2σ Guide

特許侵害訴訟の
費用と期間の目安

企業法務・知財部門が訴訟予算、交渉、設計変更、和解判断を進めるために、期間統計、裁判所費用、専門家費用、社内負担を分けて解説します。

14.5か月地裁第一審平均
7.4か月知財高裁控訴審平均
1億円超大型事件の予算例
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特許侵害訴訟の 費用と期間の目安

企業法務 ・知財部門が訴訟予算、交渉、設計変更、和解判断を進めるために、期間統計、裁判所費用、専門家費用、社内負担を分けて解説します。

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特許侵害訴訟の 費用と期間の目安
企業法務 ・知財部門が訴訟予算、交渉、設計変更、和解判断を進めるために、期間統計、裁判所費用、専門家費用、社内負担を分けて解説します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 特許侵害訴訟の 費用と期間の目安
  • 企業法務 ・知財部門が訴訟予算、交渉、設計変更、和解判断を進めるために、期間統計、裁判所費用、専門家費用、社内負担を分けて解説します。

POINT 1

  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安を全体像でつかむ
  • 平均期間、裁判所費用、専門家費用、回収可能性を分けて把握します。
  • 第一審14.5か月、控訴審7.4か月を出発点にします
  • 第一審は1年から2年を基本線にします
  • 印紙代より専門家費用が中心です

POINT 2

  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安を見る前に押さえる用語
  • 特許権、差止請求、損害賠償、仮処分、無効の抗弁を整理します。
  • 特許侵害訴訟では、費用や期間の見積りが、請求内容と争点の種類に直結します。
  • どの請求や抗弁が入ると作業量が増えるのかを読み取ってください。
  • 次の比較一覧は、どの裁判所や専門的補助制度が関わるかを表しています。

POINT 3

  • 特許侵害訴訟の期間の目安と長期化要因
  • 1. クレーム解釈が難しい場合:明細書、図面、出願経過、公知技術、技術常識を踏まえた解釈が必要になります。
  • 2. 対象製品・対象方法の構造が把握しにくい場合:内部構造、制御ロジック、サーバ側処理、ソースコード、製造方法の確認が重くなります。
  • 3. 先行技術や訂正が本格化する場合:外国文献、進歩性、記載要件、訂正審判や無効審判との並行管理が必要になります。
  • 4. 売上・利益・寄与率を争う場合:会計資料、販売資料、原価資料、契約資料、価格政策、代替品の分析が必要になります。

POINT 4

  • 特許侵害訴訟の費用の目安は三層で分けて管理します
  • 先行技術・外国文献調査
  • 新規性、進歩性、記載要件、外国文献翻訳を含むため、無効論が重い事件で増えます。
  • リバースエンジニアリング・実験
  • 内部構造、成分分析、再現試験、製品分解、制御ロジックの確認に費用がかかります。

POINT 5

  • 特許侵害訴訟の損害賠償・差止め・費用回収の見方
  • 差止めの経営影響、特許法102条、弁護士費用相当額を確認します。
  • 販売・供給の停止
  • サプライチェーンへの波及
  • 信用・開示への影響

POINT 6

  • 特許侵害訴訟の費用と期間を踏まえた原告・被告戦略
  • 1. 警告書・対象特許・対象製品を共有します:法務、知財、技術、事業、経営層で同じ前提を持ちます。
  • 2. 回答期限と販売状況を確認します:延長申入れ、在庫、売上、顧客、利益を把握します。
  • 3. 非侵害論と無効論を同時に検討します:クレームチャート、先行技術調査、出願経過確認を進めます。
  • 4. 設計変更・ライセンス・販売停止を検討します
  • 5. 反論書、無効審判、交渉方針を整えます

POINT 7

  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安を予算と期待値で使う
  • 社内技術者の稼働
  • 仕様説明、実験、図面確認、ソースコード確認に時間がかかります。
  • 秘密情報管理
  • 技術資料や顧客情報を提出する場合、閲覧制限や社内管理が必要になります。

