2σ Guide

借地権付き建物の相続で
注意すべき点

土地は地主の所有でも、建物と借地権は相続財産として扱われます。地主対応、建物登記、相続税評価、売却や建替えの承諾問題を、手続の順番に沿って整理します。

3か月 相続放棄の熟慮期間
10か月 相続税申告の原則期限
3年 建物相続登記の申請期限
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借地権付き建物の相続で 注意すべき点

土地は地主の所有でも、建物と借地権は相続財産として扱われます。

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借地権付き建物の相続で 注意すべき点
土地は地主の所有でも、建物と借地権は相続財産として扱われます。
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  • 借地権付き建物の相続で 注意すべき点
  • 土地は地主の所有でも、建物と借地権は相続財産として扱われます。

POINT 1

  • 借地権付き建物の相続で注意すべき点の全体像
  • 承継、登記、税務、地主対応、売却や建替えを同時に整理します。
  • 借地権は相続財産です
  • 相続と譲渡を区別します
  • 建物登記が権利保護の基礎です

POINT 2

  • 借地権付き建物の相続では権利の二層構造を確認する
  • 普通借地権
  • 期間満了後も一定の要件で更新が予定され、地主の更新拒絶には正当事由が問題になります。
  • 一般定期借地権
  • 期間を50年以上とし、満了で終了する類型です。

POINT 3

  • 借地権付き建物の相続は譲渡と違い地主承諾を当然の前提にしない
  • 1. 法定相続人が取得:通常は相続による包括承継として扱い、売買や贈与とは区別します。
  • 2. 地主から名義書換料を請求:契約書の根拠、過去の取扱い、支払と引換えに何を得るのかを確認します。
  • 3. 新契約は精査:期間短縮、更新しない旨、建替え禁止、一代限りの条項に注意します。
  • 4. 覚書で足りる場合:従前条件を変えない承継確認として整理できるか検討します。

POINT 4

  • 借地権付き建物の相続開始直後に確認する資料と期限
  • 1. 資料と支払を止めない体制:死亡日、相続人、遺言、借地契約書、地代履歴、登記情報を確認し、地主へ相続発生を連絡します。
  • 2. 相続放棄と承継方針:相続放棄の要否、借地権の種類、未払地代、誰が建物と借地権を取得するかを検討します。
  • 3. 借地権評価と申告:借地権評価額、小規模宅地等の特例、遺産分割協議、相続税申告の要否を確認します。
  • 4. 建物相続登記:建物所有権の相続登記、未登記建物の表題登記、相続人申告登記などを検討します。

POINT 5

  • 借地権付き建物の相続では建物登記と対抗要件を守る
  • 未登記、先代名義、滅失時の掲示、相続登記義務化を確認します。
  • 建物登記は借地権保護の中核です
  • 借地権の対抗要件とは、地主本人だけでなく、底地を買った第三者や競売関係者に対して権利を主張するための備えです。
  • 借地借家法では、借地権の登記がなくても、借地上に登記された建物を所有しているときは第三者に対抗できる仕組みがあります。

POINT 6

  • 借地権付き建物の相続後の地主対応と契約書リスク
  • 1. 書面の日付と理由を確認:死亡のみを理由にするのか、地代滞納、契約違反、定期借地権満了などがあるのかを分けます。
  • 2. 地代支払を継続:受領拒否がある場合は、支払意思の記録や供託の要否を確認します。
  • 3. 条件変更は持ち帰る:新契約、増額、承諾料、明渡期限は即答せず、資料と契約根拠を確認します。

POINT 7

  • 借地権付き建物の相続税評価と10か月期限
  • 普通借地権、定期借地権、小規模宅地等の特例を分けて確認します。
  • 借地権評価額 = 自用地としての価額 × 借地権割合
  • 借地権は相続税や贈与税の課税対象になります。
  • 土地そのものを相続しないため価値がないと考えるのは誤りで、借地権割合、契約類型、残存期間、小規模宅地等の特例を確認します。

