2σ Guide

相続登記の申請書の
書き方と記載例

申請書の構造、必要書類、登録免許税、ケース別記載例まで、本人申請で迷いやすいポイントを体系的に整理します。

3年 相続登記義務の基本期限
10万円以下 過料の可能性
0.4% 登録免許税の原則
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相続登記の申請書の 書き方と記載例

申請書の構造、必要書類、登録免許税、ケース別記載例まで、本人申請で迷いやすいポイントを体系的に整理します。

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相続登記の申請書の 書き方と記載例
申請書の構造、必要書類、登録免許税、ケース別記載例まで、本人申請で迷いやすいポイントを体系的に整理します。
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  • 相続登記の申請書の 書き方と記載例
  • 申請書の構造、必要書類、登録免許税、ケース別記載例まで、本人申請で迷いやすいポイントを体系的に整理します。

POINT 1

  • 相続登記申請書の全体像をつかむ
  • 原則3年以内
  • 10万円以下の可能性
  • 登録免許税は原則0.4%
  • 「相続登記の申請書の書き方と記載例」を理解するためには、単に申請書のひな形を写すだけでは足りません。

POINT 2

  • 相続登記申請書を書く前に知る相続登記とは何か
  • 1. 相続登記義務化:相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が基本です。
  • 2. 追加的な3年の義務:遺産分割が成立した場合、その内容に沿った登記も期限内に行う必要があります。
  • 3. 施行日前相続の目安:義務化前の相続で未登記のものも対象になり、原則として対応が必要です。

POINT 3

  • 相続登記申請書の用語と確認資料
  • 2-1. 被相続人
  • 2-2. 相続人
  • 2-3. 登記原因
  • 2-4. 登記原因証明情報

POINT 4

  • 相続登記申請書を作成する前の調査
  • 1. 登記事項証明書を確認:所在、地番、所有者、持分、担保権を確認します。
  • 2. 評価額を確認:登録免許税計算の基礎になる年度の評価額を確認します。
  • 3. 住所のつながりを確認:登記上住所と死亡時住所が違う場合は同一性資料が必要です。
  • 4. 相続人を確定:戸籍により相続人全員を確認してから協議書と申請書へ進みます。

POINT 5

  • 相続登記申請書の基本構造
  • 相続登記申請書は、法務局が公表する様式を基礎に作成します。
  • 基本的な書式は次のとおりです。
  • 次章から、各欄の書き方を順に解説します。

POINT 6

  • 相続登記申請書の「登記の目的」の書き方
  • 5-1. 単独所有不動産を相続する場合
  • 5-2. 被相続人が共有持分を持っていた場合
  • 5-3. 複数不動産に所有権全部と持分が混在する場合
  • 被相続人が土地又は建物を単独所有していた場合、登記の目的は通常、次のように記載します。

POINT 7

  • 相続登記申請書の「原因」の書き方
  • 6-1. 原則は死亡日と「相続」
  • 6-2. 遺産分割協議があっても原因日は死亡日
  • 6-3. 遺言がある場合
  • 6-4. 数次相続の場合

POINT 8

  • 相続登記申請書の「相続人」欄の書き方
  • 7-1. 遺産分割協議で1人が取得する場合
  • 7-2. 法定相続分で共有登記をする場合
  • 7-3. 共有持分を相続する場合
  • 7-4. 申請人が複数の場合の注意点

まとめ

  • 相続登記の申請書の 書き方と記載例
  • 相続登記申請書の全体像をつかむ:原則3年以内
  • 相続登記申請書を書く前に知る相続登記とは何か:1-1. 相続登記の定義
  • 相続登記申請書の用語と確認資料:2-1. 被相続人
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続登記申請書の全体像をつかむ

相続登記の申請書の書き方と記載例」を理解するためには、単に申請書のひな形を写すだけでは足りません。相続登記は、亡くなった人、すなわち被相続人名義の土地・建物について、相続や遺言、遺産分割協議などに基づき、新しい所有者を不動産登記簿に記録する手続です。2024年4月1日から相続登記の申請は義務化され、原則として「相続により不動産を取得したことを知った日」から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となります。義務化前の相続で未登記のものも対象で、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

次の重要ポイント一覧は、期限、税率、資料準備の要点を整理したものです。先に全体像を確認することで、申請書の各欄がどの制度や書類と結びつくかを読み取れます。

期限

原則3年以内

相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が基本です。

過料

10万円以下の可能性

正当な理由なく義務を怠ると、過料の対象となる可能性があります。

税率

登録免許税は原則0.4%

相続による所有権移転登記は、不動産価額の1000分の4を基準に計算します。

申請書の主要項目は、通常、次のとおりです。

  1. 登記の目的
  2. 原因
  3. 相続人又は権利取得者の表示
  4. 検索用情報
  5. 添付情報
  6. 申請日と管轄法務局
  7. 課税価格
  8. 登録免許税
  9. 不動産の表示

この記事では、この各項目について、法的意味、実務上の注意点、ケース別の記載例を示します。特に、遺産分割協議による相続、法定相続分による相続、公正証書遺言・自筆証書遺言による相続、共有持分の相続、数次相続、相続人申告登記との関係を重点的に扱います。

Section 01

相続登記申請書を書く前に知る相続登記とは何か

1-1. 相続登記の定義

相続登記とは、不動産の所有者として登記されている人が死亡した場合に、その不動産を相続した人へ所有権の登記名義を移す手続です。登記申請の分類としては、多くの場合、相続を原因とする所有権移転登記です。

次の時系列は、義務化後に意識すべき期限を順番に表しています。どの起算点から3年を数えるのか、施行日前の相続にどの経過措置が関わるのかを読み取ることが重要です。

2024年4月1日

相続登記義務化

相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が基本です。

遺産分割成立日

追加的な3年の義務

遺産分割が成立した場合、その内容に沿った登記も期限内に行う必要があります。

2027年3月31日

施行日前相続の目安

義務化前の相続で未登記のものも対象になり、原則として対応が必要です。

日常的には「不動産の名義変更」と呼ばれますが、法的には単なる氏名欄の書換えではありません。相続という法律原因によって、被相続人から相続人へ所有権が移転したことを、登記記録に反映させる申請です。

1-2. 相続登記が必要になる典型場面

相続登記が必要になるのは、たとえば次の場面です。

  • 父名義の自宅土地建物を、母又は子が相続した。
  • 亡くなった配偶者の共有持分を、残された配偶者又は子が取得した。
  • 遺言で「長男に自宅を相続させる」と指定されていた。
  • 相続人全員で遺産分割協議を行い、特定の相続人が不動産を取得することになった。
  • 祖父名義の土地の相続登記をしないまま父も死亡し、孫世代が登記を行う必要が生じた。
  • 共同相続人全員の法定相続分どおりに共有登記をすることになった。

1-3. 相続登記の義務化

2024年4月1日から、相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います。遺産分割が成立した場合には、遺産分割成立日から3年以内に、その内容に沿った登記を申請する追加的義務もあります。

ここで重要なのは、義務化前に開始した相続も対象になることです。たとえば、2010年に親が死亡し、2026年現在も親名義のままの不動産がある場合、原則として2027年3月31日までに相続登記を完了させる必要があります.

