2σ Guide

不当解雇で会社からもらえる
賠償金の相場

不当解雇で受け取れる可能性がある金銭は、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当などに分かれます。公的統計と実務上の計算軸を分けて、相場の読み方を整理します。

23.5万円 労働局あっせん中央値
150万円 労働審判中央値
300万円 訴訟和解中央値
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不当解雇で会社からもらえる 賠償金の相場

不当解雇で受け取れる可能性がある金銭は、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当などに分かれます。

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不当解雇で会社からもらえる 賠償金の相場
不当解雇で受け取れる可能性がある金銭は、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当などに分かれます。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 不当解雇で会社からもらえる 賠償金の相場
  • 不当解雇で受け取れる可能性がある金銭は、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当などに分かれます。

POINT 1

  • 不当解雇の賠償金相場は一つの表では決まりません
  • 相場は統計、回収額は個別計算です
  • まず、法律上の請求と実務上の金銭解決を分けて見ることが重要です。

POINT 2

  • 不当解雇の賠償金で混同しやすい金銭の種類
  • 賠償金、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当は同じ意味ではありません。
  • 解決金・和解金
  • バックペイ
  • 解雇予告手当

POINT 3

  • 不当解雇の賠償金を考える前提となる法的判断
  • 1. 解雇理由を特定する:能力不足、懲戒、整理解雇、雇止め、退職勧奨との違いを確認します。
  • 2. 客観的に合理的な理由があるか:事実、証拠、就業規則 上の根拠、過去の評価や指導履歴を確認します。
  • 3. 社会通念上相当といえるか:解雇より軽い手段、弁明機会、同種事案との均衡、手続の妥当性を見ます。
  • 4. 無効主張の余地:バックペイや解決金の交渉軸が生じます。
  • 5. 慎重な見通し:会社側証拠の内容に応じて請求方針を検討します。

POINT 4

  • 不当解雇の賠償金相場を手続別に読む
  • 労働局あっせん、労働審判、訴訟和解では、入口も証拠の濃さも異なります。
  • 労働局あっせんは中央値23.5万円
  • 労働審判は中央値150万円、平均約285万円
  • 民事訴訟上の和解は中央値300万円、平均約613万円

POINT 5

  • 不当解雇の賠償金額を左右する10の要素
  • 月給35万円の場合のバックペイ例
  • 解雇無効の見通し
  • 月給・賞与・手当
  • 解雇後の期間
  • 中間収入
  • 復職意思
  • 証拠の強さ
  • 勤続年数・年齢
  • 会社の規模と支払能力
  • 退職金・離職票・税務
  • 統計の中央値だけでは、自分の事案の見通しは分かりません。

POINT 6

  • 不当解雇の賠償金を試算する7ステップ
  • 解雇前の賃金月額を確定する
  • 解雇日から解決予定日までの期間を置く
  • バックペイの出発点を計算する
  • 中間収入を検討する
  • 賞与・退職金・未払残業代を確認する
  • 慰謝料を別枠で検討する
  • 解決金として一括調整する
  • 月給、期間、中間収入、賞与、慰謝料事情を順番に置くと整理しやすくなります。

POINT 7

  • 不当解雇の賠償金相場をモデルケースで見る
  • モデルケースは結果を保証するものではなく、統計と計算構造を理解するための目安です。
  • 同じ不当解雇でも、短期勤続の非正規雇用と、長期勤続の正社員が訴訟で整理解雇を争う場面では、金額の見方が大きく変わります。
  • ここでは代表的な4類型を並べて、どの統計や計算軸が参考になりやすいかを整理します。
  • 読者は自分の状況に近い類型を探すのではなく、何が金額を動かす要素なのかを読み取ることが重要です。

POINT 8

  • 不当解雇の賠償金相場だけで判断しないための誤解整理
  • 解雇予告手当を受け取ったら争えない
  • 解雇予告手当は手続上の金銭であり、解雇そのものが客観的合理性・社会的相当性を欠くかどうかとは別に判断されます。
  • 慰謝料が主役である
  • 多くの事案では、中心は慰謝料ではなくバックペイと解決金です。

