2σ Guide

投資契約書とは何か
主要条項と実務チェック

投資契約書は、投資金額だけでなく、株主構成、経営権、情報開示、将来ラウンド、IPO・M&A、創業者責任まで設計する企業法務上の重要文書です。

10%9億円+1億円の持株比率例
17主要条項の整理
7実務上の結論
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投資契約書とは何か 主要条項と実務チェック

投資契約書は、投資金額だけでなく、株主構成、経営権、情報開示、将来ラウンド、IPO・M&A、創業者責任まで設計する企業法務上の重要文書です。

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投資契約書とは何か 主要条項と実務チェック
投資契約書は、投資金額だけでなく、株主構成、経営権、情報開示、将来ラウンド、IPO・M&A、創業者責任まで設計する企業法務上の重要文書です。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 投資契約書とは何か 主要条項と実務チェック
  • 投資契約書は、投資金額だけでなく、株主構成、経営権、情報開示、将来ラウンド、IPO・M&A、創業者責任まで設計する企業法務上の重要文書です。

POINT 1

  • 投資契約書の全体像 ― 資金調達からExitまで設計する契約
  • 投資契約書がなぜ企業法務上の中核文書になるのかを、会社・投資家・創業者の視点から整理します。
  • 投資契約書は「資金を受け取る書類」ではなく「会社の所有・経営・Exitを設計する契約」です
  • 成長余地を残す
  • 投資判断の前提を守る

POINT 2

  • 投資契約書と株主間契約・定款・タームシートの違い
  • 1. 主要条件を確認:タームシートで投資金額、証券種類、優先権、承認事項を把握します。
  • 2. 契約群を照合:投資契約書、株主間契約、財産分配契約、関連契約の役割を分けます。
  • 3. 定款・種類株式と整合確認:契約だけでなく定款変更、種類株主総会、登記事項が必要かを確認します。
  • 4. 修正してから実行:契約、機関決定、登記書類をそろえます。
  • 5. 払込・登記へ進む:払込証明、株主名簿更新、クロージング証明を管理します。

POINT 3

  • 投資契約書を支える会社法・金商法・外為法・独禁法
  • 投資契約書の条項は、契約法だけでなく複数の法令・実務手続にまたがります。
  • どの規制がどの場面で効くかを読むことで、締結直前に手続漏れが見つかるリスクを減らせます。
  • 契約成立、意思表示、錯誤、詐欺、強迫、公序良俗、債務不履行、損害賠償、解除、時効が基礎になります。
  • 募集株式数、払込金額、払込期日、資本金・資本準備金、種類株式、譲渡制限、機関決定を確認します。

POINT 4

  • 投資契約書の主要条項と交渉上の危険箇所
  • 広すぎる事前承認事項
  • 日常的な意思決定まで承認対象にすると、スタートアップの機動性が落ち、契約違反が常態化します。
  • 創業者個人の無限定責任
  • 表明保証、補償、株式買取義務が個人資産に及ぶ場合、会社の事業リスクとの切り分けが必要です。

POINT 5

  • 投資契約書の作成・交渉プロセス
  • 1. 資金調達方針の整理
  • 2. タームシートの交渉
  • 3. デューデリジェンス
  • 4. 契約ドラフトと横断レビュー
  • 5. 機関決定・締結・払込・登記

POINT 6

  • 投資契約書レビューで会社・投資家・創業者・CVCが見る点
  • 立場ごとに、同じ条項でも重視すべきリスクが変わります。
  • 将来ラウンドへの影響
  • 情報の非対称性への対応
  • 個人としての署名範囲

POINT 7

  • 投資契約書の条項サンプルと実務チェックリスト
  • 条項例をそのまま使うのではなく、個別事情に合わせて調整する前提で確認します。
  • 投資契約書の条項例は、契約上の機能を理解するための出発点です。
  • 文言を写すのではなく、会社法上の募集事項や実務運用と一致しているかを読み取ってください。
  • 列は基本条件、会社法・登記、規制、表明保証、投資家権利、CVC、横断領域を表します。

POINT 8

  • 投資契約書のよくある質問
  • 実務で質問されやすい点を、一般的な制度説明として整理します。
  • Q1. 投資契約書は必ず必要ですか。
  • Q3. 雛形を使えば十分ですか。
  • Q4. 創業者は個人として署名する必要がありますか。

