2σ Guide

生成AI利用に関する
規程整備のポイント

企業法務、個人情報保護、知財、労務、情報セキュリティ、内部統制を横断し、生成AIを業務で安全に使うための社内ルール設計を整理します。

3区分 禁止・承認・通常利用
5点 規程群の推奨構成
90日 実装ロードマップ
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生成AI利用に関する 規程整備のポイント

企業法務、個人情報保護、知財、労務、情報セキュリティ、内部統制を横断し、生成AIを業務で安全に使うための社内ルール設計を整理します。

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生成AI利用に関する 規程整備のポイント
企業法務、個人情報保護、知財、労務、情報セキュリティ、内部統制を横断し、生成AIを業務で安全に使うための社内ルール設計を整理します。
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  • 生成AI利用に関する 規程整備のポイント
  • 企業法務、個人情報保護、知財、労務、情報セキュリティ、内部統制を横断し、生成AIを業務で安全に使うための社内ルール設計を整理します。

POINT 1

  • 生成AI利用に関する規程整備の全体像
  • 便利なツールの利用許可だけでなく、企業活動としての入力、出力、確認、記録を一体で設計します。
  • 生成AI利用規程は、利用促進とリスク管理を同じ文書で扱うガバナンス基盤です。
  • 情報提供の前提
  • 統合して見る実務領域

POINT 2

  • 生成AI利用に関する規程整備で押さえる文書体系
  • 規程、ガイドライン、手順書、台帳を分けると、改定しやすく現場でも使いやすい運用になります。
  • 用語定義を先にそろえます
  • 生成AIは、従業員個人の便利ツールではなく企業活動の一部です。
  • 読者にとって重要なのは、すべてを硬い規程に入れるとツール更新のたびに改定が必要になる点です。

POINT 3

  • 生成AI利用に関する規程整備の基本方針と利用区分
  • 全面禁止ではなく、リスク別、ユースケース別、データ分類別に管理する設計が実務的です。
  • データ分類と連動させます
  • AI出力は最終判断ではありません
  • 生成AIを全面禁止すると、短期的には情報漏えいリスクを抑えやすくなります。

POINT 4

  • 生成AI利用に関する規程整備で管理する主要リスク
  • 秘密情報漏えい
  • 個人情報・プライバシー
  • 利用目的、委託、第三者提供、共同利用、越境移転、本人対応、漏えい等報告の手順を整えます。

POINT 5

  • 生成AI利用に関する規程整備の入力ルール
  • 入力禁止情報、マスキング、プロンプト作成の注意点を具体化します。
  • マスキングの基準
  • プロンプト作成の注意点
  • 規程で最も実効性が高いのは、入力禁止情報リストです。

POINT 6

  • 生成AI利用に関する規程整備の出力ルール
  • 1. 用途を特定します:社内参考、顧客提出、広告、契約、当局提出などを分けます。
  • 2. 事実と根拠を確認します:法令、判例、日付、数値、固有名詞、出典の実在性を確認します。
  • 3. 権利・契約・表示規制に触れますか:著作権、商標、肖像、顧客契約、業法、広告規制を確認します。
  • 4. 所管部門レビューへ回します:法務、知財、個人情報、業法、広告審査の確認を受けます。
  • 5. 確認記録を残します:確認者、確認日、修正履歴、利用ツールを記録します。

POINT 7

  • 生成AI利用に関する規程整備とAIツールの契約審査
  • 導入審査では、IT、法務、個人情報、知財、セキュリティ、内部統制を同時に見ます。
  • 契約条項で確認するポイント
  • 委託先のAI利用も契約で縛ります
  • 契約条件、学習利用、保存期間、管理区域、再委託、サブプロセッサ、インシデント通知、監査権、責任制限を確認します。

POINT 8

  • 生成AI利用に関する規程整備と個人情報・知財
  • 個人情報の種類
  • 氏名、問い合わせ履歴、従業員情報、応募者情報、健康情報などを分類します。
  • 利用目的との関連性
  • 特定された利用目的の達成に必要な範囲か確認します。

まとめ

  • 生成AI利用に関する 規程整備のポイント
  • 生成AI利用に関する規程整備の全体像:便利なツールの利用許可だけでなく、企業活動としての入力、出力、確認、記録を一体で設計します。
  • 生成AI利用に関する規程整備で押さえる文書体系:規程、ガイドライン、手順書、台帳を分けると、改定しやすく現場でも使いやすい運用になります。
  • 生成AI利用に関する規程整備の基本方針と利用区分:全面禁止ではなく、リスク別、ユースケース別、データ分類別に管理する設計が実務的です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

生成AI利用に関する規程整備の全体像

便利なツールの利用許可だけでなく、企業活動としての入力、出力、確認、記録を一体で設計します。

生成AI利用に関する規程整備のポイントは、「使えるツール」と「入れてはいけない情報」を列挙するだけでは足りません。文章作成、要約、翻訳、契約書レビュー補助、コード生成、広告文案、FAQ作成、議事録作成、調査、分析、画像生成、顧客対応などの利用は、入力情報の外部送信、出力内容の誤り、著作権侵害、秘密情報の漏えい、個人情報保護、差別的判断、シャドーAI、証跡不足と同時に結びつきます。

このページでは、生成AI利用規程を禁止文書ではなく、安全な業務利用を広げるための統制文書として位置づけます。重要なのは、誰が、何の目的で、どの情報を、どのツールに入力し、どの出力を、どの業務判断に使うのかを明確にすることです。

次の重要ポイントは、生成AI利用規程がなぜ単独のITルールでは済まないのかを表しています。読者にとって重要なのは、法務、知財、個人情報、労務、セキュリティ、監査を同時に見る点です。ここから、規程が扱う範囲と責任の広がりを読み取れます。

