賞与は必ず設けなければならない制度ではありません。しかし、労働契約・就業規則・労働協約・慣行・会社決定で具体的な権利になった後や、不利益取扱いの理由が法令に反する場合は、未払賃金や損害賠償の問題になり得ます。
賞与は必ず設けなければならない制度ではありません。
まず、違法・無効・契約違反として問題になりやすい場面と、直ちに違法とは限らない場面を分けて確認します。
賞与(ボーナス)の不支給は、会社が賞与を払わなければ常に違法という問題でも、賞与なら会社が自由にゼロにできるという問題でもありません。中心になるのは、具体的な賞与請求権が発生していたか、そして不支給・減額・ゼロ査定の理由や手続が、法令、労働契約、就業規則、労働協約、公序良俗、均衡・均等待遇原則に反しないかです。
次の比較表は、賞与不支給が問題化しやすい典型場面と、直ちに違法とは限らない典型場面を並べたものです。最初に両者の違いを押さえることで、どの資料や事情を確認すべきかを読み取れます。
| 区分 | 典型例 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| 違法・無効・契約違反となり得る | 就業規則で「基本給2か月分」と定められているのに支払われない | 具体的な支給額・算定方法・支給時期が権利として発生しているか |
| 違法・無効・契約違反となり得る | 支給額が通知済みなのに、支給日前に取り消された | 会社の決定、賞与明細、支給通知、社内決裁の有無 |
| 違法・無効・契約違反となり得る | 妊娠、育休、有給休暇、労基署申告、公益通報、組合活動を理由に不支給とされた | 不利益取扱い禁止、公序良俗、報復性、時系列 |
| 違法・無効・契約違反となり得る | 非正規雇用であることだけを理由に、賞与を一律ゼロとされた | 賞与の趣旨、職務内容、責任、配置転換範囲、貢献度 |
| 直ちに違法とは限らない | 労働契約・就業規則・慣行のいずれにも賞与制度がない | 法律上、一般的な賞与制度の設置義務はない |
| 直ちに違法とは限らない | 明確な業績悪化条項があり、実際に著しい業績低下がある | 規程文言、周知、客観資料、過去運用、全体への適用状況 |
| 直ちに違法とは限らない | 有効な支給日在籍要件により、支給日前退職者が対象外とされた | 条項の明確性、周知、支給日の恣意的変更の有無 |
賞与不支給の核心は、権利が発生しているかと、不支給理由が許されるかの2点です。この2点を分けて見ることが重要で、資料がそろうほど判断の見通しを立てやすくなります。
賞与制度の有無、権利化の程度、不支給理由、会社の説明、同種労働者との比較、時効を総合して整理します。個別事情で結論が変わるため、具体的な対応は資料を整理したうえで専門窓口へ相談する必要があります。
賞与は任意制度であり得ますが、権利化すれば労働基準法上の賃金として扱われ得ます。
労働基準法は、すべての会社に夏季賞与や冬季賞与を必ず設ける義務を課しているわけではありません。一方で、労働基準法11条は、賞与その他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うものを賃金に含めています。そのため、賞与制度を設ける義務と、具体的に発生した賞与を支払う義務は区別して考えます。
次の判断の流れは、賞与不支給を検討する際に確認する6項目を順番に示したものです。どの段階で資料が不足しているかを把握できるため、相談前の準備や会社への理由照会に役立ちます。
労働契約、就業規則、賞与規程、労働協約、慣行、会社決定を確認します。
基本給何か月分、係数、支給日、対象者などが特定できるかを見ます。
算定期間、支給基準日、支給日、休職・退職・試用期間の扱いを確認します。
妊娠、育休、有休、労基署申告、組合活動、公益通報、差別属性との関係を見ます。
不利益変更の合理性、周知、労使コミュニケーション、過去運用を検討します。
規程、明細、通知、評価資料、業績資料、時系列をそろえて具体的に整理します。
次の一覧は、賞与請求権の有無と不支給理由を確かめるための資料を分類したものです。資料の種類ごとに争点が異なるため、どの列に不足があるかを確認すると、次に集めるべき証拠が見えてきます。
