2σ Guide

税務訴訟とは何か
課税処分を争う制度と進め方

更正処分、加算税、差押えなどに不服がある場合に、どの手続で何を主張し、どの証拠を準備するかを整理します。

3か月 不服申立ての原則期限
6か月 裁決後の出訴期間
17.9% 令和6年度の審査請求認容割合
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税務訴訟とは何か 課税処分を争う制度と進め方

更正処分、加算税、差押えなどに不服がある場合に、どの手続で何を主張し、どの証拠を準備するかを整理します。

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税務訴訟とは何か 課税処分を争う制度と進め方
更正処分、加算税、差押えなどに不服がある場合に、どの手続で何を主張し、どの証拠を準備するかを整理します。
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  • 税務訴訟とは何か 課税処分を争う制度と進め方
  • 更正処分、加算税、差押えなどに不服がある場合に、どの手続で何を主張し、どの証拠を準備するかを整理します。

POINT 1

  • 税務訴訟の全体像をつかむ
  • 課税処分への不服は、期限、証拠、専門家体制を同時に整理する必要があります。
  • 3か月と6か月を起点に管理する
  • 違法性の位置を特定する
  • 時系列と争点で資料を並べる

POINT 2

  • 税務訴訟の定義と代表的な類型
  • 取消訴訟だけでなく、裁決取消、無効確認、義務付けなども問題になります。
  • 税務訴訟とは、租税に関する行政処分や行政上の判断をめぐり、納税者等が裁判所に救済を求める訴訟の総称です。
  • 基本用語をまとめて確認します。
  • 各行では、用語が手続のどこで使われるかを読み取ってください。

POINT 3

  • 税務訴訟の流れと期限を確認する
  • 1. 税務調査・税務署からの指摘:説明内容、提出資料、修正申告の打診を記録します。
  • 2. 更正処分・決定処分・加算税賦課決定処分:税目、年度、金額、理由、通知を受けた日を確認します。
  • 3. 再調査の請求:処分庁自身に見直しを求めます。
  • 4. 審査請求:国税不服審判所に第三者的判断を求めます。
  • 5. 国税不服審判所の裁決:認容、一部認容、棄却、却下などの判断が出ます。
  • 6. 処分取消訴訟:裁決後も不服がある場合、出訴期間内に裁判所へ提起します。

POINT 4

  • 税務訴訟で争われる論点と対象処分
  • 法令解釈
  • 収入該当性、損金性、控除・特例の要件、租税回避や同族会社行為計算否認などを検討します。
  • 事実認定
  • 売上除外、架空経費、役員支払い、名義預金、居住者性、重加算税の前提事実などが問題になります。

POINT 5

  • 税務訴訟の主張立証と証拠整理
  • 1. 資産状況・取得・借入れ:不動産取得、借入れ、家族会議、専門家相談の時期と目的を整理します。
  • 2. 相続開始日と申告書提出日:評価の基準時、申告内容、添付資料、計算過程を確認します。
  • 3. 税務調査開始日と更正処分日:調査官の質問、提出資料、処分理由、通知を受けた日を記録します。
  • 4. 審査請求日と裁決日:審査請求での主張、提出証拠、裁決の判断を訴訟準備に反映します。

POINT 6

  • 税務訴訟で弁護士・税理士・社内担当者が担う役割
  • 専門家と社内担当者の分担を早期に決めると、主張と証拠がつながりやすくなります。
  • 税法と行政訴訟を横断できるか
  • 税理士や会計専門家と協働できるか
  • 審査請求段階から関与できるか

POINT 7

  • 税務訴訟の費用・期間・徴収リスクと予防法務
  • 訴訟の実益は、税額だけでなく将来年度、企業信用、資金繰りも含めて考えます。
  • 費用や期間だけを見ると判断を誤るため重要です。
  • 各項目では、訴訟中のリスクと、将来の紛争を減らすために残すべき資料を読み取ってください。
  • 争っている税額だけでなく、同種年度への波及、将来申告への影響、重加算税、企業信用、役員責任、金融機関対応まで含めます。