生成AI利用規程は、利用促進とリスク管理を同じ文書で扱うガバナンス基盤です。

入力情報、出力確認、契約条件、ログ、教育、インシデント対応まで接続して初めて、現場が安心して生成AIを使える状態になります。

情報提供の前提

このページは一般的な情報提供を目的としています。個別案件の規程化、契約審査、個別紛争、当局対応では、事案の内容、契約、業種、海外拠点、情報管理体制によって結論が変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

統合して見る実務領域

次の一覧は、生成AI利用規程で関係する実務領域を表しています。読者にとって重要なのは、担当部署ごとに別々の問題として扱うと抜け漏れが出やすい点です。各項目から、規程作成時に相談すべき部門や専門領域を読み取れます。

LEGAL

企業法務・契約

契約法務、商事法務、コンプライアンス、危機管理、M&A、業界規制の観点を接続します。

DATA

個人情報・セキュリティ

個人情報保護、プライバシー、情報セキュリティ、デジタルフォレンジック、ログ管理を扱います。

IP

知財・研究開発

著作権、営業秘密、発明、ライセンス、ソースコード、共同研究データの取扱いを確認します。

HR

労務・内部統制

就業規則、懲戒、従業員教育、人事評価、内部監査、経営ガバナンスと連動させます。

Section 01

生成AI利用に関する規程整備で押さえる文書体系

規程、ガイドライン、手順書、台帳を分けると、改定しやすく現場でも使いやすい運用になります。

生成AIは、従業員個人の便利ツールではなく企業活動の一部です。入力、出力、保存、共有、再利用、外部公開、顧客提供、意思決定への利用は、会社の情報管理、契約責任、知財戦略、個人情報保護、労務管理、内部統制、ブランド信用に直結します。

公的ガイドラインでは、AI開発者、AI提供者、AI利用者という主体ごとの役割、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ、透明性、アカウンタビリティなどが重視されています。社内規程はそれを写すだけでなく、各社の業種、規模、情報資産、顧客属性、契約、海外拠点、セキュリティ水準、既存内部統制へ落とし込みます。

次の比較表は、社内文書ごとの役割と使い分けを表しています。読者にとって重要なのは、すべてを硬い規程に入れるとツール更新のたびに改定が必要になる点です。各列から、基本ルール、判断基準、操作手順、記録の置き場所を読み取れます。

文書役割
規程会社としての基本ルール、違反時の責任、承認権限の根拠を示します。生成AI利用管理規程、情報管理規程、個人情報保護規程
ガイドライン実務上の判断基準や推奨事項を示します。生成AI利用ガイドライン、プロンプト作成指針
手順書具体的な操作、申請、ログ確認の手順を示します。AIツール利用申請手順、ログ確認手順
チェックリスト利用前、公表時、契約前、監査時の確認事項を整理します。生成AI利用前チェック、外部公表時チェック
台帳ツール、用途、責任者、契約条件、リスク評価を記録します。AI利用台帳、AIサービス台帳
教育資料従業員研修、役員説明、管理職向け説明に使います。生成AI利用研修資料、違反事例集

用語定義を先にそろえます

次の一覧は、生成AI利用規程で定義しておきたい主要用語を表しています。読者にとって重要なのは、用語の意味が曖昧だと禁止範囲、承認範囲、確認責任がぶれる点です。各項目から、条文に入れるべき対象範囲を読み取れます。

AI

生成AI

文章、画像、音声、動画、コード、要約、分類、翻訳などの新たなコンテンツを生成するAIを指します。

対象範囲

プロンプト

指示、質問、条件、文脈、参考資料を含みます。秘密情報、個人情報、契約書、メール、ソースコードも入り得ます。

情報管理

出力

文章、表、コード、画像、提案、分析結果などです。会社の最終判断ではなく補助資料として扱います。

確認対象

シャドーAI

会社の承認を得ずに個人アカウントや無料サービスへ業務情報を入力する状態です。

監査不能

ハルシネーション

事実に反する内容、存在しない法令、判例、文献、社内ルールをもっともらしく出力する現象です。

専門確認
R

RAGと追加学習

社内文書検索を組み込む仕組みや追加データの学習では、アクセス権限、秘密保持、ライセンスの確認が必要です。

社内知識
Section 02

生成AI利用に関する規程整備の基本方針と利用区分

全面禁止ではなく、リスク別、ユースケース別、データ分類別に管理する設計が実務的です。

生成AIを全面禁止すると、短期的には情報漏えいリスクを抑えやすくなります。一方で、生産性、競争力、採用力、顧客対応、法務部門の効率化を損なうおそれがあります。禁止が現実的でない場合、従業員が隠れて使うシャドーAIを誘発します。

そのため、生成AI利用に関する規程整備では、ツール名だけでなく、利用目的、入力情報、出力用途、利用部門、外部公開の有無、意思決定への影響を基準にします。同じツールでも、公開情報の要約と顧客データを使った提案作成ではリスクが異なります。

次の比較表は、生成AI利用を3つの区分で管理する考え方を表しています。読者にとって重要なのは、禁止と許容の間に事前承認や条件付き利用を置くことで、現場利用と統制を両立できる点です。各行から、どの利用にどの管理方法を置くかを読み取れます。

区分管理方法
原則禁止機微な個人情報、営業秘密、未公表M&A情報、未公開決算情報を外部AIへ入力する利用です。禁止を基本にし、例外は役員または所管部門の承認に限定します。
事前承認契約書レビュー補助、顧客向け文書作成、コード生成、採用評価補助です。利用申請、リスク評価、ログ管理、確認責任者を定めます。
条件付き利用可社内文書の下書き、翻訳、要約、アイデア出しです。入力情報を制限し、出力確認と社外公表時レビューを求めます。
自由利用可公開情報の一般的な整理、機密を含まない文章改善です。最低限の注意義務と教育を維持します。

データ分類と連動させます

次の比較表は、入力情報の分類と生成AI利用時の考え方を表しています。読者にとって重要なのは、情報分類を使うことで現場が入力可否を判断しやすくなる点です。列ごとに、情報の具体例とAI入力時の管理水準を読み取れます。