| 資料の種類 | 具体例 | 読み取るポイント |
|---|---|---|
| 契約・規程 | 労働条件通知書、雇用契約書、就業規則、賃金規程、賞与規程 | 賞与の根拠、対象者、算定式、支給日、支給日在籍要件 |
| 労使関係 | 労働協約、労使協定、社内通知、採用時資料 | 会社が労働条件として賞与を説明していたか |
| 支給実績 | 過去の賞与明細、給与明細、源泉徴収票、支給率通知 | 反復継続した運用や算定方法があるか |
| 不支給理由 | 評価シート、面談記録、業績資料、会社からの通知 | 評価や業績悪化の説明が客観資料と合うか |
賞与が毎月1回払いの対象から外れる臨時の賃金であっても、具体的に権利化した後は、通貨払い、直接払い、全額払いなどの基本原則が問題になり得ます。「ボーナスだから賃金ではない」という理解は不正確です。
就業規則、個別契約、労働慣行、会社の支給決定によって、賞与請求権が具体化することがあります。
就業規則や賃金規程に合理的な賞与支給基準があり、労働者に周知されている場合、その内容は労働契約の内容となり得ます。個別の労働契約や採用時のオファーレターで、年収内訳や賞与保証が具体的に約束されている場合も同様に問題になります。
次の比較表は、賞与規程の文言ごとに、権利性が強まりやすい方向と会社裁量が残りやすい方向を整理したものです。文言だけで結論は決まりませんが、どの表現が争点になりやすいかを読み取れます。
| 規程・説明の文言 | 法的評価の方向性 | 追加で確認する事情 |
|---|---|---|
| 賞与を支給する | 支給義務が肯定されやすい | 対象者、支給日、算定期間、例外条項 |
| 毎年6月・12月に支給する | 支給時期が明確で権利性が強まりやすい | 支給日在籍要件や業績条項の有無 |
| 基本給2か月分を支給する | 請求額を特定しやすい | 評価係数、出勤係数、欠勤控除 |
| 勤務成績や会社業績を勘案して支給することがある | 会社裁量が残りやすい | 過去の支給実績、算定式、社内決裁、説明内容 |
| 著しい業績低下時は支給しないことがある | 不支給条項の適用事実が争点になりやすい | 業績資料、全社員への適用、役員報酬や配当との整合性 |
次の一覧は、賞与請求権が発生し得る根拠を並べたものです。根拠が複数あるほど説明材料が増えるため、書面だけでなく過去の運用や会社の通知も確認することが重要です。
支給対象者、算定期間、支給日、支給額の算定方法、不支給事由が具体的なら、会社は原則として規程に従う必要があります。
年収内訳、初年度賞与保証、標準評価時の支給月数などが契約内容になっていれば、会社が拘束される可能性があります。
長期間・反復継続して同じ算定式や支給時期で運用され、労使双方が労働条件として認識していれば、権利性が問題になります。
社内決裁、支給通知、賞与明細、給与システム登録などにより具体的な支給額が確定していれば、不払いが問題になり得ます。
賞与制度に会社裁量が残る場合でも、支給額が具体的に決定された後は賞与請求権が発生し得ます。支給額が通知された、賞与明細が発行された、全社員に支給率が発表された、支給日だけが未到来だった、といった事情は重要です。
厚生労働省の裁判例解説で紹介されている福岡雙葉学園事件や大和銀行事件では、賞与額の決定、社内決裁、支給基準の具体化が請求権発生の判断で重要な意味を持つことが示されています。裁判例名だけで結論を決めるのではなく、自社の規程、決裁、通知、過去運用がどの段階まで具体化していたかを確認します。
業績悪化条項があり、実際に著しい業績低下が認められる場合には、不支給が有効とされる余地があります。ただし、規程に根拠がない、黒字なのに「著しい業績低下」と説明している、一部労働者だけに適用している、支給額決定後に後付けで取り消している場合は、規程上の根拠、事実、手続、説明、均衡が問われます。
支給基準日と支給日は別概念です。退職予定者や休職者では、日付と規程文言の確認が欠かせません。