まとめ

  • 投資契約書とは何か 主要条項と実務チェック
  • 投資契約書の全体像 ― 資金調達からExitまで設計する契約:投資契約書がなぜ企業法務上の中核文書になるのかを、会社・投資家・創業者の視点から整理します。
  • 投資契約書と株主間契約・定款・タームシートの違い:複数の文書が同時に動く投資実務で、役割と効力の違いを混同しないための整理です。
  • 投資契約書を支える会社法・金商法・外為法・独禁法:投資契約書の条項は、契約法だけでなく複数の法令・実務手続にまたがります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

投資契約書の全体像 ― 資金調達からExitまで設計する契約

投資契約書がなぜ企業法務上の中核文書になるのかを、会社・投資家・創業者の視点から整理します。

投資契約書は、会社が投資家から株式、新株予約権、社債、新株予約権付社債、J-KISSなどを通じて資金を受け入れる際に、投資条件、払込条件、表明保証、誓約事項、投資家の権利、会社・創業者の義務、違反時の救済、将来の出口戦略を定める契約です。

投資契約書の重要性は、資金調達が会社の所有と経営の構造を変える点にあります。銀行借入と異なり、エクイティ投資では投資家が株主または株主になり得る地位を取得し、議決権、剰余金配当、残余財産分配、帳簿閲覧、株主代表訴訟などの会社法上の権利を持つことになります。

次の重要ポイントは、投資契約書が単なる払込条件の確認ではなく、会社の成長、経営権、情報開示、将来ラウンド、IPO、M&A、創業者責任を横断して設計する文書であることを表しています。ここを押さえることで、各条項を孤立した文言ではなく、資本政策全体の部品として読めます。

投資契約書は「資金を受け取る書類」ではなく「会社の所有・経営・Exitを設計する契約」です

投資家保護と会社の成長可能性を同時に満たすには、契約、定款、種類株式、機関決定、登記、税務・会計、知財・労務・個人情報を一体で確認する必要があります。

次の三つの視点は、投資契約書の交渉で利害が分かれやすいポイントを示しています。会社側は成長余地、投資家側は下振れ保護、創業者側は個人責任を中心に読むことで、どの条項に交渉資源を使うべきかが見えます。

会社側

成長余地を残す

事前承認事項、情報提供、競業制限、MFN、希薄化防止が広すぎると、次回ラウンドやM&Aの選択肢を狭めます。

投資家側

投資判断の前提を守る

表明保証、補償、情報権、役員指名権、優先分配、譲渡関連権により、情報の非対称性と下振れリスクを調整します。

創業者側

個人責任を切り分ける

会社代表者、株主、個人としての署名者という三つの立場を分け、通常の事業リスクまで無限定に負わない設計が重要です。

注意このページは一般的な制度と実務上の考え方を整理するものです。個別の投資契約書では、会社の機関設計、株主構成、投資家属性、勧誘方法、事業内容、規制業種該当性によって確認事項が変わります。
Section 01

投資契約書と株主間契約・定款・タームシートの違い

複数の文書が同時に動く投資実務で、役割と効力の違いを混同しないための整理です。

投資実務では、投資契約書だけでなく、株主間契約、財産分配契約、定款、タームシート、募集事項決定書類、登記書類が同時に登場します。次の比較表は、各文書が何を定め、どの当事者に効くのかを整理するものです。役割の違いを読むことで、契約だけで足りる事項と、定款変更・機関決定・登記まで必要な事項を切り分けられます。

文書主な当事者主な内容注意点
投資契約書発行会社、投資家、場合により創業者投資金額、株式数、払込、クロージング条件、表明保証、補償、誓約、解除投資実行の中核契約であり、募集株式発行手続、金融規制、登記と連動します。
株主間契約既存株主、投資家、創業者、会社譲渡制限、先買権、共同売却権、事前承認、情報権、役員指名権株主相互の関係を定めるため、定款・会社法との整合性が重要です。
財産分配契約優先株主、普通株主、会社などM&A・清算時の分配順位、優先残余財産分配の実務的調整種類株式の内容、定款、株主間合意と矛盾しないよう確認します。
定款会社の根本規則目的、商号、機関、譲渡制限、種類株式、発行可能株式総数種類株式の内容や譲渡制限は定款事項になることがあります。
タームシート会社、投資家主要条件の要約多くは拘束力を限定しますが、秘密保持、独占交渉、費用負担は拘束的にされることがあります。
募集事項決定書類株主総会、取締役会、代表取締役など募集株式数、払込金額、払込期日、増加資本金など投資契約書と内容が食い違うと、発行手続に重大な問題が生じます。
登記書類会社、司法書士、法務局資本金増加、発行済株式総数、種類株式など払込後の商業登記と資本金・資本準備金の処理に連動します。

