2σ Guide

建物が建っている土地は
国庫帰属制度の対象外なのか

現に建物がある土地は原則として承認申請できません。未登記建物、廃屋、物置、解体後の基礎や浄化槽、滅失登記、費用、相続登記義務化まで、相続人が申請前に確認すべき点を整理します。

2条3項1号 建物の存する土地
1万4,000円 1筆ごとの審査手数料
8か月 標準処理期間の目安
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建物が建っている土地は 国庫帰属制度の対象外なのか

現に建物がある土地は原則として承認申請できません。

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建物が建っている土地は 国庫帰属制度の対象外なのか
現に建物がある土地は原則として承認申請できません。
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  • 建物が建っている土地は 国庫帰属制度の対象外なのか
  • 現に建物がある土地は原則として承認申請できません。

POINT 1

  • 建物が建っている土地は国庫帰属制度で原則対象外
  • まず、現に建物がある土地は入口で排除されるという結論と、解体後にも残る審査リスクを押さえます。
  • 建物が建っている土地は国庫帰属制度の対象外なのかという問いに対する答えは、原則として対象外です。
  • 相続 土地国庫帰属法2条3項1号は、承認申請をすることができない土地として「建物の存する土地」を掲げています。
  • 法務省の説明でも、建物の登記がなくても現に建物が存在する場合は承認申請できないとされています。

POINT 2

  • 相続土地国庫帰属制度の要件と建物付き土地の入口規制
  • 制度の対象者、申請できない土地、申請後に承認されない土地を分けて確認します。
  • 申請できる人
  • 法2条3項の却下事由
  • 法5条1項の不承認事由

POINT 3

  • 建物が建っている土地の「建物」は登記の有無だけで決まらない
  • 1. 不動産登記規則111条の建物に当たるか:外気分断性、定着性、用途性を写真や現況で確認します。
  • 2. 申請できない方向:法2条3項1号により入口で問題になります。
  • 3. 有体物として確認:工作物、廃材、地上物として不承認事由を検討します。
  • 4. 撤去後の状態を確認:基礎、廃材、境界、権利関係、土壌、崖など他の要件を確認します。

POINT 4

  • 建物付き土地を解体して国庫帰属制度を使う前に確認すること
  • 1. 相続人、共有者、建物所有者を確認:土地と建物の名義が一致しているか、共有者全員の合意が得られるかを確認します。
  • 2. 解体できる権限と残置物を整理:動産、仏壇、賃貸借、使用貸借、抵当権などがあれば先に整理します。
  • 3. 解体見積りと周辺リスクを確認:アスベスト、浄化槽、井戸、境界、隣家への影響を含めて見積り範囲を決めます。
  • 4. 解体、滅失登記、撤去状況の確認:建物滅失登記を行い、基礎、ガラ、浄化槽、井戸、工作物が残っていないか確認します。
  • 5. 現況資料を整えて法務局相談へ:現況写真、境界写真、図面、登記資料を整え、承認申請を検討します。

POINT 5

  • 建物付き土地で国庫帰属制度が問題になる典型ケース
  • 空き家、未登記古家、借地人の建物、共有地、越境を分けて検討します。
  • 実家の空き家が建っている
  • 未登記の古家がある
  • 借地人の建物がある

POINT 6

  • 建物付き土地の国庫帰属制度申請前に集める資料と専門家
  • 法務局相談に進む前に、登記、境界、税務、売却可能性を横断的に確認します。
  • 法務局相談は、相談時点で提供された資料から判断できる範囲の見解を得る場です。
  • 承認申請後の審査では、実地調査などを踏まえて判断されるため、相談結果と審査結果が異なる可能性があります。
  • 建物がある又はあった土地では、登記簿だけでなく現況写真、解体資料、境界資料を組み合わせて説明することが重要です。

POINT 7

  • 建物付き土地を解体するか国庫帰属制度の前に費用と税務を比較
  • 解体前に、売却、測量、負担金、固定資産税、相続登記、税務上の扱いを確認します。
  • 解体後の不承認リスク
  • 住宅用地特例と固定資産税
  • 相続登記義務化との関係

POINT 8

  • 建物付き土地の国庫帰属制度で使う判断の流れと申請手続
  • 1. 相続又は相続人への遺贈で取得した土地か:売買や生前贈与のみで取得した土地は対象外となる可能性があります。
  • 2. 共有地なら全員で申請できるか:共有者全員の共同申請が必要です。
  • 3. 現に建物があるか:ある場合は原則として承認申請できません。
  • 4. 建物登記、地上物、地下物を確認:滅失登記、工作物、基礎、浄化槽、井戸、ガラを確認します。
  • 5. 権利関係と境界を確認:抵当権、賃借権、地上権、通行利用、境界不明、所有権争いを確認します。
  • 6. 法務局相談、申請準備へ:崖、土壌汚染、管理費負担、森林整備負担などを含めて資料を整えます。

