すると分かりやすくなります。

ソフトウェア・デジタルコンテンツの動作環境

次の表は、ソフトウェアやデジタルコンテンツで表示すべき動作環境の例です。利用不能トラブルを避けるため、読者はOS、ブラウザ、容量、通信環境、利用制限、サポート対象外条件が具体化されているかを確認します。

項目表示例
対応OSWindows 11、macOS 14以降、iOS 17以降、Android 14以降
対応ブラウザGoogle Chrome最新版、Safari最新版、Microsoft Edge最新版
必要容量2GB以上の空き容量
通信環境常時インターネット接続が必要
利用制限1ライセンス1端末、商用利用不可、再配布不可
サポート対象外ベータ版OS、改造端末、旧ブラウザは対象外

2回以上継続して締結する契約、定期購入、サブスクリプション

次の表は、定期購入・サブスクリプションで最低限表示すべき事項です。初回割引がある場合でも1回限りと誤認させないことが重要で、読者は各回の金額、総額、解約方法、解約期限が近接表示されているかを確認します。

項目表示内容
継続契約であること本商品は定期購入です、1回限りではありません、など。
契約期間無期限、自動更新、最低利用期間、最低購入回数。
各回の分量各回1袋、30日ごと1箱、毎月1ライセンスなど。
各回の金額初回、2回目以降、更新後価格。
送料・手数料各回にかかる送料・手数料。
支払総額最低購入回数がある場合の総額、無期限の場合は一定期間の目安。
引渡時期初回発送日、2回目以降発送周期。
解約条件いつから、どの方法で、いつまでに解約可能か。
解約連絡先電話番号、フォーム、マイページ、受付時間。
解約時の不利益違約金、割引差額請求、返品不可など。

販売数量制限その他特別な販売条件

販売数量制限、地域限定、年齢制限、会員限定、最低注文数量、購入資格、配送不可地域、予約条件、受注生産条件、抽選販売条件などがある場合は、その内容を表示します。「お一人様2点まで」「北海道・沖縄・離島への配送に対応していません」「18歳以上のみ申込み可能」「受注生産品のため注文確定後キャンセル不可」など、条件を具体化します。

有料カタログ・有料資料請求

請求によりカタログ等を別途送付する場合で、それが有料であるときは、その金額を表示します。資料請求、サンプル請求、パンフレット送付、見積り資料、導入キットなどに費用を課す場合は、オンライン販売でも対象となり得ます。

電子メール広告のメールアドレス、オプトイン、記録保存

次の表は、電子メール広告で整備すべき事項です。メールアドレス表示だけでなく、事前同意、配信停止、送信者情報、記録保存を一体で管理することが重要で、読者は取得画面と保存記録が対応しているかを確認します。

項目実務対応
事前同意購入フォーム・会員登録フォームで広告メール受信同意を明確に取得します。
チェックボックス初期チェック済みの扱い、同意文言、会員規約との関係を確認します。
配信停止ワンクリック配信停止URL等、容易な停止手段を設けます。
送信者情報会社名、連絡先メールアドレス、問い合わせ先を表示します。
記録保存同意日時、取得画面、IP、会員ID、同意文言、配信停止履歴を保存します。
Section 04

特商法表記ページだけでは足りない画面別チェック

商品ページ、LP、カート、最終確認画面、注文後通知に分けて表示漏れを確認します。

特商法表記ページは重要ですが、それだけでは販売ページや最終確認画面の義務を代替できない場合があります。ランディングページや商品ページ自体が通信販売広告に該当し、返品特約、定期購入条件、送料、申込期間、解約条件などは購入ボタン周辺でも分かりやすく表示する必要があります。

次の一覧は、画面別に確認すべき項目を整理したものです。画面ごとに役割が異なるため、読者は「共通ページにあるか」ではなく「その画面で購入判断や注文確定に必要な情報が見えるか」を確認してください。

共通導線

ヘッダー・フッター

特商法表記へのリンク、内容が分かるリンク文言、会社概要との役割分担、スマホでの到達性を確認します。

商品詳細

価格・送料・返品条件

税込価格、送料、手数料、引渡時期、返品条件、数量制限、ソフトウェア環境、定期条件を確認します。

LP

購入ボタン周辺

初回割引、2回目以降価格、総額、期間限定、返品・解約、特商法リンク、誇大広告リスクを確認します。

カート

注文確認画面

数量、支払総額、支払方法、引渡時期、申込期限、返品・解約、訂正手段、注文ボタン文言を確認します。

購入後

メール・マイページ

契約内容控え、返品・解約案内、次回発送日、次回請求額、問い合わせ先、広告配信同意の管理を確認します。

次の判断の流れは、ECサイトの表示をどの順番で確認するかを示しています。購入前、注文直前、注文後、証跡保存の順に見ることで、表示と運用のずれを発見しやすくなります。