次の判断の流れは、投資条件の全体像を確認する順番を表しています。左から順に契約文書、会社法上の決定、登記・税務・会計へ進むため、文書だけで合意したつもりにならず、実行手続までそろっているかを確認できます。

投資条件を確認する順番

主要条件を確認

タームシートで投資金額、証券種類、優先権、承認事項を把握します。

契約群を照合

投資契約書、株主間契約、財産分配契約、関連契約の役割を分けます。

定款・種類株式と整合確認

契約だけでなく定款変更、種類株主総会、登記事項が必要かを確認します。

不整合あり
修正してから実行

契約、機関決定、登記書類をそろえます。

不整合なし
払込・登記へ進む

払込証明、株主名簿更新、クロージング証明を管理します。

Section 03

投資契約書の主要条項と交渉上の危険箇所

投資条件、表明保証、補償、投資家権利、譲渡・Exit条項をまとめて確認します。

投資契約書の条項は、投資実行の条件、投資家保護、会社の行動制限、Exit時の分配に分けて読むと整理しやすくなります。次の比較表は、典型的な章立てと実務上の確認ポイントを並べたものです。条項名だけでなく、会社法・定款・資本政策との整合性まで見ることが重要です。

内容実務上のポイント
前文・定義当事者、投資背景、株式、投資金額、クロージング、重要事項定義のズレは紛争原因になります。株主間契約・定款と用語をそろえます。
投資条件株式種類、数、払込金額、払込期日、払込先会社法上の募集事項、資本政策表、登記書類と完全に一致させます。
クロージング条件機関決定、DD完了、表明保証の真実性、許認可、外為法届出条件未充足時の解除、延期、ウェイブ権限を明確にします。
表明保証設立、権限、資本政策、財務、税務、知財、労務、個人情報、反社会社だけか、創業者個人も負うか、知る限り・重要性・開示例外を設計します。
補償・損害賠償表明保証違反、契約違反時の救済上限、免責額、請求期間、直接損害限定、故意・重過失の扱いを決めます。
投資家権利情報請求、事前承認、役員指名、オブザーバー、譲渡関連権経営の機動性を損なわないよう、金額基準、重要性基準、承認期限を置きます。
Exit関連ドラッグ・アロング、タグ・アロング、優先残余財産分配、希薄化防止、MFNM&A時の普通株主・従業員インセンティブ・次回ラウンドへの影響を試算します。

次の注意点一覧は、将来の資金調達や創業者責任に大きく響く条項を抽出したものです。色の付いた枠はリスクの強さを示すのではなく、交渉時に個別検討が必要な論点を目立たせています。どの条項も、強い投資家保護と会社成長の阻害が表裏になり得る点を読み取ってください。

広すぎる事前承認事項

日常的な意思決定まで承認対象にすると、スタートアップの機動性が落ち、契約違反が常態化します。

創業者個人の無限定責任

表明保証、補償、株式買取義務が個人資産に及ぶ場合、会社の事業リスクとの切り分けが必要です。

複数倍・参加型優先分配

M&A時に普通株主や従業員の経済的リターンを大きく減らす可能性があります。

フルラチェット型希薄化防止

ダウンラウンド時に創業者・従業員・普通株主の希薄化が重くなります。

無制限のMFN

後続投資家への個別条件が自動波及し、将来ラウンドの柔軟性を下げます。

CVCの広範な競業制限

研究開発、取引先、Exit先を狭め、独占禁止法上の検討が必要になることがあります。

バリュエーションは、投資前企業価値と投資後企業価値を分けて確認します。たとえば投資前企業価値9億円、投資金額1億円なら、投資後企業価値は10億円となり、投資後持株比率は原則10%です。ただし、ストックオプションプール、コンバーティブル証券、優先株式の権利価値をどう扱うかで実質的な希薄化負担は変わります。

