2σ Guide

パワハラの慰謝料相場と
認められた判例

慰謝料50万円・70万円・100万円・270万円、死亡慰謝料2300万円・2600万円などの裁判例をもとに、金額だけでなく証拠と因果関係を確認します。

50万〜300万円 中心的な幅
2300万〜2600万円 死亡慰謝料例
3年・5年 主な時効
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パワハラの慰謝料相場と 認められた判例

定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。

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パワハラの慰謝料相場と 認められた判例
定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。
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  • パワハラの慰謝料相場と 認められた判例
  • 定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。

POINT 1

  • パワハラ慰謝料相場の全体像
  • 定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。
  • 金額だけでなく総損害を見る
  • パワハラ慰謝料には、法律上の定額表がありません。
  • 裁判所は、行為の内容、期間、頻度、職場での力関係、心身への影響、会社の対応、証拠の有無などを総合して金額を決めます。

POINT 2

  • パワハラ慰謝料を考える前提となる法律上の定義
  • 三要素と六類型を確認し、慰謝料判断の土台を作ります。
  • 慰謝料を考える前に、どの類型に近く、どの証拠で裏付けられるかを読み取ってください。
  • 適正な業務指導はパワハラではありません。
  • ミスの指摘、改善指導、業務上必要な注意は通常の管理・指導の範囲にあります。

POINT 3

  • パワハラ慰謝料は損害賠償全体の一部です
  • 治療費、休業損害、逸失利益、労災との関係も合わせて見ます。
  • パワハラ事件で問題になる損害は、慰謝料だけではありません。
  • 慰謝料の金額だけを見ず、休業損害、逸失利益、治療費、弁護士費用、遅延損害金がどのように加わるかを読み取ってください。
  • 裁判例で慰謝料100万円と認定されても、総損害が100万円とは限りません。

POINT 4

  • パワハラ慰謝料は誰に請求する問題なのか
  • 加害者個人、会社、公共団体、会社の防止措置義務を分けて確認します。
  • パワハラの損害賠償請求では、相手方が加害者個人だけとは限りません。
  • どの相手に何を求めるかで証拠と主張が変わる点を読み取ってください。
  • 会社の措置義務は、違反したから直ちに一定額の慰謝料が自動発生するものではありません。

POINT 5

  • パワハラ慰謝料の実際に認められた裁判例
  • 1. 暴言・威圧的言動等
  • 2. 医療・介護職場での嫌がらせ等
  • 3. 校長による集中的・恒常的な言動
  • 4. うつ病発症・退職が問題となった事案
  • 5. 長期通院を伴う職場ハラスメント
  • 6. 死亡事案

POINT 6

  • パワハラ慰謝料の裁判例比較と認容額の読み方
  • 請求額、認容額、判断ポイントを並べ、差が出る理由を整理します。
  • 裁判例を横断すると、請求額と認められた金額には大きな差が出ることがあります。
  • 金額列だけでなく、右端の理由を見て、どの事情が認容額を押し上げたり抑えたりしたかを読み取ってください。

POINT 7

  • パワハラ慰謝料額を左右する主要な判断要素
  • 行為の内容
  • 暴行、身体的威圧、人格否定、侮辱、脅迫、退職強要、見せしめ、私生活への介入などは重く見られやすい要素です。
  • 期間・頻度・継続性
  • 1回限りか、数か月から数年にわたる反復かで評価が変わります。

POINT 8

  • パワハラ慰謝料請求で有効になりやすい証拠
  • 録音、チャット、診断書、相談記録、勤怠を時系列で補強します。
  • パワハラ慰謝料を請求するには、感情的な訴えだけでなく、事実を証明できる資料が必要です。
  • 証拠の列では種類を、重要性の列では何を示せるかを確認し、複数の資料で時系列を補強する点を読み取ってください。
  • 相談前に整理すべき情報は、出来事を法的に評価するための土台です。

まとめ

  • パワハラの慰謝料相場と 認められた判例
  • パワハラ慰謝料相場の全体像:定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。
  • パワハラ慰謝料を考える前提となる法律上の定義:三要素と六類型を確認し、慰謝料判断の土台を作ります。
  • パワハラ慰謝料は損害賠償全体の一部です:治療費、休業損害、逸失利益、労災との関係も合わせて見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

パワハラ慰謝料相場の全体像

定額表はなく、行為・証拠・健康被害・会社対応で大きく変わります。

パワハラ慰謝料には、法律上の定額表がありません。裁判所は、行為の内容、期間、頻度、職場での力関係、心身への影響、会社の対応、証拠の有無などを総合して金額を決めます。

