2σ Guide

高次脳機能障害の
公的支援制度と弁護士相談窓口

交通事故後に高次脳機能障害が疑われるとき、医療、福祉、所得保障、後遺障害申請、弁護士相談を分けずに整理するための一般情報です。

約23万人 患者数の推計
4領域 記憶・注意・遂行・行動
56か所 高次脳機能障害面接相談
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高次脳機能障害の 公的支援制度と弁護士相談窓口

交通事故後に高次脳機能障害が疑われるとき、医療、福祉、所得保障、後遺障害申請、弁護士相談を分けずに整理するための一般情報です。

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高次脳機能障害の 公的支援制度と弁護士相談窓口
交通事故後に高次脳機能障害が疑われるとき、医療、福祉、所得保障、後遺障害申請、弁護士相談を分けずに整理するための一般情報です。
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  • 高次脳機能障害の 公的支援制度と弁護士相談窓口
  • 交通事故後に高次脳機能障害が疑われるとき、医療、福祉、所得保障、後遺障害申請、弁護士相談を分けずに整理するための一般情報です。

POINT 1

  • 高次脳機能障害の公的支援制度と弁護士相談の全体像
  • 制度ごとの目的を分けつつ、資料と事実関係をつなげて考えます。
  • 基準は制度ごとに異なる
  • 公的支援と賠償は目的が違う
  • 弁護士相談はリスク管理でもある

POINT 2

  • 高次脳機能障害とは何か ― 症状と交通事故で問題になる理由
  • 本人の自覚と家族の観察
  • 本人は障害を十分に自覚できないことがある一方、家族は事故前との違いを強く感じることがあります。
  • 外見と生活困難
  • 歩行や会話が一見可能でも、段取り、金銭管理、予定管理、複数作業、対人調整が難しくなることがあります。

POINT 3

  • 高次脳機能障害の診断と評価で確認される資料
  • 1. 事故または疾病発症の事実:頭部外傷、救急搬送、意識障害、画像検査などの初期情報を確認します。
  • 2. 脳の器質的病変の確認:CT、MRI、脳波、診断書、神経学的所見を整理します。
  • 3. 認知障害と生活制約の確認:記憶、注意、遂行機能、社会的行動、言語などの変化を検査と生活記録で確認します。
  • 4. 医療、福祉、賠償それぞれの評価:同じ資料が、診断、支援決定、後遺障害評価で異なる意味を持ちます。

POINT 4

  • 高次脳機能障害と交通事故賠償の後遺障害評価
  • 病名だけでなく、生活能力、就労能力、介護や見守りの必要性を整理します。
  • 後遺障害申請で必要になる資料は、事故状況、医療、認知機能、生活、就労就学、保険の各領域に分かれます。
  • 資料例だけでなく、目的の列を確認し、申請前に不足している説明を見つけてください。
  • 交通事故賠償で検討される損害項目は、症状や生活状況により異なります。

POINT 5

  • 高次脳機能障害の公的支援制度を目的別に整理する
  • 高次脳機能障害者支援法は2026年4月1日に施行
  • 一つの窓口で完結しないため、目的ごとに相談先を分けます。

POINT 6

  • 高次脳機能障害の医療費、手帳、障害福祉サービス
  • 治療を続ける制度と生活を支える制度を分けて確認します。
  • 医療費と通院継続
  • 障害者手帳制度
  • 障害福祉サービスと相談支援

POINT 7

  • 高次脳機能障害の所得保障、労災、就労、権利擁護
  • 生活費、仕事、学校、金銭管理まで長期の生活再建として考えます。
  • ハローワーク障害者窓口
  • 学校生活と教育支援
  • 日常生活自立支援事業

POINT 8

  • 高次脳機能障害で弁護士相談を検討するタイミング
  • 1. 証拠と医療資料:事故証拠の確保、医療資料の取得、受傷機転、画像、意識障害、症状経過を把握します。
  • 2. 後遺障害申請:後遺障害診断書作成前の論点、自賠責の被害者請求または事前認定、異議申立て、医師意見書、鑑定を検討します。
  • 3. 損害算定:休業損害、逸失利益、将来介護費、過失割合、事故態様、車両損傷、ドラレコ等を整理します。
  • 4. 制度調整と示談前確認:障害年金、労災、手帳、福祉制度との関係、示談前のリスクを確認します。

まとめ

  • 高次脳機能障害の 公的支援制度と弁護士相談窓口
  • 高次脳機能障害の公的支援制度と弁護士相談の全体像:制度ごとの目的を分けつつ、資料と事実関係をつなげて考えます。
  • 高次脳機能障害とは何か ― 症状と交通事故で問題になる理由:診断名だけでなく、生活上の変化として理解することが出発点です。
  • 高次脳機能障害の診断と評価で確認される資料:脳損傷の事実と現在の生活制約を、医学資料と生活記録でつなげます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

高次脳機能障害の公的支援制度と弁護士相談の全体像

制度ごとの目的を分けつつ、資料と事実関係をつなげて考えます。

交通事故後の高次脳機能障害は、外見から分かりにくい一方で、記憶、注意、遂行機能、社会的行動、言語、認識、感情調整、対人関係、就労能力、家族生活に大きく影響することがあります。救命医療が落ち着いた後に、本人や家族が「性格が変わった」「同じことを何度も聞く」「仕事や学校に戻れない」「保険会社との話が進まない」と感じて、問題が表面化することもあります。

このページでは、高次脳機能障害について最初に押さえたい4つの考え方を整理します。制度の目的が違うことを知ることは、相談先の選び方と資料の集め方を間違えないために重要です。各項目から、医療、福祉、所得保障、賠償が別々の手続きで動きながらも、同じ生活事実を共有する点を読み取ってください。

結論1

基準は制度ごとに異なる

医療上の診断、福祉制度上の支援、年金や労災などの所得保障、交通事故賠償上の後遺障害評価は、それぞれ別の基準で判断されます。

結論2

公的支援と賠償は目的が違う

公的支援は生活を立て直すための制度であり、損害賠償は事故で生じた損害を加害者側へ請求する制度です。目的は違いますが、資料や事実関係は相互に関係します。

結論3

弁護士相談はリスク管理でもある

相談の目的は示談金の増額だけではありません。医学的資料、日常生活資料、後遺障害申請、将来介護、逸失利益、労災や障害年金との調整を見落とさないための整理にも関わります。

