市場規模や成長率だけでなく、外資規制、許認可、税務、労務、知財、データ、制裁、紛争解決、撤退可能性を統合して、指定国戦略を設計します。
市場規模や成長率だけでなく、外資規制、許認可、税務、労務、知財、データ、制裁、紛争解決、撤退可能性を統合して、指定国戦略を設計します。
市場魅力度だけでなく、法的実行可能性、資金回収、統制、撤退可能性を同時に評価します。
海外進出国の選定と指定国戦略は、単なる市場選びではありません。その国で、自社の事業を合法的に、継続可能に、利益を回収できる形で、ガバナンス可能なリスク水準に抑えながら実行できるかを判断する作業です。
指定国戦略とは、候補国の中から優先国を指定した後に、参入形態、投資規模、法務・税務・会計・人事・知財・コンプライアンス体制、契約体系、リスク許容度、撤退条件を一体として設計する国別戦略です。
次の重要ポイントは、海外進出国を選ぶときに市場規模だけでは足りない理由を示しています。読者は、魅力度と実行可能性を分けて読むことで、進出後に起きる許認可、送金、労務、腐敗、制裁、知財、撤退の問題を早期に検討できます。
需要、競争、物流、採用、税制、資金回収、外資規制、許認可、腐敗、制裁、輸出管理、個人情報、労務、知財、契約執行、撤退可能性を横断して判断します。
次の比較一覧は、指定国戦略で最初に確認する3つの問いを整理しています。どの国に進出するかだけでなく、その国でどの構造なら勝てるかを読み取ることが大切です。
人口、成長率、顧客、競合、価格受容性、販売チャネルを確認します。
外資規制、許認可、契約執行、税務、労務、データ、制裁を確認します。
内部統制、パートナー管理、KPI/KRI、撤退条件、危機管理を確認します。
国・地域・都市・経済特区まで含め、事業仮説と法務構造を具体化します。
海外進出国の選定とは、海外事業の目的に照らし、複数の国・地域を比較し、進出候補国を抽出、評価、優先順位付けし、最終的な進出対象国を決めるプロセスです。実務上は、州、都市、経済特区、工業団地、自由貿易区、データセンター所在地域、販売代理店の営業地域なども比較対象になります。
指定国戦略は、優先国として指定された国について、事業計画と法務計画を一体化し、実行段階に落とし込む国別戦略です。英語ではcountry playbook、country entry strategy、target country strategyに近い発想です。
次の表は、指定国戦略に含めるべき要素を並べたものです。各行は、進出先の魅力度だけでなく、その国で事業を続け、利益を回収し、問題が起きたら撤退できるかを読むための確認軸です。
| 要素 | 検討内容 |
|---|---|
| 事業仮説 | 何を売るのか、誰に売るのか、なぜその国なのかを確認します。 |
| 参入形態 | 輸出、販売代理店、ライセンス、支店、現地法人、JV、M&A、製造拠点、地域統括拠点を比較します。 |
| 法務構造 | 外資規制、会社設立、許認可、契約、準拠法、紛争解決、撤退条項を確認します。 |
| 税務構造 | 租税条約、源泉税、移転価格、PE、関税、VAT/GST、利益送金を確認します。 |
| 会計・内部統制 | 現地会計基準、親会社連結、決裁統制、証跡管理、不正防止を確認します。 |
| 人事・労務 | 雇用契約、就業規則、解雇規制、駐在員、ビザ、社会保険、労災を確認します。 |
| 知財・データ | 商標、特許、営業秘密、個人情報、越境移転、データローカライゼーションを確認します。 |
| コンプライアンス | 贈収賄、制裁、輸出管理、競争法、反社・AML/CFT、内部通報を確認します。 |
| 撤退条件 | 清算、持分譲渡、雇用終了、在庫処分、知財回収を確認します。 |
次の比較一覧は、海外進出の目的ごとに見るべき論点を整理したものです。目的が異なると、同じ国でも評価軸が変わるため、最初に進出目的を明文化する必要があります。
人口、所得、広告規制、消費者保護、製品安全、代理店規制、決済規制を見ます。
製造コスト、物流、関税、環境規制、土地、労務、輸出管理を見ます。
研究人材、大学、特許、営業秘密、職務発明、共同研究、データ利用を見ます。
政治安定性、物流、代替生産能力、為替、制裁、災害、撤退容易性を見ます。