まとめ

  • 建物が建っている土地は 国庫帰属制度の対象外なのか
  • 建物が建っている土地は国庫帰属制度で原則対象外:まず、現に建物がある土地は入口で排除されるという結論と、解体後にも残る審査リスクを押さえます。
  • 相続土地国庫帰属制度の要件と建物付き土地の入口規制:制度の対象者、申請できない土地、申請後に承認されない土地を分けて確認します。
  • 建物が建っている土地の「建物」は登記の有無だけで決まらない:不動産登記規則111条の基準、未登記建物、小屋、廃屋、カーポートなどを整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

建物が建っている土地は国庫帰属制度で原則対象外

まず、現に建物がある土地は入口で排除されるという結論と、解体後にも残る審査リスクを押さえます。

建物が建っている土地は国庫帰属制度の対象外なのかという問いに対する答えは、原則として対象外です。相続土地国庫帰属法2条3項1号は、承認申請をすることができない土地として「建物の存する土地」を掲げています。法務省の説明でも、建物の登記がなくても現に建物が存在する場合は承認申請できないとされています。

ただし、実務では「家があるから無理」で終わりません。そこにあるものが建物なのか、建物ではない工作物なのか、廃屋、物置、カーポート、基礎、浄化槽、井戸、ガラ、竹木、放置車両などがどの要件に関わるのかを分けて見る必要があります。

結論現に建物が存在する土地は、原則として承認申請できません。建物を壊しても、地中の基礎や浄化槽、境界不明、権利関係などが残れば、別の却下事由又は不承認事由が問題になります。

次の比較表は、建物付き土地で特に迷いやすい状態を、入口で申請できない場合と、申請後の審査で問題になりやすい場合に分けたものです。自分の土地がどの行に近いかを見ることで、最初に確認すべき資料や専門家相談の方向が分かります。

土地の状態原則的な整理実務上の注意
現に建物がある土地承認申請できない登記の有無ではなく現況が重要です。
未登記建物がある土地承認申請できない固定資産税上の家屋かどうかとは別に、現に建物があるかを見ます。
広大な山林の一部に建物がある土地却下される方向一筆の一部に建物があるだけでも問題になります。
小さな物置小屋がある土地建物に当たらない場合がある建物でなくても、工作物として不承認事由になり得ます。
半壊、廃屋がある土地個別判断建物でなければ、地上の有体物として審査され得ます。
建物を解体した土地申請可能性はある地中基礎、ガラ、浄化槽、井戸などが残ると不承認事由になり得ます。
建物登記だけ残り現物がない土地現物がなければ建物の存する土地ではない方向滅失登記、現況写真、解体証明書などの資料整備が重要です。
借地人所有の建物がある土地通常は申請困難建物の存在に加え、借地権などの使用収益権も問題になります。

実務的な答えは三段階です。第一に、現に建物がある限り原則として申請できません。第二に、解体すれば必ず承認されるわけではありません。第三に、解体後の土地が境界、権利、地上物、地中物、土壌汚染、崖、通行、管理費負担などの要件を満たすかを申請前に確認する必要があります。

Section 01

相続土地国庫帰属制度の要件と建物付き土地の入口規制

制度の対象者、申請できない土地、申請後に承認されない土地を分けて確認します。

相続土地国庫帰属制度は、相続又は相続人に対する遺贈で取得した土地について、一定の要件を満たす場合に所有権を国庫に帰属させる制度です。令和5年、2023年4月27日に始まり、所有者不明土地の発生を予防する制度の一つとして位置づけられています。

この制度は、土地を国へ無条件で寄附できる仕組みではありません。国が将来の管理負担を引き受ける制度であるため、申請者、土地の状態、権利関係、境界、地上物、地中物、管理費用、負担金などについて厳格な審査が行われます。

次の比較表は、相続土地国庫帰属制度で特に重要な二段階の審査を整理したものです。建物付き土地は、申請後に細かく審査される前に入口で問題になるため、どの段階の要件なのかを見分けることが重要です。

区分主な根拠意味建物付き土地との関係
却下事由法2条3項、法4条1項2号承認申請そのものができない土地です。建物の存する土地はここで排除されます。
不承認事由法5条1項申請はできても、審査の結果で承認されない土地です。工作物、地下埋設物、崖、管理費負担などが問題になります。

申請できる人

承認申請ができるのは、相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した土地所有者です。共有地では共有者全員が共同して申請する必要があります。共有者の中に相続等で持分を取得した人がいれば、相続以外で持分を取得した共有者も共同申請に加われます。

申請者の範囲は、建物付き土地でも重要です。建物の所有者、土地の共有者、遺産分割未了の相続人が別々に存在すると、解体同意や共同申請の前提が整わない場合があるためです。

