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NISA口座の株式を相続すると
取得価額はいくらになるか

NISA口座の株式を相続した後に売却するときは、原則として死亡日の終値相当額を取得価額として扱います。相続税評価額、課税口座への移管、配当、申告の要否まで分けて整理します。

死亡日 取得価額の基準日
4価格 相続税評価の比較対象
20.315% 上場株式等の実務上の税率
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NISA口座の株式を相続すると 取得価額はいくらになるか

NISA口座の株式を相続した後に売却するときは、原則として死亡日の終値相当額を取得価額として扱います。

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NISA口座の株式を相続すると 取得価額はいくらになるか
NISA口座の株式を相続した後に売却するときは、原則として死亡日の終値相当額を取得価額として扱います。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • NISA口座の株式を相続すると 取得価額はいくらになるか
  • NISA口座の株式を相続した後に売却するときは、原則として死亡日の終値相当額を取得価額として扱います。

POINT 1

  • NISA口座の株式相続で取得価額をまず押さえる
  • 所得税の原価、相続税の評価、金融機関の移管記録を分けて考えます。
  • 原則は死亡日の終値相当額
  • 通常の特定口座や一般口座にある株式のように、被相続人の購入額をそのまま引き継ぐ扱いとは異なります。
  • 被相続人がNISA口座で保有していた期間中の含み益は、死亡時までNISAの非課税効果を受けます。

POINT 2

  • NISA口座の株式相続で混同しやすい用語
  • NISA口座、取得価額、相続税評価額を同じものとして扱わないことが重要です。
  • NISA口座
  • 取得価額
  • 相続税評価額

POINT 3

  • NISA口座の株式相続の取得価額は死亡日の終値相当額
  • 課税口座の株式相続とは取得費の引継ぎ方が異なります。
  • 相続開始日とは、通常は被相続人の死亡日です。
  • 取得価額の基準が違うと、死亡前の含み益や含み損を相続人がどのように扱うかも変わるため、各行の違いを確認してください。
  • 次の計算例一覧は、死亡日の終値相当額を取得価額にすることで、譲渡所得がどのように変わるかを示しています。

POINT 4

  • NISA口座の株式相続と相続税評価額の違い
  • 相続税評価額は、売却時の取得価額と一致するとは限りません。
  • これは相続税の課税価格を計算するための評価ルールであり、相続人が後日売却したときの取得価額を決めるルールとは別です。
  • この例では、相続税評価では1株当たり1,450円で評価します。
  • しかし、NISA口座の株式を相続した後の売却における取得価額は、原則として死亡日の終値に相当する1,600円です。

POINT 5

  • NISA口座の株式相続は相続人のNISA口座に入れられない
  • 1. 金融機関へ死亡を連絡:証券会社、銀行、信託銀行などに連絡し、NISA口座の有無と死亡届出の方法を確認します。
  • 2. 残高証明書と評価資料を取得:銘柄、株数、死亡日の終値、死亡月と前月・前々月の月平均額、配当の権利関係を確認します。
  • 3. 遺言または遺産分割で取得者を決める:誰がどの株式を取得するか、売却して現金で分けるか、評価基準日をいつにするかを整理します。
  • 4. 取得価額の記録を確認:移管後の取得日と取得価額が証券会社の画面や報告書にどう表示されるか確認します。
  • 5. 売却時の申告資料を保存:取得価額、売却額、手数料、配当資料を自分で整理する必要性が高くなります。

POINT 6

  • NISA口座の株式相続後の配当・売却・取得費加算
  • 1. NISA口座の死亡届出と残高資料の取得:金融機関に死亡を連絡し、非課税口座開設者死亡届出書、銘柄、株数、死亡日の終値相当額を確認します。
  • 2. 相続税申告と納税:原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税を行います。
  • 3. 取得費加算の特例:正確には、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることが主な要件の一つです。
  • 4. 不動産がある場合の相続登記

