2σ Guide

フリーランス新法違反の
行政処分と罰則

フリーランス新法違反は、すぐ刑事罰に直結するとは限りません。ただし、命令違反、虚偽報告、検査拒否、公表、過去分の支払、再発防止は経営上の大きなリスクになるため、行政対応と社内統制を一体で確認します。

50万円 罰金上限
20万円 過料上限
1,674名 勧告事例の対象
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フリーランス新法違反の 行政処分と罰則

フリーランス新法違反は、すぐ刑事罰に直結するとは限りません。

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フリーランス新法違反の 行政処分と罰則
フリーランス新法違反は、すぐ刑事罰に直結するとは限りません。
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  • フリーランス新法違反の 行政処分と罰則
  • フリーランス新法違反は、すぐ刑事罰に直結するとは限りません。

POINT 1

  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則の全体像
  • 違反がすぐ刑事罰になるわけではありませんが、調査対応と公表リスクが経営課題になります。
  • 行政指導
  • 行政処分
  • 罰金・過料

POINT 2

  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則を読む前の基本概念
  • 対象者、業務委託、発注側の区分を押さえることで、義務の範囲を誤らずに確認できます。
  • 確認フォームで相手方が従業員を使用していると回答した場合でも、それだけで完全に免責されるわけではありません。
  • 事実と異なる回答を信じた結果として違反となった場合でも、行為の是正や指導・助言が問題になる可能性があります。

POINT 3

  • フリーランス新法違反の類型と行政処分・罰則につながる入口
  • 取引適正化と就業環境整備を分け、期間要件や禁止行為を確認します。
  • 条文ごとに義務の対象と実務上の危険場面を読むことで、どの部署の運用を点検すべきかが分かります。

POINT 4

  • フリーランス新法違反の行政対応の流れ
  • 1. 申出:申出を理由とする不利益取扱いは禁止されます。
  • 2. 調査・報告徴収・立入検査:必要な限度で報告や検査が行われます。
  • 3. 指導・助言
  • 4. 措置請求・勧告:中小企業庁長官が公正取引委員会へ措置請求する場合があります。
  • 5. 公表・命令:勧告に従わない場合、命令と公表に進み得ます。

POINT 5

  • フリーランス新法違反の罰則構造と行政処分との違い
  • 50万円以下の罰金、両罰規定、20万円以下の過料、ハラスメント条項の特殊性を整理します。
  • 左から段階、法的性質、強制力、公表リスク、罰則との関係を示しており、勧告と命令を混同しないことが重要です。
  • 一方で、報告義務違反には過料があり、公表、民事責任、レピュテーションリスクは重大です。

POINT 6

  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則を実例で読む
  • シアー株式会社への勧告から、無償対応と公表リスクを確認します。
  • 特定受託事業者1,674名への無償体験レッスンが問題化
  • 次の重要ポイントは、2026年5月19日に公正取引委員会が公表した勧告事案を、企業法務上の読み取りに絞って整理したものです。
  • 日付、対象者数、問題行為、勧告内容を見ることで、罰金前の段階でも影響が大きいことが分かります。

POINT 7

  • フリーランス新法違反が発覚した場合の初動対応
  • 証拠保全、対象確認、違反分類、影響範囲、是正、行政対応、再発防止を順に進めます。
  • 順序に意味があり、先に証拠を保全し、対象者と義務を確認してから是正と行政対応を検討することが重要です。
  • 現場の契約ミスに見える事案でも、内部統制、金銭影響、公表リスク、再発防止に広がることを読み取るために重要です。
  • 自発的申出を検討する場合は、事実認定、対象者の特定、不利益回復、再発防止、証拠資料の整理が必要です。

POINT 8

  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則を防ぐコンプライアンス体制
  • 1. 相手方と委託内容を確認:相手方は事業者か、自社の事業のための成果物作成・役務提供かを見ます。
  • 2. 特定受託事業者性を確認:個人または一人法人か、従業員を使用しているかを確認します。
  • 3. 発注側の区分を確認:自社が業務委託事業者か、特定業務委託事業者かを判定します。
  • 4. 禁止行為を点検:減額、返品、買いたたき、無償作業、やり直しを確認します。
  • 5. 配慮・解除予告を点検:育児介護配慮、ハラスメント体制、30日前予告を確認します。