法2条3項の却下事由

次の比較表は、申請段階で排除される土地の類型を、建物付き土地との関係に絞って整理したものです。建物の有無だけでなく、担保権、借地権、境界不明などが重なると、解体後も別の入口規制が残ることを読み取れます。

類型条文上の内容建物付き土地との関係
1号建物の存する土地このページの中心論点です。
2号担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地抵当権、地上権、賃借権、借地権が問題になります。
3号通路その他の他人による使用が予定される土地私道、墓地、境内地、水路、ため池などが含まれます。
4号土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地解体や過去用途による汚染調査が問題になることがあります。
5号境界が明らかでない土地、所有権の存否、帰属又は範囲に争いがある土地実家敷地、山林、農地で特に問題になりやすい要件です。

法5条1項の不承認事由

次の比較表は、建物を解体した後に残りやすいものと、審査で問題になる方向をまとめたものです。建物を撤去しただけで終わらず、地上や地下に残る物の管理負担まで確認すべきことが分かります。

解体後に残りやすいもの問題となる方向性
建物の基礎、コンクリート片地下にある除去を要する有体物
屋根瓦、建築資材、ガラ地下埋設物又は地上の有体物
浄化槽、井戸、古い水道管地下にある有体物
ブロック塀、擁壁、門柱工作物として通常管理を阻害する可能性
放置車両、廃材、物置地上の有体物として不承認事由になり得ます。
果樹、倒木のおそれのある枯木、竹樹木として通常管理を阻害する可能性
Section 02

建物が建っている土地の「建物」は登記の有無だけで決まらない

不動産登記規則111条の基準、未登記建物、小屋、廃屋、カーポートなどを整理します。

法務省の説明では、本制度における建物は不動産登記規則111条の基準により判断するとされています。屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものかどうかが基準です。

次の一覧は、建物該当性を考える三つの要素を示しています。建築基準法や固定資産税の家屋判断と完全に同一ではないため、どの要素が不足しているのかを写真や図面で説明できるかが重要になります。

要素1

外気分断性

屋根と周壁又はこれに類する構造により、一定の内部空間を外界から区分しているかを見ます。居宅、倉庫、店舗、車庫などが典型です。

要素2

定着性

土地に定着しているかを見ます。基礎により固定された家屋や、恒久的に置かれた倉庫などでは問題になりやすい要素です。

要素3

用途性

居住、保管、作業、営業など、その目的とする用途に供し得る状態かを見ます。廃屋や半壊建物ではこの要素が焦点になります。

登記の有無は決定的ではない

建物が未登記でも、現に建物が存在する場合は承認申請できません。国が引き受けるのは登記簿ではなく現実の土地であり、未登記建物でも管理、解体、火災、防犯、倒壊、所有権、占有、固定資産税、近隣対応などの負担が残るからです。

一方で、登記簿上は建物登記が残っていても、現実には建物が滅失している場合は、現に建物が存在するという意味では建物の存する土地ではない方向で検討されます。ただし、登記簿と現況の不一致を説明するため、建物滅失登記、解体証明書、現況写真、固定資産税関係資料を整えることが望ましいです。

一部に建物があるだけでも問題になる

山林10,000平方メートルの入口付近に古い小屋が一棟あるだけでも、その一筆全体が建物の存する土地として扱われる方向です。建物の所在部分だけを除いて国庫帰属を目指す場合は分筆を検討する余地がありますが、測量、境界確認、地積測量図、分筆登記の費用と時間が必要です。

次の比較表は、小屋、プレハブ、カーポート、コンテナなどの判断で、建物に当たる場合と当たらない場合の次の検討を整理したものです。建物でない場合も、工作物や有体物として撤去要否が問題になる点を読み取ってください。

対象物建物該当性建物でない場合の検討
基礎付きの倉庫建物に当たりやすい建物として却下される可能性があります。
簡易な物置建物に当たらない場合がある工作物として管理負担を審査します。
カーポート建物に当たらない場合が多い工作物として撤去要否を検討します。
プレハブ小屋設置状況により判断定着性、用途性、外気分断性を確認します。
コンテナ固定方法、用途、継続性により判断動産又は工作物として撤去要否を検討します。

廃屋と半壊建物

廃屋や半壊建物は、外気分断性、定着性、用途性をなお満たすなら建物に当たる方向です。もはや目的用途に供し得る状態ではない場合、建物ではなく廃材、工作物、地上の有体物として評価される可能性があります。

次の判断の流れは、半壊建物や廃屋がある場合に、どの順番で確認すべきかを示しています。分岐の左右は有利不利ではなく、次に検討すべき法的な入口が異なることを意味します。

