商標法4条1項11号、要部抽出、分離観察、取引の実情を軸に、2024年から2026年の知財高裁裁判例を企業法務・知財実務向けに整理します。
検索語としての最新判例と、実務上正確な裁判例の読み分けから始めます。
検索語としての最新判例と、実務上正確な裁判例の読み分けから始めます。
このページでは、結合商標の類否判断を、商標法上の基礎概念から近時の知財高裁裁判例まで一続きで整理します。厳密には、最高裁判所の判断を「判例」と呼び、知財高裁の判断は「裁判例」と呼ぶ場面が多いです。ただし、実務では「結合商標の類否判断の最新判例」という検索語で知財高裁判決を含めて調べることが多いため、このページでは検索上の語を残しつつ、本文では裁判例として説明します。
検討範囲は、2026年5月26日時点で確認できる特許庁資料、商標法、最高裁判例を引用した知財高裁判決、2024年から2026年にかけて公表された知財高裁判決を前提にしています。個別案件の結論は指定商品・指定役務、証拠、使用態様、需要者層で変わるため、このページは一般的な制度・実務情報として読む必要があります。
次の重要ポイントは、結合商標の類否判断で最初に押さえるべき視点を表します。全体観察が出発点になる一方で、文字部分や記述的語の扱いによって結論が変わるため、どの要素が読者の記憶に残りやすいかを読み取ることが重要です。
ただし、文字部分が強く支配的な印象を与える場合や、他の部分から称呼・観念が生じない場合には、一部を要部として比較する余地があります。
文字、図形、記号、品質表示、業種表示が組み合わさると、どの部分を比較するかが問題になります。
結合商標とは、法律上の明文用語というより、商標実務で使われる概念です。典型的には、複数の構成要素を組み合わせて作られた商標を指します。会社名、サービス名、ロゴ、商品カテゴリ、説明語、キャラクター、図形、色彩を一つの標章として見せる場面では、単純な一語商標よりも結合商標が多くなります。
次の一覧は、結合商標でよく問題になる構成を示しています。どの要素が識別力を持ち、どの要素が商品・役務の説明にとどまるかを把握することが、商標登録や他社商標との抵触リスクを検討するうえで重要です。各項目から、文字部分だけでなく図形や記号の働きも読み取ります。
「新世界ジーンズ」「Discover Japan TRAVEL」のように、識別力のある語と商品・役務内容を示す語が並ぶ類型です。
「図形+SORA」「キャラクター図形+リッキー」のように、読める文字と称呼が生じにくい図形が併存する類型です。
「Connect.one」風のロゴや「allstar」風の図案化ロゴのように、文字の読み方と図案の一体性が争点になります。
「乳酸菌サイエンス×肌構造サイエンス」のように、各要素が対等に配置され、全体の観念を形成するかが問題になります。
結合商標では、商標全体を一体として見るのか、一部を抜き出して先行商標と比較するのかによって結論が大きく変わります。ブランド設計の段階では、ロゴ全体の印象だけでなく、標準文字として読まれる部分、商品カテゴリ語、業界でありふれた語まで確認することが重要です。
先願登録商標との抵触は、外観・称呼・観念と出所混同のおそれを総合して判断します。
結合商標の類否判断で最も重要なのは、商標法4条1項11号です。同号は、先願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標で、その登録商標の指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品・役務について使用するものは、登録を受けられないとする規定です。
次の比較表は、商標の類否判断で検討される主要要素を整理したものです。各列は、需要者が商標に接したときにどのような記憶や印象を持つかを分けて示しています。どれか一つだけを見るのではなく、指定商品・役務との関係で全体として出所混同のおそれを読み取ることが重要です。
| 要素 | 意味 | 結合商標での見方 |
|---|---|---|
| 外観 | 見た目、文字種、図形、色彩、配置、書体などです。 | 図形と文字が分離して見えるか、文字と図形が一体で意味を作るかを確認します。 |
| 称呼 | 取引上自然に生じる読み方・呼び名です。 | 複数の読み方が生じる場合、その一つが先行商標と共通するかを確認します。 |
| 観念 | 需要者が自然に想起する意味やイメージです。 | 全体から一つの意味が生じるか、特定部分だけが意味を持つかを確認します。 |
