事故や違法行為がなければ将来得られたはずの収入・利益をどう評価するのか。死亡逸失利益、後遺障害逸失利益、基礎収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数、相談前に整理したい資料をまとめます。
事故や違法行為がなければ将来得られたはずの収入・利益をどう評価するのか。
将来の収入・利益を評価するため、計算式だけでなく証拠と個別事情が重要になります。
逸失利益とは、事故、違法行為、契約違反などがなければ将来得られたはずの収入・利益を、損害賠償の対象として金銭評価したものです。交通事故では、死亡により失われた将来所得と、後遺障害により低下した将来収入が代表的です。
治療費のように領収書だけで金額が明確になる損害ではありません。基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、生活費控除、中間利息控除、将来の昇給可能性、医学的資料、統計資料などを組み合わせて、できるだけ客観的に評価します。
次の重要ポイントは、逸失利益を理解するときの中核を示しています。最初に何を損害として見るのかを押さえることで、計算式の数字がどの争点に結びつくかを読み取れます。
死亡事故では将来収入から生活費相当分を控除し、後遺障害では労働能力の低下割合と続く期間を評価します。どちらも、将来分を一括で扱うためライプニッツ係数による現在価値への換算が問題になります。
次の一覧は、逸失利益の主な計算要素を整理したものです。各項目が金額に直結するため、どの数字が争点になりやすいか、どの資料で説明する必要があるかを読み取ることが重要です。
事故がなければ得られたと考えられる年収または収入相当額です。給与、事業所得、家事労働、統計資料などが検討されます。
金額の土台何年分の将来損害として評価するか、その将来分を現在価値へ直す係数をどう使うかが問題になります。
将来損害民法の損害賠償法理の中で、将来得られたはずの利益をどう扱うかを整理します。
逸失利益とは、端的には「本来なら得られたはずなのに、事故や不法行為によって得られなくなった将来の利益」です。生命や身体そのものを値段にするものではなく、民事損害賠償で金銭回復できる範囲として、将来収入の喪失を制度上評価する考え方です。
民法に逸失利益という定義規定があるわけではありません。不法行為では民法709条、債務不履行では民法415条・416条の損害賠償の枠組みが基礎になり、将来の利益を現在時点で一括して評価する場面では、民法417条の2と民法722条1項による中間利息控除も関係します。
次の比較表は、逸失利益が問題になりやすい場面を示しています。分野ごとに立証資料が違うため、自分の問題が人身損害なのか、事業上の利益喪失なのかを読み取ることが重要です。
| 場面 | 逸失利益として問題になる内容 | 主な資料 |
|---|---|---|
| 交通事故 | 死亡による将来収入の喪失、後遺障害による収入減少 | 収入資料、後遺障害資料、事故資料 |
| 労災・業務災害 | 労働能力低下による将来賃金の喪失 | 勤務資料、労災資料、医学資料 |
| 医療事故 | 後遺障害や死亡に伴う将来収入・家事労働能力の喪失 | 診療記録、収入資料、家族資料 |
| 学校・施設事故 | 児童・生徒・利用者の将来就労可能性の喪失 | 学業資料、生活資料、医学資料 |
| 契約違反・取引上の不法行為 | 営業利益、取引機会、事業収益の喪失 | 契約書、売上資料、市場資料 |
| 名誉・信用毀損 | 信用低下による売上減少、受注機会喪失など | 投稿記録、売上推移、取引先資料 |
次の比較表は、逸失利益と似た損害項目の違いをまとめています。どの項目に当たるかで必要な資料と計算方法が変わるため、将来の収入喪失なのか、過去の減収や支出なのかを分けて読むことが大切です。
| 損害項目 | 対象 | 逸失利益との違い |
|---|---|---|
| 休業損害 | 事故後から症状固定または治療終了までの現実の減収 | 過去に発生した損害で、給与明細や申告書などで比較的具体的に立証します。 |
| 慰謝料 | 精神的苦痛 | 精神的苦痛への賠償で、逸失利益は財産的価値の喪失を扱います。 |
| 治療費・介護費 | 支出した、または将来支出が見込まれる費用 | 支出を余儀なくされた損害で、逸失利益は得られなくなった利益です。 |
死亡逸失利益と後遺障害逸失利益では、使う要素と争点が異なります。
死亡逸失利益は、被害者が死亡しなければ将来得られたであろう収入を、遺族側が損害として評価するものです。一般的には、基礎収入に生活費控除後の割合と就労可能年数に対応するライプニッツ係数を掛ける形で考えます。