廃屋、半壊建物の確認順序

不動産登記規則111条の建物に当たるか

外気分断性、定着性、用途性を写真や現況で確認します。

当たる
申請できない方向

法2条3項1号により入口で問題になります。

当たらない
有体物として確認

工作物、廃材、地上物として不承認事由を検討します。

撤去後の状態を確認

基礎、廃材、境界、権利関係、土壌、崖など他の要件を確認します。

Section 03

建物付き土地を解体して国庫帰属制度を使う前に確認すること

除外される理由、解体、滅失登記、費用、負担金を一体で整理します。

建物付き土地が除外されるのは、国が土地だけでなく建物管理の負担まで引き受けることになりかねないためです。相続人の負担軽減を目的に含む制度であっても、建物の修繕、倒壊防止、火災、防犯、権利関係、解体費用まで国民負担へ移す制度ではありません。

次の比較表は、建物付き土地に固有の問題を管理、法的責任、権利関係、処分、税務、行政負担に分けたものです。建物があるだけでなぜ入口規制になるのかを理解するため、各行の負担が解体前に誰へ残るのかを確認してください。

観点建物付き土地に固有の問題
管理費用修繕、倒壊防止、草木管理、防火、防犯、雪下ろしなど
法的責任工作物責任、不法占有、近隣被害、管理不全空き家対応など
権利関係建物所有者、借地権、賃借人、抵当権、共有者など
処分困難性解体費用、アスベスト、残置物、再建築可否、接道など
公租公課固定資産税、都市計画税、家屋評価、住宅用地特例の変動など
行政負担空き家対策、危険建物対応、地域利用調整など

原則として取り壊してから申請する

法務省の説明では、建物は原則として取り壊した上で承認申請を行うものとされています。承認申請後に速やかに取り壊す予定がある場合は、申請予定の法務局又は地方法務局の本局へ事前に問い合わせる必要があります。

次の時系列は、建物付き土地で国庫帰属を検討する場合の基本的な行動順です。順番を飛ばすと、解体権限、残置物、滅失登記、地中物、境界などが後から問題になるため、各段階で何を残さず確認するかが重要です。

Step 01

相続人、共有者、建物所有者を確認

土地と建物の名義が一致しているか、共有者全員の合意が得られるかを確認します。

Step 02

解体できる権限と残置物を整理

動産、仏壇、賃貸借、使用貸借、抵当権などがあれば先に整理します。

Step 03

解体見積りと周辺リスクを確認

アスベスト、浄化槽、井戸、境界、隣家への影響を含めて見積り範囲を決めます。

Step 04

解体、滅失登記、撤去状況の確認

建物滅失登記を行い、基礎、ガラ、浄化槽、井戸、工作物が残っていないか確認します。

Step 05

現況資料を整えて法務局相談へ

現況写真、境界写真、図面、登記資料を整え、承認申請を検討します。

滅失登記と費用の切り分け

建物が滅失したときは、原則として1か月以内に建物滅失登記を申請する必要があります。国庫帰属制度のためだけでなく、登記簿と現況を合わせ、売却、固定資産税、金融機関対応、再建築、近隣説明を円滑にする意味があります。

次の比較表は、建物付き土地で混同しやすい支出を整理したものです。解体費と国庫帰属制度の負担金は別物であり、支払先、時点、返還可能性が異なる点を読み取ってください。

費用支払先、時点返還可能性
解体費解体業者、申請前が原則民間契約によります。
測量、境界確認費土地家屋調査士、測量会社原則として業務対価です。
滅失登記費用土地家屋調査士等、又は本人申請の実費原則として業務対価です。
審査手数料申請時、1筆1万4,000円取下げ、却下、不承認でも返還されません。
負担金承認後、通知到達後30日以内納付しなければ承認失効。納付時点で国庫帰属します。
固定資産税1月1日時点の所有者に課税される方向国庫帰属時期、登記時期に注意が必要です。
注意負担金は、承認後に国が土地を管理するための標準的な10年分の管理費相当額です。建物解体費を国が負担するものではありません。基本額は1筆20万円ですが、市街地の宅地、農地、森林などでは面積に応じて増える場合があります。
Section 04

建物付き土地で国庫帰属制度が問題になる典型ケース

空き家、未登記古家、借地人の建物、共有地、越境を分けて検討します。

実家の空き家が建っている

親の死亡後、実家が空き家になり、相続人が遠方に住んで管理できないケースは典型です。土地だけでなく建物も相続財産であり、建物が残る限り国庫帰属制度の承認申請はできません。

次の比較表は、実家の空き家と土地について考えられる選択肢を並べたものです。国庫帰属だけに絞らず、売却、寄附、相続放棄、民間サービスを同じ土俵で比べることで、解体費をかける前に現実的な出口を検討できます。

選択肢向いている場合注意点
土地建物を売却市場性があり、買主が見込める場合境界、残置物、契約不適合責任、解体条件を確認します。
建物を解体して更地売却建物が古く、土地需要がある場合解体費、住宅用地特例の喪失、固定資産税増加に注意します。
建物を解体して国庫帰属申請売却困難だが土地要件を満たす可能性がある場合解体後も不承認事由がないか確認します。
自治体等へ寄附相談公共利用の可能性がある場合自治体が受け入れるとは限りません。
相続放棄相続開始を知ってから短期間で、負債や不要財産が多い場合土地だけを放棄できず、家庭裁判所手続が必要です。
民間引取サービス他の選択肢が見当たらない場合契約内容、費用、詐欺的勧誘に注意します。