POINT 8

  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安に関するFAQ
  • 一般的な制度説明として、期間、費用、仮処分、無効の抗弁を確認します。
  • Q1. 特許侵害訴訟は、第一審だけなら何年かかりますか。
  • Q2. 控訴すると、さらにどれくらいかかりますか。
  • Q3. 裁判所に納める印紙代は高いですか。

まとめ

  • 特許侵害訴訟の 費用と期間の目安
  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安を全体像でつかむ:平均期間、裁判所費用、専門家費用、回収可能性を分けて把握します。
  • 特許侵害訴訟の費用と期間の目安を見る前に押さえる用語:特許権、差止請求、損害賠償、仮処分、無効の抗弁を整理します。
  • 特許侵害訴訟の期間の目安と長期化要因:平均審理期間、交渉、仮処分、第一審、控訴審を時間軸で確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

特許侵害訴訟の費用と期間の目安を全体像でつかむ

平均期間、裁判所費用、専門家費用、回収可能性を分けて把握します。

特許侵害訴訟の費用と期間の目安は、単なる平均値ではなく、提訴、警告対応、和解、設計変更、資金調達、取締役会報告までを動かす管理指標です。このページでは、2026年5月26日時点で参照できる公的資料を前提に、企業法務・知財部門が予算と時間軸を組み立てるための見方を整理します。

次の重要ポイントは、期間、裁判所手数料、実務費用、弁護士費用回収の考え方を一つの視野に入れるためのものです。数値の大小だけでなく、どの費用が経営判断に効くのかを読み取ることが重要です。

第一審14.5か月、控訴審7.4か月を出発点にします

令和6年の知的財産権関係民事事件では、全国地裁第一審の平均審理期間が14.5か月、知財高裁控訴審が7.4か月とされています。ただし、特許侵害訴訟だけの平均ではないため、複雑事件では第一審だけで2年前後、控訴審を含めて2年半から4年程度に及ぶ可能性があります。

次の3つの項目は、社内稟議で最初に確認するべき判断材料を表しています。期間、費用、費用回収を分けて見ることで、訴訟に進む価値、交渉で解決する価値、設計変更を急ぐ価値を読み取りやすくなります。

TIME

第一審は1年から2年を基本線にします

公的統計の14.5か月を基準にしつつ、複数特許、複数製品、無効論、損害論、海外証拠が絡む場合は長期化を見込みます。

COST

印紙代より専門家費用が中心です

訴額1億円の訴え提起でも手数料は書面申立て322,500円、電子申立て321,400円です。実際の負担は代理人、調査、実験、翻訳、社内工数が中心になります。

RECOVERY

勝訴しても全額回収は前提にしません

日本の実務では、相当因果関係のある弁護士費用相当額として損害額の一定割合が認められることはありますが、実費全額が当然に相手方負担になるわけではありません。

注意このページの金額レンジは企業の予算管理のための一般的目安です。個別の見通しは、訴額、技術分野、請求内容、証拠関係、代理人契約、相手方の主張で大きく変わります。
Section 01

特許侵害訴訟の費用と期間の目安を見る前に押さえる用語

特許権、差止請求、損害賠償、仮処分、無効の抗弁を整理します。

特許侵害訴訟では、費用や期間の見積りが、請求内容と争点の種類に直結します。次の比較表は、主要な用語と実務上の意味を対応させたものです。どの請求や抗弁が入ると作業量が増えるのかを読み取ってください。

用語意味費用・期間への影響
特許権発明について特許庁の審査を経て登録された独占排他的権利です。範囲は特許請求の範囲、実務上のクレームで判断します。クレーム解釈、明細書、図面、出願経過、公知技術の確認が必要になります。
差止請求侵害行為の停止、予防、侵害品の廃棄、設備除却などを求める請求です。故意・過失は要件とされません。販売停止、在庫処理、供給契約、顧客説明に直結し、経営インパクトが大きくなります。
損害賠償請求侵害により発生した損害の金銭賠償を求めます。特許法102条の推定規定や103条の過失推定が問題になります。売上、利益率、限界利益、寄与率、代替品、ライセンス料相当額の分析が必要です。
仮処分判決を待つと重大な損害が生じるおそれがある場合の暫定救済です。迅速性が重要ですが、特許事件では侵害論、無効論、保全の必要性が重くなります。
無効の抗弁被告が、特許は無効にされるべきものなので権利行使は認められないと主張する防御です。先行技術調査、外国文献翻訳、進歩性、記載要件、訂正対応が必要になりやすいです。