POINT 8

  • 借地権付き建物の相続後に売却・建替えをする場合の承諾問題
  • 1. 売却・建替えの希望を整理:第三者売却、地主買取、底地との同時売却、建替え、増改築を分けます。
  • 2. 契約書と承諾条項を確認:譲渡承諾、増改築禁止特約、用途制限、残存期間、承諾料の根拠を見ます。
  • 3. 条件を文書化:承諾料、地代、名義変更、解体費、測量、税務を合意書に残します。
  • 4. 借地非訟を検討:譲渡許可、増改築許可、再築許可などの裁判所手続が問題になります。

まとめ

  • 借地権付き建物の相続で 注意すべき点
  • 借地権付き建物の相続で注意すべき点の全体像:承継、登記、税務、地主対応、売却や建替えを同時に整理します。
  • 借地権付き建物の相続では権利の二層構造を確認する:借地権の定義、建物との関係、普通借地権や定期借地権の違いを整理します。
  • 借地権付き建物の相続は譲渡と違い地主承諾を当然の前提にしない:承諾不要と連絡不要を混同せず、名義書換料や遺贈の扱いを確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

借地権付き建物の相続で注意すべき点の全体像

承継、登記、税務、地主対応、売却や建替えを同時に整理します。

借地権付き建物の相続では、建物の名義変更だけでなく、土地を使い続ける権利、地主との契約関係、地代、税務評価、将来の売却や建替えまで一体で確認します。相続による承継は通常の売買とは違い、地主の承諾を当然の前提としない一方、連絡や登記を怠ると後の交渉で不利になることがあります。

次の一覧は、最初に押さえるべき5つの判断軸を整理したものです。どの論点がどの手続に響くかを早い段階で把握すると、地主対応、税務申告、遺産分割を同時並行で進めやすくなります。各項目では、相続で当然に進む部分と専門家確認が必要な部分を読み分けてください。

承継

借地権は相続財産です

建物所有権と土地利用権を相続人が引き継ぐのが基本です。未払地代や契約上の義務も確認します。

地主

相続と譲渡を区別します

法定相続人による承継は、第三者への売買や贈与とは性質が異なります。承諾料の請求根拠は慎重に確認します。

登記

建物登記が権利保護の基礎です

借地権そのものの登記がなくても、借地上建物の登記が第三者対抗力の重要な土台になります。

税務

借地権評価を早めに行います

土地所有権を取得しない場合でも、借地権には相続税上の価値があるため、評価と特例を確認します。

活用

売却や建替えは別の承諾問題です

相続後の第三者売却、増改築、建替えでは、地主承諾や裁判所許可が問題になり得ます。

注意相続を理由に新しい契約書を求められた場合、期間短縮、更新しない旨、建替え禁止、一代限りの利用などが入っていないかを確認します。
Section 01

借地権付き建物の相続では権利の二層構造を確認する

借地権の定義、建物との関係、普通借地権や定期借地権の違いを整理します。

借地権とは、建物所有を目的として他人の土地を利用する権利です。実務では土地賃借権として設定されていることが多く、地代、更新、譲渡、増改築制限などの契約条件が重要になります。

次の比較表は、借地権付き建物を土地、建物、借地権の三層に分けたものです。権利者と相続で問題になる点を分けて見ることが重要で、土地所有権を取得しないことと、借地権の価値や義務を引き継がないことは同じではないと読み取ってください。

対象権利の帰属相続で確認すること
土地そのもの地主の所有権相続人は土地所有権を取得せず、土地利用権としての借地権を承継します。
建物被相続人の所有権建物所有権の相続登記、評価、修繕、管理、売却可能性を確認します。
借地権被相続人の土地利用権地代、契約期間、更新、譲渡、建替え、相続税評価を確認します。

次の分類一覧は、借地権の種類ごとに相続後の見通しがどう変わるかを示します。更新の有無、期間満了時の処理、評価方法が変わるため、契約書の名称だけでなく契約開始日、期間、特約、利用目的を照合して読み取ることが大切です。