結論4

入口は一つではない

市区町村、都道府県等の支援拠点、医療機関の相談室、年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク、法テラス、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センター、ナスバなどを目的ごとに使い分けます。

このページは一般的な情報提供です。個別の申請、診断、示談、訴訟、労災、年金、福祉サービス利用では、主治医、医療ソーシャルワーカー、自治体窓口、社会保険労務士、弁護士等の専門家に確認する必要があります。

高次脳機能障害では、多くの専門職が関わります。次の比較表は、どの領域がどの資料や判断に関係するかを示すもので、相談先を整理するうえで重要です。列ごとに、関係職種とその焦点を照らし合わせ、誰に何を相談すればよいかを読み取ってください。

領域主要な関係職種焦点
事故直後の現場警察官、救急隊員、救急救命士、消防、鑑識、交通事故鑑定人事故状況、意識障害、搬送、証拠保全
医療救急医、脳神経外科医、リハビリテーション科医、精神科医、看護師、診療放射線技師診断、画像、神経心理学的検査、リハビリ、診療録
リハビリと心理理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師、臨床心理士認知障害、生活能力、復職、家族支援
福祉と生活再建医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士、相談支援専門員、ケアマネジャー障害福祉、手帳、相談支援、生活保護、成年後見
所得保障と労務社会保険労務士、労働基準監督署、年金事務所、健康保険組合傷病手当金、労災、障害年金、休職復職
法律と保険弁護士、保険会社担当者、損害調査担当、裁判官、調停委員後遺障害、示談、訴訟、損害算定、弁護士費用特約
車両と事故解析自動車整備士、車体修理業者、映像解析技術者、車両データ解析者事故態様、衝撃、ドラレコ、車両損傷、過失割合
Section 01

高次脳機能障害とは何か ― 症状と交通事故で問題になる理由

診断名だけでなく、生活上の変化として理解することが出発点です。

高次脳機能障害とは、けがや病気によって脳に損傷が生じた後、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが現れ、日常生活または社会生活に制約が生じる状態をいいます。厚生労働省の説明では、事故による受傷などの脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失語、失行、失認その他の認知機能の障害として整理されています。患者数は全国で約23万人と推計されています。

交通事故では、頭部外傷、脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、くも膜下出血、頭蓋骨骨折、低酸素脳症などを契機として生じることがあります。事故直後は生命救助、骨折、出血、内臓損傷などが優先されるため、認知機能や行動面の変化は、退院後、復学後、復職後、家事復帰後に明らかになることがあります。

交通事故で問題になりやすいのは、本人の自覚、外見、医療診断と賠償実務の間にずれが生じるためです。次の3つの項目は、どこで誤解が起きるかを示す一覧です。家族や支援者は、どのずれが現在の困りごとにつながっているかを読み取ると、医療機関や弁護士への説明が具体的になります。

本人の自覚と家族の観察

本人は障害を十分に自覚できないことがある一方、家族は事故前との違いを強く感じることがあります。

外見と生活困難

歩行や会話が一見可能でも、段取り、金銭管理、予定管理、複数作業、対人調整が難しくなることがあります。

医療診断と賠償評価

医師の診断があっても、賠償では事故との因果関係、画像所見、意識障害、症状経過、検査、事故前後の生活変化が総合評価されます。

代表的な症状は、生活上の場面と交通事故実務上の意味を結びつけて把握する必要があります。次の比較表は、症状名だけで終わらせず、どのような事実記録が重要になるかを示します。各行の生活例と実務上の意味を照らし合わせ、家族日誌や職場資料で何を残すべきかを読み取ってください。

症状一般向けの説明生活上の例交通事故実務上の意味
記憶障害新しい情報を覚えにくい、思い出しにくい予定を忘れる、同じ質問を繰り返す、薬を飲み忘れる家族日誌、職場や学校での変化、神経心理学的検査が重要
注意障害集中の持続、同時作業、注意の切替が難しい料理中に火を消し忘れる、会話についていけない就労困難や家事能力低下の説明資料になる
遂行機能障害計画を立て、順序立てて実行する能力が低下する片付けができない、仕事の優先順位がつけられない復職困難、逸失利益、生活支援の必要性に関係する
社会的行動障害感情や行動の調整が難しくなる怒りやすい、衝動的、対人トラブル、意欲低下家族介護、監督、職場適応の評価に関係する
失語、失行、失認言葉、動作、認識の機能障害言葉が出にくい、道具が使えない、物の意味が分かりにくい身体障害、言語障害、認知障害の複合評価が必要になる
Section 02

高次脳機能障害の診断と評価で確認される資料

脳損傷の事実と現在の生活制約を、医学資料と生活記録でつなげます。

診断では、脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病発症の事実、現在の日常生活または社会生活の制約が認知障害を主たる原因としていること、MRI、CT、脳波などまたは診断書により脳の器質的病変の存在が確認されることが基本になります。神経心理学的検査所見も参考にされます。検査で病変を明らかにできない症例でも、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあります。

診断と評価では、事故、脳損傷、検査、症状、生活制約を順番につなげる必要があります。次の判断の流れは、単なる物忘れや怒りやすさの訴えを、医学的説明と生活資料へ変換する考え方を示しています。上から下へ、どの段階の資料が不足しているかを読み取ってください。

診断と評価の基本的なつながり

事故または疾病発症の事実

頭部外傷、救急搬送、意識障害、画像検査などの初期情報を確認します。

脳の器質的病変の確認

CT、MRI、脳波、診断書、神経学的所見を整理します。

認知障害と生活制約の確認

記憶、注意、遂行機能、社会的行動、言語などの変化を検査と生活記録で確認します。

医療、福祉、賠償それぞれの評価

同じ資料が、診断、支援決定、後遺障害評価で異なる意味を持ちます。

医療機関で確認すべき資料は、急性期の記録から症状固定時の診断書まで幅があります。次の表は、資料の取得先と意味を並べたものです。取得先の列からどこに依頼するか、意味の列からその資料が何を説明するかを読み取ってください。

