債務型ノート、新株予約権、転換社債型新株予約権付社債、J-KISS型新株予約権を、会社法・金融商品取引法・会計・税務・資本政策の観点から整理します。
呼称ではなく、返済義務・株式取得権・社債性・会計税務の実体から確認します。
呼称ではなく、返済義務・株式取得権・社債性・会計税務の実体から確認します。
コンバーティブルノートと新株予約権の違いを一言で整理すると、コンバーティブルノートは原則として債務性をもつ資金調達手段であり、新株予約権は会社に対して行使することで株式の交付を受ける権利です。ただし、日本実務では「コンバーティブルノート」という呼称が、外国法型のConvertible Note、会社法上の新株予約権付社債、J-KISS型新株予約権のようなコンバーティブル・エクイティを指すことがあります。
次の重要ポイントは、同じ「コンバーティブル」という言葉で呼ばれる投資手段が何を表しているかをまとめたものです。読者にとって重要なのは、タイトルだけで債務・株式取得権・社債性を判断しないことです。まず返済義務があるか、投資家が転換前にどの地位を持つかを読み取ってください。
返済義務・利息・満期があれば債務型に近く、発行時払込による将来の株式取得権であれば新株予約権型に近く、社債と新株予約権が結合していれば新株予約権付社債として検討します。
次の一覧は、コンバーティブルノートという呼び方で混同されやすい三つの実体を表しています。なぜ重要かというと、同じ資金調達でも、発行手続、返済リスク、登記、会計処理、税務、投資家交渉が大きく変わるためです。各項目では、債務性の有無と株式化の方法を中心に読み取ってください。
元本、利息、満期、償還義務を備え、次回資金調達、M&A、IPO、満期などで株式化を予定する債務型の契約または証券です。転換前の投資家は通常、株主ではなく債権者です。
会社法上の社債に新株予約権が付された制度です。社債部分が残る限り、償還・利払い・社債権者保護を含む債務法務も問題になります。
通常はノートではなく、有償新株予約権型のコンバーティブル・エクイティです。発行時に投資家が新株予約権を取得し、次回ラウンド等で株式へ転換されるよう設計されます。
このページでは、特定案件の法律・税務・会計判断ではなく、制度と実務上の確認観点を一般的に整理します。実際の発行・登記・開示・会計処理・税務処理は、会社の機関設計、定款、投資家属性、発行規模、契約条項、既存投資契約、会計基準、税制改正などで結論が変わります。
新株予約権は株式そのものではなく、行使によって株式を取得するための権利です。
会社法上、新株予約権は、株式会社に対して行使することにより、その株式会社の株式の交付を受けることができる権利と整理されます。新株予約権者は、権利を持っているだけでは株主ではありません。原則として、権利を行使し、その効力として株式を取得した時点で株主となります。
新株予約権は株式そのものではないため、行使前の新株予約権者には、原則として株主総会の議決権、配当請求権、残余財産分配請求権などの株主権はありません。一方で、投資契約やサイドレターにより、情報提供権、同意権、優先引受権、先買権、協議権などが設けられることはあります。
次の比較表は、新株予約権で混同しやすい二つの金銭概念を表しています。ここを誤ると、有利発行、時価性、登記、会計処理、転換時の払込設計を取り違えるため重要です。表では、発行時に払うお金と将来株式を取得するときに払い込むお金を分けて読み取ってください。
| 区分 | 意味 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|
| 新株予約権の発行対価 | 新株予約権そのものを取得するために発行時に払い込む金額です。 | 無償発行か有償発行か、払込金額が特に有利な金額でないか、税務上の時価性を確認します。 |
| 新株予約権の行使時出資額 | 将来、新株予約権を行使して株式を取得するときに払い込む金額または給付する財産です。 | 転換価額、ディスカウント、バリュエーションキャップ、現物出資、端数処理を確認します。 |
次の判断の流れは、新株予約権者がいつ株主になるかを表しています。投資家の議決権、株主数、株主総会運営、情報提供義務を考えるうえで重要です。上から順に、権利取得だけでは株主権が発生せず、行使または取得条項等の発動を経て株式取得に至る点を読み取ってください。
発行時払込により、株式を取得するための権利を持ちます。
