2σ Guide

配偶者居住権設定後の
修繕・増改築ルール

必要な修繕は生活を守るために認められる一方、改築・増築や建替えは所有者承諾、登記、税務、建築法規の確認が欠かせません。

2025年4月 建築法規の重要時期
3年以内 相続登記義務の目安
1か月以内 表示変更登記の目安
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配偶者居住権設定後の 修繕・増改築ルール

必要な修繕は生活を守るために認められる一方、改築・増築や建替えは所有者承諾、登記、税務、建築法規の確認が欠かせません。

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配偶者居住権設定後の 修繕・増改築ルール
必要な修繕は生活を守るために認められる一方、改築・増築や建替えは所有者承諾、登記、税務、建築法規の確認が欠かせません。
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  • 配偶者居住権設定後の 修繕・増改築ルール
  • 必要な修繕は生活を守るために認められる一方、改築・増築や建替えは所有者承諾、登記、税務、建築法規の確認が欠かせません。

POINT 1

  • 配偶者居住権設定後の修繕・増改築ルールの全体像
  • 修繕は生活を守る行為、増改築は所有権に関わる行為として分けます。
  • 配偶者居住権を取得した配偶者は、建物を所有していない場合でも、居住建物を無償で使用・収益できます。
  • 結論は、工事の分類で大きく変わります。
  • 使用・収益に必要な修繕は配偶者が行える一方、改築・増築には建物所有者の承諾が必要です。

POINT 2

  • 配偶者居住権の基本構造と工事前の確認
  • 住む権利と所有する権利が分かれるため、登記簿確認が出発点です。
  • 配偶者居住権者
  • 建物所有者
  • 設定登記

POINT 3

  • 修繕・改築・増築をどう区別するか
  • 1. 生活維持に必要か:雨漏り、故障設備、危険箇所の補修などです。
  • 2. 床面積・構造・用途に影響するか:増築、耐力壁変更、店舗化、賃貸化などを確認します。
  • 3. 承諾と法規確認:所有者承諾、建築確認、登記、税務確認が必要になりやすいです。
  • 4. 必要修繕に近い:通知、写真、見積書、費用負担整理を残して進めます。

POINT 4

  • 配偶者ができる必要修繕と通知の実務
  • 1. 不具合の記録:写真、動画、発生日、生活への支障、緊急性を残します。
  • 2. 所有者への通知:修繕理由、見積書、工事範囲、予定日、費用負担案をメールや書面で送ります。
  • 3. 工事の実施:緊急性と範囲を必要最小限に整理し、追加工事は再確認します。
  • 4. 資料の保管:工事後写真、請求書、領収書、振込記録、相談記録を保管します。

POINT 5

  • 改築・増築に所有者承諾が必要な理由
  • 権利消滅の主張
  • 所有者が是正催告を行い、配偶者居住権の消滅を主張する可能性があります。
  • 損害賠償
  • 建物価値の低下や原状回復費用について争いになることがあります。

POINT 6

  • 修繕・増改築の費用負担と有益費の整理
  • 1. 工事目的を確認:生活維持か、価値向上か、所有者利益かを分けます。
  • 2. 最終負担者を決める:配偶者負担、所有者負担、立替、分割返済のいずれかを明確にします。
  • 3. 償還・贈与・税務を確認:償還請求しないのか、贈与と見る余地があるのかを税理士に確認します。
  • 4. 書面化して保管:承諾書、領収書、振込記録、相談記録を残します。

POINT 7

  • 建築基準法・省エネ基準・表示登記の注意点
  • 民法上の承諾と建築法規上の手続は別に確認します。
  • 所有者が承諾しても、建築基準法、都市計画法、消防法、自治体条例、景観条例、省エネ基準に適合しなければ工事を進められません。
  • 反対に、建築確認が不要な工事でも、民法上の所有者承諾が不要になるわけではありません。
  • 制度ごとに対象、期限、注意点が異なるため、民法、建築法規、登記を分けて読んでください。

POINT 8

  • 工事費負担と配偶者居住権消滅の税務注意点
  • 合意解除・放棄
  • 対価がない場合、所有者への利益移転が問題になる可能性があります。
  • 配偶者死亡
  • 配偶者居住権は死亡により終了しますが、登記抹消など別手続が残ります。

