2σ Guide

下請法の書面調査が
来たときの回答手順

取適法時代の書面調査は、期限内に調査票を出すだけでは足りません。通知確認、社内体制、対象取引の分類、証拠収集、回答文作成、違反疑義の是正までを一連の実務として整理します。

2026年1月1日から取適法施行
60日以内受領日起算の支払期日
50万円以下虚偽報告等の罰金リスク
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下請法の書面調査が 来たときの回答手順

取適法時代の書面調査は、期限内に調査票を出すだけでは足りません。

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下請法の書面調査が 来たときの回答手順
取適法時代の書面調査は、期限内に調査票を出すだけでは足りません。
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  • 下請法の書面調査が 来たときの回答手順
  • 取適法時代の書面調査は、期限内に調査票を出すだけでは足りません。

POINT 1

  • 下請法の書面調査が来たときの回答手順は事実認定から始める
  • 1. 通知を確認:発信主体、回答期限、対象会社、対象期間、回答方法を保存します。
  • 2. 小チームを組成:法務、購買、経理、内部監査、事業部門で事実確認の役割を分けます。
  • 3. 取引を分類:取引類型、資本金基準、従業員基準、発注日、支払条件を整理します。
  • 4. 証拠を収集:発注書、契約書、EDI、検収記録、支払データ、価格協議記録を照合します。
  • 5. 違反疑義の有無を判定:選択式回答でも客観資料に基づいて例外取引を確認します。
  • 6. 是正方針を検討:停止、原状回復、再発防止、自発的申出の要否を整理します。
  • 7. 提出と保存:回答控え、根拠資料、承認記録を保存し追加照会に備えます。

POINT 2

  • 下請法の書面調査で押さえる取適法の用語と法的根拠
  • 旧下請法の用語に慣れた担当者ほど、改正後の名称と権限規定を先にそろえる必要があります。
  • 書面調査は任意アンケートと同視しない
  • 設問へ入力する
  • 資料で裏付ける

POINT 3

  • 下請法の書面調査が届いた直後の24時間で行う初動
  • 1. 通知一式を保存:はがき、封書、メール、ID、整理番号、問い合わせ先をまとめ、受領部署と転送時刻を記録します。
  • 2. 法務・コンプライアンスへ共有:購買部の一担当者だけに任せず、経理、内部監査、関係部門へ作業開始を知らせます。
  • 3. 公式情報と照合:通知記載のURLだけでなく、公式サイトの調査案内や担当課情報と照合します。
  • 4. 延長相談を判断:データ量が多い、多拠点、過年度取引の抽出に時間がかかる場合は、期限前に事情と提出予定日を説明します。

POINT 4

  • 下請法の書面調査に対応する社内体制と経営層報告
  • 違反疑義
  • 支払遅延、減額、返品、やり直し、買いたたき、価格協議不対応などの疑義がある場合。
  • 規模の大きさ
  • 取引先数、対象金額、対象期間が大きく、原状回復額や説明対象が広がる場合。

POINT 5

  • 下請法の書面調査で対象取引を分類する手順
  • 取引内容、資本金基準、従業員基準、発注日を分けて整理し、適用対象の誤判定を避けます。
  • 取適法の対象となるかは、まず取引内容で判断します。
  • 代表的には、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託が問題となります。
  • 契約書の名称が「業務委託契約」「請負契約」「準委任契約」「外注契約」などであっても、実際に何を依頼しているかを確認します。

POINT 6

  • 下請法の書面調査で回答前に集める証拠資料
  • 発注、受領・検収、支払、減額・返品、価格協議の記録をそろえてから回答します。
  • 支払期日は受領日から見る
  • 回答票の設問が単純でも、社内の記憶だけで回答してはなりません。
  • 大企業・多拠点企業では、ある部署では発注書を交付していても、別の部署では口頭発注をしていることがあります。

POINT 7

  • 下請法の書面調査に対する委託事業者側の回答手順
  • 1. 対象事業所・部署を確定:本社購買、工場購買、開発外注、情報システム、物流、営業、管理部門を洗い出します。
  • 2. 対象取引先リストを作成:資本金不明、従業員数不明、個人事業者、屋号取引、商社経由取引に確認フラグを立てます。
  • 3. 取引内容を分類:製造、修理、情報成果物、役務、特定運送に分類します。
  • 4. 義務違反を確認:明示義務、支払期日、記録作成・保存、遅延利息を確認します。
  • 5. 禁止行為を確認:受領拒否、支払遅延、減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置などを確認します。
  • 6. 回答原案をレビュー:購買だけでなく法務・経理が、回答ごとの根拠資料を確認します。
  • 7. 最終承認と提出:回答控え、受付番号、送信日時、担当者、承認者を保存します。

POINT 8

  • 下請法の書面調査に対する中小受託事業者側の回答手順
  • 1. 対象委託元を確認:通知はがきや専用サイトで、どの委託元との取引について回答するのかを確認します。
  • 2. 取引資料を集める:注文書、発注書、メール、EDI、見積書、価格協議記録、入金記録、控除明細を集めます。
  • 3. 事実を具体化:日時、金額、書類、相手方担当部署、やり取りの内容を入れて記載します。
  • 4. 委託元への干渉に注意:受託側調査の回答内容を委託元に事前確認させる必要はありません。
  • 5. 報復リスクに備える:回答後の発注量急減、不利益示唆、単価交渉拒否などは、日時、発言、メール、発注推移を保存します。