後遺障害逸失利益は、後遺障害により将来の労働能力が低下したことを損害として評価します。一般的には、基礎収入に労働能力喪失率と労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を掛けます。死亡逸失利益と異なり、被害者本人は事故後も生活を続けるため、生活費控除は通常行いません。
次の一覧は、死亡事故と後遺障害で計算上重視される要素を分けたものです。どちらも基礎収入と係数が関係しますが、死亡では生活費控除、後遺障害では労働能力喪失率が大きな読み取りポイントになります。
死亡により将来の労働能力全体が失われるため、労働能力喪失率ではなく生活費控除率が中心的な争点になります。
生活費控除将来分を現在価値に直すため、就労可能期間や労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を使います。
現在価値次の比較表は、死亡逸失利益で使われる生活費控除率の実務上の目安を整理したものです。家族構成や扶養状況により修正されるため、数字だけで固定的に判断せず、どの属性に近いかを読み取る必要があります。
| 被害者の属性 | 生活費控除率の目安 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 一家の支柱・被扶養者1人 | 40%程度 | 扶養関係や収入構造で修正されることがあります。 |
| 一家の支柱・被扶養者2人以上 | 30%程度 | 扶養する人数が多いほど、遺族に残る利益が大きい方向で見られます。 |
| 単身者 | 40〜50%程度 | 本人の生活費部分が比較的大きく評価されやすい領域です。 |
| 主婦・主夫、家事従事者 | 30%程度 | 家事労働の経済的価値をどう見るかが重要です。 |
| 年金収入が中心の高齢者 | 高めの控除率が問題になることがあります | 年金の生活保障的性格を踏まえて検討されます。 |
次の比較表は、自賠責保険・共済の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を示しています。等級が高いほど割合も高くなりますが、裁判上は職業への具体的影響や減収の有無もあわせて読み取ります。
| 後遺障害等級 | 労働能力喪失率 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 1級 | 100% | 最重度の後遺障害として全体的な労働能力喪失が問題になります。 |
| 2級 | 100% | 同じく100%が出発点です。 |
| 3級 | 100% | 職業生活全体への影響が大きい等級です。 |
| 4級 | 92% | 高度な労働能力低下が想定されます。 |
| 5級 | 79% | 仕事内容と支障の具体性が検討されます。 |
| 6級 | 67% | 長期の就労影響が争点になり得ます。 |
| 7級 | 56% | 職種による影響差が大きくなります。 |
| 8級 | 45% | 作業内容や配置転換の有無が重要です。 |
| 9級 | 35% | 計算例ではこの割合を使うことがあります。 |
| 10級 | 27% | 収入減少との関係が問題になります。 |
| 11級 | 20% | 実際の業務支障を具体化する必要があります。 |
| 12級 | 14% | 神経症状では期間制限が争われやすい等級です。 |
| 13級 | 9% | 軽度でも職業による影響差があります。 |
| 14級 | 5% | むち打ち等で期間や症状の継続性が争われやすい等級です。 |
次の重要ポイントは、計算例を現在価値の考え方とともに示しています。年収500万円、40歳、期間27年、法定利率3%の係数18.327という同じ前提でも、死亡事故では生活費控除、後遺障害では喪失率が金額差を生むことを読み取れます。
一家の支柱で被扶養者2人以上、生活費控除率30%なら死亡逸失利益の単純例は6,414万4,500円です。後遺障害9級、労働能力喪失率35%なら後遺障害逸失利益の単純例は3,207万2,250円です。実際には過失相殺、既払金、症状固定時年齢、職業への影響などを別途検討します。
基礎収入は計算の土台であり、ここを誤ると全体の金額が大きく変わります。
基礎収入とは、逸失利益計算の土台となる年収または収入相当額です。給与所得者では事故前の現実収入が基本になりますが、自営業者、会社役員、家事従事者、子ども、無職者、高齢者では、別の資料や統計を用いた評価が問題になります。