まとめ

  • フリーランス新法違反の 行政処分と罰則
  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則の全体像:違反がすぐ刑事罰になるわけではありませんが、調査対応と公表リスクが経営課題になります。
  • フリーランス新法違反の行政処分と罰則を読む前の基本概念:対象者、業務委託、発注側の区分を押さえることで、義務の範囲を誤らずに確認できます。
  • フリーランス新法違反の類型と行政処分・罰則につながる入口:取引適正化と就業環境整備を分け、期間要件や禁止行為を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

フリーランス新法違反の行政処分と罰則の全体像

違反がすぐ刑事罰になるわけではありませんが、調査対応と公表リスクが経営課題になります。

フリーランス新法違反の行政処分と罰則を理解するうえで重要なのは、多くの実体義務違反が、ただちに刑事罰へ直結する構造ではないという点です。多くの場合、行政機関による調査、指導・助言、勧告という是正過程を通じて処理されます。

次の一覧は、行政対応と金銭制裁の大枠を整理したものです。左から行政上の段階、企業法務上の意味、経営への影響を示しており、罰金額だけでなく、公表、過去分の支払、再発防止まで読み取ることが重要です。

Guidance

行政指導

指導・助言、勧告などです。直ちに刑罰ではありませんが、是正、返金、再発防止、社名公表の契機になり得ます。

Order

行政処分

命令などです。法的拘束力を持ち、命令違反は50万円以下の罰金の対象となり得ます。

Disclosure

公表

勧告や命令に伴う事業者名等の公表は、取引先審査、採用、資金調達、広報対応に影響します。

Penalty

罰金・過料

命令違反、報告拒否、虚偽報告、検査拒否等では50万円以下の罰金、一部の報告義務違反では20万円以下の過料が問題になります。

企業法務上の核心は、違反の有無だけではなく、発覚後にどの段階で是正し、どの証拠を保全し、どの行政機関にどのように説明し、どのように再発防止策を構築するかにあります。

重点報告徴収や立入検査への不対応は、違反本体について争う余地がある場面でも別個の罰則リスクになります。虚偽報告、資料廃棄、検査妨害は避ける必要があります。
Section 01

フリーランス新法違反の行政処分と罰則を読む前の基本概念

対象者、業務委託、発注側の区分を押さえることで、義務の範囲を誤らずに確認できます。

次の比較表は、法律上のフリーランスと発注側の基本概念を整理したものです。用語の違いは、明示義務だけが問題になるのか、支払義務、禁止行為、募集表示、ハラスメント体制、中途解除予告まで広がるのかを読み取るために重要です。

用語意味主な実務上の注意
特定受託事業者業務委託の相手方である事業者のうち、個人で従業員を使用しない者、または一人の代表者以外に役員がおらず従業員を使用しない法人です。一般社会でフリーランスと呼ばれていても、全取引が必ず対象になるわけではありません。
業務委託事業者がその事業のために、他の事業者へ物品製造、情報成果物作成、役務提供を委託することです。契約書の表題ではなく、実質として事業のための委託かを確認します。
業務委託事業者特定受託事業者に業務委託をする事業者です。取引条件の明示義務などが問題になります。
特定業務委託事業者業務委託事業者のうち、個人なら従業員を使用する者、法人なら二以上の役員があるか従業員を使用する者です。報酬支払義務、禁止行為、募集表示、ハラスメント体制整備、中途解除予告など広い義務を負い得ます。

確認フォームで相手方が従業員を使用していると回答した場合でも、それだけで完全に免責されるわけではありません。事実と異なる回答を信じた結果として違反となった場合でも、行為の是正や指導・助言が問題になる可能性があります。

対象取引は、システム開発、動画制作、ライティング、デザイン、撮影、翻訳、講師業務、コンサルティング、営業代行、編集、データ入力、イベント運営、配送関連業務など広い範囲に及び得ます。

Section 02

フリーランス新法違反の類型と行政処分・罰則につながる入口

取引適正化と就業環境整備を分け、期間要件や禁止行為を確認します。

次の比較表は、違反類型を取引の適正化と就業環境の整備に分けたものです。条文ごとに義務の対象と実務上の危険場面を読むことで、どの部署の運用を点検すべきかが分かります。