まとめ

  • 不当解雇で会社からもらえる 賠償金の相場
  • 不当解雇の賠償金で混同しやすい金銭の種類:賠償金、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当は同じ意味ではありません。
  • 不当解雇の賠償金を考える前提となる法的判断:解雇が無効になり得るかどうかが、金額交渉の中心的な出発点です。
  • 不当解雇の賠償金相場を手続別に読む:労働局あっせん、労働審判、訴訟和解では、入口も証拠の濃さも異なります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

不当解雇の賠償金相場は一つの表では決まりません

まず、法律上の請求と実務上の金銭解決を分けて見ることが重要です。

日本法では、不当解雇だからといって、あらかじめ決まった賠償金表があるわけではありません。解雇が無効なら、原則として労働契約は続いていると考えられ、中心になるのは労働契約上の地位確認と解雇後の未払賃金、いわゆるバックペイです。事案によって、解決金、慰謝料、解雇予告手当、退職金、未払残業代などが重なります。

他方、実務では復職ではなく金銭で終わる事案が多く、統計上の目安も存在します。2020年・2021年に終局した労働審判では解決金額の中央値が150万円、平均値が285万2,637円、裁判上の和解では中央値が300万円、平均値が613万4,219円でした。2023年度に4労働局で処理が完結した解雇型雇用終了あっせん事案では、解決金額の中央値が23.5万円でした。

次の比較表は、手続ごとの統計上の目安と読み方を整理したものです。手続ごとに対象事件、証拠の濃さ、会社側のリスクが違うため、読者にとっては単純な高低ではなく、どの場面の数字なのかを読み分けることが重要です。

手続・場面統計上の目安読み方
労働局あっせん中央値23.5万円簡易・迅速・任意参加型の行政ADRで、非正規・短期勤続の事案も含まれるため、金額は低めに出やすい傾向があります。
労働審判中央値150万円、平均約285万円裁判所での短期集中型手続です。証拠と法的主張が整うほど、交渉力が上がりやすくなります。
民事訴訟上の和解中央値300万円、平均約613万円長期化しやすい一方、バックペイの蓄積や会社側リスクの明確化により高額化しやすい場面があります。
判決で解雇無効が認められる場合月給×解雇後期間を基礎に個別計算相場よりも、賃金月額、解雇から解決までの期間、中間収入、賞与、復職可能性が重要です。

このページの数字は、必ずその金額を受け取れるという意味ではありません。解雇理由、証拠、雇用形態、会社規模、勤続年数、解決までの期間により大きく変わるため、統計は交渉や見通しを立てる土台として使う必要があります。

次の強調表示は、このページ全体の結論を短くまとめたものです。数字だけを見ると判断を誤りやすいため、どの名目で請求し、どの手続で争い、どの証拠を持っているかを分解して読むことが重要です。

相場は統計、回収額は個別計算です

不当解雇の金銭解決では、労働局あっせん23.5万円、労働審判150万円、訴訟和解300万円という中央値を起点にしつつ、バックペイ、復職意思、証拠、会社側の違法性を重ねて見ます。

Section 01

不当解雇の賠償金で混同しやすい金銭の種類

賠償金、解決金、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当は同じ意味ではありません。

一般には不当解雇の賠償金とまとめて呼ばれますが、法律実務では金銭の性質を分けて考えます。ここを誤ると、本来請求できるものを取り逃したり、慰謝料だけに期待して交渉の中心を外したりするおそれがあります。

次の一覧は、主な金銭の性質を並べたものです。各項目は請求根拠や交渉上の役割が異なるため、読者にとっては会社の提示額が何を含むのかを確認する手がかりになります。

Damage

賠償金

違法行為による損害を補填する金銭です。ただし不当解雇の中心が常に損害賠償になるわけではありません。

Settlement

解決金・和解金

紛争を終わらせるために支払われる金銭です。復職ではなく合意退職で終える場面で使われることが多いです。

Back Pay

バックペイ

解雇が無効なら契約が続いていたとして請求する解雇後の賃金です。月給と期間が重要な出発点になります。

Distress

慰謝料

精神的苦痛に対する損害賠償です。解雇無効と当然に連動するものではなく、悪質性の強い事情が争点になります。

Notice

解雇予告手当

30日前予告をしない場合などに問題になる労働基準法上の手続的な金銭です。解雇の有効性とは別に判断されます。

バックペイは月給と期間から出発する

バックペイとは、解雇が無効であることを前提に、解雇日以降も本来なら労働契約が続いていたとして請求する賃金です。月給30万円の人が、解雇から解決まで6か月を要した場合、単純計算では30万円×6か月=180万円が出発点になります。

