2σ Guide

税関での水際措置と
輸入差止申立を実務で使う

知的財産侵害品を国内流入前に止める制度を、権利者の申立準備と輸入者の通知対応の両面から整理します。

31,760件 令和7年の輸入差止件数
763,504点 令和7年の輸入差止点数
816件 受理中の輸入差止申立
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税関での水際措置と 輸入差止申立を実務で使う

知的財産 侵害品を国内流入前に止める制度を、権利者の申立準備と輸入者の通知対応の両面から整理します。

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税関での水際措置と 輸入差止申立を実務で使う
知的財産 侵害品を国内流入前に止める制度を、権利者の申立準備と輸入者の通知対応の両面から整理します。
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  • 税関での水際措置と 輸入差止申立を実務で使う
  • 知的財産 侵害品を国内流入前に止める制度を、権利者の申立準備と輸入者の通知対応の両面から整理します。

POINT 1

  • 税関での水際措置と輸入差止申立の全体像
  • 国内流入前に侵害疑義品を止める制度を、権利者側と輸入者側の両面から整理します。
  • 国内流入前に止める設計が、水際措置の最大の価値です
  • 税関での水際措置と輸入差止申立は、知的財産権を侵害する疑いのある貨物を、国内市場に入る前の通関段階で止めるための制度です。
  • この制度は税関だけに任せる仕組みではありません。

POINT 2

  • 税関での水際措置が企業法務で重要になる理由
  • ブランド、消費者安全、販売網、紛争対応、輸入管理を同時に支える制度です。
  • ブランド価値の保護
  • 消費者安全の確保
  • 販売網の秩序維持

POINT 3

  • 輸入差止申立と認定手続の基本用語
  • 水際措置、知的財産侵害物品、簡素化手続、識別ポイントを同じ文脈で理解します。
  • 税関での水際措置と輸入差止申立では、似た用語が連続して出てきます。
  • 用語を分けて理解することは、申立資料を作る側にも、税関通知を受ける側にも重要です。
  • 次の用語一覧は、制度の入口から認定判断までに出てくる主要概念を整理したものです。

POINT 4

  • 税関での水際措置を統計から読む
  • 令和7年の差止件数、点数、価額、仕出国、権利種別、輸送形態を実務判断に結び付けます。
  • 令和7年の税関統計は、侵害品対応が例外的な事件ではなく、日常的な企業リスクであることを示しています。
  • 数値を読むことは、自社がどの権利、どの輸送形態、どの仕出国を重点的に監視するかを決めるうえで重要です。
  • 次の統計表は、令和7年の輸入差止の規模を示しています。

POINT 5

  • 税関での水際措置の法的枠組みと制度改正
  • 1. 輸入が認められない貨物と認定手続:関税法第69条の11、第69条の12、第69条の13などが、輸入禁止貨物、認定手続、輸入差止申立の中心になります。
  • 2. 海外事業者からの模倣品郵送への対応強化
  • 3. 簡素化手続の対象拡大:特許権、実用新案権、意匠権、保護対象営業秘密も含め、すべての知的財産に関する輸入差止申立貨物が対象になりました。

POINT 6

  • 輸入差止申立の対象権利と実務上の見方
  • 並行輸入との境界
  • 商標権者の意に沿わない輸入でも、真正商品の並行輸入に該当する場合は、直ちに侵害品とは扱えません。
  • 技術的判断の負担
  • 特許案件では、外観だけでなく内部構造や試験結果が必要になる場合があります。

POINT 7

  • 輸入差止申立の要件と必要資料
  • 申立人適格、権利範囲、侵害事実、識別可能性を資料に落とし込みます。
  • これに加えて、税関で識別できることが実務上の核心になります。
  • どの資料が権利の説明、どの資料が侵害事実、どの資料が現場識別に使われるかを読み取ると、申立書の組み立てが明確になります。
  • 次の重要ポイントは、資料作成で最も見落とされやすい識別可能性を強調するものです。