未登記の古家がある

未登記でも現に建物が存在すれば承認申請できません。固定資産税課税台帳に家屋として載っているか、誰が所有しているか、相続財産か第三者所有か、共有者全員が取り壊しに同意しているか、解体後の証明資料をどう確保するかを確認します。

借地人の建物がある

土地所有者が相続人で、建物は借地人が所有している場合、現に建物があることに加え、借地権、地上権、賃借権などの使用収益権も問題になります。借地関係の終了、建物収去、権利抹消、明渡しには交渉や法的手続が関わることがあります。

次の比較表は、共有地や第三者建物がある場合に、土地と建物の所有関係を分けて見るためのものです。土地所有者だけで判断できないケースを早期に見抜くことが、紛争や無断解体を避けるうえで重要です。

土地建物主な問題
相続人全員の共有相続人全員の共有共有者全員の申請、解体同意、遺産分割
相続人AとBの共有A単独所有の建物Bの土地持分、Aの建物所有権、使用関係
相続人共有第三者所有の建物借地権、使用貸借、明渡し
遺産共有のまま被相続人名義の建物遺産分割、相続登記、解体権限

建物の一部が隣地に越境している

建物が申請土地上にないように見えても、軒、基礎、塀、浄化槽、配管、擁壁などが境界をまたいでいる場合があります。越境があると、建物の存否だけでなく、境界不明、所有権範囲の争い、隣地所有者との争いを要する土地という問題が生じ得ます。

Section 05

建物付き土地の国庫帰属制度申請前に集める資料と専門家

法務局相談に進む前に、登記、境界、税務、売却可能性を横断的に確認します。

法務局相談は、相談時点で提供された資料から判断できる範囲の見解を得る場です。承認申請後の審査では、実地調査などを踏まえて判断されるため、相談結果と審査結果が異なる可能性があります。

次の比較表は、法務局相談の前に整える資料と用途をまとめたものです。建物がある又はあった土地では、登記簿だけでなく現況写真、解体資料、境界資料を組み合わせて説明することが重要です。

資料取得先、作成者用途
土地登記事項証明書法務局所有者、地目、地積、担保権を確認します。
建物登記事項証明書法務局建物登記、所有者、滅失未了を確認します。
公図、地図法務局位置関係、隣地を確認します。
地積測量図法務局境界点、地積を確認します。
固定資産税課税明細市区町村、納税通知書土地建物の評価、課税状況を確認します。
現況写真申請者、専門家建物、工作物、境界、残置物を確認します。
解体見積書解体業者費用比較、撤去範囲を確認します。
境界資料土地家屋調査士等境界明示、紛争予防に使います。
相続関係資料戸籍、遺産分割協議書等申請権限を確認します。

次の一覧は、建物付き土地で関与し得る専門職と主な役割を整理したものです。どの専門家に最初に相談すべきかは、紛争、登記、境界、税務、売却可能性のどこが詰まっているかで変わります。

弁護士

相続人間の紛争、共有者不明、借地人交渉、明渡し、遺産分割調停、訴訟などを扱います。

紛争

司法書士

相続登記、抵当権抹消、所有権移転、登記関係書類、法定相続情報を扱います。

登記

土地家屋調査士

建物滅失登記、境界確認、分筆登記、地積更正、現況調査を扱います。

境界

税理士

相続税申告、債務控除、固定資産税、譲渡所得、空き家特例等を確認します。

税務

宅地建物取引士、不動産仲介業者

売却可能性の調査、媒介、重要事項説明、買主探索を担います。

売却

解体業者

建物撤去、残置物撤去、浄化槽、基礎撤去、アスベスト対応を担います。

撤去
資格範囲承認申請書の作成代行を業務として行えるのは、弁護士、司法書士、行政書士とされています。ただし、承認申請手続をすることができるのは所有者本人又は法定代理人に限られます。
Section 06

建物付き土地を解体するか国庫帰属制度の前に費用と税務を比較

解体前に、売却、測量、負担金、固定資産税、相続登記、税務上の扱いを確認します。

建物を解体してから国庫帰属できなかった場合、相続人の負担は大きくなります。解体前に、売却可能性、解体費、測量費、国庫帰属費用、税務影響、家族合意、代替案を同時に比較する必要があります。