普通借地権

期間満了後も一定の要件で更新が予定され、地主の更新拒絶には正当事由が問題になります。旧借地法から続く契約では経過措置も確認します。

一般定期借地権

期間を50年以上とし、満了で終了する類型です。残存期間、解体義務、保証金返還、売却価格への影響を確認します。

事業用定期借地権等

店舗、工場、倉庫、事務所などの事業用建物で問題になります。用途、契約方式、公正証書の有無が重要です。

建物譲渡特約付借地権

将来、建物を地主へ譲渡する特約により借地権を終了させる類型です。いつまで使えるかを契約で確認します。

一時使用目的の借地権

仮設建物や臨時利用などで、通常の借地権と同じ保護や評価にならない可能性があります。

借地権と借家権も区別します。借地権は建物を所有するために土地を借りる権利であり、借家権は他人の建物を借りて使う権利です。このページでは、土地は借りているが建物は被相続人が所有していたケースを扱います。

Section 02

借地権付き建物の相続は譲渡と違い地主承諾を当然の前提にしない

承諾不要と連絡不要を混同せず、名義書換料や遺贈の扱いを確認します。

民法上、相続人は相続開始時から被相続人の財産に属した権利義務を承継します。借地権は通常、一身専属的な資格ではなく、建物所有と土地利用のための財産権なので、建物所有権とともに相続の対象になります。

次の判断の流れは、相続による承継と第三者への譲渡を分けるためのものです。この区別が重要なのは、地主の承諾や承諾料の要否、契約条件変更のリスクが大きく変わるためです。上から順に、誰が取得するのか、相続か任意譲渡か、支払を求められている名目は何かを読み取ってください。

承継場面の判断

法定相続人が取得

通常は相続による包括承継として扱い、売買や贈与とは区別します。

地主から名義書換料を請求

契約書の根拠、過去の取扱い、支払と引換えに何を得るのかを確認します。

条件変更あり
新契約は精査

期間短縮、更新しない旨、建替え禁止、一代限りの条項に注意します。

確認のみ
覚書で足りる場合

従前条件を変えない承継確認として整理できるか検討します。

相続人以外の第三者が特定遺贈や死因贈与で取得する場合は、実質的に借地権譲渡と評価され、地主承諾が問題になることがあります。包括遺贈は包括受遺者が相続人と同一の権利義務を有するため、特定遺贈とは分けて確認します。

実務上の言い方地主への連絡は「承諾申請」ではなく、相続発生と承継予定者、地代支払継続、契約書写しの確認を伝える連絡として行うのが一般的です。
Section 03

借地権付き建物の相続開始直後に確認する資料と期限

資料不足、地代滞納、権利分離を避け、相続放棄や税務期限も並行して見ます。

相続開始直後は、契約書を探す作業と地代支払の継続を並行して行います。誰が最終的に取得するか決まっていない間でも、地代滞納を作ると契約解除を主張される危険があります。

次の資料一覧は、地主対応、登記、税務、遺産分割の土台になる確認資料をまとめたものです。資料ごとに見るべき内容が違うため、単に集めるだけでなく、契約期間、地代、名義、未払、担保、増改築履歴を読み取ってください。

資料確認する内容
土地賃貸借契約書契約期間、地代、更新料、増改築制限、譲渡承諾、用途、解約条項
地代領収書・振込履歴未払地代の有無、実際の支払額、支払先、支払頻度
建物登記事項証明書建物名義、所在地番、種類、構造、床面積、担保権
土地登記事項証明書地主名義、抵当権、差押え、底地の譲渡履歴
固定資産税関係資料建物評価額、未登記建物の存在、課税上の床面積
建築確認・図面・修繕履歴増改築の経緯、再建築可否、違法建築リスク
遺言書・遺産分割資料誰が建物と借地権を取得するか
地主との過去の書面更新合意、地代改定、承諾書、覚書、口約束の補強資料

次の時系列は、相続開始後に期限が迫りやすい事項を並べたものです。順番に意味があり、早い時期ほど権利を失う行動の回避、後半ほど税務と登記の確定が重要になります。自分の状況がどの段階にあるかを読み取ってください。