まとめ

  • 下請法の書面調査が 来たときの回答手順
  • 下請法の書面調査が来たときの回答手順は事実認定から始める:2026年以降は取適法という正式名称も確認し、期限管理だけでなく証拠と社内統制を結び付けて対応します。
  • 下請法の書面調査で押さえる取適法の用語と法的根拠:旧下請法の用語に慣れた担当者ほど、改正後の名称と権限規定を先にそろえる必要があります。
  • 下請法の書面調査が届いた直後の24時間で行う初動:通知を捨てない、転送で止めない、公式情報と照合する、期限前に相談するという初動が後続作業を左右します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

下請法の書面調査が来たときの回答手順は事実認定から始める

2026年以降は取適法という正式名称も確認し、期限管理だけでなく証拠と社内統制を結び付けて対応します。

下請法の書面調査が来たときの回答手順で最も重要なのは、調査票を単なる行政アンケートとして扱わないことです。委託事業者側では取引実態、支払実務、記録保存、違反疑義の有無を当局に報告する場面であり、受託側では委託元から受けた不利益や価格協議の実情を伝える場面です。

2026年1月1日から、従来「下請法」と呼ばれてきた法律は、改正後の正式名称として「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、略称は「中小受託取引適正化法」、通称は「取適法」とされています。現場では「下請法」「取適法」「中小受託取引調査」などの名称が混在し得るため、通知に書かれた調査名、対象期間、発注日を切り分けます。

次の重要ポイントは、書面調査対応で最初に押さえるべき基準をまとめたものです。日付、支払期限、罰則の上限を並べることで、読者は「いつの取引か」「何日以内か」「回答精度を軽視した場合のリスク」をすぐ確認できます。

調査対応は「期限までに出す作業」ではなく「会社として事実を確定する作業」

通知の真偽確認、対象取引の分類、資料収集、回答根拠メモ、違反疑義の是正方針までを一つの実務プロジェクトとして扱うことが重要です。

初動から提出後までの大きな順番は、どの部署が担当する場合でも共通します。下の判断の流れでは、通知確認から提出後保存までを一列に並べ、途中で違反疑義が見つかった場合に是正・返金・自発的申出の検討へ分岐する点を読み取ってください。

下請法の書面調査が来たときの基本手順

通知を確認

発信主体、回答期限、対象会社、対象期間、回答方法を保存します。

小チームを組成

法務、購買、経理、内部監査、事業部門で事実確認の役割を分けます。

取引を分類

取引類型、資本金基準、従業員基準、発注日、支払条件を整理します。

証拠を収集

発注書、契約書、EDI、検収記録、支払データ、価格協議記録を照合します。

違反疑義の有無を判定

選択式回答でも客観資料に基づいて例外取引を確認します。

疑義あり
是正方針を検討

停止、原状回復、再発防止、自発的申出の要否を整理します。

疑義なし
提出と保存

回答控え、根拠資料、承認記録を保存し追加照会に備えます。

注意このページは一般的な制度・実務情報を整理するものです。個別案件の法的評価、当局対応方針、自発的申出の要否、取引先への補償範囲は、事実関係と証拠により変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 01

下請法の書面調査で押さえる取適法の用語と法的根拠

旧下請法の用語に慣れた担当者ほど、改正後の名称と権限規定を先にそろえる必要があります。

従来の下請法は、発注側が受注側に不利な取引条件を押し付けやすい構造を踏まえ、一定の委託取引について発注側に義務を課し、禁止行為を定める法律です。2026年1月1日以降は、法律名と用語が見直され、「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「下請代金」は「製造委託等代金」と呼ばれます。

次の比較表は、調査票・通知・社内資料で混在しやすい用語を整理したものです。旧称と新称を対比すると、回答対象が旧法時代の取引なのか、取適法施行後の取引なのかを読み分けやすくなります。

旧来の呼称2026年以降の理解回答時の確認点
下請法取適法、中小受託取引適正化法通知・当局資料で使われる正式名称と対象期間を確認します。
親事業者委託事業者自社が発注側として義務を負うかを確認します。
下請事業者中小受託事業者相手方の資本金、従業員数、個人事業者該当性を確認します。
下請代金製造委託等代金支払期日、減額、手形払等、満額取得の可否を確認します。
下請取引調査委託元との取引調査、中小受託取引調査など紙の調査票、通知はがき、オンライン回答の方式を確認します。

書面調査は任意アンケートと同視しない

取適法では、公正取引委員会が委託事業者または中小受託事業者に対し、製造委託等に関する取引について報告をさせ、または職員に事務所・事業所へ立ち入らせて帳簿書類その他の物件を検査させることができる旨が規定されています。中小企業庁長官や事業所管大臣にも、一定の場合に報告徴収・立入検査の権限があります。

報告をしないこと、虚偽報告、検査拒否・妨害・忌避については、50万円以下の罰金が問題となり得ます。法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が法人または人の業務に関して違反行為をした場合、行為者だけでなく法人または人にも罰金刑が科される両罰規定も置かれています。

次の一覧は、調査対応で誤りやすい「回答」と「説明責任」の違いを整理しています。左列の作業だけで止まると形式的な提出に見えやすく、右列の確認まで行うことで会社としての事実認定に近づく点を読み取ってください。

回答

設問へ入力する

選択肢、数値、自由記載欄を期限内に提出します。形式面では必要ですが、根拠が弱いと追加照会や虚偽報告リスクが残ります。

説明責任

資料で裏付ける

社内資料、支払データ、担当者ヒアリング、当局公表資料を照合し、会社として事実を特定します。

内部統制

提出後にも耐える

回答控え、証拠、検討メモ、承認記録を保存し、追加照会、取引先対応、監査対応に備えます。

Section 02

下請法の書面調査が届いた直後の24時間で行う初動

通知を捨てない、転送で止めない、公式情報と照合する、期限前に相談するという初動が後続作業を左右します。

通知はがき、封書、メール、オンライン回答用ID、パスワード、整理番号、問い合わせ先、回答期限は、すべて証拠です。総務部、購買部、工場、支店、営業所、経理部など、最初に受領した部署だけで処理せず、法務またはコンプライアンス部門へ即日共有します。