ただし、解雇後に別の仕事で収入を得ていた場合は、中間収入の控除が問題になります。厚生労働省の裁判例解説では、使用者の責めに帰すべき事由による解雇の場合、労働者は解雇期間中の賃金支払を請求できる一方、使用者は中間収入を控除でき、控除限度は平均賃金の4割にとどまると整理されています。

会社から受け取れる可能性がある6種類

次の比較表は、不当解雇で検討される金銭を請求名目ごとに整理したものです。名目が違うと計算方法や合意書で確認すべき点も変わるため、提示額の内訳を読み取ることが重要です。

金銭の種類内容相場・計算の考え方
解雇後の未払賃金解雇が無効なら労働契約が続いていたとして請求する賃金です。月給×解雇後期間が出発点です。中間収入控除、賞与、手当が争点になります。
解決金・和解金復職しない代わりに紛争を終局させるための金銭です。労働局あっせん中央値23.5万円、労働審判中央値150万円、訴訟和解中央値300万円が統計上の目安です。
慰謝料精神的苦痛に対する損害賠償です。自動的には認められにくく、差別、報復、ハラスメント、悪質な手続などがあると争点化します。
解雇予告手当30日前予告をしない場合の平均賃金相当額です。即日解雇なら30日分以上の平均賃金、予告不足なら不足日数分が問題になります。
退職金退職金規程に基づく金銭です。解雇無効、合意退職、懲戒解雇の有効性により扱いが変わります。
未払残業代・未払賃金解雇問題と同時に発覚する未払賃金です。タイムカード、PCログ、チャット、シフト表などで別途算定します。

会社から提示された解決金100万円でも、バックペイを含むのか、慰謝料を含むのか、退職金を別に支払うのか、社会保険や税務処理をどうするのかによって実質的な価値は変わります。

合意書確認支払名目、税込みか源泉徴収後か、退職日、会社都合か自己都合か、離職票の記載、未払賃金・残業代・退職金の扱い、守秘義務、清算条項の範囲を確認する必要があります。
Section 03

不当解雇の賠償金相場を手続別に読む

労働局あっせん、労働審判、訴訟和解では、入口も証拠の濃さも異なります。

不当解雇の金銭解決は、どの手続で終わるかによって統計上の水準が大きく違います。労働局あっせんは無料・簡易で使いやすい反面、相手方の参加を強制する性格が弱く、早期・少額の合意も含まれます。労働審判は裁判所で短期集中型に進み、訴訟は時間がかかる一方でバックペイが積み上がりやすくなります。

次の縦の比較は、主な手続の中央値を300万円を上限感として相対的に示したものです。高さが大きいほど統計上の中央値が高いことを表し、読者は手続の違いが金額の違いに直結しやすい点を読み取れます。

23.5万
労働局
150万
労働審判
300万
訴訟和解

労働局あっせんは中央値23.5万円

2023年度内に4労働局で処理が完結した解雇型雇用終了あっせん事案485件の分析では、合意成立事案の解決金額は10万円以上20万円未満が22.3%、20万円以上30万円未満が17.9%で、中央値は23.5万円、第1四分位は10.0万円、第3四分位は45.7万円でした。月収表示では中央値1.03か月分です。

次の割合の比較は、労働局あっせんで多かった金額帯と、労働審判・訴訟和解で示された代表的な分布を横に並べたものです。割合の大きさは各手続内でその層がどれだけ多いかを表し、どの金額帯に事案が集まりやすいかを読み取るために重要です。

あっせん 10万以上20万未満
22.3%
あっせん 20万以上30万未満
17.9%
労働審判 100万以上200万未満
28.9%
労働審判 50万以上100万未満
19.6%
訴訟和解 500万以上1000万未満
16.4%
割合はそれぞれの統計内の分布です。手続間で母集団が異なるため、単純比較ではなく傾向把握として読みます。