次の比較表は、属性ごとに基礎収入の見方と主な資料を整理したものです。収入の有無だけで結論を急がず、現実収入、労務の価値、将来就労の蓋然性をどの資料で説明するかを読み取ることが重要です。
| 属性 | 基礎収入の見方 | 重要になりやすい資料 |
|---|---|---|
| 給与所得者 | 原則として事故前の額面収入を基礎にします。若年者や転職直後では賃金統計を参照することがあります。 | 源泉徴収票、給与明細、課税証明書、雇用契約書、賞与明細 |
| 自営業者・個人事業主 | 売上高ではなく、必要経費を控除した所得を基本に検討します。 | 確定申告書、青色申告決算書、帳簿、請求書、通帳、契約書 |
| 会社役員・経営者 | 役員報酬のうち、労務提供の対価部分が問題になります。 | 決算書、役員報酬の推移、担当業務、代替人員費、事故後の会社業績 |
| 家事従事者 | 現金収入がなくても、家事・育児・介護などの労務に経済的価値があると評価されることがあります。 | 家族構成、家事分担、育児・介護状況、外部サービス利用資料 |
| 幼児・児童・学生 | 将来就労して収入を得る蓋然性を、統計資料や個別事情から推計します。 | 成績表、進路希望、資格資料、部活動・技能、就職内定資料 |
| 無職者・失業者 | 働く意思と能力、就労の蓋然性が認められるかが焦点になります。 | 前職収入、求職活動、資格、職歴、内定、職業訓練資料 |
| 高齢者・年金受給者 | 就労収入、年金収入、家事労働、介護・扶養関係を分けて考えます。 | 就労状況、健康状態、年金資料、勤務継続見込み、家族関係資料 |
次の要素一覧は、基礎収入をめぐって特に争点になりやすい事情をまとめています。どの要素も金額の土台を上下させるため、単年度の収入だけでなく将来の可能性や労務の実態を読み取る必要があります。
転職直後、休職明け、若年者などでは、事故前収入だけで将来収入を評価すると過小評価になることがあります。
家事、育児、介護、家計管理は外部サービスに代替すれば費用が発生する労務です。現金収入がないことだけで直ちに評価が消えるわけではありません。
自営業者では、売上、必要経費、家族従業員の関与、減価償却、家計費との区別などを分けて検討する必要があります。
子ども、学生、障害のある人、若年者では、統計だけでなく本人の能力、支援環境、社会情勢、合理的配慮の広がりも重要になります。
何年分の将来損害として評価するかは、年齢・症状・職業で変わります。
労働能力喪失期間とは、後遺障害により労働能力が低下すると評価される期間です。実務上は、症状固定時から67歳までを基本に考えることが多く、高齢者では平均余命の2分の1を目安にする考え方が用いられることがあります。ただし、67歳は絶対的な数字ではありません。
次の時系列は、事故から逸失利益が問題になるまでの流れを示しています。時期ごとに損害項目や必要資料が変わるため、治療中の損害と症状固定後の将来損害を分けて読み取ることが重要です。
事故状況、受傷内容、初診記録、画像資料を残します。後の因果関係の基礎になります。
治療を続けても大幅な改善が見込めず、後遺症として残る状態が医学的に評価される段階です。
後遺障害診断書、画像所見、神経学的所見、可動域測定、職業上の支障を整理します。
基礎収入、喪失率、喪失期間、ライプニッツ係数を使い、後遺障害逸失利益を検討します。
次の要素一覧は、労働能力喪失期間を考えるときに重視されやすい事情を示しています。期間が長くなるほど金額が大きくなるため、年齢だけでなく症状の継続性や仕事への具体的影響を読み取る必要があります。
18歳以上52歳未満では、67歳との差を前提にする考え方がよく参照されます。
52歳以上では、平均余命の2分の1を参照する考え方が問題になることがあります。
後遺障害12級や14級のむち打ち症状では、5年程度、10年程度などの限定が主張されることがあります。
特定の身体能力が不可欠な職業では短い期間が争われる一方、高齢者雇用や再雇用で67歳超の就労可能性が問題になることもあります。
将来の収入を現在価値に直すため、係数と法定利率の確認が必要です。
逸失利益は、本来なら将来の各年に少しずつ得られる収入を、現在時点で一括して評価します。将来受け取るはずの金銭を早く受け取る以上、その間に運用できる利息相当分を控除しないと、過大な賠償になるという考え方があります。これが中間利息控除であり、そのために使われる係数がライプニッツ係数です。
次の重要ポイントは、ライプニッツ係数の意味を簡略化して示しています。期間を単純に年数で掛けるのではなく、将来分を現在価値へ割り引くため、係数が年数より小さくなる点を読み取ることが重要です。
