2σ Guide

申立て後から
第1回調停までの流れと準備

遺産分割調停を中心に、申立書の受付、呼出状、回答書、3つの台帳、当日の進行、期限管理までを順番に確認できます。

10か月相続税申告の原則期限
3年相続登記の義務を意識
3か月放棄、限定承認の熟慮期間
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申立て後から 第1回調停までの流れと準備

遺産分割調停を中心に、申立書の受付、呼出状、回答書、3つの台帳、当日の進行、期限管理までを順番に確認できます。

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申立て後から 第1回調停までの流れと準備
遺産分割調停を中心に、申立書の受付、呼出状、回答書、3つの台帳、当日の進行、期限管理までを順番に確認できます。
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  • 申立て後から 第1回調停までの流れと準備
  • 遺産分割調停を中心に、申立書の受付、呼出状、回答書、3つの台帳、当日の進行、期限管理までを順番に確認できます。

POINT 1

  • 申立て後から第1回調停までの全体像
  • 申立て後から第1回調停までの全体像について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 第1回調停は争点と宿題を整える入口です
  • この重要ポイントは、申立て後から第1回調停までの準備の全体像を示しています。
  • 第1回は勝敗を決める場というより争点と資料を整理する場なので、通知、回答、台帳、期限を分けて読み取ってください。

POINT 2

  • 申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論
  • 申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 申立て後から第1回調停までに起こることは、概ね次の順序で理解できます。
  • この4点を第1回期日までに完璧に証明できる必要はありません。

POINT 3

  • 第1回調停前に知っておきたい重要用語
  • 第1回調停前に知っておきたい重要用語について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 3.1 申立人
  • 3.2 相手方
  • 3.3 被相続人

POINT 4

  • 申立て後から第1回調停までの基本的な流れ
  • 1. 申立書提出:控えを保存し、事件番号や補正連絡を待ちます。
  • 2. 受付と形式確認:管轄、当事者、戸籍、郵便料、申立書写しなどが確認されます。
  • 3. 不足対応:追加資料、写し、郵便料などの補正に対応します。
  • 4. 第1回期日の決定:不都合があれば早めに連絡し、回答書や資料を準備します。
  • 5. 相手方への送付と回答:申立書、遺産目録、照会書を読み、認める点と争う点を分けます。
  • 6. 第1回調停:争点、資料、希望案、次回までの宿題を確認します。

POINT 5

  • 第1回調停までに準備すべき3つの台帳
  • 相続人関係の台帳
  • 遺産と債務の台帳
  • 争点と希望の台帳
  • 第1回調停までに準備すべき3つの台帳について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

POINT 6

  • 申立人が第1回調停までに準備すべきこと
  • 1. 申立書と遺産目録を読み直す:相続人漏れ、不動産漏れ、預金出金、保険、借金、相続税期限を確認します。
  • 2. 目的を短く言語化する:自宅を守りたい、使途不明金を確認したい、公平な分割をしたいなどに整理します。
  • 3. 資料を目録で出す:資料番号、資料名、示したい事実を分けて、束のまま提出しないようにします。
  • 4. 感情を争点に翻訳する:使い込み、特別受益、寄与分、遺言能力、不動産評価などの論点に置き換えます。

POINT 7

  • 相手方が第1回調停までに準備すべきこと
  • 相手方が第1回調停までに準備すべきことについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 争わない事実
  • 分からない事実
  • 明確に争う事実

POINT 8

  • 第1回調停の当日に実際に行われること
  • 1. 待合と本人確認:呼出状、身分証明書、事件番号を確認し、別々の待合になることがあります。
  • 2. 事情の確認:相続人、遺言、遺産、不動産、預金、評価、特別受益、寄与分などを聞かれます。
  • 3. 合意できる点と未整理の点:資料提出、査定、取引履歴、税務情報など次回までの課題を分けます。
  • 4. 次回期日と宿題:日時、場所、提出資料、期限、次回議題、保留事項をメモします。

まとめ

  • 申立て後から 第1回調停までの流れと準備
  • 申立て後から第1回調停までの全体像:申立て後から第1回調停までの全体像について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論:申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 第1回調停前に知っておきたい重要用語:第1回調停前に知っておきたい重要用語について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

申立て後から第1回調停までの全体像

申立て後から第1回調停までの全体像について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この重要ポイントは、申立て後から第1回調停までの準備の全体像を示しています。第1回は勝敗を決める場というより争点と資料を整理する場なので、通知、回答、台帳、期限を分けて読み取ってください。

第1回調停は争点と宿題を整える入口です

申立書や呼出状を受け取った段階で、人、財産、主張の台帳を作り、提出資料と期限を分けて整理すると、その後の進行が見えやすくなります。

相続でもめたとき、多くの人が最初に直面する公的手続が、家庭裁判所の調停です。特に遺産分割調停では、被相続人の財産を誰が、どのように、どの評価額で取得するのかを、家庭裁判所の調停手続の中で話し合います。裁判所は、遺産分割について相続人間で話合いがつかない場合には、遺産分割の調停または審判の手続を利用できると説明しています。また、遺産分割調停は、相続人のうちの1人または数人が、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続です。

このページのテーマは「申立て後から第1回調停までの流れと準備すべきこと」です。対象は、相続に関連した問題で不安を抱えている一般の方ですが、解説の精度は、弁護士、司法書士、税理士、不動産鑑定士、行政書士、裁判所実務、税務、登記、不動産、事業承継の専門知を横断するレベルを目指します。

ただし、個別事件の結論は、相続人の構成、遺言の有無、財産の内容、使い込み疑い、贈与の履歴、介護や事業貢献、税務上の制約、管轄家庭裁判所の運用によって変わります。このページは専門的な一般解説で、個別事件についての法律意見そのものではありません。

Section 01

申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論

申立て後から第1回調停までに最初に押さえる結論について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

申立て後から第1回調停までに起こることは、概ね次の順序で理解できます。

  1. 家庭裁判所が申立書と添付書類を受け付け、事件番号を付ける。
  2. 裁判所書記官などが、管轄、当事者、手数料、郵便料、添付資料の不足を確認します。
  3. 不足や不明点があれば、補正や追加提出を求められます。
  4. 第1回調停期日が指定されます。
  5. 相手方に、申立書の写し、期日通知、呼出状、照会書、回答書などが送られることがあります。
  6. 当事者は、期日前に自分の主張、資料、希望する分割案、欠席や日程変更の事情、非開示希望の有無を整理します。
  7. 第1回調停期日では、通常、結論を急ぐよりも、相続人、遺産の範囲、争点、不足資料、今後の進行を整理します。

実務上の核心は、第一に「誰が相続人か」、第二に「何が遺産か」、第三に「その遺産をいくらで見るか」、第四に「どのように分けるか」です。この4点を第1回期日までに完璧に証明できる必要はありません。しかし、少なくとも自分の認識、根拠資料、不明点、相手に求めたい資料を整理しておくことが、調停全体の速度と精度を大きく左右します。

Section 02

このページが扱う手続の範囲

このページが扱う手続の範囲について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

2.1 中心は遺産分割調停

相続調停と一口にいっても、裁判所が案内する相続関連の調停には、遺産分割調停、寄与分を定める処分調停、特別の寄与に関する処分調停、遺留分侵害額の請求調停、遺産に関する紛争調整調停などがあります。裁判所は、相続に関する調停手続の一覧として、これらを整理しています。

このページでは、もっとも典型的な遺産分割調停を標準モデルとして解説します。そのうえで、遺留分、寄与分、遺産の範囲、使い込み疑い、不動産評価、相続税、相続登記など、実際の相続紛争で第1回調停までに問題となりやすい論点も取り込みます。

2.2 遺産分割調停と審判の関係

遺産分割調停は、家庭裁判所で行う話合いの手続です。裁判所は、調停手続において、当事者双方から事情を聴き、必要に応じて資料提出や鑑定を行い、分割方法の希望を聴取し、解決案の提示や助言をしながら合意を目指すと説明しています。話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始され、裁判官が審判をすることになります。