POINT 8

  • 輸入差止申立から認定手続までの流れ
  • 1. 社内調査と権利棚卸し:侵害品情報、権利の有効性、対象権利、販売経路を整理します。
  • 2. 税関への事前相談:対象の広さ、識別ポイント、資料の不足、営業秘密の扱いを確認します。
  • 3. 申立書と添付資料の提出:申立書、権利資料、侵害事実資料、識別ポイント資料を提出します。
  • 4. 税関審査:補正、専門委員意見照会、利害関係者意見が問題になる場合があります。
  • 5. 全国税関で取締り開始:有効期限は最長4年間で、延長も可能です。
  • 6. 補正・再設計:対象権利、識別資料、侵害事実を見直します。
  • 7. 疑義貨物発見時の認定手続:権利者と輸入者が証拠・意見を提出し、税関が侵害物品該当性を判断します。

まとめ

  • 税関での水際措置と 輸入差止申立を実務で使う
  • 税関での水際措置と輸入差止申立の全体像:国内流入前に侵害疑義品を止める制度を、権利者側と輸入者側の両面から整理します。
  • 税関での水際措置が企業法務で重要になる理由:ブランド、消費者安全、販売網、紛争対応、輸入管理を同時に支える制度です。
  • 輸入差止申立と認定手続の基本用語:水際措置、知的財産侵害物品、簡素化手続、識別ポイントを同じ文脈で理解します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

税関での水際措置と輸入差止申立の全体像

国内流入前に侵害疑義品を止める制度を、権利者側と輸入者側の両面から整理します。

税関での水際措置と輸入差止申立は、知的財産権を侵害する疑いのある貨物を、国内市場に入る前の通関段階で止めるための制度です。典型例には、偽ブランド品、海賊版商品、模倣デザイン商品、特許権侵害が疑われる部品、不正競争防止法上問題となる形態模倣品や技術的制限手段回避装置などがあります。

この制度は税関だけに任せる仕組みではありません。権利者が権利情報、侵害事実の疎明資料、真正品と侵害品を識別するポイント、仕出国や販売サイトなどの情報を税関に提供し、疑義貨物発見時に認定手続を進めるよう申し立てることが実務の中核になります。

次の重要ポイントは、制度の目的、企業側の準備、輸入者側のリスクを整理したものです。水際で止める意味を把握することが、ブランド保護、サプライチェーン管理、税関通知対応を同じ管理線上で考えるために重要です。

国内流入前に止める設計が、水際措置の最大の価値です

販売者が匿名化し、在庫が小口分散し、海外事業者への執行が難しい場面では、国内販売後の回収よりも、通関前に疑義貨物を止める方が損害拡大を抑えやすくなります。

次の比較表は、権利者が制度を使う場面と、輸入者が通知を受ける場面の違いを示しています。どちらの立場でも、貨物、権利、証拠、期限の4点を読み取ることが重要です。

立場主な目的最初に確認する情報注意点
権利者侵害疑義品の国内流入を防ぎます。権利の有効性、侵害事実、識別ポイント、販売経路を確認します。真正品、並行輸入品、ライセンス品を誤って巻き込まない設計が必要です。
輸入者通関停止、納期遅延、契約違反、在庫損失を抑えます。通知書、期限、対象権利、仕入先資料、真正品証明を確認します。簡素化手続では期限内に争う意思を示さないと不利に進む可能性があります。
Section 01

税関での水際措置が企業法務で重要になる理由

ブランド、消費者安全、販売網、紛争対応、輸入管理を同時に支える制度です。

知的財産侵害品が国内に入った後は、匿名販売者への対応、在庫の分散、消費者への流通、海外製造者への執行という難題が重なります。水際措置は、こうした問題が大きくなる前に、貨物の段階で止める発想に立ちます。

次の一覧は、企業法務が水際措置を検討する理由を5つに分けたものです。各項目は、権利保護だけでなく、品質、契約、物流、危機管理にもつながるため、社内のどの部門を巻き込むべきかを読み取ることが重要です。

