2σ Guide

パワハラの6類型を
具体例で理解する

身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害を、3要素と証拠整理に結びつけて確認します。

6類型 代表的な言動整理
3要素 法的定義の出発点
54,987件 令和6年度の相談件数
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パワハラの6類型を 具体例で理解する

身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害を、3要素と証拠整理に結びつけて確認します。

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パワハラの6類型を 具体例で理解する
身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害を、3要素と証拠整理に結びつけて確認します。
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  • パワハラの6類型を 具体例で理解する
  • 身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害を、3要素と証拠整理に結びつけて確認します。

POINT 1

  • パワハラの6類型を具体例で理解するための全体像
  • 6類型は暗記用の一覧ではなく、事実を整理して相談しやすくするための判断材料です。
  • 6類型は限定列挙ではない
  • 3要素をすべて確認する
  • 記録と相談先を分ける

POINT 2

  • パワハラの法的定義は3要素から確認する
  • 6類型に入る前に、職場、労働者、優越的な関係の意味を押さえます。
  • 職場はオフィスの中だけではありません
  • 労働者は正社員に限られません
  • 優越的な関係は上司から部下だけではありません

POINT 3

  • パワハラ6類型の具体例と境界事例
  • 身体的な攻撃から個の侵害まで、典型例、境界、証拠をまとめて確認します。
  • 第1類型 ― 身体的な攻撃
  • 第2類型 ― 精神的な攻撃
  • 第3類型 ― 人間関係からの切り離し

POINT 4

  • パワハラの複合事例と実務的チェックポイント
  • 1. 出来事を時系列に並べる:日時、場所、行為者、内容、証拠、体調への影響を分けます。
  • 2. 6類型に近い行為を整理する:複数にまたがる場合は無理に一つへ絞りません。
  • 3. 3要素を確認する:優越的関係、業務上の必要性と相当性、就業環境への支障を確認します。
  • 4. 専門窓口へ相談:医療機関、産業医、労働局、弁護士等へ早めに相談します。
  • 5. 記録を補強:証拠、相談履歴、体調変化を継続して残します。

POINT 5

  • パワハラ被害を受けた側が最初に整理すること
  • 時系列、証拠、相談目的、体調を分けて整理します。
  • 被害を受けた側が最初に行うべきことは、出来事を時系列で整理することです。
  • 記憶だけに頼ると、日時、場所、発言、目撃者、体調への影響が混ざりやすくなります。
  • 特に体調不良がある場合は、証拠整理と同時に医療機関への受診、産業医や相談窓口の利用を検討します。

POINT 6

  • パワハラの相談先と会社側の対応を整理する
  • 1. 相談を受け止める:安全確保、プライバシー保護、相談者の意向、心身の状態、緊急性を確認します。
  • 2. 事実確認の範囲を決める:担当者、記録方法、相談者・行為者・第三者への聴取、証拠資料の確認を進めます。
  • 3. 6類型と3要素で確認する:類型だけでなく、優越的関係、業務上の必要性、態様、就業環境への支障を見ます。
  • 4. 配慮措置と再発防止を行う:被害者への配慮、行為者への適正な措置、再発防止、相談者・協力者への不利益取扱いが起きていないかを継続確認します。

POINT 7

  • パワハラの6類型でよくある誤解と相談前テンプレート
  • 誤解を避け、相談時に説明しやすい形へ整えます。
  • 弁護士等へ相談する前に準備したい資料
  • パワハラの6類型は便利ですが、誤解されやすい面があります。
  • ただし、個別の結論は事実関係と証拠によって変わります。

まとめ

  • パワハラの6類型を 具体例で理解する
  • パワハラの6類型を具体例で理解するための全体像:6類型は暗記用の一覧ではなく、事実を整理して相談しやすくするための判断材料です。
  • パワハラの法的定義は3要素から確認する:6類型に入る前に、職場、労働者、優越的な関係の意味を押さえます。
  • パワハラ6類型の具体例と境界事例:身体的な攻撃から個の侵害まで、典型例、境界、証拠をまとめて確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