初動記録は、後で回答範囲や期限延長の相談を説明する根拠になります。次の一覧では、受領時に記録すべき項目と、なぜ重要なのかを並べています。各行を埋めることで、調査名、対象者、回答期限、社内担当の食い違いを早期に見つけられます。

項目記録すべき内容実務上の意味
受領日郵便到着日と社内転送日を区別します。期限管理と社内遅延の説明に関わります。
発信主体公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁、調査事務局などを確認します。問い合わせ先や法的根拠の確認につながります。
調査名通知記載の正式名称をそのまま記録します。旧法・取適法・受託側調査の区別に必要です。
対象者法人単位、事業所単位、特定委託元単位、特定取引先単位を確認します。回答範囲を広げすぎる、または狭めすぎる誤りを防ぎます。
回答期限日付、時刻、郵送必着かオンライン締切かを確認します。延長相談の要否を早めに判断できます。
回答方法専用サイト、郵送、電子メール、指定フォームを確認します。回答控えの保存方法を事前に決められます。
担当者責任者、実務担当者、承認者、外部専門家の有無を記録します。提出前レビューの抜け漏れを防ぎます。

フィッシング・なりすまし確認

オンライン調査では、専用サイトへのアクセス、事業者番号、パスワード設定などが求められる場合があります。通知文に記載されたURLだけでなく、公正取引委員会または中小企業庁の公式ウェブサイトに掲載されている調査案内と照合します。公式サイトで確認できないURL、短縮URL、個人メールアドレス、金銭支払を求める案内、不要な添付ファイルの開封を求めるメールには注意します。

最初の24時間では、作業の順番を固定しておくと、通知の紛失や担当者任せを避けやすくなります。次の時系列では、受領から期限延長相談の判断までを上から順に並べ、どの段階で証拠化・共有・真偽確認を行うかを読み取ってください。

受領直後

通知一式を保存

はがき、封書、メール、ID、整理番号、問い合わせ先をまとめ、受領部署と転送時刻を記録します。

同日中

法務・コンプライアンスへ共有

購買部の一担当者だけに任せず、経理、内部監査、関係部門へ作業開始を知らせます。

初日

公式情報と照合

通知記載のURLだけでなく、公式サイトの調査案内や担当課情報と照合します。

期限前

延長相談を判断

データ量が多い、多拠点、過年度取引の抽出に時間がかかる場合は、期限前に事情と提出予定日を説明します。

保存中小企業庁の令和7年度調査では、回答後にWEB回答フォームから自社回答を確認できない旨の案内があり、回答時に出力・保存した調査票の写しで確認するよう注意が示されていました。提出時の控え保存は、初動段階から準備しておく必要があります。
Section 03

下請法の書面調査に対応する社内体制と経営層報告

購買部だけで完結させず、法務・経理・内部監査・事業部門を含む小チームで回答を作ります。

下請法の書面調査が来たときの回答手順では、担当者を購買部の一人に任せる運用が最も危険です。購買部は取引実態を知っていますが、法的評価、支払データ、会計処理、証拠保存、当局対応の全体像を単独で担うには限界があります。

次の表は、回答チームに入れるべき役割と担当任務を整理したものです。どの部署が何を確認するかを分けることで、現場記憶だけに依存せず、法務評価・支払実態・証拠保存を同時に進められる点を読み取ってください。

役割担当部門・専門職主な任務
総括責任者法務部長、コンプライアンス責任者、管理本部長回答方針、社内調整、役員報告、最終承認を担います。
法的評価企業内弁護士、外部弁護士、独禁法・競争法担当取適法該当性、違反疑義、自由記載、当局対応、自発的申出を検討します。
取引実態確認購買、外注管理、事業部、工場、開発部門発注、仕様変更、納期変更、検収、返品、やり直し、価格交渉を確認します。
支払確認経理、財務、税務担当、公認会計士締日、支払日、相殺、控除、遅延、支払手段、会計データを突合します。
証拠保全内部監査、情報システム、リーガルオペレーション契約管理、EDI、メール、承認手続、ログ、回答控えを保存します。
再発防止内部統制、リスクマネジメント、教育研修担当規程改定、発注書フォーム改定、承認手順、研修、監査計画を設計します。

経営層へ早期報告すべき場面は、調査票の難しさではなく、会社リスクの大きさで判断します。次の重要ポイント一覧は、経営報告の引き金になる事情を並べたものです。該当項目が多いほど、単なる事務処理ではなく、是正・返金・レピュテーション対応を含む管理案件として扱う必要が高まります。

違反疑義

支払遅延、減額、返品、やり直し、買いたたき、価格協議不対応などの疑義がある場合。

規模の大きさ

取引先数、対象金額、対象期間が大きく、原状回復額や説明対象が広がる場合。

過去の兆候

同種の指摘、内部通報、取引先クレーム、監査指摘と関係する場合。

公表リスク

個別調査、立入検査、勧告、公表につながる可能性がある場合。

社内処理

返金、遅延利息、契約改定、システム改修、社内処分、取締役会報告が必要になり得る場合。

公正取引委員会の運用基準は、違反行為の未然防止のために、経営責任者を中心とする遵法管理体制、遵法マニュアルの作成、購買・外注担当者をはじめとする社内周知が不可欠であるという考え方を示しています。書面調査への対応は、この遵法管理体制が実際に機能しているかを試す場面です。