Section 02

相続登記申請書の用語と確認資料

2-1. 被相続人

被相続人とは、亡くなった人をいいます。相続登記では、登記簿上の所有者である被相続人を特定する必要があります。

次の比較表は、申請書で頻出する用語と確認資料を対応させたものです。用語の意味だけでなく、どの欄や添付書類に影響するかを読み取ってください。

用語意味確認資料
被相続人亡くなった登記名義人登記事項証明書、戸籍
相続人民法上財産を承継する人出生から死亡までの戸籍、現在戸籍
登記原因権利変動の法律上の原因死亡日、遺言、遺産分割協議書
住所証明情報新所有者の住所を証明する資料住民票、法定相続情報一覧図など
登録免許税登記を受ける際に納付する国税固定資産評価証明書、課税明細書

2-2. 相続人

相続人とは、民法上、被相続人の財産を承継する人です。配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹が順位に従って相続人になります。法定相続分は、配偶者と子なら配偶者2分の1・子全体で2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属全体で3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹全体で4分の1です。

2-3. 登記原因

登記原因とは、登記上の権利変動が生じた法律上の原因です。相続登記では、通常「令和○年○月○日相続」と記載します。この日付は、原則として被相続人の死亡日です。遺産分割協議が成立した日ではありません。

2-4. 登記原因証明情報

登記原因証明情報とは、登記原因が発生したことを証明する情報です。相続登記では、戸籍関係書類、遺産分割協議書、遺言書、法定相続情報一覧図の写しなどが該当します。

2-5. 住所証明情報

住所証明情報とは、新たに登記名義人となる相続人の住所を証明する情報です。典型例は住民票の写しです。法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されている場合には、法定相続情報番号の提供により住所証明情報の添付省略が可能になる場合があります。

2-6. 法定相続情報一覧図

法定相続情報一覧図とは、被相続人と法定相続人の関係を一覧化し、法務局の登記官が認証したものです。相続登記、預金払戻し、相続税申告など複数の相続手続に利用できます。法務局は、制度の利用手数料は無料であると案内しています。

2-7. 課税価格

課税価格とは、登録免許税を計算する基礎となる不動産価額です。原則として、市町村の固定資産課税台帳に登録された価格、すなわち固定資産評価額を基礎にします。

2-8. 登録免許税

登録免許税とは、登記申請に際して納める国税です。相続による土地・建物の所有権移転登記の税率は、原則として不動産価額の1000分の4、すなわち0.4%です。一定の土地については、2027年3月31日まで免税措置があります.

2-9. 数次相続

数次相続とは、第1の相続について登記をしない間に、その相続人が死亡して第2の相続が発生するような連続相続をいいます。たとえば、祖父名義の土地について祖父死亡後に父が相続したが登記未了のまま父も死亡し、子が最終的に取得する場合です。法務局は数次相続の所有権移転登記申請書の記載例も公表しています。

Section 03

相続登記申請書を作成する前の調査

3-1. 登記事項証明書を取得する

最初に行うべきは、相続対象不動産の登記事項証明書を確認することです。固定資産税の納税通知書だけで判断すると、私道、共有持分、非課税土地、古い建物、未登記建物などを見落とすことがあります。

次の判断の流れは、申請書を作る前に確認する順番を示しています。上から順に確認することで、不動産の特定、税額計算、相続人確定のどこで不備が起きやすいかを読み取れます。

申請書作成前の確認順序

登記事項証明書を確認

所在、地番、所有者、持分、担保権を確認します。

評価額を確認

登録免許税計算の基礎になる年度の評価額を確認します。

住所のつながりを確認

登記上住所と死亡時住所が違う場合は同一性資料が必要です。

相続人を確定

戸籍により相続人全員を確認してから協議書と申請書へ進みます。

登記事項証明書で確認すべき事項は、次のとおりです。

  • 所在・地番・家屋番号
  • 地目・地積・種類・構造・床面積
  • 所有者名義
  • 共有持分の有無
  • 被相続人の登記簿上の住所
  • 抵当権等の担保権の有無
  • 仮登記、差押え、処分禁止の登記等の有無

3-2. 固定資産評価証明書又は課税明細書を確認する

登録免許税の計算には、固定資産評価額が必要です。多くの実務では、市区町村で取得する固定資産評価証明書又は納税通知書に添付される課税明細書を参照します。法務局の案内でも、相続による所有権登記の必要書類として固定資産課税明細書等が挙げられています。

3-3. 被相続人の住所のつながりを確認する

登記簿上の所有者住所と、死亡時の最後の住所が異なることは珍しくありません。この場合、住民票の除票、戸籍の附票、改製原附票などにより、登記簿上の住所から最後の住所までのつながりを証明します。

たとえば、登記簿上は「東京都○○区」、死亡時は「神奈川県○○市」という場合、同姓同名の別人ではなく同一人物であることを示す資料が必要です。住所沿革が取れない古い相続では、上申書、不在住証明書、不在籍証明書、権利証等を組み合わせることがあります。ここは補正になりやすい領域です。

3-4. 相続関係を確定する

相続登記で最も基本的かつ重要なのは、誰が相続人かを確定することです。通常は、被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍を収集します。法務局資料でも、相続登記の申請に必要な戸籍証明書により、相続開始と相続人を証明する必要があると説明されています。

相続人が兄弟姉妹になる場合、被相続人本人だけでなく、父母の出生・婚姻・死亡関係までさかのぼる必要があり、戸籍収集が大幅に増えます。代襲相続、数次相続、相続放棄、養子縁組、認知、離婚再婚がある場合も同様です。

Section 04

相続登記申請書の基本構造

相続登記申請書は、法務局が公表する様式を基礎に作成します。法務局は「不動産登記の申請書様式について」というページで、相続、遺言、遺産分割、法定相続、数次相続等に応じた様式・記載例を公開しています。

基本的な書式は次のとおりです。

登 記 申 請 書

登記の目的 所有権移転

原因 令和○年○月○日相続

相続人(被相続人 ○○○○)
 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
 氏名 ○○○○ 印
 氏名ふりがな ○○○○
 生年月日 昭和○年○月○日
 メールアドレス ○○○○@example.com

連絡先の電話番号 000-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和○年○月○日申請 ○○法務局○○支局