パワハラの6類型を具体例で理解するための全体像

6類型は暗記用の一覧ではなく、事実を整理して相談しやすくするための判断材料です。

職場で「これはパワハラではないか」と感じたとき、最初に役立つのが厚生労働省の示す6類型です。もっとも、6類型のどれかに似ているから直ちに違法、どれにもぴったり当てはまらないから問題なし、という結論にはなりません。6類型は、相談窓口、会社、労働局、弁護士等へ事実を説明するための分類の道具として使うことが重要です。

令和6年度の個別労働紛争解決制度では、民事上の個別労働関係紛争における「いじめ・嫌がらせ」の相談が54,987件とされ、13年連続最多とされています。ただし、令和4年4月以降、労働施策総合推進法上の職場のパワーハラスメント相談は同法に基づき扱われるため、この統計の読み方には注意が必要です。

注意このページは一般的な情報整理です。特定の言動が必ずパワハラに当たる、損害賠償請求の見通しが必ず立つ、必ず懲戒相当になると断定するものではありません。深刻な被害、退職、解雇、懲戒、労災、損害賠償、刑事事件化の可能性がある場合は、資料を整理したうえで弁護士、労働局、法テラス、産業医、社労士等へ相談する必要があります。

次の重要ポイント一覧は、パワハラの6類型を読む前に押さえるべき位置づけを表しています。なぜ重要かというと、類型だけで結論を急ぐと、適正な業務指導や配置転換との境界を見誤るおそれがあるためです。各項目では、6類型、3要素、証拠、相談先を別々に整理して読み取ってください。

Point 1

6類型は限定列挙ではない

身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害は代表例です。オンライン会議や業務用チャットでの攻撃など、複数の類型にまたがる形もあります。

Point 2

3要素をすべて確認する

優越的な関係、業務上必要かつ相当な範囲を超えること、就業環境が害されることを総合的に見ます。1つの言動だけを切り出さず、目的、態様、頻度、影響を並べます。

Point 3

記録と相談先を分ける

時系列、証拠、体調、相談履歴を分けて残すと、会社、労働局、医療機関、弁護士等へ状況を説明しやすくなります。

Section 01

パワハラの法的定義は3要素から確認する

6類型に入る前に、職場、労働者、優越的な関係の意味を押さえます。

厚生労働省の整理では、職場のパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、その言動により労働者の就業環境が害されること、という3つの要素をすべて満たすものです。労働施策総合推進法第30条の2は、事業主に対して、パワハラ防止に必要な雇用管理上の措置を講じる義務を定めています。

次の一覧は、パワハラの3要素が何を確認するためのものかを整理したものです。なぜ重要かというと、暴言や無視といった表面上の出来事だけでなく、関係性、業務上の必要性、就業への支障を分けて見ることで、相談時の説明が具体化するためです。左から要素、意味、実務で確認する点の順に読みます。

要素意味確認する点
優越的な関係を背景とした言動抵抗や拒絶が難しい関係で行われる言動上司だけでなく、専門知識を持つ同僚、集団的な行為、派遣先担当者なども確認します。
業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動業務上の必要性がない、または手段や態様が社会通念上相当でない言動目的、経緯、頻度、継続性、表現、相手の状態、代替手段を見ます。
就業環境が害されること身体的または精神的苦痛により、能力発揮に看過できない支障が出ること出勤困難、通院、睡眠障害、業務停滞、評価への影響、退職意思などを整理します。

職場はオフィスの中だけではありません

職場には、会社の建物、店舗、工場、作業場だけでなく、出張先、業務で使用する車中、取引先との打ち合わせ場所、接待の席など、労働者が業務を遂行する場所が含まれ得ます。勤務時間外の懇親の場、社員寮、通勤中であっても、実質的に職務の延長と考えられる場合は問題になります。