通常は株主ではなく、契約上の情報提供権や同意権が別途問題になります。
次回適格資金調達、M&A、IPO、満期相当日、長期未転換時の処理などを確認します。
株式取得後に株主としての法定権利が問題になります。
J-KISS型新株予約権等では、次回資金調達などのトリガー発生時に、あらかじめ定めた算定式に基づいて株式へ転換するよう設計されます。ここでいう転換は、法律用語としては新株予約権の行使、会社による取得条項の発動、またはそれらの組み合わせで実現されることが多いです。
日本で同じ呼称が使われても、貸付・社債・新株予約権・ストックオプションは別物です。
コンバーティブルノートは、少なくとも会社法上の独立した定義語ではありません。米国のベンチャーファイナンスでいうConvertible Noteは、投資家が会社に金銭を貸し付け、一定条件でその債権が株式に転換されることを予定する仕組みとして使われることが多いです。典型的には、元本額、利息、満期日、自動転換、ディスカウント、バリュエーションキャップ、M&Aや清算時の処理、デフォルト事由、情報提供義務などを含みます。
次の比較表は、日本実務で「コンバーティブル」と呼ばれやすい投資手段の実体を表しています。呼称だけで手続を進めると、会社法上の発行手続、金融商品取引法上の開示、会計処理、税務、投資契約の前提がずれるため重要です。表では、法的実体と債務性の強さを中心に確認してください。
| 呼称 | 法的実体 | 債務性 | 典型的用途 |
|---|---|---|---|
| コンバーティブルノート | 貸付、約束手形、社債、外国法上のNote等 | 高い | ブリッジファイナンス、海外投資家案件 |
| 転換社債型新株予約権付社債 | 会社法上の新株予約権付社債 | 高い | 上場会社・成熟企業の制度設計された債務型調達 |
| コンバーティブル・エクイティ | 有償新株予約権、J-KISS型新株予約権等 | 原則として低い | シード期・プレシリーズAの迅速な資金調達 |
| ストックオプション | 役職員向け新株予約権 | 通常なし | 役職員インセンティブ |
新株予約権付社債は、会社を債務者とする金銭債権である社債と、将来株式を取得できる新株予約権が結合した制度です。単体の有償新株予約権では、発行時に払い込まれた金額は通常、会社が返済すべき元本債務ではありません。これに対し、新株予約権付社債では、社債部分が残っている限り、償還・利払い・社債管理・社債権者保護が問題になります。
転換社債型新株予約権付社債では、社債と新株予約権がそれぞれ単独では存在し得ないこと、新株予約権が付された社債を行使時の出資目的とすることをあらかじめ明確にする設計が問題になります。社債を出資目的にする点が、単なる貸付債権の後日相殺とは異なります。
中核は返済義務の有無、転換前の地位、会計上の負債性、満期・償還の有無です。
次の比較表は、債務型コンバーティブルノート、単体の新株予約権、転換社債型新株予約権付社債の違いを表しています。実務では複数の観点を同時に見ないと設計を誤るため重要です。左列の比較軸ごとに、どの手段が返済義務・利息・償還・債権者性を伴うかを読み取ってください。
| 比較軸 | コンバーティブルノート | 単体の新株予約権 | 転換社債型新株予約権付社債 |
|---|---|---|---|
| 法的性質 | 貸付、社債、約束手形、外国法上のNote等。返済義務があるのが通常です。 | 株式を取得できる権利であり、債権ではありません。 | 社債と新株予約権の結合体です。 |
| 会社法上の位置づけ | 独立した定義語ではありません。 | 会社法上の新株予約権です。 | 会社法上の新株予約権付社債です。 |
| 転換前の投資家地位 | 債権者として扱われることが多いです。 | 新株予約権者です。 | 社債権者兼新株予約権者です。 |
| 株主権 | 転換前は原則としてありません。 | 行使前は原則としてありません。 | 行使前は原則としてありません。 |
| 返済義務 | あるのが通常です。 | 原則としてありません。 | 社債部分について償還義務があります。 |
| 利息 | 設定されることが多いです。 | 通常はありません。 | 社債利息があり得ます。 |
| 貸借対照表 | 貸付金または社債として負債認識されることが通常です。 | 純資産の部の新株予約権として処理され得ます。 | 普通社債に準じる一括法、または社債部分と新株予約権部分の区分法が問題になります。 |