支給日在籍要件とは、賞与支給日に会社に在籍している者に限って賞与を支給するという条項です。賞与には過去の労務提供への後払い的性格だけでなく、将来の勤労意欲、定着促進、在籍者への報奨という性格があるため、明確で周知された支給日在籍要件は有効と判断されることがあります。
次の比較表は、支給基準日と支給日の違いを示しています。どちらの日付を満たせば対象になるのかで結論が変わるため、退職日・最終出勤日・有給消化期間と合わせて読み取ることが重要です。
| 概念 | 意味 | 確認例 |
|---|---|---|
| 支給基準日 | 支給対象者を判定する日 | 6月1日、12月1日に在籍しているか |
| 支給日 | 実際に賞与を振り込む日 | 6月30日、12月10日に在籍しているか |
| 退職日 | 雇用契約が終了する日 | 支給日前か後か、会社都合か自己都合か |
| 有給消化期間 | 退職前に年次有給休暇を取得する期間 | 在籍は続いているか、欠勤扱いにされていないか |
次の時系列は、退職予定と賞与日程が重なる場面で確認すべき順番を示しています。日付の前後関係が支給対象者性や会社の恣意性を判断する材料になるため、通知や記録と結びつけて整理します。
規程上、この日に在籍している者を対象とするのかを確認します。
申出後に不支給方針や支給日の変更があれば、時系列が重要になります。
支給日在籍要件が明確で周知されていたか、会社が日付を恣意的に変えていないかを見ます。
不支給理由、根拠規程、査定結果、対象者判定日を文書で確認します。
支給日在籍要件がある場合でも、条項の明確性、周知、合理性、会社側事情、法が保護する休業・休暇との関係により、個別の結論は変わる可能性があります。
法が保護する権利行使や属性を理由にした不利益取扱いは、賞与査定でも問題になり得ます。
年次有給休暇の取得を賞与査定でマイナス評価することは、年休取得を事実上抑制する不利益取扱いとして問題になります。妊娠、出産、産前産後休業、育児休業、出生時育児休業、介護休業などについても、取得や申出を理由に必要な範囲を超えて不利益に扱う場合は、個別法違反や公序良俗違反が問題になり得ます。
次の比較表は、賞与不支給の理由として特に注意すべき事情を整理したものです。理由そのものが法令で保護されているか、単なる評価差ではなく報復や差別に近いかを読み取ることが重要です。
| 不支給理由として疑われる事情 | 問題になり得る法的観点 | 確認する証拠 |
|---|---|---|
| 有給休暇の取得 | 年休取得を抑制する不利益取扱い | 査定表、上司発言、出勤率計算、同僚比較 |
| 妊娠・出産・産休・育休・介護休業 | 均等法、育児・介護休業法、公序良俗 | 申出日、不支給決定日、按分方法、通常欠勤との違い |
| 労基署への申告 | 労働基準法104条の不利益取扱い禁止 | 申告日、会社の発言、評価の変化 |
| 公益通報 | 公益通報者保護法上の不利益取扱い禁止 | 通報内容、通報後の査定、会社説明 |
| 組合加入・団体交渉・救済申立て | 不当労働行為 | 組合活動の時期、対象者比較、会社の対応記録 |
| 国籍、信条、社会的身分、性別 | 労働基準法3条・4条、差別的取扱い | 属性別の支給差、評価資料、差別的発言 |
次の注意点一覧は、単なる評価差ではなく、報復・差別・権利行使への制裁が疑われやすい事情をまとめたものです。前後関係や会社説明の一貫性を見ることで、どの点を深掘りすべきかを読み取れます。
妊娠報告、育休申出、有休取得、労基署相談、公益通報、組合加入の直後にゼロ査定となった場合、時系列が重要になります。
産休・育休・介護休業などを本人責任の欠勤と同じに扱うと、法が保護する権利の趣旨を損なう可能性があります。
同じ成果や職務の労働者と比べて極端な差があり、会社が根拠を説明できない場合、恣意性が争点になります。
支給額決定後や申告後に、業績悪化・評価不良などの理由が後から出てきた場合、客観資料との整合性を確認します。
休業期間に実際の就労がないことを踏まえた合理的な按分が、常に違法になるわけではありません。問題は、権利行使そのものを理由に、必要・相当な範囲を超えて不利益に扱っているかどうかです。