労働者は正社員に限られません

労働者には、正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員などの非正規雇用労働者も含まれます。派遣労働者については、派遣元だけでなく派遣先にも、自ら雇用する労働者と同様に措置を講じることが求められます。

優越的な関係は上司から部下だけではありません

職務上の地位が上位の人による言動だけでなく、専門知識や経験を持つ同僚・部下の協力がなければ業務遂行が困難な場合や、同僚・部下からの集団的行為により抵抗や拒絶が難しい場合も、優越的な関係が問題になります。

次の比較表は、場所、雇用形態、関係性の確認対象をまとめたものです。なぜ重要かというと、「勤務時間外だから関係ない」「同僚だからパワハラではない」と早合点しないためです。各行では、どの範囲まで確認対象になり得るかを読み取ってください。

確認軸含まれ得る範囲整理のポイント
場所通常の就業場所、出張先、業務車両、取引先、実質的に職務の延長といえる場業務との関連、参加の必要性、会社の管理可能性を見ます。
労働者正社員、契約社員、パートタイム労働者、派遣労働者雇用形態だけで対象外と考えないことが大切です。
関係性上司、同僚、部下、集団、専門知識を持つ人拒絶しにくさ、業務上の依存、人数差、情報差を確認します。
Section 02

パワハラの6類型を具体例で比較する

代表的な6つの類型を、意味と典型例に分けて確認します。

厚生労働省は、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、職場のパワーハラスメントの典型例を6類型として整理しています。これは、すべての行為を網羅するものではありませんが、相談前に出来事を分類する入口として役立ちます。

次の比較表は、6類型の基本的な意味と典型例を並べたものです。なぜ重要かというと、出来事を1つの感情表現ではなく、どの類型に近い行為なのかに分けて説明できるようになるためです。左から類型、基本的な意味、典型例の順に読み、複数にまたがる行為があることも意識してください。

類型基本的な意味典型例
身体的な攻撃暴行・傷害殴る、蹴る、物を投げつける、身体を拘束する
精神的な攻撃脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言人格否定、退職強要的な暴言、公開叱責、脅し
人間関係からの切り離し隔離、仲間外し、無視別室隔離、業務連絡から外す、集団無視
過大な要求不要または不可能な業務の強制、仕事の妨害達成困難なノルマ、私的雑用、過酷な業務の押し付け
過小な要求合理性なく低すぎる仕事を命じる、仕事を与えない専門職に単純作業だけを命じる、仕事を干す
個の侵害私的なことに過度に立ち入る私生活の詮索、病歴・性的指向・性自認等の暴露、私物の無断確認

次の重要ポイント一覧は、6類型を読むときの注意点を整理しています。なぜ重要かというと、類型名に当てはめるだけでは、適正な指導、合理的な配置、会社の対応義務との関係を見落とすためです。各項目では、限定列挙ではないこと、境界判断が必要なこと、現代的な形態が複数類型にまたがることを読み取ってください。

限定列挙ではない

デジタル上の監視、オンライン会議での晒し上げ、業務用チャットでの集団攻撃などは、複数の類型にまたがることがあります。

類似だけで結論は出ない

重大なミスの再発防止のため、事実に基づいて必要な注意をすること自体が、直ちに違法なパワハラになるとは限りません。

社会通念上の相当性を見る

目的、必要性、態様、頻度、相手の状況、職場への影響を合わせて確認します。

Section 03

パワハラ6類型の具体例と境界事例

身体的な攻撃から個の侵害まで、典型例、境界、証拠をまとめて確認します。

第1類型 ― 身体的な攻撃

身体的な攻撃は、暴行・傷害を中心とする類型です。殴る、蹴る、突き飛ばす、胸ぐらをつかむ、物を投げつける、机を強く叩いて威圧する、身体を拘束する、長時間正座を強いるなど、身体に対する直接・間接の攻撃が問題になります。1回でも重大であり、怪我、通院、恐怖による出勤困難、睡眠障害などが生じた場合は、民事上の損害賠償、使用者責任、安全配慮義務違反、暴行罪・傷害罪などが問題になる可能性があります。