情報分類生成AI入力の考え方
公開情報自社ウェブサイト、公開IR資料、公開法令原則として利用しやすい情報ですが、正確性確認は必要です。
社内限定情報社内手順、一般的な会議メモ承認済み社内AIまたは契約済みAIに限定します。
秘密情報未公開契約、価格情報、営業資料、技術情報原則禁止とし、必要時は承認と保護措置を求めます。
高度機密情報M&A、未公開決算、人事評価、訴訟方針、営業秘密外部AI入力禁止を基本にします。
個人情報・個人データ顧客名、従業員情報、問い合わせ履歴利用目的、委託、同意、学習利用条件を確認します。
要配慮情報健康、病歴、信条、犯罪歴など原則禁止とし、法務・個人情報保護責任者の承認を求めます。
第三者権利情報著作物、図面、写真、コード、データベース権利処理、ライセンス、契約上の利用範囲を確認します。

AI出力は最終判断ではありません

  • AI出力は、会社の最終判断そのものではなく補助資料として扱います。
  • 重要判断では、権限ある人間による確認を求めます。
  • 法務、知財、個人情報、セキュリティ、労務、業法に関わる出力は、所管部門が確認します。
  • 社外提供時は、出典、根拠、権利関係、表示規制を確認します。
  • AI出力に基づく業務判断の責任者を明確にします。
Section 03

生成AI利用に関する規程整備で管理する主要リスク

秘密情報、個人情報、知財、専門判断、バイアス、セキュリティ、契約、監査をまとめて扱います。

生成AI利用のリスクは、情報漏えいだけではありません。入力情報が外部環境へ送信されること、出力が不正確になり得ること、第三者権利と衝突すること、個人に重大な影響を与える判断に使われること、ログが残らず監査できないことが同時に問題になります。

次の一覧は、規程に反映すべき主要リスクを表しています。読者にとって重要なのは、各リスクに対応する所管部門と管理方法が異なる点です。各項目から、規程本文、ガイドライン、契約審査、監査項目へ展開すべき論点を読み取れます。

秘密情報漏えい

個人アカウント、無料版、私用端末での業務情報入力を制限し、学習利用、保存期間、アクセス制御、再委託、越境移転を確認します。

個人情報・プライバシー

利用目的、委託、第三者提供、共同利用、越境移転、本人対応、漏えい等報告の手順を整えます。

著作権・知的財産

第三者著作物、画像、文章、コード、設計図、データベースの入力と、AI生成物の社外利用を確認します。

専門判断の誤り

法令、判例、当局見解、契約条項、技術仕様、統計情報は一次情報で確認し、専門担当者がレビューします。

差別・バイアス・人権

採用、昇進、配置、懲戒、与信、保険、教育、医療、顧客ランク付けでAI出力を単独利用しない設計にします。

セキュリティ

プロンプトインジェクション、データポイズニング、機密情報の過剰出力、RAGの権限不備、AIエージェントの過剰権限を管理します。

契約違反

NDA、顧客契約、業務委託契約、共同研究契約、ライセンス契約の第三者提供、再委託、国外移転、学習利用の制限を確認します。

監査不能

誰が、いつ、どのツールで、何を入力し、どの出力を使ったかを追えるよう、ログの目的、範囲、保存期間、アクセス権を定めます。

重要弁護士相談、訴訟方針、内部調査資料、不祥事調査資料、未公開決算、M&A、要配慮情報、営業秘密は、通常の業務情報より厳格に扱います。

公的資料との整合性を確認します

AI事業者ガイドライン、個人情報保護委員会の注意喚起、文化庁のAIと著作権に関する整理、IPAのAIセキュリティ情報、デジタル庁の調達・利活用資料などは、規程の抽象原則を社内運用へ落とし込む際の参照軸になります。

Section 04

生成AI利用に関する規程整備の入力ルール

入力禁止情報、マスキング、プロンプト作成の注意点を具体化します。

規程で最も実効性が高いのは、入力禁止情報リストです。抽象的に機密情報を入力しないと書くだけでは現場が判断しづらいため、具体例まで示します。入力が必要な場合でも、マスキングや抽象化で再識別リスクを下げます。

次の比較表は、生成AIへ入力しない情報の例と、規程上の扱いを表しています。読者にとって重要なのは、個人情報、秘密情報、第三者権利情報、認証情報を同じ水準で扱うと過不足が出る点です。各行から、禁止、承認、契約確認の線引きを読み取れます。

入力禁止情報の例規程上の扱い
氏名、住所、電話番号、メールアドレス、顧客ID、従業員番号個人情報として利用目的、委託、学習利用条件を確認し、外部AI入力を制限します。
問い合わせ履歴、購買履歴、位置情報、健康情報、苦情内容本人への影響が大きいため、入力禁止または高い承認水準を置きます。
契約書原本、NDA対象資料、顧客から受領した資料顧客契約、NDA、目的外利用の制限を確認します。
未公開の価格表、営業戦略、技術仕様、設計図、ソースコード営業秘密やセキュリティの観点から、外部AI入力を原則として避けます。
未公開決算、予算、人員計画、M&A、資金調達、適時開示関連情報高度機密情報として、役員または所管部門の承認対象にします。
研究データ、特許出願前の発明、営業秘密秘密管理性、有用性、非公知性を損なわない管理が必要です。
訴訟資料、内部調査資料、内部通報情報証拠保全、秘匿性、当局対応への影響を確認します。
第三者著作物、写真、イラスト、映像、楽曲、記事、書籍本文権利処理や契約上の許諾を確認します。
パスワード、APIキー、秘密鍵、アクセストークン入力を禁止し、漏えい疑義時はセキュリティ対応へ移します。

マスキングの基準

  • 個人名は「A氏」「顧客1」などへ置換します。
  • 会社名は必要がなければ「取引先X」へ置換します。
  • 金額、日付、地名、部署名、固有の商品名も再識別に寄与する場合は変更します。
  • 複数情報の組合せで個人や案件が特定されないか確認します。
  • マスキング後も秘密保持契約上の秘密情報に該当する場合があるため、契約条件を確認します。
  • 要配慮個人情報や高度機密情報は、マスキングしても入力を避ける運用を基本にします。