ここで重要なのは、第1回調停は「裁判官がすぐ判決のような結論を出す日」ではないという点です。むしろ、第1回は、当事者と裁判所が同じ地図を見るための入口です。相続人の範囲、遺産目録、評価資料、争点、次回までの宿題を整えることが中心になることが多いです。

Section 03

第1回調停前に知っておきたい重要用語

第1回調停前に知っておきたい重要用語について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

3.1 申立人

申立人とは、家庭裁判所に調停を申し立てた人です。遺産分割調停では、共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人などが申立人になり得ます。裁判所の案内では、遺産分割調停の申立人として、共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人が挙げられています。

3.2 相手方

相手方とは、申立人以外で、調停の相手として扱われる当事者です。遺産分割調停では、原則として他の相続人全員を相手方にします。誰か1人を外してしまうと、遺産分割全体の合意として機能しないおそれがあります。

3.3 被相続人

被相続人とは、亡くなった人です。相続では、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、住民票または戸籍附票などにより、誰が相続人かを確認します。裁判所の遺産分割調停の案内でも、標準的な添付書類として戸籍類や住民票等が列挙されています。

3.4 調停期日

調停期日とは、裁判所が指定した、当事者が家庭裁判所で話合いに参加する日時です。第1回調停期日とは、申立て後に初めて開かれる調停期日を指します。

3.5 調停委員会

家事調停は、通常、裁判官または家事調停官と、2人以上の家事調停委員で構成される調停委員会が進めます。裁判所の家事事件のしおりでも、調停では裁判官または家事調停官と2人以上の家事調停委員で構成される調停委員会が、双方から事情を尋ね、意見を聴き、妥当な解決ができるように努めると説明されています。

調停委員は、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家や、地域社会で幅広く活動してきた人など、社会の各分野から選ばれます。裁判所は、調停委員が一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を持つ人から選ばれると説明しています。

3.6 裁判所書記官

裁判所書記官は、事件記録、調書、送達、期日調整、提出書類の管理など、手続運営を支える専門職です。申立て後に書類の不足、郵便料、連絡先、期日変更、提出方法などで連絡を取る相手は、担当書記官または裁判所の担当係であることが多いです。

3.7 家庭裁判所調査官

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で必要な事実調査を行う専門職です。相続事件では、離婚や子の事件ほど頻繁に前面に出るとは限りませんが、相続人の生活状況、意思能力、複雑な親族関係、成年後見や未成年者が絡む場合など、必要に応じて関与することがあります。

3.8 調停調書

調停調書とは、調停で成立した合意内容を記載した裁判所の文書です。家事事件手続法では、調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは調停が成立するとされ、一定の法的効力を持ちます。

Section 04

申立て後から第1回調停までの基本的な流れ

申立て後から第1回調停までの基本的な流れについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この時系列は、申立て後から第1回調停までに起こる手続と当事者側の行動を表しています。通知を受けてから慌てないために重要なので、上から下へ、裁判所の動きと自分の準備を対応させて読み取ってください。

申立日

申立書提出

控えを保存し、事件番号や補正連絡を待ちます。

数日から数週間

受付と形式確認

管轄、当事者、戸籍、郵便料、申立書写しなどが確認されます。

補正期間

不足対応

追加資料、写し、郵便料などの補正に対応します。

期日指定

第1回期日の決定

不都合があれば早めに連絡し、回答書や資料を準備します。

期日前

相手方への送付と回答

申立書、遺産目録、照会書を読み、認める点と争う点を分けます。

当日

第1回調停

争点、資料、希望案、次回までの宿題を確認します。

4.1 申立書の受付と事件番号の付与

申立書が家庭裁判所に提出されると、裁判所は事件として受け付けます。受付後、事件番号が付され、以後の連絡や書面には事件番号を記載することになります。電話で裁判所に問い合わせる場合も、事件番号を伝えると話が早くなります。

遺産分割調停の申立先は、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。裁判所は、申立てに必要な費用として、被相続人1人につき収入印紙1200円分、連絡用の郵便切手を挙げています。郵便料は裁判所ごとに異なります。

4.2 形式審査と補正

受付後、裁判所は、少なくとも次のような点を確認します。

この比較表は、確認事項、実務上の意味を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

確認事項実務上の意味
管轄その家庭裁判所で扱えるか
当事者申立人と相手方が適切か、相続人全員が入っているか
申立書の写し相手方の人数分が用意されているか
戸籍類被相続人と相続人の関係を確認できるか
住所資料相手方に通知を送れるか
収入印紙、郵便料手数料と連絡費用が足りるか
遺産目録どの財産を分けるのか概ね分かるか
事情説明書、照会回答書事件の背景と進行希望が分かるか

裁判所の遺産分割調停の案内では、申立書1通とその写しを相手方の人数分、事情説明書、進行に関する照会回答書、戸籍等の標準的な添付書類などが示されています。また、申立前に入手できません戸籍等は、申立後に追加提出することでも差し支えないとされています。

「補正」とは、申立書や添付資料に不足や不備がある場合に、それを直すことです。補正を求められたら、放置しないことが重要です。単なる事務的不足と思って軽視すると、期日指定が遅れたり、相手方への通知が遅れたりします。

4.3 第1回調停期日の指定

補正が進み、相手方への連絡に必要な情報が整うと、第1回調停期日が指定されます。期日は、裁判所、担当部、調停委員、事件数、当事者数、郵送に要する期間、補正の有無によって変わります。実務上は、申立てから第1回期日まで数週間から数か月程度を想定することが多いですが、これは全国一律の期限ではありません。

期日が不都合な場合は、なるべく早く担当係に連絡し、期日変更の可否を確認します。仕事が忙しいという一般的な事情だけで当然に変更されるわけではありませんが、病気、遠方、既に決まっていた重要な予定、代理人の都合など、具体的事情を説明することが重要です。

4.4 相手方への送付、呼出状、照会書

相手方がいる事件では、家庭裁判所は、申立書の写しを相手方に送付するなどして、どのような申立てがされたのかを知らせます。また、事件によっては、家庭裁判所から一定事項について書面で照会されることがあります。裁判所の家事事件のしおりは、回答書を正確に記入して必ず返送するよう案内しています。

相手方として呼出状を受け取った人は、次の点を確認します。

この比較表は、確認するもの、見るべき内容を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

確認するもの見るべき内容
呼出状、期日通知書日時、場所、集合時刻、持参物
事件番号今後の問い合わせで必要
申立書の写し誰が何を求めているか
遺産目録財産の記載に漏れや誤りがないか
事情説明書等申立人の説明に事実誤認がないか
回答書、照会書提出期限、回答項目、出席可否
書類提出の案内コピーの部数、非開示希望、個人番号の扱い

相手方が呼出状を受け取った時点で、精神的に強い負担を感じることは自然です。しかし、調停は、相手が一方的に勝ったことを意味しません。申立書は、あくまで申立人の主張の入口です。相手方には、反論、資料提出、別案提示、日程調整、代理人選任の機会があります。

4.5 第1回調停前の書面提出

第1回期日までに、相手方は回答書や照会書を提出することがあります。申立人も、追加資料や補足説明書を提出することがあります。

ここで注意すべきなのは、調停は話合いの手続であっても、家庭裁判所に提出した書類が後の審判資料になる可能性があることです。裁判所の家事事件のしおりは、申立人や相手方が提出した書類が、家庭裁判所が審判を行うときの判断資料になることがあり、提出した書類は返却されないため、提出前にコピーを取るよう説明しています。

したがって、期日前に提出する書面は、感情的な抗議文ではなく、後から読み返しても意味が分かる、事実と意見を分けた文書にする必要があります。

Section 05

第1回調停までに準備すべき3つの台帳

第1回調停までに準備すべき3つの台帳について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この一覧は、第1回調停までに作る3つの台帳を表しています。人、財産、主張を分けると調停委員に説明しやすくなるため、何を記録し、どの資料につなげるかを読み取ってください。