課税価格 金○○○○万円

登録免許税 金○○○○円

不動産の表示
 所在 ○○市○○町一丁目
 地番 ○番○
 地目 宅地
 地積 ○○・○○平方メートル

次章から、各欄の書き方を順に解説します。

Section 05

相続登記申請書の「登記の目的」の書き方

5-1. 単独所有不動産を相続する場合

被相続人が土地又は建物を単独所有していた場合、登記の目的は通常、次のように記載します。

登記の目的 所有権移転

これは、被相続人から相続人へ所有権全部が移転することを示します。

5-2. 被相続人が共有持分を持っていた場合

被相続人が不動産全体ではなく、共有持分だけを持っていた場合には、通常、次のように記載します。

登記の目的 ○○○○持分全部移転

たとえば、夫婦で各2分の1ずつ共有していた自宅について、夫が死亡し、夫の2分の1持分を妻が相続する場合です。

登記の目的 甲野太郎持分全部移転

ここでいう「全部」は不動産全体ではなく、被相続人である甲野太郎が持っていた共有持分の全部を意味します。

5-3. 複数不動産に所有権全部と持分が混在する場合

複数の不動産を同一申請で登記する場合、ある土地は被相続人単独所有、別の土地は共有持分ということがあります。この場合、登記の目的をどのように整理するかは、物件構成、登記原因、申請人、管轄、登録免許税計算の関係で検討します。

単純化すれば、次のような記載が考えられます。

登記の目的 所有権移転及び甲野太郎持分全部移転

ただし、すべてのケースで1件申請にできるわけではありません。持分、管轄、原因、申請人が異なる場合は、申請を分ける必要があります。

Section 06

相続登記申請書の「原因」の書き方

6-1. 原則は死亡日と「相続」

相続登記の原因欄は、原則として次のように記載します。

原因 令和6年5月1日相続

この日付は、被相続人の死亡日です。遺産分割協議書の作成日や、相続人が話し合いを終えた日ではありません。

6-2. 遺産分割協議があっても原因日は死亡日

たとえば、被相続人が2024年5月1日に死亡し、相続人全員の遺産分割協議が2026年2月10日に成立した場合でも、原因欄は次のように記載するのが基本です。

原因 令和6年5月1日相続

遺産分割協議は、誰が不動産を取得するかを確定する資料であり、相続という権利移転原因そのものの発生日を協議成立日に変えるものではありません。

6-3. 遺言がある場合

遺言で「相続させる」と記載されている場合、多くは相続を原因とする所有権移転登記として処理します。

原因 令和6年5月1日相続

一方、遺言に「遺贈する」と書かれている場合は、遺贈を原因とする登記になることがあります。特に相続人以外への遺贈では、登録免許税率や申請構造が相続登記と異なる場合があります。相続人に対する遺贈については、2023年4月1日から、一定の場面で相続人である受遺者が単独で所有権移転登記を申請できる制度が設けられています。

6-4. 数次相続の場合

数次相続で中間の相続が単独相続である場合などには、1件の申請で最終取得者へ移転登記できることがあります。法務局の数次相続記載例では、第1の相続の死亡日と中間相続人の氏名、「相続」の旨を記載し、次に第2の相続を記載する形式が示されています。

記載骨格は、たとえば次のようになります。

原因 平成30年1月1日 甲野一郎相続
   令和5年6月10日相続

これは、最初の被相続人から中間相続人である甲野一郎へ相続があり、その後、甲野一郎の死亡により最終相続人へ相続が生じたことを示す形式です。数次相続は、相続人の人数、遺産分割協議の有無、中間相続人の地位、相続放棄の有無で結論が変わるため、安易に通常の申請書を流用しないでください。

Section 07

相続登記申請書の「相続人」欄の書き方

7-1. 遺産分割協議で1人が取得する場合

被相続人甲野太郎が死亡し、妻と子2人の相続人全員で協議した結果、子である甲野一郎が自宅を単独取得する場合、相続人欄は次のように書きます。

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都千代田区○○一丁目○番○号
 甲野一郎 印

ここで「相続人」として記載するのは、不動産を取得する相続人です。遺産分割協議に参加した全員の氏名を申請書本文に列挙するわけではありません。もっとも、遺産分割協議書には相続人全員の署名押印が必要です。

7-2. 法定相続分で共有登記をする場合

被相続人甲野太郎が死亡し、相続人が妻甲野花子、子甲野一郎、子甲野二郎の3人で、法定相続分どおりに相続登記する場合、持分を明示します。

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都千代田区○○一丁目○番○号
 持分2分の1 甲野花子 印

 東京都新宿区○○二丁目○番○号
 持分4分の1 甲野一郎 印

 東京都文京区○○三丁目○番○号
 持分4分の1 甲野二郎 印

法定相続分は、配偶者と子が相続人の場合、配偶者が2分の1、子全体で2分の1です。子が2人なら各4分の1になります。

7-3. 共有持分を相続する場合

被相続人甲野太郎が不動産の2分の1持分を有しており、その持分を妻甲野花子が相続する場合です。

登記の目的 甲野太郎持分全部移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都千代田区○○一丁目○番○号
 甲野花子 印

この場合、相続する対象は「不動産全体」ではなく、被相続人が持っていた「持分全部」です。

7-4. 申請人が複数の場合の注意点

法定相続分による共同申請では、相続人全員が申請人になります。相続人の一部だけで、全員の法定相続分登記を申請できる場面もありますが、登記識別情報通知の有無、後日の売却や担保設定、他の相続人との関係で不利益が生じ得ます。実務上は、登記後の処分方針まで見通して、法定相続分登記をするのか、遺産分割協議により単独名義にするのかを検討します。

Section 08

相続登記申請書の2025年以降の重要項目 ― 「検索用情報」の書き方

8-1. 検索用情報とは

2025年4月21日以降、所有権の保存・移転等の登記を申請する際、新たに所有者となる人について、氏名、氏名ふりがな、住所、生年月日、メールアドレス等の検索用情報の申出が必要となっています。これは、2026年4月1日から始まった住所等変更登記義務化と、法務局による職権的な住所等変更登記、いわゆるスマート変更登記のための基礎情報です。

相続登記では、新たに登記名義人となる相続人が個人である場合、申請書の相続人欄付近に次のような情報を記載します。

氏名ふりがな こうの いちろう
生年月日 昭和55年1月10日
メールアドレス ichiro.kono@example.com

8-2. メールアドレスがない場合

メールアドレスを持っていない場合の記載方法は、最新の法務局様式・記載例に従います。実務上は「なし」と記載する例が示されていますが、申請時点の管轄法務局の案内を確認してください。

8-3. 検索用情報は登記事項証明書に出るのか

検索用情報は、所有者の住所等変更登記を円滑化するための情報であり、登記事項証明書に通常の所有者情報としてそのまま表示されるものではありません。ただし、個人情報を含むため、正確性と管理には十分注意します。

8-4. 2026年4月1日以降の住所等変更登記義務化との関係

2026年4月1日から、不動産所有者は、住所や氏名・名称の変更があった日から2年以内に変更登記を申請する義務を負います。義務化前の住所・氏名変更も対象です。相続登記によって新たに所有者になった人も、その後に引っ越しや婚姻等で住所・氏名が変わった場合には、この義務の対象になります。