POINT 8

  • 税務訴訟でよくある疑問
  • 回答は一般的な制度説明です。個別の見通しは資料と事情で変わります。
  • 税務署の処分に納得できない場合、すぐ裁判に進めますか。
  • 再調査の請求は必ず必要ですか。
  • 国税不服審判所で不利な裁決が出たら終わりですか。

まとめ

  • 税務訴訟とは何か 課税処分を争う制度と進め方
  • 税務訴訟の全体像をつかむ:課税処分への不服は、期限、証拠、専門家体制を同時に整理する必要があります。
  • 税務訴訟の定義と代表的な類型:取消訴訟だけでなく、裁決取消、無効確認、義務付けなども問題になります。
  • 税務訴訟の流れと期限を確認する:税務調査の時点から、後の不服申立てと裁判を見据えて記録を残します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

税務訴訟の全体像をつかむ

課税処分への不服は、期限、証拠、専門家体制を同時に整理する必要があります。

税務訴訟は、課税庁の処分に対する不満を述べる場ではなく、どの処分のどの部分が法律と証拠に照らして違法なのかを裁判所に判断してもらう手続です。国税では、税務調査、更正処分、不服申立て、国税不服審判所の裁決、処分取消訴訟という段階を意識して準備します。

最初に見るべきポイントを一覧にします。この一覧は、読者が何から確認すべきかを素早く把握するために重要です。左上から順に、期限、争点、証拠、専門家、徴収対応という5つの柱を読み取ってください。

期限

3か月と6か月を起点に管理する

再調査の請求や審査請求は、処分通知を受けた日の翌日から原則3か月以内です。裁決後の訴訟提起は、裁決を知った日の翌日から原則6か月以内です。

争点

違法性の位置を特定する

法令解釈、事実認定、評価、手続、加算税のどこに問題があるのかを分けます。単なる納得しにくさだけでは足りません。

証拠

時系列と争点で資料を並べる

契約書、請求書、帳簿、銀行記録、メール、議事録、調査時のやり取りを、争点ごとに対応させます。

体制

弁護士と税理士の役割を分ける

裁判の訴訟代理は弁護士が中心です。税理士は税務・会計資料の説明や補佐人としての関与で重要な役割を担います。

徴収

争っても執行は当然には止まらない

不服申立てや訴訟の係属だけで、処分の効力や執行が自動的に止まるわけではありません。納付、担保、資金繰りも並行して検討します。

注意税務訴訟は個別事情で結論が変わります。このページは一般的な制度説明であり、具体的な見通しや対応方針は資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 01

税務訴訟の定義と代表的な類型

取消訴訟だけでなく、裁決取消、無効確認、義務付けなども問題になります。

税務訴訟とは、租税に関する行政処分や行政上の判断をめぐり、納税者等が裁判所に救済を求める訴訟の総称です。実務上もっとも典型的なのは、税務署長等が行った更正処分、決定処分、加算税賦課決定処分、差押処分などの取消しを求める処分取消訴訟です。

次の比較表は、税務訴訟で出てくる主な訴訟類型を整理したものです。どの類型を選ぶかは請求の対象を誤らないために重要で、表では左から順に、類型、内容、典型例を確認します。

類型内容典型例
処分取消訴訟課税処分や滞納処分の取消しを求める訴訟法人税更正処分、相続税更正処分、差押処分の取消し
裁決取消訴訟裁決手続に固有の違法を争う訴訟審理手続自体に固有の瑕疵がある場合
無効確認訴訟重大な欠陥により処分が無効であることの確認を求める訴訟重大な手続違反や権限の欠缺が問題となる場合
不作為違法確認訴訟行政庁が応答しないことの違法確認を求める訴訟更正の請求に対する処分がされない場合
義務付け訴訟行政庁に一定の処分をすることを求める訴訟還付、更正、承認等をめぐる場面
国家賠償請求訴訟違法な調査・処分・執行により損害を受けたとして賠償を求める訴訟違法調査、違法差押え、情報漏えい等

基本用語をまとめて確認します。この一覧は、通知書、裁決書、訴状を読むときの前提をそろえるために重要です。各行では、用語が手続のどこで使われるかを読み取ってください。