次の比較一覧は、どの裁判所や専門的補助制度が関わるかを表しています。担当裁判所と技術説明の仕組みを理解すると、資料作成や社内技術者の関与がなぜ必要になるのかを読み取れます。

1

第一審は東京地裁・大阪地裁に集中します

特許権・実用新案権の侵害訴訟は専門性が高いため、第一審は東京地方裁判所と大阪地方裁判所に集中します。

管轄
2

控訴審は知財高裁で扱われます

知的財産高等裁判所は東京高裁の特別の支部として、全国の特許関係控訴事件を扱います。

控訴
3

専門委員・裁判所調査官が関与することがあります

技術的事項の理解を助ける制度があり、当事者側には技術説明資料、実験、図面、動画、サンプル準備の負担が生じます。

技術説明
Section 02

特許侵害訴訟の期間の目安と長期化要因

平均審理期間、交渉、仮処分、第一審、控訴審を時間軸で確認します。

次の表は、特許侵害訴訟に関連する主要フェーズと期間の目安を並べたものです。平均値だけではなく、初期調査、警告、仮処分、第一審、控訴審、最高裁段階の順番を読むことで、社内の予算承認や製品判断の時期を設計しやすくなります。

フェーズ期間の目安実務上の意味
初期調査・警告前検討1〜3か月特許の有効性、クレーム解釈、対象製品分析、証拠保全、事業影響を確認します。
警告書・回答書・交渉1〜6か月ライセンス、設計変更、販売停止、反論、無効資料提示を検討します。
仮処分3〜12か月程度迅速性が必要な場合に検討しますが、特許事件では技術論点が重くなり得ます。
第一審訴訟12〜24か月程度令和6年の知財民事第一審平均は14.5か月です。複雑事件では2年超もあり得ます。
控訴審6〜12か月程度令和6年の知財高裁控訴審平均は7.4か月です。争点が限定されても逆転可能性があります。
最高裁段階6〜18か月超もあり得ます法令解釈や判例違反等が中心で、事実認定のやり直しの場ではありません。

次の縦方向の比較は、公的統計の平均期間を視覚的に把握するためのものです。高さが大きいほど期間が長いことを示し、第一審の計画を控訴審より長めに置く必要があることを読み取れます。

14.5か月
地裁第一審
7.4か月
知財高裁控訴審
24か月超
複雑な第一審

次の時系列は、訴訟が長くなる典型要因を進行順に整理したものです。クレーム解釈、対象製品分析、無効論、損害論、秘密情報管理のどこで負荷が増えるのかを読み取ってください。

争点形成

クレーム解釈が難しい場合

明細書、図面、出願経過、公知技術、技術常識を踏まえた解釈が必要になります。

証拠収集

対象製品・対象方法の構造が把握しにくい場合

内部構造、制御ロジック、サーバ側処理、ソースコード、製造方法の確認が重くなります。

無効論

先行技術や訂正が本格化する場合

外国文献、進歩性、記載要件、訂正審判や無効審判との並行管理が必要になります。

損害論

売上・利益・寄与率を争う場合

会計資料、販売資料、原価資料、契約資料、価格政策、代替品の分析が必要になります。

Section 03

特許侵害訴訟の費用の目安は三層で分けて管理します

裁判所手数料、外部専門家費用、社内費用を混同しないことが重要です。

次の表は、特許侵害訴訟の費用を三層に分けたものです。金額として見えやすい印紙代だけでなく、専門家費用と社内費用が経営インパクトを大きくすることを読み取ってください。