Section 09

相続登記申請書の「添付情報」の書き方

9-1. 基本記載

相続登記の申請書では、添付情報欄に通常、次のように記載します。

次の書類一覧は、添付書類を役割ごとに整理したものです。どの書類が相続人確定、住所証明、取得内容、税額計算を支えるかを読み取ることが重要です。

戸籍

出生から死亡までの戸籍等

相続開始と相続人の範囲を証明します。

相続人確定
住所

住民票除票・取得者住民票

被相続人の同一性と新名義人の住所を示します。

住所証明
協議

遺産分割協議書・印鑑証明書

取得者を決めた全員合意を示します。

実印確認
税額

固定資産評価証明書等

課税価格と登録免許税の計算に使います。

評価額
添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

司法書士等に委任する場合は、さらに次のように記載します。

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報

9-2. 登記原因証明情報の具体例

相続登記における登記原因証明情報の具体例は、ケースにより異なります。

遺産分割協議による場合

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 法定相続情報一覧図の写しがある場合は、一部戸籍書類に代替できる場合がある

法務局の相続登記ガイドブックでも、遺産分割協議を行った場合には、相続人全員が実印を押印した遺産分割協議書と印鑑証明書を添付する旨が案内されています。

法定相続分による場合

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 各相続人の住所証明情報
  • 法定相続情報一覧図の写しがある場合は、一部戸籍書類に代替できる場合がある

公正証書遺言による場合

  • 公正証書遺言の正本又は謄本
  • 被相続人の死亡を証明する戸籍
  • 不動産を取得する相続人の戸籍
  • 住所証明情報
  • 被相続人の同一性を示す住民票除票又は戸籍附票等

自筆証書遺言による場合

自筆証書遺言が自宅等で保管されていた場合、家庭裁判所の検認手続が必要です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されていた場合には、遺言書情報証明書を取得して用います。法務局の必要書類案内でも、法務局保管の場合は遺言書情報証明書、それ以外の場合は家庭裁判所での検認が必要である旨が案内されています。

9-3. 住所証明情報の具体例

住所証明情報の典型例は、相続人の住民票の写しです。法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されている場合、法定相続情報番号を提供することにより、相続登記に必要な住所を証する書面の添付も省略できる場合があります。

9-4. 原本還付

戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明書、遺言書などは、他の相続手続でも必要になることがあります。登記申請では、一定の方法により原本還付を請求できる場合があります。原本還付とは、原本とコピーを提出し、登記官の確認後に原本を返してもらう手続です。

ただし、すべての書類が当然に返却されるわけではなく、申請内容や書類の性質により扱いが異なります。相続税申告、金融機関手続、年金手続でも同じ戸籍束を使う場合は、法定相続情報一覧図の利用を検討すると効率的です。

Section 10

相続登記申請書の「申請日・申請先」の書き方

10-1. 申請日は提出日

申請書には、実際に法務局へ提出する日を記載します。

令和8年4月21日申請 東京法務局新宿出張所

郵送申請の場合は、法務局へ到達する日とのずれが生じることがあります。登録免許税額、評価年度、委任状の日付などとの整合性に注意します。

10-2. 管轄法務局

相続登記は、不動産所在地を管轄する法務局、支局、出張所に申請します。相続人の住所地や被相続人の本籍地ではありません。

複数不動産が別々の管轄にある場合は、原則として管轄ごとに申請が必要です。たとえば、東京都新宿区の土地と大阪市の土地を同じ申請書で処理することは難しい場合があります。

10-3. 提出方法

提出方法は、主に次の3つです。

  • 法務局窓口へ持参
  • 郵送
  • オンライン申請

オンライン申請では、添付情報は原則として電子文書で作成され、作成者の電子署名が付されたものが必要と案内されています。紙の戸籍や遺産分割協議書を単純にPDF化すれば足りるわけではないため、本人申請では郵送又は窓口提出が選ばれることも多いです。

Section 11

相続登記申請書の「課税価格」と「登録免許税」の書き方

11-1. 登録免許税率

相続による土地・建物の所有権移転登記の登録免許税は、原則として不動産価額の1000分の4です。国税庁の登録免許税の税額表でも、相続による所有権移転登記の税率は土地・建物ともに1000分の4と示されています。

11-2. 課税価格の基本

固定資産評価額が次のとおりであったとします。

  • 土地 ― 15,234,567円
  • 建物 ― 9,876,543円

合計は25,111,110円です。課税価格は、通常、1,000円未満を切り捨てます。

25,111,110円 → 25,111,000円

申請書には次のように記載します。

課税価格 金2511万1000円

実務では、算用数字で「金25,111,000円」と書くこともあります。法務局様式や管轄の慣行に合わせてください。

11-3. 登録免許税の計算例

課税価格25,111,000円に1000分の4を乗じます。

25,111,000円 × 4/1000 = 100,444円

税額に100円未満の端数があるときは切り捨てます。

100,444円 → 100,400円

申請書には次のように記載します。

登録免許税 金100,400円

法務局資料でも、相続登記では税率4/1000、税額は100円未満切捨てと案内されています。

11-4. 免税措置

相続登記を促進するため、一定の土地については登録免許税の免税措置があります。国税庁は、2027年3月31日までに受ける一定の相続登記について、次の免税措置を案内しています。

  1. 相続により土地を取得した個人が、その相続登記を受ける前に死亡した場合に、その死亡した個人を登記名義人とするための登記
  2. 個人が、土地について相続による所有権移転登記等を受ける場合で、課税標準となる不動産価額が100万円以下であるとき

免税措置は土地に関するものです。建物は通常この免税措置の対象ではありません。申請書には、根拠条項を記載する必要があります。免税の可否は税額に直結するため、評価額、土地・建物の区別、相続経路を慎重に確認してください。

Section 12

相続登記申請書の「不動産の表示」の書き方

12-1. 土地の表示

土地は、登記事項証明書どおりに記載します。

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目
 地番 1番1
 地目 宅地
 地積 120・45平方メートル

注意すべきは、住居表示の住所と地番は異なることがある点です。郵便物の住所が「東京都新宿区西新宿一丁目2番3号」であっても、登記上の地番が「1番1」とは限りません。必ず登記事項証明書で確認します。

12-2. 建物の表示

建物は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目1番地1
 家屋番号 1番1
 種類 居宅
 構造 木造瓦葺2階建
 床面積 1階 70・00平方メートル
     2階 60・00平方メートル

12-3. マンションの表示

区分建物、いわゆるマンションでは、専有部分の建物表示、敷地権の表示、敷地権割合が関係します。登記事項証明書の記載を正確に転記する必要があります。登録免許税計算では、建物部分の評価額に加え、敷地権割合に応じた土地評価額を算定することがあります。

マンションの相続登記は、一般戸建てよりも不動産の表示と課税価格の計算で誤りが出やすいため、固定資産評価証明書、登記事項証明書、敷地権割合を突き合わせて確認します。

Section 13

相続登記申請書のケース別 ― 相続登記の申請書の書き方と記載例

ここからは、「相続登記の申請書の書き方と記載例」の中心として、典型的なケース別に申請書の記載例を示します。実際の申請では、氏名、住所、日付、評価額、管轄、不動産表示、添付書類を事案に応じて置き換えてください。