類型主な内容危険な運用
取引条件の明示給付内容、報酬額、支払期日その他を、直ちに書面または電磁的方法で明示します。メールやチャットで作業だけ先に依頼し、報酬、納期、検収、知財、経費負担を後回しにする運用です。
報酬支払給付受領日または役務提供日から60日以内で、できる限り短い支払期日を定めます。再委託には30日以内の特則があります。請求書受領日だけを基準にして、法令上の支払期限を超える運用です。
禁止行為1か月以上の業務委託では、受領拒否、減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な利益提供要請、やり直しが問題になります。無償対応、販促協力、品質改善、仕様微修正などの名目で負担を転嫁する運用です。
募集情報の的確表示広告等による募集情報について、虚偽表示や誤解表示を避け、正確かつ最新の内容に保ちます。求人媒体、SNS、説明会資料、スカウトメールの内容と実際の報酬・業務内容が異なる運用です。
育児介護等への配慮6か月以上の継続的業務委託で申出があった場合、両立しながら業務に従事できるよう必要な配慮を検討します。申出を無視する、検討しない、理由を説明しない運用です。
ハラスメント体制性的言動、妊娠・出産等に関する言動、優越的関係を背景とした言動への相談体制等を整えます。雇用労働者向け窓口だけで、フリーランスが相談対象から外れている運用です。
中途解除・不更新6か月以上の継続的業務委託では、原則30日前予告と理由開示が問題になります。契約期間満了だから自由に終了できるとして、突然発注停止を伝える運用です。
期間禁止行為の一定期間は1か月、就業環境整備の一部では6か月が基準として重要です。契約期間を短く区切って更新する運用でも、実質的な継続期間を確認する必要があります。
Section 03

フリーランス新法違反の行政対応の流れ

申出、調査、指導・助言、措置請求、勧告、公表、命令を段階で把握します。

次の時系列は、違反の疑いが行政機関に届いた後の大きな流れを示します。順番には意味があり、早い段階で事実確認と是正を行うほど、命令や罰則へ進むリスクを抑えやすいことを読み取れます。

Step 1

申出

特定受託事業者は、取引適正化関係なら公正取引委員会または中小企業庁長官、就業環境整備関係なら厚生労働大臣に申出を行えます。申出を理由とする不利益取扱いは禁止されます。

Step 2

調査・報告徴収・立入検査

必要な限度で報告や検査が行われます。不報告、虚偽報告、検査拒否、検査妨害、検査忌避は罰金対象になり得ます。

Step 3

指導・助言

行政処分ではなく行政指導として理解されるのが通常ですが、再発時には認識しながら是正しなかった事情として重く見られ得ます。

Step 4

措置請求・勧告

中小企業庁長官が公正取引委員会へ措置請求する場合があります。勧告は是正圧力が強く、公表を伴う場合があります。

Step 5

公表・命令

勧告に従わない場合、命令と公表に進み得ます。命令は行政処分であり、命令違反は50万円以下の罰金対象になります。

次の比較表は、担当行政機関を分野別に整理したものです。どの義務違反が、どの行政機関の所管になりやすいかを読み取ることで、照会対応や社内責任部署を分けやすくなります。

分野主な条文主な行政機関実務上の窓口
取引の適正化3条、4条、5条、6条3項公正取引委員会、中小企業庁申出フォーム、JFTC地方事務所、中小企業庁
就業環境の整備12条、13条、14条、16条、17条3項厚生労働省都道府県労働局等
指導・助言22条公正取引委員会、中小企業庁長官、厚生労働大臣各所管行政機関

行政機関は民事紛争の仲裁人ではありません。違反事実を調査し、必要な措置を講じることはありますが、当事者間の和解を仲介する制度ではないため、未払報酬や損害賠償の民事対応は別途整理が必要です。

Section 04

フリーランス新法違反の罰則構造と行政処分との違い

50万円以下の罰金、両罰規定、20万円以下の過料、ハラスメント条項の特殊性を整理します。

次の比較表は、罰則と過料の対象を整理したものです。金額だけではなく、どの行為が命令を経て問題になるのか、どの行為が調査対応そのものの違反として問題になるのかを読み取ることが重要です。

制裁対象実務上の典型例
50万円以下の罰金命令違反、報告をしないこと、虚偽報告、検査拒否、検査妨害、検査忌避勧告後の命令で支払や是正を命じられたのに放置する、取引件数や支払実績を偽る、帳簿を出さない
両罰規定法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が法人等の業務に関して法24条違反をした場合担当者の虚偽報告や資料提出妨害について、個人だけでなく法人も罰金対象になり得ます。
20万円以下の過料ハラスメント対策に係る一定の報告をしない、または虚偽報告をした場合刑事罰ではありませんが、行政上の金銭的不利益であり軽視できません。
公表勧告や命令に伴う公表、ハラスメント条項の勧告不履行時の公表検索結果、取引先与信、採用広報、金融機関対応、入札、業界での信用に影響します。