妊娠・出産や育児休業に関する賞与では、東朋学園事件のように、休業期間をどのように賞与へ反映させるかが争われた裁判例も参考になります。実労働がない期間の按分と、権利行使を理由とする制裁的な不利益取扱いは区別して整理する必要があります。
「非正規だから賞与なし」という説明だけで足りるとは限りません。
短時間労働者・有期雇用労働者については、通常の労働者との間の不合理な待遇差が禁止されています。賞与についても、会社業績等への貢献に応じて支給する趣旨であれば、同一の貢献には同一の支給、貢献に相違がある場合には相違に応じた支給という考え方が問題になります。
次の比較表は、非正規雇用への賞与不支給で確認する観点を整理したものです。賞与の名目ではなく、何を評価して支給されているのかを読み取ることが重要です。
| 確認観点 | 見るべき内容 | 不合理性が問題になりやすい例 |
|---|---|---|
| 賞与の趣旨 | 業績貢献、職務貢献、将来の定着、生活補填など | 同じ貢献をしているのに一律ゼロ |
| 職務内容・責任 | 業務内容、責任範囲、成果責任、顧客対応 | 正社員と実質同じ仕事なのに説明がない |
| 配置転換範囲 | 転勤、職種変更、異動命令の範囲 | 相違が小さいのに大きな待遇差がある |
| 会社の説明 | 待遇差の内容・理由を具体的に説明できるか | 「契約社員だから」だけの抽象的説明 |
大阪医科薬科大学事件の最高裁判決は、有期契約労働者への賞与不支給が常に適法であると示したものではありません。賞与の性質・目的、職務内容、責任、配置転換範囲、その他事情を総合判断する枠組みを示したものと読む必要があります。
次の重要ポイントは、非正規雇用の賞与不支給を検討する際の読み方をまとめたものです。判例名だけで結論を決めるのではなく、自分の職務や会社制度との違いを確認する視点が大切です。
賞与の趣旨、職務内容、責任、配置転換範囲、その他事情が異なれば、非正規雇用への賞与不支給が不合理と評価される可能性は残ります。会社側には待遇差の内容・理由を説明する義務もあります。
査定による減額と懲戒・制裁としての減額は、根拠や手続の見方が異なります。
賞与制度上、勤務成績、成果、貢献度、評価ランクにより支給額が変わる仕組み自体は、直ちに違法とは限りません。しかし、実質的に懲戒処分として賞与を奪うのであれば、懲戒事由、懲戒手続、相当性、就業規則上の根拠が必要になります。
次の比較表は、査定による減額と懲戒・制裁による減額を分けて整理したものです。どちらの性質が強いかによって、評価資料を見るのか、懲戒根拠や手続を見るのかが変わります。
| 区分 | 内容 | 主な法的問題 |
|---|---|---|
| 査定による減額 | 勤務成績、成果、貢献度、評価ランクに基づく減額 | 評価の合理性、恣意性、差別性、説明可能性 |
| 懲戒・制裁による減額 | 規律違反への制裁として減額・不支給とする処理 | 懲戒根拠、手続、相当性、労働基準法91条の制限 |
次の割合の比較は、労働基準法91条が定める減給制裁の上限を視覚的に整理したものです。賞与減額が常にこの条文だけで決まるわけではありませんが、制裁として処理されている場合に、限界を確認する手がかりになります。
次の注意要素は、裁量査定が濫用されたと疑われやすい事情をまとめたものです。評価の内容だけでなく、評価期間、面談記録、同僚比較、会社都合の事情、上司発言を合わせて読み取る必要があります。
評価基準が存在しない、または労働者に一切説明されていない場合、合理性が争点になります。
同じ成果や職務であるにもかかわらず、特定労働者だけが最低評価になる場合は比較資料が重要です。
上司との私的対立、ハラスメント申告、労基署相談などの後に突然ゼロ査定となった場合、時系列を確認します。
評価期間外の出来事や会社都合の目標未達を本人責任にしていないかを見ます。
性別、国籍、信条、社会的身分など、法で禁止された属性を理由に賞与を下げることは重大な問題です。職務内容、勤務成績、成果、責任に基づく合理的な評価差と、禁止属性に基づく差別的取扱いは分けて検討します。