プロンプト作成の注意点

  • 必要最小限の情報だけ入力します。
  • 出力形式、前提、参照情報、禁止事項を明示します。
  • 法令や判例を問う場合は、一次情報で確認する前提を入れます。
  • 不明な点は不明と回答させる指示を入れます。
  • 守秘情報、個人情報、第三者著作物を入れない運用を徹底します。
  • 社外利用する出力では、著作権侵害や誤情報のチェックを前提にします。
注意プロンプトは単なる質問文ではありません。会社情報の外部送信になり得るため、入力段階から情報管理の対象として扱います。
Section 05

生成AI利用に関する規程整備の出力ルール

出力用途ごとの確認水準、事実確認、AI利用の開示基準を整理します。

AI出力は自然な文章でも正確性を保証しません。法令、判例、当局見解、契約条項、技術仕様、統計情報、広告表示、コードなどは、出力用途に応じて確認水準を変える必要があります。

次の比較表は、出力用途ごとに求める確認水準を表しています。読者にとって重要なのは、個人メモと顧客提出資料、契約書案、当局提出資料では確認責任が大きく異なる点です。各行から、誰が何を確認するかを読み取れます。

出力用途確認水準
個人のメモ最低限の事実確認を行います。
社内共有資料内容確認、機密表示、出典確認を行います。
顧客提出資料法務・所管部門レビュー、権利確認、表示確認を行います。
契約書案法務担当または弁護士等の専門家による確認を行います。
広告・PR景表法、薬機法、金融規制、著作権、商標を確認します。
コードセキュリティ、ライセンス、テスト、レビューを実施します。
人事・採用人事責任者、法務、個人情報保護担当が確認します。
当局・裁判所提出専門家確認、根拠資料、証跡保存を行います。

次の判断の流れは、AI出力を社外利用できるかを確認する順番を表しています。読者にとって重要なのは、出力の使い道を決めてから事実、権利、契約、表示、証跡を順に確認する点です。分岐から、社外公表時に止めるべき場面を読み取れます。

AI出力を社外利用する前の判断の流れ

用途を特定します

社内参考、顧客提出、広告、契約、当局提出などを分けます。

事実と根拠を確認します

法令、判例、日付、数値、固有名詞、出典の実在性を確認します。

権利・契約・表示規制に触れますか

著作権、商標、肖像、顧客契約、業法、広告規制を確認します。

該当あり
所管部門レビューへ回します

法務、知財、個人情報、業法、広告審査の確認を受けます。

該当なし
確認記録を残します

確認者、確認日、修正履歴、利用ツールを記録します。

AI利用の開示基準

AIを使ったことを常に社外へ開示する義務があるとは限りません。ただし、顧客契約で開示が求められる場合、官公庁・金融・医療・教育などの調達や規制で説明を求められる場合、AI生成コンテンツという表示が消費者の判断に影響する場合、合成音声や合成画像が人の作成物と誤認されやすい場合、個人に重大な影響を与える判断に用いる場合は、開示または説明の要否を確認します。

Section 06

生成AI利用に関する規程整備とAIツールの契約審査

導入審査では、IT、法務、個人情報、知財、セキュリティ、内部統制を同時に見ます。

生成AIサービスの導入は、ITツール導入という側面と同時に、法務・個人情報・知財・セキュリティ・内部統制の審査対象でもあります。契約条件、学習利用、保存期間、管理区域、再委託、サブプロセッサ、インシデント通知、監査権、責任制限を確認します。

次の比較表は、AIツール導入前の審査分野と確認事項を表しています。読者にとって重要なのは、利用規約だけで判断するとデータ保存、個人情報、知財、継続性のリスクを見落としやすい点です。各分野から、導入承認前に確認する観点を読み取れます。

分野確認事項
契約利用規約、DPA、SLA、準拠法、裁判管轄、責任制限を確認します。
データ入力データの保存、学習利用、削除、エクスポートを確認します。
個人情報委託、第三者提供、越境移転、再委託、本人対応を確認します。
セキュリティ認証、暗号化、アクセス制御、監査ログ、脆弱性対応を確認します。
知財入力・出力の権利、学習データ、補償、侵害対応を確認します。
運用管理者権限、アカウント管理、ログ、教育、サポートを確認します。
継続性サービス停止、データ返還、終了時削除、代替手段を確認します。
監査監査報告書、第三者認証、インシデント通知、証跡を確認します。
海外法EU AI Act、GDPR、米国州法、輸出管理、制裁を確認します。

契約条項で確認するポイント

  1. 入力データの所有権と利用権を確認します。
  2. 入力データを学習、改善、分析に使うか確認します。
  3. 出力データの権利帰属を確認します。
  4. 出力の独占性がないことを確認します。
  5. 第三者権利侵害時の責任分担を確認します。
  6. 個人情報の取扱い、DPA、再委託を確認します。
  7. データ保存場所、越境移転、サブプロセッサを確認します。
  8. セキュリティ基準、暗号化、アクセス制御を確認します。
  9. インシデント通知期限を確認します。
  10. 監査権と第三者監査報告書を確認します。
  11. サービス停止時の対応を確認します。
  12. 契約終了時のデータ削除・返還を確認します。
  13. 利用規約変更の通知を確認します。
  14. 禁止利用と顧客側責任を確認します。
  15. 責任制限と補償を確認します。

委託先のAI利用も契約で縛ります

委託先が生成AIを使う場合、委託元企業の情報や個人データが委託先経由で外部AIに入力される可能性があります。委託契約には、生成AI利用の事前承認、入力禁止情報、承認済みAIサービスの限定、学習利用の禁止、再委託・サブプロセッサ制限、ログ保存、事故時報告、成果物にAI生成物を含む場合の説明、第三者権利侵害時の責任分担を入れます。