内容金額感
裁判所に納める費用訴え提起手数料、郵便料、送達費用等です。数万円〜数十万円台が多く、訴額により増加します。
外部専門家費用弁護士、弁理士、調査会社、技術専門家、翻訳、実験、鑑定等です。数百万円〜数千万円、大型事件では1億円超もあり得ます。
社内費用・事業費用法務、知財、技術者、経営判断、販売停止、設計変更、顧客対応、広報対応です。金銭化しにくいものの、経営インパクトは大きくなります。

次の表は、裁判所の手数料額早見表から代表的な訴額を抜粋したものです。列は書面申立てと電子申立ての違いを表し、専門家費用に比べると裁判所手数料そのものは相対的に小さいことを読み取れます。

訴額の例書面申立ての手数料電子申立ての手数料備考
160万円15,500円14,400円財産権上の請求で価額算定が極めて困難な場合等に用いられることがあります。
1,000万円52,500円51,400円損害賠償請求1,000万円規模の目安です。
3,000万円112,500円111,400円中規模紛争の一例です。
5,000万円172,500円171,400円高額損害賠償請求の入口になります。
1億円322,500円321,400円大型訴訟でも、印紙代自体は専門家費用に比べると小さくなります。

次の比較表は、弁護士費用の料金設計を整理したものです。どの方式でも、何を業務範囲とし、どのフェーズまでを見積りに含めるかを読み取ることが予算管理上の要点です。

方式内容特許訴訟での留意点
着手金・報酬金方式事件開始時に着手金、成果に応じて報酬金を支払います。請求額が高いと着手金・報酬金も高くなりやすいです。
タイムチャージ方式弁護士・弁理士の稼働時間に単価を掛けます。技術、証拠、翻訳が重い事件では総額が読みにくくなります。
フェーズ別固定報酬調査、警告、訴訟前半、技術説明、損害論、控訴などを段階別に固定します。企業の予算管理に向きますが、範囲定義が重要です。
上限付きタイムチャージ時間制を基本にしつつ、月額または段階ごとの上限を設けます。予算超過リスクを抑えやすくなります。

次の比較一覧は、企業法務上の外部専門家費用レンジを事件類型別に示しています。金額が大きくなるほど、複数特許、複数製品、技術実験、海外証拠、損害論の負荷が増えることを読み取ってください。

事件類型外部専門家費用の目安コメント
初期鑑定・警告書前調査50万〜300万円クレームチャート、対象製品分析、簡易無効調査の範囲で変動します。
警告書対応・交渉100万〜800万円回答書、ライセンス交渉、設計変更検討、反論書作成を含みます。
比較的単純な第一審500万〜1,500万円特許1件、対象製品1種類、証拠が比較的明確な場合の下限イメージです。
通常の企業間特許訴訟1,000万〜3,000万円侵害論、無効論、損害論が一通り争われる標準的レンジです。
複雑・大型事件3,000万〜1億円超医薬、通信、半導体、ソフトウェア、海外証拠、大規模損害論で増えやすくなります。
控訴審数百万円〜数千万円第一審記録の量、争点数、逆転可能性、追加立証で変動します。

次の項目一覧は、弁理士費用や技術専門家費用が発生しやすい作業をまとめたものです。法的な書面だけではなく、技術を裁判所に伝える資料作成に費用がかかることを読み取ってください。

先行技術・外国文献調査

新規性、進歩性、記載要件、外国文献翻訳を含むため、無効論が重い事件で増えます。

リバースエンジニアリング・実験

内部構造、成分分析、再現試験、製品分解、制御ロジックの確認に費用がかかります。

ソースコード・技術意見書

ソフトウェアや通信関連では、ソースコードレビューや専門家意見書が必要になることがあります。

技術説明資料

裁判官、裁判所調査官、専門委員に伝わる図面、動画、説明資料を準備する必要があります。

Section 04

特許侵害訴訟の損害賠償・差止め・費用回収の見方

差止めの経営影響、特許法102条、弁護士費用相当額を確認します。

次の一覧は、差止めが企業経営に与える影響を整理したものです。損害賠償額だけでなく、製品販売、サービス提供、製造ライン、輸入、顧客信用に及ぶ影響を読み取ることが重要です。