労働審判は中央値150万円、平均約285万円

労働審判は、解雇や給料不払などの個別労働紛争を迅速・適正・実効的に解決するための裁判所手続です。労働審判官1名と労働審判員2名で構成され、原則として3回以内の期日で審理を終えることになっています。平成18年から令和6年までに終了した事件の平均審理期間は82.6日で、65.5%が申立てから3か月以内に終了しています。

2020年・2021年に1地裁で調停または審判で終局した労働審判事案785件などの分析では、解決金額は中央値150万円、平均値285万2,637円、第1四分位80万円、第3四分位300万円でした。100万円以上200万円未満が28.9%で最多でした。

同じ分布では、50万円以上100万円未満が19.6%、200万円以上300万円未満が14.4%、300万円以上500万円未満が14.1%でした。3回以内という短期集中型のため、申立ての段階から証拠と主張を整理できていないと、見通しに影響するおそれがあります。

民事訴訟上の和解は中央値300万円、平均約613万円

同じ調査では、2020年・2021年に1地裁で和解により終局した労働関係民事訴訟事案282件について、裁判上の和解の解決金額が中央値300万円、平均値613万4,219円、第1四分位120万円、第3四分位600万円でした。100万円以上200万円未満と300万円以上500万円未満がいずれも19.6%、500万円以上1,000万円未満が16.4%でした。

訴訟和解が高くなりやすい理由は、解決までの期間が長くバックペイが積み上がりやすいこと、証拠整理が進んで会社側の敗訴リスクが明確化しやすいこと、労働者が地位確認や復職を本格的に求めている場合に会社が雇用終了のため高めの金銭提示をすることなどです。

ただし、訴訟は長期化しやすく、弁護士費用、時間的負担、精神的負担も大きくなります。高額化の可能性だけでなく、回収可能性や手続負担も同時に検討する必要があります。

Section 04

不当解雇の賠償金額を左右する10の要素

統計の中央値だけでは、自分の事案の見通しは分かりません。

不当解雇の金銭解決では、解雇が無効になりそうか、月給はいくらか、解雇からどれだけ時間が経ったか、会社側の証拠がどれだけ強いかなどが重なります。統計は入口であり、具体的な見通しは複数要素の総合評価です。

次の一覧は、金額に影響しやすい10項目を整理したものです。各項目は交渉力やバックペイ計算に直結するため、読者は自分の事案で強い要素と弱い要素を分けて読み取ることが重要です。

解雇無効の見通し

会社側の理由が弱いほど、請求額や解決金額は上がりやすくなります。軽微なミス、改善指導なし、評価基準不明、報復性などが検討対象です。

月給・賞与・手当

月給20万円と60万円では、同じ6か月でもバックペイが大きく変わります。賞与、役職手当、住宅手当、固定残業代なども争点になります。

解雇後の期間

期間が長いほどバックペイが増えます。長期化により会社側の復職対応リスクも大きくなります。

中間収入

転職後収入がある場合、控除の有無と範囲が問題になります。単純差引きではなく平均賃金の保障が検討されます。

復職意思

復職を本格的に求める場合、会社側は雇用終了のために解決金を検討しやすくなります。実際の意思と証拠関係を踏まえる必要があります。

証拠の強さ

解雇通知書、解雇理由証明書、就業規則、給与明細、人事評価、メール、録音、勤怠記録などが交渉を左右します。

勤続年数・年齢

長期勤続、高年齢、再就職困難性、専門職での評判への影響は、解決金交渉で考慮されることがあります。

会社の規模と支払能力

会社の支払能力、社会的信用、労務管理体制、同種紛争の有無は和解判断に影響します。

退職金・離職票・税務

額面だけでなく、退職金、雇用保険、社会保険資格喪失日、源泉徴収、住民税、守秘義務も実質的価値に関わります。

早期解決か最大回収か

早期解決を重視すれば任意交渉やあっせん、最大回収を重視すれば労働審判や訴訟を検討しやすくなります。

日本の現行法には、勤続年数に応じた法定補償金表があるわけではありません。労働政策の分野では、解雇無効時の金銭救済制度について、労働契約解消金の算定方法、上限・下限、バックペイとの関係などが議論されてきましたが、現行実務では個別事情を踏まえた交渉・裁判所判断・和解により金額が決まります。