次の比較表は、行政上の段階と罰則との関係を整理したものです。左から段階、法的性質、強制力、公表リスク、罰則との関係を示しており、勧告と命令を混同しないことが重要です。

段階法的性質強制力公表リスク罰則との関係
注意喚起行政上の働きかけ低い原則として個別公表とは限らない通常は直結しません。
指導・助言行政指導法的拘束力は限定的個別事案次第通常は直結しません。
勧告行政指導と整理される場面が多い直接の刑罰ではないが是正圧力が強い公表され得る不履行で命令に進み得ます。
命令行政処分法的拘束力あり公表され得る命令違反は50万円以下の罰金対象です。
報告徴収・立入検査調査権限正当対応が必要調査段階では個別事情による不報告、虚偽報告、検査拒否等は罰金対象です。

法14条のハラスメント対策義務については、勧告不履行から直ちに命令、命令違反による50万円以下の罰金という流れにはなりません。一方で、報告義務違反には過料があり、公表、民事責任、レピュテーションリスクは重大です。

Section 05

フリーランス新法違反の行政処分と罰則を実例で読む

シアー株式会社への勧告から、無償対応と公表リスクを確認します。

次の重要ポイントは、2026年5月19日に公正取引委員会が公表した勧告事案を、企業法務上の読み取りに絞って整理したものです。日付、対象者数、問題行為、勧告内容を見ることで、罰金前の段階でも影響が大きいことが分かります。

特定受託事業者1,674名への無償体験レッスンが問題化

音楽教室の運営等を行う事業者について、自己のために無償で体験レッスンを行わせ、利益を不当に害したとして、不当な経済上の利益の提供要請が問題とされました。勧告では、対価相当額の支払等が求められています。

この事例からは、役務提供型の業務委託でも不当な経済上の利益提供要請が問題になること、「無料体験」「販促」「営業協力」という名目でも実質が重視されること、多数の特定受託事業者に同一運用をしていると違反が大規模化することが読み取れます。

また、勧告段階で事業者名、違反事実、勧告内容が公表され得る点も重要です。直ちに罰金という段階でなくても、企業名の公表、対象者数、過去分の支払、社内体制整備は、企業に重大な影響を与えます。

Section 06

フリーランス新法違反が発覚した場合の初動対応

証拠保全、対象確認、違反分類、影響範囲、是正、行政対応、再発防止を順に進めます。

次の比較表は、社内調査で違反が疑われる場合の初動対応を七段階に分けたものです。順序に意味があり、先に証拠を保全し、対象者と義務を確認してから是正と行政対応を検討することが重要です。

段階対応注意点
1関係取引の凍結・証拠保全メール、チャット、発注書、請求書、検収記録、支払データを保全します。
2適用対象の確認特定受託事業者、業務委託、特定業務委託事業者、期間要件を確認します。
3違反類型の特定明示、支払、禁止行為、募集、ハラスメント、解除等を分類します。
4影響範囲の把握対象者数、期間、金額、部署、取引類型を特定します。
5是正案の策定支払、返金、明示、再契約、謝罪、窓口整備、研修を検討します。
6行政対応方針自発的申出、報告、照会対応、外部専門家の起用を検討します。
7再発防止規程、システム、承認手続、内部監査に落とし込みます。

次の比較表は、取締役会・経営会議へ報告すべき事項を整理したものです。現場の契約ミスに見える事案でも、内部統制、金銭影響、公表リスク、再発防止に広がることを読み取るために重要です。

報告項目具体内容
事案概要発覚経緯、対象部署、対象取引、対象者数
法的評価該当条文、行政処分リスク、罰則リスク、民事責任リスク
金銭影響未払額、返還額、追加支払、調査費用、専門家費用
公表リスク勧告・命令・公表の可能性、広報対応
是正策支払、契約改定、通知、謝罪、相談窓口整備
再発防止策規程改定、システム改修、教育、監査、責任部署

自発的申出を検討する場合は、事実認定、対象者の特定、不利益回復、再発防止、証拠資料の整理が必要です。単に早く謝る制度ではなく、調査着手前の申出、違反行為の取りやめ、不利益回復措置、再発防止策、調査・指導への全面協力が重要になります。