まとめ

  • 配偶者居住権設定後の 修繕・増改築ルール
  • 配偶者居住権設定後の修繕・増改築ルールの全体像:修繕は生活を守る行為、増改築は所有権に関わる行為として分けます。
  • 配偶者居住権の基本構造と工事前の確認:住む権利と所有する権利が分かれるため、登記簿確認が出発点です。
  • 修繕・改築・増築をどう区別するか:工事名ではなく、建物への実質的な影響で判断します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

配偶者居住権設定後の修繕・増改築ルールの全体像

修繕は生活を守る行為、増改築は所有権に関わる行為として分けます。

配偶者居住権を取得した配偶者は、建物を所有していない場合でも、居住建物を無償で使用・収益できます。一方で、建物の所有者は子、孫、受遺者、複数の相続人などであることがあり、雨漏り修理、給湯器交換、耐震補強、増築、建替えでは、誰が決め、誰が費用を負担し、どの手続が必要かが問題になります。

結論は、工事の分類で大きく変わります。使用・収益に必要な修繕は配偶者が行える一方、改築・増築には建物所有者の承諾が必要です。高額工事、構造に関わる工事、建替えでは、民法、登記、税務、建築基準法を分けて確認します。

次の比較表は、工事分類ごとの基本ルールをまとめたものです。左列で工事の性質を確認し、中央で配偶者が単独で進めやすいか、右列で実務上どの資料を残すべきかを読み取ってください。

分類基本ルール実務上の注意
使用・収益に必要な修繕配偶者が行える範囲があります。写真、見積書、所有者通知、費用負担整理を残します。
改築・増築建物所有者の承諾が必要です。無断工事は権利消滅、損害賠償、税務問題につながります。
高額改修・耐震補強修繕、有益費、改築の境界判断が必要です。承諾書、建築士の診断、税理士確認が望まれます。
建替え・取壊し既存建物の滅失で権利の存続が問題になります。合意消滅、対価、新たな居住契約、税務確認が不可欠です。
基本修繕は生活を維持するための行為です。改築・増築は所有者の建物の形状、価値、登記、固定資産税、売却可能性に影響するため、事前承諾と書面化が重要です。
Section 01

配偶者居住権の基本構造と工事前の確認

住む権利と所有する権利が分かれるため、登記簿確認が出発点です。

配偶者居住権は、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた配偶者が、終身または一定期間、無償で使用・収益できる権利です。建物全部に及ぶ場合がありますが、配偶者は所有者ではないため、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって使う必要があります。

次の一覧は、工事前に確認する権利関係を整理したものです。各項目は、誰が承諾するか、登記に影響するか、税務評価に影響するかを判断するために重要です。

権利関係

配偶者居住権者

住み続ける権利を持つ人です。必要な修繕を行える範囲がありますが、所有者の権利を大きく変える工事は別です。

所有関係

建物所有者

子、孫、受遺者、複数の相続人などが所有者になることがあります。改築・増築では承諾主体を確認します。

公示

設定登記

第三者に対抗するため重要です。未登記のまま工事や売却を進めると権利関係が不安定になります。

工事の前には、建物登記簿で所有者、共有者、配偶者居住権の登記、抵当権、差押え、未登記増築の有無を確認します。所有者が亡くなった人のままなら、相続登記の整理も必要です。

Section 02

修繕・改築・増築をどう区別するか

工事名ではなく、建物への実質的な影響で判断します。

見積書にリフォーム、修理、改修、リノベーションと書かれていても、それだけで法的分類は決まりません。床面積が増えるか、主要構造部に手を入れるか、従前の居住状態を回復するだけか、用途変更や登記変更が必要かを総合して見ます。

次の判断の流れは、工事を修繕、改築・増築、建替えに分けるための目安です。上から順に確認し、床面積や主要構造部、用途変更に進むほど所有者承諾や建築法規の確認が重くなると読んでください。