要確認「投資後何%」という口頭合意と、実際の発行株式数、潜在株式込みの完全希薄化後計算が一致していないケースは典型的な紛争原因です。発行済株式ベースか、完全希薄化ベースか、未発行のインセンティブプールを含むかを明記します。
Section 04

投資契約書の作成・交渉プロセス

資金調達方針から払込・登記後管理まで、実務の順番に沿って確認します。

投資契約書の作成は、ドラフトを直す作業だけではありません。次の時系列は、資金調達方針、タームシート、デューデリジェンス、契約レビュー、機関決定、払込、登記、契約管理がどの順番でつながるかを示しています。前の段階で決めた条件が後続手続を縛るため、各段階の成果物を読み替えずに引き継ぐことが重要です。

Step 1

資金調達方針の整理

必要資金額、資金使途、希望バリュエーション、投資家タイプ、次回ラウンド、IPOまたはM&Aの方向性、既存株主、ストックオプション方針を確認します。

Step 2

タームシートの交渉

投資金額、証券種類、優先株式の権利、取締役指名権、事前承認、情報提供、優先分配、希薄化防止、買取請求、MFNを短く整理します。

Step 3

デューデリジェンス

法務、財務、税務、ビジネス、知財、労務、個人情報、セキュリティ、規制対応を確認し、未整備事項は開示または是正計画に落とします。

Step 4

契約ドラフトと横断レビュー

条文修正に加え、資本政策、登記、会社法手続、開示規制、税務、会計、知財、労務、コンプライアンス、将来ラウンドへの影響を確認します。

Step 5

機関決定・締結・払込・登記

取締役会、株主総会、種類株主総会、既存株主同意、金融機関同意、外為法・金商法手続、払込、登記、株主名簿更新、契約管理を行います。

次の比較表は、投資契約書におけるデューデリジェンスの重点領域を示しています。各列は調査領域、確認する資料・事実、契約への反映方法を表します。調査で見つけた論点を、表明保証、クロージング条件、誓約、補償、開示別紙へどう落とすかを読み取ることが大切です。

領域確認する主な事項契約への反映
法務定款、登記、株主名簿、発行履歴、新株予約権、重要契約、許認可、訴訟表明保証、クロージング条件、是正誓約、開示別紙
財務・会計売上認識、費用計上、資金繰り、借入、偶発債務、関連当事者取引財務表明保証、情報提供、補償、監査対応
税務法人税、消費税、源泉所得税、ストックオプション税制、外形標準課税税務表明保証、補償期間、資本金処理
知財特許、商標、著作権、OSS、職務発明、外部委託成果物、ライセンス知財表明保証、譲渡・利用制限、CVC情報管理
労務雇用契約、業務委託、未払残業代、社会保険、就業規則、退職者紛争労務表明保証、是正計画、補償、情報提供
個人情報・データ同意取得、第三者提供、越境移転、漏えい対応、クラウド、生成AI利用個人情報表明保証、セキュリティ誓約、データ条項
Section 05

投資契約書レビューで会社・投資家・創業者・CVCが見る点

立場ごとに、同じ条項でも重視すべきリスクが変わります。

投資契約書のレビューでは、誰の立場で読むかによって優先順位が変わります。次の一覧は、会社側、投資家側、創業者・経営株主、事業会社・CVC、コンバーティブル投資手段のそれぞれで見るべき論点をまとめたものです。立場ごとの違いを読むことで、交渉で譲れる点と譲りにくい点を整理できます。