POINT 7

  • NISA口座の株式相続で紛争を防ぐ視点
  • 価格変動リスク
  • 評価基準日を死亡日とするのか、協議成立日とするのか、売却損益を誰が負担するのかを決めます。
  • 売却と配当の帰属
  • 売却して現金で分ける場合、売却時期、手数料、税負担、配当金や分配金の帰属を明確にします。

POINT 8

  • NISA口座の株式相続で保存すべき資料
  • 取得価額、相続税評価、売却時の申告を後から確認できる状態にします。
  • 取得価額を確認するチェックリスト
  • 次の資料一覧は、NISA口座の株式相続で後から必要になりやすい保存資料をまとめています。

まとめ

  • NISA口座の株式を相続すると 取得価額はいくらになるか
  • NISA口座の株式相続で取得価額をまず押さえる:所得税の原価、相続税の評価、金融機関の移管記録を分けて考えます。
  • NISA口座の株式相続で混同しやすい用語:NISA口座、取得価額、相続税評価額を同じものとして扱わないことが重要です。
  • NISA口座の株式相続の取得価額は死亡日の終値相当額:課税口座の株式相続とは取得費の引継ぎ方が異なります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

NISA口座の株式相続で取得価額をまず押さえる

所得税の原価、相続税の評価、金融機関の移管記録を分けて考えます。

NISA口座の株式を相続すると取得価額はいくらになるかという問いへの結論は、譲渡所得の計算上、原則として相続開始日、つまり被相続人が死亡した日の終値に相当する金額です。通常の特定口座や一般口座にある株式のように、被相続人の購入額をそのまま引き継ぐ扱いとは異なります。

次の強調表示は、このページ全体の結論を表しています。後日の売却益を計算するときにどの金額を原価にするかが実務の出発点なので、まず死亡日の終値相当額が中心になることを読み取ってください。

原則は死亡日の終値相当額

被相続人がNISA口座で保有していた期間中の含み益は、死亡時までNISAの非課税効果を受けます。死亡後に相続人が特定口座または一般口座で保有する期間の値上がり益は、通常の課税対象になります。

次の比較表は、似て見える三つの金額の役割を分けたものです。相続人にとって重要なのは、同じ株式でも所得税、相続税、金融機関の移管処理で見る金額が違うため、どの場面でどの数字を使うかを確認することです。

区分何のための金額かNISA口座の株式を相続した場合の考え方
所得税上の取得価額相続人が後日売却したときの譲渡所得を計算するための原価原則として、相続開始日の終値に相当する金額
相続税評価額相続税申告で遺産の価額を計算するための金額死亡日の終値を基礎に、死亡月、前月、前々月の終値平均額と比較して評価する
金融機関の移管額NISA口座から課税口座へ払い出す実務上の記録相続人の特定口座または一般口座へ移管され、相続人のNISA口座には受け入れられない
注意このページは一般的な制度説明です。個別の税額、申告方法、遺産分割の方針は、銘柄、口座区分、相続税の有無、相続人間の合意、金融機関の取扱いによって変わる可能性があります。
Section 01

NISA口座の株式相続で混同しやすい用語

NISA口座、取得価額、相続税評価額を同じものとして扱わないことが重要です。

NISAは、一定の投資枠内で取得した株式や投資信託などについて、配当、分配金、譲渡益が非課税になる制度です。2024年からの新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠が設けられ、非課税保有期間が無期限になっています。

もっとも、NISAの非課税効果は、口座開設者が生存している間の運用益を中心に設計されています。口座開設者が死亡しても、相続人がそのNISA口座をそのまま引き継ぐわけではありません。

次の一覧は、NISA口座の株式相続で頻出する三つの用語を整理したものです。言葉の意味を分けておくと、売却時の所得税、相続税申告、金融機関手続で必要な判断を取り違えにくくなります。

