逮捕は刑罰ではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断される身体拘束です。ひき逃げ、飲酒運転、死亡・重傷事故、在宅事件、被害者と加害者の対応を横断して整理します。
逮捕は刑罰ではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれなどを踏まえて判断される身体拘束です。
逮捕は刑罰ではなく、刑事・行政・民事の責任とは別に判断される身体拘束です。
交通事故の加害者が逮捕されるかどうかは、事故が起きたことやけがをさせたことだけで決まりません。日本の刑事手続では、逮捕は刑罰ではなく、捜査のために被疑者の身体を拘束する強制処分です。
中心になるのは、交通事故に関係する犯罪の疑いがあるか、そして逮捕する必要があるかという二段階です。ひき逃げ、飲酒・薬物運転、無免許運転、著しい速度超過、あおり運転、信号無視を伴う重大事故、証拠隠滅や口裏合わせを疑わせる行動、警察の呼出しに応じない事情があると、逮捕が検討されやすくなります。
次の比較表は、交通事故で重なりやすい三つの責任を整理したものです。逮捕は刑事手続の問題であり、行政処分や民事賠償とは別に進むため、どの責任がどの場面で問題になるかを読み分けることが重要です。
| 区分 | 主な内容 | 主な関係者 | 逮捕との関係 |
|---|---|---|---|
| 刑事責任 | 過失運転致死傷、危険運転致死傷、ひき逃げ、飲酒運転など | 警察、検察、裁判所、弁護士 | 逮捕・勾留・起訴・刑罰の問題です。 |
| 行政責任 | 違反点数、免許停止、免許取消し | 公安委員会、警察の免許行政 | 逮捕とは別で、逮捕なしでも処分があり得ます。 |
| 民事責任 | 治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益、修理費など | 保険会社、弁護士、損害調査担当、医師 | 逮捕とは別で、逮捕なしでも賠償責任が問題になります。 |
警察庁の統計では、令和7年中の交通事故死者数は2,547人、重傷者数は27,563人とされています。被害の大きさは刑事・行政・民事の各場面に影響しますが、逮捕の有無だけで事故の重さを判断しないことが大切です。
通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の違いと、逃亡・証拠隠滅のおそれを整理します。
交通事故で問題になる逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕・準現行犯逮捕、緊急逮捕があります。いずれも身体拘束を伴う手続であり、犯罪の疑いだけでなく、手続を確保する必要性が問題になります。
次の比較表は、逮捕の種類と交通事故で想定される場面を整理したものです。令状の有無や緊急性の違いを押さえることで、事故直後の現場で逮捕される場合と、後日に逮捕される場合の違いを読み取れます。
| 逮捕の種類 | 概要 | 交通事故での例 |
|---|---|---|
| 通常逮捕 | 裁判官があらかじめ発する逮捕状により逮捕します。 | ひき逃げ後に車両や防犯カメラから運転者を特定し、後日逮捕する場合です。 |
| 現行犯逮捕・準現行犯逮捕 | 犯罪を現に行い、または行い終わった者などについて、令状なしで逮捕する制度です。 | 飲酒状態で事故を起こし、現場で逃走しようとした運転者を取り押さえる場合です。 |
| 緊急逮捕 | 重い犯罪で、急速を要し、事前に逮捕状を求められない場合に限られる例外です。 | 死亡・重傷を伴う悪質な危険運転事案で、逃亡のおそれが切迫している場合などです。 |
次の判断の流れは、交通事故の加害者が逮捕されるケースとされないケースを分ける基本軸を示しています。順番に見ると、罪名や事故の重大性だけではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれが判断に大きく関わることが分かります。
過失運転致死傷、危険運転致死傷、救護義務違反、報告義務違反、飲酒運転、無免許運転などが問題になります。