用語意味確認すべき場面
課税庁国税では税務署長、国税局長、国税庁長官など、課税処分を行う行政機関です。処分をした行政庁の特定
更正処分申告内容が法令に照らして誤っているとして、税額等を変更する処分です。税額、年度、課税期間の確認
賦課決定処分過少申告加算税、無申告加算税、重加算税などを課す処分です。本税と加算税を分けた争点整理
原処分審査請求や裁判で争われる元の行政処分です。訴訟で取り消しを求める対象の確認
審査請求国税不服審判所に処分の取消しまたは変更を求める手続です。訴訟前の争点と証拠の整理
不服申立前置主義裁判前に行政不服申立てを先に行うことを求める制度です。すぐ裁判に進めるかの確認

税務訴訟は税金を減らす交渉ではありません。裁判所は、法令に照らして処分が適法か違法か、課税標準や税額の認定が正しいか、課税庁の評価や判断に違法があるかを判断します。

Section 02

税務訴訟の流れと期限を確認する

税務調査の時点から、後の不服申立てと裁判を見据えて記録を残します。

税務訴訟は、裁判所に訴える段階だけで始まるものではありません。税務調査中の説明、修正申告に応じるかどうか、更正理由の把握、審査請求段階での主張整理が、後の裁判に大きく影響します。

次の判断の流れは、税務調査から訴訟提起までの段階を表しています。順番を誤ると期限や証拠整理に影響するため重要です。上から下へ読み、どの段階で期限確認と資料整理が必要になるかを確認してください。

税務調査から処分取消訴訟までの進み方

税務調査・税務署からの指摘

説明内容、提出資料、修正申告の打診を記録します。

更正処分・決定処分・加算税賦課決定処分

税目、年度、金額、理由、通知を受けた日を確認します。

再調査を選ぶ
再調査の請求

処分庁自身に見直しを求めます。

直接進める
審査請求

国税不服審判所に第三者的判断を求めます。

国税不服審判所の裁決

認容、一部認容、棄却、却下などの判断が出ます。

処分取消訴訟

裁決後も不服がある場合、出訴期間内に裁判所へ提起します。

期限は税務訴訟で最も危険な落とし穴です。次の比較表は国税の典型的な期限を示します。右列の注意点まで読み、通知日、送達日、休日の扱いを早めに確認する必要があります。

手続原則的な期限注意点
再調査の請求処分通知を受けた日の翌日から3か月以内任意の手続で、処分庁に見直しを求めます。
直接の審査請求処分通知を受けた日の翌日から3か月以内再調査の請求を経ずに国税不服審判所へ請求できます。
再調査決定後の審査請求再調査決定書の送達を受けた日の翌日から1か月以内再調査を選んだ場合の追加期限です。
処分取消訴訟裁決を知った日の翌日から6か月以内国税では原則として審査請求の裁決後に提起します。

令和6年度の公表値は、審査請求と訴訟の現実を把握する材料になります。次の比較グラフは、認容割合、1年以内の処理割合、国側敗訴割合を並べています。数値の高低は制度の利用しやすさや個別事件の見通しを直接保証するものではなく、手続の性質を読むための目安です。

17.9%
審査請求認容
99.4%
1年以内処理
4.8%
国側敗訴
Section 03

税務訴訟で争われる論点と対象処分

争いたい内容と訴訟の対象を取り違えないことが重要です。

税務訴訟で争われる論点は、法令解釈だけではありません。事実認定、評価、手続違法、加算税や重加算税の要件など、複数の観点が重なります。

次の一覧は、代表的な争点の種類を整理したものです。争点を分類することは、必要な証拠と主張の組み立てを決めるために重要です。各項目では、何が問題になり、どの資料で補強すべきかを読み取ってください。

法令解釈

収入該当性、損金性、控除・特例の要件、租税回避や同族会社行為計算否認などを検討します。

事実認定

売上除外、架空経費、役員支払い、名義預金、居住者性、重加算税の前提事実などが問題になります。

評価

相続税、不動産、同族会社株式、国際取引などで、評価通達、時価、平等原則、個別事情を整理します。

手続違法

税務調査、理由付記、質問検査、反面調査、差押え、告知などの違法が処分にどう影響するかを見ます。

加算税・重加算税

隠蔽または仮装の有無、正当な理由の有無、帳簿や説明経緯の信用性が争点になります。

国税不服審判所で裁決を受けた後でも、通常、争う中心は裁決そのものではなく元の課税処分です。次の比較表は、争いたい内容と選ぶ訴訟の対応を示しています。左列で目的を確認し、右列で訴訟対象を読み違えないようにします。