表示と運用を確認する順番

商品条件を確定

価格、送料、支払方法、発送時期、返品・解約、定期条件を商品単位で整理します。

広告・商品ページに反映

購入判断に影響する条件を、購入ボタン周辺と特商法表記ページに整合的に表示します。

最終確認画面で6項目を一覧化

分量、価格、支払時期、引渡時期、申込期間、撤回・解除事項を注文確定直前に確認できるようにします。

不備あり
出稿・販売前に修正

表示不足、誤認表示、解約しにくい設計、証跡不足を修正します。

整合あり
表示証跡を保存

画面、広告入稿内容、承認記録、同意ログを保存し、変更時に再確認します。

特商法第11条ただし書により、消費者からの請求に応じて表示事項を記載した書面又は電子メール等を遅滞なく提供できる場合、一定事項を省略できる余地があります。ただし、返品、申込期間、ソフトウェア動作環境、継続契約条件、特別販売条件、有料資料、メール広告時のメールアドレスなど、省略できない又は慎重な確認が必要な項目があります。

Section 05

特定商取引法に基づく表記の雛形と追加項目

一般的な物販EC、定期購入、デジタルコンテンツで必要になりやすい記載を整理します。

特定商取引法に基づく表記は、自社の商品、サービス、返品ポリシー、決済、配送、定期購入、デジタルコンテンツ、越境販売、許認可、個人情報の取扱いに合わせて修正します。次の表は、一般的な物販ECで必要になりやすい記載項目を示しており、空欄を埋めるだけでなく実態と一致しているかを読み取ることが重要です。

項目記載内容の例
販売業者株式会社〇〇など、法人登記名又は個人氏名・登記商号を記載します。
運営統括責任者又は通信販売業務責任者代表者又はEC事業責任者など、通信販売業務の責任者名を記載します。
所在地郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名まで正確に記載します。
電話番号03-0000-0000、受付時間は平日10時から17時まで、土日祝を除く、など。
メールアドレスsupport@example.jpなど、問い合わせを受けられる連絡先を記載します。
販売価格各商品ページに税込価格で表示します。
商品代金以外に必要な料金送料、代引手数料、後払い手数料、設置費などを金額で示します。
支払方法クレジット決済、銀行振込、代金引換、コンビニ後払いなど利用可能な方法を網羅します。
支払時期注文時決済、注文後7日以内、商品受領時、請求書発行後14日以内など。
商品の引渡時期通常商品は注文確定後3営業日以内、銀行振込は入金確認後3営業日以内など。
返品・交換・キャンセル返品可否、不良品対応、連絡期限、送料負担、受注生産品のキャンセル可否を示します。
販売数量の制限その他特別な条件販売数量制限、配送対象地域、年齢制限、予約条件などを商品ページに表示します。
ソフトウェア・デジタルコンテンツの動作環境対応OS、対応端末、推奨ブラウザ、通信環境を表示します。
定期購入・継続課金契約期間、最低購入回数、各回の金額、総額、次回発送時期、解約方法と期限を表示します。

次の表は、定期購入用に追加する項目です。初回価格の安さだけで申込みを誘導しないよう、各回価格、送料、配送頻度、最低購入回数、支払総額、解約方法を一まとまりで確認できることが重要です。

項目記載内容の例
定期購入であること本商品は定期購入商品です。1回限りの購入ではありません。
初回価格500円(税込)など。
2回目以降価格5,980円(税込)など。
送料各回550円(税込)など。
配送頻度30日ごとに1回、1袋をお届けします、など。
最低購入回数4回など。
最低購入回数分の支払総額20,640円(税込・送料込)など。
解約方法4回目の商品受領後、次回発送予定日の10日前までに、マイページ又はお問い合わせフォームから解約できます、など。
受付時間電話解約を設ける場合は平日10時から17時までなど、受付時間を明示します。

次の表は、デジタルコンテンツ用に追加する項目です。利用開始時期と動作環境、返品・キャンセル条件が購入判断に直結するため、決済完了後に何が提供され、どの環境で利用できるかを読み取れるようにします。