1か月以内

資料と支払を止めない体制

死亡日、相続人、遺言、借地契約書、地代履歴、登記情報を確認し、地主へ相続発生を連絡します。

3か月以内

相続放棄と承継方針

相続放棄の要否、借地権の種類、未払地代、誰が建物と借地権を取得するかを検討します。

10か月以内

借地権評価と申告

借地権評価額、小規模宅地等の特例、遺産分割協議、相続税申告の要否を確認します。

3年以内

建物相続登記

建物所有権の相続登記、未登記建物の表題登記、相続人申告登記などを検討します。

建物所有権と借地権は、原則として同じ人に承継させる方が実務上は整理しやすくなります。分けて相続させたり長期共有にしたりすると、売却、建替え、担保設定、地代負担、二次相続で調整が難しくなります。

Section 04

借地権付き建物の相続では建物登記と対抗要件を守る

未登記、先代名義、滅失時の掲示、相続登記義務化を確認します。

借地権の対抗要件とは、地主本人だけでなく、底地を買った第三者や競売関係者に対して権利を主張するための備えです。借地借家法では、借地権の登記がなくても、借地上に登記された建物を所有しているときは第三者に対抗できる仕組みがあります。

次の重要ポイントは、建物登記と相続登記を放置した場合にどこで不利益が出るかをまとめたものです。読者にとって重要なのは、固定資産税を払っていることと建物登記があることは別であり、名義の古さや未登記が売却や対抗力に響くと読み取ることです。

建物登記は借地権保護の中核です

借地権そのものが土地登記簿に登記されていない場合でも、借地上建物の登記が第三者への対抗力を支えることがあります。未登記、先代名義、現況不一致は早めに確認します。

次の比較一覧は、登記状態ごとの確認ポイントを示します。状態によって必要な専門家や手続が違うため、未登記、被相続人名義、滅失や増築の有無を分けて読み取ってください。

状態主なリスク確認先
建物が未登記借地権の対抗要件が不十分になるおそれがあります。土地家屋調査士、司法書士
被相続人名義のまま売却、担保設定、地主協議、遺産分割の支障になります。司法書士、弁護士
増築部分が未反映床面積や構造が現況と合わず、登記や評価で問題になることがあります。土地家屋調査士
建物が滅失・倒壊掲示や再築登記の期限を誤ると対抗力に影響します。弁護士、司法書士

令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産所有権を取得した相続人は、相続開始と所有権取得を知った日から3年以内の申請が問題になります。土地を相続しない場合でも、建物所有権を相続する以上、建物の相続登記を検討します。

令和8年2月2日から所有不動産記録証明制度が開始されています。借地上建物だけでなく、被相続人名義の未把握不動産や共有持分の調査にも使えるため、名寄帳、固定資産税通知書、登記情報と組み合わせます。

Section 05

借地権付き建物の相続後の地主対応と契約書リスク

承諾申請ではなく相続発生の連絡として行い、地代増額や明渡し要求を記録化します。

地主との関係では、相続の連絡、地代、契約書の巻き直し、明渡し要求を分けて対応します。相続の混乱期に不利な条項へ署名すると、将来の建替え、売却、更新、次の相続に影響します。

次の比較表は、相続人名義の契約書を作り直す際に注意すべき条項をまとめたものです。条項ごとに資産価値や利用継続へ与える影響が違うため、単なる名義変更なのか、従前条件の変更なのかを読み取ってください。

条項注意すべきリスク
契約期間を短くする条項従前の更新関係が不利に変更される可能性があります。
更新しない旨の条項普通借地権の保護を弱める可能性があります。
建替え・増改築全面禁止条項老朽建物の維持や資産価値に重大な影響があります。
無償明渡し条項建物買取請求や交渉余地を失う可能性があります。
譲渡・賃貸に過大な制限を置く条項将来の売却や活用が困難になる可能性があります。
高額な更新料・承諾料条項相続人の負担が大きくなる可能性があります。
一代限りの利用条項次の相続で重大な紛争につながる可能性があります。

次の判断の流れは、地主から明渡しや地代増額を求められたときに、何を先に確認するかを示します。上から順に通知の理由、相続以外の解除原因、地代支払状況、専門家確認の必要性を読み取ってください。

地主請求への初動

書面の日付と理由を確認

死亡のみを理由にするのか、地代滞納、契約違反、定期借地権満了などがあるのかを分けます。

地代支払を継続

受領拒否がある場合は、支払意思の記録や供託の要否を確認します。

条件変更は持ち帰る

新契約、増額、承諾料、明渡期限は即答せず、資料と契約根拠を確認します。

地主が相続を理由に「貸さない」と述べても、借地権は通常、相続財産として承継されます。ただし、地代滞納、無断増改築、定期借地権の期間満了など相続以外の理由がある場合は別途検討が必要です。