資料取得先意味
救急搬送記録消防、救急搬送先事故直後の意識状態、バイタル、搬送経過
診療録、看護記録医療機関意識障害、見当識、せん妄、行動変化、家族説明
CT、MRI、画像読影報告医療機関脳挫傷、出血、びまん性損傷、脳萎縮などの確認
脳波、神経学的所見医療機関てんかん、意識障害、局在症状の評価
神経心理学的検査リハビリ科、神経心理部門など記憶、注意、遂行機能、知能、処理速度の客観化
リハビリ評価PT、OT、STADL、IADL、復職復学、言語、認知、社会適応
精神科、心療内科の診療情報医療機関抑うつ、不安、PTSD、易怒性、睡眠障害との整理
後遺障害診断書主治医症状固定時の後遺障害評価の中核資料
記録のコツ抽象的に「性格が変わった」と書くだけでは伝わりにくいことがあります。例えば、事故前は一人で経理書類を処理していた人が、事故後は請求書の金額を確認できず、同じ封筒を何度も開け、支払期限を月3回以上失念した、というように事実を具体化すると、診療、福祉、賠償の資料として使いやすくなります。
Section 03

高次脳機能障害と交通事故賠償の後遺障害評価

病名だけでなく、生活能力、就労能力、介護や見守りの必要性を整理します。

自賠責保険・共済では、自動車事故を原因とする高次脳機能障害が残った場合、後遺障害等級として的確に認定するため、損害保険料率算出機構に脳神経外科医や弁護士等で構成する専門部会を設置して調査、認定しています。事故発生直後から症状固定までの頭部CT、MRIなどの画像検査資料、受傷当初の意識障害の有無や程度、症状経過、認知機能、事故前後の日常生活、就労就学、社会生活の変化が重要な要素です。

後遺障害申請で必要になる資料は、事故状況、医療、認知機能、生活、就労就学、保険の各領域に分かれます。次の比較表は、どの分類の資料がどの目的で使われるかを示します。資料例だけでなく、目的の列を確認し、申請前に不足している説明を見つけてください。

分類資料例目的
事故状況交通事故証明書、実況見分調書、現場写真、ドラレコ、防犯カメラ衝撃、頭部外傷、過失割合、受傷機転の把握
医療資料診療録、看護記録、救急記録、画像、読影報告、検査結果脳損傷、意識障害、症状経過、医学的因果関係の把握
認知機能資料神経心理学的検査、ST、OT評価、職業評価障害内容と程度の客観化
生活資料日常生活状況報告、家族日誌、介護記録事故前後の具体的変化の把握
就労就学資料勤務先資料、復職面談記録、成績、欠席記録、退職資料収入減少、逸失利益、社会適応困難の把握
保険資料任意保険の提示、治療費対応状況、休業損害証明書損害賠償交渉の前提整理
画像所見軽度外傷性脳損傷、びまん性軸索損傷、画像上の明確な病変が乏しい事案では、実務上の争点が大きくなります。画像所見がないから認定されない、診断名があるから認定される、という単純な結論ではなく、意識障害、症状の連続性、検査、既往症、精神症状、事故前後の生活変化を丁寧に整理する必要があります。

交通事故賠償で検討される損害項目は、症状や生活状況により異なります。次の表は、高次脳機能障害で特に問題になりやすい項目を示します。内容の列で損害の種類を確認し、注意点の列で見落としやすい証拠や争点を読み取ってください。

損害項目内容高次脳機能障害での注意点
治療費入院、手術、通院、検査、投薬症状固定までの必要性と相当性が争点になり得る
通院交通費通院のための交通費付き添いが必要な場合は理由を記録する
入院雑費入院中の雑費領収書や入院期間を整理する
休業損害事故で働けない間の収入減症状が見えにくく、就労不能の説明が重要
傷害慰謝料入通院による精神的苦痛通院実日数、治療期間、症状の重さが影響する
後遺障害慰謝料後遺障害が残ったことへの慰謝料等級、症状内容、生活影響を整理する
逸失利益将来収入の減少労働能力喪失率、基礎収入、喪失期間が大きな争点
将来介護費将来の介護、見守り、監督費用身体介護だけでなく見守りや金銭管理支援の必要性も検討する
家屋改造費、福祉用具バリアフリー、介護用品等必要性、金額、耐用年数、見積書を整理する
近親者の損害付き添い、介護、場合により慰謝料介護の実態を日誌化する
成年後見等の費用財産管理、身上保護の支援必要性がある場合は制度利用と賠償の関係を検討する
Section 04

高次脳機能障害の公的支援制度を目的別に整理する

一つの窓口で完結しないため、目的ごとに相談先を分けます。

公的支援制度は、医療費、専門相談、手帳、生活支援、所得保障、就労、金銭管理、交通事故賠償、自動車事故被害者支援に分かれます。次の表は、目的、主な制度、相談先を対応させたものです。困りごとに近い行を見つけ、最初に連絡する窓口と同時に確認すべき制度を読み取ってください。

目的主な制度相談先
医療費負担を軽くしたい高額療養費制度、限度額適用認定、健康保険、労災、自立支援医療加入保険者、医療機関、労働基準監督署、自治体
高次脳機能障害について相談したい高次脳機能障害支援拠点、支援コーディネーター都道府県、指定都市の支援拠点、国立障害者リハビリテーションセンター掲載窓口
障害者手帳を取得したい精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、療育手帳市区町村障害福祉担当、主治医
生活支援や介護を受けたい障害福祉サービス、相談支援、地域生活支援事業、介護保険市区町村、指定相談支援事業者、地域包括支援センター
収入減を補いたい傷病手当金、労災保険、障害年金、生活保護健康保険者、労働基準監督署、年金事務所、福祉事務所
仕事に戻りたいハローワーク障害者窓口、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターハローワーク、就労支援機関
判断能力や金銭管理が心配日常生活自立支援事業、成年後見制度社会福祉協議会、家庭裁判所、法務局、弁護士、司法書士
交通事故賠償を相談したい弁護士相談、法テラス、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センター弁護士、法テラス、各相談機関
重度後遺障害の自動車事故被害者支援を受けたいナスバの介護料、療護施設、交通事故被害者ホットライン、交通遺児等支援ナスバ、国土交通省関連窓口

高次脳機能障害者支援法の施行により、地域で相談支援や支援拠点につながる重要性がより明確になっています。次の重要ポイントは、法律の位置づけと地域支援の考え方を短くまとめたものです。日付と支援の方向性を確認し、居住地の市区町村と都道府県等の支援拠点を並行して確認する必要性を読み取ってください。