次の比較表は、裁判例から見た実務上の幅を整理したものです。金額を機械的に当てはめるのではなく、どの類型でどの事情が重く見られるかを読み取ることが重要です。金額の列は目安であり、右列のポイントが増減要素になります。

類型慰謝料の目安実務上のポイント
暴言・侮辱・叱責などが認定されたが、重い精神疾患や長期休職までは認定されにくい事案数万円〜50万円程度1回限りか継続的か、人格否定、公開の場での侮辱、退職強要的言動があるかが重要です。
継続的な嫌がらせ、過大な要求、不適切な業務命令、妊娠・体調への配慮欠如などが認定された事案50万円〜100万円程度指導の名を借りていても、業務上必要・相当な範囲を超えると違法になり得ます。
うつ病、適応障害、メニエール病等の発症・悪化、休職、退職が認定された事案100万円〜300万円程度の慰謝料が中心慰謝料だけでなく、休業損害、逸失利益、治療費、弁護士費用、遅延損害金が加算されることがあります。
精神疾患・自殺との因果関係が認められた死亡事案死亡慰謝料として2300万円〜2600万円程度の認定例逸失利益、葬祭費、遺族固有の慰謝料、弁護士費用等が加わり、総損害は数千万円規模になり得ます。

慰謝料額の幅を短く見るために、次の重要ポイントを置いています。これは金額の上限下限を断定するものではなく、どの数字がどの重さを示しているかを整理するためのものです。金額が大きくなるほど、健康被害や死亡、逸失利益との関係が重要になる点を読み取ってください。

金額だけでなく総損害を見る

慰謝料50万円、70万円、100万円、270万円、死亡慰謝料2300万円・2600万円などの裁判例がありますが、休業損害や逸失利益が加わると総額は数百万円から数千万円規模になることがあります。

Section 01

パワハラ慰謝料を考える前提となる法律上の定義

三要素と六類型を確認し、慰謝料判断の土台を作ります。

職場のパワハラは、優越的な関係を背景とする言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、就業環境が害されることの三要素で整理されます。次の一覧は、代表的な六類型を確認するためのものです。慰謝料を考える前に、どの類型に近く、どの証拠で裏付けられるかを読み取ってください。

類型典型例
身体的な攻撃殴る、蹴る、物を投げつけるなど。
精神的な攻撃人格否定、侮辱、脅迫、執拗な叱責、名誉毀損的発言など。
人間関係からの切り離し隔離、仲間外し、無視など。
過大な要求達成不可能な業務、不要な作業の強制、過度なノルマなど。
過小な要求能力・経験に見合わない単純作業のみを命じる、仕事を与えないなど。
個の侵害私生活への過度な立入り、個人情報の暴露など。

適正な業務指導はパワハラではありません。ミスの指摘、改善指導、業務上必要な注意は通常の管理・指導の範囲にあります。しかし、人格を否定する表現、必要性のない見せしめ、長時間の叱責、身体的威圧、退職を迫る言動、体調を無視した過大な要求などが加わると、違法なパワハラと評価される可能性が高まります。

Section 02

パワハラ慰謝料は損害賠償全体の一部です

治療費、休業損害、逸失利益、労災との関係も合わせて見ます。

パワハラ事件で問題になる損害は、慰謝料だけではありません。次の表は、損害項目ごとに内容を整理します。慰謝料の金額だけを見ず、休業損害、逸失利益、治療費、弁護士費用、遅延損害金がどのように加わるかを読み取ってください。

損害項目内容
慰謝料精神的苦痛に対する賠償。パワハラの慰謝料相場で中心的に語られる項目です。
治療費・通院交通費うつ病、適応障害、身体症状などで通院した場合の費用です。
休業損害パワハラに起因して休職し、賃金を得られなかった場合の損害です。
逸失利益退職、後遺障害、死亡等により将来得られたはずの収入を失った場合の損害です。
葬祭費死亡事案で問題となる葬儀関連費用です。
遺族固有の慰謝料死亡事案で、遺族自身が受けた精神的苦痛に対する慰謝料です。
弁護士費用不法行為と相当因果関係のある範囲で、認容額の一部として認められることがあります。
遅延損害金不法行為日や請求日等から支払済みまでの法定利率による金員です。

