2σ Guide

家族が後見人になれるケース
となれないケース

成年後見制度の基本、家庭裁判所の選任基準、民法上の欠格事由、親族後見人が選ばれにくい実務上の事情を、申立て前に確認しやすい形で整理します。

16.4% 令和7年の親族選任割合
83.6% 親族以外の選任割合
43,159件 後見等申立件数
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家族が後見人になれるケースとなれないケース

成年後見 制度の基本、家庭裁判所の選任基準、民法上の欠格事由、親族後見人が選ばれにくい実務上の事情を、申立て前に確認しやすい形で整理します。

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家族が後見人になれるケースとなれないケース
成年後見 制度の基本、家庭裁判所の選任基準、民法上の欠格事由、親族後見人が選ばれにくい実務上の事情を、申立て前に確認しやすい形で整理します。
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  • 家族が後見人になれるケースとなれないケース
  • 成年後見 制度の基本、家庭裁判所の選任基準、民法上の欠格事由、親族後見人が選ばれにくい実務上の事情を、申立て前に確認しやすい形で整理します。

POINT 1

  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースの全体像
  • 家族だから当然に選ばれる制度ではなく、本人の利益を守れるかを家庭裁判所が総合的に見ます。
  • 法律上候補者になれる
  • 法律上なれない
  • 選ばれにくい事情がある

POINT 2

  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースの前提となる成年後見制度
  • 制度の目的は家族の利便性ではなく、判断能力が不十分な本人の権利と生活を支えることです。
  • 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人について、財産管理や法律行為を支援する制度です。
  • 成年後見人は、本人の財産に関する法律行為について広い代理権を持ち、本人がした法律行為を取り消せる場合もあります。
  • ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為は取消しの対象外です。

POINT 3

  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースで混同しやすい用語
  • 申立人、候補者、後見人、監督人は役割が違います。ここを混同すると「申立てた家族が当然に選ばれる」という誤解につながります。
  • 成年後見人
  • 利益相反
  • 申立人、候補者、後見人、監督人は役割が違います。

POINT 4

  • 家族が後見人になれるケースの基本条件
  • 最低条件は民法上の欠格事由に当たらないことですが、それだけで選任が保証されるわけではありません。
  • 家族が後見人になるための最低条件は、民法上の欠格事由に当たらないことです。
  • 欠格事由に該当する場合は、本人の配偶者や子であっても後見人になることはできません。
  • 本人が判断能力の範囲内で特定の家族に支援してほしいと述べている場合、その意向は重要な考慮要素です。

POINT 5

  • 家族が後見人になれないケース ― 民法上の欠格事由
  • 未成年者
  • 18歳未満の孫や子は、祖父母や親の成年後見人になることはできません。
  • 家庭裁判所で免ぜられた者
  • 過去に法定代理人・保佐人・補助人としての職務から家庭裁判所により免ぜられた者は後見人になれません。

POINT 6

  • 法律上は可能でも家族が後見人に選ばれにくいケース
  • 親族間で対立がある
  • 利益相反がある
  • 本人と候補者が同じ相続の当事者になる、不動産売買や貸付・保証関係がある場合は、本人の利益と候補者の利益が衝突します。

POINT 7

  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースの実務比較
  • 申立て前の整理では、欠格事由・親族対立・財産の複雑さ・本人の意向を同時に見ます。
  • 次の割合比較は、令和7年統計における親族後見人と親族以外の選任割合を示します。
  • 親族が選ばれる余地はある一方で、第三者・専門職が選ばれる割合が大きい現実を読み取ることが重要です。

POINT 8

  • 家族別に見る後見人候補者の判断ポイントと親族後見人16.4%の現状
  • 配偶者、子、兄弟姉妹、孫・甥・姪、同居家族、疎遠だった家族では、強みとリスクが異なります。
  • 配偶者は本人の生活歴、医療・介護の希望、家計状況をよく知っていることが多く、候補者になり得ます。
  • 一方で、夫婦の共有生活費と本人固有の財産管理が混同しやすい点に注意が必要です。
  • 子が親の後見人候補者になる類型は多く、施設費、介護サービス、預貯金管理、不動産処分のために申立てが行われます。

まとめ

  • 家族が後見人になれるケースとなれないケース
  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースの全体像:家族だから当然に選ばれる制度ではなく、本人の利益を守れるかを家庭裁判所が総合的に見ます。
  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースの前提となる成年後見制度:制度の目的は家族の利便性ではなく、判断能力が不十分な本人の権利と生活を支えることです。
  • 家族が後見人になれるケースとなれないケースで混同しやすい用語:申立人、候補者、後見人、監督人は役割が違います。ここを混同すると「申立てた家族が当然に選ばれる」という誤解につながります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

家族が後見人になれるケースとなれないケースの全体像

家族だから当然に選ばれる制度ではなく、本人の利益を守れるかを家庭裁判所が総合的に見ます。

成年後見人になるために、弁護士や司法書士などの国家資格が必ず必要というわけではありません。配偶者、子、兄弟姉妹、甥・姪、孫などの家族・親族が成年後見人になること自体は制度上可能です。