| 取引の実情 | 指定商品・役務全般に関する一般的・恒常的な事情です。 | 業界での第三者使用、需要者層、購入場面、検索・予約方法などを確認します。 |
商標の類否判断は、2つの商標を横に並べて細部だけを比べる作業ではありません。時と場所を異にして需要者が記憶に基づいて接する場面を想定するため、社内会議で見たロゴ差分が、市場で常に決定的に働くとは限りません。
次の一覧は、結合商標の類否判断を理解するための4つの考え方を示しています。それぞれの役割を区別することが重要で、全体観察から出発しつつ、要部抽出が許される事情があるかを読み取ります。
商標を構成全体として観察する方法です。結合商標でも、まずは全体がどのような印象を与えるかを確認します。
構成部分の一部を分離して観察する方法です。常に許されるわけではなく、取引上不自然でないかが問題になります。
需要者が出所識別標識として強く記憶しやすい中心部分を抽出する考え方です。普通名称や記述的語の扱いが重要です。
需要者が別の時点・別の場所で商標に接する場面を想定します。記憶に残る称呼や印象が大きな意味を持ちます。
2024年から2026年の知財高裁裁判例を、要部抽出が認められやすい場面と否定されやすい場面に分けて読みます。
2024年から2026年の裁判例を見ると、結合商標の類否判断では、一部抽出を安易に認めない姿勢と、読める文字部分が強く支配的な場合には抽出を認める姿勢が併存しています。次の比較表は、各事件の商標構成、結論、判断の中心、実務上の示唆を並べたものです。列ごとの差から、どの事情が結論に影響したかを読み取ります。
| 判決日・事件 | 商標の構成 | 結論 | 判断の中心 | 実務上の示唆 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年12月10日「UNITED GOLD」 | 「UNITED GOLD」と先行「UNITED」です。 | 非類似方向で、請求は棄却されました。 | 「UNITED」の第三者使用例が多く、同部分の識別力が強くないとされました。 | 業界で多数使われる語は、単独の要部になりにくいです。 |
| 令和7年2月27日「Connect.one」 | 図形と「ConnecT.one」風文字です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 図形から称呼・観念が生じず、文字部分の「コネクトワン」が中心になりました。 | IT系ロゴでは、図形を添えても読める文字部分が抽出されやすいです。 |
| 令和7年7月17日「珠屋珈琲」 | 図形と「珠屋」、引用「珠屋珈琲」です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 「珈琲」は役務内容表示にとどまり、「珠屋」が要部とされました。 | 飲食店名で料理名・飲料名を足しても回避になりにくいです。 |
| 令和7年9月25日「allstar」 | フェンシング剣風図形とallstarです。 | 非類似とされ、審決は取り消されました。 | 図形部分が文字と一体となり、全体として特徴的な印象を作るとされました。 | 図形が単なる装飾を超えて意味を作ると、全体観察が働きやすいです。 |
| 令和7年10月30日「けやき」 | 「牛たん/けやき」系表示と「KEYAKI/欅」系表示です。 | 非類似とされ、審決は取り消されました。 | 「けやき」は抽出可能でも、飲食店名としての識別力が弱いとされました。 | 抽出可能性と類似の結論は別問題です。 |
| 令和7年11月19日「新世界ジーンズ」 | 「新世界ジーンズ」と「新世界」です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 「ジーンズ」は商品を示す語で、「新世界」が要部とされました。 | 商品カテゴリ語の付加だけでは十分な距離が生まれにくいです。 |
| 令和8年1月26日「Discover Japan TRAVEL」 | 「Discover Japan TRAVEL」と「DISCOVER JAPAN」です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 旅行役務で「TRAVEL」は役務内容表示とされました。 | 英語の役務内容表示でも、識別力が弱く評価されることがあります。 |