高次脳機能障害者支援法は2026年4月1日に施行

同法は2025年12月16日に成立し、同月24日に公布され、2026年4月1日に施行されました。医療、リハビリ、生活支援、社会参加支援まで、地域で切れ目なく受けられるようにする趣旨が示されています。

相談支援は、市町村の一般的相談支援と、都道府県・指定都市の専門性の高い相談支援に位置付けられています。実務上は、まず居住地の市区町村の障害福祉担当へ相談し、同時に都道府県または指定都市の高次脳機能障害支援拠点へつなぐことが有効です。

Section 05

高次脳機能障害の医療費、手帳、障害福祉サービス

治療を続ける制度と生活を支える制度を分けて確認します。

医療費と通院継続

交通事故の治療では、相手方保険会社が医療機関へ治療費を支払うことがあります。一方で、治療費対応が打ち切られる場合、健康保険を使って通院を継続する場面があります。交通事故は第三者行為による傷病に当たるため、健康保険を使う場合は加入している健康保険者に第三者行為による傷病届などの提出が必要になることがあります。業務中または通勤中の交通事故では、労災保険の利用も問題になります。

医療費を軽くする制度は、制度ごとに対象や窓口が異なります。次の一覧は、健康保険、高額療養費、自立支援医療を比較するものです。どの制度が治療継続に関係するか、どの窓口へ確認するかを読み取ってください。

健康保険と第三者行為

保険会社の治療費対応が止まる場合でも、健康保険を使って通院を続ける場面があります。第三者行為による傷病届が必要になることがあります。

加入保険者労災確認

高額療養費制度

医療機関や薬局の窓口負担が月単位の上限額を超えた場合、超えた額が支給されます。2026年8月から年単位の上限額を設ける見直しが予定されています。

医療費所得区分

自立支援医療、精神通院医療

精神疾患を有し、通院による精神医療を継続的に要する人が対象です。器質性精神障害も対象疾患に含まれます。

自治体主治医確認

障害者手帳制度

障害者手帳は、損害賠償の後遺障害等級そのものではありません。精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、療育手帳は、それぞれ目的、申請書類、判定基準、効果が異なります。手帳を所持することで、税金や公共料金等の控除や減免、公営住宅入居の優遇、障害者法定雇用率適用等のサービス、障害福祉サービスにつながることがあります。身体症状と精神症状を併せ持つ場合、2種類以上の手帳を申請できることがあります。

手帳、年金、自賠責、労災は、同じ「等級」という言葉を使っていても別制度です。次の表は、制度の目的、判定主体、交通事故実務との関係を比較します。等級名を混同せず、どの資料がどの判断に影響するかを読み取ってください。

制度主な目的判定主体交通事故実務との関係
精神障害者保健福祉手帳福祉、税制、雇用、サービス利用自治体生活支援資料にはなるが、自賠責等級を直接決めない
身体障害者手帳身体機能障害への福祉支援自治体麻痺や言語障害などの参考資料になる
障害年金所得保障日本年金機構等就労能力や日常生活能力の資料になり得るが別基準
自賠責後遺障害等級交通事故賠償の基礎損害保険料率算出機構等損害賠償額に大きく影響する
労災障害等級業務災害、通勤災害の補償労働基準監督署等業務中、通勤中事故では重要。自賠責との調整も問題になる

精神障害者保健福祉手帳では、高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば、器質性精神障害として申請対象になります。診断書を記載する医師は精神科医に限られず、リハビリテーション医、神経内科医、脳神経外科医等でも可能とされています。診断書は初診日から6か月以上経過後に作成し、作成日から3か月以内に申請する必要があります。身体症状がある場合は身体障害者手帳、18歳未満で知的障害と判定される場合は療育手帳も検討対象になります。

障害福祉サービスと相談支援

障害福祉サービスは、個々の障害の程度や勘案すべき事項を踏まえて個別に支給決定が行われるサービスと、市町村等の創意工夫により実施される地域生活支援事業に大別されます。介護の支援は介護給付、訓練等の支援は訓練等給付に位置付けられます。相談支援では、情報提供、福祉サービス利用支援、社会資源活用、専門機関紹介などが行われます。

高次脳機能障害では、身体介護だけでなく、見守り、予定管理、金銭管理、服薬確認、外出支援、対人トラブル予防、就労準備が問題になりやすくなります。次の表は代表的なサービスと利用場面を示します。サービス名ではなく、どの生活場面の困難に対応するかを読み取ってください。

サービス内容の例高次脳機能障害での利用場面
居宅介護入浴、排せつ、食事、家事、相談助言など家事、服薬、生活リズム、外出準備が難しい場合
重度訪問介護常時介護が必要な人への居宅介護、外出時支援など重度の身体障害や常時見守りが必要な場合
行動援護行動上著しい困難がある人への危険回避、外出支援など衝動性、迷子、危険認識低下、社会的行動障害が強い場合
自立訓練生活能力向上の訓練退院後の生活再構築、復職復学準備
就労移行支援一般就労に向けた訓練復職や再就職に向けた作業能力評価、職場適応
就労継続支援働く場の提供と訓練一般就労が直ちに難しい場合
生活介護日中活動、介護、創作活動等重度で日中の支援が必要な場合
短期入所一時的な施設利用介護者の休息、緊急時、家族の入院時
共同生活援助グループホーム家族介護が難しい場合、地域生活への移行
負担上限障害福祉サービスの自己負担は所得に応じた月額上限が設けられています。ただし、対象サービス、支給量、負担上限、自治体独自助成は地域や世帯状況により異なるため、市区町村の障害福祉担当または相談支援専門員に確認する必要があります。
Section 06

高次脳機能障害の所得保障、労災、就労、権利擁護

生活費、仕事、学校、金銭管理まで長期の生活再建として考えます。

所得保障では、傷病手当金、労災保険、障害年金、生活保護が問題になります。健康保険の傷病手当金は、病気やけがで働けず給与が支払われない場合の所得保障です。2022年1月1日から支給期間が通算化され、支給開始日から通算して1年6か月の支給となっています。通勤災害や業務災害では労災保険が問題になり、相手方自賠責、任意保険、労災保険、健康保険、傷病手当金が重なり得ます。