| 転換の法的構成 | 貸付債権・社債の株式化、現物出資、債務消滅、株式発行等を設計します。 | 新株予約権の行使または取得条項等で実現します。 | 社債を出資目的とする新株予約権の行使等で実現します。 |
| 満期・償還 | 通常あります。 | 行使期間、取得条項、消滅条項を設計します。 | 社債償還期限が問題になります。 |
| 倒産時 | 債権者としての扱いが問題になりやすいです。 | 株主でも債権者でもない権利者としての扱いを検討します。 | 社債権者としての地位が問題になります。 |
| 向いている場面 | ブリッジ、成熟企業、海外投資家案件、デット許容案件です。 | シード期、評価額確定を先送りしたい案件、J-KISS等です。 | 制度設計された債務型資金調達、上場会社・大型調達です。 |
この表で最も重要なのは、返済義務の有無です。会社に返済義務を負わせるなら、コンバーティブルノートまたは新株予約権付社債に近くなります。会社に返済義務を負わせず、将来の株式取得権として設計するなら、新株予約権、特にコンバーティブル・エクイティに近くなります。
発行要項、募集事項、決議、有利発行、相殺禁止、登記・原簿管理を分けて確認します。
新株予約権を発行する場合、会社法上の新株予約権の内容と、募集新株予約権の募集事項を正確に分けて設計する必要があります。目的となる株式の数または算定方法、行使時出資額、金銭以外の財産を出資目的とする場合の内容・価額、行使期間、資本金・資本準備金の増加事項、譲渡制限、取得条項などが検討対象になります。
次の一覧は、会社法上の設計で実務上確認されやすい項目を表しています。これらは、発行後の転換、登記、既存株主への説明、次回ラウンドの整合性に直結するため重要です。各項目では、どの資料に明記すべきか、どの専門職と確認すべきかを読み取ってください。
目的株式、行使時出資額、発行価額、行使期間、行使条件、取得条項、譲渡制限、端数処理、登記事項を整理します。
会社法236条会社法238条株主総会決議、取締役会決議、委任決議、種類株主総会、譲渡制限株式、有利発行説明の要否を確認します。
機関決定株主説明新株予約権原簿、議事録、割当契約、払込確認、商業登記、定款整合性、種類株式の内容を管理します。
登記台帳管理募集新株予約権の募集事項の決定は、原則として株主総会決議によります。公開会社、取締役会設置会社、有利発行、委任決議、種類株式発行会社、譲渡制限株式を目的とする場合などでは条文構造が複雑になります。新株予約権を有償で発行しても、常に安全というわけではありません。払込金額、ディスカウント、キャップ、売却時の金銭返還条項、取得条項、投資家属性、市場慣行、評価方法を総合して確認する必要があります。
次の判断の流れは、貸付債権を将来株式に変えたい場合に確認すべき構成を表しています。相殺で簡単に処理できると考えると会社法上の問題を見落とすため重要です。上から順に、貸付債権の存在、行使時払込との関係、現物出資や新株予約権付社債等の選択肢を読み取ってください。
貸付、社債、外国法上のNoteなどの債権性を確認します。
会社法上、行使時払込・給付債務と会社に対する債権の相殺は認められないとされています。
検査役調査や専門家証明、募集株式の発行、債務消滅条項を確認します。
社債を行使時の出資目的とする設計をあらかじめ明確にします。
有価証券該当性、募集・私募、少額募集、転売制限、潜在株式の保有割合を確認します。
金融商品取引法は、有価証券の範囲に社債券、株券、新株予約権証券などを含めています。コンバーティブルノート、新株予約権、新株予約権付社債を発行・募集・譲渡する場合、会社法だけでなく、開示規制、勧誘規制、私募要件、少額募集、プロ私募、適格機関投資家私募、転売制限を検討する必要があります。
次の一覧は、金融商品取引法上の確認領域を表しています。上場会社、上場準備会社、ファンド、外国投資家、複数投資家、セカンダリー取引では影響が大きいため重要です。各項目では、誰に、どの方法で、どれだけ勧誘するのかを読み取ってください。
有価証券の募集または売出しに該当する場合、届出義務や例外の検討が必要です。少額募集、私募、適格機関投資家私募などを個別に確認します。
相対取引、広告、SNS告知、プラットフォーム利用、転売可能性、投資家属性、既存証券の発行状況を確認します。
上場株券等では、株券等保有割合が5%超となる場合の大量保有報告や、新株予約権証券・新株予約権付社債券の扱いが問題になります。