| 令和8年3月24日「リッキー」 | キャラクター図形と「リッキー」です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 図形と文字が視覚上分離し、文字部分が独立して機能するとされました。 | キャラクター名風の文字も、ブランド名として抽出され得ます。 |
| 令和8年4月13日「SORA」 | 図形と「SORA」です。 | 類似とされ、請求は棄却されました。 | 図形から特定の称呼・観念が生じず、「SORA」が中心になりました。 | 図形ロゴでも、読める文字が中心なら文字部分で衝突します。 |
| 令和8年4月15日「乳酸菌サイエンス×肌構造サイエンス」 | 2つの語を「×」で結合した表示です。 | 非類似とされ、審決は取り消されました。 | 下段だけが強く支配的とはいえず、全体観念が形成されるとされました。 | 掛け合わせ型でも、片方だけの抽出が当然には認められません。 |
次の比較一覧は、裁判例から見える大きな傾向を整理したものです。どの傾向が自社の商標に近いかを確認すると、登録可能性、拒絶対応、他社への警告可能性の見通しを立てやすくなります。
結合商標は全体で観察するのが出発点で、一部だけを抜き出すには具体的な理由が求められます。
図形から称呼・観念が生じず、文字部分が自然に読める場合は、文字部分が中心になりやすいです。
「珈琲」「ジーンズ」「TRAVEL」のような語は、商品・役務内容の表示にとどまりやすいです。
「けやき」「UNITED」のように業界で多く使われる語では、全体差が重視される余地があります。
図形が文字と一体化し、商品分野と関係する具体的な印象を作る場合、文字だけの抽出は弱まります。
文字がキャラクター名風でも、需要者が商品名やブランド名として把握する可能性があれば要部になり得ます。
各事件で、文字、図形、記述的語、取引の実情がどのように扱われたかを確認します。
次の時系列は、主要裁判例を判決日の順に並べたものです。時間の流れに沿って見ると、文字部分を抽出した事件、抽出を抑制した事件、共通語の弱さを重視した事件が交互に現れていることが分かります。自社の商標がどの類型に近いかを読み取ることが重要です。
ファッション・小売分野で「UNITED」の使用例が多く、同部分だけを強い要部と見る方向は抑制されました。
図形から称呼・観念が生じず、右側の文字部分が「コネクトワン」と読まれるため、文字部分が中心とされました。
飲食店名、図案化ロゴ、一般語、商品カテゴリ語について、識別力と全体観察のバランスが具体的に判断されました。
英語の役務内容表示、キャラクター名、図形ロゴ、掛け合わせ型表示について、要部抽出の可否が分かれました。
令和6年12月10日判決では、「UNITED GOLD」と「UNITED」の類否が争われました。裁判所は、「UNITED」の語がファッション・小売分野で多数用いられている事情を踏まえ、同部分が特に強い識別力を持つとはいえないと判断しました。「英単語が先頭にあるから要部」「先行商標と同じ語があるから類似」とは処理しない点が重要です。
令和7年2月27日判決では、図形と「ConnecT.one」風の文字を組み合わせた商標について、右側文字部分が「コネクトワン」の称呼を生じるとされました。「.one」をドメイン名風に読む可能性があっても、一つの商標から複数の称呼が生じる場合、その一つが先行商標の称呼と同じなら類似性が問題になります。
令和7年7月17日判決では、「珈琲」が、コーヒーを主とする飲食物の提供との関係で役務内容の表示にとどまるとされました。他方で、「珠屋」は一定以上の識別力を有するとされ、同部分を抽出して比較することが許されると判断されました。
令和7年9月25日判決では、フェンシング剣風図形と文字部分が一体となって特徴的な印象を作るとされました。称呼の一部共通だけでは足りず、指定商品の取引で外観も重要な役割を果たすことが踏まえられました。図形を単なる装飾にとどめない設計の意味が分かる事件です。
令和7年10月30日判決では、「けやき」部分を要部として抽出し得ること自体は認められました。しかし、飲食店名として「けやき」「ケヤキ」を含む例が多数あることから、指定役務との関係で識別力は弱いとされました。抽出できることと、ただちに類似と結論づけられることは別です。