ただし、成年後見人は本人の財産を自由に使える家族代表ではありません。本人の財産を本人のために管理し、本人の意思を尊重し、生活・療養看護・財産管理に必要な法律行為を行う公的な職務です。

このページで最初に押さえたいのは、判断が三層に分かれる点です。法律上候補者になれる場合、民法上そもそも後見人になれない場合、そして法律上は可能でも家庭裁判所が家族を選びにくい場合を分けて読むことが、申立て前の誤解を防ぐために重要です。

要点候補者として家族の名前を書いても、その人が必ず選任されるわけではありません。本人の心身の状態、生活状況、財産状況、候補者の職業・経歴、利害関係、本人の意向などを踏まえて家庭裁判所が判断します。

次の重要ポイントは、判断の三層を短く整理したものです。どの層に当たるかを分けて考えると、候補者として準備すべき資料や、専門職の関与が必要になりやすい理由を読み取りやすくなります。

CAN

法律上候補者になれる

欠格事由に当たらず、本人の利益を最優先にでき、財産管理と家庭裁判所への報告に対応できる家族は候補者になり得ます。

CANNOT

法律上なれない

未成年者、破産者、本人と訴訟関係にある者、行方の知れない者などは、家族であっても後見人になることはできません。

CAUTION

選ばれにくい事情がある

親族間対立、利益相反、財産の複雑さ、使い込み・虐待の疑い、候補者の経済的不安などがあると、専門職が選ばれやすくなります。

Section 01

家族が後見人になれるケースとなれないケースの前提となる成年後見制度

制度の目的は家族の利便性ではなく、判断能力が不十分な本人の権利と生活を支えることです。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人について、財産管理や法律行為を支援する制度です。銀行口座の解約、施設入所契約、介護サービス契約、不動産売却、遺産分割などがきっかけになることは多いものの、制度の中心にあるのは本人の保護です。

成年後見人は、本人の財産に関する法律行為について広い代理権を持ち、本人がした法律行為を取り消せる場合もあります。ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為は取消しの対象外です。

次の比較表は、法定後見と任意後見の違いを示します。どの制度を使うかによって家族の関わり方が変わるため、本人の判断能力が残っている段階か、すでに不十分になっている段階かを読み取ることが重要です。

区分概要家族が関わる場面
法定後見判断能力がすでに不十分になった後、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。家族が申立人になる、または後見人候補者になる場面があります。
任意後見本人が判断能力のあるうちに、将来支援してもらう人を契約で決めておく制度です。本人が家族を任意後見受任者として選ぶことができます。

次の比較表は、法定後見の三類型を整理したものです。権限の広さは本人の判断能力の状態によって異なるため、「後見人」という言葉をまとめて使う場面でも、成年後見・保佐・補助の違いを確認することが重要です。

類型判断能力の状態の目安支援者特徴
成年後見判断能力を欠くのが通常の状態成年後見人代理権・取消権が広い類型です。
保佐判断能力が著しく不十分保佐人重要な法律行為について同意権・取消権があります。
補助判断能力が不十分補助人本人の同意を前提に、必要な範囲で支援します。
Section 02

家族が後見人になれるケースとなれないケースで混同しやすい用語

申立人、候補者、後見人、監督人は役割が違います。ここを混同すると「申立てた家族が当然に選ばれる」という誤解につながります。

成年後見制度による支援を受ける人を本人といいます。成年後見が開始された後は成年被後見人と呼ばれます。成年後見人は、家庭裁判所から選任され、本人の財産管理や生活・療養看護に関する法律行為を行う人です。

次の一覧は、申立て前に混同しやすい用語をまとめたものです。誰が手続を始める人で、誰が候補にすぎず、誰が監督する立場なのかを読み取ると、家族が選ばれるかどうかの判断を整理しやすくなります。

PERSON

本人

成年後見制度による支援を受ける人です。制度の目的は、本人の権利と生活を支えることにあります。

GUARDIAN

成年後見人

家庭裁判所から選任され、本人の財産管理や身上保護に関する法律行為を行います。家族が選ばれることも、専門職が選ばれることもあります。

CANDIDATE

候補者

申立書に「この人を後見人にしてほしい」と記載された人です。候補者はあくまで候補であり、家庭裁判所が候補者以外を選ぶこともあります。

APPLICANT

申立人

家庭裁判所に後見開始を申し立てる人です。本人、配偶者、四親等内の親族などが申立人になれますが、後見人に選ばれることとは別です。

SUPERVISOR

監督人

成年後見人の事務を監督する人です。家族が後見人となり、専門職が監督人となる組み合わせもあります。

CONFLICT

利益相反

本人の利益と候補者または家族の利益が対立する状態です。遺産分割、不動産売買、貸付・保証関係などで問題になります。

財産管理とは、預貯金、不動産、年金、保険、株式、借入金、税金、公共料金、施設費、介護費用などを本人のために管理することです。身上保護とは、介護サービス契約、施設入所契約、医療・福祉サービスに関する手続など、本人の生活や療養看護に関する法律行為を行うことです。