死亡・重傷、著しい速度超過、あおり運転、赤信号無視、薬物・飲酒などを確認します。
現場離脱、虚偽説明、映像消去、呼出し不応答などが重なります。
身元が明確で、救護・通報・証拠提出に協力している場合です。
刑事訴訟規則は、年齢・境遇、犯罪の軽重・態様その他を考慮し、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がないときは逮捕状請求を却下すべき枠組みを置いています。死亡事故でも在宅になることがあり、軽傷事故でもひき逃げや飲酒があれば逮捕されることがあります。
過失運転致死傷、危険運転致死傷、ひき逃げ、飲酒運転などを体系的に確認します。
交通事故の刑事責任では、過失運転致死傷、危険運転致死傷、救護義務違反・報告義務違反、飲酒運転、薬物運転、無免許運転などが問題になります。罪名が重いほど、事故後の証拠保全や手続確保の必要性も強く意識されます。
次のポイント一覧は、交通事故で逮捕判断に結びつきやすい主な犯罪類型をまとめたものです。どの類型が、事故結果、運転態様、事故後対応のどこに関わるのかを読み取ることが重要です。
前方不注視、脇見、車間距離不保持、一時停止違反、安全確認不足、右左折時の見落とし、追突などで問題になります。
アルコール・薬物の影響、制御困難な高速度、通行妨害目的の運転、赤信号殊更無視など、生命・身体への高度な危険が問題になります。
負傷者を救護せず、警察へ報告せず、現場を離れた場合に問題になります。現場離脱は逃亡のおそれを強く示す事情です。
呼気検査、血中濃度、飲酒時刻、服薬・使用時刻、同乗者供述などが重要証拠になり、時間経過による証拠の変動も問題になります。
無免許運転、無車検・無保険運行、業務用車両の過労運転や運行管理違反では、運転者だけでなく事業者側資料の保全も問題になります。
点呼記録、運行記録、タコグラフ、アルコールチェック記録、ドラレコなどの改ざんや隠蔽が疑われるかが重要です。
次の比較表は、公的資料で取り上げられた主な法定刑や統計値を整理したものです。数値の大きさは、逮捕そのものの自動条件ではありませんが、事故の重大性や証拠保全の必要性を考える出発点になります。
| 項目 | 整理されている内容 | 逮捕判断との関係 |
|---|---|---|
| 過失運転致死傷 | 7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。傷害が軽い場合は情状により刑を免除できる規定があります。 | 罪名だけで必ず逮捕ではなく、結果の重さや事故後対応が加わって検討されます。 |
| 危険運転致死傷 | 致傷は15年以下の拘禁刑、致死は1年以上の有期拘禁刑とされています。 | 悪質性と法定刑の重さから、逮捕が検討されやすい類型です。 |
| 救護義務違反 | 人の死傷が運転者の運転に起因する場合、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が問題になります。 | 現場離脱は逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれを示しやすい事情です。 |
| 酒酔い運転 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と説明されています。 | 事故の有無にかかわらず重大な交通犯罪で、証拠が時間とともに変わり得ます。 |
| 酒気帯び運転 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と説明されています。 | 飲酒量、飲酒時刻、同乗者供述、呼気検査などが重要になります。 |
| ひき逃げ・無申告事件 | 令和6年中は死亡事件114件、重傷事件894件、軽傷事件10,125件、合計11,133件とされています。 | 救護義務違反や報告義務違反は、逮捕が検討されやすい典型類型です。 |
次の重要ポイントは、危険運転致死傷罪等の改正議論について、読者が本文の法令情報を読む際に注意すべき時点を示しています。施行前後で条文の説明が変わり得るため、現在の手続段階を読み取ることが大切です。