次の比較一覧は、身体的な攻撃と精神的な攻撃の具体例、境界、残すべき資料をまとめたものです。なぜ重要かというと、強い言動ほど記憶だけではなく客観資料が必要になりやすいためです。各列では、問題になる行為、境界を考える観点、証拠の種類を順に確認してください。

類型具体例境界で見る点残すべき資料
身体的な攻撃殴る、蹴る、物を投げる、胸ぐらをつかむ、机を強く叩いて威圧する安全確保のための制止か、威圧や懲罰か。怪我や恐怖、通院の有無も重要です。写真、診断書、録音、目撃者、救急・通院記録、会社への報告記録
精神的な攻撃人格否定、脅迫、侮辱、公開叱責、退職強要的な暴言、性的指向・性自認に関する侮辱業務上の問題点への指摘か、人格・属性・家族への攻撃か。場所、時間、頻度も見ます。録音、メール、チャット、会議メモ、同席者、医療記録、相談履歴

第2類型 ― 精神的な攻撃

精神的な攻撃は、脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言などにより精神的苦痛を与える言動です。難しいのは、業務指導との境界です。たとえば、「提出期限を3回守れていない。原因を確認し、次回から前日17時までにドラフトを共有してほしい」は業務指導に近い整理です。一方、「社会人失格だ」「何をやってもだめな人間だ」といった人格攻撃は、業務改善と結びつきにくい言動です。

次の比較表は、適正な指導に近い例と、精神的な攻撃に近い例を観点別に示したものです。なぜ重要かというと、同じ叱責でも、指摘対象、目的、場所、表現、時間、代替手段により評価が変わるためです。左列の観点ごとに、どちら側へ寄っているかを読み取ってください。

観点適正な指導に近い例パワハラに近い例
指摘対象具体的な業務・行動人格、能力全体、家族、属性
目的再発防止、品質確保、安全確保服従させる、辱める、退職させる
場所必要に応じた面談、関係者限定大勢の前、チャット全体、公開の場
表現事実・改善策中心侮辱、脅迫、嘲笑、威圧
時間必要な範囲長時間、深夜、反復継続
代替手段研修、再指示、役割調整罵倒、晒し上げ、孤立化

第3類型 ― 人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しは、隔離、仲間外し、無視により、特定の労働者を職場内で孤立させる類型です。別室隔離、業務連絡から外す、会議やチャットに入れない、周囲に話しかけないよう指示するなどが問題になります。合理的な配置転換、感染症対策、調査中の接触回避など、業務上の理由がある場合との区別が必要です。

第4類型 ― 過大な要求

過大な要求は、業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害を指します。達成困難なノルマ、教育なしでの過剰な責任追及、私的雑用の強制、長時間労働と結びつく指示などが問題になりやすい類型です。

次の比較表は、高い目標と過大な要求の境界を整理しています。なぜ重要かというと、厳しい目標設定そのものではなく、根拠、教育、権限、期限、未達時対応を総合して見る必要があるためです。各行では、合理的な業務要求に近い事情と、過大な要求に近い事情の違いを読み取ってください。

観点正当な業務要求に近い例過大な要求に近い例
目標過去実績、市場状況、職位に応じた設定根拠なく達成不能な数値
教育必要な研修・OJTがある教えずに失敗を責める
権限必要な裁量、資料、人員がある権限がないのに責任だけ負わせる
期限合理的な期限物理的に不可能な期限
未達時対応原因分析、改善策罵倒、晒し上げ、退職迫り

第5類型 ― 過小な要求

過小な要求は、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた低い仕事だけを命じること、または仕事を与えないことです。管理職に誰でもできる単純作業だけを命じる、専門職を長期間雑務だけにする、合理性なく案件から外して仕事を干すといった行為が問題になります。正当な配置転換や業務量調整との境界では、目的、期間、説明、本人への影響を見ます。