NISA

NISA口座

少額投資非課税制度の適用を受けるために金融機関で開設する非課税口座です。上場株式、ETF、REIT、公募株式投資信託などが問題になることがあります。

Income tax

取得価額

株式等を売却したときの譲渡所得を計算するための原価です。基本構造は、譲渡価額から取得費と売却手数料等を差し引く考え方です。

Inheritance tax

相続税評価額

相続税の課税価格を計算するための財産評価額です。上場株式では死亡日の終値だけでなく、月平均額との比較が問題になります。

実務で生じやすい疑問

被相続人が100万円で買ったNISA株式が死亡日に160万円になっていた場合、相続人の取得価額は100万円なのか160万円なのか。死亡日に160万円だった株式を200万円で売った場合、課税される利益は40万円なのか100万円なのか。このような疑問の中核は、所得税上の取得価額と相続税評価額を混同しないことにあります。

  • 被相続人のNISA購入額を引き継ぐのか
  • 死亡日の終値と相続税評価額が違う場合、売却時にどちらを使うのか
  • 相続人のNISA口座に移せない場合、非課税枠はどうなるのか
  • 金融機関の残高証明、払出通知、特定口座年間取引報告書のどの数字を見るのか
Section 02

NISA口座の株式相続の取得価額は死亡日の終値相当額

課税口座の株式相続とは取得費の引継ぎ方が異なります。

NISA口座内の上場株式等が相続により払い出された場合、原則として相続開始日の終値に相当する金額で相続人が取得したものとみなされます。相続開始日とは、通常は被相続人の死亡日です。

この比較表は、課税口座の株式を相続した場合とNISA口座の株式を相続した場合の違いを表しています。取得価額の基準が違うと、死亡前の含み益や含み損を相続人がどのように扱うかも変わるため、各行の違いを確認してください。

項目課税口座の株式を相続NISA口座の株式を相続
被相続人の生前購入額原則として引き継ぐ原則として引き継がない
相続人の取得価額被相続人の取得費相続開始日の終値に相当する金額
死亡時までの含み益相続人の売却時に課税され得るNISAの非課税効果により、死亡時までの含み益は課税されない
死亡後の値上がり益課税対象課税対象
相続人のNISA口座への受入れ通常は論点にならない受入れ不可。特定口座または一般口座へ受け入れる

次の計算例一覧は、死亡日の終値相当額を取得価額にすることで、譲渡所得がどのように変わるかを示しています。死亡前の値上がりや値下がりではなく、死亡日から売却日までの差額が相続人側の損益になることを読み取ってください。

場面前提取得価額譲渡所得等の計算読み取り方
含み益がある場合購入額1,000,000円、死亡日1,600,000円、売却額2,000,000円1,600,000円2,000,000円 − 1,600,000円 = 400,000円死亡時までの600,000円の値上がり益は、相続人の譲渡所得に含めない
含み損がある場合購入額1,000,000円、死亡日700,000円、売却額900,000円700,000円900,000円 − 700,000円 = 200,000円死亡時までの300,000円の下落部分は、相続人が引き継ぐ損失ではない
死亡後に値下がりした場合購入額1,000,000円、死亡日1,600,000円、売却額1,200,000円1,600,000円1,200,000円 − 1,600,000円 = △400,000円相続人の課税口座で取得した後に生じた損失として、要件により損益通算や繰越控除を検討する余地がある
算式譲渡所得等の金額 = 譲渡価額 − 取得費 − 売却手数料等。NISA口座の株式相続では、この取得費の出発点が死亡日の終値相当額になります。
Section 03

NISA口座の株式相続と相続税評価額の違い

相続税評価額は、売却時の取得価額と一致するとは限りません。

上場株式の相続税評価では、死亡日の終値を基本にしつつ、死亡日の終値が死亡月、前月、前々月の毎日の終値平均額のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額で評価します。これは相続税の課税価格を計算するための評価ルールであり、相続人が後日売却したときの取得価額を決めるルールとは別です。

次の比較表は、死亡日の終値と月平均額のどれを相続税評価で使うかを示しています。相続税では低い金額を使える場面があっても、NISA口座の株式相続後の売却では死亡日の終値相当額が取得価額になるという違いを読み取ってください。

評価項目1株当たりの金額相続税評価での位置づけ
死亡日の終値1,600円所得税上の取得価額の基準にもなる中心的な金額
死亡月の終値平均額1,450円4つの価格のうち最も低い金額
前月の終値平均額1,520円相続税評価の比較対象
前々月の終値平均額1,480円相続税評価の比較対象