Section 04

下請法の書面調査で対象取引を分類する手順

取引内容、資本金基準、従業員基準、発注日を分けて整理し、適用対象の誤判定を避けます。

取適法の対象となるかは、まず取引内容で判断します。代表的には、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託が問題となります。契約書の名称が「業務委託契約」「請負契約」「準委任契約」「外注契約」などであっても、実際に何を依頼しているかを確認します。

次の分類表は、取引内容ごとに典型例と注意点を並べたものです。契約タイトルではなく、依頼内容、納入物、役務の性質、販売目的か自社利用かを読み分けることが重要です。

分類注意点
製造委託自社販売商品の製造、部品加工、販促物製作規格品購入か、仕様指定の製造委託かを確認します。
修理委託自社が請け負った修理の外注単なる自社設備修理と、業として請け負う修理の外注を区別します。
情報成果物作成委託ソフトウェア、デザイン、映像、仕様書、報告書成果物の内容と自社の事業内容を確認します。
役務提供委託運送、倉庫保管、情報処理など自ら用いる役務か、他者に提供する役務かで判断が変わる場合があります。
特定運送委託販売物品等の引渡しに必要な運送委託2026年改正で対象に追加された領域として重点確認します。

旧下請法では資本金基準が中心でしたが、取適法では従業員基準が追加されています。回答実務では、取引先マスタだけでなく、発注・契約・支払・変更の各台帳をそろえることで、対象外と判断する根拠を明確にできます。

次の台帳一覧は、適用対象の確認に必要な情報を整理したものです。どの台帳がどの論点に効くのかを見れば、資本金不明、従業員数不明、個人事業者、屋号取引、グループ会社、商社経由取引を別フラグで管理すべき理由が分かります。

台帳確認事項見落としやすい点
取引先マスタ法人名、個人事業者か、所在地、資本金、従業員数、グループ会社該当性資本金だけで対象外と判断しないことが重要です。
発注台帳発注日、発注部門、発注内容、数量、単価、納期、支払条件2026年1月1日前後の発注日を分けます。
契約台帳基本契約、個別契約、注文書、発注書、仕様書、約款基本契約日と個別発注日は分けて見ます。
支払台帳請求日、検収日、受領日、締日、支払日、支払手段、控除・相殺受領日と検収日を混同しないようにします。
変更台帳仕様変更、納期変更、追加作業、やり直し、返品、キャンセル、値引き発注後の実務処理に違反疑義が出やすいです。
発注日2026年1月1日以降に発注する取引には取適法の規定が適用されると説明されています。基本契約が2025年に締結されていても、個別の製造委託等が2026年1月1日以降に発注されていれば、新ルールが問題となり得ます。
Section 05

下請法の書面調査で回答前に集める証拠資料

発注、受領・検収、支払、減額・返品、価格協議の記録をそろえてから回答します。

回答票の設問が単純でも、社内の記憶だけで回答してはなりません。大企業・多拠点企業では、ある部署では発注書を交付していても、別の部署では口頭発注をしていることがあります。ある工場では60日以内に支払っていても、別の事業所では月末締め翌々月末払いが残っていることもあります。

次の一覧は、回答前に確認すべき証拠を論点別に整理したものです。左側の絵柄は資料群の種類、本文は確認対象、タグは回答時に特に問題化しやすい論点を示しています。

発注・明示関係

基本契約書、個別契約書、注文書、発注書、EDIデータ、仕様書、図面、見積書、単価表、メール、チャット、承認申請、購買システムログを確認します。

明示義務未定事項

受領・検収関係

納品書、検収書、受領印、倉庫入庫データ、役務提供完了報告、作業日報、配送完了記録、情報成果物納品記録を確認します。

受領日検収日混同

支払関係

請求書、買掛金元帳、支払一覧、銀行振込データ、手形、電子記録債権、一括決済方式、相殺通知、控除明細を確認します。

60日以内満額取得

減額・返品・やり直し

値引き依頼、協賛金依頼、歩引き、返品伝票、返品理由、やり直し指示、仕様変更指示、追加費用負担の有無を確認します。

禁止行為帰責性

価格協議関係

値上げ申入れ、見積書、原価上昇資料、回答メール、面談記録、議事録、代替提案、単価改定ルール、定期協議制度を確認します。

協議記録説明内容

支払期日は受領日から見る

取適法テキストは、委託事業者が中小受託事業者の給付内容について検査をするかどうかを問わず、受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定める義務があると説明しています。検収日や請求書受領日だけを基準にすると、受領日から60日を超える取引を見落とし得ます。

次の比較表は、支払関係で書面調査上問題になりやすい項目を整理したものです。支払手段、控除、休日処理などを横並びで確認することで、単なる支払遅延だけでなく、実質的な減額や満額取得困難な支払方法も点検できます。

確認項目見る資料注意点
支払日支払一覧、銀行振込データ、買掛金元帳受領日から60日以内かを実データで確認します。
支払手段手形、電子記録債権、一括決済方式の契約2026年改正後の手形払等の禁止に注意します。
控除・相殺控除明細、相殺通知、リベート、協賛金資料実質的な減額や経済上の利益提供要請を確認します。
休日処理支払条件マスタ、金融機関休業日の処理ルール前倒し・後ろ倒しの社内ルールを確認します。
請求書未着請求書受領記録、社内保留メモ請求書未着だけで受領日基準の期限を遅らせないよう確認します。