規程、支給実績、不支給理由、時系列、時効を一つずつ整理すると、相談時の見通しが立てやすくなります。
基本になるのは未払賞与そのものです。規程や過去実績により、基本給、支給月数、個人評価係数、出勤係数、会社業績係数、欠勤控除、休職按分などを確認します。
次の計算例は、賞与額の基本的な組み立てを示すものです。実際には会社ごとの係数や控除が加わるため、どの要素が争点になるかを読み取るための出発点として使います。
| 項目 | 例 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 基本給 | 30万円 | 労働条件通知書、給与明細 |
| 支給月数 | 2か月 | 賞与規程、過去の支給実績 |
| 個人評価係数 | 1.0 | 評価シート、面談記録 |
| 出勤係数 | 1.0 | 勤怠記録、休業・休暇申請 |
| 計算例 | 30万円 × 2か月 × 1.0 × 1.0 = 60万円 | 各係数の根拠資料 |
未払賞与が賃金として確定している場合は遅延損害金が問題になります。労働基準法違反の賃金不払であれば付加金が検討されることもありますが、賞与の性質や請求内容によって扱いは変わります。妊娠・育休・公益通報・組合活動への報復が問題になる場合は、慰謝料や不法行為に基づく損害賠償が検討対象になることもあります。
次の一覧は、相談前に集める証拠を目的別に整理したものです。どの資料がどの争点に結びつくかを読み取ることで、相談時に説明すべき事実を短時間で伝えやすくなります。
労働条件通知書、雇用契約書、就業規則、賃金規程、賞与規程、人事評価規程、育児介護休業規程、労働協約、労使協定を整理します。
権利発生過去の賞与明細、給与明細、源泉徴収票、支給通知、社内の支給率通知、過去数年の支給時期・支給額の一覧を確認します。
慣行不支給通知、メール、チャット、面談記録、評価シート、業績説明資料、休業・休暇申請、公益通報や組合加入の時系列を残します。
理由退職届、退職合意書、退職勧奨の記録、解雇通知書、支給基準日・支給日の通知、有給消化期間の記録を確認します。
日付賃金請求権の時効は、2020年4月1日施行の改正により5年に延長されましたが、当分の間は3年とされています。支払予定日から時間が経っている場合は、時効完成猶予や更新を含めて早めに確認する必要があります。
次の比較表は、賞与不支給の相談先を問題の性質ごとに整理したものです。行政窓口で扱いやすい問題か、民事請求として専門家相談が向く問題かを読み取ると、相談先を選びやすくなります。
| 相談先 | 向いている問題 |
|---|---|
| 労働基準監督署 | 確定した賃金としての賞与不払、労働基準法違反の疑い |
| 総合労働相談コーナー | 賃金引下げ、いじめ・嫌がらせ、配置転換、雇止めなど幅広い労働相談 |
| 都道府県労働局雇用環境・均等部門 | 妊娠・出産・育児介護休業、均等・均衡待遇、ハラスメント関連 |
| 労働委員会 | 組合活動を理由とする不利益取扱い、不当労働行為 |
| 法テラス | 経済的要件を満たす場合の無料法律相談、費用立替制度 |
| 弁護士 | 未払賞与請求、労働審判、訴訟、示談交渉、証拠整理、時効対応 |
労働者側では、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則、賞与規程、過去の賞与明細、不支給理由の説明、評価資料、休業・申告・通報・組合活動との時系列を整理します。会社側では、支給対象者、算定期間、支給日、支給基準日、業績不振時の条項、有休・産休・育休・介護休業の扱い、非正規雇用への待遇差の説明、評価記録、規程変更時の合理性と周知を確認します。
労働条件相談ほっとラインは労働基準関係法令の相談窓口として案内されており、夜間・休日の相談先として検討されることがあります。もっとも、未払賞与請求、労働審判、訴訟、示談交渉、時効対応まで見据える場合は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