第6類型 ― 個の侵害

個の侵害は、私生活、家族関係、病歴、不妊治療、性的指向・性自認、信条、私物など、私的なことに過度に立ち入る行為です。職場外での継続的な監視、私物の撮影、本人の同意なく機微情報を共有することも問題になります。業務上必要な確認との境界では、確認目的、範囲、共有先、本人同意、プライバシー保護を整理します。

Section 04

パワハラの複合事例と実務的チェックポイント

実際の職場トラブルは、複数の類型と3要素を組み合わせて整理します。

実際の職場トラブルは、6類型のどれか一つにきれいに収まるとは限りません。会議で「無能」と罵倒され、重要案件から外され、チャットにも入れない場合、精神的な攻撃、過小な要求、人間関係からの切り離しが重なります。新人に研修をせず、達成困難なノルマを課し、未達のたびに罵倒する場合、過大な要求と精神的な攻撃が重なります。

次の時系列は、複数類型が重なる場面をどの順番で整理するかを示しています。なぜ重要かというと、ひとつの類型名を選ぶより、出来事の順番、類型、影響を並べる方が、相談先へ実態を伝えやすくなるためです。上から下へ、発生順、関連する類型、確認すべき影響を読み取ってください。

会議・チャット

公開叱責と人格否定

会議や全体チャットで罵倒・嘲笑がある場合、精神的な攻撃が中心になります。録音、議事録、投稿履歴、参加者を確認します。

業務配分

仕事外しや達成不能な業務

重要案件から外す、過大なノルマを課す、必要な資料や権限を与えない場合、過小な要求や過大な要求が問題になります。

職場関係

孤立化や私生活の暴露

会議、連絡、昼食、席配置、病歴や性的指向・性自認の共有状況を確認し、人間関係からの切り離しや個の侵害を整理します。

次の判断の流れは、6類型を確認した後に3要素へ戻る手順を表しています。なぜ重要かというと、類型名だけで判断せず、優越的関係、業務上の必要性、態様の相当性、就業環境への影響を順番に検討する必要があるためです。上から下へ確認し、分岐では「資料で説明できるか」を意識してください。

6類型から3要素へ戻る確認順序

出来事を時系列に並べる

日時、場所、行為者、内容、証拠、体調への影響を分けます。

6類型に近い行為を整理する

複数にまたがる場合は無理に一つへ絞りません。

3要素を確認する

優越的関係、業務上の必要性と相当性、就業環境への支障を確認します。

支障が大きい
専門窓口へ相談

医療機関、産業医、労働局、弁護士等へ早めに相談します。

整理途中
記録を補強

証拠、相談履歴、体調変化を継続して残します。

判断では、強い身体的または精神的苦痛を与える態様であれば、1回の言動でも就業環境を害する場合があり得ます。一方で、頻度や継続性、職場での影響、相手の状況、業務内容、業種・業態も考慮されます。

Section 05

パワハラ被害を受けた側が最初に整理すること

時系列、証拠、相談目的、体調を分けて整理します。

被害を受けた側が最初に行うべきことは、出来事を時系列で整理することです。記憶だけに頼ると、日時、場所、発言、目撃者、体調への影響が混ざりやすくなります。特に体調不良がある場合は、証拠整理と同時に医療機関への受診、産業医や相談窓口の利用を検討します。

次の記録表は、相談前に時系列で残したい項目を示しています。なぜ重要かというと、会社、労働局、医療機関、弁護士等へ同じ情報を一貫して説明しやすくなるためです。左列の項目ごとに、具体的な記載例と証拠の所在を埋める形で読み取ってください。

項目記載例
日時2026年4月15日 10:30頃
場所第2会議室、部署チャット、出張先など
行為者上司A、同僚B、チーム全体など
内容どのような言葉・行為があったか
同席者・目撃者C課長、Dさん、会議参加者など
証拠メール、チャット、録音、写真、診断書など
影響眠れなかった、業務が止まった、通院したなど
相談履歴人事へ相談、産業医面談、労働局相談など