会社側

将来ラウンドへの影響

拒否権、MFN、買取請求、複数倍参加型優先分配、フルラチェット、CVCの競業制限が次回投資家の参加を妨げないかを見ます。

投資家側

情報の非対称性への対応

表明保証、開示資料、DD、情報提供権により、過去・現在の事実と将来予測の合理的根拠を分けて確認します。

創業者

個人としての署名範囲

代表者としての署名、株主としての義務、個人責任を負う条項を分け、補償・買取・競業避止・退任時株式処理を確認します。

CVC

出資と事業提携の分離

出資条件と業務提携条件を分け、知財、データ、独占交渉、競争法上の情報共有、将来M&Aへの影響を確認します。

Convertible

次回ラウンドへの転換条件

評価上限、割引率、適格資金調達、満期、M&A時の扱い、転換株式の種類、MFNを明確にします。

運用

契約と実務の一致

月次レポート、多数の事前承認、取締役会資料共有などを、法務・経理・経営企画が実際に運用できる範囲にします。

次の表は、専門職・担当者ごとの関与ポイントを示しています。投資契約書は一人の専門家だけで完結しにくいため、どの担当者がどの論点を確認するかを読み取ることで、レビュー漏れを防げます。

専門職・担当者主な関与ポイント
弁護士・企業内法務投資契約書、株主間契約、会社法、金商法、外為法、独禁法、紛争対応、社内意思決定を横断的に確認します。
司法書士定款変更、募集株式発行、資本金増加、種類株式、役員変更などの商業登記を確認します。
税理士・公認会計士発行価額、資本金、株式評価、会計処理、内部統制、監査対応、IPO準備を確認します。
弁理士・知財担当特許、商標、著作権、営業秘密、共同研究、ライセンス、職務発明を確認します。
労務・個人情報・セキュリティ担当未払賃金、就業規則、退職者対応、個人情報、越境移転、漏えい対応、アクセス権限を確認します。
経営企画・社外役員・監査役資本政策、Exit、CVC連携、利益相反、株主共同利益、ガバナンスを監督します。
Section 06

投資契約書の条項サンプルと実務チェックリスト

条項例をそのまま使うのではなく、個別事情に合わせて調整する前提で確認します。

投資契約書の条項例は、契約上の機能を理解するための出発点です。次の比較表は、投資実行、クロージング条件、表明保証、事前承認、情報提供、補償の各条項について、何を明確にするべきかを整理しています。文言を写すのではなく、会社法上の募集事項や実務運用と一致しているかを読み取ってください。

条項条項で明確にすること確認ポイント
投資実行株式の種類、株式数、1株当たり払込金額、総額募集事項、議事録、定款、登記書類と一致させます。
クロージング条件表明保証の真実性、会社法手続、外為法その他の届出・許認可投資家保護だけでなく会社側の手続確認リストとして機能します。
表明保証契約締結日・払込日における別紙事項の真実性、開示例外開示資料の範囲、具体性、データルームの扱いを明確にします。
事前承認事項重要事項の実行前承認、合理的拒否制限、承認期限承認期限を置くことで会社の機動性を確保できます。
情報提供月次試算表、KPI、年度決算、競合投資家への開示制限営業秘密や競争上センシティブな情報の扱いを決めます。
補償直接かつ通常の損害、補償上限、請求期間投資家救済と会社・創業者側のリスク限定の均衡を取ります。

次のチェックリストは、投資契約書レビューで最低限確認したい項目を領域別にまとめたものです。列は基本条件、会社法・登記、規制、表明保証、投資家権利、CVC、横断領域を表します。各領域で一つでも未確認が残る場合は、条項修正だけでなく手続や資料整備も必要になります。

領域確認項目
基本条件投資金額、株式数、1株当たり払込金額、プレマネー、ポストマネー、完全希薄化後持株比率、ストックオプションプール
会社法・登記募集事項、取締役会・株主総会・種類株主総会、有利発行、定款変更、発行可能株式総数、払込後登記
金融規制・外為法募集・私募・通知・届出、勧誘対象者数、外国投資家該当性、事前届出業種、クロージング条件
表明保証・補償過去・現在の事実、将来予測との区別、創業者個人責任、補償上限、免責額、請求期間、開示例外資料
投資家権利事前承認、情報提供、役員指名、オブザーバー、譲渡制限、ドラッグ、優先分配、希薄化防止、MFN
CVC・事業提携契約分離、競業制限、研究開発制限、知財・データ・顧客情報、競争法上の情報共有、将来M&A
税務・会計・労務・知財・個人情報発行価額、資本金・資本準備金、SO税制、知財帰属、未払賃金、社会保険、個人情報・セキュリティ

