2σ Guide

示談が成立しても
前科はつくのか不起訴との関係

示談、不起訴、前科はそれぞれ別の概念です。前科の有無を決める分岐点を、有罪の確定裁判、不起訴、略式命令、執行猶予の違いから整理します。

3類型 不起訴の基本分類
248条 起訴猶予の根拠
470条 略式命令の効力
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示談が成立しても 前科はつくのか不起訴との関係

示談、不起訴、前科はそれぞれ別の概念です。

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示談が成立しても 前科はつくのか不起訴との関係
示談、不起訴、前科はそれぞれ別の概念です。
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  • 示談が成立しても 前科はつくのか不起訴との関係
  • 示談、不起訴、前科はそれぞれ別の概念です。

POINT 1

  • 示談が成立しても前科はつくのか ― 不起訴との関係の全体像
  • まず、示談成立だけで前科がつくわけではないという出発点を確認します。
  • 見るべき分岐点は示談の有無ではなく、最終処分です
  • 示談が成立しただけでは、通常、前科はつきません。
  • 前科が問題になる中心は、有罪の裁判等が確定したかどうかです。

POINT 2

  • 示談・不起訴・前科の意味を切り分ける
  • 示談
  • 不起訴
  • 前科
  • 三つを同じものとして扱うと、示談が成立しても前科はつくのかという問いの答えを誤りやすくなります。

POINT 3

  • 示談が成立しても前科はつくのかを手続の結論別に見る
  • 1. 示談の成立:謝罪、被害弁償、宥恕、清算条項などの合意が成立します。
  • 2. 検察官の処分判断:証拠、被害結果、被害回復、処罰感情、過去の処分歴などを踏まえて判断されます。
  • 3. 通常は前科なし:有罪の確定裁判に至らないためです。
  • 4. 有罪確定なら前科の問題:罰金や執行猶予でも、有罪裁判が確定すれば前科として扱われ得ます。

POINT 4

  • 示談が不起訴に影響し得る理由
  • 被害回復の程度
  • 支払済み金額、被害額全体との関係、分割計画の現実性などが評価対象になります。
  • 被害者の意向
  • 宥恕や処罰感情に関する記載は、起訴猶予や量刑の判断で考慮され得ます。

POINT 5

  • 示談成立でも不起訴にならない理由
  • 犯罪の重さ
  • 被害結果が重大な事件や社会的影響が大きい事件では、示談後も公的処罰の必要性が残ることがあります。
  • 過去の処分歴・有罪歴
  • 過去に罰金以上の有罪裁判を受けた事情などは、今回の訴追判断や量刑判断に影響し得ます。

POINT 6

  • 裁判例から見る示談成立と前科の関係
  • 1. 被害回復や宥恕が示される:被害弁償、謝罪、宥恕、寛大な処遇を求める意向などが、量刑上の有利事情として主張されます。
  • 2. 事件全体の事情を評価する:犯行態様、被害結果、被告人の反省状況、再発防止、社会的影響なども合わせて見られます。
  • 3. 示談があっても有罪判断は残り得る:有罪判決が確定すれば、執行猶予付きであっても前科の問題が生じます。

POINT 7

  • 執行猶予・罰金と前科の関係
  • 刑務所に行かないこと、罰金で終わること、前科がつかないことは同じ意味ではありません。
  • 執行猶予は有罪ではないという意味ではありません
  • 罰金だけなら前科ではないという理解も誤りです
  • 執行猶予は、刑の執行を一定期間猶予する制度です。

POINT 8

  • 不起訴でも刑事手続の記録は別に問題になる
  • 前科がつかないことと、刑事手続を受けた事実が制度上まったく問題にならないことは同じではありません。
  • 不起訴で終われば、通常は前科はつきません。
  • また、不起訴記録は、名誉、プライバシー、捜査・公判への支障の観点から、原則として開示しない取扱いが説明されています。
  • ここでの混同を避けるために、前科と刑事手続を受けた事実を分けて確認します。