Section 07

生成AI利用に関する規程整備と個人情報・知財

個人情報保護、プライバシー影響評価、著作権、営業秘密、AI生成物の権利帰属を扱います。

個人情報を含むプロンプト入力では、利用目的の範囲、本人同意、委託、第三者提供、共同利用、越境移転、学習利用、保存期間、削除方法が問題になります。採用、人事評価、与信、医療、教育、保険、金融、懲戒など本人に重大な影響を与える場面では、AI出力の単独利用を禁止または高度に制限します。

次の一覧は、個人情報保護とプライバシー評価で確認する項目を表しています。読者にとって重要なのは、個人情報の入力可否だけでなく、本人への影響や学習利用、漏えい等対応まで見通す点です。各項目から、PIAまたはDPIAで評価する論点を読み取れます。

個人情報の種類

氏名、問い合わせ履歴、従業員情報、応募者情報、健康情報などを分類します。

利用目的との関連性

特定された利用目的の達成に必要な範囲か確認します。

サービス提供者の役割

委託、第三者提供、共同利用、越境移転のどれに近いか整理します。

学習利用と保存期間

入力データの学習利用、保存、削除、再委託、管理区域を確認します。

本人対応

開示、訂正、利用停止、漏えい等発生時の報告と本人通知を確認します。

バイアスと誤判断

採用、人事、評価などで差別や説明不能な判断が起きないか確認します。

著作権・営業秘密・AI生成物

知財では、入力段階と出力段階を分けて規程化します。入力段階では、第三者著作物、契約書ひな形、図面、写真、ソースコード、顧客提供データ、共同研究データ、出願前発明をAIへ投入できるかを確認します。出力段階では、第三者著作物への類似性、既存商標やデザインとの混同、肖像・パブリシティ、人格権、広告規制、OSSライセンス、脆弱性を確認します。

次の比較表は、知財リスクを入力、出力、権利帰属に分けて表しています。読者にとって重要なのは、生成AIの利用場面ごとに確認先と証跡が変わる点です。各列から、どの部門がどの段階で確認するかを読み取れます。

段階確認事項規程に入れる内容
入力第三者著作物、顧客資料、研究データ、ソースコード、営業秘密権利処理、顧客契約、共同研究契約、ライセンス、秘密管理を確認します。
出力類似性、依拠性、商標、意匠、肖像、広告表示、OSS外部公表時に類似性確認、商標検索、コードレビュー、知財部門レビューを行います。
権利帰属人間の創作的寄与、社内帰属、顧客納品物への利用可否プロンプト、生成日時、利用ツール、編集、確認者、権利保証範囲を記録します。
Section 08

生成AI利用に関する規程整備と労務・教育

従業員教育、就業規則、懲戒、労働時間、生産性評価と接続します。

生成AI規程は、制定しただけでは機能しません。従業員が判断できるよう、研修、FAQ、事例集を整備します。職種別に入力禁止情報、出力確認、承認済みツール、事故時対応、契約上の制限を説明すると、実務に定着しやすくなります。

次の比較表は、対象者別の研修内容を表しています。読者にとって重要なのは、全員に同じ説明をするだけでは、営業、人事、開発、法務、経営層の具体的リスクを拾いにくい点です。各行から、研修設計で分けるべきテーマを読み取れます。

対象研修内容
全従業員入力禁止情報、出力確認、承認済みツールを説明します。
管理職部下の利用管理、承認、事故時対応を説明します。
法務契約、知財、個人情報、証跡を説明します。
営業顧客情報、提案書、広告表示を説明します。
人事採用、評価、労務情報を説明します。
開発コード、API、RAG、セキュリティを説明します。
経営層ガバナンス、リスク許容度、投資判断を説明します。
委託先契約上のAI利用制限、事故報告を説明します。

就業規則・懲戒との接続

生成AIの不正利用が重大な情報漏えいや契約違反につながる場合、就業規則上の服務規律や懲戒事由との接続が必要です。実効性を持たせるには、従業員にルールを周知し、教育し、違反時の基準を明確にします。

  • 禁止された個人アカウントで顧客情報を入力した場合を想定します。
  • 秘密情報を外部AIに入力し、情報漏えいが生じた場合を想定します。
  • AI出力を確認せず顧客に誤説明した場合を想定します。
  • AIを用いて虚偽資料、なりすまし、差別的資料を作成した場合を想定します。
  • ログや証跡を改ざん、削除した場合を想定します。
  • 会社の承認なくAIツールに社内システム権限を付与した場合を想定します。

生産性評価と労働時間

生成AI利用により業務効率が上がる一方、従業員がAI出力の検証に多くの時間を要することもあります。会社は、AI利用を前提に過度な業務量を課さないよう注意します。私用端末、個人アカウント、持ち帰り作業、時間外利用の扱いも規程で明確にします。

Section 09

生成AI利用に関する規程整備のガバナンスと監査

取締役会・経営会議、三線モデル、RACI、監査項目で運用を見える化します。

生成AI利用は単なるIT部門の施策ではありません。顧客情報、競争力、知財、コンプライアンス、人的資本、内部統制に関わる経営課題です。取締役会または経営会議では、活用方針、リスク許容度、承認済みAIサービス、高リスクユースケース、インシデント件数、教育受講率、監査結果、規程改定状況を定期的に確認します。

次の比較表は、三線モデルで生成AI管理の役割を整理したものです。読者にとって重要なのは、第一線が日常利用を担い、第二線がルールと監視を担い、第三線が独立検証を担う役割分担です。各行から、どの部門が何を確認するかを読み取れます。

役割主な担当
第一線日常利用とリスク自己管理を行います。各事業部、利用部門
第二線ルール設計、審査、モニタリングを行います。法務、コンプライアンス、個人情報、セキュリティ
第三線独立した検証を行います。内部監査

次の比較表は、RACIで実行、責任、助言、報告を分けたものです。読者にとって重要なのは、法務だけに負荷を寄せず、IT、個人情報、知財、人事、内部監査、経営へ責任を分散する点です。各列から、意思決定と相談先の違いを読み取れます。