2026年4月24日現在、同改正案は2026年3月31日に提出され、4月17日に参議院本会議で可決され、衆議院へ送付された段階とされています。公開時点が改正後になる場合は、最新の法令と施行日を確認する必要があります。
逮捕が検討されやすい典型類型を、逃亡と証拠隠滅の観点から整理します。
逮捕が検討されやすい場面には、事故結果が重大であることだけでなく、逃走、飲酒、薬物、無免許、悪質な運転態様、証拠隠滅を疑わせる行動が重なる傾向があります。いずれも必ず逮捕という意味ではなく、身体拘束の必要性を基礎づけやすい事情です。
次の注意要素の一覧は、交通事故の加害者が逮捕されるケースとして実務上問題になりやすい事情を整理したものです。各項目が逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれ、事故態様の悪質性のどれに関係するかを意識して読むことが重要です。
人身事故で救護せず現場を離れると、救護義務違反と過失運転致死傷等が併せて問題になり、逃亡のおそれを強く示します。
事故後に現場から離れる、飲酒量を偽る、同乗者と口裏を合わせるなどの事情があると、証拠隠滅のおそれが強まります。
著しい速度超過、赤信号の殊更無視、あおり運転、歩行者の明らかな見落とし、複数人死傷などが問題になります。
正常運転困難な飲酒・薬物状態、制御困難な高速度、妨害目的運転などでは、法定刑や悪質性の高さから逮捕が検討されやすくなります。
車両の修理・廃車、ドラレコ・スマートフォン・ナビ履歴・EDRの消去、同乗者や目撃者への働きかけは重要な事情です。
在宅事件で始まっても、連絡無視、転居先不明、海外渡航計画、所在不明などがあると逃亡のおそれが高まります。
固定した住居や生活基盤がない、身元確認が難しい、出国予定があるなど、手続確保が難しい事情が評価されます。
未成年者や高齢者であっても、ひき逃げ、飲酒、無免許、重大死亡事故、証拠隠滅のおそれがあれば逮捕が問題になります。
死亡事故の捜査では、現場の痕跡、車両損傷、ブレーキ痕、EDR、ドラレコ、防犯カメラ、信号サイクル、視認性、道路構造、気象、照明、被害者の動線などが詳細に分析されます。証拠を保全する必要が強いほど、身体拘束の必要性も検討されやすくなります。
救護・通報・証拠保全・身元の明確さが、在宅捜査に関わる理由を整理します。
逮捕されないケースは、刑事責任が存在しない場合だけではありません。犯罪の疑いがあっても、逃亡や証拠隠滅のおそれが乏しく、手続を確保できると判断されれば、在宅事件として捜査されることがあります。
次の比較一覧は、交通事故の加害者が逮捕されない方向に働きやすい事情を整理したものです。読者にとって重要なのは、逮捕されない事情があっても、刑事・行政・民事の責任が残り得る点を読み取ることです。
停止、負傷者救護、119番・110番、警察官への説明、実況見分や事情聴取への協力により、逃亡のおそれが小さいと評価されやすくなります。
事故直後過失運転致死傷は成立しません。ただし、報告義務違反、危険防止措置義務違反、飲酒、無免許、故意の衝突などは別に問題になります。
物損事故治療・手術・集中治療が必要なときは、直ちに留置施設で身体拘束することが現実的でない場合があります。
医療事情信号、速度、優先関係などに争いがあっても、映像や現場痕跡が保全され、呼出しに応じていれば在宅で進むことがあります。
証拠保全示談や被害弁償は情状として考慮されることがありますが、逮捕の要件を直接消すものではありません。
示談「その場で謝った」「保険会社に連絡した」だけでは、道路交通法上の報告や救護を尽くしたことにはなりません。相手が大丈夫と言っても、後から痛みが出ることがあるため、警察への報告と医療機関の受診が重要です。
被害結果、運転態様、事故後対応、証拠関係、身元などを横断して見ます。
逮捕の有無は、単一の事情で自動的に決まるものではなく、複数の要素を総合して評価されます。軽傷事故でもひき逃げなら逮捕が問題になり、死亡事故でも入院中で証拠が確保され逃亡の現実性が乏しければ在宅捜査となることがあります。
次の判断材料の比較表は、逮捕方向に働きやすい事情と、逮捕されない方向に働きやすい事情を横並びにしたものです。左列と右列のどちらか一つだけで結論を出すのではなく、複数の事情がどちらに積み重なるかを読み取ることが重要です。