次の一覧は、証拠を種類別に分けるためのものです。なぜ重要かというと、録音だけ、日記だけ、診断書だけでは説明しきれない場合でも、複数の資料を組み合わせることで出来事と影響を補強できるためです。各項目では、何を保存し、どの点に注意するかを読み取ってください。

1

言動を示す資料

録音、動画、メール、チャット、会議メモ、写真などを、日時が分かる形で保存します。

事実
2

健康への影響を示す資料

診断書、通院履歴、処方内容、睡眠や食欲の変化、産業医面談記録を整理します。

体調
3

会社の対応を示す資料

相談窓口への連絡、人事面談、配置転換、調査結果、不利益取扱いの有無を残します。

対応

相談前に整理する5つの質問

  1. もっとも問題だと思う行為は何か。
  2. その行為は6類型のどれに近いか。
  3. いつから、何回、どの程度続いているか。
  4. 自分の業務、健康、評価、退職意思にどのような影響が出たか。
  5. 謝罪、配置転換、再発防止、休職対応、退職条件、損害賠償など、何を求めたいか。
体調不良体調や精神面に不調が出ている場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、必要に応じて産業医や専門窓口にも相談します。ハラスメントにより健康に不調が出た場合、専門医の診断や相談先の利用が重要です。
Section 06

パワハラの相談先と会社側の対応を整理する

社内、労働局、法テラス、弁護士等の役割と、会社が行うべき初動を確認します。

相談先は、目的によって変わります。社内相談窓口や人事部は、事実確認、被害者への配慮、行為者への適正な措置、再発防止を求める入口になります。会社に相談窓口がない、相談したが取り合ってもらえない、会社に相談すると不利益がありそうで相談しにくい場合には、総合労働相談コーナーなど外部窓口も選択肢になります。

次の一覧は、相談先ごとの主な役割を整理しています。なぜ重要かというと、体調の問題、社内対応、法的請求、労災、退職条件などを同じ窓口だけで解決しようとすると、必要な支援につながりにくいことがあるためです。各行では、相談先、向いている場面、準備資料を読み取ってください。

相談先向いている場面準備したい資料
社内相談窓口・人事部調査、配置配慮、再発防止、行為者対応を求めたい場合時系列表、証拠、希望する配慮、体調資料
総合労働相談コーナー外部で労働問題を相談したい場合、会社対応に不安がある場合出来事の要約、会社への相談状況、証拠一覧
法テラス・弁護士休職、労災、損害賠償、退職条件、懲戒・解雇、刑事事件化の可能性がある場合時系列表、証拠、医療資料、雇用契約、就業規則、収入資料
医療機関・産業医不眠、抑うつ、不安、出勤困難など健康面の支援が必要な場合症状の経過、職場での出来事、勤務状況、服薬履歴

次の時系列は、会社側が相談を受けた後に行うべき基本的な対応を表しています。なぜ重要かというと、相談を受け止めず、性急に結論を出し、相談者を不利益に扱うと、二次被害や安全配慮義務の問題につながるためです。上から下へ、安全確保、事実確認、措置、再発防止の順に読み取ってください。

初動

相談を受け止める

安全確保、プライバシー保護、相談者の意向、心身の状態、緊急性を確認します。

調査

事実確認の範囲を決める

担当者、記録方法、相談者・行為者・第三者への聴取、証拠資料の確認を進めます。

評価

6類型と3要素で確認する

類型だけでなく、優越的関係、業務上の必要性、態様、就業環境への支障を見ます。

措置

配慮措置と再発防止を行う

被害者への配慮、行為者への適正な措置、再発防止、相談者・協力者への不利益取扱いが起きていないかを継続確認します。

初動で避けるべき対応

  • 「証拠がないから対応できない」と相談時点で切り捨てること。
  • 相談者の同意や必要性を確認せず、広い範囲へ情報共有すること。
  • 行為者の言い分だけを聞いて、調査を終えること。
  • 相談したことを理由に配置、評価、契約更新などで不利益に扱うこと。