まとめ

  • 示談が成立しても 前科はつくのか不起訴との関係
  • 示談が成立しても前科はつくのか ― 不起訴との関係の全体像:まず、示談成立だけで前科がつくわけではないという出発点を確認します。
  • 示談が成立しても前科はつくのかを手続の結論別に見る:同じ示談成立でも、不起訴、罰金、有罪判決では前科の扱いが変わります。
  • 示談が不起訴に影響し得る理由:示談は、犯罪がなかったことにするものではなく、訴追の必要性を弱める事情として評価され得ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

示談が成立しても前科はつくのか ― 不起訴との関係の全体像

まず、示談成立だけで前科がつくわけではないという出発点を確認します。

示談が成立しただけでは、通常、前科はつきません。前科が問題になる中心は、有罪の裁判等が確定したかどうかです。示談が成立していても、略式命令による罰金や正式裁判での有罪判決が確定すれば、前科の問題は生じます。反対に、不起訴で終われば、通常は前科はつきません。

ただし、示談は無意味なものではありません。被害弁償、謝罪、被害者の処罰感情、再発防止の姿勢などは、検察官の訴追判断や裁判所の量刑判断で考慮され得る重要な事情です。つまり、示談は前科を直接消すものではなく、不起訴や軽い処分を支える事情として位置付ける必要があります。

このページでは、結論を急ぐと混同しやすい三つの概念を分けたうえで、手続の結論ごとに前科の扱いを読み取れるよう、中心となる分岐を整理します。

見るべき分岐点は示談の有無ではなく、最終処分です

示談成立、不起訴、有罪の確定裁判は別の段階の話です。前科の有無は、最後に不起訴で終わったか、有罪の確定裁判に至ったかを軸に整理します。

注意個別事件の見通しは、罪名、被害結果、証拠関係、被害者の意向、被害回復の程度、過去の処分歴、供述態度などで変わります。このページは一般的な制度説明であり、個別事案への法律上の判断ではありません。
Section 01

示談・不起訴・前科の意味を切り分ける

三つを同じものとして扱うと、示談が成立しても前科はつくのかという問いの答えを誤りやすくなります。

示談、不起訴、前科は、それぞれ民事的な合意、検察官の終局処分、有罪裁判の確定という別々の場面に関わります。次の比較一覧では、どの概念がどの手続段階を示すのか、なぜ前科の判断と直結しないものがあるのかを読み取ってください。

概念1

示談

加害者側と被害者側が、謝罪、被害弁償、慰謝料、今後の請求関係、処罰感情に関する意向などを含めて合意し、紛争の解決を図るものです。刑事手続では重要な事情になり得ますが、処分を自動的に決めるものではありません。

概念2

不起訴

検察官が公訴を提起しない終局処分です。嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予などがあり、示談が特に関係しやすいのは、犯罪の嫌疑があるものの訴追を必要としないと判断される起訴猶予です。

概念3

前科

このページでは、行政実務や公的説明に沿って、有罪の裁判が確定した事実として整理します。起訴されないまま終わる場合と、有罪裁判が確定する場合を区別することが重要です。

不起訴には複数の中身があります

不起訴といっても、証拠関係や訴追の必要性により意味合いが異なります。次の表は、不起訴の代表的な三類型を比べたものです。どの類型でも公訴は提起されませんが、理由の違いを押さえると、示談がどこで評価されやすいのかが分かります。

類型基本的な意味示談との関係
嫌疑なし犯罪事実自体が認められない、又は被疑者が犯人ではないと判断される場合です。示談の有無より、犯罪事実や犯人性の判断が中心になります。
嫌疑不十分有罪立証に足りる証拠が十分ではない場合です。証拠の強さが中心で、示談だけで決まるものではありません。
起訴猶予犯罪の嫌疑はあるとしても、訴追を必要としないとして起訴しない場合です。被害弁償、謝罪、宥恕、再発防止などが評価されやすい場面です。
要点示談成立は前科そのものではありません。不起訴は公訴を提起しない処分であり、前科は有罪裁判の確定と結び付けて考える必要があります。
Section 02

示談が成立しても前科はつくのかを手続の結論別に見る

同じ示談成立でも、不起訴、罰金、有罪判決では前科の扱いが変わります。

前科の有無を実務的に見るには、示談があったかだけでなく、その後の手続がどこで終わったかを並べて確認する必要があります。次の表は、手続の結論ごとに前科の問題が生じるかを整理したものです。列ごとの差から、有罪裁判の確定が中心的な分岐になることを読み取ってください。