所得保障と生活支援は、初診日、第三者行為、事故態様、就労状況、日常生活能力によって確認先が変わります。次の一覧は、主要制度の役割を並べたものです。どの制度が収入減を支えるのか、どの制度が賠償との調整を要するのかを読み取ってください。

傷病手当金

働けず給与が支払われない期間の所得保障です。第三者行為による傷病届が必要になることがあります。

健康保険通算1年6か月

労災保険

業務中または通勤中の事故で検討します。第三者行為災害の手続、障害等級、アフターケア、補装具支給などが関係します。

労基署制度調整

障害年金

初診日、保険料納付要件、障害認定日、障害状態、診断書、病歴・就労状況等申立書をもとに判断されます。

年金事務所第三者行為

生活保護

最低限度の生活を保障し自立を助長する制度です。世帯単位を原則とし、資産、能力、他制度活用が前提になります。

福祉事務所個別確認

復職では、体力が戻ったかだけでは不十分です。注意の持続、作業速度、ミスへの気づき、予定管理、対人関係、疲労、通勤、安全配慮、職場の合理的配慮が問題になります。主治医、リハビリ職、産業医、人事労務担当、相談支援専門員、就労支援機関が連携し、段階的復職、時短勤務、業務内容の調整、メモやチェックリスト、静かな作業環境、定期面談などを検討します。

就労、学校、金銭管理、自動車事故被害者支援は、生活再建の後半で大きく影響します。次の一覧は、生活場面ごとの支援先をまとめたものです。本人だけで困りごとを説明しにくい場合は、家族や支援者が同席し、具体的場面をメモにして持参する必要性を読み取ってください。

就労

ハローワーク障害者窓口

専門知識のあるスタッフが担当者制で相談にのり、応募書類、面接指導、実習、個別求人開拓、地域の就労支援機関との連携を行います。

学校

学校生活と教育支援

記憶、注意、感情調整、疲労、友人関係、成績低下、進路選択が問題になります。学校、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーター、主治医、リハビリ職、教育委員会、福祉窓口の連携が必要です。

権利擁護

日常生活自立支援事業

福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、重要書類の預かりなどに関係します。本人に契約能力が残り、支援に同意できる場合に検討されます。

財産管理

成年後見制度

判断能力が不十分な人を保護し支援する制度です。預貯金管理、保険金管理、賠償金管理、契約、施設入所、悪質商法被害防止などで検討されます。

ナスバ

自動車事故被害者支援

脳、脊髄または胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害により常時または随時の介護が必要な場合、介護料、療護施設、交通事故被害者ホットラインなどを確認します。

調整が必要重度後遺障害では、障害福祉サービス、介護保険、労災介護給付、ナスバ介護料、自賠責や任意保険の将来介護費が重なり得ます。併給制限や調整があるため、ナスバ、自治体、労働基準監督署、弁護士等に確認する必要があります。
Section 07

高次脳機能障害で弁護士相談を検討するタイミング

示談前だけでなく、資料不足や制度調整が見えた段階でも相談対象になります。

高次脳機能障害が疑われる交通事故では、早期の資料確保と後遺障害申請前の論点整理が重要です。弁護士相談は保険会社との交渉だけでなく、事故証拠、医療資料、後遺障害診断書、被害者請求、異議申立て、休業損害、逸失利益、将来介護費、過失割合、制度間の調整、示談前のリスク説明に関係します。

相談のタイミングは、事故直後から示談案提示後まで複数あります。次の表は、どの場面で何を確認するために相談するのかを示します。左列の状況に当てはまる場合、右列の理由から、資料の不足や期限の管理を読み取ってください。

タイミング相談を検討する理由
事故直後に頭部外傷、意識障害、救急搬送があった後日の因果関係立証に直結する資料を早期に確保するため
退院後に性格変化、記憶障害、注意障害が目立つ診療科、検査、生活記録の方向性を誤らないため
保険会社から治療費打切りを示唆された医学的必要性、健康保険、労災、後遺障害準備を整理するため
症状固定と言われた後遺障害診断書、神経心理学的検査、日常生活資料を整えるため
自賠責の後遺障害申請をする被害者請求、事前認定、資料不足、異議申立てを検討するため
等級結果に疑問がある画像、意識障害、検査、生活状況、意見書の追加を検討するため
示談案が提示された後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費、過失割合を検討するため
介護、見守り、成年後見が必要将来費用、近親者損害、財産管理を含めて検討するため
労災、障害年金、手帳、福祉サービスも同時に動いている制度間の調整、資料の一貫性、時効管理が必要なため

弁護士相談の目的は、資料の取得、医学的論点の整理、損害算定、制度間の調整にまたがります。次の一覧は、相談時に確認されやすい役割を10項目で示します。順番に確認し、現在の段階で必要な支援が資料整理なのか、申請方針なのか、示談前の確認なのかを読み取ってください。

弁護士相談で整理する主な論点

証拠と医療資料

事故証拠の確保、医療資料の取得、受傷機転、画像、意識障害、症状経過を把握します。

後遺障害申請

後遺障害診断書作成前の論点、自賠責の被害者請求または事前認定、異議申立て、医師意見書、鑑定を検討します。

損害算定

休業損害、逸失利益、将来介護費、過失割合、事故態様、車両損傷、ドラレコ等を整理します。

制度調整と示談前確認

障害年金、労災、手帳、福祉制度との関係、示談前のリスクを確認します。

Section 08

高次脳機能障害の弁護士相談窓口と費用確認

公的・中立的な相談窓口と、代理人弁護士への相談を使い分けます。

弁護士への入口には、日弁連交通事故相談センター、法テラス、交通事故紛争処理センター、弁護士費用特約、自治体や弁護士会の相談窓口などがあります。窓口によって、無料相談、面接相談、示談あっせん、費用立替、中立的な紛争解決、代理人としての活動の有無が異なります。

相談窓口は、費用、利用条件、役割、代理人性が違います。次の比較表は、代表的な窓口で何ができるかを整理したものです。無料かどうかだけで選ばず、中立的な調整なのか、被害者側代理人として動く相談なのかを読み取ってください。