項目記載内容の例
提供時期決済完了後、直ちにダウンロードURLを表示し、登録メールアドレスにも送信します。
対応OSWindows 11、macOS 14以降など。
対応ブラウザGoogle Chrome最新版、Safari最新版、Microsoft Edge最新版など。
通信環境インターネット接続が必要です。
返品・キャンセルデジタルコンテンツの性質上、決済完了後の返品・キャンセルはできません。利用不能時は返金又は代替提供の条件を示します。
Section 06

ECサイトの特商法表示に違反した場合のリスク

行政処分、取消し・撤回・解除、差止請求、景品表示法・個人情報保護法との複合リスクを確認します。

表示義務違反は、単なる表記ミスにとどまりません。行政処分、民事上の取消し・撤回・解除、差止請求、隣接法違反が重なる可能性があり、ブランドや広告配信、決済、モール出店にも影響します。

次の一覧は、特商法表示に不備があった場合の主なリスクをまとめたものです。どのリスクも表示内容だけでなく運用実態と証跡に波及するため、読者は自社の販売導線で同時に起こり得る影響を確認してください。

行政処分・罰則

業務改善の指示、業務停止命令、役員等の業務禁止命令、罰則の対象となる可能性があります。

取消し・撤回・解除

最終確認画面の不表示、不実表示、誤認表示があると、消費者の申込み取消しが問題になり得ます。

差止請求

誇大広告や最終確認画面の不備が不特定多数に向けて行われる場合、適格消費者団体による差止請求リスクがあります。

隣接法との複合違反

景品表示法、消費税法、個人情報保護法、薬機法などの論点が同時に問題になることがあります。

次の表は、ECサイトで起こりやすい不備と修正例を整理したものです。不備の理由を読むことで、単に文言を足すだけでなく、購入者が負担・期限・相手方・解約条件を理解できる表示になっているかを確認できます。

不備なぜ問題か修正例
「特商法表記」リンクがフッターの小さな文字だけ重要条件へ容易に到達できない可能性があります。商品ページ・LP・購入ボタン付近にも重要条件を表示します。
返品欄が「返品は応相談」返品可否・条件が不明確です。返品可否、期間、送料負担、連絡方法を明記します。
「入金確認後発送」だけ引渡時期が分かりません。入金確認後3営業日以内に発送、と表示します。
初回価格だけ大きく表示定期購入・総額の誤認リスクがあります。2回目以降価格、最低回数、総額、解約条件を近接表示します。
送料が「実費」消費者が負担額を予測できません。地域別送料表、最低・最高、送料計算結果を表示します。
屋号だけを表示事業者の氏名・名称表示として不十分です。個人氏名又は登記商号、法人登記名を表示します。
私書箱だけを住所として表示住所表示として認められにくい可能性があります。現に活動する住所又は要件を満たす連絡先を表示します。
電話番号はあるが常時つながらない確実に連絡を取れる番号とはいえない可能性があります。受付時間、留守電、折返し、フォーム併用を整備します。
ソフトウェアの対応環境なし利用不能トラブルにつながります。OS、ブラウザ、端末、容量、通信環境を表示します。
最終確認画面に返品・解約リンクだけ顧客が簡単に最終確認できない可能性があります。重要条件を画面上に要約し、詳細リンクを併用します。

景品表示法では、商品・サービスの品質や価格について実際より著しく優良又は有利に見せる表示が問題になります。価格表示では税込の総額表示、注文フォームや会員登録では個人情報の利用目的の通知・公表・明示も確認します。

Section 07

ECサイト特商法対応の社内ガバナンスと証跡管理

法務、EC運営、マーケティング、開発、CS、物流、経理が連動して表示と運用を管理します。

ECサイトの特商法対応は、法務担当だけで完結しません。画面設計、広告制作、商品企画、カスタマーサポート、決済、物流、情報システム、経理、個人情報管理が連動して初めて、表示と運用が一致します。

次の表は、部門ごとの確認事項を整理したものです。誰がどの条件を確認するかを決めることが重要で、読者は自社の承認手順に抜けている部門がないかを読み取ってください。

職種・部門主な確認事項
法務担当・企業内弁護士表示義務、返品特約、利用規約、定期購入条件、広告表現、違反リスク。
外部弁護士高リスク商材、行政対応、定期購入、処分事例分析、越境EC、紛争対応。
コンプライアンス担当表示ルールの社内規程化、研修、モニタリング、改善命令対応。
EC事業責任者商品ページ、LP、カート、最終確認画面の実装責任。
マーケティング担当LP、広告、メール、SNS、アフィリエイト表現の適正化。
画面設計・開発担当最終確認画面、訂正導線、スマホ表示、リンク到達性、ログ保存。
カスタマーサポート返品・解約・問い合わせ対応が表示と一致しているか。
物流担当発送時期、送料、配送不可地域、返品対応手順の実態確認。
経理・税務担当税込価格、請求時期、手数料、返金処理、売上計上。
個人情報保護担当注文フォーム、会員登録、メルマガ同意、プライバシーポリシー。
内部監査担当表示と運用の乖離、証跡、改定履歴、委託先管理。