SALES

販売・供給の停止

侵害停止や侵害予防が認められると、売上だけでなく、取引先への供給責任や在庫処理にも影響します。

CHAIN

サプライチェーンへの波及

部材、製造設備、顧客納期、代替品調達が連動し、事業部と法務の共同判断が必要になります。

TRUST

信用・開示への影響

上場企業の開示、金融機関対応、顧客説明、レピュテーション判断に波及することがあります。

次の表は、特許法102条の損害額算定ルートを整理したものです。どのルートでも、販売数量、利益、寄与率、代替品、ライセンス料の資料が必要になることを読み取ってください。

算定ルート基本構造争点になりやすい点
102条1項侵害者の譲渡数量に、特許権者の製品1個あたりの限界利益を掛ける考え方です。実施能力、販売できない事情、代替品、特許発明の寄与が問題になります。
102条2項侵害者が侵害行為で得た利益を、特許権者の損害額と推定します。限界利益、寄与率、非侵害部分、販売努力、ブランド力が争われます。
102条3項特許発明の実施に対して受けるべき金銭、つまり実施料相当額を損害額とします。ライセンス料率、市場慣行、技術価値、契約実績が重要になります。

次の比較一覧は、損害額統計を読むときの注意点を示しています。金額帯の幅が広いことから、特許訴訟の損害額は一律ではなく、技術分野や市場規模で大きく変わることを読み取ってください。

1

認容損害額には幅があります

東京地裁・大阪地裁の統計では、100万円未満から1億円以上まで複数の金額帯で整理されています。

判決
2

和解額も一律ではありません

金銭給付を含む和解でも、差止め、ライセンス、在庫処理、将来製品の扱いが組み合わされます。

和解
3

弁護士費用全額回収は前提にしません

一般に損害額の1割程度が弁護士費用相当額として認められるとの実務整理がありますが、実費全額の当然回収ではありません。

回収
Section 05

特許侵害訴訟の費用と期間を踏まえた原告・被告戦略

提訴前調査、警告対応、設計変更、和解判断を立場別に整理します。

次の手順図は、被告側が警告書を受けた直後の対応順序を表しています。上から下へ進むほど、事実把握から防御方針、事業判断へ移るため、最初の1〜2週間で何を優先するかを読み取ってください。

警告書受領後の初動判断

警告書・対象特許・対象製品を共有します

法務、知財、技術、事業、経営層で同じ前提を持ちます。

回答期限と販売状況を確認します

延長申入れ、在庫、売上、顧客、利益を把握します。

非侵害論と無効論を同時に検討します

クレームチャート、先行技術調査、出願経過確認を進めます。

差止リスク大
設計変更・ライセンス・販売停止を検討します
防御論点強い
反論書、無効審判、交渉方針を整えます

次の表は、原告側と被告側のチェック項目を並べたものです。列ごとに立場が異なり、どちらも証拠、費用、事業影響を早期に管理する必要があることを読み取ってください。

原告側の確認被告側の確認
特許権の存続、年金納付、権利者、共有者、専用実施権を確認します。警告書の対象特許、対象製品、請求内容、回答期限を特定します。
対象製品・方法を具体的に特定し、クレームチャートを作成します。法務、知財、技術、事業、経営層で対応チームを作ります。
購入品、写真、動画、説明書、ウェブページを証拠化します。非侵害論をクレームごとに整理し、無効資料調査を開始します。
損害額を複数シナリオで試算し、差止めの事業効果を定量化します。販売数量、売上、利益、在庫、設計変更、販売停止、代替品切替を確認します。

次の比較表は、訴訟、仮処分、知財調停、ADR・仲裁、直接交渉の違いを整理しています。強制力、公開性、費用、関係維持のどれを重視するかで選択肢が変わることを読み取ってください。