Brand

ブランド価値の保護

偽ブランド品や粗悪な模倣品の流通は、商標権者の信用、広告投資、販売店教育の成果を損なう可能性があります。

Safety

消費者安全の確保

医薬品、化粧品、電気製品、自動車部品、バッテリーなどでは、知財侵害が健康や安全の問題に発展する可能性があります。

Channel

販売網の秩序維持

正規代理店、認定販売店、ライセンシーの体制がある企業では、侵害品の流入が価格秩序や品質保証を揺るがします。

Evidence

紛争対応との連動

水際措置は損害賠償を直接実現する制度ではありませんが、輸入者、仕出人、販売経路の把握につながります。

Import

輸入者側の管理

自社が輸入者の場合、通関停止、納期遅延、保管費用、信用低下に備える必要があります。

注意水際措置は権利者だけの制度ではありません。輸入ビジネスを行う企業にとっても、仕入先審査、知財調査、真正品証明、税関通知対応を整えるためのリスク管理領域です。
Section 02

輸入差止申立と認定手続の基本用語

水際措置、知的財産侵害物品、簡素化手続、識別ポイントを同じ文脈で理解します。

税関での水際措置と輸入差止申立では、似た用語が連続して出てきます。用語を分けて理解することは、申立資料を作る側にも、税関通知を受ける側にも重要です。

次の用語一覧は、制度の入口から認定判断までに出てくる主要概念を整理したものです。どの用語が手続、どの用語が貨物の性質、どの用語が証拠資料を指すのかを読み取ると、実務の役割分担が見えやすくなります。

用語意味実務での見方
水際措置通関、保税、郵便物などの段階で、輸入が認められない貨物を発見し、輸入を認めないための措置です。知財侵害品が国内流通に乗る前の管理として位置づけます。
知的財産侵害物品特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権、不正競争防止法上の利益を侵害する物品などです。どの権利で止めるかによって、必要資料と説明の深さが変わります。
輸入差止申立権利者等が税関長に対し、疑義貨物について認定手続を進めるよう求める行政手続です。裁判所への訴えではなく、税関に取締りの前提情報を提供する手続です。
認定手続税関が、疑義貨物が侵害物品に該当するかを判断する手続です。原則として権利者と輸入者の双方に通知され、証拠や意見の提出が問題になります。
簡素化手続輸入者が期限内に争う意思を示さない場合に、権利者の都度の追加提出なしに認定へ進みやすくする手続です。令和5年10月1日から、すべての知的財産に関する輸入差止申立貨物が対象になりました。
識別ポイント税関職員が真正品と侵害品を区別するための情報です。ロゴ、縫製、包装、シリアル番号、ラベル、構造、材質、誤記などを現場で使える形にします。

真正商品の並行輸入は、模倣品と同じ扱いにはなりません。権利者側は対象を広げすぎず、輸入者側は真正品であることや品質管理の同一性を説明できる資料を準備する必要があります。

Section 03

税関での水際措置を統計から読む

令和7年の差止件数、点数、価額、仕出国、権利種別、輸送形態を実務判断に結び付けます。

令和7年の税関統計は、侵害品対応が例外的な事件ではなく、日常的な企業リスクであることを示しています。数値を読むことは、自社がどの権利、どの輸送形態、どの仕出国を重点的に監視するかを決めるうえで重要です。

次の統計表は、令和7年の輸入差止の規模を示しています。件数、点数、価額、仕出国、権利種別、輸送形態を分けて読むと、小口分散型と大量貨物型の両方を想定する必要が分かります。

指標令和7年の状況実務上の読み取り
輸入差止件数31,760件知財侵害品対応は継続的な管理課題です。
輸入差止点数763,504点小口だけでなく、大量流入の損害も想定します。
1日平均87件、2,091点権利者側も輸入者側も即応体制が必要です。
輸入差止価額推計約180億円ブランド価値や消費者安全に直結する規模です。
仕出国・地域別件数最多中国 26,292件、構成比82.8%仕出国情報と販売サイト情報を申立資料へ反映します。
知的財産別件数最多商標権侵害物品 29,685件、構成比92.1%ロゴ、ブランド名、包装などの識別資料が中心になります。
輸送形態別件数最多郵便物 27,459件、構成比86.5%越境ECや個人宛小口配送の監視が重要です。
受理中輸入差止申立816件競合企業や権利者が制度を積極的に使っている可能性があります。