相続人関係の台帳

被相続人、配偶者、子、代襲相続人、未成年者、後見利用者、所在不明者を整理します。

財産

遺産と債務の台帳

土地、建物、預貯金、有価証券、保険、債務、事業資産などを資料と一緒に整理します。

主張

争点と希望の台帳

自宅取得、預金出金、特別受益、寄与分、遺言などについて立場と根拠を分けます。

第1回調停までの準備は、細かい書類を集める前に、全体を3つの台帳に分けて考えると整理しやすくなります。

5.1 人の台帳

人の台帳とは、相続人と関係者を整理する表です。

この比較表は、項目、記載例を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

項目記載例
被相続人氏名、死亡日、最後の住所、本籍
配偶者存命か、死亡しているか、離婚歴
実子、養子、認知、代襲相続の有無
兄弟姉妹子がいない場合に重要
代襲相続人先に亡くなった子の子など
包括受遺者遺言で包括的に財産を受ける人
相続分譲受人相続分を譲り受けた人
未成年者親権者との利益相反の有無
成年後見等後見人、保佐人、補助人の有無
所在不明者住所調査、不在者財産管理人の検討
海外居住者送達、署名証明、在外公館手続の検討

相続人が1人でも漏れると、遺産分割調停の進行に重大な支障が出ます。特に、前婚の子、養子、認知された子、死亡した子の代襲相続人、兄弟姉妹相続、甥姪の代襲、海外在住者、戸籍上は存在するが長年交流がない人には注意が必要です。

5.2 財産の台帳

財産の台帳とは、遺産目録の実務版です。裁判所に提出する正式な遺産目録とは別に、自分用の作業台帳を作ると、資料収集が進みます。

この比較表は、分類、確認する資料、調停で問題になりやすい点を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

分類確認する資料調停で問題になりやすい点
土地登記事項証明書、固定資産評価証明書、名寄帳、公図、地積測量図評価額、共有、境界、売却可能性
建物登記事項証明書、固定資産評価証明書、賃貸借資料居住者、老朽化、賃料、解体費
預貯金残高証明書、通帳、取引履歴死亡前後の出金、名義預金疑い
有価証券証券会社の残高証明、取引報告書評価時点、売却時期、税務
生命保険保険証券、支払通知、受取人欄遺産か固有財産か、特別受益性
自動車車検証、査定資料誰が使用するか、売却するか
家財、貴金属写真、鑑定書、購入資料感情的対立、評価困難
貸付金契約書、振込記録、借用書回収可能性、時効、証拠
債務借入契約、請求書、保証契約誰が負担するか、遺産分割の対象か
事業資産決算書、株主名簿、定款非上場株式評価、事業承継
デジタル資産取引所情報、ウォレット、利用規約存在確認、評価、相続手続

遺産分割調停でよく起こる誤解は、「相続税評価額」「固定資産税評価額」「実勢価格」「鑑定評価額」「売却査定額」を同じものとして扱ってしまうことです。税務、登記、売却、代償金計算、調停上の合意形成では、評価の目的が異なります。

国税庁は、土地の評価について、路線価方式と倍率方式を説明しています。路線価方式は、路線価を土地の形状等に応じた補正率で補正し、面積を乗じる方法です。倍率方式は、固定資産税評価額に一定倍率を乗じる方法です。 しかし、調停で代償金を決める場合、税務上の評価額だけで相手が納得するとは限りません。不動産鑑定士の鑑定、複数の不動産会社の査定、売却可能性の検討が必要になることがあります。

5.3 主張の台帳

主張の台帳とは、自分が何を求め、相手のどの点に反論し、どの資料で裏付けるかを整理する表です。

この比較表は、争点、自分の立場、根拠資料を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

争点自分の立場根拠資料相手に求めたい資料第1回で伝える要点
自宅不動産自分が取得し代償金を払いたい居住実態、査定書、資金計画相手の希望価格の根拠売却ではなく代償分割を希望
預金出金死亡前の多額出金を確認したい通帳コピー使途説明、領収書まず取引履歴を取り寄せたい
生前贈与相手に特別受益がある贈与契約、振込記録贈与税申告資料具体的相続分に反映したい
介護貢献寄与分を主張したい介護記録、診療記録、家計支出介護分担の資料通常の扶養を超える貢献がある
遺言有効性に疑問がある遺言書写し、診療記録作成時資料まず遺言の位置づけを確認したい

第1回調停の段階では、すべてを立証し切るよりも、争点と資料の所在を明確にすることが重要です。

Section 06

申立人が第1回調停までに準備すべきこと

申立人が第1回調停までに準備すべきことについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この判断の流れは、申立人が第1回調停前に何から整えるかを表しています。申立てた側ほど説明の土台が問われるため、書類の見直し、目的の言語化、資料目録、争点整理の順に読み取ってください。

申立人の準備順序

申立書と遺産目録を読み直す

相続人漏れ、不動産漏れ、預金出金、保険、借金、相続税期限を確認します。

目的を短く言語化する

自宅を守りたい、使途不明金を確認したい、公平な分割をしたいなどに整理します。

資料を目録で出す

資料番号、資料名、示したい事実を分けて、束のまま提出しないようにします。

感情を争点に翻訳する

使い込み、特別受益、寄与分、遺言能力、不動産評価などの論点に置き換えます。

6.1 申立書と遺産目録を読み直す

申立人は、申立書を提出した時点で安心しがちです。しかし、第1回調停前に、申立書、遺産目録、事情説明書をもう一度読み直してください。誤記、漏れ、金額の古さ、相続人の住所変更、財産の追加判明があれば、早めに補足します。

特に次の誤りは、後に大きな問題になります。

この比較表は、よくある誤り、リスクを横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

よくある誤りリスク
相続人を1人漏らした期日が遅れる、手続のやり直しが必要になる
不動産を固定資産税通知書だけで把握した私道、共有持分、未登記建物、農地を漏らす
預金を死亡日残高だけで見た死亡前後の出金問題を見落とす
生命保険を遺産目録に当然に入れた受取人固有財産との整理が必要になる
借金を記載しない相続税、限定承認、相続放棄、分割案に影響する
相続税期限を考えない10か月期限に間に合わないリスクがある

6.2 申立ての「目的」を短く言語化する

第1回調停で、調停委員から「今日はどういう解決を望んでいますか」と聞かれることがあります。そのときに、長い経緯を一気に話すより、目的を短く言えるようにします。

例として、次のような表現です。

この比較表は、目的、伝え方の例を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

目的伝え方の例
自宅を守りたい母が居住している自宅は売却せず、代償金で調整したいです。
使途不明金を確認したい分割案の前提として、死亡前後の出金の使途を確認したいです。
公平な分割をしたい法定相続分を基本にしつつ、相手の生前贈与を考慮したいです。
売却して分けたい誰も不動産を取得できませんため、売却して換価分割したいです。
税務期限を意識したい相続税申告期限が近いため、未分割申告も含めて進行を急ぎたいです。

6.3 資料は「束」ではなく「目録」で出す

調停で大量の資料を出す場合、ただ紙の束を提出すると、裁判所も相手方も内容を理解しにくくなります。資料には番号を付け、簡単な目録を付けます。

例:

この比較表は、番号、資料名、何を示す資料かを横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

番号資料名何を示す資料か
甲1被相続人の戸籍一式相続人の範囲
甲2土地登記事項証明書不動産の所有名義
甲3固定資産評価証明書不動産の税務上の評価の参考
甲4預金通帳写し死亡前後の入出金
甲5不動産査定書売却可能価格の参考

弁護士が代理人であれば、証拠説明書や主張書面の形式で整理します。本人申立てでも、資料番号と説明を付けるだけで、調停委員の理解は大きく改善します。

6.4 感情的経緯を、法的争点に翻訳する

相続紛争では、「兄がずっと親を支配していた」「妹だけ贈与を受けてずるい」「長男なのに何もしなかった」など、強い感情が背景にあります。しかし、調停では、その感情を法的争点に翻訳する必要があります。

この比較表は、感情的な表現、調停で扱いやすい争点を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

感情的な表現調停で扱いやすい争点
兄が親のお金を勝手に使った預金出金の使途、遺産の範囲、不当利得、損害賠償
妹だけ大学費用や住宅資金をもらった特別受益
自分だけ介護をした寄与分、扶養の範囲を超える貢献
遺言はおかしい遺言能力、方式違反、遺留分侵害
不動産価格が安すぎる評価方法、鑑定、査定、売却可能価格