2026年改正で重要性が増したのが、協議に応じない一方的な代金決定の禁止です。取適法リーフレットは、代金に関する協議に応じないことや必要な説明を行わないことなど、一方的な代金決定が禁止されると説明しています。そのため、価格交渉の回答では、単に「協議した」と書くだけでは不十分です。

Section 06

下請法の書面調査に対する委託事業者側の回答手順

対象事業所、取引先、取引類型、義務違反、禁止行為、回答原案、是正方針、最終承認の順に進めます。

委託事業者側では、通知が法人単位なのか、事業所単位なのか、特定の事業所ごとの回答を求めるものなのかを確認します。令和7年度の中小企業庁調査では、法人の基本情報確認の後、下請取引実績のある事業所ごとの設問回答等を求める形式が案内されていました。

次の判断の流れは、委託事業者側が回答原案を作るまでの順番を示しています。対象事業所の確定から始め、義務違反・禁止行為の両方を確認し、違反疑義がある場合は回答前に是正方針へ進む点を読み取ってください。

委託事業者側の回答作成手順

対象事業所・部署を確定

本社購買、工場購買、開発外注、情報システム、物流、営業、管理部門を洗い出します。

対象取引先リストを作成

資本金不明、従業員数不明、個人事業者、屋号取引、商社経由取引に確認フラグを立てます。

取引内容を分類

製造、修理、情報成果物、役務、特定運送に分類します。

義務違反を確認

明示義務、支払期日、記録作成・保存、遅延利息を確認します。

禁止行為を確認

受領拒否、支払遅延、減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置などを確認します。

回答原案をレビュー

購買だけでなく法務・経理が、回答ごとの根拠資料を確認します。

最終承認と提出

回答控え、受付番号、送信日時、担当者、承認者を保存します。

委託事業者に課される基本義務は、発注内容等の明示義務、支払期日を定める義務、書類等の作成・保存義務、遅延利息の支払義務です。次の表は、4つの義務を回答前チェックに落とし込んだものです。どの義務にどの資料が対応するかを確認しながら、選択式回答の根拠を残してください。

義務チェックポイント根拠資料の例
発注内容等の明示発注時に必要事項を明示したか。口頭発注や後日発行が常態化していないか。注文書、EDI、メール、補充明示記録
支払期日受領日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めているか。支払条件マスタ、受領日データ、振込記録
記録作成・保存7条記録に相当する取引記録を作成し、2年間保存しているか。発注台帳、支払台帳、変更台帳、電子ログ
遅延利息支払遅延や不当減額がある場合、年14.6%の遅延利息が問題となるか。未払額計算、支払遅延一覧、返金計算

回答原案は、設問ごとに「回答」「根拠資料」「レビュー者」「備考」を残すと、提出後の追加照会にも耐えやすくなります。次の表は、典型的な回答根拠メモの作り方を示しています。例外件数や調査中の事項を隠さず、自由記載欄の要否を検討する点が重要です。

設問回答根拠資料レビュー者備考
発注内容の明示原則として電子発注システムで明示購買システム出力、発注書サンプル法務・購買例外5件あり。自由記載を検討します。
支払期日月末締翌月末払支払条件マスタ、支払一覧経理受領日起算60日超過の取引がないか確認します。
減額一部控除あり控除明細、品質不良報告法務・経理帰責性資料が不足する控除2件は調査中です。
回答方針違反疑義が見つかった場合、回答期限だけを優先して「問題なし」と回答することは避けます。事実の範囲、対象取引先、対象期間、金額、証拠、取引先への不利益、是正可能性を整理したうえで、必要に応じて専門家に相談します。
Section 07

下請法の書面調査に対する中小受託事業者側の回答手順

委託元との関係を恐れて抽象的に書くのではなく、日時・金額・資料を特定して事実を伝えます。

中小受託事業者側に「委託元との取引に関する調査」が届いた場合も、回答は重要です。中小企業庁は、下請取引が公正に行われているかを把握し、委託元との取引実態を明らかにして下請事業者の利益保護等に役立てることを目的としていると案内しています。

受託側では、対象委託元、対象期間、保存資料、具体的な事実の順に確認します。次の時系列は、回答前に行うべき作業を上から順に並べたものです。委託元に回答内容を見せるのではなく、自社資料に基づいて具体的に記載する点を読み取ってください。

Step 1

対象委託元を確認

通知はがきや専用サイトで、どの委託元との取引について回答するのかを確認します。

Step 2

取引資料を集める

注文書、発注書、メール、EDI、見積書、価格協議記録、入金記録、控除明細を集めます。

Step 3

事実を具体化

日時、金額、書類、相手方担当部署、やり取りの内容を入れて記載します。

Step 4

委託元への干渉に注意

受託側調査の回答内容を委託元に事前確認させる必要はありません。

Step 5

報復リスクに備える

回答後の発注量急減、不利益示唆、単価交渉拒否などは、日時、発言、メール、発注推移を保存します。

回答文では、感情的な評価よりも、検証できる事実を優先します。次の比較表は、抽象的な記載と、資料で裏付けやすい記載の違いを示しています。右列のように日付・単価・差額・保存資料を入れると、調査目的に沿った説明になりやすいです。

避けたい記載望ましい記載読み取るべき点
いつも不当に値下げされている。2026年2月発注分について、発注時単価は1個500円であったが、2026年3月支払時に「市況悪化」を理由として1個480円で支払われた。差額は合計20万円であり、発注書、請求書、支払通知を保存している。日時、金額、理由、差額、資料が特定されています。
追加作業を無償でやらされた。2026年4月5日に仕様変更の依頼があり、同月10日まで追加作業を行ったが、追加費用に関する協議はなく、当初代金のみ支払われた。依頼メールと作業記録を保存している。仕様変更、協議の有無、資料が整理されています。
報復措置取適法では、委託事業者が、公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁に違反行為を知らせたことを理由に、中小受託事業者へ取引数量の削減・取引停止など不利益な取扱いをすることが禁止されます。具体的な対応は、資料を整理して専門家または相談窓口に確認する必要があります。
Section 08