注意成年後見人は、介護を自ら行う義務を負うわけではありません。また、一般に、手術などの医療行為そのものについて本人に代わって同意する包括的な権限を当然に持つわけでもありません。
Section 03

家族が後見人になれるケースの基本条件

最低条件は民法上の欠格事由に当たらないことですが、それだけで選任が保証されるわけではありません。

家族が後見人になるための最低条件は、民法上の欠格事由に当たらないことです。欠格事由に該当する場合は、本人の配偶者や子であっても後見人になることはできません。

欠格事由に当たらないうえで、本人の利益を最優先にできること、本人の生活や価値観を理解していること、財産管理に透明性があること、他の親族から大きな反対がないこと、家庭裁判所への報告に対応できることなどが重要になります。

次の比較表は、家族候補者に肯定的に働きやすい事情を整理したものです。各項目は選任を保証する条件ではありませんが、家庭裁判所に本人の利益を守れる候補者だと説明するために、どの資料や対応が重要かを読み取る手がかりになります。

肯定的事情実務上の意味
本人の生活状況をよく知っている施設、医療、介護、日常支出の把握がしやすくなります。
本人の意思・価値観を理解している本人らしい生活を支える判断がしやすくなります。
財産管理に透明性がある通帳、領収書、収支記録を整理し、説明しやすくなります。
他の親族から大きな反対がない後見事務が親族紛争の延長になるリスクが低くなります。
本人との利害対立が少ない不正・偏った処理の疑いが生じにくくなります。
家庭裁判所への報告に対応できる財産目録、収支予定表、定期報告を継続しやすくなります。

本人の財産が、年金、預貯金、自宅、通常の生活費支払い程度で、親族間に対立がなく、相続や不動産売却など複雑な課題がない場合には、家族後見人が適任と判断される余地があります。

本人が判断能力の範囲内で特定の家族に支援してほしいと述べている場合、その意向は重要な考慮要素です。ただし、本人の意向だけで決まるわけではなく、利害対立や財産管理上の不安があれば別の人が選ばれることがあります。

記録管理成年後見人は、選任後おおむね1か月以内に本人の財産や生活状況を確認し、財産目録・収支予定表を家庭裁判所に提出することが求められます。少なくとも年1回程度の報告も必要です。
Section 04

家族が後見人になれないケース ― 民法上の欠格事由

民法847条の欠格事由は、家族であることによって免除されません。

法律上、家族であっても後見人になれないケースの中心は民法847条の欠格事由です。該当すると、本人の配偶者、長年介護してきた子、同居している親族であっても後見人にはなれません。

次の一覧は、欠格事由を候補者確認のために整理したものです。該当する項目がある場合は家族であることによる例外はないため、感情的な事情ではなく法律上の制限として読み取る必要があります。

未成年者

18歳未満の孫や子は、祖父母や親の成年後見人になることはできません。

家庭裁判所で免ぜられた者

過去に法定代理人・保佐人・補助人としての職務から家庭裁判所により免ぜられた者は後見人になれません。

破産者

破産者は後見人になれません。過去の破産歴がある場合は、現在の法的状態や復権の有無を確認する必要があります。

本人に対して訴訟をした者

本人に対して訴訟をした者、現在訴訟をしている者、その配偶者・直系血族は後見人になれません。

行方の知れない者

所在不明、連絡不能、郵便が届かない、面談に応じられない人は、継続的な後見事務を遂行できません。

「自分が一番世話をしてきた」「他の親族より本人を理解している」という事情は重要ですが、欠格事由を消すものではありません。申立て前には、候補者本人の年齢、過去の解任歴、破産状態、本人との訴訟関係、所在・連絡可能性を確認する必要があります。

Section 05

法律上は可能でも家族が後見人に選ばれにくいケース

欠格事由に当たらなくても、中立性・専門性・財産管理の安全性が重視される場面があります。

民法上の欠格事由に当たらなければ、形式的には後見人候補者になれます。しかし、家庭裁判所が本人の利益を守る観点から、家族ではなく弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職を選ぶ場合があります。

次の一覧は、家族候補者が選ばれにくくなる代表的な事情を示します。問題の種類ごとに、なぜ家庭裁判所が中立性や専門性を重視しやすいのかを読み取ることが重要です。

親族間で対立がある

兄弟姉妹間で財産管理を争っている、候補者への反対が強い、介護費用の認識が違う場合は、後見事務が親族紛争の延長になりやすくなります。

利益相反がある

本人と候補者が同じ相続の当事者になる、不動産売買や貸付・保証関係がある場合は、本人の利益と候補者の利益が衝突します。

財産が多額・複雑

複数不動産、収益不動産、株式、会社経営、税務、借入金、保証債務などがある場合は、専門的な判断が求められやすくなります。

使い込み・虐待の疑い

不明出金、年金の不適切利用、通帳管理の説明不足、虐待の疑いがある場合は、専門職による財産確認が必要になりやすくなります。

候補者の経済的不安

多額の借金、債務整理、税金滞納、生活費困難などがあると、本人財産の流用リスクが慎重に見られます。

制度理解や継続性に不安がある

家庭裁判所への報告を嫌がる、領収書を残していない、遠方で状況把握が困難、本人が強く拒否している場合も不安要素になります。

利益相反があるからといって、常に家族が絶対に選ばれないわけではありません。ただし、その取引や手続では中立的な判断が必要であり、専門職後見人、後見監督人、特別代理人などの関与が検討されやすくなります。