第1回調停までに、この翻訳作業をしておくと、限られた時間で必要なことを伝えやすくなります。

Section 07

相手方が第1回調停までに準備すべきこと

相手方が第1回調停までに準備すべきことについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この一覧は、呼出状を受け取った相手方が準備を分ける視点を示しています。無視や感情的反論を避けるために重要なので、認める事実、分からない事実、争う事実、評価の違いを読み取ってください。

認める

争わない事実

死亡日、相続人の一部、不動産の存在など、争点にしない事実を分けます。

確認

分からない事実

預金残高、保険金、借金など、資料が必要な点を明確にします。

反論

明確に争う事実

生前贈与、使い込み疑い、評価額などは根拠資料と一緒に整理します。

解決案の違い

代償分割、換価分割、現物分割など別案を準備します。

7.1 呼出状を無視しない

相手方として呼出状を受け取った人は、「裁判所から来たから怖い」「申立人の言い分など認めたくない」と感じるかもしれません。しかし、無視は最も危険な対応です。

調停は、相手方にも言い分を述べる機会を与える手続です。欠席すれば、相手方の言い分が十分に伝わらず、裁判所が今後の進行を決める際に不利な印象や遅延の原因になり得ます。出席できません場合でも、担当係に連絡し、期日変更、電話やウェブを含む参加方法、代理人選任、書面提出の可否を確認します。

7.2 申立書のどこに反論するかを分ける

相手方は、申立書を読んだとき、全体に反発したくなることがあります。しかし、反論は分けて整理します。

この比較表は、分類、対応を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

分類対応
認める事実争わない。例、死亡日、相続人の一部、不動産の存在
分からない事実資料を求めます。例、預金残高、保険金、借金
明確に争う事実根拠を付けて反論します。例、生前贈与、使い込み疑い
評価の争い査定、鑑定、売却事例などを検討する
解決案の違い代償分割、換価分割、現物分割など別案を出す

「全部違う」とだけ書くより、「相続人の範囲は争わないが、不動産評価額と預金出金の説明は争う」と書いた方が、調停は前に進みます。

7.3 回答書は軽視しない

裁判所から回答書や照会書が送られてきた場合、期日までに提出することが求められることがあります。裁判所の家事事件のしおりは、書面照会があった場合には、回答書を正確に記入して必ず返送するよう案内しています。

回答書は、厳密な準備書面ではない場合もありますが、裁判所が第1回期日の進行を考える重要な材料になります。感情的に書き過ぎず、次の点を明確にします。

  • 出席できるかを確認します。
  • 申立ての内容をどの程度理解しているか。
  • 何を争うかを確認します。
  • 何を確認したいかを確認します。
  • 提出できる資料があるかを確認します。
  • 住所や勤務先など非開示にしたい情報があるか。
  • 代理人を選任する予定があるかを確認します。

7.4 反論資料を集める

相手方が使い込みを疑われている場合、通帳、領収書、介護費、施設費、医療費、生活費、葬儀費、被相続人の意思を示す資料などを整理します。生前贈与を疑われている場合は、贈与ではなく貸付けだったのか、扶養の一環だったのか、すでに返済したのか、証拠を確認します。

反論に必要なのは、声の大きさではなく資料です。第1回で全資料を出せなくても、どの資料をいつまでに出せるかを説明できるだけで、調停委員会の理解は変わります。

Section 08

第1回調停の当日に実際に行われること

第1回調停の当日に実際に行われることについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この時系列は、第1回調停当日の進み方を表しています。待合、本人確認、別席での聴取、次回宿題の確認までを知ることで不安を減らせるため、当日に何を聞かれ、何を記録すべきかを読み取ってください。

受付

待合と本人確認

呼出状、身分証明書、事件番号を確認し、別々の待合になることがあります。

聴取

事情の確認

相続人、遺言、遺産、不動産、預金、評価、特別受益、寄与分などを聞かれます。

整理

合意できる点と未整理の点

資料提出、査定、取引履歴、税務情報など次回までの課題を分けます。

終了

次回期日と宿題

日時、場所、提出資料、期限、次回議題、保留事項をメモします。

8.1 受付、待合、本人確認

家庭裁判所に到着したら、指定された受付や待合室に向かいます。申立人と相手方は、別の待合室を使うことが多いです。調停は非公開で行われ、裁判所の家事事件のしおりも、家事事件は家庭内の問題を扱うため、審判も調停も非公開で審理され、プライバシーが守られると説明しています。

本人確認のため、身分証明書を持参します。代理人弁護士がいる場合でも、本人が出席する意義は大きいです。相続人本人の希望、感情、生活事情、代償金の支払可能性、不動産に住み続ける必要性などは、本人の言葉で伝わることがあります。

8.2 別席での事情聴取

家事調停では、調停委員が申立人と相手方から別々に事情を聴く運用が一般的です。全員が同じ部屋で直接対決するとは限りません。調停委員は、一方から話を聴いた後、もう一方から話を聴き、必要に応じて双方の主張を整理していきます。

第1回で聞かれやすい事項は次のとおりです。

この比較表は、項目、典型的な質問を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

項目典型的な質問
相続人相続人の範囲に争いはありますか。
遺言遺言書はありますか。検認や保管制度の利用はありますか。
遺産分けるべき財産は何ですか。漏れはありますか。
不動産誰が住んでいますか。売却希望ですか。取得希望者はいますか。
預金死亡時残高、死亡前後の出金に争いはありますか。
評価不動産や株式の評価をどう考えていますか。
特別受益生前贈与や学費、住宅資金援助の主張はありますか。
寄与分介護、療養看護、事業貢献の主張はありますか。
税務相続税申告期限は近いですか。税理士は関与していますか。
解決案現物分割、代償分割、換価分割の希望はありますか。
次回準備誰がどの資料をいつまでに出しますか。

8.3 第1回で合意できること、できませんこと

第1回調停で全面解決する事件も理論上はあります。たとえば、相続人全員がほぼ合意しており、書類だけ整える目的で調停を使った場合です。しかし、争いがある相続では、第1回で全面合意に至ることは多くありません。

第1回で現実的に合意しやすいのは、次のような事項です。

  • 今後提出する資料を確認します。
  • 不動産査定を誰が取るか。
  • 預金取引履歴を誰が取り寄せるか。
  • 次回期日までの宿題を確認します。
  • 争いのない一部財産を先に整理する可能性を確認します。
  • 相続税申告に向けた情報共有を確認します。
  • 不動産を売却する方向で査定を進めること。

逆に、第1回で安易に合意しない方がよい事項もあります。

  • 不動産評価を根拠なく決めること。
  • 使途不明金の確認をしないまま全体を清算すること。
  • 相続税や譲渡所得税を考えずに売却や代償金を決めること。
  • 未成年者や成年後見人が関与するのに利益相反を確認しないこと。
  • 会社株式や事業用資産の評価を簡単に決めること。

8.4 第1回の最後に決まること

第1回の最後には、次回期日、提出資料、提出期限、次回の検討テーマが決まることが多いです。自分のメモに、必ず次の事項を書き残してください。

この比較表は、メモ項目、記載内容を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

メモ項目記載内容
次回期日日時、場所、参加方法
自分の宿題提出する資料、期限
相手の宿題相手に求めた資料、期限
裁判所からの指示書式、部数、送付方法
次回の議題不動産評価、預金、特別受益など
保留事項まだ決まっていない点
Section 09

第1回調停前の書類提出と情報管理の注意点

第1回調停前の書類提出と情報管理の注意点について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この注意点一覧は、書類提出と情報管理で起こりやすいリスクを表しています。提出資料は相手に見られる可能性があるため、個人情報、非開示希望、秘匿制度、録音撮影の扱いを読み取ってください。

個人情報

個人番号、現住所、勤務先、子の学校、病院名など不要な情報を確認します。

原本管理

原本提出で困らないか、自分用の控えを残したかを確認します。

非開示希望

希望すれば必ず非開示になるわけではないため、理由と資料を整理します。

秘匿制度

住所や氏名を知られることで著しい支障が生じる場合に、裁判所の決定を求める制度です。

9.1 提出した書類は相手に見られる可能性がある

家庭裁判所に提出した書類は、完全な秘密資料とは限りません。裁判所の家事事件のしおりは、申立人と相手方が、裁判所の許可を得て、他方が家庭裁判所に提出した書類を見たり、コピーを取ったりすることができると説明しています。