月給35万円の場合のバックペイ例

次の比較表は、月給35万円を前提に、解雇後期間ごとのバックペイの出発点を示したものです。期間が延びるほど金額が直線的に増えるため、読者は時間の経過が交渉額に与える影響を読み取る必要があります。

解雇後期間バックペイの出発点
3か月105万円
6か月210万円
12か月420万円
18か月630万円

これは出発点であり、中間収入、賞与、社会保険、税金、退職金、遅延損害金、和解による一括調整などにより実際の金額は変わります。月給30万円の人が解雇後に月20万円の収入を得ていた場合でも、単純に30万円−20万円=10万円だけを請求できるとは限りません。

中間収入控除限度は平均賃金の4割にとどまるという整理が問題になります。転職したから請求できないという単純な話ではなく、資料に基づく個別計算が必要です。
Section 05

不当解雇の賠償金を試算する7ステップ

月給、期間、中間収入、賞与、慰謝料事情を順番に置くと整理しやすくなります。

受け取れる可能性がある金銭を見積もるときは、最初から解決金の総額だけを見るのではなく、バックペイの出発点を置き、控除や加算項目を確認し、最後に和解で一括調整される可能性を考えます。

次の時系列は、試算時に確認する順番を示しています。順番を飛ばすと、賞与や退職金を見落としたり、中間収入の扱いを単純化しすぎたりするため、各段階で何を確認するかを読み取ることが重要です。

Step 1

解雇前の賃金月額を確定する

基本給、各種手当、固定残業代、歩合、賞与、通勤手当、月給制か時給制か、直近の給与変動を確認します。

Step 2

解雇日から解決予定日までの期間を置く

労働審判なら申立てから数か月、訴訟なら1年以上かかることがあります。異議申立てがあれば訴訟へ移行します。

Step 3

バックペイの出発点を計算する

基本式は、解雇前の賃金月額×解雇日から解決までの月数です。月給30万円で8か月なら240万円が出発点です。

Step 4

中間収入を検討する

解雇後の収入がある場合、控除の有無と範囲を確認します。平均賃金の4割を上限とする控除ルールが問題になります。

Step 5

賞与・退職金・未払残業代を確認する

賞与が請求できるか、退職金規程があるか、解雇前から未払残業代があるかを検討します。

Step 6

慰謝料を別枠で検討する

差別、報復、ハラスメント、名誉毀損、虚偽説明、退職強要などがある場合は、別枠の主張を組み立てます。

Step 7

解決金として一括調整する

和解では、本件解決金として一括で定めることがあります。何を含み、何を含まないのかを明確にする必要があります。

計算式バックペイの出発点 = 解雇前の賃金月額 × 解雇日から解決までの月数。これは最終額ではなく、交渉や請求を組み立てるための基礎です。
Section 06

不当解雇の賠償金相場をモデルケースで見る

モデルケースは結果を保証するものではなく、統計と計算構造を理解するための目安です。

同じ不当解雇でも、短期勤続の非正規雇用と、長期勤続の正社員が訴訟で整理解雇を争う場面では、金額の見方が大きく変わります。ここでは代表的な4類型を並べて、どの統計や計算軸が参考になりやすいかを整理します。

次の比較一覧は、4つのモデルケースごとに月収、解雇理由、証拠、参考になる統計・計算軸をまとめたものです。読者は自分の状況に近い類型を探すのではなく、何が金額を動かす要素なのかを読み取ることが重要です。

A

短期勤続・非正規・早期あっせん

勤続4か月、月収12万円、シフト上のトラブル、LINE・シフト表・給与明細あり、復職せず早期解決を望む場合です。労働局あっせんの中央値23.5万円、月収表示1.03か月分が参考になります。