令和7年11月19日判決では、「ジーンズ」が指定商品であるジーンズ製被服を示す語として一般的に使用されることが重視されました。その結果、「新世界」の部分が要部として抽出され、引用商標「新世界」と類似すると判断されました。
令和8年1月26日判決では、旅行役務において「TRAVEL」が役務内容を表す語として扱われました。日本語ではなく英語を使った場合でも、指定役務との関係でありふれた内容表示と評価されることがあります。
令和8年3月24日判決では、キャラクター図形と「リッキー」の文字が視覚上分離して認識され、図形部分から特定の称呼・観念が生じないと判断されました。文字がキャラクター名としてだけ理解されるとは限らず、商品ブランド名や店舗名のように把握される可能性があるとされました。
令和8年4月13日判決では、図形部分と「SORA」部分が外観上分離して認識され、文字部分から「ソラ」の称呼が生じることが重視されました。自社ロゴの制作意図やウェブサイト上の説明は、指定商品・役務全般に関する一般的・恒常的な事情とは区別されます。
令和8年4月15日判決では、上段の「乳酸菌サイエンス」、中段の「×」、下段の「肌構造サイエンス」から、全体として科学的知見を掛け合わせたものという観念が生じるとされました。下段だけが独立して強く支配的とはいえず、片方だけの抽出は否定されました。
構成要素、称呼・観念、識別力、取引の実情、商品・役務の類似性を順番に確認します。
結合商標の類否判断では、直感的に似ているかだけで判断すると見落としが出ます。次の判断の流れは、商標を分解し、全体の称呼・観念を確認し、抽出候補の識別力と取引の実情を順番に検討するものです。上から下へ進めることで、どの段階に強い証拠が必要かを読み取ります。
文字、図形、色彩、配置、記号、普通名称、品質表示、役務名を確認します。
全体として一連の自然な読み方や意味が生じるかを見ます。
造語、一般語、業界頻出語、商品・役務内容表示のどれに近いかを整理します。
図形や付加語から称呼・観念・印象が生じるかを確認します。
第三者使用例、販売場面、需要者層、検索・予約・注文方法を整理します。
商標が近くても、指定商品・役務の範囲によって4条1項11号の評価は変わります。
この手順では、図形や付加語を加えた事実だけでは足りません。需要者がどの部分を記憶し、どの称呼で呼び、どのような取引場面で接するかを、指定商品・役務との関係で整理することが重要です。
次の比較表は、証拠として使いやすい資料と、注意して扱うべき資料を分けたものです。資料の種類だけでなく、指定商品・役務との関連性と、需要者の認識に結びつくかを読み取ることが大切です。
| 資料の種類 | 使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 第三者使用例 | 業界で同じ語が多数使われていることを示します。 | 指定商品・役務との関係が近い実例を優先します。 |
| ECサイト・検索サイトの表示 | 需要者が実際に見る表示態様を示します。 | 単なる検索件数だけでは説得力が弱くなります。 |
| 辞書・公的分類・基準 | 語義や商品・役務の一般的理解を示します。 | 商標の使用実態と結びつけて説明します。 |
| 自社サイトの説明 | ブランドストーリーの補助資料になります。 | 現在の使用態様だけに限られる事情は、判断を左右しにくいです。 |
文字+記述的語、文字+図形、キャラクター名、掛け合わせ型、一般語を分けて検討します。
実務では、結合商標のリスクは商標の作り方ごとに現れます。次の一覧は、代表的な類型と判断の見どころをまとめたものです。自社ブランドがどの類型に当たるかを確認し、抽出されやすい部分と反論しやすい事情を読み取ります。
「ABC COFFEE」「ABC JEANS」「ABC TRAVEL」のような名称では、後半が商品・役務内容表示とされ、前半が要部になりやすいです。
高リスク図形が抽象的で、文字部分が読みやすい場合は、文字部分が中心になります。図形が意味を作る場合は全体観察が働く余地があります。
設計次第名前部分がキャラクター名に見えても、商品名・店舗名・ブランド名として独立して把握される可能性があります。
文字管理「A×B」型では、片方だけが要部になる場合と、全体で一つのコンセプトを示す場合があります。配置と対等性が重要です。
全体観念同種分野で多数使われる語は識別力が弱く評価されることがあります。第三者使用例の証拠化が重要です。