したがって、提出前には次の確認が必要です。

  • 個人番号が記載されていないか。
  • 現住所、勤務先、子の学校、病院名など、相手に知られたくない情報がないか。
  • 第三者の個人情報が不必要に含まれていないか。
  • 原本を提出してしまって困らないか。
  • コピーを自分用に残したか。
  • どの事実を示すための資料か説明できるか。

裁判所は、当事者に対する住所、氏名等の秘匿制度について、秘匿決定前に提出する書面には、相手方等に知られては困る情報が現れないようにするか、代替住所や代替氏名などを記載するよう案内しています。

9.2 非開示希望と秘匿制度

相続調停では、離婚事件ほど住所秘匿が問題にならないと思われがちですが、兄弟間の深刻な対立、暴力、脅迫、ストーカー的接触、勤務先への押しかけ、親族間の金銭トラブルがある場合には、住所や連絡先の管理が重要です。

大きく分けると、次の2つの考え方があります。

この比較表は、制度、対応、概要、注意点を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

制度、対応概要注意点
非開示希望特定の情報を相手に見せないよう希望する希望すれば必ず非開示になるわけではない
当事者間秘匿制度住所や氏名等を知られることで社会生活上の著しい支障が生じるおそれがある場合に、裁判所の決定を求める申立書、秘匿事項届出書面、裏付け資料などが必要になる

秘匿や非開示が必要な人は、第1回期日を待たず、申立て直後または呼出状受領直後に裁判所へ相談し、弁護士にも早めに相談すべきです。

9.3 録音、撮影、SNS投稿は避ける

調停は非公開手続です。裁判所内での録音、録画、撮影、SNS投稿については、裁判所の指示や庁舎管理上のルールに従う必要があります。相続人間の不信感が強い事件ほど、無断録音や投稿が新たな紛争を生みます。自分の記録は、期日後にメモを作成する方法を基本にしてください。

Section 10

第1回調停前後に見落としやすい相続の期限管理

第1回調停前後に見落としやすい相続の期限管理について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この時系列は、調停だけを見ていると見落としやすい周辺期限を表しています。期限を過ぎると税務、登記、放棄、遺留分で不利益が生じる可能性があるため、短い期限から順に読み取ってください。

3か月

相続放棄、限定承認

熟慮期間との関係を早期に確認します。

10か月

相続税申告と納税

調停未了でも未分割申告や納税資金を別に管理します。

1年、10年

遺留分侵害額請求

請求期間を調停進行とは別に確認します。

3年

相続登記

分割未了でも相続人申告登記などの対応を検討します。

10.1 相続税の10か月期限

国税庁は、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うと説明しています。期限までに申告しない場合や、実際より少ない額で申告した場合には、加算税や延滞税がかかる場合があります。

遺産分割調停は、相続税申告期限までに終わるとは限りません。そのため、相続税が発生しそうな事件では、税理士に早めに相談し、未分割の場合の申告、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例の適用関係、更正の請求や修正申告の可能性を検討します。

第1回調停までに、少なくとも次の点を税理士と確認してください。

  • 相続税申告が必要か。
  • 基礎控除を超えそうか。
  • 不動産評価に時間がかかるか。
  • 未分割申告が必要になるか。
  • 納税資金をどう確保するか。
  • 預金の仮払い、売却、借入れの必要があるか。
  • 調停での分割案が税務にどう影響するか。

10.2 相続登記の3年期限

法務省は、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があると説明しています。また、遺産分割が成立した場合には、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する追加的義務があるとされています。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

遺産分割調停中で、誰が不動産を取得するか決まっていない場合でも、相続登記義務化の問題を放置してはいけません。法務省は、相続人申告登記などの制度も案内しています。第1回調停までに、不動産がある事件では司法書士に相談し、次の点を確認します。

  • 登記名義は誰のままか。
  • 相続登記はすでに済んでいるか。
  • 遺産分割が未了の場合の対応は何か。
  • 相続人申告登記を検討すべきか。
  • 調停成立後の所有権移転登記に必要な記載は何か。
  • 未登記建物や共有持分はないか。

10.3 相続放棄、限定承認の3か月期間

裁判所は、相続放棄の申述について、民法により、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならないと案内しています。 また、相続の承認または放棄を決定できません場合には、家庭裁判所への申立てにより、この3か月の熟慮期間を伸長できることがあります。

遺産分割調停に参加することは、通常、相続を前提に財産分けを話し合う行動です。借金が多い、保証債務がある、事業負債が不明、財産より債務が多い可能性がある場合には、調停対応の前に、相続放棄や限定承認の選択肢を弁護士に確認してください。

10.4 遺留分侵害額請求の期間

遺留分侵害額請求は、相続開始と遺留分侵害を知った時から1年、相続開始から10年という期間制限が問題になります。民法上の期間制限があるため、遺言や生前贈与により最低限の相続分を侵害されたと考える人は、調停申立ての有無とは別に、請求通知の時期、内容証明郵便、相手方、金額算定を弁護士に確認する必要があります。

Section 11

第1回調停で出やすい争点別の準備

第1回調停で出やすい争点別の準備について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この一覧は、第1回調停で出やすい争点を分けたものです。争点ごとに必要資料が異なるため、不動産、預貯金、特別受益、寄与分、遺言、会社資産のどこに当てはまるかを読み取ってください。

不動産

評価と分け方

登記事項証明書、評価証明書、名寄帳、査定書、鑑定の要否を整理します。

預貯金

使い込み疑い

出金日、出金額、方法、使途説明、証拠、法的構成を分けます。

特別受益

生前贈与の整理

時期、相手、金額、目的、資料、相手の説明を整理します。

寄与分

介護や支出の整理

介護記録、診療記録、領収書、事業貢献資料を集めます。

遺言

有効性と遺留分

方式、検認、保管制度、遺言執行者、判断能力を確認します。

会社資産

非上場株式と事業承継

株主名簿、定款、決算書、役員名簿、借入資料を確認します。

11.1 不動産がある場合

不動産がある相続では、遺産分割調停の準備が一気に複雑になります。主な論点は、評価、居住、売却、共有回避、代償金、境界、賃貸、管理費、固定資産税です。

第1回までに準備したい資料は次のとおりです。

この比較表は、資料、目的を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

資料目的
登記事項証明書名義、共有持分、担保権を確認する
固定資産評価証明書税務上の評価の参考にする
名寄帳市区町村内の不動産漏れを探す
公図、地積測量図土地の形状や境界資料を確認する
賃貸借契約書賃貸中不動産の収益や権利関係を確認する
査定書売却可能価格の参考にする
鑑定評価書価格対立が大きい場合に検討する
固定資産税納付書管理負担を確認する

不動産を相続人の1人が取得し、他の相続人に代償金を払う方法を代償分割といいます。不動産を売却して売却代金を分ける方法を換価分割といいます。不動産を物理的に分ける方法を現物分割といいます。どの方法が適切かは、居住状況、売却可能性、相続人の資金力、税務、感情的事情によって変わります。

11.2 預貯金の使い込み疑いがある場合

相続で最も感情的対立が強くなりやすいのが、預貯金の使い込み疑いです。よくある状況は次のとおりです。

  • 死亡直前に多額の現金が引き出されています。
  • 同居相続人が通帳と印鑑を管理していました。
  • 介護費、医療費、施設費と説明されているが領収書がない。
  • 被相続人の判断能力が低下していた時期の出金があります。
  • 死亡後にATM出金があります。

第1回調停までには、感情的に「盗んだ」と断定するより、次のように整理します。

この比較表は、確認事項、実務上の意味を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

確認事項実務上の意味
出金日被相続人の判断能力や入院時期と照合する
出金額通常生活費か多額出金かを区別する
出金方法ATM、窓口、振込、小切手など
使途説明医療費、施設費、生活費、贈与、保管金
証拠通帳、取引履歴、領収書、介護記録、診療記録
法的構成遺産の範囲、不当利得、損害賠償、特別受益