この例では、相続税評価では1株当たり1,450円で評価します。しかし、NISA口座の株式を相続した後の売却における取得価額は、原則として死亡日の終値に相当する1,600円です。相続税評価額の1,450円をそのまま譲渡所得の取得価額に使うわけではありません。

次の一覧は、相続税評価額と取得価額を混同したときに起きやすい誤りをまとめています。どの金額をどの目的で使うかを区別することで、譲渡所得や遺産分割の計算ミスを避けやすくなります。

誤り何が問題か
相続税評価額をそのまま売却時の取得価額にする譲渡所得を過大または過小に計算するおそれがある
被相続人のNISA購入額を相続人の取得価額にするNISA口座特有の相続時リセットを無視することになる
金融機関の残高証明の時価だけで相続税評価と取得価額を兼用する残高証明の基準日や表示方法によって、税務上必要な金額とずれる可能性がある
遺産分割協議書の評価額を税務上の取得価額と考える協議上の分配価格と所得税上の取得価額は別概念である
重要税務上の取得価額が死亡日の終値相当額であることと、相続人間で公平に分けるための評価基準日は、必ずしも同じではありません。
Section 04

NISA口座の株式相続は相続人のNISA口座に入れられない

相続により取得する上場株式等は、特定口座または一般口座で受け入れる扱いです。

相続人がNISA口座を持っていても、被相続人のNISA口座内株式をそのまま相続人のNISA口座に入れることはできません。相続で取得した株式は相続人のNISA生涯投資枠を消費せず、非課税保有対象にもなりません。売却代金で別途NISA口座で買い付ける場合は、相続とは別の新規投資として相続人自身の投資枠で行います。

次の手順図は、NISA口座の株式を見つけてから課税口座へ移管するまでの順番を表しています。どの段階で死亡日の終値、月平均額、取得者、移管書類を確認するかが重要なので、上から順に必要資料をそろえる流れを読み取ってください。

NISA口座の株式相続の進め方

金融機関へ死亡を連絡

証券会社、銀行、信託銀行などに連絡し、NISA口座の有無と死亡届出の方法を確認します。

▼
残高証明書と評価資料を取得

銘柄、株数、死亡日の終値、死亡月と前月・前々月の月平均額、配当の権利関係を確認します。

▼
遺言または遺産分割で取得者を決める

誰がどの株式を取得するか、売却して現金で分けるか、評価基準日をいつにするかを整理します。

▼
特定口座に受入れ
取得価額の記録を確認

移管後の取得日と取得価額が証券会社の画面や報告書にどう表示されるか確認します。

一般口座に受入れ
売却時の申告資料を保存

取得価額、売却額、手数料、配当資料を自分で整理する必要性が高くなります。

次の書類一覧は、金融機関の相続手続で求められやすい資料と目的を示しています。金融機関ごとに名称や必要範囲が異なるため、最初に必要書類一覧を取り寄せ、原本還付の可否と提出期限を確認することが大切です。

書類主な目的
非課税口座開設者死亡届出書NISA口座開設者の死亡に伴う非課税口座の処理
相続上場株式等移管依頼書相続人の特定口座または一般口座へ株式を移管するための依頼
被相続人の戸籍または法定相続情報一覧図相続人の確認
相続人の本人確認書類、印鑑証明書手続者の確認
遺言書、遺産分割協議書誰が株式を取得するかの確認
残高証明書、取引報告書財産内容と評価の確認
Section 05

NISA口座の株式相続後の配当・売却・取得費加算

死亡後の配当、売却時の税率、相続税の取得費加算、申告期限をまとめます。

死亡日後にNISA口座で支払われるべき配当等には、NISAの非課税措置は適用されません。配当の権利確定日、支払日、基準日によって、相続財産としての未収配当金や配当期待権、準確定申告、相続人の確定申告に影響することがあります。