非上場スタートアップのJ-KISS型新株予約権では、投資家数が限定され、相対取引で、転売制限が付され、私募の範囲で処理されることが多いと考えられます。ただし、一般的な実務感覚と個別案件の法的結論は別です。投資家数、勧誘方法、広告、投資家属性、発行価額、転売可能性を具体的に確認する必要があります。
上場会社に関しては、大量保有報告制度も問題になります。上場株券等を保有する者について、株券等保有割合が5%超となった日から5営業日以内に大量保有報告書の提出が必要になる場面があり、対象となる株券等には、株券、新株予約権証券、新株予約権付社債券等が含まれるとされています。
負債か純資産か、利息・償還・時価発行・有利発行を分けて見ます。
会計上、新株予約権を発行したときは、その発行に伴う払込金額を純資産の部に新株予約権として計上する処理が問題になります。新株予約権が行使され新株を発行する場合には、新株予約権の発行に伴う払込金額と行使に伴う払込金額を、資本金または資本金および資本準備金に振り替える処理が問題になります。
次の比較表は、会計上の表示と資金調達への影響を表しています。これは、負債比率、債務超過判定、銀行融資、IPO準備、M&A時の財務デューデリジェンスに影響するため重要です。表では、同じ調達額でも貸借対照表の見え方が変わる点を読み取ってください。
| 手段 | 会計上の主な見方 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 債務型コンバーティブルノート | 貸付金または社債として負債認識されることが通常です。 | 負債比率、債務超過、財務制限条項、返済リスクに影響します。 |
| 有償新株予約権 | 発行時払込金額が純資産の部に計上され得ます。 | 返済義務は通常小さい一方、時価性、失効時処理、行使時振替を確認します。 |
| 転換社債型新株予約権付社債 | 普通社債に準じる一括法、または社債部分と新株予約権部分の区分法が問題になります。 | 監査対応、開示、資本政策表、IPO審査で説明が必要になります。 |
次の注意点の一覧は、税務上の主な検討対象を表しています。税務は投資家属性、時価評価、利息、償還、取得条項、金銭返還条項で結論が変わるため重要です。各項目では、発行会社側と投資家側のどちらに課税リスクが出るかを読み取ってください。
新株予約権が適正な時価で発行されたか、過度に有利な条件でないかを確認します。評価方法と会社法上の有利発行手続との整合性が重要です。
債務型ノートでは、利息、源泉税、償還差損益、債務免除益、外貨建て評価、関連者間取引、国際課税が問題になり得ます。
個人、法人、非居住者、ファンド、役職員、外部投資家では税務処理が変わります。ストックオプションとJ-KISS型新株予約権を同じ扱いにするのは危険です。
実際の会計処理は、発行会社の会計基準、監査の有無、契約条項、取得条項、金銭返還条項、負債性、時価評価、複合金融商品の該当性で変わります。会計処理はバックオフィス事項にとどまらず、財務指標、補助金・助成金の要件、投資家報告、M&A時の財務調査にも影響します。
ディスカウント、バリュエーションキャップ、完全希薄化後株式数を発行時から管理します。
コンバーティブル投資手段では、次回ラウンドの株価を基準に、早期投資家へ有利な転換価格を与えるため、ディスカウントやバリュエーションキャップが設定されることがあります。新株予約権型では、株式が実際に増えるのは転換時・行使時ですが、希薄化の経済的内容は発行時の条項でほぼ決まります。
次の時系列は、発行時からExit・長期未転換時までに資本政策で何を確認するかを表しています。希薄化は将来見えるものの、条件は発行時に固定されることが多いため重要です。順番に、いつ株数が確定し、いつ投資家権利や返済圧力が問題になるかを読み取ってください。
発行済株式数だけでなく、完全希薄化後株式数、既存ストックオプションプール、ディスカウント、キャップの影響を確認します。
適格資金調達の金額基準、転換価格算定式、次回ラウンドの優先株式条件、端数処理を確認します。
売却時の金銭返還、一定倍率の支払、株式転換、IPO時の取扱い、既存投資契約との優先順位を確認します。
債務型ノートでは満期償還とデフォルト、新株予約権型では取得条項や消滅条項が問題になります。