| 評価要素 | 逮捕方向に働きやすい事情 | 逮捕されない方向に働きやすい事情 |
|---|---|---|
| 被害結果 | 死亡、重傷、複数被害者、後遺障害の可能性 | 軽傷、物損のみ |
| 運転態様 | 飲酒、薬物、無免許、著しい速度超過、あおり、赤信号殊更無視 | 通常の不注意にとどまる疑い |
| 事故後対応 | 逃走、救護せず、通報せず、虚偽説明 | 停止、救護、119・110番、実況見分協力 |
| 証拠関係 | ドラレコ消去、車両修理、口裏合わせ、同乗者工作 | 証拠提出、車両保全、映像提出 |
| 身元・生活基盤 | 住所不定、所在不明、国外逃亡可能性 | 定住、勤務先明確、家族・連絡先明確 |
| 捜査対応 | 呼出し無視、供述拒否に加え逃亡行動 | 呼出しに応じる、連絡可能 |
| 前歴・再犯性 | 同種前歴、免許取消中、常習飲酒運転 | 前歴なし、安全運転歴が長い |
| 医療事情 | 治療に支障がない | 入院・手術・重篤な身体状態 |
事故直後、警察の初動捜査、在宅事件、身柄事件の違いを順番に確認します。
事故直後は、刑事手続以前に、人命救助と二次事故防止が最優先です。現場で逃げる、救護しない、警察に報告しない行為は、被害者の安全を損なうだけでなく、逮捕リスクを大きく高めます。
次の時系列は、事故直後から逮捕後・在宅捜査までの流れを整理したものです。順番ごとに、救護、報告、証拠保全、捜査対応のどこが重要になるかを読み取ってください。
車両を安全に停止し、負傷者を救護し、二次事故を防ぎ、警察官へ事故の日時、場所、死傷者数、負傷状況、損壊物、講じた措置を報告します。
警察は現場、当事者、目撃者、車両損傷、飲酒検知、ドラレコ、防犯カメラ、破片、塗膜片、血痕などを確認します。
逮捕されない場合でも、事情聴取、供述調書作成、検察庁への送致が行われ、起訴、不起訴、略式命令請求、公判請求が判断されます。
逮捕されると、警察での取調べ、検察官送致、勾留請求、裁判官の勾留質問へ進み、勾留が認められると原則10日、延長でさらに10日まで身体拘束が続くことがあります。
次の判断の流れは、事故直後に優先される対応と、避けるべき行動を並べたものです。最初の対応が人命救助だけでなく、その後の刑事手続や証拠評価にも影響する点を読み取ることが重要です。
車両停止、負傷者救護、119番、二次事故防止を優先します。
110番、事故状況の説明、実況見分への協力、身元確認に対応します。
現場離脱、映像消去、口裏合わせ、警察の呼出し無視は逮捕方向に働きます。
ドラレコや車両データを保全し、連絡先を明らかにして手続に応じます。
診断書、事故鑑定、ドラレコ、保険対応がどのように関係するかを整理します。
逮捕判断には、刑事手続だけでなく、医療、交通事故鑑定、保険の資料が関係します。診断書や車両データは、傷害結果、事故原因、供述の信用性、民事賠償の基礎になります。
次の整理は、医療・鑑定・保険の各場面で重視される資料をまとめたものです。どの資料が傷害の程度、運転態様、賠償責任に関わるのかを読み取ることが重要です。
EDR、ドラレコ、防犯カメラ、破損状況、歩行者の飛翔距離、信号サイクルなどから、供述との整合性が検討されます。
客観証拠診断書の重さがそのまま逮捕の有無を決めるわけではありません。重傷診断は結果の重大性を高めますが、逃亡・証拠隠滅のおそれが乏しければ在宅捜査もあり得ます。逆に軽傷診断でも、ひき逃げや飲酒運転があれば逮捕が問題になります。
逮捕の有無に振り回されず、証拠、診断書、刑事記録、賠償資料を整える視点をまとめます。
被害者や遺族が厳罰を望む感情を持つことは自然ですが、逮捕するかどうかは警察・検察・裁判官が法令と証拠に基づいて判断します。被害者側にとって重要なのは、抽象的な要望だけでなく、具体的な事実と証拠を整理して伝えることです。
次の実務ポイント一覧は、被害者側が確認・整理しやすい事項をまとめたものです。逮捕の有無にかかわらず、刑事手続、治療、民事賠償を進めるために、どの情報を残すべきかを読み取ってください。
相手が逃げた、救護しなかった、通報しなかった、飲酒や薬物が疑われる言動・臭い・歩様があったなどを整理します。