次の横方向の比較は、統計の中でも特に構成比が大きい項目を視覚的に整理したものです。横方向の長さは構成比の大きさを表し、商標権侵害、郵便物、中国仕出しが実務上の重点になりやすいことを読み取れます。

商標権侵害
92.1%
郵便物
86.5%
中国仕出し
82.8%
構成比は件数ベースの公表値に基づく整理です。
Section 05

輸入差止申立の対象権利と実務上の見方

商標、意匠、特許、著作権、育成者権、不正競争防止法の違いを整理します。

輸入差止申立では、どの権利で止めるかによって、資料の作り方と税関での分かりやすさが変わります。対象権利を選ぶことは、取締りの実効性だけでなく、非侵害品を巻き込まないためにも重要です。

次の比較表は、主な権利ごとの対象貨物、資料、注意点をまとめたものです。権利の種類ごとに、外観で識別しやすいか、技術的分析が必要か、権利帰属の説明が必要かを読み取ってください。

権利・利益対象になりやすい貨物実務上のポイント
商標権偽ブランド品、タグ、包装、保証書、シリアル表示などです。登録商標、指定商品、真正品と侵害品の比較、並行輸入品との区別を整理します。
意匠権バッグ、靴、家電、部品、容器、包装などのデザイン模倣品です。登録意匠の要部、公知意匠との差、角度別写真、寸法や材質を説明します。
特許権・実用新案権技術的構成を備える部品、装置、消耗品などです。請求項の構成要件分説、対比表、分解写真、試験結果を一対一で対応させます。
著作権・著作隣接権キャラクターグッズ、海賊版媒体、イラスト商品、ソフトウェア関連媒体などです。創作経緯、権利帰属、正規商品との一致点、ライセンス品との識別方法を示します。
育成者権登録品種の種苗、果実、植物関連品などです。品種登録情報、流通経路、科学的分析資料が問題になる場合があります。
不正競争防止法関係周知表示混同、著名表示冒用、商品形態模倣、営業秘密不正使用物品などです。登録権利より要件説明が複雑になりやすく、迅速に判断できる資料構成が重要です。

次の注意要素の一覧は、対象権利を選ぶ際に確認すべきリスクを整理したものです。どの要素が弱いかを読むことで、追加資料、専門家意見、別権利での申立を検討しやすくなります。

並行輸入との境界

商標権者の意に沿わない輸入でも、真正商品の並行輸入に該当する場合は、直ちに侵害品とは扱えません。

技術的判断の負担

特許案件では、外観だけでなく内部構造や試験結果が必要になる場合があります。

権利帰属の説明

著作権では登録を前提としないため、創作経緯、譲渡契約、職務著作資料などが重要です。

Section 06

輸入差止申立の要件と必要資料

申立人適格、権利範囲、侵害事実、識別可能性を資料に落とし込みます。

輸入差止申立では、権利者であること、権利内容に根拠があること、侵害事実または侵害のおそれがあること、侵害事実を確認できることが審査されます。これに加えて、税関で識別できることが実務上の核心になります。

次の比較表は、申立に必要な資料を目的別に整理したものです。どの資料が権利の説明、どの資料が侵害事実、どの資料が現場識別に使われるかを読み取ると、申立書の組み立てが明確になります。

資料群主な内容準備の狙い
基本資料申立書、登録原簿、公報、登記事項証明、委任状、権利関係を示す契約です。申立人適格と権利の有効性を示します。
侵害事実資料侵害品の現物・写真、購入記録、配送伝票、販売サイト、仕出人情報などです。抽象的懸念ではなく、輸入のおそれを具体化します。
侵害該当性資料真正品との比較表、商標・意匠・構成要件の対比表、鑑定書、判決資料、試験結果です。貨物がなぜ権利侵害物品といえるかを説明します。
識別ポイント資料包装、ラベル、シリアル番号、誤記、色味、形状差、検査方法などです。税関職員が短時間で判断しやすい状態にします。
取締り有用情報HSコード、品名、仕出国、輸入者、配送業者、梱包形態、偽装パターンです。税関が疑義貨物を発見しやすくなります。