コンバーティブルノートでは、転換されれば希薄化が生じ、転換されなければ返済義務が残ります。会社にとっては、上振れ時には希薄化、下振れ時には債務圧力という二面性があります。有償新株予約権型では通常、会社は元本返済義務を負いませんが、売却時の金銭返還条項や取得条項がある場合は、負債性・会計税務処理を確認する必要があります。
債務型は返済・デフォルト、新株予約権型は転換条件・取得条項・サイドレターが中心です。
債務型コンバーティブルノートでは、元本額、利率、満期日、期限の利益喪失事由、デフォルト時の措置、次回適格資金調達の定義、自動転換か任意転換か、転換価格、ディスカウント、バリュエーションキャップ、M&A時の取扱い、IPO時の取扱い、清算時の取扱い、劣後・優先順位、担保・保証、情報権、コベナンツ、準拠法・裁判管轄・仲裁が交渉の中心になります。
次の比較表は、債務型と新株予約権型で交渉の焦点がどう異なるかを表しています。交渉事項を取り違えると、会社側の返済リスクや投資家側の保護水準が不明確になるため重要です。表では、下方保護を債務で行うのか、株式化条件や契約上の権利で行うのかを読み取ってください。
| 領域 | 債務型コンバーティブルノート | 新株予約権型コンバーティブル・エクイティ |
|---|---|---|
| 投資家保護 | 償還請求、利息、デフォルト条項、期限の利益喪失、担保・保証などが中心です。 | 取得条項、売却時返還、情報提供権、同意権、優先引受権、MFN条項などが中心です。 |
| 転換条件 | 自動転換、任意転換、満期転換、債務消滅、現物出資の構成を確認します。 | 適格資金調達、転換価格算定式、ディスカウント、キャップ、目的株式の種類を確認します。 |
| Exit時の扱い | M&A時の償還・転換選択、清算時の優先順位、既存借入との関係を確認します。 | M&A時の金銭返還、株式転換、取得条項、既存投資契約との整合性を確認します。 |
| 会社側の負担 | 返済圧力、財務制限、次回調達への影響が大きくなり得ます。 | 返済負担は小さい一方、将来希薄化、登記、税務、会計、株主説明が問題になります。 |
次の注意点の一覧は、サイドレターで将来問題になりやすい条項を表しています。主契約を補足する文書でも法的拘束力を持つことがあるため重要です。各項目では、将来の資金調達やM&Aを制約しやすい権利を読み取ってください。
後続投資家に有利な条件を与えた場合、既存投資家にも同等条件を求められる可能性があります。
経営判断、次回資金調達、M&A、重要契約に影響し、意思決定が重くなる可能性があります。
投資家保護として有効な一方、既存投資契約や定款との整合性、情報管理、証跡管理が必要です。
コンバーティブル・エクイティの利点は、標準化された簡易な投資手段で迅速に資金調達できる点にあります。不要な条項を過剰に積み上げると、迅速性や低コスト性が失われることがあります。主契約、株主間契約、定款、既存投資契約との整合性を確認することが重要です。
シード期、ブリッジ、大型調達、上場準備で向きやすい手段は変わります。
新株予約権型、特にJ-KISS型新株予約権等のコンバーティブル・エクイティは、シード期で企業価値評価が難しい、次回ラウンドで株式条件を確定したい、迅速に資金調達したい、返済義務を負いたくない、株主数を初期段階で増やしすぎたくないといった場面に向きやすいと考えられます。
次の一覧は、資金調達手段ごとに向きやすい場面を表しています。選択基準を誤ると、返済圧力、希薄化、登記負担、開示負担、専門家費用が想定外に大きくなるため重要です。各項目では、会社のステージ、財務体力、投資家の保護要求を読み取ってください。
評価額確定を先送りし、返済義務を避けつつ、次回ラウンドで株式条件を確定したいシード期・プレシリーズAで検討されやすい手段です。
短期間の資金繰り、次回ラウンドが近い場合、投資家が利息・償還などの下方保護を求める場合に検討されます。
上場会社、上場準備企業、大型調達、社債権者保護を明確にしたい案件など、制度設計を十分に整えられる場面で検討されます。
次の比較表は、専門職・担当者ごとの確認観点を表しています。コンバーティブル投資手段は法務だけ、会計だけ、税務だけでは完結しにくいため重要です。表では、どの担当者がどのリスクを主に確認するかを読み取ってください。
| 専門職・担当者 | 主な確認観点 |
|---|---|
| 法務担当・外部専門家 | 会社法、契約、投資契約、株主間契約、金融商品取引法、利益相反、取締役責任、M&A時の条項整合性 |