次の時系列は、商品・キャンペーン・LPを出す前後の審査手順を示しています。順番に確認することで、商品条件、広告表示、画面実装、証跡保存のどこで再審査が必要になるかを読み取れます。

Step 01

商品条件シートを作成

事業部が価格、送料、支払方法、発送時期、返品・解約、定期条件を整理します。

Step 02

物流・CSが実態を確認

送料、配送不可地域、発送時期、返品対応、解約受付方法が実際に処理できるかを確認します。

Step 03

経理・税務が金額を確認

税込表示、手数料、支払時期、返金処理、請求処理を確認します。

Step 04

法務・コンプライアンスが審査

特商法、景品表示法、利用規約、返品特約、個人情報表示を確認します。

Step 05

画面設計・開発が反映

最終確認画面、スマホ表示、訂正導線、表示ログが要件を満たすか確認します。

Step 06

掲載後の証跡を保存

スクリーンショット、HTML、広告入稿内容、同意ログ、承認記録を保存します。

Step 07

条件変更時に再審査

法改正、商品条件変更、送料改定、決済変更、広告差し替え時に再確認します。

次の表は、将来の紛争に備えて保存すべき証跡を整理したものです。現在の表示が適切でも、過去の申込時画面に不備があればリスクが残るため、いつ、どの画面で、どの条件を見せていたかを残すことが重要です。

証跡保存内容
商品ページ掲載日時、HTML、スクリーンショット、改定履歴。
LP・広告入稿内容、掲載媒体、配信期間、表示URL、ABテスト差分。
最終確認画面PC・スマホ表示、注文直前画面、注文ボタン文言。
価格・送料価格マスタ、送料表、改定日時、キャンペーン条件。
返品・解約返品ポリシー、解約フォーム、電話受付記録、CS対応ログ。
メール広告同意取得日時、同意文言、配信停止履歴、送信ログ。
定期購入各回請求額、発送予定、解約期限、マイページ表示。
社内承認法務レビュー記録、承認者、修正履歴。

実務上の重要論点

「返品不可」と書いても、広告及び最終確認画面で明瞭に表示されていることが重要です。不良品や契約不適合の場合の責任まで一切免れるような表示は、民法、消費者契約法、景品表示法、個別商品規制との関係で問題となる可能性があります。

電話解約自体が直ちに問題というわけではありませんが、実際につながらない、受付時間が極端に短い、引き延ばす、折返しがない、解約期限前に連絡しても処理しない運用はリスクを高めます。確実につながる番号、受付時間、混雑時の代替手段、受付記録を整備します。

アフィリエイトLPやインフルエンサー投稿でも、最終的に事業者の販売ページへ誘導し、消費者が申込みをする場合、事業者は広告表示全体を管理する必要があります。景品表示法上のステルスマーケティング規制、優良誤認・有利誤認、薬機法、健康増進法、食品表示法等も確認します。

モール・プラットフォームを使っていても、販売主体が自社又は個人事業者であれば特商法表示義務の主体となり得ます。プラットフォームが用意する入力欄に任せるだけでなく、自社の商品条件、返品条件、解約条件、送料、表示場所を確認します。

ECの実利用はスマホが中心です。PCでは見やすい表示でも、スマホで折りたたまれ、購入ボタンから遠く、リンク文字が小さく、重要条件が見えにくい場合、消費者が容易に認識できる表示とは評価されにくくなります。最終確認画面では、スマホで注文ボタン直前に重要6項目を確認できる設計が必要です。

次の表は、掲載前に商品ページ・LP・カート・最終確認画面・メール広告ごとに確認する項目です。OK/NG欄を使うことで、どの画面で不足があるかを一覧で把握できます。