次のケース一覧は、記載例の種類と注意点を整理したものです。取得者が決まっているのか、共有なのか、遺言なのか、期限対策なのかを読み分けることが重要です。

協議

遺産分割で単独取得

取得者を相続人欄に記載し、協議書と印鑑証明書で裏付けます。

単独取得
共有

法定相続分で共有

相続人全員を持分付きで記載します。

共有注意
遺言

公正証書遺言・自筆証書遺言

検認の要否と遺言文言を確認します。

遺言
数次

数次相続

中間相続人を含む原因欄の整理が必要です。

複雑

13-1. 記載例1 ― 遺産分割協議で長男が単独取得する場合

事案

  • 被相続人 ― 甲野太郎
  • 死亡日 ― 令和6年5月1日
  • 相続人 ― 妻甲野花子、長男甲野一郎、長女甲野春子
  • 遺産分割協議により、長男甲野一郎が土地建物を単独取得
  • 土地建物の固定資産評価額合計 ― 25,111,110円
  • 課税価格 ― 25,111,000円
  • 登録免許税 ― 100,400円

申請書記載例

登 記 申 請 書

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 甲野一郎 印
 氏名ふりがな こうの いちろう
 生年月日 昭和55年1月10日
 メールアドレス ichiro.kono@example.com

連絡先の電話番号 03-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和8年4月21日申請 東京法務局新宿出張所

課税価格 金25,111,000円

登録免許税 金100,400円

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目
 地番 1番1
 地目 宅地
 地積 120・45平方メートル

 所在 東京都新宿区西新宿一丁目1番地1
 家屋番号 1番1
 種類 居宅
 構造 木造瓦葺2階建
 床面積 1階 70・00平方メートル
     2階 60・00平方メートル

添付書類の例

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍等
  • 相続人全員の戸籍
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 甲野一郎の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書又は課税明細書
  • 相続関係説明図又は法定相続情報一覧図
  • 委任状(司法書士等に依頼する場合)

実務上のポイント

遺産分割協議書には、不動産の表示を登記事項証明書どおりに記載するのが安全です。「自宅を長男に相続させる」といった抽象的表現だけでは、どの不動産を指すのか不明確になる場合があります。私道持分や附属建物を見落とさないことも重要です。

13-2. 記載例2 ― 法定相続分どおりに共有登記する場合

事案

  • 被相続人 ― 甲野太郎
  • 死亡日 ― 令和6年5月1日
  • 相続人 ― 妻甲野花子、長男甲野一郎、長女甲野春子
  • 法定相続分 ― 妻2分の1、子各4分の1
  • 遺産分割協議は未成立だが、法定相続分で共有登記する

申請書記載例

登 記 申 請 書

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 持分2分の1 甲野花子 印
 氏名ふりがな こうの はなこ
 生年月日 昭和30年3月3日
 メールアドレス hanako.kono@example.com

 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 持分4分の1 甲野一郎 印
 氏名ふりがな こうの いちろう
 生年月日 昭和55年1月10日
 メールアドレス ichiro.kono@example.com

 東京都中野区中野二丁目2番2号
 持分4分の1 甲野春子 印
 氏名ふりがな こうの はるこ
 生年月日 昭和58年4月20日
 メールアドレス haruko.kono@example.com

連絡先の電話番号 03-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和8年4月21日申請 東京法務局新宿出張所

課税価格 金25,111,000円

登録免許税 金100,400円

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目
 地番 1番1
 地目 宅地
 地積 120・45平方メートル

実務上のポイント

法定相続分登記は、遺産分割協議がまとまらない場合の一時的対応として利用されることがあります。しかし、共有名義にすると、将来の売却、賃貸、大規模修繕、担保設定で共有者全員の関与が必要になり、かえって紛争を固定化することがあります。争いがある場合は、単に登記申請書を書くだけでなく、弁護士又は司法書士に相談し、調停、審判、遺留分、使途不明金、寄与分、特別受益の問題を含めて検討すべきです。

13-3. 記載例3 ― 公正証書遺言に基づいて相続する場合

事案

  • 被相続人 ― 甲野太郎
  • 死亡日 ― 令和6年5月1日
  • 公正証書遺言に「長男甲野一郎に自宅を相続させる」と記載
  • 長男が単独申請

申請書記載例

登 記 申 請 書

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 甲野一郎 印
 氏名ふりがな こうの いちろう
 生年月日 昭和55年1月10日
 メールアドレス ichiro.kono@example.com

連絡先の電話番号 03-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和8年4月21日申請 東京法務局新宿出張所

課税価格 金25,111,000円

登録免許税 金100,400円

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目
 地番 1番1
 地目 宅地
 地積 120・45平方メートル

添付書類の例

  • 公正証書遺言の正本又は謄本
  • 被相続人の死亡を証する戸籍
  • 甲野一郎の戸籍
  • 甲野一郎の住民票
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 固定資産評価証明書又は課税明細書

実務上のポイント

公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です。ただし、遺言の文言が「相続させる」なのか「遺贈する」なのか、対象不動産が特定されているか、受益相続人が相続開始時に生存しているかなどにより、登記原因・添付書類・申請構造が変わる場合があります。

13-4. 記載例4 ― 自筆証書遺言に基づいて相続する場合

事案

  • 被相続人 ― 甲野太郎
  • 死亡日 ― 令和6年5月1日
  • 自筆証書遺言に「自宅土地建物を長男甲野一郎に相続させる」と記載
  • 自筆証書遺言は法務局保管制度を利用していない

申請書本文の記載例

申請書本文は、公正証書遺言の場合とほぼ同じです。

登記の目的 所有権移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 甲野一郎 印

添付書類の違い

法務局保管制度を利用していない自筆証書遺言では、家庭裁判所の検認が必要です。法務局保管制度を利用している場合は、遺言書情報証明書を取得します。法務局の案内でも、法務局保管の場合は「遺言書情報証明書」、それ以外の場合は家庭裁判所での検認が必要である旨が示されています。

実務上のポイント

自筆証書遺言では、形式不備、日付不備、押印漏れ、加除訂正の不備、財産特定の不十分さが問題になることがあります。遺言の有効性に争いがある場合、法務局の登記手続だけで解決する問題ではなく、弁護士による遺言無効確認、遺留分侵害額請求、遺産確認等の検討が必要になります。

13-5. 記載例5 ― 被相続人の共有持分を配偶者が取得する場合

事案

  • 夫甲野太郎と妻甲野花子が自宅を各2分の1で共有
  • 夫甲野太郎が死亡
  • 遺産分割協議により、夫の2分の1持分を妻が取得

申請書記載例

登 記 申 請 書

登記の目的 甲野太郎持分全部移転

原因 令和6年5月1日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都新宿区西新宿一丁目1番1号
 甲野花子 印
 氏名ふりがな こうの はなこ
 生年月日 昭和30年3月3日
 メールアドレス hanako.kono@example.com