法定利率3%、期間27年の場合のライプニッツ係数は約18.327です。将来収入を現在価値に引き直すため、27年分の単純合計より小さな係数になります。
次の比較表は、法定利率と係数表を見るときの注意点を整理しています。事故日や損害賠償請求権の発生日により適用利率が変わるため、いつ発生した事故かを最初に読み取る必要があります。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 計算の考え方 | ライプニッツ係数は、複利計算で中間利息を控除する係数です。 | 年利率をr、期間をn年とし、概ね「1から(1+r)^-nを引いてrで割る」考え方です。 |
| 2020年民法改正 | 法定利率は年5%から年3%に引き下げられ、3年を1期として変動し得る仕組みになりました。 | 利率が低いほど控除が小さくなり、逸失利益は大きくなる方向です。 |
| 2026年6月時点 | 2026年4月1日から2029年3月31日までの第3期も、法定利率は3%と公表されています。 | 2020年4月1日以降に発生した交通事故等では、基本的に3%が問題になります。 |
| 係数表の読み方 | 有職者・家事従事者、幼児・児童・学生、高齢者で考え方が異なることがあります。 | 自賠責保険上の表と裁判上の個別判断は完全に同一ではありません。 |
等級、収入、職業、将来可能性、事故後の努力などを総合して見ます。
後遺障害等級が認定されると、逸失利益計算の重要な前提ができます。しかし、等級だけで逸失利益が自動的に決まるわけではありません。等級が低い、非該当になった、収入が減っていない、保険会社が短い喪失期間を主張しているなど、さまざまな争点が生じます。
次の要素一覧は、逸失利益で金額差を生みやすい争点をまとめています。各項目は単独で結論を決めるものではなく、後遺障害の内容、職業への具体的支障、将来の不利益を総合して読み取ります。
本人の努力、職場の配慮、家族の支援で減収を回避しているだけなら、将来の不利益が残る可能性があります。
若年者、専門職、資格取得予定者では、事故時点の収入だけでは将来の成長可能性を過小評価することがあります。
家事従事者がパート収入も得ている場合、家事労働分と現金収入分の評価が問題になります。
事故前の障害を理由に将来収入を低く見ることは、社会的障壁を前提にしてしまう危険があります。支援技術や合理的配慮も考慮対象になります。
賃金統計上の格差をそのまま将来評価に持ち込むべきか、本人の能力や社会情勢をどう見るかが問題になります。
長時間労働、無理な勤務継続、家族の支援、偶然の昇給で収入が増えても、労働能力低下がないとは限りません。
次の比較表は、逸失利益計算後に損害全体へ影響する調整要素を示しています。計算した金額がそのまま最終額になるとは限らないため、控除や減額の理由と対象を読み取る必要があります。
| 調整要素 | 意味 | 確認したい資料 |
|---|---|---|
| 過失相殺 | 事故発生について被害者側にも過失がある場合、損害額を割合的に減額する制度です。 | 事故状況、実況見分、ドライブレコーダー、過失割合資料 |
| 素因減額 | 既往症や身体的・心理的要因が損害の発生・拡大に寄与した場合に問題になります。 | 事故前の医療記録、既往症資料、医学的意見 |
| 損益相殺 | 同じ事故を原因として一定の給付を受けた場合、その給付を損害額から控除するかという問題です。 | 保険金、労災給付、人身傷害保険、既払金の明細 |
将来損害は、争点ごとに資料を対応させて整理することが重要です。
逸失利益は将来に関する損害であるため、資料の集め方が結果を大きく左右します。重要なのは、資料の量ではなく、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、将来の蓋然性という争点に対応して整理されていることです。
次の比較表は、逸失利益で提出・整理されることが多い資料を争点別にまとめたものです。資料名を並べるだけでなく、どの争点を説明するためのものかを読み取ることで、抜けや重複を防ぎやすくなります。
| 争点 | 主な資料 | 説明したいこと |
|---|---|---|
| 収入 | 源泉徴収票、給与明細、賞与明細、課税証明書、確定申告書、青色申告決算書、会計帳簿、請求書、通帳、雇用契約書、内定通知書 | 事故前の収入水準、将来の昇給・昇進可能性、事業所得の実態 |
| 後遺障害 | 診断書、後遺障害診断書、MRI、CT、レントゲン、神経学的検査、可動域測定、医師の意見書、リハビリ記録、通院記録、服薬記録、症状日誌 | 症状固定後に残る障害の内容、継続性、医学的裏づけ |