次の比較表は、解体前に確認すべき費用と判断材料をまとめたものです。どの項目が未確認かを見れば、解体契約の前に追加調査すべき点が分かります。

比較項目確認すべき内容
売却可能性建物付き、古家付き、解体後更地の売却可能性を比べます。
解体費建物本体、残置物、アスベスト、浄化槽、基礎撤去、井戸処理を確認します。
測量費境界確定、分筆、地積更正の必要性を確認します。
国庫帰属費用審査手数料、負担金、専門家費用を確認します。
税務影響相続税、譲渡所得、固定資産税、住宅用地特例の変動を確認します。
家族合意共有者、相続人、建物所有者の同意を確認します。
代替案自治体寄附、隣地売却、農地中間管理機構、森林経営管理制度などを検討します。

解体後の不承認リスク

国庫帰属を目指す解体では、一般的な更地化よりも撤去範囲を慎重に決める必要があります。基礎、浄化槽、井戸、埋設配管、廃材、ブロック塀、庭石、樹木、竹、残置物が残ると、法5条1項の不承認事由に移行する可能性があります。

住宅用地特例と固定資産税

建物を解体すると、住宅用地としての固定資産税軽減が外れ、翌年度以降の固定資産税が増えることがあります。国庫帰属申請の審査には時間がかかるため、解体から国庫帰属までの期間中、固定資産税の負担が続く点に注意が必要です。

固定資産税固定資産税は原則として1月1日時点の所有者に課税される方向です。国が土地を引き取った後に所有権移転登記が行われるため、年末の承認では翌年の課税関係に注意が必要です。

相続登記義務化との関係

相続登記が未了でも、相続又は相続人への遺贈で取得した土地であれば申請できる場合があります。ただし、申請が取下げ、却下、不承認になった場合は、承認申請者が引き続き土地所有者となるため、相続登記を申請する必要があります。

令和6年、2024年4月1日から相続登記の申請は義務化されています。令和6年4月1日より前の相続でも未登記であれば義務化の対象となり、正当な理由なく不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

税務上の注意点

相続税評価では、家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じて評価する扱いが基本です。土地は路線価方式、倍率方式、貸宅地、借地権、使用貸借、貸家建付地、小規模宅地等の特例など、利用状況に応じて評価が変わります。

相続開始後に相続人の判断で建物を解体した費用が、当然に相続税の債務控除になるとは限りません。国庫帰属と譲渡所得、負担金、取得費、解体費、相続税取得費加算などの関係は、税理士又は税務署に確認するのが適切です。

Section 07

建物付き土地の国庫帰属制度で使う判断の流れと申請手続

建物の有無から承認後の負担金納付まで、実務の順番を整理します。

建物付き土地では、複数の不適格事由が重なりやすく、建物だけを見て判断すると見落としが出ます。次の判断の流れは、相続取得、共有、建物、登記、地上物、地下物、権利、境界、管理負担の順に確認するためのものです。

建物付き土地の確認順序

相続又は相続人への遺贈で取得した土地か

売買や生前贈与のみで取得した土地は対象外となる可能性があります。

共有地なら全員で申請できるか

共有者全員の共同申請が必要です。

現に建物があるか

ある場合は原則として承認申請できません。

建物登記、地上物、地下物を確認

滅失登記、工作物、基礎、浄化槽、井戸、ガラを確認します。

権利関係と境界を確認

抵当権、賃借権、地上権、通行利用、境界不明、所有権争いを確認します。

法務局相談、申請準備へ

崖、土壌汚染、管理費負担、森林整備負担などを含めて資料を整えます。

相談、申請先

申請先は、帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局、地方法務局の本局の不動産登記部門です。支局、出張所では承認申請の受付ができない点に注意が必要です。提出は窓口持参又は郵送が想定されています。

次の比較表は、建物を解体した土地で申請書類を整えるときに有用な資料をまとめたものです。必須書類に加えて、建物がなくなったことや地中物を撤去したことを説明できる資料を残すことが重要です。

資料理由
解体前写真建物の存在、撤去範囲を説明できます。
解体後写真現に建物がないことを説明できます。
解体証明書建物滅失登記、現況説明に使えます。
建物滅失登記完了後の登記事項証明書建物登記の整理を示せます。
地中埋設物撤去写真基礎、浄化槽、ガラの撤去を説明できます。
産業廃棄物処分関係書類廃材処理を説明できます。
境界写真法定添付書類の補強になります。
隣地確認書、境界確認書境界争いがないことの補強になります。

審査期間と承認後

標準処理期間は8か月とされていますが、事案によってはそれを超える場合があります。承認され、負担金を納付するまでは土地所有権は承認申請者にあるため、草刈りなどの管理を続ける必要があります。

次の時系列は、申請から所有権移転までの流れを示しています。各段階で所有権と管理義務がいつ移るのかを読み取ることで、申請後すぐに負担から離れられるわけではないことを確認できます。