証拠重視これらの類型は、どれか一つに固定されるものではありません。たとえば、キャラクター名を含む図形ロゴで、名前部分が一般語に近い場合は、文字抽出、キャラクター表示、一般語の識別力が同時に問題になります。
出願人側と先行権利者側では、同じ裁判例から使うポイントが変わります。
拒絶理由通知や審決取消訴訟では、どの立場にいるかで主張の組み立てが変わります。次の比較表は、出願人側と先行権利者側の典型的な主張を対比したものです。相手方がどこを攻めてくるか、こちらがどの証拠で補強するかを読み取ります。
| 立場 | 主張の軸 | 証拠化のポイント |
|---|---|---|
| 出願人側 | 全体として一体的に把握されること、抽出部分だけが強く支配的ではないこと、共通部分の識別力が弱いことを示します。 | 第三者使用例、全体観念、図形と文字の一体性、指定商品・役務の実情を整理します。 |
| 先行権利者側 | 特定部分が視覚上分離し、自然な称呼・観念を生じ、他の部分が記述的語や抽象図形にとどまることを示します。 | 離隔的観察で記憶されやすい部分、販売経路や需要者層の近さ、商品・役務の関連性を整理します。 |
| 企業法務担当 | 補正、分割、コンセント、再出願、ブランド変更のコストを比較します。 | 事業開始時期、広告投資、在庫、海外展開、契約上のブランド使用義務を確認します。 |
出願人側では、単に「全体として違う」と述べるだけでは足りません。なぜ一部抽出が許されないのか、抽出された共通部分の識別力がなぜ弱いのか、指定商品・役務全般の取引実情としてどう説明できるかを整理します。
先行権利者側では、相手方商標の特定部分が視覚上分離していること、その部分から自然な称呼・観念が生じること、付加語が商品・役務内容表示にとどまることを中心に組み立てます。警告書や異議申立てでは、反論されやすい弱点も事前に確認します。
標準文字、ロゴ、図形、キャラクター、読み方を分けて管理します。
ブランド設計では、ロゴ全体だけを見て安全と判断するのは危険です。次の注意点一覧は、裁判例から導ける設計上の要点を示しています。どの対策が文字部分の衝突を防ぎ、どの対策が証拠化や使用管理につながるかを読み取ります。
ロゴ全体の登録だけでは、文字部分の保護や他社標準文字商標との衝突を十分に管理できないことがあります。
「珈琲」「ジーンズ」「TRAVEL」「COSMETICS」などを足しても、中心部分が要部になる可能性があります。
図形が文字の一部を構成し、商品・役務分野と関係する印象を作ると、全体観察が働く余地があります。
一般語や地名、植物名を使う場合、第三者使用例、市場実態、周知性の有無を整理しながら運用します。
一つの商標から複数の称呼が生じる場合、その一つが先行商標と一致すればリスクになります。片仮名併記や広告表現を整えます。
新ブランドでは、標準文字商標、ロゴ商標、図形単体又はキャラクター単体の3層で検討します。キャラクター名、サービス名、シリーズ名、アプリ名、商品名として単独使用する可能性がある場合、文字単体の調査と出願は特に重要です。
2024年以降は、商標法4条4項による承諾と混同防止の検討も重要になります。
コンセント制度では、商標法4条1項11号に該当する商標でも、出願人が先行登録商標権者の承諾を得ており、商品・役務間で混同を生ずるおそれがない場合には、同号を適用しない扱いが問題になります。次の判断の流れは、拒絶理由を受けたときに比較する3つの対応を示します。各選択肢の位置づけを読み取り、証拠と将来の使用管理がどこで必要になるかを確認します。
商標の類似なのか、商品・役務の類似なのか、要部抽出の理由を整理します。
全体観念、識別力の弱さ、取引の実情を証拠化します。
衝突する商品・役務範囲を狭められるかを確認します。
先行権利者の承諾だけでなく、将来にわたり混同を生じない事情の整理が重要です。
特許庁基準では、混同のおそれには、直接混同だけでなく、経済的・組織的関係がある者の業務に係る商品等であると誤認するおそれも含まれます。査定時点だけでなく将来にわたって混同を生じないと判断できることが求められるため、企業グループ内のブランド再編、M&A後の商標整理、共同事業、ライセンス関係では、使用態様と管理ルールの整理が欠かせません。
新ブランド採用前、拒絶理由通知、他社商標対応、M&A・ブランド統合の場面ごとに確認します。
次の確認表は、企業法務・知財法務で実際に使う場面ごとに、結合商標の類否判断で確認する事項を整理したものです。左列で場面を特定し、右列で抜けやすい確認事項を読み取ることで、調査や社内判断の漏れを減らせます。