| 職業上の支障 | 業務内容説明書、職務記述書、勤務表、欠勤・遅刻・早退記録、配置転換資料、退職・休職資料、上司・同僚の陳述書、作業写真・動画 | 後遺障害が実際の仕事にどう影響しているか |
| 家事労働 | 家族構成資料、育児・介護の状況、家事分担表、外部サービスの領収書、家族が代替した家事内容の記録、福祉サービス利用資料 | 家庭内で担っていた労務の内容と経済的価値 |
| 子ども・学生の将来可能性 | 成績表、在学証明書、進路希望資料、資格試験資料、表彰歴、部活動・技能実績、教員の意見書、就職内定資料、進学資料 | 将来就労して収入を得る蓋然性 |
次の一覧は、相談や交渉の前に資料を整理するときの見方を示しています。資料をただ集めるのではなく、相手方や保険会社の反論に備えて、収入・医学・仕事・生活の4方向から読み取ることが重要です。
事故前後の年収、賞与、残業、事業所得、昇給予定を時系列で整理します。
基礎収入後遺障害診断書、画像資料、検査結果、症状日誌を、仕事への支障と結びつけます。
喪失率できなくなった作業、配置転換、勤務制限、欠勤、同僚の支援を具体的に残します。
職業影響家事、育児、介護、移動、通院、服薬、外部サービス利用を記録し、家庭内労務の支障を説明します。
家事労働提示額の内訳、相談を検討する場面、時効管理を一体で確認します。
交通事故では、保険会社から示談金の提示を受けることがあります。逸失利益が含まれている場合、金額の総額だけでなく、計算要素のどこが低く見積もられているのかを分解して確認することが重要です。
次の比較表は、保険会社の提示額を見るときの確認項目を整理したものです。各項目が逸失利益や損害全体に影響するため、金額だけでなく計算根拠と控除の有無を読み取ります。
| 確認項目 | 読み取り方 |
|---|---|
| 基礎収入 | 事故前収入や統計資料が低く見積もられていないかを確認します。 |
| 労働能力喪失率 | 後遺障害等級や職業上の支障に対応した割合かを見ます。 |
| 労働能力喪失期間 | 短く限定されていないか、神経症状では根拠を確認します。 |
| ライプニッツ係数 | 事故日に対応する法定利率で計算されているかを確認します。 |
| 生活費控除率 | 死亡事故で高すぎる控除率になっていないかを見ます。 |
| 将来可能性 | 家事従事者、若年者、学生、無職者、高齢者の評価が過小でないかを確認します。 |
| 既払金・損益相殺 | 控除が二重になっていないか、控除対象が適切かを見ます。 |
| 過失割合 | 事故態様や証拠に照らして妥当かを確認します。 |
| 他の損害項目 | 慰謝料や休業損害と混同されていないかを分けて見ます。 |
| 弁護士費用特約 | 利用できる保険契約があるか、費用負担に影響するかを確認します。 |
次の要素一覧は、弁護士等の専門家へ相談を検討しやすい場面をまとめています。該当項目が多いほど、医学評価、収入資料、時効、示談条件が複雑になりやすいことを読み取ります。
逸失利益、慰謝料、将来介護費、相続関係などが重なり、計算と資料整理が複雑になります。
後遺障害診断書、画像資料、神経学的所見、職業上の支障を再整理する必要があります。
基礎収入、期間、喪失率、控除、過失割合のどこで差が出ているかを確認します。
自営業者、会社役員、フリーランス、家事従事者、学生、高齢者では資料の読み方が難しくなります。
本人の努力や職場の配慮で減収を回避している場合、将来不利益の評価が争点になります。
次の判断の流れは、逸失利益を含む損害賠償請求で時効が気になるときの確認順序を示しています。交渉中かどうかだけでは足りず、いつから期間が進むのか、時効完成猶予や更新につながる行動があるかを読み取ることが重要です。
交通事故などの発生日、症状固定日、後遺障害等級認定日を確認します。
民法724条・724条の2では、知った時からの期間が問題になります。
人の生命または身体を害する不法行為では、3年ではなく5年の枠組みが問題になります。
催告、協議合意、訴訟提起などの選択肢を資料とともに確認します。
提示額の内訳、収入資料、医学資料、時系列を整えます。
制度の一般的な考え方を、個別判断と切り分けて整理します。