重要本人の居住用不動産を売却、賃貸、賃貸借解除、担保設定などする場合には家庭裁判所の許可が必要です。本人の生活基盤や売却価格の妥当性、本人の意思への配慮を慎重に説明する必要があります。
Section 06

家族が後見人になれるケースとなれないケースの実務比較

申立て前の整理では、欠格事由・親族対立・財産の複雑さ・本人の意向を同時に見ます。

次の比較表は、家族後見人の可能性を実務的な目安として整理したものです。最終判断は家庭裁判所が行いますが、どの事情が「高め」「低め」「不可」に近づくのかを読み取ると、申立て前の準備がしやすくなります。

類型家族が後見人になる可能性典型事情注意点
欠格事由なし、親族間対立なし、財産管理が単純高め子が親の生活費・施設費を管理する必要がある候補者が必ず選ばれるわけではありません。
本人が候補者を希望している高めに働く本人が長女に任せたいと述べている本人の意向だけで決まるわけではありません。
同居介護者が候補者事案による本人の生活状況をよく知っている使い込み疑い・他親族の反対があると難しくなります。
親族間で強い対立低め兄弟間で財産管理を争っている中立的専門職が選ばれやすくなります。
相続・不動産売却・訴訟が絡む低め遺産分割、居住用不動産売却、債権回収専門職や監督人の関与が必要になりやすいです。
候補者に借金・破産等の問題低めまたは不可破産者、債務整理中、多額の滞納欠格事由該当なら不可です。
候補者が未成年不可18歳未満の孫・子民法上の欠格事由です。
候補者が本人と訴訟中不可本人に対する貸金訴訟、不動産訴訟民法上の欠格事由です。
候補者が行方不明・連絡不能不可所在不明、連絡手段なし民法上の欠格事由です。

次の割合比較は、令和7年統計における親族後見人と親族以外の選任割合を示します。親族が選ばれる余地はある一方で、第三者・専門職が選ばれる割合が大きい現実を読み取ることが重要です。

親族以外
83.6%
親族
16.4%
令和7年の成年後見人・保佐人・補助人の選任割合をもとにした比較です。
Section 07

家族別に見る後見人候補者の判断ポイントと親族後見人16.4%の現状

配偶者、子、兄弟姉妹、孫・甥・姪、同居家族、疎遠だった家族では、強みとリスクが異なります。

配偶者は本人の生活歴、医療・介護の希望、家計状況をよく知っていることが多く、候補者になり得ます。一方で、夫婦の共有生活費と本人固有の財産管理が混同しやすい点に注意が必要です。

子が親の後見人候補者になる類型は多く、施設費、介護サービス、預貯金管理、不動産処分のために申立てが行われます。兄弟姉妹間の合意形成、収支の共有、本人用口座の分離、領収書保存、家庭裁判所への報告に従う姿勢が重要です。

次の一覧は、家族の立場ごとの主な確認点を示します。本人との近さだけではなく、財産管理の透明性、相続を意識した利害対立、同居による家計混同、疎遠だった事情などを読み取ることが重要です。

配偶者

本人の生活をよく知る強みがありますが、夫婦の生活費と本人固有の財産管理を説明できる必要があります。

家計区分健康状態

親の施設費・介護費・預金管理で候補者になりやすい一方、兄弟姉妹の反対や不明出金の説明が課題になります。

収支共有親族対立

兄弟姉妹

本人に配偶者や子がいない場合に候補者になり得ますが、本人死亡後の相続を意識した利害対立が生じやすい面があります。

四親等内相続関係

孫・甥・姪

日常的に関与し、記録管理や連絡調整ができるなら検討余地があります。ただし未成年者は欠格事由により不可です。

関係性年齢確認

同居家族

身上保護の面では強みがありますが、本人の年金や預金が同居世帯の生活費と混ざりやすく、過去の出金説明が重要です。

生活把握家計混同

疎遠だった家族

疎遠だったこと自体で直ちに不適格とは限りませんが、生活状況の把握不足や財産だけに関心があるように見える事情は慎重に見られます。

信頼関係生活把握

令和7年の統計では、後見・保佐・補助開始等の申立件数は合計43,159件で、内訳は後見開始29,233件、保佐開始9,743件、補助開始3,302件、任意後見監督人選任881件でした。申立ての動機には、預貯金等の管理・解約、身上保護、介護保険契約、不動産の処分、相続手続などがあります。