会社法、税制、租税条約、金融規制、駐在員税務、空港アクセス、データ移転を見ます。
OLI、CAGE、段階的国際化を使い、経験則だけに頼らない判断にします。
海外進出国の選定は、経験豊富な経営者の直感だけで決めると、成功事例の記憶や特定国への思い込みに左右されやすくなります。そこで、所有優位性・立地優位性・内部化優位性を整理するOLIパラダイム、国と国の距離を見るCAGEフレームワーク、段階的国際化とリアルオプションの発想を組み合わせます。
次の表は、OLIパラダイムを実務上の問いに置き換えたものです。自社に海外で通用する強みがあるか、その国に立地上の優位があるか、自社で内部化すべき理由があるかを順に読み取ります。
| OLI要素 | 実務上の問い |
|---|---|
| Ownership | 当社は海外でも通用する技術、ブランド、ノウハウ、顧客基盤を持っているかを確認します。 |
| Location | その国に市場、資源、人材、物流、税制、制度上の優位性があるかを確認します。 |
| Internalization | 代理店やライセンスではなく、自社拠点・JV・M&Aで内部化すべき理由があるかを確認します。 |
次の表は、CAGEの4つの距離を実務論点に展開したものです。距離が大きいほど、契約の誤解、行政手続の遅延、労務管理、価格戦略のズレが起きやすいと読みます。
| CAGE | 見るべき実務論点 |
|---|---|
| Cultural | 言語、宗教、商慣習、交渉文化、消費者行動を確認します。 |
| Administrative | 法制度、行政手続、外資規制、許認可、腐敗、裁判制度を確認します。 |
| Geographic | 物流、時差、港湾、災害、出張容易性を確認します。 |
| Economic | 所得水準、賃金、為替、インフレ、金融市場を確認します。 |
目的定義、ロングリスト、除外条件、スコアリング、指定国戦略の順に進めます。
海外進出国の選定は、目的定義、ロングリスト作成、必須除外条件の確認、スコアリングとショートリスト化、指定国戦略の策定と決裁という5段階で進めると整理しやすくなります。初期段階では10〜30か国程度のロングリストを作り、必須除外条件で一時停止すべき国を先に外します。
次の判断の流れは、5段階モデルの順番と各段階の成果物を示しています。順番に意味があり、除外条件を確認する前に点数だけで比較すると、制裁、外資規制、送金制限、許認可不可能といった重大リスクを見落としやすくなります。
市場、生産、調達、R&D、地域統括、M&Aなどの進出目的を文書化します。
市場規模、物流、労働力、税制、治安、知財、投資協定などで候補国を広めに抽出します。
制裁、治安、外資規制、許認可、送金制限、腐敗、データ規制などを確認します。
市場魅力度、実行可能性、統制可能性、撤退可能性を分けて評価します。
1〜3か国の候補について国別実行計画を作成し、取締役会・経営会議へ上程します。
次の表は、スコアリング前に確認する除外・一時停止条件です。該当する場合は、点数が高くても採用しない、又は専門家確認が終わるまで進めないというゲートとして読みます。
| 条件 | 具体例 |
|---|---|
| 制裁・禁輸 | 日本、米国、EU、国連等の制裁対象者・地域との取引リスクが高い場合です。 |
| 治安・退避リスク | 退避・渡航中止レベルの地域が事業遂行に不可欠な場合です。 |
| 外資規制 | 対象業種で外資出資比率が制限され、支配権を確保できない場合です。 |
| 許認可不可能 | 事業許可取得の見込みが乏しい、又は裁量・不透明性が大きい場合です。 |
| 資金回収困難 | 配当、ロイヤルティ、サービスフィー、貸付返済の送金制限が重大な場合です。 |
| 腐敗リスク | 許認可・通関・公共調達で贈賄要求が構造的に発生し得る場合です。 |
| 知財リスク | 商標冒認、営業秘密流出、模倣品対応が致命的な場合です。 |
| データ規制 | 個人データ・重要データの越境移転が事業モデルと両立しない場合です。 |
| 紛争解決困難 | 契約執行、仲裁判断の承認執行、担保実行が著しく不確実な場合です。 |