投資契約書の実務上の結論は、七つに集約できます。資金受領のための書類ではなく、所有・経営・成長・Exitを設計する契約であること、契約群と機関決定を一体確認すること、投資家保護と成長可能性の均衡を取ること、創業者個人責任を明確化すること、金商法・外為法・独禁法を早期に見ること、税務・会計・登記・知財・労務・個人情報を軽視しないこと、締結後の運用まで設計することです。

Section 07

投資契約書のよくある質問

実務で質問されやすい点を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 投資契約書は必ず必要ですか。

一般的には、少額の出資や親族・知人による出資であっても、投資条件、株式数、払込、株主権、将来の譲渡、情報提供、紛争時の扱いを書面化することが重要とされています。ただし、必要な文書の範囲は資金調達の形態や当事者によって変わります。具体的な対応は、会社法手続や税務も含めて専門家へ確認する必要があります。

Q2. 投資契約書と株主間契約は一つにまとめられますか。

一般的には、一つの契約にまとめることもあります。ただし、当事者、効力発生日、終了時期、変更手続、定款との関係が複雑になる可能性があります。複数投資家や将来ラウンドを想定する場合、分けて管理する方が分かりやすいことがあります。

Q3. 雛形を使えば十分ですか。

一般的には、雛形は出発点にすぎないとされています。会社のステージ、投資家属性、株式種類、資本政策、既存契約、外為法、金商法、税務、知財、労務、事業内容によって必要な修正が変わります。

Q4. 創業者は個人として署名する必要がありますか。

一般的には、投資家が創業者に一定の義務を求めるため、個人署名を求める場合があります。ただし、創業者個人がどの義務を負うのか、責任上限、退任時の効果を明確にする必要があります。会社の通常の事業リスクまで個人が無限定に負う設計は慎重に検討されます。

Q5. 株式買取請求権は入れるべきですか。

一般的には、一律の答えはありません。重大な虚偽説明や重大な契約違反への救済として検討される一方、創業者個人に過度な買取義務を負わせる条項は近時慎重に見直されています。発動事由、責任主体、価格、会社法上の限界を個別に検討する必要があります。

Q6. 定款に反する内容を契約で定められますか。

一般的には、当事者間の合意自体は考えられますが、定款や会社法上の手続に反する内容は、会社法上の効力や第三者対抗関係に問題が生じる可能性があります。種類株式など定款に定めるべき事項は、定款変更・登記と整合させる必要があります。

Q7. 外国投資家から出資を受ける場合は何を確認しますか。

一般的には、外為法上の事前届出、投資家属性、対象会社の事業内容、経営関与、制裁・輸出管理、税務、英語契約、準拠法、海外送金、AML、個人情報の越境移転を確認します。安全保障関連や重要インフラ関連では早期確認が重要です。

Q8. 締結後に登記は必要ですか。

一般的には、株式発行により資本金、発行済株式総数、種類株式など登記事項が変わる場合、商業登記が必要です。投資契約書の締結だけでは登記は完了しないため、払込、資本金計上、株主名簿更新、登記申請を一連の手続として管理します。

Q9. 電子契約で締結できますか。

一般的には、多くの契約は電子契約で締結可能です。ただし、議事録、登記添付書類、印鑑証明、電子署名の有効性、社内規程、投資家の運用、海外投資家の署名方式により実務対応が変わります。

Q10. 特に危険な条項は何ですか。

一般的には、創業者個人の無限定責任、広範な株式買取請求権、過度な事前承認、無制限のMFN、強すぎる希薄化防止、広範な競業・研究開発制限、不明確なドラッグ・アロング、定款と不整合な種類株式条項が、将来の紛争や資金調達阻害につながりやすいとされています。

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投資契約書で次に確認したいこと

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Reference

投資契約書の参考資料

公的資料・法令

  • 経済産業省「スタートアップ投資契約ガイドライン」
  • 経済産業省「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」増補版
  • 経済産業省「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」
  • 経済産業省「コンバーティブル投資手段 活用ガイドライン」
  • 公正取引委員会・経済産業省「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • e-Gov法令検索「金融商品取引法」
  • e-Gov法令検索「外国為替及び外国貿易法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
  • 関東財務局「有価証券通知書」
  • 日本取引所グループ「コーポレートガバナンス・コード」関連資料