連絡先の電話番号 03-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和8年4月21日申請 東京法務局新宿出張所

課税価格 金12,555,000円

登録免許税 金50,200円

不動産の表示
 所在 東京都新宿区西新宿一丁目
 地番 1番1
 地目 宅地
 地積 120・45平方メートル

課税価格の考え方

不動産全体の固定資産評価額が25,111,110円で、被相続人の持分が2分の1であれば、相続対象の評価額はその2分の1です。

25,111,110円 × 1/2 = 12,555,555円
課税価格 12,555,000円
登録免許税 12,555,000円 × 4/1000 = 50,220円
100円未満切捨て → 50,200円

実務上のポイント

共有持分相続では、評価額に持分割合を掛けること、登記の目的を「所有権移転」ではなく「○○持分全部移転」とすることが重要です。マンションの敷地権、私道持分、附属建物の共有持分がある場合は、全体の権利関係を確認してください。

13-6. 記載例6 ― 数次相続で最終相続人へ登記する場合

事案

  • 登記名義人 ― 祖父甲野太郎
  • 甲野太郎死亡日 ― 平成30年1月1日
  • 甲野太郎の相続人は子甲野一郎のみ
  • 甲野一郎は相続登記未了のまま令和5年6月10日に死亡
  • 甲野一郎の相続人は子甲野次郎のみ
  • 最終的に甲野次郎へ登記する

申請書記載例

登 記 申 請 書

登記の目的 所有権移転

原因 平成30年1月1日 甲野一郎相続
   令和5年6月10日相続

相続人(被相続人 甲野太郎)
 東京都杉並区○○一丁目○番○号
 甲野次郎 印
 氏名ふりがな こうの じろう
 生年月日 昭和60年7月7日
 メールアドレス jiro.kono@example.com

連絡先の電話番号 03-0000-0000

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和8年4月21日申請 東京法務局杉並出張所

課税価格 金10,000,000円

登録免許税 金40,000円

不動産の表示
 所在 東京都杉並区○○一丁目
 地番 10番1
 地目 宅地
 地積 100・00平方メートル

実務上のポイント

数次相続で1件申請が可能かどうかは、中間相続が単独相続か、又は遺産分割・相続放棄等により単独承継といえるかに左右されます。法務局の記載例は数次相続の類型を前提にしていますが、実際の相続関係が少しでも異なると、2件以上の登記が必要になることがあります。数次相続は、本人申請で最も誤りやすい領域の一つです。

13-7. 記載例7 ― 相続人申告登記を先に行う場合

事案

  • 相続人が多数で遺産分割協議がまとまらない
  • しかし、相続登記義務の期限が近い
  • まず相続人申告登記により、基本的義務の履行を図る

相続人申告登記とは

相続人申告登記とは、相続登記義務化に伴い設けられた簡易な制度です。相続人が、登記名義人に相続が開始したことと、自分がその相続人であることを、3年以内に管轄法務局へ申し出ることで、基本的義務を履行したものと扱われます。

ただし、相続人申告登記は、所有権を確定的に移転する通常の相続登記ではありません。遺産分割が成立した場合の追加的義務は、相続人申告登記では履行できないとされています。

実務上のポイント

相続人申告登記は、相続人間で争いがある場合や、相続人の一部と連絡が取れない場合の「期限対策」として有効です。しかし、不動産を売却したり、担保に入れたり、取得者名義を確定したりするには、最終的に通常の相続登記が必要です。

Section 14

相続登記申請書の遺産分割協議書との整合性

14-1. 申請書と協議書の不動産表示を一致させる

遺産分割協議書に記載された不動産表示と、登記申請書の不動産表示は一致させるのが原則です。地番、家屋番号、地目、地積、床面積を登記事項証明書に基づいて正確に記載します。

14-2. 「相続する」「取得する」の文言

遺産分割協議書では、誰がどの不動産を取得するのかを明確にします。

望ましい記載例は次のようなものです。

相続人全員は、被相続人甲野太郎の遺産である下記不動産を、相続人甲野一郎が単独で取得することに合意した。

抽象的に「自宅は長男のものとする」だけでは、対象不動産の特定として不十分になる場合があります。

14-3. 印鑑証明書の扱い

遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付するのが実務上の基本です。法務局資料でも、遺産分割協議書については相続人全員が実印を押印して作成し、印鑑証明書を添付する旨が示されています。

14-4. 相続人に未成年者がいる場合

未成年者と親権者がともに相続人で、遺産分割協議を行う場合、利益相反が問題になります。親権者が未成年者を代理して協議できない場合は、家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。成年被後見人と成年後見人、被保佐人と保佐人、被補助人と補助人の間でも利益相反が生じることがあります。

Section 15

相続登記申請書の綴じ方・押印・郵送実務

15-1. 綴じ方

紙申請では、一般に次の順にまとめます。

次の時系列は、準備から提出、補正、完了書類受領までの順番を示しています。前の段階の確認不足が後の補正につながるため、順番どおりに読み進めることが重要です。

1

登記事項証明書と戸籍を集める

不動産表示と相続人を確定します。

2

協議書と評価額を確認

取得内容と税額計算の基礎をそろえます。

3

申請書を作成して提出

収入印紙、管轄法務局、返送方法を確認します。

4

補正対応と保管

完了後は登記識別情報を厳重に保管します。

  1. 登記申請書
  2. 収入印紙貼付台紙又は領収証書貼付欄
  3. 委任状
  4. 遺産分割協議書又は遺言書関係書類
  5. 戸籍関係書類
  6. 住所証明情報
  7. 固定資産評価証明書等
  8. 相続関係説明図
  9. 原本還付用コピー

実際の並べ方は管轄法務局の案内や申請内容によって異なります。補正対応を想定し、書類ごとに見出しを付けると実務上扱いやすくなります。

15-2. 契印・割印

申請書が複数枚にわたる場合や、添付書類の原本還付を求める場合には、契印や「原本と相違ありません」の記載が必要になることがあります。押印は、本人申請か代理人申請か、書面申請かオンライン申請かで扱いが変わります。

15-3. 郵送申請

郵送で申請する場合は、封筒に「不動産登記申請書在中」と記載し、書留、簡易書留、レターパックプラスなど追跡可能な方法を利用するのが安全です。登記完了後に書類の返送を希望する場合は、返信用封筒と切手を同封します。

15-4. 補正

申請書や添付書類に不備があると、法務局から補正連絡が来ます。補正期限内に対応できないと、申請が却下又は取下げになることがあります。連絡先電話番号は日中つながる番号を記載します。