次の表は、100点満点で候補国を比較する例です。点数は市場魅力度だけでなく、法規制、コンプライアンス、物流、税務、労務、知財、撤退可能性に配分されるため、どの国が統制可能かを読み取れます。
| 評価領域 | 配点 | 主な指標 |
|---|---|---|
| 事業・市場適合性 | 20 | 市場規模、成長性、顧客、競争、価格受容性です。 |
| 法規制・許認可実行可能性 | 20 | 外資規制、業法、会社設立、土地、広告・表示、製品規制です。 |
| コンプライアンス・インテグリティ | 15 | 腐敗、制裁、AML/CFT、反社、公共調達、第三者リスクです。 |
| オペレーション・物流 | 15 | 物流、電力、港湾、通関、サプライヤー、災害です。 |
| 税務・資金回収 | 10 | 租税条約、源泉税、移転価格、PE、関税、配当送金です。 |
| 人事・労務・駐在 | 10 | 採用、雇用契約、解雇、労働許可、社会保険、安全配慮です。 |
| 知財・データ・技術管理 | 5 | 商標、特許、営業秘密、個人情報、輸出管理です。 |
| 紛争解決・撤退可能性 | 5 | 裁判、仲裁、執行、清算、JV解消、在庫・資産処分です。 |
ランキングに頼らず、市場、制度、物流、外資規制、租税、治安、腐敗を組み合わせます。
海外進出国の選定では、単一のランキングに依存すべきではありません。ランキングは便利ですが、業種別規制、地方行政の実態、許認可担当官の裁量、契約執行、現地パートナーの質までは十分に示しません。
次の一覧は、信頼できる情報源を用途別に整理したものです。各資料の数字や評価は出発点であり、最終判断では対象国の最新法令、当局運用、現地専門家の確認を重ねて読む必要があります。
UNCTAD、世界銀行B-READY、JETRO投資コスト比較を使い、FDI動向、会社設立、労働、税、貿易を確認します。
初期比較世界銀行WGI、OECD外資規制指標を使い、法の支配、規制の質、腐敗抑制、外資制限を確認します。
制度確認世界銀行LPI、外務省海外安全情報、現地フォワーダー情報を組み合わせ、港湾、通関、移動安全を確認します。
現場確認Transparency International、財務省、国連、OFAC、EU Sanctions Mapなどで贈収賄・制裁リスクを確認します。
取引停止リスク次の比較一覧は、指定国を決める前に見るべき法務デュー・ディリジェンス領域です。各領域は別々に見えるものの、会社設立、税務、契約、労務、知財、データ、輸出管理が連動して事業構造を決めます。
100%出資、現地パートナー、居住者役員、最低資本金、土地取得、承認制度を確認します。
申請者要件、資本金、責任者、設備、地方政府承認、更新、罰則、M&A承継を確認します。
裁判期間、仮処分、仲裁、外国判決、強制執行、準拠法、送達、証拠保全を確認します。
商標冒認、営業秘密、個人データ越境移転、クラウド、データローカライゼーションを確認します。
採用難、解雇規制、労働時間、組合、ビザ、社会保険、海外派遣者特別加入を確認します。
製品、技術、ソフトウェア、クラウドアクセス、再輸出、顧客、最終用途を確認します。
輸出、代理店、ライセンス、支店、子会社、JV、M&Aを税務・契約と一体で比較します。
海外拠点の形態には、輸出、販売代理店、ライセンス、駐在員事務所、支店、現地子会社、JV、M&A、Greenfieldがあります。形態ごとに、投資額、統制、税務、雇用、撤退コスト、契約リスクが異なります。
次の表は、拠点形態ごとの長所と主なリスクを整理したものです。単に始めやすいかではなく、責任分離、PE、代理店不正、知財流出、許認可承継、撤退コストを読み取ります。
| 形態 | 長所 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 輸出 | 低コストで開始可能です。 | 代理店依存、通関、製品責任、PEリスクがあります。 |
| 販売代理店 | 現地ネットワークを使えます。 | 代理店不正、解除困難、競業、贈収賄があります。 |
| ライセンス | 投資を抑えられます。 | 知財流出、品質管理、ロイヤルティ送金があります。 |
| 駐在員事務所 | 情報収集に向きます。 | 営業活動制限、税務リスクがあります。 |
| 支店 | 本社信用を使えます。 | 本社が直接責任を負い、PE・税務管理が必要です。 |