次の重要ポイントは、資料作成で最も見落とされやすい識別可能性を強調するものです。法的に詳しい資料であっても、税関現場で使いにくければ実効性が下がることを読み取ってください。

識別識別ポイントは、長い専門説明よりも、写真、比較図、矢印、相違表、偽装パターンの整理が有効です。営業秘密に当たる真贋判定情報は、開示範囲を管理しながら税関で使える形にします。
Section 07

輸入差止申立から認定手続までの流れ

事前相談、提出、受理、認定手続、点検、見本検査、通関解放までを順番に確認します。

輸入差止申立は、申立書を出して終わる手続ではありません。事前相談、審査、受理後の情報更新、疑義貨物発見時の認定手続、輸入者反論への対応までを一連の運用として設計することが重要です。

次の判断の流れは、申立準備から認定手続対応までの順番を表しています。上から下へ進むほど、税関とのやり取りと期限管理の重要度が高まるため、どの段階で誰が対応するかを読み取ってください。

輸入差止申立と認定手続の進み方

社内調査と権利棚卸し

侵害品情報、権利の有効性、対象権利、販売経路を整理します。

税関への事前相談

対象の広さ、識別ポイント、資料の不足、営業秘密の扱いを確認します。

申立書と添付資料の提出

申立書、権利資料、侵害事実資料、識別ポイント資料を提出します。

税関審査

補正、専門委員意見照会、利害関係者意見が問題になる場合があります。

受理
全国税関で取締り開始

有効期限は最長4年間で、延長も可能です。

不足あり
補正・再設計

対象権利、識別資料、侵害事実を見直します。

疑義貨物発見時の認定手続

権利者と輸入者が証拠・意見を提出し、税関が侵害物品該当性を判断します。

認定手続では、輸入者が争わない場合の簡素化手続、権利者による点検、一定条件下の見本検査、判断が難しい場合の専門委員意見照会、特定の権利に関する通関解放制度が問題になります。輸入者側は通知の受領日と期限を記録し、物流部門だけで抱え込まない体制が必要です。

Section 08

権利者と輸入者の税関水際措置対応

権利者の戦略、輸入者の通知対応、予防策を実務の行動に落とし込みます。

権利者側の実務では、模倣品を見つけた後の証拠保全と、発売前からの権利整備の両方が重要です。輸入者側では、税関通知を受けた瞬間から期限管理が始まり、法務、知財、購買、営業、品質保証へ即時共有する必要があります。

次の比較表は、権利者側と輸入者側の行動を同じ時間軸で整理したものです。水際措置は片方の制度ではなく、取引の両側に実務負担を生むことを読み取ってください。

場面権利者側輸入者側
初動ECページ、注文情報、配送情報、現物写真、包装、送り状を保存します。通知書の種類、受領日、期限、対象貨物、権利者、問題権利を確認します。
主張整理商標、意匠、特許、著作権、不正競争のうち説明しやすい権利を選びます。真正品、並行輸入、非類似、非充足、許諾、消尽、無効理由を検討します。
資料真正品と侵害品の比較、識別ポイント、仕出人情報、偽装パターンを整理します。仕入先証明、正規流通証明、インボイス、契約、仕様書、写真、試験レポートを集めます。
継続対応新モデル、仕様変更、権利更新、ライセンス変更、回避工作を税関へ共有します。仕入先審査、知財調査、真正性確認、非侵害保証、通関業者との連絡体制を整えます。

次の注意要素は、申立対象や輸入対応で生じやすい失敗を示しています。広すぎる申立、期限徒過、秘密情報の扱いをどう防ぐかを読み取ってください。

対象が広すぎる

真正品、並行輸入品、ライセンス品、補修部品、互換品を巻き込む可能性があります。

期限を逃す

簡素化手続では、輸入者が期限内に争う意思を示さないと不利に進む可能性があります。

秘密管理が甘い

真贋判定ノウハウやシリアル管理情報は、税関で使える範囲と社内管理範囲を分けます。

Section 09

水際措置を社内体制に組み込む方法

法務、知財、物流、品質保証、EC、外部専門家の役割を分けて運用します。

税関での水際措置と輸入差止申立は、申請書作成だけの業務ではありません。企業のブランド保護、知財戦略、サプライチェーン統制、品質保証、EC監視、危機対応を結ぶ横断的なプロジェクトです。