手続メリットデメリット向いている場面
訴訟判決、差止め、損害賠償を得られ、強制力があります。費用、期間、公開性、対立激化の負担が大きいです。権利範囲や侵害の白黒を明確にしたい場合です。
仮処分迅速な暫定救済を狙えます。保全の必要性、担保、高度な立証が必要です。販売開始直後、展示会、重大な市場侵食の場面です。
知財調停専門家の関与を得ながら非公開の話合いが可能です。相手方が合意しなければ最終解決できません。取引関係を残したい、ライセンス条件を調整したい場合です。
直接交渉低コストで迅速です。力関係に左右され、証拠開示には限界があります。初期警告、継続取引先、設計変更で解決可能な場合です。

次の重要ポイントは、中小企業やスタートアップが特に見落としやすい資金繰り上の論点を表しています。訴訟の目的を金銭回収だけでなく、模倣品排除、投資家説明、M&A、主力プロダクト保護と結びつけて読むことが重要です。

資金が限られる企業ほど段階的に判断します

全面訴訟の前に、初期鑑定、警告書対応、知財調停、ライセンス交渉、設計変更を段階的に比較します。訴訟費用が研究開発費、資金調達計画、IPO準備に与える影響も含めて判断します。

Section 06

特許侵害訴訟の費用と期間の目安を予算と期待値で使う

判決見込みだけでなく、交渉力、差止め、社内費用を含めて判断します。

次の比較表は、特許侵害訴訟を進めるかどうかを期待値で見るための整理です。勝訴確率だけに注目すると、差止めの事業価値、交渉力、社内費用、機会費用を見落としやすいため重要です。列ごとに、原告側と被告側で何を足し引きするかを読み取ってください。

立場考え方読み方
原告側期待値 = 勝訴確率 × 認容見込額 + 差止め・交渉力の事業価値 - 訴訟費用 - 社内費用 - 機会費用金銭回収だけでなく、模倣品排除、投資家説明、ライセンス交渉への影響を含めて見ます。
被告側期待損失 = 敗訴確率 × 損害賠償・差止め影響 + 防御費用 + 設計変更費用 - 和解・ライセンスで避けられる損失争う費用と早期解決で避けられる損失を比較し、設計変更や和解の時期を検討します。

次の表は、社内稟議や取締役会報告で使いやすいモデル予算の管理単位を示しています。総額だけで承認すると途中で不足しやすいため、フェーズごとに上限、実績、次月見込みを分けることが重要です。左から順に、どの段階で、どの費用を管理するかを確認してください。

管理単位主な費用管理のポイント
初期評価クレームチャート、簡易無効調査、対象製品分析訴訟に進む価値があるかを短期間で見ます。
警告・交渉警告書、回答書、ライセンス交渉、設計変更検討訴訟前に解決できる余地と差止めリスクを比較します。
訴訟提起・答弁訴状、答弁書、証拠整理、印紙代、郵便料請求内容と防御論点を固定し、経営報告の前提を整えます。
侵害論・無効論技術説明、先行技術調査、実験、翻訳、専門家意見特許訴訟で費用が膨らみやすい中心部分として管理します。
損害論売上、利益率、寄与率、ライセンス料相当額の分析会計資料と事業資料をそろえ、和解案と比較します。
和解・判決後対応在庫処理、顧客説明、ライセンス、控訴判断判決まで争った場合の追加費用と、和解条件を月次で比べます。

次の項目一覧は、最終判断で見落としやすい費用をまとめたものです。外部専門家費用だけを見ていると実際の負担を低く見積もるため、社内工数と事業対応を含めて読み取ってください。

社内技術者の稼働

仕様説明、実験、図面確認、ソースコード確認に時間がかかります。

秘密情報管理

技術資料や顧客情報を提出する場合、閲覧制限や社内管理が必要になります。

顧客・市場対応

差止め、在庫、納期、代替品、顧客説明が訴訟費用とは別に発生します。

まとめ特許侵害訴訟の費用と期間の目安は、提訴するかどうかの結論ではなく、平均期間、手数料、専門家費用、社内負担、費用回収可能性を分けて再計算するための材料です。
Section 07