Section 16

相続登記申請書でよくある誤り

16-1. 住居表示と地番を混同する

「住所」と「土地の地番」は別物です。申請書の不動産表示は登記事項証明書どおりに記載します。

次の注意点一覧は、本人申請で補正につながりやすい誤りを整理したものです。各項目から、どの資料へ戻って確認すべきかを読み取ってください。

原因日を協議日にする

相続登記の原因日は原則として死亡日です。

不動産表示を誤る

地番、家屋番号、地積、床面積は登記事項証明書で確認します。

相続人が漏れる

前婚の子、養子、代襲相続人、甥姪などを戸籍で確認します。

住所沿革が不足する

登記上住所と死亡時住所をつなぐ資料が必要です。

税額計算を誤る

持分、免税措置、評価年度、端数処理を確認します。

検索用情報を忘れる

2025年4月21日以降の新しい様式に注意します。

16-2. 登記原因の日付を遺産分割協議日にする

原因日は原則として死亡日です。遺産分割協議日ではありません。

16-3. 共有持分なのに「所有権移転」と書く

被相続人が共有持分しか持っていない場合は、「○○持分全部移転」と記載するのが基本です。

16-4. 相続人全員の戸籍が不足している

遺産分割協議による登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍だけでなく、相続人全員の現在戸籍も必要です。兄弟姉妹相続や代襲相続では、戸籍の範囲がさらに広がります。

16-5. 被相続人の同一性資料が不足している

登記簿上の住所と死亡時住所が異なる場合、住所のつながりを証明する資料が必要です。古い相続では、除票や附票が保存期間経過で取得できない場合があります。

16-6. 登録免許税の計算を誤る

税率は原則0.4%ですが、持分相続、マンション敷地権、免税措置、土地建物の区別、評価年度に注意が必要です。課税価格の1,000円未満切捨て、税額の100円未満切捨ての扱いも確認します。

16-7. 検索用情報を書き忘れる

2025年4月21日以降の所有権移転登記では、検索用情報の申出が重要です。相続登記の新しい様式を使わず、古い記載例を流用すると漏れることがあります。

Section 17

相続登記申請書の専門職ごとの視点

17-1. 弁護士の視点

弁護士が重視するのは、登記申請書以前の紛争構造です。遺産分割協議が本当に成立しているのか、遺言の有効性に争いがないか、遺留分侵害額請求が想定されるか、使途不明金や特別受益・寄与分の主張があるかを検討します。相続人間で対立があるのに、形式だけ整えて登記を進めると、後に訴訟・調停・審判へ発展するリスクがあります。

次の専門家一覧は、登記、紛争、税務、不動産、家庭裁判所手続の相談先を整理したものです。自分で作成する範囲と専門家確認が必要な範囲を読み分けてください。

登記

司法書士

登記申請代理、申請書作成、戸籍収集を中心に扱います。

登記
紛争

弁護士

遺産分割、遺留分、使途不明金、調停、審判を扱います。

対立
税務

税理士

相続税申告、不動産評価、特例適用を確認します。

税務
不動産

土地家屋調査士・不動産鑑定士・宅建士

境界、分筆、表示登記、評価、売却で関与します。

不動産

17-2. 司法書士の視点

司法書士が中心的に担うのは、相続登記の申請書作成、戸籍収集、登記原因証明情報の構成、登録免許税計算、法務局への申請代理です。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産がある相続では司法書士の関与が特に重要です。

17-3. 税理士の視点

税理士が確認するのは、相続税申告の要否、不動産評価、遺産分割の税務影響、配偶者税額軽減、小規模宅地等の特例、二次相続対策です。相続登記上は単独名義にできても、税務上不利になる遺産分割があり得ます。登記と税務は別制度ですが、遺産分割は両方に影響します。

17-4. 行政書士の視点

行政書士は、紛争性がなく、税務相談や登記申請代理に当たらない範囲で、遺産分割協議書、相続人関係説明図、各種相続手続書類の作成支援を行うことがあります。ただし、相続登記申請そのものの代理は司法書士の業務領域です。

17-5. 公証人・遺言執行者の視点

公証人は、公正証書遺言作成で関与します。遺言執行者は、遺言内容を実現するため、預貯金、不動産、株式等の手続に関与します。遺言がある相続登記では、遺言執行者の権限、遺言文言、受遺者の地位を確認します。

17-6. 不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅建士の視点

不動産鑑定士は、遺産分割で不動産価値が争点となる場合に重要です。土地家屋調査士は、境界、分筆、表示登記、未登記建物などで関与します。宅建士・不動産仲介業者は、相続不動産を売却して代金分割する場合に関与します。相続登記は売却の前提になるため、早めに登記を整える必要があります。

17-7. 家庭裁判所関係者の視点

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所の調停・審判が問題になります。裁判官、家事調停官、調停委員、裁判所書記官、家庭裁判所調査官、鑑定人、専門委員が関与することがあります。未成年者や後見利用者がいる相続では、特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人の選任が必要になる場合があります。

Section 18

相続登記申請書の自分で申請するか、司法書士に依頼するか

18-1. 自分で申請しやすいケース

次のような場合は、本人申請も比較的検討しやすいです。

次の判断一覧は、自分で作成できる可能性があるケースと専門家相談が望ましいケースを分けたものです。費用だけでなく、不備、紛争、税務上の不利益を避けられるかを読み取ってください。

本人申請を検討しやすい条件専門家相談が望ましい条件
相続人が少なく全員協力的相続人同士でもめている
不動産が1から2件で管轄が同じ不動産が複数管轄、共有持分、私道、農地を含む
住所沿革が明確登記上住所と死亡時住所がつながらない
税務申告が不要または相談済み相続税申告、売却、代償分割が絡む
  • 相続人が少ない
  • 相続人全員が協力的
  • 不動産が1~2件で管轄が同じ
  • 被相続人の住所沿革が明確
  • 遺産分割協議書が明確
  • 未成年者・成年後見・相続放棄・代襲相続・数次相続がない
  • 相続税申告が不要又は税理士と連携済み

18-2. 専門家依頼が望ましいケース

次のような場合は、司法書士や弁護士への相談を相談する必要性が高いです。

  • 相続人同士でもめている
  • 一部の相続人と連絡が取れない
  • 相続人が多数
  • 数次相続、代襲相続、兄弟姉妹相続がある
  • 相続放棄者がいる
  • 未成年者、成年被後見人、行方不明者がいる
  • 遺言の有効性に疑義がある
  • 不動産が複数管轄にある
  • 登記簿上の住所と死亡時住所がつながらない
  • 相続税申告が必要
  • 売却予定がある
  • 境界、分筆、未登記建物、農地、山林、私道持分が絡む

18-3. 法務局の登記手続案内の限界

法務局は、本人申請者向けに登記手続案内を行っていますが、申請書や必要書類の作成そのものを代行するものではなく、法律的判断や事前審査を行うものでもないと案内されています。つまり、一般的な書き方の案内は受けられても、「この遺産分割協議で本当に登記できるか」「この遺言は有効か」「この相続人を除外してよいか」といった判断は、専門職に相談する必要性が高い領域です。

Section 19

相続登記申請書のよくある質問

Q1. 相続登記の申請書はどこで入手できますか

一般的には、法務局の「不動産登記の申請書様式について」ページで、相続、遺産分割、法定相続、公正証書遺言、自筆証書遺言、数次相続などに応じた様式・記載例が公開されています。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相続登記の申請書は手書きでもよいですか