業務Responsible 実行Accountable 責任Consulted 助言Informed 報告
規程制定法務経営会議セキュリティ、個人情報、知財、人事全社
ツール導入ITCIOまたは担当役員法務、セキュリティ、購買利用部門
個人情報評価利用部門個人情報保護責任者法務、セキュリティ経営
知財確認利用部門知財責任者弁理士、法務事業部
高リスク利用承認利用部門所管役員法務、コンプライアンス内部監査
インシデント対応CSIRTまたは危機管理担当役員法務、広報、人事経営会議

内部監査で確認する項目

  • 生成AI利用規程が存在し、最新版が周知されているか確認します。
  • 承認済みAIサービスの台帳があるか確認します。
  • 利用申請と承認が記録されているか確認します。
  • 禁止情報の入力がないか確認します。
  • 個人情報を含む利用にPIA等の評価があるか確認します。
  • 契約条件と実利用が一致しているか確認します。
  • ログ保存、アクセス権限、退職者削除が適切か確認します。
  • 社外公開物のレビュー証跡があるか確認します。
  • インシデント対応訓練が実施されているか確認します。
  • 規程改定が法令・ガイドライン更新に追随しているか確認します。
Section 10

生成AI利用に関する規程整備のインシデント対応

入力ミス、誤情報、権利侵害、過剰権限、なりすましに備え、初動と証拠保全を定めます。

生成AI利用で想定すべきインシデントは多様です。個人情報や顧客秘密情報を外部AIに入力する事案、AI出力を確認せず誤った契約説明をする事案、AI生成画像が第三者著作物に酷似する事案、AI生成コードに脆弱性やライセンス違反がある事案、社内チャットボットが権限のない従業員に機密文書を表示する事案、AIエージェントが誤って外部送信、削除、発注する事案などを想定します。

次の判断の流れは、生成AIインシデントが起きたときの初動順序を表しています。読者にとって重要なのは、利用停止と証拠保全を早期に行い、個人情報、顧客契約、当局報告、本人通知を並行して判断する点です。順番から、最初に迷いやすい対応を読み取れます。

生成AIインシデント発生時の初動

利用を止めます

問題となるAIサービス、アカウント、連携、公開物を一時停止します。

影響範囲を特定します

入力情報、出力、利用者、顧客、公開範囲、契約条件を確認します。

証跡を保全します

ログ、画面、プロンプト、出力、端末、ブラウザ履歴、API利用履歴を保存します。

報告・通知義務を判断します

個人情報漏えい等、顧客契約、当局対応、本人通知、広報対応を確認します。

義務あり
所管部門で対応します

法務、個人情報保護、セキュリティ、広報、人事、経営へ連絡します。

義務なし
是正と再発防止へ進みます

原因分析、教育、設定変更、規程改定、技術制限を実施します。

デジタルフォレンジック

重大事案では、プロンプト、出力、ログ、端末、ブラウザ履歴、API利用履歴、クラウド監査ログ、ID管理ログを保全します。従業員が個人アカウントを使った場合、会社がログにアクセスできないこともあるため、個人アカウントの業務利用を禁止または制限することが重要です。

Section 11

生成AI利用に関する規程整備の条項サンプル骨子

目的、適用範囲、定義、管理体制、利用ルール、記録、監査、違反対応を章立てします。

以下は、生成AI利用管理規程の骨子例です。実際の条文化では、会社の業種、規模、既存規程、労使関係、情報管理体制、海外拠点、顧客契約に合わせて調整します。

次の比較表は、条項サンプルを章ごとに整理したものです。読者にとって重要なのは、禁止事項だけでなく、管理体制、承認済みサービス、入力管理、出力確認、ログ、違反対応まで一連で置く点です。各行から、規程本文に入れる条項の順番を読み取れます。

条項要点
第1章 総則目的、適用範囲、定義業務効率化と品質向上を推進しつつ、秘密情報、個人情報、知財、セキュリティ、法令遵守、顧客信頼のリスクを管理します。
第2章 管理体制所管部門、利用責任者法務、情報セキュリティ、個人情報保護、コンプライアンスが連携し、各部門に利用責任者を置きます。
第3章 利用ルール承認済みAIサービス、禁止利用、事前承認利用、入力管理、出力確認業務利用できるサービス、禁止情報、高リスク利用、確認責任を明確にします。
第4章 個人情報・知財・セキュリティ個人情報の取扱い、知的財産、セキュリティ個人情報保護規程、知財管理、認証、アクセス権限、ログ、端末管理と接続します。
第5章 記録・監査・違反対応AI利用台帳、ログ管理、インシデント報告、違反時の措置、見直し高リスク利用、RAG、AIエージェント、顧客データ利用を記録し、監査と改善につなげます。

条文に入れる実務文言の方向性

  • 業務上利用できる生成AIサービスは、会社が承認したものに限る形にします。
  • 秘密情報、個人情報、顧客情報、未公開情報、第三者著作物の入力禁止または制限を明記します。
  • 契約書レビュー、顧客向け文書作成、個人情報分析、コード生成、AIエージェント、RAG、追加学習などは事前承認対象にします。
  • 入力情報は必要最小限とし、マスキング、仮名化、要約、抽象化などの保護措置を求めます。
  • AI出力を業務に使う場合は、事実関係、法令、契約、知財、個人情報、表示規制、会社方針との整合性を確認します。
  • 異常を認識した場合は、所定の窓口へ速やかに報告します。
Section 12

生成AI利用に関する規程整備を90日で進める

棚卸し、暫定ルール、規程案、パイロット、全社展開まで段階的に進めます。

生成AI利用規程は、完璧な条文を最初から作るより、先に重大リスクを止め、現状の利用実態を把握し、承認済みツールと入力禁止情報を示し、段階的に運用へ移す進め方が現実的です。