下請法の書面調査でよくある違反疑義と回答上の注意点

発注書の後出し、検収日起算、月末締め翌々月末払い、控除、品質不良、価格協議拒否、手形払等を重点確認します。

書面調査で違反疑義が生じやすいのは、発注後の実務処理です。たとえば、発注時に決めた代金から後日値引きする、品質問題を理由に一律控除する、取引先の責任が明確でないのに返品する、無償で追加作業や保管を求める、協賛金・システム利用料・販促費を求めるといった運用です。

次の重要ポイント一覧は、回答上とくに注意すべき疑義を並べています。各項目は「社内でよくある説明」と「調査上の確認ポイント」がずれやすいものなので、該当する場合は資料で事実を確かめてください。

発注書を後で出している

電話、口頭、チャットで作業開始させ、納品後や請求後に注文書を発行する運用は、発注時の明示義務の観点で確認が必要です。

検収日から60日以内としている

支払期日は原則として受領日から60日以内です。検収が長引くと受領日から60日を超えることがあります。

月末締め翌々月末払い

月初に受領したものを月末締め翌々月末に支払う場合、受領日から相当期間が経過します。実データで検証します。

振込手数料を控除している

振込手数料、事務手数料、システム利用料、協賛金、リベートは、実質的な減額や利益提供要請の問題を生じ得ます。

品質不良を理由に一律減額

受託側の責任、発見時期、検査基準、減額額の合理性、返品・やり直しの必要性を資料で示せるかを確認します。

価格交渉を社内方針で拒否

原材料費・労務費・エネルギー費上昇を理由とする協議申入れに対し、協議や説明をしていない運用は問題になり得ます。

手形払等を従来どおり使う

取適法施行後は手形払等に関する規制が大きく変わっています。2026年1月1日以降発注分を重点確認します。

禁止行為の確認では、単に「該当なし」とするのではなく、どの資料を見て該当なしと判断したかを残します。次の表は、主な禁止行為と回答前に見るべき資料を結び付けたものです。行ごとに資料が足りない場合は、自由記載や追加確認の要否を検討してください。

禁止行為の類型確認する実務見る資料
受領拒否納品物を受け取らない、受領記録を残さない納品書、受領記録、返品通知
支払遅延請求書未着や検収遅延を理由に支払を遅らせる受領日、請求日、支払日、保留メモ
減額歩引き、協賛金、品質控除、振込手数料控除控除明細、合意書、品質不良報告
返品・やり直し帰責性が不明な返品、無償追加作業、仕様変更返品伝票、やり直し指示、仕様変更記録
買いたたき市況や原価上昇を無視した価格据置、一方的な値下げ見積書、原価資料、協議議事録
報復措置調査回答や通報を理由に発注停止・削減を行う発注推移、担当者発言、メール
Section 09

下請法の書面調査で違反疑義が見つかった場合の危機対応

事実と評価を分け、直ちに止め、原状回復を計算し、自発的申出と再発防止策を検討します。

違反疑義が見つかると、現場担当者は「悪意はなかった」「業界慣行だ」「取引先も了解している」と説明しがちです。しかし当局対応では、まず事実を確定する必要があります。いつから、どの取引先に対し、どの金額・件数・期間で、誰が意思決定し、どの資料が何を示しているかを整理します。

危機対応では、感情的な弁明よりも順番が重要です。次の時系列は、疑義発見から再発防止までの対応を並べています。上から順に進めることで、継続中の被害拡大を止め、原状回復と説明資料を同時に整える流れを読み取ってください。

発見直後

事実と評価を分ける

期間、取引先、金額、件数、意思決定者、証拠、受託側の不利益、継続中かを整理します。

即時

疑義ある運用を止める

協賛金控除、月末締め翌々月末払い、手形払、無償保管要請、価格協議拒否メールなどの継続を確認します。

計算

原状回復額を算定する

未払代金、減額分、遅延利息、保管費用、追加作業費、返金対象を計算します。

判断

自発的申出を検討する

調査着手前か、違反停止済みか、不利益回復済みか、再発防止策と協力姿勢を整理します。

再発防止

業務プロセスへ落とす

発注フォーム、承認手順、支払サイト、価格協議手順、取引先マスタ、研修、内部監査を見直します。

公正取引委員会の運用状況公表資料では、令和6年度において、親事業者149名から下請事業者3,026名に対し、総額13億5279万円相当の原状回復が行われたとされています。次の表は、原状回復の類型ごとに、どのような対応が考えられるかを示しています。類型ごとの金額計算と証拠整理を分けて進める点を読み取ってください。

類型原状回復の例計算時の確認点
支払遅延未払代金の支払、遅延利息の支払受領日、支払日、対象金額、年14.6%の扱いを確認します。
減額減額分の返還、遅延利息の支払控除理由、帰責性資料、返金対象期間を確認します。
返品返品物の引取り、代金支払、保管費負担返品理由、受託側責任、保管費用を確認します。
買いたたき代金引上げ、差額支払原価上昇資料、協議記録、改定時期を確認します。
購入・利用強制購入させた物の引取り、費用返還要請経緯、購入額、実質的な強制性を確認します。
利益提供・やり直し無償作業・保管・追加作業費等の対価支払作業時間、材料費、人件費、保管期間を確認します。