スマホを見ていた、あおられた、速度が異常だった、信号や横断歩道の状況に問題があったなどを記録します。
目撃者、防犯カメラ、ドラレコ、車両位置、信号、道路状況、加害者側からの接触や口止めの有無を確認します。
事故直後に痛みが少なくても、後からむち打ち、頭痛、しびれ、めまい、耳鳴り、不眠、不安症状が出ることがあります。
診断書提出、事件番号、実況見分予定、供述調書作成、送致見込みなどを確認します。
実況見分調書、診断書、治療経過、後遺障害資料、休業損害、逸失利益などを整理します。
加害者が逮捕されていない場合でも、在宅事件として捜査が進んでいることがあります。医療記録、診断書、治療継続、後遺障害の有無、保険会社とのやり取りを丁寧に残すことが重要です。
人命救助、通報、証拠保全、取調べ対応、保険会社と弁護士への連絡を確認します。
交通事故を起こした運転者が最初に優先すべきことは、逮捕回避のための言い訳ではなく、停止、救護、119番、110番、二次事故防止です。事故後の不適切な行動は、事故そのものよりも逮捕の必要性を強く基礎づけることがあります。
次の注意要素の一覧は、加害者側がしてはいけない行動を整理したものです。各項目は、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれ、被害者や目撃者への働きかけと評価され得るため、何を避けるべきかを読み取ることが重要です。
救護義務違反や報告義務違反、逃亡のおそれを示す事情として重く評価され得ます。
相手が大丈夫そうに見えても、警察への報告や負傷者の救護は別に問題になります。
水を飲む、追加飲酒を装う、飲酒量を偽るなどは、証拠隠滅のおそれを強めます。
車両修理・廃車、ドラレコ、スマートフォン、ナビ履歴の消去は重要証拠の隠滅と疑われます。
同乗者、被害者、目撃者に働きかける行動は、口裏合わせや証人威迫と評価され得ます。
警察・検察からの連絡を放置し所在を不明にすると、逃亡のおそれが高まります。
人身事故、死亡事故、飲酒・薬物・無免許・ひき逃げが疑われる事故では、任意保険会社への連絡だけでなく、刑事事件に詳しい弁護士等へ早期に相談する必要があります。供述調書、取調べ対応、被害者対応、謝罪文、示談交渉、勤務先対応は、個別事情によって適切な進め方が変わります。
よくある疑問を一般情報として整理します。個別の見通しは事故態様や証拠で変わります。
一般的には、人身事故であっても必ず逮捕されるわけではないとされています。停止・救護・通報を行い、身元が明確で、証拠隠滅・逃亡のおそれが乏しい場合は、在宅事件として捜査されることがあります。ただし、飲酒、無免許、ひき逃げ、重大な速度超過、証拠隠滅などによって結論は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、死亡事故でも逮捕が刑罰として自動的に行われるわけではないとされています。被疑者が入院中で、身元が明確で、証拠が保全され、逃亡・証拠隠滅のおそれが乏しい場合には、在宅で捜査されることがあります。ただし、危険運転、飲酒、ひき逃げ、虚偽供述などの事情で判断は変わります。個別の見通しは弁護士等の専門家に相談する必要があります。
一般的には、現行犯逮捕は可能な制度であり、常に逮捕しなければならない制度ではないとされています。事故直後に運転者が現場におり、身元が明確で、救護・通報・事情聴取に協力し、証拠が確保できる場合には、逮捕の必要性が乏しいと判断される可能性があります。事故態様や証拠関係で結論は変わります。
一般的には、ひき逃げは初犯でも逮捕が問題になり得る類型とされています。救護義務違反・報告義務違反に加え、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれを示しやすいためです。ただし、事故後の経緯、負傷程度、証拠、出頭状況などによって判断は変わります。具体的な対応は弁護士等へ相談する必要があります。
一般的には、逮捕の有無と前科の有無は別の問題です。在宅事件でも起訴され、有罪判決や略式命令で罰金刑を受けると前科となる可能性があります。逆に、逮捕されても不起訴となることがあります。個別の処分見込みは、証拠や被害状況によって変わります。