| 司法書士 | 新株予約権発行登記、種類株式、目的株式、発行要項、議事録、登記名称、定款整合性 |
| 公認会計士・監査法人 | 複合金融商品、新株予約権、社債、負債・純資産区分、IPO準備、監査証拠、財務諸表表示 |
| 税理士 | 時価発行、有利発行、利息、償還、債務免除、源泉税、非居住者課税、法人・個人投資家課税 |
| 経営者・CFO | 資本政策、希薄化、負債比率、資金繰り、次回調達への影響、投資家コミュニケーション |
| コンプライアンス・内部統制担当 | 決裁権限、反社チェック、証跡管理、情報管理、利益相反管理 |
次の確認一覧は、実行前に最初に分類すべき項目を表しています。分類を誤ると、手続・税務・会計・登記の前提が崩れるため重要です。左から順に、対象が本当にノートなのか、返済義務があるのか、どの構成で株式化するのかを確認してください。
本当にノートなのか、返済義務・利息・満期があるのか、社債・貸付・新株予約権・新株予約権付社債のどれかを確認します。
分類定款、発行可能株式総数、決議、有利発行、私募、少額募集、投資家数、勧誘方法、転売制限を確認します。
手続負債か純資産か、時価評価、有利発行、利息・源泉税、完全希薄化後株式数、M&A時の支払シミュレーションを確認します。
実務よくある誤解として、「コンバーティブルノートは新株予約権そのもの」「新株予約権者は行使前から株主」「貸付債権はいつでも行使代金と相殺できる」「有償新株予約権なら税務リスクはない」「J-KISSの雛型を使えば法務レビューは不要」といった理解があります。いずれも一般論としては危険であり、個別事情によって検討事項が変わります。
一般的な制度説明として、個別案件で結論が変わりやすい点を整理します。
一般的には、J-KISSはコンバーティブルノートではなく、コンバーティブル・エクイティ、すなわち有償新株予約権型の投資手段として理解されることが多いです。ただし、契約条項、発行会社の機関設計、投資家属性、既存投資契約によって検討事項は変わります。具体的な発行・登記・税務・会計処理は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、ストックオプションは新株予約権の一種とされています。ただし、新株予約権はストックオプションに限られず、資金調達用新株予約権、コンバーティブル・エクイティ、買収防衛策、M&A対価、社外協力者向けインセンティブなどにも利用されます。具体的な税務・会計・発行手続は、目的や付与対象者によって変わる可能性があります。
一般的には、債務型コンバーティブルノートは返済請求、利息、デフォルト条項等により下方保護が強くなる可能性があります。一方、新株予約権型は、返済請求がない分、会社の成長に連動するアップサイドを重視する設計になりやすいです。ただし、M&A時の金銭返還、キャップ、ディスカウント、情報権、同意権等によって結論は変わります。
一般的には、新株予約権型の方が返済負担を避けやすいとされています。ただし、将来の希薄化、キャップによる希薄化、投資家権利、登記・税務・会計対応を軽視することはできません。コンバーティブルノートは、負債として資金調達できる一方、満期・返済・利息・デフォルトが経営上の圧力になる可能性があります。
一般的には、日本法で同等の経済効果を実現する方法は複数あるとされています。社債として設計するのか、新株予約権付社債として設計するのか、貸付契約と株式発行を組み合わせるのか、外国法上のNoteを用いるのかにより、会社法、金融商品取引法、会計、税務、登記の検討事項は変わります。具体的な構成は専門家への確認が必要です。
一般的には、単に「コンバーティブル」と書くのではなく、本投資手段が債務か、社債か、新株予約権か、新株予約権付社債か、投資家が取得する法的権利、返済義務・償還義務の有無、利息の有無、転換時に交付される株式の種類、転換価格算定式、未転換時・売却時・清算時の処理を明確にする必要があります。具体的な条項は既存契約や定款との整合性で変わります。
一般的には、定款、株主名簿、新株予約権原簿、資本政策表、既存投資契約・株主間契約、既存ストックオプション発行要項、直近決算書、事業計画、今回の投資契約ドラフト、発行要項ドラフト、投資家属性と投資家数、調達金額と資金使途、次回ラウンドの想定を整理すると検討が進みやすいです。ただし、必要資料は案件ごとに変わります。
制度の一次情報と会計・実務ガイドラインを中心に確認しています。