特許侵害訴訟の費用と期間の目安に関するFAQ

一般的な制度説明として、期間、費用、仮処分、無効の抗弁を確認します。

Q1. 特許侵害訴訟は、第一審だけなら何年かかりますか。

一般的には、全国地裁第一審の知的財産権関係民事事件の令和6年平均審理期間は14.5か月とされています。ただし、特許侵害訴訟では技術論点、無効論、損害論が重くなるため、1年から2年程度を基本線とし、複雑事件では2年を超える可能性があります。具体的な見通しは、争点と証拠を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 控訴すると、さらにどれくらいかかりますか。

一般的には、知財高裁控訴審の知的財産権関係民事事件の令和6年平均審理期間は7.4か月とされています。実務上は6か月から12か月程度が一つの目安ですが、争点の数、第一審記録の量、追加主張、和解協議の状況により変わります。

Q3. 裁判所に納める印紙代は高いですか。

一般的には、弁護士費用や調査費用に比べれば、印紙代は相対的に小さいことが多いです。たとえば訴額1,000万円では書面申立て52,500円、電子申立て51,400円、訴額1億円では書面申立て322,500円、電子申立て321,400円とされています。ただし、訴額の算定や請求の組み合わせで変わります。

Q4. 弁護士費用は勝訴すれば全額回収できますか。

一般的には、全額回収を当然に期待する前提は取りにくいとされています。日本では、敗訴者が相手方弁護士費用全額を当然に負担する制度ではなく、相当因果関係のある弁護士費用として損害額の一定割合が認められることがあります。具体的な回収可能性は事案ごとに変わります。

Q5. 特許侵害訴訟の総費用はどれくらいですか。

一般的には、初期鑑定や警告対応では数十万円から数百万円、本格的な第一審では数百万円から数千万円、大型・複雑事件では数千万円から1億円超もあり得ます。特許数、対象製品数、技術分野、無効論、実験、翻訳、損害論、代理人契約で大きく変わります。

Q6. 訴訟を避けて解決する方法はありますか。

一般的には、警告書交渉、ライセンス交渉、知財調停、ADR、仲裁、設計変更、クロスライセンスなどが考えられます。ただし、相手方の同意、緊急性、差止めリスク、取引関係によって適した方法は変わります。

Q7. 被告側は必ず無効の抗弁を出しますか。

一般的には、特許侵害訴訟では無効論が重要な防御手段となることが多いです。平成27年から令和6年の東京地裁・大阪地裁統計では、無効の抗弁が主張されなかったものは22%にとどまると整理されています。ただし、先行技術、訂正可能性、訴訟段階によって方針は変わります。

Q8. 仮処分ならすぐに販売を止められますか。

一般的には、仮処分は判決を待つと重大な損害が生じるおそれがある場合の暫定的な手続です。ただし、特許事件では侵害論、無効論、保全の必要性、担保などが問題になり、常に短期間で販売停止が認められるわけではありません。具体的な見通しは、証拠と事業影響を整理して専門家に相談する必要があります。

Reference

特許侵害訴訟の費用と期間の目安の参考資料

公的資料・制度資料

  • 知的財産高等裁判所「知的財産権関係民事事件の新受・既済件数及び平均審理期間(全国地裁第一審)」
  • 知的財産高等裁判所「知的財産権関係民事事件の新受・既済件数及び平均審理期間(知財高裁控訴審)」
  • 裁判所「手数料」
  • 裁判所「手数料額早見表」
  • 特許庁「特許権侵害における損害賠償額の適正な評価に向けて」
  • 特許庁「特許権侵害への救済手続」
  • 知的財産高等裁判所「特許権の侵害に関する訴訟における統計」
  • 特許庁「産業財産権制度125周年記念誌」
  • 知的財産高等裁判所「知的財産高等裁判所が取り扱う事件」
  • 知的財産高等裁判所「専門委員制度について」
  • 東京地方裁判所「郵便料の現金予納等の予納額一覧表」
  • 東京地方裁判所「知的財産権部における知財調停手続の運用について」