使い込み疑いは、遺産分割調停の中で話し合われることがありますが、法的には別の請求や訴訟が必要になる場合もあります。第1回までに、弁護士に、どこまで調停内で扱えるかを確認しておくとよいでしょう。

11.3 特別受益がある場合

特別受益とは、一部の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈など特別な利益を受けた場合に、相続分計算上それを考慮する考え方です。住宅購入資金、事業資金、学費、結婚資金、借金肩代わりなどが問題になりやすいです。

第1回までには、次のように整理します。

この比較表は、項目、例を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

項目
いつ2015年3月頃
誰に長男に
いくら1000万円
目的住宅購入資金
資料振込記録、贈与契約書、不動産売買契約書
相手の説明贈与ではなく貸付け、扶養の範囲など
自分の主張特別受益として持戻しを求める

古い贈与は資料が失われていることも多いため、銀行取引履歴、贈与税申告、当時の手紙、メール、不動産購入資料など、周辺資料を探します。

11.4 寄与分がある場合

寄与分とは、共同相続人の一部が、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合に、その貢献を相続分に反映する制度です。単に親の面倒を見た、親子として当然の世話をした、というだけでは足りないことがあります。財産の維持または増加に結びつく特別な貢献を、資料で説明する必要があります。

準備資料の例は次のとおりです。

この比較表は、寄与の類型、資料例を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

寄与の類型資料例
療養看護介護記録、診療記録、要介護認定資料、日記
金銭支出領収書、振込記録、家計簿
事業貢献決算書、給与台帳、勤務実態資料
不動産維持修繕費領収書、管理記録

寄与分は、感情的には強く主張されやすい一方、法的には資料と要件が重要です。第1回では、寄与の時期、内容、金額換算の方向性を説明できるようにします。

11.5 遺言がある場合

遺言がある場合、遺産分割調停の対象が変わることがあります。遺言により財産の帰属が決まっていれば、そもそも遺産分割の対象にならない財産があるからです。他方で、遺言の解釈、遺言能力、方式違反、遺留分侵害、遺言執行者の権限などが争点になることがあります。

第1回までに確認すべき事項は次のとおりです。

  • 自筆証書遺言か、公正証書遺言か、秘密証書遺言か。
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用しているか。
  • 検認が必要な遺言か。
  • 遺言執行者が指定されているか。
  • 遺言の対象財産が明確か。
  • 遺留分侵害の可能性があるか。
  • 遺言作成時の判断能力に疑義があるか。

遺言がある事件では、弁護士、公証人、遺言執行者、司法書士、税理士がそれぞれ別の観点で関与することがあります。

11.6 会社、非上場株式、事業承継がある場合

被相続人が会社経営者だった場合、遺産分割調停は単なる財産分けではなく、会社支配、議決権、役員、金融機関対応、従業員、取引先、相続税納税資金の問題になります。

第1回までに準備したい資料は次のとおりです。

この比較表は、資料、確認内容を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

資料確認内容
株主名簿被相続人の持株数、他株主
定款株式譲渡制限、相続人に対する売渡請求
決算書会社価値、利益、負債
役員名簿経営権、後継者
借入資料個人保証、担保提供
事業承継計画誰が継ぐか、株式をどう移すか

非上場株式の評価は、公認会計士、税理士、場合により中小企業診断士の関与が有用です。第1回調停では、まず会社資料の開示と評価方法をどう進めるかが焦点になります。

Section 12

第1回調停までに専門職へ確認する役割分担

第1回調停までに専門職へ確認する役割分担について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

相続調停は、弁護士だけで完結する事件もありますが、不動産、税務、登記、事業承継、境界、年金、保険が絡むと、複数専門職の連携が不可欠になります。

12.1 弁護士

弁護士は、相続人間で争いがある場合の中核専門職です。遺産分割調停、審判、遺留分侵害額請求、使い込み疑い、不当利得、遺言無効、交渉、保全処分、訴訟を扱います。第1回調停前に弁護士へ相談すべき典型例は次のとおりです。

  • 相手が弁護士を付けています。
  • 使い込み疑いがあります。
  • 遺言の有効性を争いたい。
  • 遺留分を請求したい。
  • 不動産評価が大きく対立しています。
  • 会社株式や事業承継があります。
  • 相続放棄や限定承認の期限が迫っています。
  • 調停に行くこと自体が精神的に難しい。

12.2 司法書士

司法書士は、相続登記、不動産の名義変更、戸籍収集、法定相続情報一覧図、登記用書類、裁判所提出書類作成などで重要です。相続登記が義務化された現在、不動産がある相続では、調停が長引く前提で登記面のリスクを確認する必要があります。

12.3 税理士

税理士は、相続税申告、税務代理、財産評価、税務調査対応、納税資金計画を扱います。調停でどの分割案を採るかにより、相続税、譲渡所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税負担が変わることがあります。

12.4 行政書士

行政書士は、紛争性がない範囲で、遺産分割協議書、相続人関係説明図、遺言作成支援、各種書類作成を支援します。すでに争いが顕在化している調停事件では、弁護士法、税理士法、司法書士法との業務範囲の違いに注意が必要です。

12.5 不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産価格が争点になる場合に重要です。代償分割でいくら払うか、換価分割すべきか、不動産の収益性をどう見るか、借地権や底地をどう評価するかなどで専門的評価を提供します。

12.6 土地家屋調査士

土地家屋調査士は、境界確認、分筆登記、表示登記、未登記建物、地積の問題で関与します。相続土地を分ける、売却する、境界を明確にする、国庫帰属を検討する場面で重要です。

12.7 宅地建物取引士、不動産仲介業者

相続不動産を売却して現金で分ける場合、宅地建物取引士や不動産仲介業者が関与します。査定価格は鑑定評価とは異なりますが、実際の市場で売れる可能性を知る資料として有用です。

12.8 公認会計士、中小企業診断士

非上場株式、事業承継、会社の財務分析では、公認会計士や中小企業診断士が有用です。会社を誰が継ぐか、株式を誰が取得するか、後継者が代償金を払えるかは、法律だけでは決められません。

12.9 弁理士、社会保険労務士、FP

特許、商標など知的財産が相続財産に含まれる場合は弁理士が関与します。遺族年金など公的年金は社会保険労務士が有用です。ファイナンシャル・プランナーは、家計、保険、老後資金、納税資金、専門家への橋渡しで役立つことがあります。

12.10 公証人、遺言執行者、信託銀行等

公証人は、公正証書遺言の作成場面で重要です。調停の第1回までに公正証書遺言があると分かった場合、遺言の内容、遺言執行者の指定、相続財産の指定方法、遺留分侵害の有無を確認します。

遺言執行者は、遺言の内容を実現する役割を担います。遺言執行者がいる場合、相続人だけで遺産分割調停を進めれば足りるのか、遺言執行の対象財産と遺産分割の対象財産をどう分けるのかを整理する必要があります。

信託銀行等の相続、遺言担当は、遺言信託、遺言書保管、遺言執行、財産目録作成支援などで関与することがあります。もっとも、相続人間に法的紛争がある場合の代理交渉や訴訟対応は、原則として弁護士の領域です。

12.11 法務局、市区町村、金融機関、保険会社、医療関係者

法務局では、不動産登記、商業登記、法定相続情報一覧図、自筆証書遺言書保管制度が関係します。法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、遺言者の手続、相続人等の手続、証明書、管轄、予約などを案内しています。

市区町村の戸籍担当窓口は、死亡届後の戸籍、除籍、改製原戸籍、住民票除票、戸籍附票、固定資産評価証明書、名寄帳などの取得で関係します。これらは、第1回調停までの相続人確認と財産確認の基礎資料になります。

銀行、信用金庫、証券会社、信託銀行、生命保険会社などの相続手続担当は、残高証明、取引履歴、相続手続書類、保険金請求、受取人確認で関係します。預貯金や証券の資料がそろわない場合、第1回調停では、どの金融機関のどの資料を誰が取得するかを具体的に決めることが重要です。

医師、検案医は、死亡診断書や死体検案書の作成で相続の入口に関係します。また、遺言能力、判断能力、介護状況、医療費支出が争点になる場合には、診療録、介護記録、要介護認定資料などの取得可能性が問題になります。