工事分類の判断の流れ

生活維持に必要か

雨漏り、故障設備、危険箇所の補修などです。

床面積・構造・用途に影響するか

増築、耐力壁変更、店舗化、賃貸化などを確認します。

影響あり
承諾と法規確認

所有者承諾、建築確認、登記、税務確認が必要になりやすいです。

影響小
必要修繕に近い

通知、写真、見積書、費用負担整理を残して進めます。

次の比較表は、修繕に当たりやすい例と、改築・増築に当たりやすい例を並べたものです。列ごとに、工事の目的が現状回復なのか、建物の形状や価値を変えるものなのかを読み取ってください。

修繕に近い例改築・増築に近い例
雨漏りの部分補修部屋を増やす増築
給湯器の故障交換既存建物の一部を壊して造り替える工事
割れた窓ガラスの交換耐力壁や柱を撤去する間取り変更
畳や床材の経年劣化部分の張替え自宅を店舗、民泊、賃貸併用へ変える工事
水漏れ配管の補修屋根全体の形状変更や大規模な介護改修
Section 03

配偶者ができる必要修繕と通知の実務

生活維持と建物保全のための修繕は、証拠と通知を残すことが重要です。

民法上、配偶者は居住建物の使用・収益に必要な修繕を行えるとされています。雨漏りで生活に支障がある、給湯器が壊れた、床が腐食して転倒リスクがある、電気設備が危険であるといった場面では、居住継続と建物保全の両面から修繕が必要になります。

次の時系列は、配偶者が必要修繕を行う際に残しておきたい資料と連絡の順番を示します。上から順に証拠化し、所有者へ知らせ、工事後の資料まで保管することで、後日の費用負担や善管注意義務の争いを減らせます。

Before

不具合の記録

写真、動画、発生日、生活への支障、緊急性を残します。

Notice

所有者への通知

修繕理由、見積書、工事範囲、予定日、費用負担案をメールや書面で送ります。

Work

工事の実施

緊急性と範囲を必要最小限に整理し、追加工事は再確認します。

After

資料の保管

工事後写真、請求書、領収書、振込記録、相談記録を保管します。

配偶者が相当期間内に必要な修繕をしない場合、所有者が修繕できる場面もあります。ただし、所有者が工事を行う場合でも、配偶者の居住を不当に妨げることはできません。立入り、鍵、騒音、仮住まい、一時退去、荷物移動、工期を調整する必要があります。

通知屋根の破損、水漏れ、隣地からの越境、第三者の権利主張、差押え通知、境界紛争などを知った場合は、所有者が既に知っている場合を除き、遅滞なく知らせることが重要です。
Section 05

修繕・増改築の費用負担と有益費の整理

通常の必要費、特別の必要費、有益費を分けて考えます。

費用負担で最初に分けるべきなのは、通常の必要費か、それを超える特別の必要費や有益費かです。通常の必要費は配偶者が負担するのが基本ですが、高額工事や価値向上工事では、所有者が得る利益や将来償還の扱いを整理する必要があります。

次の比較表は、費用の種類ごとの考え方をまとめたものです。左列の分類を見て、中央でどのような支出が含まれるか、右列で事前合意がどれほど重要かを確認してください。

費用分類具体例整理のポイント
通常の必要費通常修繕、日常維持管理、固定資産税相当額、一般的な設備交換配偶者負担が基本ですが、請求方法や支払時期を決めます。
特別の必要費台風、地震、豪雨による大規模修復など緊急性、保険金、所有者負担、償還を確認します。
有益費断熱性能向上、高機能設備、耐震性向上、価値向上改修誰が最終的に得をするか、償還や贈与税を事前に整理します。

配偶者が高額工事費を支払っても、建物の所有権は所有者に残ります。工事によって建物価値が上がる場合、後から配偶者側が償還を求め、所有者側が勝手な工事だと反論することがあります。

次の判断の流れは、高額工事費をどう扱うかを決める順番を示します。最終負担者、償還の有無、価値増加が残るか、税務上の扱いを順に確認することで、死亡後の相続人間の争いを減らせます。