一般的には、手書きでも作成可能ですが、誤読や補正を避けるため、パソコンで作成するのが一般的です。不動産の表示、住所、氏名、持分、日付は登記事項証明書や住民票、戸籍どおり正確に記載します。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 申請書に相続人全員を書く必要がありますか

一般的には、法定相続分で共有登記する場合は、相続人全員を持分付きで記載します。遺産分割協議により1人が取得する場合は、申請書本文には取得者を記載し、他の相続人は遺産分割協議書に署名押印する形になります。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q4. 遺産分割協議書の日付を原因欄に書きますか

一般的には、書かないのが一般的です。相続登記の原因日は、原則として被相続人の死亡日です。遺産分割協議書の日付ではありません。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 登録免許税はいくらですか

一般的には、相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産評価額の0.4%です。国税庁の税額表でも、相続による土地・建物の所有権移転登記の税率は1000分の4とされています。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q6. 相続登記をしないとどうなりますか

一般的には、2024年4月1日から、相続登記は義務化されています。正当な理由なく義務を怠ると10万円以下の過料の対象となります。義務化前の相続も対象です。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続人申告登記をすれば、通常の相続登記は不要ですか

一般的には、不要になるとは限りません。相続人申告登記は、期限内に自分が相続人であることを申し出る簡易な制度であり、所有権を最終取得者へ移転する通常の相続登記ではありません。遺産分割成立後の追加的義務は、相続人申告登記では履行できないとされています。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q8. 法定相続情報一覧図があれば戸籍は不要ですか

一般的には、相続登記の場面では、法定相続情報一覧図の写し又は法定相続情報番号を利用することで、戸籍束の提出に代えられる場合があります。ただし、遺産分割協議書、印鑑証明書、遺言書、住所証明情報など、別途必要な書類まで当然に不要になるわけではありません。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q9. 相続登記の申請書にメールアドレスを書く必要がありますか

一般的には、2025年4月21日以降、新たに所有権の登記名義人となる人について、検索用情報として氏名ふりがな、生年月日、メールアドレス等の申出が必要とされています。相続登記申請書でも、この新しい記載欄に注意してください。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q10. 相続した不動産をすぐ売る場合も相続登記は必要ですか

一般的には、必要となる場合があります。被相続人名義のままでは、通常、買主へ所有権移転登記をすることが難しい場合があります。相続人名義への相続登記を経たうえで、売買による所有権移転登記を行います。 ただし、相続関係、資料の有無、管轄法務局の運用、税務・売却予定などによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、司法書士、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Section 20

相続登記申請書の最終チェックリスト

相続登記の申請書提出前に、次を確認してください。

次の提出前一覧は、申請書本体、添付書類、特殊事情を横断して確認するものです。どの分類に不安が残っているかを見れば、提出前に戻るべき資料を特定できる場合があります。

申請書

目的・原因・相続人・税額

死亡日、住所、検索用情報、課税価格、登録免許税、不動産表示を確認します。

添付書類

戸籍・住民票・協議書

相続人全員の資料、評価証明書、原本還付用コピーをそろえます。

特殊事情

未成年者・後見・行方不明

家庭裁判所手続、別登記、税務、売却予定を確認します。

□ 登記事項証明書で不動産の表示を確認した
□ 固定資産評価額を確認した
□ 被相続人の登記簿上住所と死亡時住所のつながりを確認した
□ 被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集した
□ 相続人全員の現在戸籍を収集した
□ 遺産分割協議書又は遺言書を確認した
□ 遺産分割協議書に相続人全員の実印押印がある
□ 印鑑証明書を添付した
□ 取得者の住民票又は住所証明情報を準備した
□ 法定相続情報一覧図を使う場合、住所記載の有無を確認した
□ 登記の目的が所有権移転か持分全部移転か確認した
□ 原因日が死亡日になっている
□ 法定相続分登記では持分を正しく記載した
□ 検索用情報を記載した
□ 課税価格を計算した
□ 登録免許税を計算した
□ 免税措置の適用可否を確認した
□ 収入印紙又は領収証書を準備した
□ 管轄法務局を確認した
□ 連絡先電話番号を記載した
□ 原本還付を希望する書類のコピーを準備した
□ 郵送申請の場合、返信用封筒を準備した
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相続登記申請書を作成するときの結論

相続登記の申請書の書き方と記載例」の本質は、空欄を埋める作業ではありません。相続関係、登記原因、不動産の特定、取得者、持分、登録免許税、添付情報を、法律関係と証拠書類に基づいて矛盾なく構成する作業です。

次の重要ポイントは、テンプレートを使うときの最終判断をまとめたものです。自分で作成できる条件と、専門家相談が必要な条件を読み分けてください。

テンプレートは便利ですが、前提から外れると必要な判断が変わります

相続人全員が協力的で、戸籍・住所・不動産表示が明確なら本人申請を検討できます。一方で、争い、未成年者、認知症、行方不明、海外在住、数次相続、住所不一致、税務不安がある場合は、登記原因・添付情報・税務・家庭裁判所手続が変わる可能性があります。

2024年4月1日以降、相続登記は義務化され、期限管理が不可欠になりました。2025年4月21日以降は検索用情報の申出、2026年4月1日以降は住所等変更登記義務化も実務に影響しています。古い記載例をそのまま使うと、現在の制度に合わない可能性があります。

本人申請は可能ですが、相続人が多い、争いがある、数次相続である、遺言がある、相続税申告がある、不動産が複雑である場合は、司法書士、弁護士、税理士等の専門職へ相談することが、結果として最も安全で早い対応になります。

Section 22

相続登記申請書の付録 ― 最小限の空欄テンプレート

登 記 申 請 書

登記の目的 

原因 令和 年 月 日相続

相続人(被相続人       )
 住所 
 氏名           印
 氏名ふりがな 
 生年月日 
 メールアドレス 

連絡先の電話番号 

添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報

令和 年 月 日申請     法務局     支局・出張所

課税価格 金     円

登録免許税 金     円

不動産の表示
 所在 
 地番 
 地目 
 地積 

 所在 
 家屋番号 
 種類 
 構造 
 床面積 
Reference

この記事の参考資料

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始!」
  • 法務局「不動産登記の申請書様式について」
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
  • 国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
  • 法務局「『法定相続情報証明制度』について」
  • 法務局「法定相続情報番号の提供による相続登記等における添付省略」
  • 法務局「法定相続情報証明制度リーフレット」
  • 法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」
  • 法務省「登記申請手続のご案内(相続登記/遺産分割協議編)」
  • 法務局「相続登記ガイドブック」
  • 法務局「不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」
  • 法務省「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」
  • 法務省「住所等変更登記の義務化について」
  • 法務省「相続人申告登記について」
  • 法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」
  • 法務局「所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)(数次相続)記載例」
  • 法務局「登録免許税」