| 場面 | 確認事項 |
|---|---|
| 新ブランド採用前 | 標準文字、ロゴ、略称、片仮名、英字、漢字、記号違いを検索します。共通部分が造語、一般語、記述的語のどれに近いかを確認します。将来の商品・役務展開、図形を付けた場合の文字部分の衝突、キャラクター名やシリーズ名としての単独使用、EC・SNS・広告での自然な読み方も確認します。 |
| 拒絶理由通知を受けたとき | 拒絶理由が全体比較なのか要部抽出なのかを把握します。抽出部分が強く支配的か、他の部分から称呼・観念が生じるか、共通部分の識別力が弱いことを証拠化できるかを確認します。補正、分割、コンセント、再出願、ブランド変更のコストも比較します。 |
| 他社商標を問題視するとき | 相手方商標のどの部分が要部か、付加語が記述的・普通名称・役務内容表示に当たるか、自社商標の識別力や周知性を示せるかを確認します。販売経路、広告媒体、需要者、提供場所の重なりも整理します。 |
| M&A・ブランド統合時 | 買収対象会社の標準文字とロゴの両方を確認します。使用中ブランドと登録商標の構成が一致しているか、文字部分だけが第三者商標と衝突していないか、グループ会社間でコンセント又はライセンス整理が必要かを確認します。 |
ロゴ差分、付加語、読み方、キャラクター名、ウェブ上の説明について一般的な考え方を整理します。
一般的には、ロゴが違うだけで非類似になるとは限らないとされています。商標の類否は、外観だけでなく称呼・観念・取引の実情を総合して判断されます。ただし、図形と文字の一体性、指定商品・役務、需要者の注意力によって結論は変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士、弁理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、記述的語、普通名称、商品カテゴリ語、役務内容表示を足しても、回避として十分ではない場合があるとされています。「珈琲」「ジーンズ」「TRAVEL」などは、指定商品・役務との関係で弱く評価される可能性があります。具体的な判断は、先行商標、付加語、指定商品・役務、証拠関係で変わります。
一般的には、需要者が自然に別の読み方をする場合、その称呼も考慮される可能性があります。一つの商標から複数の称呼が生じる場合、その一つが先行商標と共通するとリスクになります。読み方の管理や片仮名併記の有無も含め、具体的には専門家へ相談する必要があります。
一般的には、キャラクター名風の文字でも、商品名、サービス名、店舗名、ブランド名として把握される可能性があります。キャラクターとしての周知性、使用態様、指定商品・役務の需要者層によって結論は変わります。文字名単体の調査や出願も含めて検討する必要があります。
一般的には、商標の類否判断では、指定商品・役務全般に関する一般的・恒常的な取引の実情が重視されるとされています。自社サイトの説明や制作意図は補助事情になり得ますが、それだけで結論が決まるとは限りません。具体的には、需要者の認識につながる客観資料を整理する必要があります。
最新裁判例は、一部一致だけでも全体差だけでも結論を決めていません。
結合商標の類否判断の最新裁判例を総合すると、裁判所は、単純に「全体を見れば違う」又は「一部が同じなら類似」と判断しているわけではありません。全体として一体的な称呼・観念・印象を形成しているか、共通部分が需要者に強く支配的な印象を与えるか、付加語が商品・役務内容表示にとどまるか、図形が全体の意味を形成するかを丁寧に見ています。
次の重要ポイントは、結合商標の類否判断を企業法務の実務に落とし込むための要約です。全体観察と要部抽出のどちらが働きやすいかを把握し、商標調査、ブランド設計、拒絶対応、コンセント、M&A後のブランド統合まで一体で考えることが重要です。
標準文字、ロゴ、図形、キャラクター、片仮名、英字、略称、業界慣行を含めて総合的に検討することで、登録可能性と紛争リスクをより現実的に評価できます。
商品カテゴリ語や役務内容表示を付け加えるだけの回避策は危険です。他方で、共通部分の識別力の弱さ、図形と文字の一体性、全体観念の形成、取引の実情を丁寧に示せば、非類似を主張できる余地もあります。結合商標の類否判断は、商標の見た目だけではなく、事業戦略、指定商品・役務、証拠収集、拒絶対応、ライセンス、ブランド統合までを含む総合問題です。