| 現地子会社 | 責任分離、採用・契約に向きます。 | 設立・維持コスト、現地統制が必要です。 |
| JV | 現地パートナーの知見を使えます。 | デッドロック、利益相反、情報流出があります。 |
| M&A | 短期間で事業取得できます。 | 簿外債務、不正、労務、許認可承継があります。 |
次の比較一覧は、税務・会計で見るべき論点をまとめたものです。利益が出る見込みだけでは足りず、配当、ロイヤルティ、サービスフィー、関税、移転価格、現地会計、内部統制まで含めて利益を回収できるかを読みます。
代理人PE、建設PE、サービスPE、在宅勤務、倉庫、契約締結権限を確認します。
配当、利子、ロイヤルティ、技術支援料、サービスフィーの税負担と届出を確認します。
製品販売、部品供給、ロイヤルティ、親子ローン、保証料、研究開発費配賦を確認します。
HSコード、FTA/EPA、関税評価、保税制度、輸出入許可を確認します。
現地会計基準、月次決算、ERP、銀行口座、支払承認、証憑、棚卸、内部監査を確認します。
次の一覧は、指定国戦略を契約条項に落とすときの基本項目です。契約は戦略の結果であり、誰がどのリスクを負うかを決めてから条項を設計する必要があります。
許認可表明保証、腐敗防止、制裁・輸出管理、知財帰属、秘密保持、個人情報、監査権、解除、準拠法を入れます。
横断条項販売範囲、独占、最低購入数量、競争法、ブランド利用、広告審査、解除補償、顧客情報返還を定めます。
解除注意出資比率、取締役指名権、拒否権、事業範囲、技術供与、配当、デッドロック、撤退権を定めます。
支配権許認可承継、外資審査、簿外債務、税務、労務、環境、腐敗・制裁違反、データ漏えいを確認します。
DD連動国別の実行計画に、法務・許認可、契約、税務、コンプライアンス、撤退条件を落とします。
指定国戦略は、単なる調査資料ではなく、経営・法務・税務・人事・営業が同じ地図を見るための国別プレイブックです。指定国名、進出目的、推奨参入形態、投資額、主要リスク、承認依頼事項、次の90日で行うことを先頭で整理します。
次の比較一覧は、国別プレイブックに入れる主要章を示しています。章ごとに担当部門が異なるため、全体を1つの実行計画として読むことが重要です。
対象顧客、競合、価格、販売チャネル、主要パートナー、売上計画、損益分岐点、撤退基準を整理します。
会社設立、外資規制、業法許認可、輸入・販売規制、広告、消費者保護、データ、労務、競争法を整理します。
初期形態、移行形態、資本構成、役員、決裁権限、銀行口座、会計システム、レポートラインを整理します。
代理店、販売、購買、ライセンス、サービス、雇用、NDA、JV、M&A、データ処理、物流契約を整理します。
租税条約、源泉税、移転価格、関税、VAT/GST、配当、ロイヤルティ、親子ローン、為替ヘッジを整理します。
第三者DD、代理店審査、贈収賄研修、接待・贈答、制裁スクリーニング、通報、内部監査を整理します。
次の表は、リスク登録簿の例です。発生可能性と影響度を分けて読むことで、予防策と発生時対応を事前に決められます。
| リスク | 発生可能性 | 影響度 | 予防策 | 発生時対応 |
|---|---|---|---|---|
| 許認可遅延 | 中 | 高 | 当局事前相談、現地専門家確認 | 予備スケジュールを発動します。 |
| 代理店不正 | 中 | 高 | DD、監査権、支払制限 | 契約解除、調査、当局対応を検討します。 |
| データ移転違反 | 低〜中 | 高 | DPA、同意、移転影響評価 | 通知、是正、再発防止を行います。 |
| 為替急変 | 中 | 中 | ヘッジ、価格調整条項 | 価格改定、調達変更を検討します。 |
| 労務紛争 | 中 | 中〜高 | 就業規則、研修、相談窓口 | 現地専門家、和解、再発防止を検討します。 |
| 制裁変更 | 低〜中 | 高 | 継続スクリーニング | 取引停止、ライセンス確認を行います。 |
販売、製造、R&D、地域統括、JV、M&Aで、法務・税務・統制の重みが変わります。
進出類型によって、指定国戦略の中心論点は変わります。販売拠点では代理店管理と広告・消費者規制、製造拠点では土地・環境・労務、R&Dでは知財・データ・輸出管理、地域統括では税務・実体、JVでは支配権、M&Aでは過去の違反や簿外債務が重要です。