窓口特徴確認すること
日弁連交通事故相談センター無料の交通事故相談、面接相談、示談あっせん等を行います。全国154か所の相談所があり、面接相談は原則5回まで利用可能とされています。高次脳機能障害の面接相談は全国56か所で行われ、電話相談は30分程度、電話番号は03-3581-1782と案内されています。予約方法、相談対象、面接相談の場所、電話相談後に面接相談へつながるか
法テラス経済的に余裕がない人を対象として、無料法律相談や弁護士、司法書士費用等の立替制度を行います。相談時間は1回30分、同一問題につき3回までと案内されています。収入、資産、家族人数、弁護士費用特約の有無、事前予約
交通事故紛争処理センター自動車事故の損害賠償問題を中立公正な立場から無料で支援します。電話予約、法律相談、和解あっ旋、必要に応じた審査会による審査という流れです。申立人の住所地または事故地のセンター、利用時期、相談担当弁護士が代理人ではない点
弁護士費用特約自動車保険、火災保険、傷害保険、クレジットカード付帯保険、勤務先や学校関係の保険で利用できる場合があります。家族の保険で使えるか、歩行中や自転車事故で使えるか、相談料、着手金、報酬金、事前承認
自治体、弁護士会、その他交通事故相談所、法律相談窓口、犯罪被害者支援窓口、医療機関の患者相談窓口、社会福祉協議会、精神保健福祉センターなどがあります。相談対象、予約方法、地域の支援制度、専門相談へつながるか
代理人性交通事故紛争処理センターの相談担当弁護士は、中立的立場で和解を調整する役割であり、申立人の代理人ではありません。重い高次脳機能障害で、医学的判断、将来介護費、逸失利益、因果関係、等級に争いがある場合は、被害者側代理人弁護士をつける必要性も検討します。

相談前には、事故日、相手方保険会社、治療経過、診断名、画像、症状、後遺障害申請状況、提示額、困っている点をメモにしておくと話が進みやすくなります。

Section 09

高次脳機能障害で弁護士に持参する資料

事故、医療、生活、保険の資料を分けて準備します。

弁護士相談では、事故の衝撃、医学的経過、事故前後の生活変化、収入や介護、保険会社との交渉状況を一緒に確認します。資料は多く見えますが、分類ごとに整理すると不足が分かりやすくなります。

事故関係資料は、受傷機転や過失割合、頭部外傷の説明に関係します。次の表は、資料の取得先と備考をまとめたものです。保存期間が短いもの、取得時期に注意が必要なものを優先して読み取ってください。

資料取得先備考
交通事故証明書自動車安全運転センター人身事故扱いか確認する
実況見分調書、供述調書刑事記録、検察庁、裁判所等取得時期と方法は弁護士に相談
現場写真、道路形状、信号、標識本人、家族、調査会社早期に保存する
ドライブレコーダー、防犯カメラ車両、店舗、警察等保存期間が短いことがある
車両写真、修理見積、全損資料修理工場、保険会社衝撃の程度を推測する資料になる
EDR、ECU等のデータ車両、専門業者重大事故では検討対象になる

医療資料は、診断名だけでなく、意識障害、画像、検査、リハビリ、症状固定時の評価を確認するために重要です。次の表は、資料ごとの注意点をまとめています。どの資料が後遺障害診断書の内容を支えるかを読み取ってください。

資料注意点
診断書、入退院証明書傷病名だけでなく症状経過を確認
診療録、看護記録意識障害、せん妄、行動異常、家族説明が記録されていることがある
救急搬送記録事故直後の意識状態や搬送時所見を確認
画像データ、読影報告CT、MRIをCD等で取得し、読影報告も確認
神経心理学的検査結果だけでなく検査日、検査時の状態、妥当性も確認
リハビリ記録生活能力、復職、言語、注意、疲労の評価
後遺障害診断書作成前に症状固定、検査、生活資料を整理する
主治医意見書必要に応じて弁護士が論点を整理して依頼する

生活、仕事、学校の資料は、高次脳機能障害の見えにくい困難を説明するために重要です。次の表は、家族日誌、事故前後の生活、収入、介護、制度利用をまとめたものです。事故前と事故後の差が分かる資料を中心に読み取ってください。

資料具体例
家族日誌服薬忘れ、迷子、火の不始末、対人トラブル、怒り、睡眠、疲労
事故前の生活資料勤務評価、成績、資格、家計管理、家事分担
事故後の生活資料退職、配置転換、欠勤、成績低下、介護記録
収入資料源泉徴収票、給与明細、確定申告書、休業損害証明書
介護費資料介護時間、福祉サービス利用票、領収書、家屋改造見積
制度利用資料手帳、障害年金、労災、傷病手当金、障害福祉サービスの決定通知

保険と交渉資料は、相手方保険会社の提示、後遺障害認定理由、弁護士費用の負担方法、示談案の内訳を確認するために必要です。次の表は、交渉段階で確認する資料と目的を示します。示談前に損害項目の漏れがないかを読み取ってください。

資料目的
相手方任意保険会社からの書面提示額、治療費対応、休業損害の確認
自賠責後遺障害認定票認定理由、等級、非該当理由の確認
保険証券、弁護士費用特約弁護士費用の負担方法を確認
示談案、計算書損害項目の漏れ、基準、過失割合を確認
Section 10

高次脳機能障害の実務で示談前に確認すべき重要論点

将来損害、家族介護、既往症、本人の意思決定を後回しにしないための確認です。

示談は原則として最終解決であり、後から症状や損害が増えたと主張することが難しくなります。高次脳機能障害では、症状固定、後遺障害診断書、画像、意識障害、神経心理学的検査、生活資料、自賠責等級、休業損害、逸失利益、将来介護費、近親者損害、労災、障害年金、手帳、福祉制度、成年後見、金銭管理、長期生活設計を確認する必要があります。

示談前の確認事項は、医学、賠償、制度調整、生活設計に分かれます。次の一覧は、示談前に見落とすと後で問題になりやすい点を示します。危険な順番というより、すべての行を確認リストとして読み取ってください。

症状固定と診断書

症状固定時期が医学的に妥当か、後遺障害診断書に認知、行動、社会生活上の支障が記載されているかを確認します。

提出資料

画像、意識障害、神経心理学的検査、生活資料が提出されているかを確認します。

等級と異議申立て

自賠責等級が妥当か、異議申立ての余地があるかを確認します。

将来損害

休業損害、逸失利益、将来介護費、近親者損害が検討されているかを確認します。

制度調整

労災、障害年金、手帳、福祉制度との関係が整理されているかを確認します。

生活設計

成年後見、金銭管理、長期生活設計が必要かを確認します。

高次脳機能障害では、食事や排せつの直接介助がなくても、見守り、声かけ、予定管理、金銭管理、服薬確認、外出同行、対人トラブル防止が必要になることがあります。家族は、介護時間、支援内容、事故、危険場面、本人の反応を日誌化します。単に「大変」と書くのではなく、日付、支援内容、本人の反応を具体的に記録することが重要です。