親族後見人は現在も存在しますが、親族以外の専門職・第三者が選ばれる割合が大きいことも現実です。家族を候補者にする場合は、なぜその家族が本人の利益に適しているのかを客観的に説明できる準備が必要です。

Section 08

家族が後見人候補者になる前のチェックリスト

欠格事由、利益相反、親族関係、財産管理、継続性を申立て前に点検します。

家族が後見人候補者になる前には、単に本人をよく知っているかだけでなく、欠格事由や利益相反がないか、親族関係が紛争化していないか、財産管理を透明に続けられるかを確認する必要があります。

次の一覧は、申立て前の確認項目を5つの観点に分けたものです。該当する不安が多いほど、資料整理や専門家相談の必要性が高くなると読み取ってください。

CHECK 01

欠格事由

  • 候補者は18歳以上か
  • 家庭裁判所から免ぜられた過去はないか
  • 現在、破産者に該当しないか
  • 本人と訴訟関係にないか
  • 行方不明・連絡不能ではないか
CHECK 02

利益相反

  • 本人と候補者が同じ相続の当事者ではないか
  • 本人の財産を家族が使っていないか
  • 本人所有不動産を候補者が取得・利用する予定はないか
  • 貸付・贈与・立替金がないか
  • 債務者・保証人関係がないか
CHECK 03

親族関係

  • 他の親族は候補者に同意しているか
  • 反対の理由は何か
  • 財産状況を共有できるか
  • 将来の相続対立があるか
  • 介護負担への不満がないか
CHECK 04

財産管理

  • 預貯金口座を把握しているか
  • 不動産、保険、株式、借入金、税金を把握しているか
  • 収入と支出を一覧化できるか
  • 領収書・請求書・契約書を保存できるか
  • 本人財産と家族財産を分けられるか
CHECK 05

継続性

  • 職務が長期に続くことを理解しているか
  • 年1回程度の定期報告に対応できるか
  • 家庭裁判所や監督人からの照会に対応できるか
  • 自分が病気・高齢になった場合の引継ぎを考えているか
  • 専門職や福祉機関と連携できるか
Section 09

家族後見人の職務と禁止される行為

家族であっても、本人財産を本人のために使い、家庭裁判所への報告と記録管理を続ける必要があります。

成年後見人は、本人の財産を本人のために使います。家族の生活費、候補者の借金返済、親族への贈与、相続対策を目的とする支出は、原則として慎重に扱わなければなりません。

次の重要ポイントは、家族後見人が誤解しやすい行為を整理したものです。本人財産と家族財産の区別、居住用不動産の処分、職務の継続期間を読み取ることで、就任後のトラブルを避けやすくなります。

本人の財産は本人のために使う

親族名義で管理したり、後見人や親族に贈与・貸付けをしたりするなど、本人の不利益となる管理・処分は原則としてできません。

家族後見人の不正・誤解で多いのは、本人の通帳と家族の通帳を混同することです。本人名義の口座で収入・支出を管理し、現金出納帳を作成し、高額支出は事前に根拠を整理し、領収書・請求書を保管する必要があります。

次の時系列は、就任後の管理がどのように続くかを示します。最初の財産調査で終わりではなく、定期報告と本人意思への配慮が続くことを読み取ることが重要です。

就任直後

財産と生活状況を確認

通帳、現金、印鑑、契約書、介護・医療費、収入支出を確認し、本人財産と家族財産を分けます。

初回報告

財産目録・収支予定表を提出

家庭裁判所へ本人の財産状況と今後の収支見込みを報告します。

日常管理

本人の意思を尊重して支出を判断

本人の生活、療養、介護、住まいに配慮し、効率だけでなく本人らしい生活を支える観点で判断します。

継続期間

目的終了後も原則として続く

預金解約や遺産分割が終わっても、本人が判断能力を回復するか亡くなるまで続くのが原則です。辞任には正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です。

不動産本人の自宅など居住用不動産を売却、賃貸、賃貸借解除、抵当権設定などする場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
Section 10

家族を候補者にする申立ての流れと準備資料

相談先、管轄家庭裁判所、必要書類、面談・調査、審判、選任後報告を順番に確認します。

申立て前には、家庭裁判所のウェブサイト、地域包括支援センター、社会福祉協議会、中核機関、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会などに相談できます。親族間対立、使い込み疑い、相続、不動産売却、訴訟、税務、会社経営が絡む場合には、弁護士等の専門家に早めに相談する必要性が高くなります。

次の判断の流れは、家族を候補者にする場合の準備から選任後報告までを示します。上から順番に進む手続であり、候補者面談や本人調査の段階で説明の矛盾があると適格性に疑問が持たれやすい点を読み取ってください。