次の比較一覧は、進出類型ごとの重点論点を整理しています。自社の目的に近い類型を読むことで、初期に何を調査すべきかを把握できます。
顧客開拓、代理店管理、広告規制、消費者保護、製品責任、個人情報、決済、契約解除を確認します。
顧客接点土地、工場、環境許認可、労務、電力、水、物流、通関、原産地、設備輸入、品質管理を確認します。
固定投資人材、大学、知財帰属、職務発明、営業秘密、サイバー、データ移転、AI規制を確認します。
技術管理税務、配当、ロイヤルティ、シェアードサービス、金融、駐在員、政治安定性、条約を確認します。
実体要件支配権、情報、利益相反、汚職、会計不正、技術流出を確認し、契約で撤退権を設計します。
支配権許認可、人材、顧客を短期間で取得できる一方、過去の贈賄、制裁、労務、税務、環境、データの違反を確認します。
過去リスク次の重要要素の一覧は、国別比較で見落とされやすい誤解を示しています。見た目の魅力と法的安全性は一致しないため、各項目を反証材料として読むことが重要です。
離職率、管理職不足、品質不良、労働争議、物流不安があると総コストは上がります。
文化的好感度と契約執行可能性は別です。外資規制、税務調査、腐敗、知財侵害を確認します。
需要不足、規制の厳しさ、物流難、資金回収困難、現地パートナー支配の可能性があります。
政府関係者との近さを強調する人物、使途不明な手数料、監査拒否、成功報酬のみの紹介者には注意します。
契約書は戦略の結果です。国、参入形態、リスク分担、撤退時点が決まってから設計します。
専門職の役割を分け、架空事例でスコアと指定国戦略の関係を確認します。
海外進出国の選定と指定国戦略では、弁護士、企業内弁護士、外国法事務弁護士、現地弁護士、税理士、公認会計士、弁理士、社労士、コンプライアンス・内部監査・危機管理担当が早期に関与します。専門職ごとに見る領域が異なるため、最終的には1つの国別計画へ統合します。
次の比較一覧は、専門職ごとの関与ポイントを整理したものです。誰に何を確認するかを明確にすることで、調査の重複や責任の空白を避けられます。
外資規制、業法、契約、M&A、競争法、紛争、贈収賄、制裁、データ、労務、撤退を横断します。
法令、許認可、行政実務、訴訟・仲裁、現地語契約、所要期間、当局裁量を確認します。
商標、特許、意匠、営業秘密、駐在員、就業規則、研修、第三者DD、内部監査を確認します。
次の表は、B2B製造業A社がアジアで販売・軽加工拠点を検討する架空事例です。合計点だけでなく、X国は市場が大きいが法規制・腐敗リスクが重く、Y国は総合的に安定し、Z国は低コストだが労務と物流に課題があると読み取ります。
| 評価領域 | X国 | Y国 | Z国 |
|---|---|---|---|
| 市場適合性 | 18 | 15 | 12 |
| 法規制・許認可 | 10 | 17 | 14 |
| コンプライアンス | 8 | 13 | 15 |
| 物流 | 15 | 12 | 10 |
| 税務・送金 | 7 | 9 | 8 |
| 労務 | 8 | 8 | 6 |
| 知財・データ | 3 | 4 | 4 |
| 紛争解決・撤退 | 2 | 4 | 3 |
| 合計 | 71 | 82 | 72 |
この例では、Y国を第1指定国、X国を販売代理店による観察国、Z国を中期的な調達候補国とします。Y国では最初の12か月は現地子会社を設立せず、非独占代理店と技術サポート契約を締結し、商標出願、顧客DD、輸出管理確認、税務PE評価を並行します。売上が一定額を超え、主要顧客が3社以上固定化した時点で、現地法人設立を取締役会に再上程します。
承認前に、比較理由、許認可、制裁、データ、知財、税務、撤退を確認します。
取締役や監査役は、海外進出案件について、なぜその国なのか、外資規制と許認可は確認済みか、現地パートナーの実質的支配者や制裁該当性は確認したか、贈収賄リスクと代理店管理策はあるかを確認します。
次の一覧は、取締役会・経営会議で問うべき質問を整理したものです。質問は順番に意味があり、国の比較、法規制、パートナー、コンプライアンス、税務、撤退、監督体制まで広げて読むことで、投資判断の前提を固められます。