裁判例で慰謝料100万円と認定されても、総損害が100万円とは限りません。休業損害、逸失利益、弁護士費用などが加わり、認容総額が数百万円以上になることがあります。反対に、請求額が500万円や1000万円でも、裁判所が認める慰謝料は50万円、70万円、100万円にとどまることもあります。

Section 03

パワハラ慰謝料は誰に請求する問題なのか

加害者個人、会社、公共団体、会社の防止措置義務を分けて確認します。

パワハラの損害賠償請求では、相手方が加害者個人だけとは限りません。次の比較表は、加害者、会社、公共団体に関する法的根拠を整理します。どの相手に何を求めるかで証拠と主張が変わる点を読み取ってください。

法的根拠内容
加害者個人の不法行為責任上司や同僚の言動が違法な不法行為に当たる場合、民法709条に基づく損害賠償請求が問題になります。
会社の使用者責任従業員が事業の執行について第三者に損害を与えた場合、民法715条に基づき会社責任が問題になります。
安全配慮義務違反・職場環境配慮義務違反ハラスメントのない職場環境を整備し、相談・調査・是正を行う義務に違反したかを見ます。
会社自身の不法行為会社の放置、報復的人事、調査懈怠などが独自に違法と評価される場合があります。
公共団体などの責任公務員の職務遂行に関連する行為では、国家賠償法上の責任が問われることがあります。

会社の措置義務は、違反したから直ちに一定額の慰謝料が自動発生するものではありません。ただし、相談放置、調査不足、加害者と被害者の分離不足、再発防止の欠如などは、民事裁判で慰謝料額や責任判断に影響することがあります。

次の一覧は、事業主が講じるべき措置と実務上の意味を示します。窓口を置いているだけでは足りず、迅速性、公正性、プライバシー保護、不利益取扱い禁止まで確認される点を読み取ってください。

措置実務上の意味
方針の明確化・周知啓発就業規則、ハラスメント防止規程、社内研修、管理職教育など。
相談体制の整備相談窓口、外部通報窓口、匿名相談、相談担当者の研修など。
事後の迅速・適切な対応事実確認、関係者ヒアリング、被害者保護、加害者への措置、再発防止。
プライバシー保護相談者・協力者・被害者・加害者の情報管理。
不利益取扱いの禁止相談や調査協力を理由とする降格、配置転換、雇止め等の禁止。
相談対応そのものも問題になります防衛省職員の相談対応遅延が問題となった裁判例では、検討結果の回答が約10か月余り遅れたことについて、精神的苦痛に対する慰謝料5万円が認められています。
Section 04

パワハラ慰謝料の実際に認められた裁判例

50万円、70万円、100万円、270万円、死亡慰謝料などの背景を見ます。

裁判所公表裁判例を中心に、パワハラ慰謝料がどのように認定されたかを並べます。次の時系列は金額の大小だけではなく、暴言・威圧、継続性、精神疾患、死亡、会社対応など、金額判断の背景を読むためのものです。各事案を単純比較せず、どの事情が重い評価につながったかを読み取ってください。

50万円

暴言・威圧的言動等

罵声、威圧的言動、椅子を蹴る行為、能力面で侮辱する発言などの一部が認定され、慰謝料50万円と弁護士費用5万円が認められました。

70万円

医療・介護職場での嫌がらせ等

一定期間にわたり業務への意欲や自信を失わせ、人格的利益を侵害したとして、慰謝料70万円と弁護士費用7万円が認められました。

100万円

校長による集中的・恒常的な言動

短期間に集中的・恒常的な言動が繰り返されたことなどが考慮され、慰謝料100万円を含む総損害482万4930円が認められました。

100万円

うつ病発症・退職が問題となった事案

強い心理的負担を与える発言、退職示唆、過大な目標設定、復職直後の配慮不足などが検討され、慰謝料100万円を含む合計167万5273円が認められました。

270万円

長期通院を伴う職場ハラスメント

暴行・セクハラ的要素も混在し、うつ病診断後の長期通院を踏まえて通院慰謝料270万円、休業損害1104万2708円などが認められました。

2300万円・2600万円

死亡事案

精神疾患・自殺との因果関係が認められた事案では、死亡慰謝料2300万円や2600万円、逸失利益などが問題になりました。

裁判例では、請求されたすべての出来事がそのまま認められるわけではありません。客観的証拠で裏付けられる言動に絞って違法性が判断されるため、日時、場所、発言者、発言内容、周囲の状況、業務上の必要性の有無を丁寧に整理します。