次の一覧は、NISA口座の株式相続後に確認すべき税務上の論点を三つに分けたものです。配当、売却、取得費加算は見落とす時期が違うため、どの場面で申告や資料保存が必要になるかを読み取ってください。

Dividend

死亡後の配当

死亡日後に支払われる配当等は、NISAの非課税措置の対象外です。権利確定日と支払日の関係を確認します。

Sale

売却時の税率

上場株式等の譲渡益は申告分離課税の対象です。実務上よく使われる合計税率は20.315パーセントです。

Addition

取得費加算

相続税が課税され、一定期間内に譲渡するなどの要件を満たす場合、相続税額の一部を取得費に加算できる可能性があります。

次の時系列は、相続税申告、取得費加算、相続登記など期限が関わる手続を並べたものです。期限の起算点がそれぞれ違うため、売却を急ぐ場合も申告と資料保存の順番を確認してください。

死亡後すみやかに

NISA口座の死亡届出と残高資料の取得

金融機関に死亡を連絡し、非課税口座開設者死亡届出書、銘柄、株数、死亡日の終値相当額を確認します。

10か月以内

相続税申告と納税

原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税を行います。基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。

一定期間内の譲渡

取得費加算の特例

正確には、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることが主な要件の一つです。

3年以内

不動産がある場合の相続登記

相続財産に不動産がある場合、所有権取得を知った日から3年以内の相続登記義務と、正当な理由なく怠った場合の10万円以下の過料も確認します。

次の比較表は、確定申告を検討しやすい場面をまとめたものです。特定口座の源泉徴収ありでも、損益通算、繰越控除、取得費加算を使うかによって申告の必要性が変わる点を読み取ってください。

場面確認すること
一般口座で売却した場合取得価額、売却価額、手数料を整理して譲渡所得を計算する
特定口座で源泉徴収なしの場合年間取引報告書をもとに申告要否を確認する
複数口座で損益通算したい場合他の上場株式等の譲渡益や配当等との通算を検討する
譲渡損失の繰越控除を使いたい場合申告方式、住民税、社会保険料への影響も確認する
取得費加算を使いたい場合相続税申告書、計算明細書、譲渡時期、添付書類を確認する
Section 06

NISA口座の株式相続で紛争を防ぐ視点

株価変動、配当、税負担、使い込み疑いを遺産分割の前に整理します。

NISA口座の株式は流動性が高く、価格変動も大きいため、相続人間の紛争を生みやすい財産です。死亡日から遺産分割成立日までに株価が動くことがあり、売却時期、評価基準日、配当、税金、手数料の負担を明確にしておく必要があります。

次の注意項目一覧は、NISA口座の株式相続で紛争になりやすい論点をまとめています。価格、取引履歴、遺留分、専門職の役割を分けて見ることで、協議書に何を明記すべきかを読み取ってください。

価格変動リスク

評価基準日を死亡日とするのか、協議成立日とするのか、売却損益を誰が負担するのかを決めます。

売却と配当の帰属

売却して現金で分ける場合、売却時期、手数料、税負担、配当金や分配金の帰属を明確にします。

使い込み疑い

死亡前後の売却や出金がある場合、取引履歴、ログイン履歴、電話注文記録、銀行入出金などを確認します。

遺留分との関係

遺言で特定の相続人が株式を取得する場合、評価時点、売却後の現金、配当、税負担が争点になり得ます。

次の専門職一覧は、NISA口座の株式相続で誰に何を確認するかを整理したものです。法律、税務、登記、金融機関手続は担当領域が違うため、相談先を間違えずに必要な資料をそろえることが重要です。