高額工事費の整理手順

工事目的を確認

生活維持か、価値向上か、所有者利益かを分けます。

最終負担者を決める

配偶者負担、所有者負担、立替、分割返済のいずれかを明確にします。

償還・贈与・税務を確認

償還請求しないのか、贈与と見る余地があるのかを税理士に確認します。

書面化して保管

承諾書、領収書、振込記録、相談記録を残します。

Section 06

建築基準法・省エネ基準・表示登記の注意点

民法上の承諾と建築法規上の手続は別に確認します。

所有者が承諾しても、建築基準法、都市計画法、消防法、自治体条例、景観条例、省エネ基準に適合しなければ工事を進められません。反対に、建築確認が不要な工事でも、民法上の所有者承諾が不要になるわけではありません。

次の比較表は、2025年4月以降の大規模リフォームや省エネ基準、表示登記の要点を整理したものです。制度ごとに対象、期限、注意点が異なるため、民法、建築法規、登記を分けて読んでください。

確認項目目安注意点
大規模リフォーム主要構造部の一種以上について過半の改修等2025年4月以降に工事着手する2階建て木造戸建て等で建築確認対象になり得ます。
水回り・手すり・スロープ建築確認不要とされる工事が多い建築確認不要でも建築基準法適合、所有者承諾、補助金条件は別です。
省エネ基準新築・増改築時に原則適合義務増改築部分が対象になり、修繕・模様替えとは扱いが変わります。
表題部変更登記物理的状況が変わった日から原則1か月以内増築、減築、構造変更、用途変更、床面積変更で必要になることがあります。

増築で床面積が増える、一部取壊しで床面積が減る、附属建物を新築する、構造や種類が変わる、境界や越境が問題になる場合は、土地家屋調査士への相談が必要になりやすいです。未登記増築や現況不一致は、将来の売却、担保設定、二次相続の障害になります。

分けて確認建築確認が不要でも、所有者承諾、表題部変更登記、固定資産税評価、火災保険、補助金条件、税務処理は別問題です。工事前の確認を一つの窓口だけに任せきらないことが大切です。
Section 07

工事費負担と配偶者居住権消滅の税務注意点

贈与、償還、立替、合意消滅を曖昧にしないことが重要です。

配偶者が工事費を支払い、その工事で所有者の財産価値が増えた場合、単なる自己の居住利益のための支出なのか、所有者への贈与なのか、立替金なのか、配偶者居住権終了時の有益費精算なのかを整理する必要があります。

次の一覧は、高額工事で検討すべき税務上の整理をまとめたものです。各項目は、誰が最終負担するか、将来返すのか、権利終了時に精算するのかを分けるために重要です。

整理1

配偶者が最終負担する

償還請求しない前提なら、所有者への利益移転がないかを確認します。

整理2

所有者が償還する

全額または一部返済、分割返済、支払時期を明確にします。

整理3

立替金として扱う

返済条件、利息の有無、相続時の債権債務を記録します。

整理4

贈与として扱う可能性

所有者の財産価値が増え、対価や償還がない場合は税務確認が必要です。

配偶者居住権が合意解除、放棄、所有者の消滅意思表示などで消滅し、所有者が対価を支払わない場合や著しく低い対価しか支払わない場合、原則として所有者が配偶者居住権相当の利益を贈与により取得したものとして扱われる可能性があります。

次の一覧は、権利終了の原因によって税務上の見方が変わる場面を整理したものです。合意で消すのか、死亡や期間満了で終わるのか、建物全部滅失なのかを読み分け、建替えや取壊しの前に弁護士と税理士で確認してください。

合意解除・放棄

対価がない場合、所有者への利益移転が問題になる可能性があります。

配偶者死亡

配偶者居住権は死亡により終了しますが、登記抹消など別手続が残ります。

期間満了

あらかじめ定めた期間が満了する場合は、合意消滅とは分けて考えます。

全部滅失

建替えや取壊しでは、既存建物の滅失と新建物の居住設計を分けます。

Section 08

ケース別に見る修繕・増改築の判断

雨漏り、設備交換、手すり、耐震、増築、建替えを分けて考えます。

実際の工事では、同じ「リフォーム」でも法的な意味が大きく異なります。部分補修で済むものから、建築確認や省エネ基準、登記変更、税務確認まで必要なものまで幅があります。