Section 05

パワハラ慰謝料の裁判例比較と認容額の読み方

請求額、認容額、判断ポイントを並べ、差が出る理由を整理します。

裁判例を横断すると、請求額と認められた金額には大きな差が出ることがあります。次の比較表は、請求額、認められた慰謝料・総額、金額判断のポイントを並べています。金額列だけでなく、右端の理由を見て、どの事情が認容額を押し上げたり抑えたりしたかを読み取ってください。

裁判例の類型請求額または主な請求認められた慰謝料・総額金額判断のポイント
上司の暴言・威圧的言動等660万円慰謝料50万円、弁護士費用5万円、合計55万円認定できた言動に限定して違法性を判断。証拠で裏付けられない主張は排斥。
医療・介護職場での嫌がらせ、妊娠・体調への配慮問題等1100万円慰謝料70万円、弁護士費用7万円、合計77万円一定期間にわたり人格的利益を侵害したと評価。一般予防目的の高額慰謝料には慎重。
公立中学校の校長による集中的・恒常的なパワハラ921万2423円慰謝料100万円、弁護士費用45万円、総損害482万4930円管理職の地位、短期間の集中性、組織側の対応、謝罪・反省の有無等を考慮。
うつ病発症・退職が問題となった職場パワハラ752万4806円慰謝料100万円、弁護士費用15万円、合計167万5273円復職直後の配慮欠如、過大な要求、退職示唆、会社対応の不十分さを考慮。
多数のパワハラ主張のうち一部が認定された事案500万円慰謝料50万円多数の主張を個別に選別し、違法と認められる行為に限定して算定。
ハラスメント・暴行等でうつ病、長期通院、解雇無効等が問題となった事案1738万2979円通院慰謝料270万円、休業損害1104万2708円等。一部弁済控除後961万6978円長期通院と休業損害が大きく、慰謝料より総損害が大きくなる典型。
パワハラ等と自殺の因果関係が認められた死亡事案1億円超死亡慰謝料2300万円、総額7261万2557円人格否定的言動、精神疾患、自殺との因果関係、逸失利益が中心。
警察官の自殺事案原告ら各自1457万6431円死亡慰謝料2600万円、両親固有慰謝料各100万円、死亡逸失利益5545万8590円等パワハラ・過重労働・安全配慮義務違反と自殺との因果関係を認定。

認容額が低くなりやすい理由は、裁判所が個々の出来事を証拠ごとに選別すること、つらさと法的に賠償される損害が同じではないこと、精神疾患・休職・退職との因果関係が争われること、会社の対応が一定程度考慮されることにあります。

Section 06

パワハラ慰謝料額を左右する主要な判断要素

行為、期間、力関係、健康被害、会社対応、証拠を分けて見ます。

慰謝料額は、単に不快だったかではなく、複数の判断要素の組み合わせで動きます。次の一覧は、金額に影響しやすい要素を整理したものです。各項目が強いほど増額方向に働きやすい一方、証拠や因果関係が弱いと評価が限定される点を読み取ってください。

行為の内容

暴行、身体的威圧、人格否定、侮辱、脅迫、退職強要、見せしめ、私生活への介入などは重く見られやすい要素です。

期間・頻度・継続性

1回限りか、数か月から数年にわたる反復かで評価が変わります。短期間でも集中的・恒常的なら重く見られ得ます。

力関係

上司と部下、校長と教頭、強い階層性のある職場では、被害者が抵抗しにくいことが考慮されます。

業務上の必要性と相当性

指導目的があっても、人格否定、長時間拘束、見せしめ、退職強要、暴力的態度は相当性を欠きやすくなります。

心身への影響

うつ病、適応障害、メニエール病、不眠、休職、通院、診断書、労災認定などが重要です。

会社の対応と証拠

相談後の調査、保護、分離、説明、再発防止、録音やチャットなどの客観資料が結果を左右します。

診断書があるだけで自動的に高額慰謝料になるわけではありません。裁判では、発症時期、症状の経過、医師の記録、職場での出来事との時間的近接性、他のストレス要因などが検討されます。

Section 07

パワハラ慰謝料請求で有効になりやすい証拠

録音、チャット、診断書、相談記録、勤怠を時系列で補強します。

パワハラ慰謝料を請求するには、感情的な訴えだけでなく、事実を証明できる資料が必要です。次の表は、有効になりやすい証拠と重要性を整理します。証拠の列では種類を、重要性の列では何を示せるかを確認し、複数の資料で時系列を補強する点を読み取ってください。