会社側では、賞与規程に支給対象者・算定期間・支給日・支給基準日を明記し、有休・産休・育休・介護休業を本人責任の欠勤と同視しないこと、非正規雇用への待遇差を説明できること、報復や差別と疑われるタイミングで不支給決定をしないことが重要です。
よくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。個別事情により結論は変わります。
一般的には、会社に賞与制度を設ける法律上の一般義務はないとされています。ただし、労働契約、就業規則、労働協約、労働慣行などによって賞与請求権が発生しているかで結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで専門窓口へ相談する必要があります。
一般的には、その文言だけでは会社裁量が残る表現とされています。ただし、過去の支給実績、算定式、社内通知、労働者への説明などから具体的な支給基準が確立していた場合、請求可能性が問題になることがあります。
一般的には、有効な支給日在籍要件があり、周知されていれば、支給日前退職者への不支給が有効とされることがあります。ただし、会社が支給日を恣意的に遅らせた場合、要件が周知されていない場合、会社都合退職や解雇との関係では結論が変わる可能性があります。
一般的には、有給休暇の取得そのものを賞与査定でマイナス評価することは、年休取得を抑制する不利益取扱いとして問題になるとされています。ただし、勤務成績や成果など有給休暇と別の評価理由があるかによって整理が変わります。
一般的には、実際に就労していない期間に応じた合理的な按分が常に違法とは限りません。ただし、育休取得そのものを理由に必要な範囲を超えて不利益に扱う場合は問題になる可能性があります。規程、按分方法、通常欠勤との扱い、過去運用を確認する必要があります。
一般的には、一律に結論を決めることはできません。賞与の趣旨、正社員との職務内容・責任・配置転換範囲、会社業績への貢献、待遇差の大きさを総合的に検討します。「非正規だから」という抽象的な説明だけでは不十分となる可能性があります。
一般的には、賞与規程に業績不振時の不支給条項があり、客観的な業績悪化があれば不支給が有効とされる余地があります。ただし、条項の有無、実際の業績、全社員への適用状況、支給額が既に確定していなかったかを確認する必要があります。
一般的には、口頭合意も契約内容となる可能性はありますが、証明が難しいことがあります。メール、採用資料、録音、メモ、同席者、求人票、オファーレターなどの証拠が重要になります。
一般的には、賞与明細や支給通知により支給額が具体的に確定していれば、未払賃金として問題になる可能性があります。支給日、通知内容、会社の取消理由、資金繰り説明の時期を確認する必要があります。
一般的には、実質的に懲戒・制裁として賞与を減額する場合、就業規則上の根拠、懲戒手続、処分の相当性、賞与規程上の減額根拠が問題になります。制度設計によっては労働基準法91条の制限も検討対象になります。
一般的には、申告への報復として不支給にされた疑いがある場合、違法・不法行為・安全配慮義務違反などが問題となる可能性があります。申告日、不支給決定日、評価資料、上司発言、同僚比較を整理する必要があります。
一般的には、労働基準監督署等への申告を理由とする不利益取扱いは禁止されています。申告と賞与減額の時系列、会社の発言、評価の不自然さを確認する必要があります。
一般的には、公益通報を理由とする不利益取扱いは禁止されています。公益通報の要件、通報後の会社対応、賞与査定の理由、同種労働者との比較によって結論が変わる可能性があります。
一般的には、賃金請求権は5年とされつつ、当分の間は3年とされています。支払予定日から時間が経っている場合、時効完成猶予や更新の要否が問題になるため、早めに相談する必要があります。
一般的には、不支給の根拠規程、支給対象者の判定日、算定期間、支給日、対象外とされた理由、査定結果と評価根拠、業績不振の具体的根拠、同種労働者との取扱いの違いを、文書で確認する方法が考えられます。
このページの制度説明で参照した公的資料・判例資料です。