次の時系列は、90日で規程整備を進める場合の段階を表しています。読者にとって重要なのは、最初の14日で危険な入力を止め、45日までに規程案と申請様式を作り、90日までに教育と台帳へ移す点です。順番から、短期対応と本格運用の違いを読み取れます。

0日から14日

棚卸しと暫定ルール

現在利用されている生成AIサービス、個人アカウント利用、無料サービス、部門独自契約を把握し、秘密情報と個人情報の外部AI入力禁止を先行周知します。

15日から45日

分類と規程案

利用目的を分類し、承認済みAIサービス候補、契約条件、学習利用、ログ、セキュリティを確認し、規程案、ガイドライン案、申請書案を作ります。

46日から75日

パイロット運用

パイロット部門で、実際のプロンプト、出力、承認負荷、教育効果を確認し、法務、知財、個人情報、セキュリティ、労務のレビューを反映します。

76日から90日

全社展開

全社規程として制定し、従業員研修、AI利用台帳、申請手順、内部監査項目、インシデント報告窓口を開始し、3か月後または6か月後の見直しを予定します。

次の重要ポイントは、規程整備を短期で進めるときに優先する作業を表しています。読者にとって重要なのは、すべてを同時に完成させるのではなく、重大リスクの封じ込め、利用実態の把握、承認手順の実装を先に行う点です。ここから、初動で何を捨てずに進めるかを読み取れます。

最初に止めるのは、秘密情報・個人情報・顧客資料の無断入力です。

そのうえで、承認済みAIサービス、入力禁止情報、社外公表時チェック、台帳、教育、インシデント窓口を順に整えます。

Section 13

部門別・業種別に見る生成AI利用規程のチェックポイント

法務、個人情報、知財、セキュリティ、人事、営業、開発、経理、監査、業種別論点を整理します。

生成AI利用規程は、全社共通ルールだけでは実務に落ちません。部門ごとに扱う情報、出力の用途、外部提供の有無、法規制、契約上の制限が異なるため、チェックポイントを分けます。

次の比較表は、部門別に重点確認事項を整理したものです。読者にとって重要なのは、同じAI利用でも、法務、個人情報、知財、セキュリティ、人事、営業、開発、経理、監査で見るリスクが違う点です。各行から、自社の所管部門に割り当てる確認項目を読み取れます。

部門チェックポイント
法務AI利用規程と既存規程、顧客契約、NDA、委託契約、DPA、利用規約、社外利用、訴訟、当局対応、海外法を確認します。
個人情報保護利用目的、個人データ入力、委託、第三者提供、越境移転、学習利用、本人対応、漏えい等対応、採用・人事利用を確認します。
知財第三者著作物の入力、AI生成物の類似性、商標、意匠、ブランド、コード、ライセンス、研究開発、納品物を確認します。
情報セキュリティ承認済みAIサービス、認証、アクセス制御、ログ、RAG権限、APIキー、プロンプトインジェクション、AIエージェント権限を確認します。
人事・労務従業員教育、就業規則、懲戒、採用・評価、私用端末、個人アカウント、時間外利用、差別的出力を確認します。
営業・マーケティング顧客情報、提案書、広告、SNS投稿、景表法、薬機法、金融規制、業法、競合比較、誇大表示、AI生成画像を確認します。
開発・プロダクトコード生成、OSSライセンス、API連携、AIエージェント、RAG、追加学習、品質保証、テスト、セキュリティを確認します。
経理・会計・税務未公開決算情報の入力禁止、税務判断、会計処理、監査証跡、内部統制、財務報告への開示要否を確認します。
内部監査規程制定、教育受講率、AI利用台帳、承認手続、禁止情報入力、インシデント対応、経営報告を確認します。

次の一覧は、業種別に注意すべき生成AI利用の論点を表しています。読者にとって重要なのは、金融、医療、製造、IT、広告、不動産では、同じ規程テンプレートをそのまま使うと不足が出る点です。各項目から、業種固有の追加条項を読み取れます。

金融・保険

顧客属性、信用情報、投資判断、保険引受、適合性原則、説明義務、広告規制、記録保存を確認します。

医療・ヘルスケア

健康情報、要配慮個人情報、薬機法、医療広告、臨床研究、医療機器該当性、患者説明を確認します。

製造・研究開発

設計図、品質データ、製造条件、サプライヤー情報、特許出願前発明、営業秘密を確認します。

IT・SaaS

ソースコード、顧客データ、ログ、API、モデル連携、セキュリティ、OSSライセンス、AI提供者としての説明を確認します。

広告・メディア

著作権、商標、肖像、パブリシティ、炎上、ステルスマーケティング、誤認表示、生成コンテンツの表示を確認します。

建設・不動産

図面、見積、入札、建設業法、宅建業法、個人情報、地図データ、事故対応を確認します。

Section 14

生成AI利用に関する規程整備でよくある失敗とFAQ

抽象的すぎる規程、無料サービスの黙認、法務だけの設計、過剰承認、確認不足を避けます。

生成AI利用規程の失敗は、ルールがない場合だけではありません。ルールが抽象的すぎる、無料サービスを黙認する、法務だけで作る、すべて事前承認にする、出力確認を個人任せにする、契約を見ない、改定しないといった形でも起こります。

次の一覧は、よくある失敗と改善策を対応させたものです。読者にとって重要なのは、禁止を強めるだけではなく、現場が使える代替手段、承認済みサービス、確認項目、定期見直しを用意する点です。各項目から、自社規程で補強すべき弱点を読み取れます。