証拠重要性
録音・録画発言内容、声の調子、叱責時間、周囲の状況を直接示せます。
メール・チャット・社内SNS指示内容、侮辱的表現、過大要求、深夜休日連絡、相談履歴を示せます。
日記・メモ日時、場所、発言、同席者、体調変化を継続的に記録できます。作成時期が重要です。
医師の診断書・カルテ発症時期、症状、通院期間、就労可否を示します。
休職・退職関連書類休職開始日、退職理由、賃金減少、会社対応を示します。
相談窓口への記録会社がいつ相談を受け、どう対応したかを示します。
労働局・労基署・労災申請資料外部相談・申請の経緯、労災認定の有無などを示します。
同僚・元同僚の陳述書第三者が見聞きした事実を補強します。
業務量・勤怠記録過重労働、過大要求、休職との関係を示します。

相談前に整理すべき情報は、出来事を法的に評価するための土台です。次の表は、項目と書き方の例を示します。左列の項目を順番に埋め、右列のように具体的な日時、場所、背景、影響、希望する解決を分けて読むことが重要です。

整理項目書き方の例
時系列2024年4月10日、朝礼で、課長Aが、全員の前で、私に対し、売上未達を理由に強い叱責をした。
発言内容できる限り原文に近く記録する。ただし記憶が曖昧な場合は趣旨と明記する。
場所・同席者会議室、朝礼、1on1、チャット、飲み会、出張先など。
業務上の背景ミス、納期、評価面談、配置転換、休職復帰、退職勧奨など。
心身への影響不眠、吐き気、通院、投薬、診断名、休職、退職、自殺念慮など。
会社への相談いつ、誰に、どの方法で相談し、会社はどう対応したか。
証拠録音、メール、チャット、診断書、勤怠、同僚証言など。
希望する解決謝罪、配置転換、退職条件、慰謝料、未払残業代、労災申請、復職など。
Section 08

パワハラ慰謝料の示談・労働審判・民事訴訟と時効

交渉と裁判の違い、清算条項、3年・5年・20年の期間制限を確認します。

パワハラの解決方法には、社内相談、労働局の総合労働相談・紛争調整、弁護士による交渉、労働審判、民事訴訟などがあります。次の比較一覧は、それぞれの特徴を整理します。柔軟な合意を目指すのか、裁判所で事実認定を求めるのか、時間と証拠の負担がどう違うかを読み取ってください。

手続特徴注意点
示談・交渉会社都合退職扱い、解決金、守秘条項、謝罪文、配置転換、再発防止策、離職票の記載などを柔軟に合意できます。清算条項で後から請求しにくくなることがあるため、対象範囲の確認が重要です。
労働審判労働関係紛争を迅速に解決する制度で、話し合いによる解決を目指しつつ一定の判断も示されます。短期間で主張と証拠を整理する必要があります。
民事訴訟証拠に基づく事実認定が行われます。重大な精神疾患・休職・死亡事案や高額請求で検討されます。時間がかかりやすく、主張立証の負担も大きくなります。

時効にも注意が必要です。次の重要ポイントは、不法行為に基づく損害賠償請求の主な期間制限を整理するものです。起算点や法律構成で変わるため、数字を見て安心するのではなく、早めに資料を整理する必要性を読み取ってください。

3年・5年・20年の期間制限

不法行為に基づく損害賠償請求では、原則として損害および加害者を知った時から3年、人の生命・身体を害する不法行為では5年、不法行為時から20年という期間制限が問題になります。

会社への債務不履行責任、安全配慮義務違反、未払賃金、退職金、不当解雇、労災申請などは別の期間制限が問題になる場合があります。時間が経つほど証拠も失われやすくなるため、相談だけは早めに行うことが望ましいです。

Section 09

パワハラ慰謝料相場でよくある質問

FAQは一般的な制度説明として、個別事案の金額断定を避けて整理します。

Q1. パワハラの慰謝料相場は、結局いくらですか。

一般的には、軽度・短期の事案では数万円〜50万円程度、継続的な嫌がらせや人格侵害がある事案では50万円〜100万円程度、精神疾患や休職・退職が認められる事案では100万円〜300万円程度が一つの目安とされています。ただし、統計的平均ではなく裁判例上の幅であり、証拠と因果関係によって変わります。具体的な見通しは専門家へ相談する必要があります。