争いたい内容原則として選ぶ訴訟
更正処分の税額認定が誤っている更正処分取消訴訟
加算税の要件を満たさない加算税賦課決定処分取消訴訟
差押えが違法である差押処分取消訴訟
国税不服審判所の審理手続自体に固有の違法がある裁決取消訴訟
通達通達は行政機関内部の事務処理基準であり、法律そのものではありません。一方で、行政実務の統一性や平等性を示す重要資料になるため、通達に従った処理、通達から外れる合理的理由、個別事情を分けて検討します。
Section 04

税務訴訟の主張立証と証拠整理

裁判で説得するには、主張、要件、事実、証拠の対応関係を作ります。

税務訴訟では、納税者側が処分の違法性を主張します。ただし、課税要件の存在を誰がどこまで立証すべきかは、税目、処分類型、争点によって変わります。必要経費、損金、控除、特例、評価減、非課税要件など、納税者側が資料を保有しやすい事項では、具体的な証拠提出が実務上きわめて重要です。

次の比較表は、税務訴訟で使われる証拠の種類と役割をまとめたものです。証拠を種類ごとに分けることは、欠けている資料を早く見つけるために重要です。左列で資料の種類、中央で具体例、右列で立証上の役割を確認してください。

証拠具体例役割
申告・会計資料確定申告書、決算書、総勘定元帳、補助元帳、試算表申告内容と会計処理を示す
取引資料契約書、請求書、納品書、領収書、発注書取引の存在・内容を示す
資金資料通帳、入出金明細、振込記録、借入契約、返済表資金移動を示す
社内資料稟議書、議事録、社内メール、チャット、業務報告書意思決定・事業目的を示す
税務調査資料質問応答記録、調査結果説明書、提出資料一覧調査経過を示す
専門資料不動産鑑定書、株価算定書、移転価格文書、専門家意見書評価・専門判断を補強する
デジタル証拠電子メール、ログ、クラウド文書、電子契約、会計ソフトデータ時系列・真正性を示す

時系列表は、裁判官に事実の流れを理解してもらうための基礎資料です。次の時系列は、相続税評価事件で確認されやすい出来事を並べています。上から下へ、資産状況から裁決までの順番と、どの時点の資料が必要かを読み取ってください。

準備段階

資産状況・取得・借入れ

不動産取得、借入れ、家族会議、専門家相談の時期と目的を整理します。

申告段階

相続開始日と申告書提出日

評価の基準時、申告内容、添付資料、計算過程を確認します。

調査段階

税務調査開始日と更正処分日

調査官の質問、提出資料、処分理由、通知を受けた日を記録します。

争訟段階

審査請求日と裁決日

審査請求での主張、提出証拠、裁決の判断を訴訟準備に反映します。

Section 05

税務訴訟で弁護士・税理士・社内担当者が担う役割

専門家と社内担当者の分担を早期に決めると、主張と証拠がつながりやすくなります。

税務訴訟における弁護士の役割は、単に訴状を書くことではありません。対象処分、請求の趣旨、請求原因、証拠説明書、行政事件訴訟法・国税通則法・個別税法・民事訴訟法の交錯を整理し、裁判所や被告国との手続対応を行います。

次の役割分担表は、弁護士、税理士、社内担当者がどこを支えるかを整理しています。役割の重なりを理解することは、資料の抜けや説明の矛盾を避けるために重要です。各行で、誰がどの資料と判断を担当するかを確認してください。