事故前後の差保険会社との交渉や裁判では、事故前からの発達特性、精神疾患、認知症、飲酒、睡眠障害、加齢、家族関係、職場ストレスなどが争点になることがあります。通院歴、休職歴、学校での支援歴、精神科受診歴がある場合は、隠すよりも事故前後の差を客観的に整理する方が重要です。

高次脳機能障害があっても、本人の意思は尊重される必要があります。家族や支援者がすべてを代行するのではなく、本人が理解できる形で情報を整理し、時間をかけ、選択肢を提示し、必要な支援を受けながら意思決定することが望まれます。一方で、判断能力が著しく低下している場合、契約、示談、訴訟委任、保険金受領、施設契約、相続などについて法的な支援体制が必要になることがあります。

Section 11

高次脳機能障害の事故後時系列チェックリスト

事故直後、1か月から6か月、症状固定前後で行う確認を分けます。

事故後の対応は、時期によって優先順位が変わります。次の時系列は、事故直後から症状固定前後までの行動を並べたものです。上から下へ進めることで、証拠、医療、生活支援、後遺障害申請、示談前確認の抜けを読み取ってください。

事故直後から1か月

初期資料と安全確認

警察へ人身事故として届出、救急・脳神経外科・整形外科の受診、事故直後の意識、会話、記憶、混乱、嘔吐、けいれんの記録、保険会社への連絡、弁護士費用特約の確認、勤務先や学校への連絡、診療録や画像の所在把握を行います。

1か月から6か月

継続評価と生活記録

脳神経外科、リハビリ科、精神科等で継続評価を受け、神経心理学的検査を検討し、家族日誌を作成します。医療ソーシャルワーカー、高次脳機能障害支援拠点、弁護士へ相談し、資料不足、治療費打切り、後遺障害準備を確認します。

6か月以降、症状固定前後

制度申請と示談前確認

精神障害者保健福祉手帳等、障害年金、労災障害給付の可能性を確認し、後遺障害診断書の作成前に資料を整理します。自賠責後遺障害申請を行い、示談案は将来損害を含めて確認します。

事故直後の行動は、後の交通事故証明、刑事記録、画像、意識障害の立証に影響します。次の表は、初期1か月で行うこと、担当、注意点を対応させたものです。誰が動くかを決め、証拠が失われやすいものを優先して読み取ってください。

行動担当注意点
警察へ人身事故として届出本人、家族交通事故証明、刑事記録に影響する
救急、脳神経外科、整形外科を受診医療機関頭部外傷、意識障害、画像を確認
事故直後の状態を記録家族意識、会話、記憶、混乱、嘔吐、けいれん
保険会社へ連絡本人、家族弁護士費用特約も確認
勤務先、学校へ連絡本人、家族休職、欠席、労災、通勤災害を確認
診療録、画像の所在を把握家族、弁護士後で取得できるよう病院名と日付を整理

1か月から6か月は、症状の見落としを防ぎ、生活変化を具体的な資料にする時期です。次の表は、継続評価と相談先の目的をまとめたものです。検査、家族日誌、支援拠点、弁護士相談を並行して考える必要性を読み取ってください。

行動目的
脳神経外科、リハビリ科、精神科等で継続評価症状の見落としを防ぐ
神経心理学的検査を検討認知機能を客観化する
家族日誌を作成事故前後の生活変化を記録する
医療ソーシャルワーカーに相談手帳、障害福祉、傷病手当金を確認する
高次脳機能障害支援拠点に相談専門的支援につなげる
弁護士へ初回相談資料不足、治療費打切り、後遺障害準備を確認する

6か月以降は、福祉制度、所得保障、後遺障害申請、示談案の確認が重なりやすい時期です。次の表は、症状固定前後で行う行動と目的をまとめています。申請と示談を別々に進めず、将来損害を含めて確認する必要性を読み取ってください。

行動目的
精神障害者保健福祉手帳等の申請を検討福祉、就労、税制、公共料金等の支援につなげる
障害年金の可能性を確認所得保障を検討する
労災障害給付を確認業務中、通勤中事故の場合に重要
後遺障害診断書の作成前に資料整理記載漏れを防ぐ
自賠責後遺障害申請等級認定に必要な資料を提出する
示談案の検討将来損害を含めて弁護士に確認する
Section 12

高次脳機能障害の専門職連携と相談前の整理シート

専門職がばらばらに動くと、資料の抜けや説明の矛盾が生じやすくなります。

高次脳機能障害の交通事故事案では、警察、医療、リハビリ、心理、福祉、労務、法律、保険、車両解析、勤務先、学校が関わります。次の表は、専門職ごとの役割と連携上のポイントを示します。どの専門職がどの資料や生活課題を担当するかを読み取り、同じ事実関係を共有できるようにします。

専門職役割連携上のポイント
警察官、鑑識、交通事故鑑定人事故状況、証拠、過失、衝撃の分析刑事記録、現場図、映像、車両損傷を保存する
救急医、脳神経外科医急性期診療、画像診断、意識障害評価初期所見と画像を後日の評価につなげる
リハビリテーション科医機能評価、社会復帰計画神経心理学的検査、生活能力評価を統合する
PT、OT、ST身体、認知、言語、生活動作の訓練実生活での困難を評価に反映する
公認心理師、臨床心理士心理評価、家族支援抑うつ、PTSD、病識低下、感情調整を評価する
医療ソーシャルワーカー退院調整、制度案内手帳、障害福祉、年金、生活支援につなげる
社会福祉士、相談支援専門員サービス等利用計画、地域支援支援量と生活課題を具体化する
社会保険労務士労災、障害年金、傷病手当金初診日、第三者行為、労災との調整を確認する
弁護士損害賠償、示談、訴訟、後遺障害申請医学資料、生活資料、損害算定を統合する
保険会社担当者、損害調査担当治療費、休業損害、示談提示必要資料を正確に提出し、不足は争点化する
自動車整備士、車体修理業者車両損傷、修理費、衝撃の状況事故態様や受傷機転の補助資料になる
産業医、人事労務担当復職、休職、配置転換合理的配慮と安全配慮を検討する
学校、スクールカウンセラー復学、学習支援、心理支援成績、行動、友人関係の変化を共有する