申立てから選任後報告までの流れ

相談先を確認

家庭裁判所、地域包括支援センター、社会福祉協議会、中核機関、専門職団体などを確認します。

管轄を確認

後見開始の申立ては、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。

申立書類を準備

申立書、診断書、本人情報シート、戸籍・住民票、財産目録、通帳コピー、不動産資料、収支予定表、親族関係図などを整理します。

面談・調査・照会

家庭裁判所が申立人や候補者との面談、本人調査、親族への意向照会、鑑定などを行う場合があります。

審判と選任

後見開始が相当と判断されると、家庭裁判所が成年後見人を選任します。候補者ではなく専門職が選ばれることもあります。

初回報告と定期報告

選任後は初回報告、財産目録、収支予定表などを提出し、その後も定期報告を行います。

必要書類は家庭裁判所ごとに書式や運用が異なる場合があります。申立書、診断書、本人情報シート、戸籍・住民票、候補者の住民票等、財産目録、預貯金通帳コピー、不動産資料、保険・年金・負債資料、収支予定表、親族関係図、親族の意向照会資料などを確認してください。

不服申立て誰を後見人に選ぶかという家庭裁判所の判断については、不服申立てができないと説明されています。候補者が選ばれなかった場合の見通しも、申立て前に整理しておくことが重要です。
Section 11

家族が後見人になれなかった場合の選択肢

家族が選ばれないことは、本人の利益保護のために中立性や専門性が必要と判断された結果である場合があります。

家族が選ばれなかった場合でも、それは必ずしも家族が否定されたという意味ではありません。法律紛争、相続、不動産、財産調査、虐待対応などがある場合、専門職後見人の関与により本人の権利保護が進むことがあります。

次の一覧は、家族が後見人になれなかった後の関わり方を整理したものです。後見人に選ばれなかった場合でも、本人の生活歴や希望を伝える支援者として重要な役割が残ることを読み取ってください。

OPTION 01

専門職後見人に任せる

弁護士、司法書士、社会福祉士などが選ばれ、法律紛争や財産管理、虐待対応などに中立的に関与します。

OPTION 02

情報提供者として関わる

家族は本人の生活歴、好み、医療・介護の希望、親族関係、過去の支出状況などを後見人へ伝える役割を担えます。

OPTION 03

後見監督人との組み合わせ

家族を後見人にしつつ、専門職を後見監督人に選ぶことで、生活理解と監督機能を組み合わせることがあります。

OPTION 04

複数後見人

身上保護を家族が担当し、財産管理を専門職が担当するような分担が考えられます。分担方法や権限は家庭裁判所の判断によります。

Section 12

任意後見と2026年の制度改正動向

本人が判断能力のあるうちなら、将来の支援者を契約で選ぶ任意後見も選択肢になります。

任意後見は、本人が判断能力のあるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、支援してくれる人を契約で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人が作成する公正証書によって締結され、本人が信頼する家族を任意後見受任者として選ぶこともできます。

任意後見契約を結んだだけでは、直ちに任意後見人として活動できるわけではありません。本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、契約の効力が生じます。

次の比較は、任意後見を検討できる段階と難しくなる段階を整理したものです。本人が契約内容を理解し意思表示できるかどうかが、任意後見を選べるかを左右する点を読み取ることが重要です。

場面考え方家族との関係
判断能力がある段階任意後見、遺言、家族信託、財産管理委任契約などを検討しやすい時期です。本人が信頼する家族を事前に選びやすくなります。
判断能力が大きく低下した段階本人が契約内容を理解し意思表示できない場合、任意後見契約は難しくなります。法定後見を検討し、家庭裁判所が後見人を選任します。
任意後見監督人選任後監督人が任意後見人の事務を監督し、契約に基づく支援が始まります。家族を任意後見人にしても監督の仕組みが入ります。

2026年4月時点で、成年後見制度の見直しに関する法改正の動きがあります。法務省は2026年4月3日に成年後見制度等に関する民法等改正法案を国会に提出した旨を公表しています。

最新確認制度改正は、法案提出、国会審議、成立、公布、施行という段階を経て実際に適用されます。実務で申立てを行う際には、最新の法令、家庭裁判所の案内、専門家の助言を確認してください。このページは2026年4月30日時点の公的情報を基礎にしています。
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家族後見人をめぐるよくある誤解

「長男だから」「介護してきたから」「目的が終わったから」という理解だけでは不十分です。

成年後見制度では、家督相続的な優先順位はありません。長男、長女、同居者、介護者といった立場は考慮要素になり得ますが、決定権は家庭裁判所にあります。

次の一覧は、申立て前後に生じやすい誤解を整理したものです。家族の感覚と成年後見人の公的職務がずれる場面を読み取ることで、候補者としての説明や就任後の管理を整えやすくなります。

長男だから当然に選ばれる

長男・長女・同居者・介護者といった立場だけで決まるわけではありません。

申立人になれば選ばれる

申立人は手続を開始する人で、後見人は家庭裁判所が選任する人です。

親の預金はいずれ相続するから使える

本人が生きている間、本人の財産は本人のものです。将来相続人になる可能性があっても自分のためには使えません。

専門職が選ばれたら家族は何もできない

家族は本人の生活支援、情報提供、面会、医療・介護関係者との連携で重要な役割を果たせます。

後見人は何でも代理できる

日常生活に関する本人の行為、居住用不動産の処分、医療行為への同意などには慎重な整理が必要です。

目的が終われば自動終了する

預金解約や遺産分割が終わっても、後見は自動的に終了しません。

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家族が後見人になれるケースとなれないケースで相談したい場面