Section 06

借地権付き建物の相続税評価と10か月期限

普通借地権、定期借地権、小規模宅地等の特例を分けて確認します。

借地権は相続税や贈与税の課税対象になります。土地そのものを相続しないため価値がないと考えるのは誤りで、借地権割合、契約類型、残存期間、小規模宅地等の特例を確認します。

次の強調表示は、普通借地権の基本的な評価式を示します。計算式の左側が相続財産に含める借地権評価額、右側の自用地価額と借地権割合が評価の基礎です。建物評価額が小さくても、立地と割合によって借地権評価額が大きくなる点を読み取ってください。

借地権評価額 = 自用地としての価額 × 借地権割合

自用地としての価額が5,000万円、借地権割合が60%であれば、借地権評価額は3,000万円という考え方になります。

次の比較一覧は、借地権の種類ごとに税務評価で注意する点を示します。普通借地権、定期借地権、一時使用目的の借地権では評価の発想が違うため、契約類型と残存期間を読み取ってください。

類型評価で見るポイント
普通借地権自用地価額と借地権割合を基礎に評価します。
定期借地権等借地権者に帰属する経済的利益と存続期間を基に評価する考え方が問題になります。
一時使用目的の借地権通常の借地権割合をそのまま使うのが適切でない場合があります。
居住用・事業用の借地権要件を満たせば小規模宅地等の特例が検討対象になります。

小規模宅地等の特例は、被相続人の居住用や事業用として使われていた借地権で検討されます。ただし、取得者、居住継続、保有継続、事業継続、申告要件、遺産分割の有無で結論が変わります。

期限相続税申告は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。契約書調査、評価、遺産分割、地主対応に時間がかかるため、早期に概算します。
Section 07

借地権付き建物の相続後に売却・建替えをする場合の承諾問題

第三者譲渡、地主買取、底地同時売却、借地非訟を整理します。

相続後に借地権付き建物を売却する場合、相続による承継とは異なり、土地賃借権の譲渡として地主承諾が問題になります。承諾料、名義書換料、地代改定、譲渡先の属性、契約条件変更を確認してから売却条件を組み立てます。

次の判断の流れは、相続後の売却、建替え、増改築で地主承諾や裁判所許可が問題になる順番を示します。どの段階で売買契約、停止条件、借地非訟、底地との同時売却を検討するかを読み取ってください。

相続後の処分と活用

売却・建替えの希望を整理

第三者売却、地主買取、底地との同時売却、建替え、増改築を分けます。

契約書と承諾条項を確認

譲渡承諾、増改築禁止特約、用途制限、残存期間、承諾料の根拠を見ます。

承諾あり
条件を文書化

承諾料、地代、名義変更、解体費、測量、税務を合意書に残します。

承諾なし
借地非訟を検討

譲渡許可、増改築許可、再築許可などの裁判所手続が問題になります。

建替えや増改築では、旧法借地か新法借地か、普通借地権か定期借地権か、増改築禁止特約の有無、建物の種類や用途、残存期間、建築基準法上の再建築可否、接道義務、建ぺい率、容積率、防火地域などを確認します。

火災、地震、老朽化で建物が滅失した場合も、建物を特定する事項、滅失日、新たに築造する旨の掲示と再築登記が対抗力に影響します。解体を急ぐ前に、契約と対抗要件を確認します。

Section 08

借地権付き建物の相続人間の分割とよくあるトラブル

共有長期化、評価額の違い、居住相続人と非居住相続人の公平を確認します。

相続人が複数いる場合、借地権付き建物を長期共有のままにすると、地代、修繕費、居住利益、売却、建替え、次の相続で調整が難しくなります。建物と借地権は一体として誰が取得するかを早めに決めることが重要です。

次の問題点一覧は、共有を長期化させた場合に起きやすい対立を整理したものです。各項目は、費用負担、意思決定、次世代への細分化という別々のリスクを表しており、単独取得、代償分割、換価分割、売却を比較する材料として読み取ってください。