税

税理士

相続税申告、準確定申告、株式売却時の所得税申告、取得費加算、配当や分配金の税務処理を確認します。

税務
法

弁護士

相続人間の争い、遺産分割交渉、遺留分、使い込み疑い、調停、審判、訴訟、証拠収集を扱います。

紛争
登

司法書士

不動産がある相続で、相続登記、戸籍収集、法定相続情報、登記申請書類などを確認します。

登記
書

行政書士

争いがない場合の遺産分割協議書、相続人関係説明図、行政手続書類の作成支援を行います。

書類
証

証券会社などの相続担当

残高証明、NISA口座の死亡届出、相続上場株式等移管依頼、口座移管、売却手続を案内します。

移管
遺

遺言執行者・公証人

遺言に従った株式移管、売却、分配の実行や、公正証書遺言の作成に関与します。

遺言
不

不動産鑑定士・土地家屋調査士

相続財産に不動産があり、評価、境界、分筆が問題となる場合に役割を持ちます。

不動産
会

公認会計士・中小企業診断士

非上場株式、会社支配、事業承継、財務分析が必要な場合に確認先となります。

事業承継
家

FP

家計、保険、老後資金、相続後の資産配分を整理します。法律相談や税務代理は各専門職につなぐ役割です。

資産整理
Section 07

NISA口座の株式相続で保存すべき資料

取得価額、相続税評価、売却時の申告を後から確認できる状態にします。

取得価額を確認するチェックリスト

  • 被相続人がNISA口座を開設していた金融機関を特定した。
  • 銘柄、株数、死亡日現在の残高を確認した。
  • 死亡日の終値に相当する金額を確認した。
  • 死亡日に取引所の終値がない場合の金融機関の算定方法を確認した。
  • 特定口座に移管されるか、一般口座になるか確認した。
  • 移管後の取得日と取得価額が証券会社の画面や報告書にどう表示されるか確認した。
  • 相続税評価額と所得税上の取得価額を分けて記録した。
  • 後日売却した場合の譲渡所得、源泉徴収、確定申告の要否を確認した。
  • 相続税が課税される場合、取得費加算の特例の適用可能性を確認した。
  • 相続人間の協議では、評価基準日、配当、税負担、手数料の負担を明記した。

次の資料一覧は、NISA口座の株式相続で後から必要になりやすい保存資料をまとめています。取得価額、相続税評価、移管、売却、取得費加算をそれぞれ証明する目的が違うため、どの資料がどの場面を支えるかを読み取ってください。

資料保存目的
被相続人の取引残高報告書NISA口座の銘柄、数量、管理区分の確認
死亡日現在の残高証明書相続財産の存在と数量の証明
死亡日の終値資料所得税上の取得価額の確認
上場株式の評価明細書相続税評価額の計算
非課税口座開設者死亡届出書の控えNISA口座死亡手続の証明
相続上場株式等移管依頼書の控え移管手続の証明
特定口座年間取引報告書売却年の所得税申告、源泉徴収確認
遺言書、遺産分割協議書取得者と分配内容の証明
相続税申告書、取得費加算の計算明細書取得費加算や税務調査対応
Section 08

NISA口座の株式相続でよくある質問

一般的な制度説明として、取得価額、配当、申告、遺産分割の考え方を整理します。

Q1. NISA口座の株式を相続すると取得価額はいくらになりますか。

一般的には、被相続人の死亡日の終値に相当する金額とされています。ただし、銘柄、取引所の営業日、金融機関の表示、口座区分によって確認資料が変わる可能性があります。具体的な税務処理は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 被相続人が100万円で買い、死亡日に160万円だった場合、160万円が取得価額ですか。

一般的には、死亡日の終値相当額である160万円を取得価額として扱う考え方です。ただし、売却手数料、移管後の口座区分、報告書の記載によって計算資料の確認方法が変わる可能性があります。具体的な申告は税理士等へ確認する必要があります。

Q3. 相続税評価額が145万円になった場合、売却時の取得価額も145万円ですか。

一般的には、相続税評価額と所得税上の取得価額は別の概念とされています。相続税評価では月平均額との比較が問題になる一方、NISA口座の株式相続後の売却では死亡日の終値相当額が取得価額の基準になります。個別の計算は税理士等へ相談する必要があります。

Q4. 相続人のNISA口座に移せますか。

一般的には、相続により取得する上場株式等は相続人のNISA口座には受け入れられず、特定口座または一般口座へ受け入れる扱いとされています。ただし、金融機関ごとに必要書類や移管条件が異なる可能性があります。具体的な手続は金融機関へ確認する必要があります。