親族対立、使い込み疑い、相続、不動産、訴訟、会社経営が絡む場合は、申立て前の相談が特に重要です。

家族が後見人になれるケースとなれないケースを検討する際、親族間で候補者をめぐる対立がある、本人の預金の使い込みを疑われている、相続手続や遺産分割が関係している、不動産の売却・賃貸・明渡しが必要といった事情がある場合には、申立て前に相談する重要性が高いといえます。

次の一覧は、相談の必要性が高まる事情をまとめたものです。紛争性、財産の複雑さ、本人と候補者の利害対立があるほど、どの専門家へ相談すべきかを早めに整理する必要があります。

DISPUTE

親族間対立・使い込み疑い

候補者をめぐる対立、不明出金、虐待疑い、本人財産への依存がある場合は、資料整理と中立的な助言が重要です。

ASSET

相続・不動産・会社経営

遺産分割、不動産売却、賃貸、明渡し、会社経営、株式、事業承継が関係する場合は、専門的判断が必要になりやすいです。

DEBT

債務整理・破産・税金滞納

候補者の経済状態に不安がある場合、本人財産の流用リスクをどう説明するかが問題になります。

WILL

本人の意思と家族の意向の対立

本人が候補者を拒否している、支援方針に対立がある場合は、意思決定支援と家庭裁判所の判断を踏まえる必要があります。

弁護士は、紛争性のある事案、訴訟・相続・不動産・財産調査が絡む事案で特に重要です。司法書士は申立書類作成や登記・財産関係の整理に関与することがあります。社会福祉士は生活支援・福祉サービス・意思決定支援の観点で関与することがあります。

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家族候補者が家庭裁判所に説明すべき管理方針

「自分が面倒を見ます」だけでは不十分です。財産管理、身上保護、親族説明、専門職連携を具体化します。

家族が後見人候補者になる場合、財産管理方針、身上保護方針、親族への説明方針、専門職・福祉機関との連携方針を整理しておくと、後見人としての適格性を説明しやすくなります。

次の一覧は、家庭裁判所へ説明しやすい管理方針を4つに分けて示します。どの方針も本人の利益を中心に置き、記録と連携で透明性を確保することが重要だと読み取ってください。

財産管理方針

本人名義の預貯金を一覧化し、通帳・キャッシュカード・印鑑の保管方法、現金管理の上限、月々の収支予定、高額支出の領収書保存、家族口座との資金移動回避を整理します。

財産目録収支予定

身上保護方針

本人がどこで暮らしたいか、介護サービス・施設・医療機関との連絡体制、趣味・交友関係・宗教・生活習慣、本人への説明と意思確認の方法を整理します。

生活支援意思尊重

親族への説明方針

収支概要の共有、反対親族への資料説明、本人財産を相続財産ではなく生活資金として扱う姿勢、不当な支出要請への対応を整理します。

透明性紛争予防

専門職・福祉機関連携

地域包括支援センター、ケアマネジャー、弁護士等、税理士、社会福祉士等と連携し、判断に迷う支出は家庭裁判所へ確認する方針を整理します。

連携確認
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FAQ ― 家族が後見人になれるケースとなれないケース

回答は一般的な制度説明です。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q1. 家族なら誰でも後見人になれますか。

一般的には、家族であっても民法上の欠格事由に当たる人は後見人になれないとされています。また、欠格事由に当たらなくても、家庭裁判所が本人の利益に照らして不適切と判断すれば、選任されない可能性があります。具体的な見通しは、親族関係、財産状況、候補者の事情を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 親の介護をしてきた子は、後見人に選ばれやすいですか。

一般的には、本人の生活状況をよく知っていることは肯定的事情になり得るとされています。ただし、介護してきたことだけで決まるわけではなく、財産管理の透明性、親族間対立の有無、本人の意向、候補者の経済状況などによって判断が変わる可能性があります。

Q3. 兄弟が反対していても、家族後見人になれますか。

一般的には、親族間対立が強い場合は専門職後見人が選ばれやすくなるとされています。ただし、反対の理由が感情的なものか、使い込み疑いなど具体的根拠があるものかによっても結論は変わる可能性があります。具体的には、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q4. 本人の預金を管理していた家族は後見人になれますか。

一般的には、過去の管理が適切で、入出金の説明ができ、本人のために使われていることを示せる場合は候補者になり得るとされています。ただし、不明出金が多い、本人の生活費以外に使っている、領収書がないといった事情がある場合は、選任が難しくなる可能性があります。