手続の帰結前科の問題読み方
示談成立から不起訴原則として生じない起訴されず、有罪の確定裁判に至らないため、通常は前科として扱われません。
示談成立から略式命令で罰金生じる略式命令は確定すると確定判決と同一の効力を持つため、罰金でも前科の問題が生じます。
示談成立から正式裁判で有罪・執行猶予生じる執行猶予は刑の執行を猶予する制度であり、有罪判決自体は存在します。
示談不成立から不起訴原則として生じない証拠不足など、示談以外の理由で不起訴になることもあります。
起訴から無罪生じない有罪の確定裁判に至らないためです。ただし、刑事手続を受けた事実は別に問題になり得ます。

手続の結論を順番で見ると、どの段階で前科の問題が出るかを把握しやすくなります。次の判断の流れは、示談成立から前科の有無を考える際の大枠を示します。分岐ごとに、示談が前段階の判断材料にはなっても、最後は不起訴か有罪の確定裁判かで整理する点を確認してください。

前科の有無を見る順序

示談の成立

謝罪、被害弁償、宥恕、清算条項などの合意が成立します。

検察官の処分判断

証拠、被害結果、被害回復、処罰感情、過去の処分歴などを踏まえて判断されます。

不起訴
通常は前科なし

有罪の確定裁判に至らないためです。

起訴・略式命令
有罪確定なら前科の問題

罰金や執行猶予でも、有罪裁判が確定すれば前科として扱われ得ます。

誤解注意示談が成立したことと、前科がつかないことは同義ではありません。正確には、示談が不起訴や軽い処分に向けた重要事情になる、という理解です。
Section 03

示談が不起訴に影響し得る理由

示談は、犯罪がなかったことにするものではなく、訴追の必要性を弱める事情として評価され得ます。

刑事訴訟法248条は、犯罪の嫌疑があっても、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況により、訴追を必要としないときは公訴を提起しないことができると定めています。示談は、主に情状や犯罪後の情況に関わる事情として理解できます。

示談がなぜ不起訴判断に関係し得るのかは、評価される要素を分けると見通しが良くなります。次の比較一覧は、示談の内容がどの評価要素に結び付くかを示すものです。どの項目も単独で結論を保証するものではなく、複数の事情として総合的に見られる点を読み取ってください。

被害回復の程度

支払済み金額、被害額全体との関係、分割計画の現実性などが評価対象になります。

被害者の意向

宥恕や処罰感情に関する記載は、起訴猶予や量刑の判断で考慮され得ます。

謝罪と反省状況

形式的な合意だけでなく、謝罪の実質や責任を受け止める姿勢が問題になります。

再発防止

監督環境、通院、生活改善、関係遮断など、再発を防ぐ具体策が重みを持つことがあります。

被害回復と処分内容の関係

公的資料では、被害弁償や被害回復の程度と処分内容との間に一定の傾向があることが示されています。次の表では、示談の実質を構成する要素を、処分判断でどのように読まれ得るかという観点で整理しています。左列の要素が、右列の評価にどうつながるかを確認してください。

示談の実質処分判断で見られ得る意味
被害弁償が進んでいる犯罪後の情況として、被害回復に向けた対応があると評価され得ます。
被害者が納得している処罰感情や宥恕の有無として、訴追の必要性の判断に影響し得ます。
謝罪・再発防止が具体的反省状況や再犯可能性の評価に関係します。
合意内容が形式的にとどまる被害回復の実質が乏しい場合、評価が限定的になる可能性があります。
実務感覚示談は、不起訴や軽い処分を目指すうえで重要度の高い事情です。ただし、自動的に不起訴に変わる権利ではなく、証拠や被害結果などと合わせて見られます。
Section 04

示談成立でも不起訴にならない理由

示談は重要事情ですが、犯罪の重さや証拠関係などを覆す万能の事情ではありません。

示談が成立しても、検察官や裁判所はそれだけで判断しているわけではありません。被害が重大な事件、公共性が高い事件、社会的影響が大きい事件では、被害者との間で一定の合意があっても、公的処罰の必要性が残ると評価されることがあります。