一般的には、示談は重要な情状になり得ますが、逮捕の要件を直接消すものではないとされています。ひき逃げ、飲酒、危険運転、証拠隠滅のおそれがある場合には、示談交渉中でも身体拘束が問題になる可能性があります。示談の意味や進め方は個別事情により変わるため、弁護士等に相談する必要があります。
一般的には、地位や属性だけで逮捕の有無が決まるものではありません。年齢、健康状態、生活基盤、逃亡可能性、証拠隠滅可能性、事故態様などが個別に評価されます。高齢で入院が必要、身元が明確、証拠が確保されている場合に逮捕されないことはあり得ますが、具体的な判断は資料全体によります。
一般的には、自転車事故でも、人を死傷させ、救護しない、逃走する、飲酒や著しい危険運転がある、証拠隠滅のおそれがある場合には、刑事責任や逮捕が問題になり得ます。自動車運転処罰法の対象とは異なる場面でも、刑法上の過失傷害・過失致死や道路交通法上の義務違反が問題になる可能性があります。
一般的には、ドラレコは事故態様、速度、信号、車間距離、被害者の動き、事故後対応を示す重要証拠とされています。提出に協力し、改ざん・消去しないことは、証拠隠滅のおそれを否定する方向に働く可能性があります。一方で、映像を消す、提出を拒む、虚偽説明をする場合には、逮捕の必要性が強まることがあります。
一般的には、保険会社の対応は民事賠償を中心とするもので、刑事事件や行政処分とは別に進むとされています。保険対応が進んでいても、警察・検察・裁判所による刑事手続や、公安委員会による行政処分が問題になる可能性があります。個別の手続状況は、警察や弁護士等に確認する必要があります。
捜査、医療、鑑定、保険、福祉の視点を分けて、必要な資料と役割を確認します。
交通事故の逮捕判断やその後の対応には、警察・医療・鑑定・保険・福祉など複数の専門領域が関わります。逮捕の有無だけを見ていると、傷害結果、証拠、賠償、生活再建に必要な対応を見落とすことがあります。
次の専門職別の整理は、それぞれの役割と、事故後に重視される記録・判断材料をまとめたものです。どの専門職が、真相解明、被害回復、再発防止、生活再建のどの部分を支えるのかを読み取ってください。
逃亡・罪証隠滅のおそれ、証拠保全の緊急性、被疑者の身元、供述状況を確認します。
救命処置、搬送判断、意識状態、アルコール臭、外傷部位、事故直後の言動を記録します。
診断書、画像所見、神経学的所見、可動域、疼痛、治療期間、後遺障害の可能性を扱います。
被害者側では意見提出、刑事記録取得、被害者参加、損害賠償、後遺障害対応を、加害者側では取調べ対応、証拠保全、示談、勾留・処分対応を扱います。
速度、衝突角度、制動、回避可能性、車両損傷、整備不良、ドラレコ・EDR・ECUデータを分析します。
労災、傷病手当金、障害年金、休職・復職、介護、PTSD、不眠、不安、生活再建を支えます。
逮捕の有無にかかわらず、刑事、行政、民事、医療、保険、生活再建を並行して考えます。
交通事故の加害者が逮捕されるケースとされないケースは、事故結果の重大性だけでなく、犯罪の疑い、運転態様の悪質性、事故後対応、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれ、身元・生活基盤、医療事情、証拠保全状況を総合して判断されます。
次の重要ポイントは、このページ全体で押さえるべき結論を整理したものです。逮捕される場合とされない場合を単純に二分するのではなく、その後の刑事・行政・民事・医療・保険の手続が並行して進むことを読み取ってください。
逮捕されやすいのは、ひき逃げ、飲酒・薬物、無免許、危険運転、死亡・重傷事故で悪質な運転態様がある場合、証拠隠滅や口裏合わせが疑われる場合、呼出しに応じない場合です。逮捕されにくいのは、軽微な事故で現場対応を尽くし、身元が明確で、証拠が保全され、逃亡・証拠隠滅のおそれが乏しい場合です。
被害者は証拠と被害状況を丁寧に記録し、加害者は救護・通報・証拠保全・誠実な手続対応を徹底することが重要です。専門家の役割は、逮捕の有無だけに目を奪われず、事故の真相解明、被害回復、再発防止、生活再建を総合的に支えることにあります。