次の役割分担表は、社内外の関係者が担当する機能を整理したものです。誰が税関通知を見るのか、誰が期限を管理するのか、誰が権利者・輸入者・税関・通関業者と連絡するのかを読み取ることが重要です。

役割主な担当水際措置での位置づけ
経営層・ゼネラルカウンセル優先順位、予算、訴訟、広報判断です。模倣品対策を経営リスクとして扱います。
法務・知財法務申立方針、権利範囲、輸入者対応、契約整備です。権利者側と輸入者側の両方の判断軸を持ちます。
品質保証・技術部門真正品仕様、検査方法、危険性評価、技術解析です。識別ポイントの実用性を支えます。
輸出入管理・物流・通関業者通関、輸送、仕出国、貨物情報、保管費用です。通知受領と税関連絡の入口になります。
EC・ブランド保護担当オンライン監視、削除申請、販売サイトの証拠化です。販売ページ情報を税関への情報提供にも活用します。

次の一覧は、継続運用のために整備しておきたい文書をまとめたものです。証拠保全、社内承認、輸入前確認、税関通知対応、更新管理のどこに効くかを読み取ってください。

侵害品発見時の証拠保全手順

スクリーンショット、注文情報、配送情報、現物写真を残す手順を定めます。

証拠

輸入差止申立の社内承認手順

対象権利、費用、税関相談、外部専門家の関与を承認します。

承認

輸入前知財クリアランス手順

仕入先、真正性、商標、意匠、特許、著作物利用を確認します。

予防

権利更新・申立更新カレンダー

商標更新、意匠・特許の存続期間、申立有効期限を管理します。

期限
Section 10

税関での水際措置と輸入差止申立のFAQ

よくある誤解を、一般情報として制度の考え方に引き直します。

輸入差止申立をすれば、すべての模倣品が自動的に止まりますか。

一般的には、輸入差止申立は強力な制度ですが、すべての貨物を自動的に止める制度ではないとされています。税関が識別できる情報、侵害事実の資料、受理後の情報更新が重要です。具体的な取締り可能性は貨物の態様や証拠関係で変わるため、専門家へ相談する必要があります。

少量や個人使用目的なら輸入できますか。

一般的には、海外事業者から郵送等で送付される商標権・意匠権侵害の模倣品は、個人使用目的でも輸入できない可能性があるとされています。ただし、旅客携帯品や事業性の有無などで評価が変わる可能性があります。具体的には通知内容と事実関係を整理し、専門家へ相談する必要があります。

正規品に似ていれば常に侵害品ですか。

一般的には、似ているだけで直ちに侵害品と決まるわけではありません。権利範囲、類否、指定商品、真正品の並行輸入、許諾、消尽などの検討が必要です。個別の見通しは証拠関係により変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

税関通知は物流部門だけで対応できますか。

一般的には、税関通知には法的判断、知財判断、契約判断、顧客対応、経営判断が含まれることが多いとされています。期限管理を誤ると不利益が生じる可能性があるため、法務、知財、購買、物流、品質保証へ共有する体制を整える必要があります。

中小企業やスタートアップでも輸入差止申立を使えますか。

一般的には、商標、意匠、著作権、育成者権などの権利と資料が整っていれば、中小企業やスタートアップでも活用できる可能性があります。もっとも、権利取得の時期、申立資料、費用対効果で判断が変わるため、事業計画に合わせて専門家へ相談する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関・制度資料

  • 財務省「令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」
  • 財務省「令和6年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」
  • e-Gov法令検索「関税法」
  • 特許庁「海外からの模倣品流入への規制強化について」
  • 税関「模倣品の水際取締り強化に関するよくある質問」
  • 税関「知的財産侵害物品の認定手続における簡素化手続」
  • 税関「差止申立ての要件」
  • 税関「差止申立ての一般的手順」
  • 税関「各種様式 知的財産ホームページ」
  • 特許庁「商標権にかかる並行輸入」
  • 税関「認定手続の流れ」
  • 税関「見本検査」
  • 税関「通関解放」