早期解決
B

正社員・月給30万円・労働審判

勤続3年、能力不足を理由とする解雇、会社側証拠が抽象的で改善指導記録がない場合です。6か月分のバックペイ出発点は180万円で、労働審判の中央値150万円、第3四分位300万円が参考になります。

労働審判
C

月給45万円・訴訟で長期化

勤続10年、整理解雇、希望退職募集なし、人選基準不明、説明不十分、地位確認を主張する場合です。12か月分のバックペイ出発点は540万円で、訴訟和解の中央値300万円、第3四分位600万円、平均約613万円が参考になります。

訴訟
D

妊娠・育休・労災・内部通報の直後

妊娠報告、育休申出、労災申請、内部通報、労基署相談の直後に解雇された類型です。解雇無効に加え、禁止される解雇、報復的取扱い、ハラスメント、慰謝料が問題になる可能性があります。

違法性

会社が参加しない、証拠が弱い、会社側に具体的な評価資料や指導履歴がある、経営状況が厳しいなどの事情があると、統計より下振れすることがあります。反対に、明白な手続違反、報復性、復職リスク、未払残業代、退職金不支給などが重なると、統計の中央値より高い交渉余地が生じることがあります。

Section 07

不当解雇の賠償金相場だけで判断しないための誤解整理

解雇予告手当、慰謝料、退職届、赤字、労働局あっせんの数字を混同しないことが大切です。

相場だけを見ていると、解雇予告手当を受け取ったら争えない、慰謝料が主役、労働局あっせんの中央値が全事件の相場、といった誤解が起こりやすくなります。誤解を整理しておくと、会社の説明や提示額を検討しやすくなります。

次の注意点一覧は、不当解雇の金銭解決で特に誤りやすい5点を整理したものです。各項目は請求の可否や交渉方針に影響するため、読者は一見もっともらしい説明でも、法的な意味を分けて読む必要があります。

解雇予告手当を受け取ったら争えない

誤りです。解雇予告手当は手続上の金銭であり、解雇そのものが客観的合理性・社会的相当性を欠くかどうかとは別に判断されます。

慰謝料が主役である

多くの事案では、中心は慰謝料ではなくバックペイと解決金です。慰謝料は悪質性の強い事情がある場合に重要になります。

労働局あっせんの中央値が全事件の相場である

誤りです。23.5万円は簡易・迅速・任意参加型の行政ADRでの統計です。労働審判や訴訟和解とは水準が異なります。

退職届を書いたら必ず終わりである

退職届があると争いは難しくなりますが、強迫、錯誤、詐欺、退職強要によって提出された場合は、有効性が問題になり得ます。

会社が赤字なら整理解雇は当然有効である

誤りです。人員削減の必要性だけでなく、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性も問題になります。

Section 08

不当解雇の賠償金請求で相談前に整理する証拠と手続

証拠を集め、任意交渉、あっせん、労働審判、訴訟の違いを押さえます。

不当解雇の交渉は感情論ではなく証拠で動きます。解雇理由証明書は特に重要で、労働者が請求した場合、会社はすぐに証明書を交付しなければならないと説明されています。会社が後から理由を追加・変更するのを防ぐ意味でも重要です。

次の資料一覧は、相談前に整理しやすい証拠を5つのまとまりに分けたものです。どの資料が不足しているかを把握できると、相談時に争点と金額見通しを確認しやすくなります。

1

解雇の存在と理由

解雇通知書、解雇理由証明書、解雇を告げられたメール・チャット・録音、面談メモ、退職勧奨資料、離職票、雇用保険関係書類を整理します。

理由
2

労働条件と賃金

雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、賃金規程、退職金規程、給与明細、賞与明細、源泉徴収票、給与振込履歴を確認します。

賃金
3

勤務状況

タイムカード、勤怠システム、シフト表、業務日報、PCログ、メール送信履歴、チャット履歴、業務成果物を集めます。

勤務
4

解雇理由への反論

人事評価、表彰、昇給、賞与査定、顧客や上司からの評価、研修記録、注意指導の有無、同僚との比較、配置転換や改善機会の有無を整理します。

反論
5

違法性・悪質性

ハラスメント記録、録音、診断書、労災申請資料、妊娠・育休・介護休業の申出、内部通報記録、労基署や労働局への相談記録、報復的発言の証拠を確認します。

注意

解決手段の選び方

次の比較表は、主な解決手段の特徴をまとめたものです。目的、費用、強制力、見込まれる金額水準が異なるため、読者は早期解決を優先するのか、本格的に権利関係を争うのかを読み取る必要があります。