この国を選ぶ理由は他国との比較で説明できるか、進出目的と整合しているかを確認します。
外資規制、許認可、商標、個人情報、制裁、輸出管理、紛争時の準拠法・仲裁地を確認します。
実質的支配者、政治的関係、代理店管理、贈収賄リスク、内部監査、研修計画を確認します。
租税条約、源泉税、移転価格、PE、撤退費用、清算、JV解消、在庫・資産処分を確認します。
次の表は、国選定前、指定国戦略、契約の3段階で確認する実務項目です。チェック対象が段階別に分かれているため、どの段階で何を完了すべきかを読み取れます。
| 段階 | 確認事項 |
|---|---|
| 国選定前 | 進出目的、候補国比較、市場魅力度と法規制実行可能性、外資規制、許認可、制裁・輸出管理、腐敗、治安、税務・送金、知財、労務、データ、紛争解決、撤退可能性を確認します。 |
| 指定国戦略 | 参入形態、スケジュール、許認可ロードマップ、契約体系、税務・移転価格、現地ガバナンス、代理店・JV・M&A対象のDD、研修、内部統制、リスク登録簿、撤退基準、承認事項を整理します。 |
| 契約 | 準拠法・紛争解決、腐敗防止、制裁・輸出管理、知財・データ、監査権、解除、価格改定・為替、不可抗力・ハードシップ、言語優先順位、契約終了時の在庫・顧客・データ・知財返還を定めます。 |
次の比較一覧は、社内提出用の指定国戦略メモに入れる章を示しています。空欄を埋める形式で使うと、指定国、進出目的、参入形態、主要法務論点、税務・会計、コンプライアンス、リスク登録簿、投資額、撤退条件、承認依頼事項を漏れなく整理できます。
国・地域、都市・州、選定理由を記載します。
市場獲得、生産・調達、R&D、地域統括、その他を記載します。
初期形態、12か月後、36か月後、代替案を記載します。
外資規制、業法、会社設立、契約、知財、労務、個人情報、競争法、贈収賄、制裁、紛争解決、撤退を記載します。
租税条約、源泉税、PE、移転価格、関税、VAT/GST、配当・ロイヤルティ送金、監査を記載します。
承認事項、条件、次回報告時期を記載します。
一般情報として、判断軸と注意点を整理します。
一般的には、市場規模は重要な要素とされています。ただし、市場規模だけで選ぶと、外資規制、許認可、腐敗、送金制限、労務、知財、紛争解決が事業と合わず、利益を回収できない可能性があります。具体的には専門家の確認を踏まえる必要があります。
一般的には、候補国を1〜3か国に絞った段階で作るのが望ましいとされています。最終決裁後ではなく、取締役会や経営会議が投資判断を行う前に、指定国戦略を確認できる状態にする必要があります。
一般的には、事業目的、規制、税務、統制、投資規模によって変わります。代理店契約は柔軟ですが、代理店不正、顧客情報の囲い込み、契約解除補償が問題になる可能性があります。現地法人は統制しやすい一方で、維持コスト、労務、税務、会計、撤退コストが発生します。
一般的には、有効な場合もありますが万能ではありません。JVは外資規制、顧客アクセス、許認可、人材、土地、販売網で有用な一方、支配権、デッドロック、技術流出、会計不正、腐敗、利益相反のリスクがあります。
一般的には、多くの場合で検討が必要とされています。商標の先取り、模倣品、代理店による登録、ドメイン取得を防ぐため、進出候補国の段階で商標クリアランスと出願方針を整理する必要があります。
一般的には、撤退戦略は失敗を前提にするものではなく、投資を合理化するための統制とされています。撤退条件が明確であれば、損失拡大を防ぎ、JVや代理店との交渉でも主導権を持ちやすくなります。
経営企画の付属資料ではなく、取締役会レベルの法務・経営判断として扱います。
海外進出国の選定と指定国戦略は、企業の成長戦略そのものであると同時に、企業法務の総合力が問われる領域です。進出先を選ぶ行為は、市場だけでなく、法制度、行政、税制、紛争解決、労務、知財、データ、制裁、輸出管理、腐敗リスク、撤退可能性を選ぶ行為でもあります。
良い国選定は、成長市場を見つけることだけではありません。自社の事業目的に照らして、リスクを理解し、統制可能な形で利益を回収し、必要なら撤退できる構造を選ぶことです。
制度の詳細や最新情報を確認する際の主要な一次情報源です。