不起訴にならない理由を把握するには、示談以外の評価要素を並べて見ることが重要です。次の一覧は、示談の効果が相対的に小さくなり得る事情を整理したものです。各項目は、なぜ示談だけでは結論が決まらないのかを読むための視点になります。

犯罪の重さ

被害結果が重大な事件や社会的影響が大きい事件では、示談後も公的処罰の必要性が残ることがあります。

過去の処分歴・有罪歴

過去に罰金以上の有罪裁判を受けた事情などは、今回の訴追判断や量刑判断に影響し得ます。

被害回復の不足

被害額全体に照らして回復が不十分な場合や、形式的な合意にとどまる場合は、評価が限定的になり得ます。

供述態度・反省状況

責任転嫁、二次被害、再発防止策の不足などは、情状や犯罪後の情況として不利に評価され得ます。

示談の成立時期や内容も重要です。処分前にどこまで被害回復が進んだか、金額が相当か、被害者が真に納得しているか、本人が事実を認め反省しているか、再発防止の見通しがあるかによって、示談の実質的な重みは変わります。

限界示談は処分を軽くし得る事情ですが、無罪や不起訴を当然に導くものではありません。事故態様や証拠関係と同じように、事件全体の事情の中で評価されます。
Section 05

裁判例から見る示談成立と前科の関係

公表例を見ると、示談が有利事情として扱われても、有罪判決自体が消えるわけではないことが分かります。

公表裁判例では、被害者側との示談や宥恕が量刑上の事情として考慮されつつ、有罪判決が言い渡された例があります。この点は、示談が処分を軽くし得る一方で、前科の有無を直接決めるものではないことを理解するうえで重要です。

裁判例の読み方で大切なのは、示談が「評価されていない」のではなく、「評価されても結論が有罪になることがある」という点です。次の時系列は、示談成立後にどのような順序で有罪判断や量刑判断が行われ得るかを示します。順番を追うことで、示談と前科を直結させる誤解を避けられます。

示談成立

被害回復や宥恕が示される

被害弁償、謝罪、宥恕、寛大な処遇を求める意向などが、量刑上の有利事情として主張されます。

裁判所の判断

事件全体の事情を評価する

犯行態様、被害結果、被告人の反省状況、再発防止、社会的影響なども合わせて見られます。

有罪判決

示談があっても有罪判断は残り得る

有罪判決が確定すれば、執行猶予付きであっても前科の問題が生じます。

この整理から分かるのは、示談は「有罪判決自体を消す事情」ではなく、「処分や量刑を考える際の重要事情」だということです。示談ができたから前科はつかない、という短絡は避ける必要があります。

読み方裁判例は、示談が不利に扱われるという話ではありません。示談が有利事情として考慮されても、起訴後に有罪判決が確定すれば前科の問題が残る、という整理です。
Section 06

執行猶予・罰金と前科の関係

刑務所に行かないこと、罰金で終わること、前科がつかないことは同じ意味ではありません。

執行猶予は有罪ではないという意味ではありません

執行猶予は、刑の執行を一定期間猶予する制度です。有罪判決そのものが消える制度ではありません。したがって、示談が成立して執行猶予付き判決になったとしても、有罪判決が確定すれば前科の問題は生じます。

罰金だけなら前科ではないという理解も誤りです

起訴処分には、公開法廷で審理する公判請求だけでなく、書類審査で罰金又は科料が科される略式命令請求があります。刑事訴訟法470条は、略式命令が確定すると確定判決と同一の効力を生ずると定めています。そのため、罰金だけで終わる場合でも、前科の問題が残り得ます。

刑罰の種類ごとの誤解を解くには、「軽い処分に見えるか」ではなく「有罪裁判が確定したか」を軸に並べることが大切です。次の一覧では、執行猶予、罰金、不起訴を比較し、読者がどの結論で前科の問題を確認すべきかを読み取れるようにしています。

1

不起訴

公訴が提起されず、有罪の確定裁判に至らないため、通常は前科として扱われません。

前科なしが基本
2

略式命令による罰金

略式命令が確定すると確定判決と同一の効力を持つため、罰金でも前科の問題が生じます。

有罪確定
3

執行猶予付き有罪判決

刑の執行が猶予されるだけで、有罪判決自体は存在します。確定すれば前科の問題が生じます。

有罪判決
重要「刑務所に行かない」「罰金で済んだ」という事情だけでは、前科の問題を避けられたとはいえません。有罪裁判の確定があるかを確認する必要があります。
Section 07