手続特徴向きやすい場面
会社との任意交渉内容証明郵便や書面で、解雇無効、地位確認、未払賃金、解決金を求めます。証拠が強く、会社が早期解決を望む場合に検討されます。
労働局あっせん総合労働相談、助言・指導、あっせんの一部です。令和6年度は総合労働相談件数120万1,881件、あっせん申請では解雇792件が最多でした。費用を抑え、早期解決を目指す場合に検討されます。ただし会社の参加が重要です。
労働審判原則3回以内で、専門家が関与し、調停を試み、まとまらない場合は労働審判を行います。不当解雇で金銭解決を目指す場合の重要な選択肢です。
民事訴訟地位確認、未払賃金、損害賠償を本格的に争う手続です。会社側の解雇理由が弱く、バックペイが大きい場合に検討されます。

相談を検討しやすいタイミング

解雇通知を受けたが理由が曖昧、解雇理由証明書を出してもらえない、退職届への署名を迫られている、自己都合にしないと不利益になると言われた、懲戒解雇と言われた、妊娠・育休・介護・労災・病気・内部通報・労基署相談の直後に解雇された、退職金を不支給または減額すると言われた、未払残業代もありそう、復職を希望している、会社から合意書が提示されている、解決金の提示額が妥当か分からない場合は、早期に資料を整理して専門家へ確認する優先度が高いと考えられます。

署名前確認いったん清算条項に署名すると、後から未払賃金や慰謝料を請求することが難しくなる場合があります。金額、名目、退職日、離職票、清算範囲は署名前に確認する必要があります。
Section 09

不当解雇の賠償金相場に関するよくある質問

個別事情で結論が変わるため、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 不当解雇なら、必ず会社からお金をもらえますか。

一般的には、解雇が無効と評価される見通しがあり、証拠が整理されている場合、バックペイや解決金を軸に交渉できる可能性があります。ただし、解雇理由、証拠、会社の支払意思・支払能力、選ぶ手続によって結論は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相場は何か月分ですか。

一般的には、労働局あっせんでは月収表示の中央値が1.03か月分とされています。一方、労働審判や訴訟和解では金額ベースの中央値がそれぞれ150万円、300万円であり、月収、勤続、解雇後期間、解雇無効の見通しにより大きく変わります。具体的な見通しは個別資料に基づいて確認する必要があります。

Q3. 会社が解雇ではなく退職勧奨だと言っています。

一般的には、会社が一方的に労働契約終了を通告したなら解雇に近いと評価される余地があります。他方、労働者が自由意思で退職に応じたなら合意退職と評価される可能性があります。退職届の有無、面談内容、発言、録音、メール、署名時の状況によって結論が変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q4. 試用期間中なら解雇されても仕方ありませんか。

一般的には、試用期間中でも会社が自由に解雇できるわけではなく、客観的合理性と社会的相当性が問題になります。ただし、採用時に把握できなかった重大な不適格事由、改善機会、評価の具体性などで判断は変わります。具体的な対応は、採用書類や評価資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q5. 懲戒解雇と言われたら、解決金は期待できませんか。

一般的には、懲戒解雇という名称だけで決まるものではありません。就業規則上の懲戒事由、事実の有無、証拠、手続、処分の重さ、過去の処分例が問題になります。ただし、重大な非違行為が客観的証拠で裏付けられる場合には見通しが変わるため、具体的には資料を確認する必要があります。

Q6. 労基署に行けば解雇を取り消してもらえますか。

一般的には、労働基準監督署は労働基準法違反などの監督行政を担い、解雇予告手当や賃金不払が問題になる場合に重要です。一方、解雇が民事上有効か無効かを最終的に判断するのは裁判所です。目的に応じて、労働局あっせん、労働審判、訴訟などを検討する必要があります。