12.12 特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人

未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が共同相続人に含まれる場合、利益相反に注意が必要です。たとえば、親権者と未成年の子が同じ相続で共同相続人になり、遺産分割協議や調停上の合意をする場合、親が子を代理できませんことがあります。その場合、家庭裁判所で特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人の選任が必要になることがあります。

第1回調停までに、未成年者や後見制度利用者がいることが分かったら、弁護士、司法書士、家庭裁判所に早めに確認し、誰が適法に手続へ参加できるのかを整理します。

Section 13

第1回調停に持参するものを整理する

第1回調停に持参するものを整理するについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

13.1 共通の持参物

この比較表は、持参物、理由を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

持参物理由
呼出状、期日通知書受付と事件確認のため
身分証明書本人確認のため
印鑑必要な手続に備えるため
申立書、回答書の控え調停で参照するため
提出済み資料の控えどの資料を出したか確認するため
メモ帳、筆記具次回期日、宿題、発言内容を記録するため
相続関係図相続人関係を説明するため
遺産目録財産の漏れを確認するため
スケジュール帳次回期日調整のため
委任状、代理人資料弁護士等が関与する場合

13.2 不動産がある場合

  • 登記事項証明書の写し。
  • 固定資産評価証明書。
  • 名寄帳。
  • 不動産査定書。
  • 賃貸借契約書。
  • 固定資産税納付資料。
  • 写真、間取り、利用状況メモ。

13.3 預貯金、使い込み疑いがある場合

  • 通帳写し。
  • 残高証明書。
  • 取引履歴。
  • 出金一覧表。
  • 領収書。
  • 医療費、施設費、介護費の資料。
  • 葬儀費用資料。

13.4 税務が関係する場合

  • 相続税申告の要否メモ。
  • 税理士からの説明資料。
  • 財産評価資料。
  • 納税資金の見通し。
  • 未分割申告に関する確認メモ。

13.5 代理人弁護士に依頼している場合

  • 弁護士との打合せメモ。
  • 事件方針メモ。
  • 調停で言ってよいこと、言わない方がよいことの確認。
  • 第1回で必ず伝えたい優先事項。
Section 14

第1回調停前に発言メモを作る方法

第1回調停前に発言メモを作る方法について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この判断の流れは、第1回調停前の発言メモを作る順番を表しています。短く整理した説明は調停委員に伝わりやすいため、事実、希望、理由、資料、次回までに求めることを順に読み取ってください。

発言メモの組み立て

事実を短く書く

相続人、財産、これまでの経緯を資料と結びつけます。

希望する解決を1つ置く

自宅取得、換価分割、取引履歴確認など優先順位を決めます。

理由と資料を対応させる

感情ではなく、資料で説明できる根拠を添えます。

次回までの宿題を具体化する

誰が、いつまでに、どの資料を出すかを書きます。

調停は緊張します。話したいことが多すぎて、重要点を言い忘れることがあります。そこで、第1回前に1枚の発言メモを作ることを推奨します。

14.1 発言メモの構成

  1. 事件の全体像。
  2. 自分が望む解決。
  3. 争いのない点。
  4. 争いのある点。
  5. 相手に出してほしい資料。
  6. 次回までに自分が出せる資料。
  7. 期限上急ぐ理由。

14.2 発言メモの例

> 被相続人は父です。相続人は母、兄、私の3名であることは争いません。遺言はありません。主な遺産は自宅土地建物、預金、証券口座です。母が自宅に住んでいるため、自宅は母または私が取得し、兄には代償金を払う方向を希望します。ただし、死亡前1年間に預金から合計約600万円の出金があり、使途が分かっていません。第1回では、まず預金取引履歴と不動産査定をそろえる進行を希望します。相続税申告期限が近いため、税理士とも連携して進めたいです。

この程度に整理できれば、調停委員は事件の骨格をつかみやすくなります。

Section 15

第1回調停で避けるべき対応

第1回調停で避けるべき対応について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この注意点一覧は、第1回調停で避けるべき対応を表しています。初回の印象だけで結論は決まりませんが、進行を悪くしないために、発言、断定、合意、資料提出の扱いを読み取ってください。

人格攻撃

相手の性格や過去の不満ではなく、財産、資料、法律上の争点に寄せます。

根拠のない断定

使い込み、遺言無効、不動産価格などは資料や根拠と一緒に伝えます。

勢いで重要合意

不動産評価、代償金、税務影響が未確認のまま重要事項を決めないようにします。

資料を隠す

必要資料を出さないと進行が遅れ、信用性にも影響する可能性があります。

15.1 相手への人格攻撃

調停委員に相手の問題性を分かってほしい気持ちは理解できます。しかし、人格攻撃だけでは、遺産分割の結論に結びつきません。「相手は昔から嘘つきです」ではなく、「この出金について説明が変遷しており、領収書が提出されていません」と表現します。

15.2 根拠のない断定

「絶対に使い込んだ」「遺言は偽物に決まっている」「不動産は1億円の価値がある」と断定するなら、根拠が必要です。第1回では、「疑問がある」「資料で確認したい」「査定を取りたい」と整理した方が、調停が進みます。

15.3 その場の勢いで重要合意をする

第1回で、相手や調停委員から解決案を示されることがあります。納得できる場合もありますが、税務、登記、資金、売却、将来の紛争予防を検討しないまま合意すると、後で修正が難しくなります。特に、不動産、代償金、使途不明金、会社株式、遺留分、未成年者が絡む場合は慎重に判断します。

15.4 資料を隠す

不利な資料を隠したくなる心理はありますが、後から判明すると信用を失います。調停は合意形成の場で、信用は重要な資産です。すぐ出せない資料がある場合は、存在、不明点、提出予定を説明します。

Section 16

第1回調停前に弁護士等へ相談すべき判断基準

第1回調停前に弁護士等へ相談すべき判断基準について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

次のどれかに当てはまる場合は、第1回前に弁護士相談を強く検討してください。

この比較表は、状況、理由を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

状況理由
相手が弁護士を付けた手続運用、主張整理、証拠提出で差が出やすい
不動産評価が大きく対立代償金や売却方針に直結する
使い込み疑いがある調停内で扱う範囲と訴訟の要否を見極める必要がある
遺言の有効性を争う遺産分割調停だけでは足りない場合がある
遺留分を請求したい期間制限と請求通知が重要
相続放棄を検討している3か月期間との関係が重大
会社、非上場株式がある事業承継、評価、経営権が複雑
未成年者、成年後見人がいる利益相反、特別代理人が問題になる
DV、脅迫、住所秘匿が必要安全確保と秘匿制度の対応が必要
相続税申告期限が近い税理士連携と分割案の調整が必要

経済的に余裕がない場合、法テラスの民事法律扶助を検討できます。法テラスは、経済的に余裕がない人が法的トラブルにあったとき、無料法律相談や弁護士、司法書士費用の立替えを行う制度を案内しています。代理援助や書類作成援助には、収入と資産が基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適することなどの条件があります。

Section 17

申立て後から第1回調停までの専門家別タスク

申立て後から第1回調停までの専門家別タスクについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この比較表は、専門職、第1回までに確認することを横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

専門職第1回までに確認すること
弁護士争点整理、法的主張、証拠、出席方針、相手方対応
司法書士相続人調査、相続登記、法定相続情報一覧図、登記リスク
税理士相続税申告要否、財産評価、納税資金、未分割申告
行政書士紛争性のない範囲の書類整理、相続関係図、資料収集支援
不動産鑑定士不動産評価、代償金算定、鑑定の要否
土地家屋調査士境界、分筆、表示登記、未登記建物
宅地建物取引士売却査定、売却可能性、媒介、重要事項説明
公認会計士非上場株式、会社価値、財務分析
中小企業診断士事業承継、後継者、経営改善
弁理士特許、商標等の知的財産の承継
社会保険労務士遺族年金、死亡後の社会保険手続
FP納税資金、代償金、保険、生活設計
Section 18

第1回調停で関わる裁判所側の人を理解する

第1回調停で関わる裁判所側の人を理解するについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

18.1 裁判官、家事調停官

裁判官は、手続の法的枠組みを支え、必要に応じて調停委員会の評議や期日での説明、審判への移行後の判断を担います。家事調停官は、民事、家事の調停事件について裁判官と同等の権限で調停手続を取り扱う非常勤職員で、5年以上の経験を持つ弁護士の中から任命されます。