不起訴でも刑事手続の記録は別に問題になる

前科がつかないことと、刑事手続を受けた事実が制度上まったく問題にならないことは同じではありません。

不起訴で終われば、通常は前科はつきません。しかし、不起訴、不送致、微罪処分なども、被疑者又は被告人の立場で刑事事件に関して手続を受けた事実として扱われる場面があります。また、不起訴記録は、名誉、プライバシー、捜査・公判への支障の観点から、原則として開示しない取扱いが説明されています。

ここでの混同を避けるために、前科と刑事手続を受けた事実を分けて確認します。次の表は、何が前科の問題で、何が記録や手続歴の問題なのかを比べるものです。列の違いから、不起訴なら通常は前科なしでも、別の情報管理上の論点が残り得ることを読み取ってください。

論点中心となる判断注意点
前科有罪の裁判が確定した事実があるか罰金や執行猶予付き判決でも、有罪確定なら問題になります。
前歴・手続歴刑事事件に関して手続を受けた事実があるか不起訴、不送致、微罪処分でも別に問題になり得ます。
不起訴記録事件記録としてどのように扱われるか名誉やプライバシー、捜査・公判への支障から開示が制限されることがあります。

戸籍については、犯罪歴や破産歴が記載されるものではないとする自治体の案内があります。もっとも、これは戸籍に載らないという意味であり、刑事手続や犯歴管理の論点が別に存在しないという意味ではありません。

整理不起訴なら通常は前科はつきません。ただし、刑事手続を受けた事実や記録の問題まで完全にゼロになるとは限らないため、前科と記録を分けて考える必要があります。
Section 08

示談・不起訴・前科でよくある質問

よくある誤解を、一般的な制度説明として確認します。

Q1. 示談が成立したのに前科がつくことはありますか

一般的には、示談成立後でも略式命令で罰金となる場合や、正式裁判で有罪判決・執行猶予付き判決となる場合には、前科の問題が生じる可能性があります。ただし、罪名、被害結果、証拠関係、処分時期、示談内容によって結論は変わります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 不起訴なら前科はつきませんか

一般的には、不起訴で終われば有罪の確定裁判に至らないため、前科はつかないと整理されます。ただし、不起訴の理由や刑事手続を受けた事実、事件記録の扱いは別に問題になる可能性があります。具体的な影響は、手続の内容や利用される場面によって変わるため、専門家に確認する必要があります。

Q3. 執行猶予なら前科はつきませんか

一般的には、執行猶予付き判決は有罪判決に刑の執行猶予が付されたものと整理されます。そのため、有罪判決が確定すれば前科の問題が生じます。ただし、刑の効力や後の資格制限などは制度ごとに扱いが異なる可能性があります。個別の影響は、該当する制度を確認しながら専門家へ相談する必要があります。

Q4. 罰金だけなら前科はつきませんか

一般的には、略式命令による罰金であっても、確定すれば確定判決と同一の効力を持つため、前科の問題が生じると整理されます。ただし、事件の種類、手続の進み方、処分内容によって確認すべき点は変わります。具体的には、処分書類や事件の経過を踏まえて弁護士等に相談する必要があります。

Q5. 戸籍に犯罪歴は記載されますか

一般的には、戸籍は身分関係を登録・公証する公簿であり、犯罪歴や破産歴が戸籍に記載されるものではないと説明されています。ただし、戸籍に載らないことと、刑事手続を受けた事実や犯歴管理の問題が別に存在しないことは同じではありません。具体的な不安がある場合は、利用場面を整理して専門家へ相談する必要があります。

Section 09

示談を不起訴との関係で考える相談前の整理

示談の有無だけでなく、手続の現在地と示談の実質を確認することが大切です。

個別事件で見通しを検討する際は、示談が成立したかという一点だけでなく、罪名、被害結果、手続の現在地、被害回復の実質、供述態度、生活・監督環境、過去の処分歴などを整理しておくと、相談が具体的になります。

相談前に確認すべき事情は、順番に並べると漏れを減らせます。次の時系列は、事件の現在地と示談の内容を整理するためのものです。上から順に確認することで、どの資料を準備し、どの点が不起訴判断や量刑に関係し得るかを読み取ってください。