Q5. 後見人になった家族は報酬をもらえますか。

一般的には、成年後見人は家庭裁判所に報酬付与の申立てをし、家庭裁判所が認めた場合に、本人の財産から報酬を受け取ることができるとされています。ただし、家庭裁判所の許可なく本人の財産から報酬を取ることはできません。具体的な金額や可否は事案によって変わります。

Q6. 家族後見人は本人の家を売れますか。

一般的には、本人の居住用不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要とされています。施設入所費用のために売却が必要な場合でも、価格、必要性、本人の生活への影響などを慎重に説明する必要があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q7. 後見人候補者として書いた家族が選ばれなかった場合、不服申立てできますか。

一般的には、誰を後見人に選ぶかという家庭裁判所の判断については、不服申立てができないとされています。ただし、申立て後の対応や専門職後見人との連携の仕方は事案によって変わるため、家庭裁判所の案内や専門家の助言を確認する必要があります。

Q8. 家族が後見人になれない場合、申立てを取り下げられますか。

一般的には、申立て後の取下げには家庭裁判所の許可が必要とされています。候補者が選任されそうにないという理由だけでは取下げが認められない場合があるため、申立て前に制度の効果と候補者以外が選ばれる可能性を確認しておく必要があります。

Q9. 本人が長男に任せたいと言えば長男が後見人になりますか。

一般的には、本人の意向は重要な考慮要素とされています。ただし、欠格事由、利益相反、親族間対立、財産管理能力なども総合的に判断されるため、本人の希望だけで決まるわけではありません。具体的な見通しは、本人の状態や資料を踏まえて確認する必要があります。

Q10. 家族後見人は医療同意を代行できますか。

一般的には、成年後見人は医療行為そのものへの同意権を当然に持つわけではないとされています。医療場面では、本人の意思決定支援、医療・ケアチームとの話合い、家族・支援者との連携が重要になります。具体的な対応は医療機関、家庭裁判所、専門家に確認する必要があります。

Q11. 破産したことがある家族は後見人になれませんか。

一般的には、民法上、破産者は欠格事由とされています。ただし、過去に破産したことがある場合でも、現在も欠格状態にあるのか、復権しているのか、候補者としての適格性に問題があるのかは個別確認が必要です。申立て時には正確に説明する必要があります。

Q12. 専門職後見人が選ばれると費用が高くなりますか。

一般的には、専門職後見人や監督人は、家庭裁判所の報酬付与決定により、本人の財産から報酬を受け取ることがあるとされています。報酬額は事案や財産規模、職務内容等によって異なります。費用だけでなく、中立性・専門性・本人の権利保護の必要性も考慮されます。

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まとめ ― 家族が後見人になれるケースとなれないケースの判断軸

家族の権限を強くする制度ではなく、本人の権利と生活を守る制度として考えます。

家族が後見人になれるケースとは、単に親族であるというだけでなく、民法上の欠格事由に当たらない、本人の利益を最優先にできる、本人の意思・生活状況を理解している、財産管理を透明に行える、家族の財産と本人の財産を分けられる、親族間対立や利益相反が大きくない、家庭裁判所への報告義務を果たせる、専門職・福祉機関と連携できるといった要素がそろっている場合です。

家族が後見人になれないケースとは、まず民法847条の欠格事由に当たる場合です。未成年者、過去に家庭裁判所で免ぜられた法定代理人等、破産者、本人と訴訟関係にある者等、行方の知れない者は、家族であっても後見人になれません。

さらに、法律上は候補者になれても、親族間対立、利益相反、多額・複雑な財産、使い込み・虐待疑い、候補者の経済的不安、本人の拒否、制度理解の不足などがある場合には、家族ではなく専門職が選ばれる可能性が高まります。

次の重要ポイントは、家族候補者が最終的に確認すべき判断軸をまとめたものです。「家族だから」ではなく、「本人にとってこの人が適切だから」と説明できる状態を整えることが重要だと読み取ってください。

本人の利益を中心に説明できるか

成年後見制度は、家族のための制度ではなく本人のための制度です。候補者になる家族は、本人財産の透明な管理、本人意思への配慮、親族への説明、家庭裁判所への報告、専門職との連携を具体的に示す必要があります。

Reference

参考資料

公的機関・法令

  • 裁判所「後見開始」
  • 厚生労働省 成年後見制度利用促進ポータルサイト「ご本人・家族・地域のみなさまへ」
  • 厚生労働省 成年後見制度利用促進ポータルサイト「どんな人が成年後見人などになるのか」
  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 ― 令和7年1月から12月」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • Japanese Law Translation「Civil Code」
  • 法務省「民法等の一部を改正する法律案」

家庭裁判所・制度運用資料

  • 家庭裁判所「成年後見等申立ての手引」
  • 家庭裁判所「成年後見人・保佐人・補助人の報告書式、後見等事務報告ガイド」
  • 裁判所「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」
  • 厚生労働省関連資料「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」
  • 裁判所「後見人等の辞任許可」
  • 裁判所「任意後見監督人選任」
  • 厚生労働省 成年後見制度利用促進ポータルサイト「任意後見制度」