Q7. 会社から30万円の解決金提示がありました。妥当ですか。

一般的には、30万円という金額だけでは妥当性を判断できません。労働局あっせんの中央値23.5万円よりは高い一方、労働審判の中央値150万円、訴訟和解の中央値300万円とは差があります。月給、解雇後期間、解雇理由、証拠、復職意思、未払残業代、退職金、慰謝料事情によって結論が変わります。

Q8. 早く転職したら、請求額は下がりますか。

一般的には、転職後の収入は中間収入としてバックペイから一定範囲で控除される可能性があります。ただし、控除には限度があり、平均賃金の4割を上限とする考え方が問題になります。転職したから請求できないという単純な話ではなく、具体的な計算は専門家へ確認する必要があります。

Q9. 復職したくない場合でも争えますか。

一般的には、労働契約上の地位や解雇無効を前提にしつつ、最終的には金銭解決で雇用を終了する事案があります。JILPT調査でも、労働審判・裁判上の和解のいずれも96%以上が雇用存続せず金銭解決していました。ただし、復職意思や交渉方針は事案ごとに慎重に検討する必要があります。

Q10. 弁護士費用を払うと赤字になりませんか。

一般的には、請求見込額、証拠の強さ、会社の支払能力、手続選択によって費用対効果は変わります。少額事件では労働局あっせんや本人申立てを検討する余地があります。一方、月給が高い、解雇後期間が長い、未払残業代や退職金不支給がある場合は、費用を含めて相談価値を確認する必要があります。

Section 10

不当解雇の賠償金相場を実務で使う結論

相場表を見るだけでなく、名目、手続、証拠、計算式を分解して検討します。

不当解雇で会社からもらえる賠償金の相場を考えるとき、最も重要なのは、相場はいくらかを単独で見るのではなく、何の名目で、どの手続で、どの証拠に基づいて、どこまで請求するのかを分解することです。

統計上の目安としては、労働局あっせんでは中央値23.5万円、労働審判では中央値150万円、民事訴訟上の和解では中央値300万円という水準があります。しかし、これは出発点にすぎません。月給30万円で解雇から8か月後に解決する場合、バックペイの出発点だけで240万円になります。月給45万円で整理解雇の有効性を訴訟で争い、解決まで12か月を要する場合、出発点は540万円です。反対に、短期勤続・低賃金・証拠不足・早期解決重視の事案では、数十万円で終わることもあります。

次の行動順は、相場を実務上の検討に落とし込むための確認事項です。順番に確認することで、金額だけでなく、証拠、手続、合意書のリスクを読み取れます。

1

解雇通知・解雇理由証明書を確保する

解雇の存在と理由を明確にし、会社が後から理由を変えるリスクに備えます。

2

雇用契約書・就業規則・給与明細・勤怠記録を集める

バックペイ、賞与、退職金、未払残業代の計算に必要な資料を整理します。

3

解雇理由に反論する証拠を整理する

評価資料、改善指導の有無、メール、録音、時系列を確認します。

4

月給×解雇後期間で出発点を計算する

中間収入、賞与、退職金、慰謝料事情を別に確認します。

5

手続を選ぶ

労働局あっせん、労働審判、訴訟のどれが適切かを、早期解決と回収可能性の両面から検討します。

6

合意書の署名前に確認する

金額、名目、退職日、離職票、清算条項を確認し、後から請求できなくなる範囲を把握します。

不当解雇で会社から受け取れる現実の金額は、解雇が無効である可能性、復職を求めるか、どの手続を選ぶか、どの証拠を持っているかによって大きく変わります。相場表だけで判断せず、証拠と手続を踏まえて検討することが重要です。

Reference

参考資料

公的機関、裁判所、労働政策研究機関の資料を中心に整理しています。

公的機関・法令

  • 厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」
  • e-Gov法令検索「労働契約法」
  • 厚生労働省「確かめよう労働条件|中間収入の控除」
  • 厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」
  • 厚生労働省「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」
  • 厚生労働省「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会報告書」
  • 厚生労働省「第205回労働政策審議会労働条件分科会 議事録」

裁判所・研究機関

  • 裁判所「労働審判手続」
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.226 労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.237 労働局あっせんにおける解雇型雇用終了事案の分析」