現在地

逮捕前・送致後・勾留中・起訴後を確認する

処分前か起訴後かによって、示談が主に不起訴判断に関係するのか、量刑事情として問題になるのかが変わります。

被害回復

支払済み金額と示談書の内容を確認する

支払額、分割計画、宥恕条項、清算条項、被害者の意向などが示談の実質を左右します。

本人側の事情

供述態度、監督環境、再発防止策を整理する

事実を認めているか、謝罪意思が明確か、家族の監督や就労継続、通院・治療などがあるかを確認します。

相談時に共有すべき項目を一覧で持っておくと、処分見通しの検討がしやすくなります。次の表は、確認事項と、その事情がなぜ重要かを対応させたものです。右列を見ながら、単なる事実の羅列ではなく、示談や不起訴判断との関係を意識して整理してください。

確認事項整理する内容重要な理由
罪名と被害結果傷害の程度、被害額、継続性、公共性の有無犯罪の軽重や公的処罰の必要性に関係します。
手続の現在地逮捕前、送致後、勾留中、起訴後など示談の効果が、不起訴判断に向くのか量刑に向くのかが変わります。
被害回復の実質支払済み金額、分割計画、示談書、宥恕条項犯罪後の情況や被害者の意向を示す材料になります。
供述態度認めているか、一部争っているか、謝罪意思が明確か反省状況や責任を受け止める姿勢に関係します。
生活・監督環境家族の監督、就労継続、通院・治療、再発防止策再犯可能性や今後の改善見込みの評価に関係します。
過去の処分歴・有罪歴初回かどうか、過去の罰金や執行猶予の有無処分見通しや量刑判断に大きく影響し得ます。
Section 10

示談成立と前科の関係のまとめ

最後に、実務上もっとも重要な分岐点を確認します。

示談が成立しても前科はつくのかという問いに対する最も正確な整理は、示談成立だけでは前科はつかないが、略式命令の罰金や正式裁判での有罪判決が確定すれば、示談があっても前科の問題は生じる、というものです。

結論をまとめると、見るべきポイントは次の五つです。この一覧は、前科の有無、不起訴の意味、示談の役割、記録の問題を一度に確認するためのものです。各項目を分けて読めば、「示談ができたからすべて消える」という誤解を避けやすくなります。

結論1

示談成立だけでは前科はつきません

示談は民事的な合意や被害回復に関する事情であり、有罪裁判の確定そのものではありません。

結論2

不起訴で終われば通常は前科はつきません

公訴が提起されず、有罪の確定裁判に至らないためです。ただし、記録や手続歴の問題は別に考えます。

結論3

罰金や執行猶予でも前科の問題は残ります

略式命令や有罪判決が確定すれば、刑が軽く見える場合でも前科として扱われ得ます。

結論4

示談は不起訴や軽い処分を支える事情です

被害回復、宥恕、再発防止、反省状況などが、訴追判断や量刑判断で考慮され得ます。

結論5

最後は不起訴か有罪確定かを確認します

示談と前科を直接つなげず、手続の最終結論を基準に整理することが重要です。

まとめ示談は極めて重要ですが、前科を左右する直接の基準は、最終的に不起訴で終わるか、有罪の確定裁判に至るかです。
Reference

参考法令・公的資料

法令・刑事手続

  • 刑事訴訟法(e-Gov法令検索)
  • 法務省「検察庁と刑事手続の流れ」
  • 法務省「刑事事件手続の流れ」
  • 法務省「不起訴事件記録の開示について」

前科・個人情報・犯歴に関する公的資料

  • 個人情報保護委員会 FAQ Q4-10
  • 個人情報保護委員会 FAQ Q1-34
  • 法務省 犯歴事務に関する公表資料
  • 法務省 犯罪白書関係資料

被害回復・量刑事情に関する資料

  • 法務省「犯罪被害の回復状況等に関する調査」
  • 法務省「犯罪白書のあらまし 犯罪被害者と刑事司法」
  • 裁判所 公表裁判例(示談成立と量刑事情に関する例)
  • 中央区 FAQ「戸籍には、犯罪歴や破産歴が記載されているというのは本当ですか」