申請前

資料整備と法務局相談

建物、境界、権利、費用、税務を確認し、申請可否を検討します。

申請時

審査手数料を納付

1筆1万4,000円の審査手数料は、取下げ、却下、不承認でも返還されません。

審査中

実地調査と管理継続

草刈りや投棄物撤去を求められることがあり、管理義務は申請者に残ります。

承認後

負担金の通知

通知到達の翌日から30日以内に負担金を納付します。

納付時

所有権が国庫へ移転

負担金を納付した時点で土地所有権が国庫に帰属します。

Section 08

建物付き土地の国庫帰属制度で誤解しやすい実務論点

先に申請できるか、古い建物ならよいか、農地、山林、別荘地、居住者がいる場合を整理します。

建物付き土地の相談では、制度の入口と現実の困りごとがずれやすくなります。次の一覧は、よくある誤解と実務上の見方をまとめたものです。自分のケースに近い項目を見つけたら、建物の有無だけでなく、権利、境界、税務、管理費まで広げて確認してください。

建物を壊す前に申請だけ先に出す

原則として建物は取り壊した上で申請します。後で解体すればよいという前提で進めると却下リスクが高く、審査手数料も返還されません。

建物が古くて価値がない

市場価値がゼロでも、解体費、管理責任、倒壊危険、権利関係は残ります。建物の存在自体が問題になります。

危険な空き家なら国が引き取る

国庫帰属制度は危険空き家を国が引き取る制度ではありません。危険なほど、解体、行政指導、近隣対応が先に問題になります。

農地に農業用倉庫がある

農地自体は対象になり得ますが、倉庫が建物なら申請できません。撤去後も農地法、農業委員会、土地改良区、水路を確認します。

山林に作業小屋がある

山林の一部に作業小屋があっても、建物なら却下される方向です。撤去後も境界、接道、急傾斜、倒木、管理コストを確認します。

別荘地に建物がある

建物があれば申請できません。解体後も管理組合費、道路負担金、共益費、規約、私道、管理会社との関係が問題になります。

相続人の一人が住んでいる

建物がある限り申請できず、居住者の権利を無視して解体することもできません。遺産分割や使用関係の整理が必要です。

次の強調箇所は、建物除外規定の政策的な意味を整理したものです。相続人が困っているのは古家付き土地であることが多い一方、制度は建物処理制度ではないため、解体費を誰が負担するかという難しさが残ります。

制度の入口は「土地」を国へ移すために絞られている

建物の存する土地を却下事由に置く規定は、国庫帰属制度が大量の空き家処理制度へ変質することを防ぎます。一方で、解体費が土地価値を超える地域では、制度利用の入口に立てない相続人が残るという課題があります。

建物付き土地の国庫帰属検討は、単一専門職だけでは完結しにくい領域です。売る、壊す、分ける、放棄する、国庫帰属を狙う、寄附する、貸す、管理を続けるという選択肢を、早い段階で横断的に比較することが重要です。

Section 09

建物付き土地と国庫帰属制度のFAQ

制度の一般的な考え方を、個別判断に踏み込みすぎない形で整理します。

Q1. 建物が建っている土地は国庫帰属制度の対象外ですか。

一般的には、現に建物が存在する土地は、相続土地国庫帰属法2条3項1号により承認申請できないとされています。ただし、土地の取得原因、共有関係、建物の現況、権利関係によって確認すべき点が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 建物が未登記でも対象外ですか。

一般的には、建物の登記がなくても、現に建物が存在する場合は承認申請できないとされています。ただし、建物性、所有者、固定資産税台帳、解体権限などによって整理が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 土地の端に小さな小屋があるだけでも対象外ですか。

一般的には、その小屋が不動産登記規則111条上の建物に当たれば対象外とされています。建物に当たらない場合でも、工作物として管理に過分の費用又は労力を要するかが問題になる可能性があります。具体的な対応は、写真や図面を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q4. 建物を取り壊せば必ず国庫帰属できますか。

一般的には、建物を撤去しても必ず承認されるわけではないとされています。抵当権、賃借権、境界不明、土壌汚染、地上工作物、地下埋設物、崖、通行妨害、管理費負担などで結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 解体後に基礎を残してもよいですか。

一般的には、地下に残る既存建物の基礎部分やコンクリート片は、通常の管理又は処分を阻害する有体物として問題になる可能性があります。ただし、残存物の種類、場所、量、撤去可能性によって評価が変わる可能性があります。具体的な対応は、解体範囲と写真を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q6. 建物滅失登記は必要ですか。

一般的には、建物を取り壊した場合、建物滅失登記は必要とされています。不動産登記法57条は、建物滅失の日から1か月以内の申請義務を定めています。ただし、未登記建物や所有者不明の建物では整理が変わる可能性があります。具体的な対応は、登記資料を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続登記をしていない土地でも申請できますか。

一般的には、相続又は相続人への遺贈で取得した土地であれば、相続登記未了でも申請できる場合があるとされています。ただし、所有者であることを証する書面が必要であり、取下げ、却下、不承認になった場合は相続登記義務が残る可能性があります。具体的な対応は、戸籍や登記資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q8. 申請してから審査中は管理しなくてよいですか。