次の一覧は、代表的な工事ごとの判断ポイントを整理したものです。各項目の説明を読み、修繕に近いか、所有者承諾や専門家確認が必要な工事かを見分けてください。

雨漏りを直す

部分補修で足りるなら必要修繕に近いです。屋根全体の葺き替えや形状変更では別途確認が必要です。

修繕

給湯器・トイレ・浴室交換

故障設備の通常交換は修繕に近い一方、配管や床壁の大幅変更は有益費や改築の要素が強くなります。

設備

手すり・スロープ

生活維持に必要な場合がありますが、建物に固定する工事では通知や承諾、補助金条件を確認します。

介護

耐震補強

生命身体保護に重要ですが、主要構造部に及びやすいため、建築士診断、承諾、建築確認の要否を確認します。

構造

一部屋を増築

床面積が増えるため、所有者承諾、建築確認、省エネ基準、表題部変更登記、固定資産税への影響が出ます。

増築

建替え

既存建物の取壊しを伴うため、配偶者居住権の合意消滅、新建物の居住権、仮住まい、税務を一体で検討します。

建替え

どのケースでも、工事前写真、診断書、見積書、図面、通知書、承諾書、建築確認済証、検査済証、工事後写真、請求書、振込記録、補助金書類、専門家相談記録を残すことが紛争予防になります。

Section 09

工事前チェックリストと承諾書で決めること

権利関係、工事分類、費用、登記、税務を事前に確認します。

工事前チェックは、権利関係、工事分類、建築法規、登記、税務、保険・補助金を分けると整理しやすくなります。次の表は、着工前に確認する項目をまとめたものです。左列の分類ごとに、右列の確認が資料で裏付けられるかを見てください。

分類確認すること
権利関係配偶者居住権の成立、存続期間、設定登記、建物所有者、共有者、相続登記
工事分類修繕、改築、増築、建替え、有益費、通常必要費のどれに近いか
建築法規建築確認、省エネ基準、条例、検査、違法建築リスク
登記表題部変更登記、床面積変更、構造変更、土地家屋調査士の関与
税務固定資産税、贈与税、所得税、相続税、償還、立替、権利消滅対価
証拠保管写真、見積書、図面、承諾書、領収書、振込記録、相談記録

次の一覧は、承諾書で最低限決めたい内容を、文書化しやすい単位に分けたものです。どの項目も後日の争いを減らすために重要で、特に工事範囲、追加費用、登記、税務、終了時処理は口頭で済ませないことが望まれます。

合意事項

対象建物と工事内容

所在、家屋番号、種類、構造、床面積を特定し、見積書、図面、仕様書を添付します。

合意事項

費用負担と追加工事

誰がいくら負担するか、追加費用や仕様変更時に再協議するかを定めます。

合意事項

登記・建築確認

建築確認、完了検査、表題部変更登記、手続費用、資料引渡しを決めます。

合意事項

税務と終了時処理

贈与税、相続税、有益費償還、原状回復、附属物の扱いを専門家確認とあわせて定めます。

Section 10

専門職の役割と相談先の分け方

紛争、登記、税務、建築、資金計画をそれぞれの専門領域に分けます。

配偶者居住権設定後の工事は、法律、登記、税務、建築、不動産評価、資金計画が同時に動くことがあります。相談先を誤ると、一つの手続だけ進んでも別の領域で止まることがあります。

次の比較表は、専門職ごとの主な役割を整理したものです。左列で相談先、中央で主な担当領域、右列で依頼を検討する場面を確認してください。

専門職主な役割検討する場面
弁護士無断工事、是正催告、権利消滅、費用償還、調停・訴訟相続人間で争いがある場合
司法書士相続登記、配偶者居住権設定登記、所有権移転登記登記記録を整える場合
税理士相続税、贈与税、所得税、固定資産税、工事費処理高額工事や権利消滅がある場合
土地家屋調査士表示登記、建物図面、床面積変更、境界・越境増築、減築、構造変更がある場合
建築士建築確認、省エネ基準、耐震性、安全性大規模リフォームや耐震補強の場合
不動産実務者売却、賃貸、重要事項説明、修繕履歴確認将来売却や活用を検討する場合
ファイナンシャル・プランナー老後資金、介護費、保険、補助金、二次相続の資金計画生活費や介護費を含めて考える場合