No.チェック項目OK/NG
1販売価格・役務対価が税込で明確に表示されている
2送料が金額又は消費者が認識できる方法で表示されている
3追加手数料・設置費・代引手数料等の内容と金額が表示されている
4支払方法が利用可能な方法を網羅している
5支払時期が前払い・後払い・決済・定期課金ごとに明確である
6引渡時期・提供時期が期間又は期限で表示されている
7申込期限・販売期間がある場合、内容が明確である
8返品可否、返品期間、返品送料、連絡方法が表示されている
9キャンセル・解約方法、期限、違約金が表示されている
10事業者の正式名称、住所、電話番号が表示されている
11法人の場合、代表者又は通信販売業務責任者の氏名が表示されている
12個人事業者の場合、屋号のみ・私書箱のみになっていない
13外国法人・海外住所の場合、国内事務所等の表示要否を確認した
14契約不適合責任に関する特約がある場合、その内容が表示されている
15ソフトウェア・デジタルコンテンツの動作環境が表示されている
16定期購入・サブスクの回数、総額、次回価格、解約条件が明確である
17販売数量制限、地域制限、年齢制限等の特別条件が表示されている
18有料資料・カタログ等の金額が表示されている
19メール広告の同意取得、配信停止、メールアドレス表示、記録保存を整備している
20最終確認画面に6項目が一覧性をもって表示されている
21注文内容を容易に確認・訂正できる
22注文ボタンが有料申込みであることを明確に示している
23広告表現が景品表示法上の優良誤認・有利誤認を招かない
24注文フォームで個人情報の利用目的が明示又は容易に確認できる
25掲載時点の画面・広告・承認記録を保存している
Section 08

ECサイトの特商法表示でよくある質問

個別事情で結論が変わるため、一般的な考え方と専門家確認が必要な場面を整理します。

特商法表記ページがあれば、商品ページやLPには表示しなくてもよいですか

一般的には、商品ページやLP自体が通信販売広告に当たる場合、販売価格、送料、返品特約、定期購入条件など購入判断に重要な事項は、その広告内でも消費者が認識できるようにする必要があるとされています。ただし、取引形態、表示場所、リンク導線、商品特性によって評価が変わる可能性があります。具体的な対応は、画面と販売条件を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

個人事業者でも住所や電話番号を表示する必要がありますか

一般的には、営利意思をもって反復継続して通信販売を行う個人は、販売業者又は役務提供事業者として氏名、住所、電話番号の表示が問題になるとされています。ただし、プラットフォームや仮想オフィスの連絡先表示が検討できる場面もあり、連絡機能、本人確認、運営者との合意などで結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、利用サービスと連絡体制を確認したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

定期購入では何を最も注意すべきですか

一般的には、1回限りではないこと、2回目以降の価格、最低購入回数、支払総額、配送頻度、解約方法、解約期限を、商品ページ・LP・最終確認画面で分かりやすく示すことが重要とされています。ただし、契約期間、無料トライアル、初回割引、解約受付方法、広告表現によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、販売導線と請求設計を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

最終確認画面ではリンクを置けば足りますか

一般的には、注文確定直前に顧客が契約事項を簡単に最終確認できる表示が求められるとされています。リンクだけで重要事項が画面上に要約されていない場合、分量、価格、支払時期、引渡時期、申込期間、撤回・解除事項を簡単に確認できないと評価される可能性があります。具体的な対応は、画面設計とスマホ表示を確認したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

電話だけの解約受付は認められますか

一般的には、電話受付それ自体が直ちに否定されるものではないとされています。ただし、実際につながらない、受付時間が極端に短い、処理記録がない、解約期限前の連絡を処理しないといった運用では、表示義務違反や解除妨害のリスクが高まる可能性があります。具体的な対応は、受付体制とログ保存を確認したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

ECサイトの特商法対応を最後にどうまとめればよいですか

一般的には、消費者が、誰から、何を、いくらで、いつ支払い、いつ受け取り、どの条件で返品・解約できるのかを、申込み前と注文確定直前の双方で明確に理解できる状態にすることが基本とされています。企業法務の観点では、特商法対応はページを1枚作る作業ではなく、広告、商品設計、価格、物流、決済、返品、解約、個人情報、画面、証跡管理を統合するコンプライアンス設計です。

Reference

この記事の参考資料

公的資料・法令

  • 消費者庁 特定商取引法ガイド 通信販売
  • 消費者庁 特定商取引法ガイド 通信販売広告について
  • 消費者庁 通信販売広告Q&A
  • 消費者庁 特定商取引法ガイド ガイドライン
  • 消費者庁 通信販売における最終確認画面について
  • e-Gov法令検索 特定商取引に関する法律
  • e-Gov法令検索 特定商取引に関する法律施行規則
  • 国税庁 No.6902 総額表示の義務付け
  • 消費者庁 景品表示法 表示規制の概要
  • 個人情報保護委員会 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン 通則編