Q2. 1回だけの暴言でも慰謝料は問題になりますか。

一般的には、1回だけでも暴力、強い脅迫、重大な人格否定、公開の場での著しい侮辱、自殺念慮を生じさせるような発言などであれば問題となる可能性があります。ただし、金額は限定的になりやすく、発言内容や証拠で結論が変わります。具体的には資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q3. 録音がないと見通しは立ちませんか。

一般的には、録音がなくてもメール、チャット、日記、相談記録、診断書、同僚証言、勤怠記録などで立証できる場合があります。ただし、録音は強い証拠になり得ます。具体的には複数の証拠で時系列を補強し、証拠収集方法も含めて専門家へ相談する必要があります。

Q4. 会社に相談したら不利益を受けそうで怖いです。

一般的には、パワハラ相談を理由とする不利益取扱いは禁止されています。ただし、現実には報復的な配置転換、評価低下、孤立化などを心配する人もいます。相談前に証拠を保全し、外部窓口、労働局、弁護士等へ相談できるよう準備する必要があります。

Q5. 退職後でも慰謝料請求は問題になりますか。

一般的には、退職後でも時効にかからない限り損害賠償請求が問題となる場合があります。ただし、退職に至った経緯、退職届の記載、会社とのやり取り、診断書、離職票、退職勧奨の有無などで結論が変わります。具体的には資料を整理して相談する必要があります。

Q6. 労災認定を受ければ慰謝料も自動的に認められますか。

一般的には、自動的には認められません。労災認定は業務と傷病との関係を行政手続で判断するものです。慰謝料は会社や加害者の民事責任、違法性、損害、因果関係を別途検討します。具体的な請求は労災資料も含めて専門家へ相談する必要があります。

Q7. 弁護士に相談するタイミングはいつがよいですか。

一般的には、診断書が出た、休職になった、退職を迫られた、会社が相談を放置している、証拠の集め方がわからない、示談書に署名を求められた、会社側から反論を受けた段階では早めの相談が重要とされています。具体的な進め方は、資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Section 10

パワハラ慰謝料相場より先に事実・証拠・因果関係を固める

金額だけでなく、証拠化された事実と損害項目を整理します。

パワハラ慰謝料相場を知ることは大切ですが、実際の事件では金額より先に事実、証拠、因果関係を固めます。次の重要ポイントは、相談前に確認すべき三つの軸を整理するものです。順番には意味があり、まず出来事を特定し、次に証拠を結びつけ、最後に心身の損害や収入減少との関係を読むことが大切です。

Step 1

言動を特定する

どの言動が、いつ、どこで、誰によって行われたかを具体的に整理します。

Step 2

証拠を結びつける

録音、チャット、メール、診断書、相談記録、同僚証言などを時系列に沿って対応させます。

Step 3

損害との関係を見る

心身の損害、休職、退職、収入減少、会社対応との関係を整理します。

裁判例では、慰謝料50万円、70万円、100万円、270万円、死亡慰謝料2300万円・2600万円など、金額には大きな幅があります。その差は、つらさの大小だけではなく、証拠、違法性、業務上の必要性の有無、会社の対応、医療記録、休業損害・逸失利益との関係によって生じます。

Reference

この記事の参考資料

  • 厚生労働省「パワーハラスメント防止のための指針」
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団 パワハラの6類型」
  • 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
  • 厚生労働省「職場におけるハラスメント防止対策が事業主の義務となりました」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「労働契約法」
  • e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
  • 厚生労働省「第三者行為災害のしおり」
  • 裁判所公表裁判例(大阪地方裁判所、パワハラ慰謝料50万円・弁護士費用5万円)
  • 裁判所公表裁判例(札幌地方裁判所、医療法人職員のセクハラ・パワハラ事案、慰謝料70万円・弁護士費用7万円)
  • 裁判所公表裁判例(公立学校教職員のパワハラ事案、慰謝料100万円等)
  • 裁判所公表裁判例(上司のパワハラ・うつ病・退職事案、慰謝料100万円等)
  • 裁判所公表裁判例(鳥取地方裁判所米子支部、元職員のパワハラ事案、慰謝料50万円)
  • 裁判所公表裁判例(横浜地方裁判所、職場ハラスメント・長期通院事案、通院慰謝料270万円等)
  • 裁判所公表裁判例(パワハラ等と自殺の因果関係が問題となった死亡事案、死亡慰謝料2300万円、総額7261万2557円)
  • 裁判所公表裁判例(宮崎県警察官自殺事案、死亡慰謝料2600万円等)
  • 裁判所公表裁判例(防衛省職員のパワハラ相談対応遅延、慰謝料5万円)