争いがある場合は工事より先に権利関係を整えることが大切です。配偶者居住権登記、相続登記、承諾書、費用負担合意、税務確認をせずに着工すると、複数の問題が同時に発生する可能性があります。

Section 11

配偶者居住権設定後の修繕・増改築でよくある質問

個別事情で結論が変わるため、一般情報として確認します。

Q1. 配偶者居住権者は所有者に無断で修理できますか。

一般的には、使用・収益に必要な修繕であれば、配偶者が修繕できる範囲があります。ただし、高額、構造に関わる、所有者と対立している、登記や税務に影響する場合は、通知、承諾、書面化を行い、具体的対応は専門家へ相談する必要があります。

Q2. 増築費を配偶者が全額出すなら所有者の承諾は不要ですか。

一般的には、増築は建物の形状、価値、登記、税務に影響するため、費用負担者にかかわらず所有者承諾が必要とされています。具体的な工事内容により判断が変わるため、着工前に確認が必要です。

Q3. バリアフリー工事は修繕ですか、改築ですか。

一般的には、軽微な手すり設置は修繕や改修に近い場合があります。一方、浴室全体の造り替え、床・壁・階段の大規模変更、外構スロープ設置などは承諾が必要になる可能性があります。工事範囲によって結論が変わります。

Q4. 建築確認が不要なら所有者承諾も不要ですか。

一般的には、建築確認は建築基準法上の手続であり、所有者承諾は民法上の問題です。建築確認が不要でも、所有者承諾や費用負担、税務確認が必要になる可能性があります。

Q5. 配偶者が修繕を放置している場合、所有者は何ができますか。

一般的には、修繕が必要なのに配偶者が相当期間内に修繕しない場合、所有者が修繕できる場面があります。ただし、居住を不当に妨げないよう工事方法や立入りを調整する必要があります。具体的対応は資料を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q6. 建替えはできますか。

一般的には、建替えは既存建物の取壊しを伴い、配偶者居住権の対象が失われるため慎重な設計が必要です。合意消滅、対価、新築建物の居住契約、仮住まい、税務、登記を一体で検討する必要があります。

Q7. 配偶者が支払った工事費は死亡後に請求できますか。

一般的には、工事費の性質、合意書の有無、通常必要費か有益費か、価値増加が残っているかにより判断が変わります。生前に費用負担と償還ルールを書面化しておくことが重要です。

Section 12

配偶者居住権設定後の修繕・増改築のまとめ

境界を丁寧に見極め、証拠と合意を残すことが最重要です。

配偶者居住権を設定した後の自宅工事では、修繕、改築、増築、建替えを分けて考えることが出発点です。雨漏りや設備故障など生活維持のための修繕は配偶者が行える範囲がありますが、改築・増築は建物所有者の承諾が必要です。

次の重要ポイントは、工事前に何をそろえるべきかをまとめたものです。各項目は、居住保護、所有者の財産保護、税務、将来売却を同時に守るために重要です。

修繕は生活を守る行為、増改築は所有権に関わる行為

工事分類を見極め、登記簿を確認し、所有者通知または承諾書を残し、費用負担と税務処理を事前に決めることが、配偶者居住権設定後の自宅工事で最も重要な実務対応です。

高額工事や建替えでは、民法上の承諾だけでなく、建築確認、省エネ基準、表題部変更登記、固定資産税、贈与税、相続税、保険金、補助金、二次相続まで確認する必要があります。工事を急ぐほど、写真、見積書、承諾書、振込記録、専門家相談記録を残す重要性が高まります。

Reference

この記事の参考情報源

公的資料と中立的な制度情報を中心に整理しています。

法令・制度情報

  • e-Gov法令検索 民法
  • 国税庁 配偶者居住権の概要
  • 法務省 相続登記の申請義務化について

建築・登記・税務

  • 国土交通省 木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について
  • 法務局 登記の申請を御検討されている皆さまへ
  • 国税庁 配偶者居住権が合意等により消滅した場合の取扱い