一般的には、事故などがなければ将来得られたはずの収入や利益を、損害賠償として評価したものとされています。交通事故では、死亡逸失利益と後遺障害逸失利益が代表です。ただし、具体的な金額は収入資料、年齢、後遺障害、事故態様などで変わるため、個別の見通しは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、交通事故では後遺障害等級認定が重要な根拠になるとされています。等級が非該当の場合、後遺障害逸失利益の主張は難しくなりやすいです。ただし、裁判上は自賠責の認定が絶対ではなく、医学的資料や職業上の支障により評価が争われる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、減収がないことは逸失利益を否定する方向の事情になり得ます。ただし、本人の努力、職場の配慮、家族の支援、将来の昇進・転職上の不利益などによって結論が変わる可能性があります。業務上の具体的支障を示す資料を整理し、個別の見通しは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、家事労働には経済的価値があるため、賃金統計を用いて評価されることがあります。現金収入がないことだけで直ちに評価が否定されるわけではありません。ただし、家族構成、家事分担、育児・介護の状況、事故後の支障によって結論が変わるため、具体的には資料を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、事故時点で現実収入がないため、賃金統計を用いて将来収入を推計する考え方が用いられます。年齢、性別、学歴、進路、本人の能力、社会情勢、障害の有無などによって評価は変わる可能性があります。成績、進路希望、資格、技能、支援環境などの資料を整理し、個別の見通しは専門家へ相談する必要があります。
一般的には、将来得られるはずだった収入を現在価値に換算するための係数とされています。将来分を一括して受け取る場合、利息相当分を控除する必要があるため用いられます。ただし、適用する係数は事故日、法定利率、期間、年齢などで変わるため、具体的な計算は資料を確認する必要があります。
一般的には、中間利息控除に用いる法定利率が年5%から年3%に下がり、変動制が導入されたことが重要です。利率が下がると中間利息控除が小さくなるため、同じ基礎収入・期間であれば逸失利益は大きくなる方向になります。2026年6月時点では、2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率も3%です。ただし、事故日によって適用が変わるため確認が必要です。
一般的には、提示額の内訳を分解して確認することが重要とされています。基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、生活費控除率、ライプニッツ係数、過失割合、既払金控除などで結論が変わる可能性があります。示談条件は後から争いにくくなることもあるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
数字の問題であると同時に、人の将来をどう評価するかという問題です。
逸失利益は、単なる計算表ではありません。計算式だけを見れば、死亡逸失利益は「基礎収入 × 生活費控除後割合 × 係数」、後遺障害逸失利益は「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 係数」です。しかし、その背後には、人が将来どのように働く可能性があったのか、家庭内でどのような価値ある労務を担っていたのか、統計平均をどこまで用いるべきかという問いがあります。
次の重要ポイントは、逸失利益を検討するときの最終的な読み方を示しています。計算要素を一つずつ分解しながら、資料、医学的判断、職業実態、社会的格差、事故後の本人の努力を総合的に見ることが重要です。
保険会社の提示額が一見もっともらしく見えても、基礎収入、後遺障害等級、喪失率、喪失期間、生活費控除率、将来可能性、過失相殺、素因減額、損益相殺のどこかが低く見積もられていると、最終額は大きく変わります。
逸失利益とは、事故や違法行為がなければ将来得られたはずの収入・利益を、損害賠償として評価するものです。死亡事故では将来収入から生活費相当分を控除し、後遺障害では基礎収入に労働能力喪失率と喪失期間に対応する係数を掛けて検討します。
実際の事件では、基礎収入、後遺障害等級、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、生活費控除率、昇給可能性、家事労働、無職者・学生・高齢者・障害のある人の将来可能性、過失相殺、素因減額、損益相殺など、多数の論点が絡みます。逸失利益が問題になる場面では、資料を整理し、計算構造を分解し、必要に応じて弁護士等の専門家に相談することが重要です。
公的機関、法令、交通事故損害賠償実務の公開資料を中心に整理しています。