担当主な役割注意点
弁護士訴訟代理、法律構成、訴状・準備書面、証拠提出、尋問対応租税法、行政訴訟、証拠、企業取引を横断して整理します。
税理士申告内容、税務調整、所得計算、評価計算、税務調査経緯の説明補佐人として弁護士とともに出頭・陳述できる制度があります。
企業の法務契約、取引スキーム、取締役会・稟議、関連会社管理、訴訟リスクの整理証拠保全、関係部署調整、秘密保持にも関与します。
経理・税務部門会計処理、申告、税務調整、税務調査対応記録の整理申告書、元帳、別表、内訳資料との対応を確認します。
広報・経営部門上場会社や社会的影響の大きい案件で、開示、報道対応、取引先説明を検討税額争いにとどまらず、企業信用と内部統制も見ます。

弁護士を選ぶ視点は、一般的な訴訟経験だけでは足りません。次の一覧は、税務訴訟に特有の確認項目を示しています。各項目を読むことで、勝訴可能性だけでなく費用対効果、審査請求段階からの関与、専門家連携まで確認すべきことが分かります。

租税法

税法と行政訴訟を横断できるか

国税通則法、行政事件訴訟法、各税法、会計実務を横断して理解する必要があります。

連携

税理士や会計専門家と協働できるか

法的構成と計算・申告実務をつなぐ体制が重要です。

前段階

審査請求段階から関与できるか

裁決後に初めて整理するより、早期に争点と証拠をそろえた方が一貫性を保ちやすくなります。

費用対効果

代替案まで説明できるか

追徴税額、加算税、将来年度、企業信用、専門家費用を総合して検討します。

Section 06

税務訴訟の費用・期間・徴収リスクと予防法務

訴訟の実益は、税額だけでなく将来年度、企業信用、資金繰りも含めて考えます。

税務訴訟で発生し得る費用には、弁護士費用、税理士・会計士・鑑定人等の専門家費用、裁判所に納める手数料や郵券、不動産鑑定、株価算定、翻訳、データ解析、社内調査、電子データ保全、控訴・上告に伴う追加費用があります。

次の一覧は、税務訴訟で同時に検討すべきリスクと予防策を整理したものです。費用や期間だけを見ると判断を誤るため重要です。各項目では、訴訟中のリスクと、将来の紛争を減らすために残すべき資料を読み取ってください。

費用対効果

争っている税額だけでなく、同種年度への波及、将来申告への影響、重加算税、企業信用、役員責任、金融機関対応まで含めます。

総合判断

期間

審査請求には標準審理期間1年以内の処理割合が公表されていますが、訴訟に進むと第一審だけで相当期間を要することがあります。

長期化

徴収リスク

不服申立てや訴訟をしても、処分の効力や執行は原則として止まりません。納付、分納、換価猶予、担保、資金繰りを並行して検討します。

資金管理

予防法務

契約書、稟議書、価格算定資料、取締役会議事録、電子データ保存、重要取引の事前相談を整えることで紛争時の説明力を高めます。

文書化

税目ごとの視点も異なります。次の比較表は、所得税、法人税、消費税、相続税・贈与税、国際税務、徴収分野で問題になりやすい論点をまとめています。左列で税目を選び、右列で必要になりやすい資料や検討対象を確認してください。

税目・分野問題になりやすい視点
所得税所得区分、必要経費、収入計上時期、居住者性、海外所得、暗号資産、資産譲渡
法人税損金性、収益認識、役員給与、寄附金、交際費、貸倒損失、組織再編、移転価格
消費税課税・非課税・不課税の区分、仕入税額控除、帳簿・請求書保存、輸出免税
相続税・贈与税財産評価、名義預金、同族会社株式、不動産評価、小規模宅地等の特例、債務控除
国際税務居住者性、恒久的施設、外国子会社合算税制、移転価格、租税条約、源泉徴収
徴収・滞納処分差押え、換価、配当、第二次納税義務、換価猶予、納税猶予
Section 07

税務訴訟でよくある疑問

回答は一般的な制度説明です。個別の見通しは資料と事情で変わります。

税務署の処分に納得できない場合、すぐ裁判に進めますか。

一般的には、国税の場合、国税不服審判所への審査請求を経て裁決を受けた後でなければ、処分取消訴訟を提起できないとされています。ただし、一定期間裁決がない場合や緊急性がある場合など例外もあります。具体的には、処分通知書の日付、受領日、不服申立期限を確認したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