1

規程が抽象的すぎます

入力禁止情報、事前承認利用、通常利用、社外公表時チェックを具体化します。

具体化
2

無料サービスを黙認します

承認済みAIサービスを用意し、便利な代替手段を提供します。

シャドーAI対策
3

法務だけで規程を作ります

セキュリティ、個人情報、知財、人事、IT、内部監査、事業部を巻き込みます。

横断設計
4

すべて事前承認にします

通常利用を明確に許容し、法務承認が必要な高リスク利用と分けます。

リスク分類
5

出力確認を個人任せにします

何を、誰が、どの証跡で確認するかを決めます。

確認責任
6

契約を見ません

学習利用、保存、再委託、補償、責任制限を購買、IT、法務で確認します。

契約審査
7

改定しません

技術、法令、ガイドライン、サービス仕様の変化に合わせて定期見直しを入れます。

継続改善

FAQ

生成AI利用を全面禁止すれば安全ですか。

一般的には、全面禁止だけでは現場の利用実態を把握できず、シャドーAIを誘発する可能性があります。ただし、情報資産、業種、顧客契約、セキュリティ水準によって適切な制限は変わります。具体的な対応は、利用実態と契約条件を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

無料の生成AIサービスを業務で使わせてもよいですか。

一般的には、無料サービスでは入力情報の保存、学習利用、管理区域、ログ取得、契約上の保護が十分でない可能性があります。ただし、公開情報だけの軽微な利用など、用途によって管理水準は変わります。具体的な許容範囲は、サービス条件と入力情報を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

AI出力を契約書案や顧客説明に使えますか。

一般的には、AI出力は補助資料として利用されることが多く、契約書案や顧客説明では法令、契約、事実、権利関係、表示規制を人間が確認する必要があります。ただし、案件の内容や顧客契約で求められる水準によって判断が変わります。具体的な利用可否は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

AI生成物の著作権は会社に帰属しますか。

一般的には、人間の創作的寄与、業務上の作成、契約、就業規則、顧客納品物の条件などによって整理が変わります。AIが出力しただけで当然に会社が強い権利を持つとは限りません。具体的な権利帰属や利用範囲は、作成過程と契約条件を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Section 15

生成AI利用に関する規程整備の実務チェックリスト

制定時、利用前、社外公表時の確認事項を一覧化します。

チェックリストは、規程を現場で使える形にするための橋渡しです。利用前、社外公表時、契約前、監査時に確認事項を同じ形式で残すと、事故時の説明や改善にも使えます。

次の比較表は、規程制定時に確認する項目を表しています。読者にとって重要なのは、目的、定義、禁止、承認、確認、個人情報、知財、セキュリティ、ログ、教育、見直しを一体で点検する点です。各行から、制定前レビューで抜けやすい項目を読み取れます。

項目確認
目的と適用範囲対象者、対象業務、グループ会社、委託先の範囲を定義したか確認します。
定義生成AI、プロンプト、出力、承認済みAIサービス、高リスク利用、AI利用台帳を定義したか確認します。
利用区分禁止利用、事前承認利用、通常利用を定めたか確認します。
入力禁止情報個人情報、秘密情報、第三者権利情報、認証情報を具体化したか確認します。
出力確認事実確認、権利確認、専門家確認、社外公表時レビューを定めたか確認します。
個人情報利用目的、委託、第三者提供、越境移転、学習利用、本人対応を定めたか確認します。
知財第三者著作物、コード、AI生成物、顧客納品物の確認を定めたか確認します。
セキュリティ認証、アクセス制御、ログ、端末、外部プラグイン、AIエージェント権限を定めたか確認します。
記録・教育・違反対応台帳、ログ、インシデント対応、教育、懲戒、定期見直しを定めたか確認します。

次の比較表は、利用前に確認する質問と、該当した場合の対応を表しています。読者にとって重要なのは、生成AIを使う前に、個人情報、秘密情報、顧客資料、第三者著作物、社外公開、重要判断、AIエージェント、海外関係を一度止まって確認する点です。各行から、承認やレビューへ進む条件を読み取れます。

質問はいの場合
個人情報を含みますか利用目的、委託、学習利用、承認を確認します。
秘密情報を含みますか承認済みサービスか、契約条件を確認します。
顧客から受領した資料ですか顧客契約、NDAを確認します。
第三者著作物を含みますか権利処理、ライセンスを確認します。
社外公開しますか法務、知財、広告、業法レビューを行います。
重要判断に使いますか人間確認、根拠資料、証跡を残します。
AIエージェントが実行しますか権限制限、承認、ログを確認します。
海外拠点や海外顧客に関係しますか海外法、越境移転、契約を確認します。

社外公表時チェック

  • 事実確認をしたか確認します。
  • 出典を確認したか確認します。
  • 法令、判例、当局見解が最新版か確認します。
  • 著作権、商標、肖像、パブリシティを確認します。
  • 顧客契約やNDAに違反しないか確認します。
  • 個人情報や秘密情報が含まれていないか確認します。
  • 誇大表示、断定的表現、誤認表示がないか確認します。
  • 業法上の広告規制に反しないか確認します。
  • AI生成物という表示の要否を確認します。
  • 確認者と確認日を記録したか確認します。

結論

生成AI利用に関する規程整備のポイントは、生成AIを危険なものとして排除することではなく、企業が責任をもって活用できる統制を整えることです。利用目的、入力情報、出力用途をユースケース単位で整理し、データ分類と連動した入力禁止情報を定め、通常利用、事前承認利用、禁止利用を分けます。

さらに、承認済みAIサービスと契約条件を管理し、個人情報、秘密情報、第三者権利情報の入力を厳格に管理し、出力の事実確認、権利確認、専門家確認を義務づけます。AI出力を最終判断にせず、人間の責任と証跡を残し、委託先、顧客契約、海外法、ログ、台帳、監査、インシデント対応まで含めて継続的に見直します。

Reference

参考文献・公的資料

日本の公的資料

  • 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」
  • 内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」
  • 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
  • 文化庁「AIと著作権について」
  • 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」
  • IPA「AIセキュリティ」
  • デジタル庁「生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」
  • デジタル庁「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック」
  • 政府広報オンライン「個人情報保護法を分かりやすく解説」
  • 個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」

国際的な参照枠組み

  • European Commission “AI Act”
  • European Commission “Guidelines for providers of general-purpose AI models”
  • NIST “Artificial Intelligence Risk Management Framework”
  • ISO/IEC 42001 Artificial intelligence management system standard