費用負担

地代、固定資産税、修繕費、更新料を誰が負担するかで対立しやすくなります。

居住と非居住

住み続ける相続人と売却や代償金を求める相続人の利害が分かれます。

売却・建替え

共有者全員の協力が必要になり、地主との窓口も不明確になりやすくなります。

評価の違い

相続税評価、市場価格、地主買取価格、居住利益が一致しません。

二次相続

次世代で共有者が増え、合意形成がさらに難しくなる可能性があります。

よくあるトラブルとして、高額な名義変更料の請求、明渡し要求、契約書がないケース、老朽建物の危険、相続人の一人による無断居住があります。いずれも、契約書、地代支払履歴、登記、写真、通知書を整理し、書面で対応することが基本です。

Section 09

借地権付き建物の相続で相談する専門家の使い分け

弁護士、司法書士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士の役割を分けます。

借地権付き建物の相続では、法務、登記、税務、不動産評価、測量が重なります。誰に何を相談するかを分けることで、時間と費用を抑えやすくなります。

次の比較表は、専門家ごとの主な相談内容を整理したものです。相談先によって扱える範囲が違うため、地主紛争、登記、税務評価、借地権価格、未登記建物のどこに問題があるかを読み取ってください。

専門家主な相談内容
弁護士地主との紛争、明渡請求、解除通知、名義変更料争い、遺産分割紛争、借地非訟、売却承諾交渉
司法書士建物相続登記、法定相続情報、登記簿調査、借地権登記がある場合の登記手続
税理士借地権の相続税評価、申告要否、小規模宅地等の特例、譲渡所得税、二次相続対策
不動産鑑定士借地権価格、底地価格、承諾料、地代、分割上の時価評価
土地家屋調査士未登記建物、建物表題登記、増築部分、境界、滅失登記
不動産会社借地権付き建物の売却査定、地主買取、底地同時売却の調整

特に弁護士への相談を優先しやすいのは、地主から明渡しや解除を求められた場合、相続人以外への遺贈がある場合、高額な承諾料や不利な新契約を求められた場合、売却で地主承諾が得られない場合、相続人間で協議が決裂している場合です。

Section 10

借地権付き建物の相続でよくある質問

個別事情で結論が変わるため、一般的な制度説明として整理します。

地主の承諾がないと相続できませんか

一般的には、法定相続人による承継は売買や贈与による譲渡とは区別され、地主の承諾を当然の前提としないとされています。ただし、契約内容、承継者、遺贈の種類、地代支払状況によって整理が変わる可能性があります。具体的な対応は、契約書や相続関係資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

名義書換料を請求されたら支払う必要がありますか

一般的には、相続による承継と第三者への譲渡は区別して考えられます。ただし、契約書の定め、過去の取扱い、支払と引換えに確認される内容によって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、新契約書や請求書を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

建物が未登記でも借地権は守られますか

一般的には、借地上建物の登記は第三者に借地権を主張するための重要な備えとされています。ただし、契約経緯、地代支払、建物の現況、底地の売却状況によってリスクは変わります。具体的な登記対応は司法書士や土地家屋調査士へ確認する必要があります。

相続税がかからないなら借地権評価は不要ですか

一般的には、借地権は相続財産として評価対象になり得ます。相続税申告が不要に見える場合でも、遺産分割や代償金、将来の売却で評価が必要になる可能性があります。具体的な税務判断は税理士等の専門家へ相談する必要があります。

老朽建物を先に解体してもよいですか

一般的には、借地上建物の滅失や解体は対抗要件や契約関係に影響する可能性があります。危険箇所の応急対応が必要な場合でも、解体前に契約、掲示、再築、地主対応を確認することが重要です。具体的な対応は弁護士や司法書士等へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

  • e-Gov法令検索「借地借家法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「所有不動産記録証明制度について」
  • 国税庁「No.4611 借地権の評価」
  • 国税庁「No.4612 一般定期借地権の目的となっている宅地の評価」
  • 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 裁判所「借地非訟事件の書式例」
  • 裁判所「借地非訟事件手続の流れ」