Section 07

フリーランス新法違反の行政処分と罰則を防ぐコンプライアンス体制

判定、明示、支払、無償対応、募集、解除、ハラスメント、監査を仕組みにします。

次の判断の流れは、外注先がフリーランス新法対応の対象か、どの義務が発生するかを確認する順番を示します。上から順に進めることで、契約書レビューだけでなく、購買申請、ベンダー登録、支払申請にも同じ判定を組み込めます。

取引先判定の順番

相手方と委託内容を確認

相手方は事業者か、自社の事業のための成果物作成・役務提供かを見ます。

特定受託事業者性を確認

個人または一人法人か、従業員を使用しているかを確認します。

発注側の区分を確認

自社が業務委託事業者か、特定業務委託事業者かを判定します。

1か月以上
禁止行為を点検

減額、返品、買いたたき、無償作業、やり直しを確認します。

6か月以上
配慮・解除予告を点検

育児介護配慮、ハラスメント体制、30日前予告を確認します。

次の比較表は、発注・支払・追加作業・募集・終了・相談体制で整えるべき統制をまとめたものです。どの統制がどの現場運用に効くかを読み取り、契約書だけで終わらせないことが重要です。

領域整備すべき統制確認する証跡
取引条件明示給付内容、報酬額、支払期日、納期、検査、支払方法、知財、変更手続を標準化します。発注書、メール、契約管理システム、明示テンプレート
支払期限管理受領日、役務提供日、検収日を分けて登録し、60日超過予定を警告します。納品記録、支払データ、月次監査結果
無償対応・追加作業無料作業、実制作のテスト、仕様変更、低額発注、指定ツール購入を承認制にします。追加発注書、変更履歴、減額理由、承認ログ
募集情報報酬、業務内容、稼働条件、経費、契約期間、発注者情報を実態と一致させます。募集ページ、SNS投稿、媒体掲載文、審査記録
中途解除・不更新終了予定日の45日前に通知し、30日前予告と理由開示を確認します。通知書、メール、理由書、法務確認記録
ハラスメント相談体制フリーランスが直接相談できる窓口、守秘、報復禁止、調査手順、記録保存を定めます。規程、周知文、相談ログ、対応記録

業種別には、IT・AI・データ関連では仕様変更と追加工数、広告・クリエイティブでは提案・試作・修正・二次利用、教育・講師では体験授業や研修参加、メディア・出版では再利用やキャンセル、コンサルティングでは会議回数や追加分析が高リスク領域になります。

Section 08

フリーランス新法違反の行政処分と罰則に備える内部監査チェック

対象者判定から行政対応まで、証跡で確認できる形にします。

次の比較表は、内部監査で確認すべき項目と証跡を対応させたものです。左列の監査項目ごとに、中央列の確認内容と右列の証跡をそろえることで、行政調査時にも説明しやすい体制になります。

監査項目確認内容証跡
対象者判定特定受託事業者の該当性を確認しているかベンダー登録票、確認フォーム
取引条件明示発注時に明示事項が記録されているか発注書、メール、契約管理システム
支払期日受領日から60日以内か納品記録、支払データ
再委託元委託支払期日等を明示しているか再委託明示書
禁止行為減額、返品、買いたたき、無償作業がないか変更履歴、減額理由、追加発注書
募集表示実態と異なる表示がないか募集ページ、SNS投稿、媒体掲載文
育児介護配慮申出窓口と検討記録があるか申出記録、回答書
ハラスメントフリーランス向け相談窓口があるか規程、周知文、相談ログ
中途解除30日前予告と理由開示対応があるか通知書、メール、理由書
行政対応報告徴収・照会対応の責任者が決まっているか行政対応規程、案件ファイル

契約書に「法令を遵守する」と書くだけでは足りません。違反は支払遅延、仕様変更、無償追加、解除予告漏れなど契約締結後の運用で起きやすく、行政調査ではメール、チャット、請求、支払、検収、会議記録まで確認されます。

Section 09

フリーランス新法違反の行政処分と罰則に関するFAQ

一般情報として、行政段階、勧告、命令、罰金、申出後対応を整理します。

Q1. フリーランス新法に違反したら、すぐに罰金になりますか。

一般的には、実体義務違反が直ちに罰金となる構造ではありません。多くの場合、行政機関による調査、指導・助言、勧告、命令という段階を経ます。ただし、命令違反、報告拒否、虚偽報告、検査拒否等では50万円以下の罰金が問題となる可能性があります。