18.2 家事調停委員

家事調停委員は、当事者の話を聴き、争点を整理し、合意形成を支援します。相続事件では、法律だけでなく、家族関係、生活実態、不動産、税務、感情的対立を理解する力が求められます。

18.3 裁判所書記官

書記官は、申立後から第1回までの実務で非常に重要です。補正、期日通知、提出書類、記録、連絡先、調書などを扱います。疑問がある場合は、法的助言を求めるのではなく、手続上の確認として問い合わせることが適切です。

18.4 鑑定人、専門委員

不動産価格、会社価値、医療、建築など専門的争点がある場合、裁判所が鑑定人や専門委員の知見を利用することがあります。第1回の段階で直ちに鑑定が決まるとは限りませんが、評価対立が大きい事件では、将来の選択肢として意識します。

Section 19

申立て後から第1回調停までのスケジュールモデル

申立て後から第1回調停までのスケジュールモデルについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

この時系列は、申立てから第1回当日までの準備モデルを表しています。いつ何をするかを見える化することが重要なので、各時期で裁判所の動きと当事者の行動を対応させて読み取ってください。

申立日

申立書提出

控えを保存し、事件番号を待ちます。

数日から数週間

受付、形式確認

補正連絡に対応します。

補正期間

不足対応

戸籍、郵便料、写しなどを追加提出します。

期日指定

第1回期日が決まる

不都合があれば早急に連絡します。

期日前

送付、回答書提出

申立書を読み、回答書と資料を準備します。

1週間前

最終整理

発言メモ、持参物、専門家相談を整えます。

当日

調停期日

争点、資料、希望案、次回宿題を確認します。

以下は、実務上のイメージです。実際の期間は裁判所と事件により異なります。

この比較表は、時期、手続、当事者の行動を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

時期手続当事者の行動
申立日申立書提出控えを保存、事件番号の確認を待つ
申立後数日から数週間受付、形式確認補正連絡に対応する
補正期間戸籍、郵便料、写し等の不足対応追加資料を提出する
期日指定第1回期日が決まる不都合があれば早急に連絡する
期日前相手方へ送付、回答書提出申立書を読み、回答書と資料を準備する
期日1週間前主張と資料の最終整理発言メモ、持参物、専門家相談を完了する
第1回当日調停期日争点、資料、希望案、次回宿題を確認する
Section 20

第1回調停前によくある質問

第1回調停前によくある質問について、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

Q1. 第1回調停に行かないと負けますか。

欠席しただけで直ちに「負け」と決まるわけではありません。しかし、言い分を伝える機会を失い、相手方の説明を前提に進行が組まれる可能性があります。出席できません場合は、担当係への早めの連絡を前提に、期日変更、書面提出、代理人、遠隔参加の可能性を確認することが一般的です。

Q2. 第1回で相手に会わなければなりませんか。

家事調停では、当事者を別々に聴く運用が多く、必ず直接対面で話すとは限りません。ただし、手続説明や成立確認などで同席があり得る場合もあります。強い不安がある場合は、事前に裁判所や弁護士に相談する必要があります。

Q3. 調停委員はどちらの味方ですか。

調停委員は、申立人、相手方のどちらかの代理人ではありません。中立的立場で双方の事情を聴き、合意形成を支援します。納得できません提案があれば、理由を説明して反論する余地があります。

Q4. 第1回までに全部の証拠をそろえる必要がありますか。

理想は主要資料をそろえることですが、相続では戸籍、不動産、預金、税務、会社資料などに時間がかかります。第1回までに全部そろわなくても、何が不足し、誰が、いつまでに、どの方法で取得するかを説明できる状態にしておくことが一般的です。

Q5. 申立書の内容が事実と違います。どうすればよいですか。

回答書や補足書面で、認める点、争う点、分からない点を分けて説明します。感情的な反論より、資料に基づく反論が有効です。

Q6. 不動産価格は固定資産評価額で決まりますか。

固定資産評価額は重要資料ですが、それだけで調停上の価格が当然に決まるわけではありません。相続税評価、実勢価格、査定、鑑定評価など、目的によって評価方法が異なります。

Q7. 相続税申告期限までに調停が終わりません。

珍しいことではありません。税理士に相談し、未分割の場合の申告、特例の扱い、納税資金、後日の更正や修正の可能性を確認する必要があります。相続税申告は原則10か月期限なので、調停とは別に期限管理が必要です。

Q8. 相続登記は調停が終わるまで放置してよいですか。

不動産の取得を知った日から3年以内の相続登記義務、遺産分割成立後3年以内の追加的義務があるため、放置により不利益が生じる可能性があります。調停中で分割が未了の場合でも、司法書士に相続人申告登記などを相談する必要があります。

Q9. 相手が財産資料を持っています。第1回で何を求めればよいですか。

「通帳を出してください」と抽象的に言うより、「被相続人名義のA銀行B支店、普通預金、死亡前3年分の取引履歴を次回までに提出してほしい」と具体化します。資料名、期間、金融機関、必要理由を明確にすると進行しやすくなります。

Q10. 弁護士なしで第1回に行ってもよいですか。

本人で出席することは可能です。ただし、使い込み疑い、遺言無効、遺留分、不動産評価、会社株式、相続放棄期限、住所秘匿、相手方代理人がいる事件では、第1回前に弁護士相談を受ける方が望ましい場合があります。

Section 21

第1回調停前の最終チェックリスト

第1回調停前の最終チェックリストについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

第1回調停の前日までに、次の項目を確認してください。

この比較表は、チェック、内容を横並びで整理したものです。判断や準備の抜けを減らすうえで重要なので、左の項目から順に見て、必要な資料、期限、注意点の違いを読み取ってください。

チェック内容
期日、場所、集合時刻を確認した
呼出状、身分証明書、筆記具を用意した
申立書、回答書、資料の控えを持った
相続人関係図を作った
遺産目録を確認した
不動産、預金、保険、債務の資料を整理した
自分の希望する分割案を短く説明できる
相手の主張のうち、認める点と争う点を分けた
相手に求めたい資料を具体化した
非開示にしたい情報がないか確認した
相続税、相続登記、相続放棄、遺留分の期限を確認した
必要に応じて弁護士、司法書士、税理士に相談した
次回期日候補を確認できるよう予定表を持った
Section 22

申立て後から第1回調停までの準備を仕上げる

申立て後から第1回調停までの準備を仕上げるについて、判断の前提、必要な資料、注意点を整理します。

申立て後から第1回調停までの流れと準備すべきことを一言でいえば、「裁判所が手続を走らせる期間に、当事者は人、財産、主張の3つを整理する」ということです。

第1回調停は、相続紛争の勝敗を一気に決める日ではありません。しかし、第1回までの準備が雑だと、相続人の漏れ、遺産の漏れ、評価の混乱、税務期限の見落とし、登記義務への対応遅れ、感情的対立の拡大を招きます。逆に、第1回までに、相続人関係図、遺産目録、争点表、資料目録、期限表をそろえれば、その後の調停は大きく進みやすくなります。

相続調停は、法律だけの問題ではありません。登記、税務、不動産評価、事業承継、親族関係、生活設計が重なります。だからこそ、弁護士を中核に、司法書士、税理士、不動産鑑定士、行政書士、公認会計士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、FPなどの専門職を、事件の性質に応じて早期に組み合わせることが重要です。

第1回調停に向けた最良の準備は、相手を攻撃する準備ではなく、裁判所に理解してもらえる形で事実、資料、希望、期限を整える準備です。それが、相続問題を長期化させず、公平で実行可能な解決に近づけるための最初の一歩になります。

Reference

参考資料

制度や手続の確認に使った公的、実務上の資料名を整理します。

公的機関、法令、実務資料

  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「相続に関する調停」
  • 裁判所「家事事件のしおり」
  • 裁判所「調停委員」
  • e-Gov法令検索「家事事件手続法」
  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 裁判所「当事者に対する住所、氏名等の秘匿制度等」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法テラス「民事法律扶助業務」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」