相談前に情報を1枚にまとめると、医師、福祉窓口、弁護士への相談が進みやすくなります。次の整理シートは、事故、症状、生活、検査、公的支援、保険、後遺障害、相談したいことを一目で確認するためのものです。空欄を埋めることで、どの情報が不足しているかを読み取ってください。

項目記入内容
事故日、場所、事故態様例 横断中に右折車と衝突、救急搬送
頭部外傷の有無打撲部位、出血、頭蓋骨骨折、脳出血、脳挫傷など
意識障害意識消失の有無、時間、救急記録、GCSなど
入院、通院先病院名、診療科、期間、主治医
現在の症状記憶、注意、怒り、疲労、言語、睡眠、てんかんなど
事故前の生活仕事、学校、家事、収入、趣味、運転、家計管理
事故後の変化復職不能、退職、成績低下、家族介護、トラブル
検査CT、MRI、神経心理学的検査、脳波
公的支援手帳、障害年金、労災、傷病手当金、福祉サービス
保険相手方任意保険、自賠責、弁護士費用特約
後遺障害申請前、申請中、等級結果、異議申立ての有無
相談したいこと治療費、後遺障害、示談、生活費、介護、仕事、学校
Section 13

高次脳機能障害でよくある誤解と一般的な考え方

外見、診断、保険会社、公的支援、示談金への誤解を整理します。

高次脳機能障害は見えにくい障害であるため、本人、家族、勤務先、保険会社との間で認識のずれが生じやすくなります。次の一覧は、よくある誤解と一般的な考え方を並べたものです。各項目から、どの資料や専門家確認が必要になるかを読み取ってください。

誤解1

外見が普通なら軽いとは限らない

一般的には、歩ける、話せる、笑えるという外見だけでは判断できないとされています。外形上分かりにくいため、本人や家族が孤立しやすく、生活場面での具体的な変化を記録することが重要です。

誤解2

診断だけで賠償が自動的に決まるわけではない

一般的には、診断は重要ですが、賠償では事故との因果関係、症状固定、後遺障害等級、過失割合、収入、将来介護、生活状況が問題になります。診療録、画像、検査、日常生活資料、就労資料を組み合わせる必要があります。

誤解3

保険会社に任せれば十分とは限らない

一般的には、保険会社は保険金支払いを行う立場であり、被害者の代理人ではありません。後遺障害申請の方法、提出資料、示談時期、損害算定に疑問がある場合、独立した専門家へ相談する必要があります。

誤解4

公的支援の利用が直ちに賠償で不利になるとは限らない

一般的には、障害者手帳、障害福祉サービス、障害年金、労災は生活を支えるための制度です。賠償との調整が必要なことはありますが、制度利用と損害賠償の関係は専門家に確認しながら整理します。

誤解5

示談金だけで生活が解決するとは限らない

一般的には、高次脳機能障害は長期に及ぶことがあります。金銭管理、介護、医療、住まい、就労、家族関係、成年後見、相続、税務を含めた長期生活設計が必要になる可能性があります。

Section 14

高次脳機能障害の公的支援制度と弁護士相談を一体で進める

医療、福祉、所得保障、賠償を別々に考えすぎないことが重要です。

高次脳機能障害は、診断名だけで生活支援や賠償が自動的に決まる障害ではありません。事故直後の意識障害、画像、症状経過、神経心理学的検査、日常生活の変化、就労や就学の変化、家族介護、本人の意思決定能力などを、時間軸に沿って整理する必要があります。

最初に確認すべき相談先は4つに整理できます。次の一覧は、医療、福祉、所得保障、法的相談の入口を示します。どれか一つを選ぶというより、並行して確認すべき領域を読み取ってください。

入口1

主治医と医療機関の相談室

診断、検査、治療継続、リハビリ、医療費、診療情報の整理を確認します。

入口2

障害福祉担当と支援拠点

市区町村の障害福祉担当と都道府県等の高次脳機能障害支援拠点を確認します。

入口3

公的窓口

健康保険者、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどで所得保障や就労支援を確認します。

入口4

交通事故の法律相談

日弁連交通事故相談センター、法テラス、交通事故紛争処理センター、または交通事故に詳しい弁護士へ相談します。

交通事故による高次脳機能障害では、生活再建と法的解決は両輪です。公的支援は日々の生活を支え、弁護士相談は事故による損害を適切に評価し、将来に課題を残さない解決を目指すための一つの手段です。本人と家族が孤立しないためには、早い段階から支援拠点と法的相談窓口の双方につながることが重要です。

Reference

参考資料と公的情報源

公的機関、制度案内、中立的な相談機関の情報をもとに整理しています。

高次脳機能障害と地域支援

  • 国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害を理解する」
  • 厚生労働省「高次脳機能障害者支援法関係通知について」
  • 国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害支援に関する制度」
  • 国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター「高次脳機能障害相談窓口」

交通事故賠償と後遺障害

  • 国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト「自賠責保険・共済における脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」
  • 国土交通省「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」
  • 国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト「被害者支援」

医療費、福祉、所得保障

  • 厚生労働省「自立支援医療 精神通院医療 の概要」
  • 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」
  • 厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
  • 厚生労働省「障害者の利用者負担」
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 厚生労働省「健康保険の傷病手当金の支給期間通算化に関する案内」
  • 厚生労働省「労災補償」
  • 日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」
  • 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
  • 厚生労働省「生活保護制度」
  • 厚生労働省「日常生活自立支援事業」
  • 厚生労働省「障害者に関する窓口」

権利擁護、ナスバ、法律相談

  • 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」
  • 独立行政法人自動車事故対策機構 ナスバ「介護料のご案内」
  • 国土交通省「独立行政法人自動車事故対策機構 ナスバ とは」
  • 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター 公式サイト
  • 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター「交通事故による高次脳機能障害の弁護士への相談」
  • 法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」
  • 公益財団法人 交通事故紛争処理センター 公式サイト