Q2. 勧告は行政処分ですか。

一般的には、勧告は行政指導として整理されることが多いとされています。ただし、公表を伴い得るため、実務上の影響は大きいです。具体的な対応は、勧告内容、是正可能性、公表リスク、民事対応を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

Q3. 命令とは何ですか。

一般的には、勧告を受けた者が正当な理由なく措置をとらなかった場合に、行政機関が当該措置をとるべきことを法的に命じるものです。命令は行政処分であり、命令違反は罰金対象となる可能性があります。

Q4. 罰金は誰に科されますか。

一般的には、違反行為をした個人が罰せられるほか、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が法人の業務に関して違反した場合、法人にも罰金が科され得ます。これが両罰規定です。

Q5. 行政機関に申出されたら、フリーランスとの契約を終了できますか。

一般的には、申出を理由とする取引数量の削減、取引停止その他の不利益取扱いは禁止されています。契約終了に別の理由がある場合でも、理由、時期、判断資料、代替措置を慎重に記録する必要があります。

Q6. 無償のテスト発注やトライアルは違反ですか。

一般的には、一律に違反とはいえません。ただし、自社のために実質的な役務や成果物の提供を受け、フリーランス側に不利益を負わせる場合、不当な経済上の利益提供要請、買いたたき、募集表示の問題となる可能性があります。

Q7. ハラスメント対策の違反にも罰金がありますか。

一般的には、法14条のハラスメント対策義務について、勧告不履行から命令、命令違反による50万円以下の罰金という流れにはなりません。ただし、報告義務違反には過料があり、公表、民事責任、信用低下のリスクがあります。

Q8. 行政調査で資料を出さないとどうなりますか。

一般的には、報告をしない、虚偽報告をする、検査を拒む、妨げる、忌避する行為は、50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。違反本体について見解の相違がある場合でも、調査対応は誠実かつ正確に行う必要があります。

Section 10

フリーランス新法違反の行政処分と罰則を経営リスクとして管理する

外部人材と持続的に協働するため、全社的なガバナンスとして設計します。

フリーランス取引は、購買コスト削減や柔軟な外部人材活用の手段であると同時に、法令遵守が求められる規制取引です。罰金額だけを見てリスクを過小評価すると、勧告や命令の公表、過去分の支払、再発防止、取引先信用、採用広報への影響を見落とします。

次の最終チェックは、社内導入時に確認すべき15項目です。上から順に、棚卸し、判定、明示、支払、禁止行為、募集、配慮、ハラスメント、行政調査対応までを確認できます。

No.チェック項目
1フリーランス取引を全社的に棚卸しした
2特定受託事業者の該当性確認手順を作った
3取引条件明示テンプレートを整備した
4発注時に明示事項を記録するシステムを導入した
5受領日または役務提供日から60日以内の支払管理をしている
61か月以上の取引について禁止行為チェックをしている
7無償作業、追加作業、修正作業の承認ルールを作った
8募集情報を法務または人事労務が確認する運用にした
96か月以上の取引について育児介護配慮と解除予告を管理している
10フリーランス向けハラスメント相談窓口を周知した
11申出を理由とする不利益取扱い禁止を社内教育した
12行政調査対応マニュアルを整備した
13報告徴収・立入検査時の虚偽報告防止ルールを作った
14違反発覚時の自発的申出検討手順を作った
15内部監査で年1回以上サンプル検証する

外部人材を安価で柔軟な労働力としてではなく、対等な事業者間取引の相手方として扱う体制を構築することが、フリーランス新法違反の行政処分と罰則に対する最も確実な予防策です。

Reference

この記事の参考資料

法令・行政資料

  • 厚生労働省法令等データベース「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」
  • 厚生労働省法令等データベース「行政手続法の施行に当たって」
  • 中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A」
  • 公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」
  • 中小企業庁「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」
  • 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法の違反被疑事実についての申出窓口」
  • 中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法第2章の処理状況について」
  • 公正取引委員会「公正取引委員会フリーランス法特設サイト」
  • 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法違反行為を自発的に申し出た業務委託事業者の取扱いについて」

公表事例

  • 公正取引委員会「シアー株式会社に対する勧告について」