再発防止策は「今後注意する」では足りません。次の一覧は、業務プロセスへ落とし込むための具体策をまとめたものです。どの仕組みがどの再発要因を減らすかを確認し、責任部署と期限を設定します。

発注

明示テンプレートと承認

発注書・明示テンプレートを改定し、発注前承認手順と口頭発注禁止ルールを明文化します。

支払

支払サイト自動チェック

支払条件が受領日から60日を超えないか、控除・相殺に法務または経理承認があるかを確認します。

価格

協議依頼対応手順

値上げ申入れを受けた場合の受付、資料確認、面談、回答、議事録保存の手順を定めます。

管理

取引先マスタの更新

資本金、従業員数、個人事業者該当性、特定運送委託などの管理項目を追加します。

教育

購買・経理・営業研修

禁止行為、価格協議、支払期日、証拠保存を現場向けに研修します。

監査

サンプルチェック

内部監査で発注、支払、控除、価格協議のサンプルを定期的に確認します。

Section 10

下請法の書面調査で使う回答文・社内メモ・専門家別の視点

自由記載欄は事実、範囲、原因、是正策を簡潔に示し、内部監査・会計・税務の論点も早めに連携します。

自由記載欄は、会社の主張を長文で展開する場ではありません。違反疑義がある事実について「違反ではない」と断定しすぎると、後日資料と矛盾した場合に信用性を損ないます。原則として、事実の範囲、例外が生じた理由、既に講じた是正措置、今後の再発防止策、追加説明に応じる姿勢を簡潔に記載します。

次の比較表は、自由記載欄で避けたい抽象的な書き方と、資料に基づく書き方を対比したものです。右列のように範囲、件数、原因、是正策を入れると、読者は会社が何を確認し、何を直したのかを追いやすくなります。

避けたい記載望ましい記載理由
当社は長年適切に対応しており、問題はないと考えます。対象期間中、A事業所ではB社に対する一部発注について、発注システム移行に伴い発注書の発行が発注翌日となった事例が5件ありました。発注内容、数量、代金額、納期、支払期日は電子メールで発注時に通知しており、2026年4月以降は新システムにより発注時に必要事項を自動通知する運用へ変更しています。事実、範囲、原因、是正策が確認できます。

社内連絡は、関係部署が同じ期限と資料範囲を理解できる文面にします。次の一覧は、初動連絡メールに入れるべき要素を整理したものです。誰に、いつまでに、どの資料を、どの窓口へ集約するかを読み取れるようにします。

項目記載例狙い
件名【至急】取適法(旧下請法)書面調査への対応開始について通常の照会ではなく期限付き案件であることを示します。
本文冒頭本日、当社宛に「調査名」の通知を受領しました。回答期限は「日付」です。調査名と期限を共有します。
資料依頼取引先リスト、発注書、契約書、納品・受領・検収記録、請求書、支払データ、控除・相殺明細、価格協議記録資料範囲の抜け漏れを防ぎます。
外部連絡外部連絡、取引先への照会、調査事務局への連絡は法務部を通じて行う回答内容の不一致と不用意な連絡を避けます。

回答根拠メモと違反疑義管理表は、提出後の追加照会や社内監査で特に重要です。次の表は、残すべき項目を並べています。回答の根拠と、違反疑義の是正管理を分けて記録することで、提出後に担当者が変わっても経緯を追えます。

資料残す項目使い道
回答根拠メモ調査名、回答期限、対象期間、対象会社・事業所、回答責任者、設問番号、回答内容、根拠資料、確認部署、例外事項、法務評価、経理評価、自由記載の要否、承認者回答の裏付けと承認経路を説明します。
違反疑義管理表No、類型、対象取引先、期間、金額、証拠、継続中か、是正策、自発的申出検討、担当是正、返金、再発防止、役員報告を管理します。

内部監査、会計、税務の視点は、回答文の提出後に初めて呼ぶのでは遅くなることがあります。次の一覧は、専門職ごとの着眼点を整理したものです。法務だけでは見えにくい支払実態、会計処理、税務処理、内部統制の論点を読み取ってください。

法務

法的評価と当局対応

資料上認められる事実と法的主張を分け、過度な断定や虚偽報告リスクを避けます。

購買

発注実態と価格交渉

発注、納期変更、仕様変更、価格協議を把握しますが、法務・内部監査のレビューも必要です。

経理

支払と控除

支払遅延、控除、相殺、手形払、電子記録債権、遅延利息を検証します。

内部監査

証跡と統制

発注権限、支払統制、証跡保存、職務分掌、サンプル検証を確認します。

会計・税務

返金処理と期間帰属

返金、追加支払、協賛金返還、消費税処理、過年度処理、監査法人への報告要否を確認します。

経営

是正方針の主導

重要案件では、経営者が是正方針、再発防止、取引先対応を主導する必要があります。

Section 11

下請法の書面調査が来たときの回答手順チェックリスト

初動、取引分類、証拠、回答、提出後の5段階で抜け漏れを確認します。

チェックリストは、単に項目を消し込むためではなく、回答根拠が資料で裏付いているかを確認するために使います。次の一覧では、初動から提出後までの段階ごとに、何を確認すべきかをまとめています。行ごとに完了状況と担当者を付けると、レビューがしやすくなります。