Q5. 死亡日までの含み益には所得税がかかりますか。

一般的には、NISA口座で保有されていた期間中の含み益については、死亡時まで非課税措置の適用があるとされています。ただし、死亡後の配当や売却益は別に確認する必要があります。具体的な所得税処理は税理士等へ相談する必要があります。

Q6. 死亡日までの含み損は相続人が使えますか。

一般的には、NISA口座内の譲渡損失はなかったものとみなされるため、被相続人のNISA口座で生じた含み損を相続人が損益通算や繰越控除に使うことはできないとされています。ただし、相続後の課税口座で生じた損失は別に扱われる可能性があります。申告上の扱いは税理士等へ確認する必要があります。

Q7. 相続後に売却して損失が出た場合はどうなりますか。

一般的には、相続後に特定口座または一般口座で取得した後に発生した値下がり損は、NISA口座内の損失ではありません。要件を満たす場合、上場株式等の譲渡損失として申告上の取扱いを検討する余地があります。ただし、口座区分、申告方式、他の所得、住民税や社会保険料への影響で結論は変わります。

Q8. 特定口座に入れば確定申告は不要ですか。

一般的には、源泉徴収ありの特定口座であれば、譲渡所得について申告不要を選択できる場合があります。ただし、取得費加算、損益通算、繰越控除、配当等との通算を使う場合は確定申告が必要になることがあります。具体的な有利不利は税理士等へ確認する必要があります。

Q9. 取得費加算の特例は使えますか。

一般的には、相続税が課税され、一定期間内に譲渡するなどの要件を満たす場合は検討できるとされています。ただし、自動適用ではなく、一定の書類を添えた確定申告が必要です。適用可否と計算額は税理士等へ相談する必要があります。

Q10. 遺産分割協議書には取得価額を書かなければなりませんか。

一般的には、税務上の取得価額を必ず協議書に書かなければならないとは限りません。ただし、株式の評価基準日、取得者、株数、売却して分ける場合の税金や手数料の負担を明確にすることは、後日の紛争予防に有用です。具体的な協議書の内容は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Section 09

NISA口座の株式相続のまとめ

取得価額と相続税評価を分け、移管後の売却と申告まで見通します。

NISA口座の株式を相続した場合、取得価額の判断で最も重要なのは、通常の課税口座の株式相続とは異なるという点です。通常の課税口座では被相続人の取得費を引き継ぐのが原則ですが、NISA口座内の上場株式等が相続により払い出された場合には、原則として相続開始日の終値に相当する金額で相続人が取得したものとみなされます。

ただし、実務ではこの結論だけでは足りません。相続税評価額は死亡日の終値だけでなく月平均額との比較で決まることがあり、相続人のNISA口座には受け入れられず、特定口座または一般口座への移管となり、死亡後の配当や売却益は通常の課税関係に入ります。

  1. 金融機関に死亡届出を行い、NISA口座内の銘柄、数量、死亡日の終値相当額を確認する。
  2. 所得税上の取得価額と相続税評価額を別々に計算する。
  3. 遺産分割協議では、評価基準日、配当、売却損益、税金、手数料の負担を明記する。
  4. 移管先が特定口座か一般口座かを確認する。
  5. 売却時には、譲渡所得、源泉徴収、確定申告、取得費加算の特例を確認する。
  6. 争い、相続税、不動産、事業承継が絡む場合は、弁護士、税理士、司法書士等に早期に相談する。
確認このページは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務申告、法律判断、遺産分割、金融機関手続、訴訟対応は、証券会社、税務署、税理士、弁護士、司法書士等に確認してください。
Reference

参考資料

制度の基本、税務上の取扱い、証券実務を確認するための公的・中立的な資料です。

制度と税務の資料

  • 金融庁「NISAを知る」
  • 国税庁「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」
  • 国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」
  • 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」
  • 国税庁「No.4632 上場株式の評価」
  • 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
  • 国税庁「No.1476 特定口座制度」
  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」

証券実務と関連手続の資料

  • 日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」