懲戒、配置転換、謝罪を行う場合も、就業規則、事実認定、処分の均衡、当事者の安全、プライバシーに注意が必要です。会社側にも被害者側にも、拙速な断定ではなく、資料に基づく整理が求められます。

Section 07

パワハラの6類型でよくある誤解と相談前テンプレート

誤解を避け、相談時に説明しやすい形へ整えます。

パワハラの6類型は便利ですが、誤解されやすい面があります。一般的には、上司から部下でなければパワハラではない、1回だけなら問題にならない、相手に問題行動があれば何を言ってもよい、6類型に当てはまらなければ問題ない、という理解は正確ではありません。ただし、個別の結論は事実関係と証拠によって変わります。

次の比較一覧は、よくある誤解と確認すべき考え方を並べたものです。なぜ重要かというと、相談前に誤った前提を置くと、必要な証拠や相談先を見誤るためです。左列の誤解に対し、右列の確認ポイントを読み取ってください。

誤解確認すべき考え方
上司から部下でなければパワハラではない専門知識を持つ同僚、集団的行為、部下からの行為でも、抵抗や拒絶が難しい関係が問題になることがあります。
1回だけなら問題にならない頻度や継続性は重要ですが、強い身体的または精神的苦痛を与える態様では、1回でも就業環境を害する場合があります。
相手に問題行動があれば何を言ってもよい業務上の問題点を指摘することと、人格否定や侮辱は別です。
会社に相談すると必ず不利益を受ける制度上は、相談者や協力者への不利益取扱いは禁止される方向で整備されています。ただし実際の不安がある場合は外部相談も検討します。
6類型に当てはまらなければ問題ない6類型は限定列挙ではありません。デジタル監視やチャット上の集団攻撃など、新しい形態は複数類型にまたがります。

次のテンプレート一覧は、相談時にどの事実を説明するかを類型別にまとめたものです。なぜ重要かというと、感情的なつらさだけでなく、行為、証拠、影響、希望を具体的に伝えられるようにするためです。各行では、類型に応じて何を言語化するかを読み取ってください。

類型相談時に説明したいこと
身体的な攻撃いつ、どこで、誰から、どのような身体的接触や威圧があり、怪我や通院、恐怖が生じたか。
精神的な攻撃どの発言が、いつ、どこで、誰に向けられ、どのような精神的苦痛や就業上の支障が出たか。
人間関係からの切り離しどの会議、連絡、席、業務から外され、どの程度継続し、業務にどのような支障が出たか。
過大な要求どの業務が、なぜ不要または遂行困難で、教育、権限、期限、人員、未達時対応にどのような問題があったか。
過小な要求本来の職務、経験、職位と比べて、どのような低い業務だけを命じられたか、または仕事を与えられなかったか。
個の侵害どの私的情報を尋ねられた、または暴露されたか。本人の同意、共有先、業務上の必要性、不利益の有無を整理します。

弁護士等へ相談する前に準備したい資料

  • 時系列表、証拠一覧、録音・メール・チャットの保存先
  • 診断書、通院履歴、産業医面談記録など健康面の資料
  • 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、異動や評価に関する資料
  • 相談目的の整理。調査、接触回避、退職条件、慰謝料、労災申請など
まとめパワハラの6類型を具体例で理解するうえで大切なのは、6類型を暗記項目ではなく、相談しやすくするための地図として使うことです。最終的な見通しや対応方針は、個別事情と証拠によって変わるため、必要に応じて弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Reference

参考資料と出典

公的機関や中立的な資料名を中心に整理しています。

公的資料

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団|パワーハラスメントとは」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団|ハラスメントに関する法律とハラスメント防止のために講ずべき措置」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団|相談窓口のご案内」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団|よくある質問」
  • 厚生労働省「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します
  • 労働施策総合推進法第30条の2