一般的には、承認されて負担金を納付するまでは土地所有権は承認申請者にあるため、草刈りなどの管理が必要とされています。ただし、土地の状態、実地調査、投棄物の有無などで求められる対応が変わる可能性があります。具体的な対応は、法務局相談や専門家相談で確認する必要があります。

Q9. 共有者の一人だけで申請できますか。

一般的には、共有地は共有者全員の共同申請が必要とされています。ただし、共有者の所在、判断能力、遺産分割の状況、代理権の有無によって必要な手続が変わる可能性があります。具体的な対応は、共有関係資料を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q10. 承認後に負担金を払わないことはできますか。

一般的には、負担金の通知到達後30日以内に納付しなければ承認は失効し、納付が強制されるわけではないとされています。ただし、審査手数料は返還されず、土地所有者としての管理や登記の問題は残る可能性があります。具体的な対応は、費用と代替案を整理して専門家へ相談する必要があります。

Section 10

建物付き土地の国庫帰属制度チェックリスト

権利関係、物理的状況、手続費用、専門家相談を申請前に確認します。

次の一覧は、建物付き土地で国庫帰属を検討するときの確認項目です。抜けがあると、解体後に申請できない、審査で止まる、税務や登記で別の負担が残る可能性があるため、各項目を資料で確認することが重要です。

権利関係

所有者と利用権を確認

土地と建物の所有者、相続登記、建物登記、共有者の同意、抵当権、賃借権、地役権、占有者の有無を確認します。

物理的状況

建物と残存物を確認

現に建物があるか、小屋、物置、カーポート、廃屋、塀、擁壁、車両、基礎、浄化槽、井戸、ガラ、土壌汚染、崖、境界杭を確認します。

手続費用

解体前に支出を比較

解体費、固定資産税増加、測量、境界確認、審査手数料1筆1万4,000円、負担金20万円基本、審査期間中の管理費を確認します。

相談先

詰まる分野から相談

紛争は弁護士、相続登記は司法書士、滅失登記や境界は土地家屋調査士、税務は税理士、売却可能性は宅建業者に確認します。

チェックリストは、申請可否を保証するものではありません。建物付き土地では、同じ物件の中に相続、登記、境界、税務、不動産、家族関係の問題が重なるため、資料に基づいて段階的に確認することが大切です。

Section 11

建物付き土地の国庫帰属制度は解体後の土地要件まで確認する

最後に、建物がある場合の基本方針と実務上の進め方をまとめます。

建物が建っている土地は国庫帰属制度の対象外なのかという問いへの法的な答えは明確です。現に建物が存在する土地は、原則として承認申請をすることができません。これは、建物が登記されているかどうかに左右されません。土地の一部に建物があるだけでも、原則として却下される方向です。

しかし、実務上は、建物を取り壊した後も注意が必要です。基礎、浄化槽、井戸、ガラ、工作物、境界不明、抵当権、賃借権、通行利用、土壌汚染、崖、管理費負担などが残れば、別の却下事由又は不承認事由により国庫帰属できない可能性があります。

次の一覧は、建物付き土地で国庫帰属制度を検討する相続人が踏むべき順序をまとめたものです。順番ごとの確認事項を飛ばさず、解体費をかける前に売却、寄附、相続放棄、管理継続などの代替案も比較してください。

1

現に建物がある限り申請できない原則を理解する

未登記建物や一部の建物でも問題になることを確認します。

2

解体費、売却可能性、税務影響、家族合意を比較する

国庫帰属だけでなく、他の処分方法も同時に検討します。

3

解体するなら滅失登記、地中物撤去、境界確認まで計画する

建物を壊すだけでなく、土地として通常管理できる状態を目指します。

4

法務局相談で資料に基づき見通しを確認する

相談結果が最終審査を保証するものではない点も押さえます。

5

承認と負担金納付までは管理義務が残ると理解する

審査中の草刈り、不法投棄対応、固定資産税なども見込んでおきます。

建物付き土地の問題は、相続、登記、税務、不動産、境界、空き家管理、家族関係が交差する複合問題です。国庫帰属制度は有力な選択肢の一つですが、万能ではありません。特に建物がある場合、制度利用の前提として、建物と土地を切り分け、建物をどう処理するかを先に決めることが不可欠です。

Reference

この記事の参考情報源

制度、登記、税務、裁判所手続に関する公的資料を中心に確認しています。

法令と制度資料

  • 日本法令外国語訳DBシステム「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」
  • 日本法令外国語訳DBシステム「不動産登記規則」
  • 日本法令外国語訳DBシステム「不動産登記法」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」

相続、登記、税務の公的資料

  • 政府広報オンライン「相続した土地を手放したいときの相続土地国庫帰属制度」
  • 法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 国税庁「土地家屋の評価」
  • 国税庁「相続財産から控除できる債務」