再調査の請求は必ず必要ですか。

一般的には、国税では再調査の請求をせず、直接、国税不服審判所へ審査請求をすることもできます。ただし、争点の性質、証拠、処分庁との関係、期限、戦略によって選択は変わります。具体的な手続選択は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

国税不服審判所で不利な裁決が出たら終わりですか。

一般的には、裁決後になお不服がある場合、原則として裁決を知った日の翌日から6か月以内に裁判所へ訴えを提起できるとされています。ただし、訴訟では審査請求以上に法的構成と証拠整理が重要になります。個別の見通しは、裁決書、処分理由、証拠関係を確認して判断する必要があります。

税理士だけで税務訴訟を進められますか。

一般的には、税理士は税務・会計の専門家として重要な役割を担いますが、裁判で訴訟代理人となるのは弁護士が中心です。税理士は、租税に関する事項について、弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として出頭・陳述できる制度があります。役割分担は案件の内容により変わります。

税務調査に問題があれば、課税処分は必ず取り消されますか。

一般的には、調査手続の問題があるだけで直ちに課税処分が取り消されるとは限りません。違法の重大性、処分との関係、法令違反の内容によって結論が変わる可能性があります。具体的な主張は、調査記録や処分理由を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

税務訴訟を起こせば納付や差押えは止まりますか。

一般的には、不服申立てや訴訟は、処分の効力や執行を当然に停止させるものではありません。徴収や滞納処分への対応は、税務訴訟とは別に検討する必要があります。納付、担保、猶予、資金繰りについては、個別事情に応じて専門家へ相談する必要があります。

通達に従って申告したのに否認されることはありますか。

一般的には、通達は行政内部の基準であり、法律そのものではありません。ただし、課税庁が通達に従って画一的に処理している場合には、平等原則や合理的理由の有無が問題になる可能性があります。具体的な評価は、通達、裁判例、個別事情を整理して検討する必要があります。

Section 08

税務訴訟を検討するときの確認事項

期限、処分、争点、証拠、体制を一つずつ確認します。

最後に、税務訴訟を検討する際の確認事項を整理します。次の一覧は、初回相談前に抜けやすい項目をまとめたものです。5つの項目を順番に確認し、手続上の期限、処分の特定、証拠の所在を見落とさないようにしてください。

期限

処分通知を受け取った日、再調査の請求・審査請求の期限、裁決書を受け取った日、出訴期間を確認します。

処分の特定

争う処分名、税目、年度、課税期間、本税、加算税、延滞税、差押え等の徴収処分を分けます。

争点

法令解釈、事実認定、通達、裁判例、重加算税、手続違法、将来年度への波及を整理します。

証拠

申告書、決算書、帳簿、契約書、請求書、入出金資料、税務調査時のやり取り、時系列表を準備します。

体制

弁護士、税理士、会計士、社内法務、経理、広報の役割を整理し、納付・徴収・資金繰りも検討します。

次の強調表示は、税務訴訟の準備で最後に残すべき結論を示しています。期限、証拠、専門性を一体で管理することが重要で、ここから各確認事項がばらばらではなく相互に関係していることを読み取ってください。

税務訴訟は期限・証拠・専門性の総合戦です

制度を理解し、期限を守り、証拠を整え、専門家と連携することで、納税者の権利救済を現実的に追求できる手続です。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関、法令、裁判例、税務実務資料を中心に確認しています。

公的情報・法令

  • 国税庁「No.7200 税務署長等の処分に不服があるときの不服申立手続」
  • 国税不服審判所「令和6年度における審査請求の概要」
  • 国税庁「令和6年度における訴訟の概要」
  • 国税不服審判所「国税不服審判所50年史 第4章 国税不服審判所の概要」
  • e-Gov法令検索「国税通則法」
  • e-Gov法令検索「行政事件訴訟法」
  • e-Gov法令検索「税理士法」
  • 日本税理士会連合会「税理士とは」

裁判例・研究資料

  • 最高裁判所 令和4年4月19日第三小法廷判決・令和2年(行ヒ)第283号「相続税更正処分等取消請求事件」
  • 税務大学校論叢「税務調査手続における違法が課税処分に及ぼす影響」