段階確認項目
初動通知を受領日付きで保存した。調査名、発信主体、対象会社、対象期間、回答期限を確認した。公式サイトで調査の真偽を確認した。法務・コンプライアンスへ共有した。社内責任者、実務担当者、承認者を決めた。外部専門家相談の要否を判断した。
取引分類対象事業所・対象部署を洗い出した。取引先マスタを抽出した。資本金基準・従業員基準を確認した。製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託を分類した。2026年1月1日前後の発注を切り分けた。
証拠発注書、注文書、EDI、メールを確認した。契約書、仕様書、見積書、単価表を確認した。納品、受領、検収、役務提供完了記録を確認した。請求書、支払データ、買掛金台帳を確認した。控除、相殺、返品、やり直し、価格協議記録を確認した。回答根拠メモを作成した。
回答選択式回答が資料と一致している。自由記載欄の内容が事実に基づいている。例外取引を隠していない。違反疑義がある場合、是正策を検討した。役員報告の要否を判断した。提出前に法務・経理・責任者がレビューした。
提出後回答控え、PDF、スクリーンショット、受付番号を保存した。根拠資料をフォルダ化した。追加照会対応者を決めた。是正策・再発防止策の実行期限を設定した。内部監査またはモニタリング計画に反映した。

提出前レビューでは、選択式回答と自由記載の矛盾を重点的に見ます。次の重要ポイントは、最終承認前に確認すべき事項をまとめたものです。対象範囲、例外、支払データ、重大事項、控え保存の5点を読み取ってください。

範囲

対象者・対象期間・対象取引

通知記載の範囲と回答範囲が一致しているかを確認します。

整合

選択式と自由記載

選択肢では問題なし、自由記載では例外ありという矛盾がないかを確認します。

根拠

対象外判断

「取引なし」「対象外」とする場合、資本金・従業員数・取引内容の根拠を残します。

金額

支払データ

支払期日、控除、相殺、返金額が回答内容と整合しているかを確認します。

保存

回答控え

オンライン回答のPDF、スクリーンショット、受付番号、送信日時、承認者を保存します。

Section 12

下請法の書面調査が来たときの回答手順に関するFAQ

よくある疑問を一般的な制度説明として整理します。個別の対応方針は事実関係により変わります。

Q1. 下請取引をしていないと思う場合、回答は不要ですか。

一般的には、通知文で回答を求められている場合、対象外と考える場合でも基本情報や対象外の根拠を回答する場面があります。ただし、調査名、対象期間、資本金、従業員数、取引内容によって必要な対応は変わる可能性があります。具体的な対応は、通知文と資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 調査票の設問が実態に合わない場合はどう整理しますか。

一般的には、選択肢だけで実態が正確に伝わらない場合、自由記載欄、問い合わせ先への照会、補足資料提出の可否を検討します。ただし、記載内容や資料提出の範囲は、調査の趣旨や社内資料の内容によって変わる可能性があります。具体的には、事実、範囲、例外理由、是正策を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q3. 回答後に誤りに気づいた場合はどうなりますか。

一般的には、誤りに気づいた場合、調査事務局または当局窓口へ連絡し、誤りの内容、原因、正しい回答、影響範囲を説明する対応が検討されます。ただし、誤りの重大性、故意・過失、提出済み資料、追加照会の有無により判断は変わる可能性があります。具体的には、発見日、修正連絡日、再発防止策を記録し、専門家へ相談する必要があります。

Q4. 取引先に回答内容を確認してもらう必要はありますか。

一般的には、委託事業者側が自社回答を作るために必要な事実確認を取引先へ行うことはあり得ます。一方で、受託側調査への回答内容を委託元が確認・干渉することは避ける必要があります。ただし、事実確認の方法や範囲は取引関係や調査内容によって変わる可能性があります。具体的な照会方法は専門家へ相談する必要があります。

Q5. 取適法違反が疑われる場合でも、まず回答だけすればよいですか。

一般的には、回答期限は意識する必要がありますが、違反疑義を無視して「問題なし」と回答することは危険とされています。重大な疑義がある場合は、回答前に事実整理、是正、返金、自発的申出の要否、期限前相談を検討します。ただし、疑義の内容や当局の調査状況で結論は変わる可能性があります。具体的な対応方針は専門家へ相談する必要があります。

Q6. 弁護士等の専門家に相談するタイミングはいつですか。

一般的には、減額、支払遅延、返品、やり直し、買いたたき、価格協議拒否、対象金額・取引先数が大きい案件、自発的申出、追加照会、資料提出、立入検査の連絡がある場合、早期相談の必要性が高まります。ただし、会社規模、証拠状況、回答期限によって判断は変わる可能性があります。具体的には、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q7. 調査に回答しただけで立入検査になりますか。

一般的には、回答しただけで必ず立入検査になるわけではありません。ただし、回答内容から違反疑義が明確である、回答が矛盾している、資料が不足している、重大な不利益が疑われる場合には、追加照会や個別調査につながる可能性があります。具体的な見通しは、回答内容と証拠関係により変わるため、専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

公的機関・制度資料

  • 公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」
  • 中小企業庁「取引適正化、価格交渉・価格転嫁、官公需対策」
  • 公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」
  • 政府広報オンライン「2026年1月から下請法が『取適法』に!委託取引のルールが大きく変わります」
  • 中小企業庁「令和7年度下請事業者との取引に関する調査を実施しています」
  • 公正取引委員会・中小企業庁「2026年1月から『下請法』は『取適法』へ!」
  • 公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」
  • 公正取引委員会「取適法施行に当たり事業者の皆様に御留意いただきたい事項」
  • 中小企業庁「2026年1月施行! 下請法は取適法へ」説明資料
  • 中小企業庁「令和7年度『委託元との取引に関する調査』を実施します」
  • 公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」
  • 公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」
  • 公正取引委員会「下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者の取扱いについて」