2σ Guide

田舎の山林や農地でも
国庫帰属制度は使えるのか

相続した山林・農地を国に引き渡せる可能性はあります。ただし、境界、権利関係、農地の賦課金、森林の管理状態、費用負担を先に確認することが重要です。

2023年4月27日 制度開始日
14,000円 一筆ごとの審査手数料
5,421件 2026年4月30日時点の申請件数
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田舎の山林や農地でも 国庫帰属制度は使えるのか

相続 した山林・農地を国に引き渡せる可能性はあります。

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田舎の山林や農地でも 国庫帰属制度は使えるのか
相続 した山林・農地を国に引き渡せる可能性はあります。
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  • 田舎の山林や農地でも 国庫帰属制度は使えるのか
  • 相続 した山林・農地を国に引き渡せる可能性はあります。

POINT 1

  • 国庫帰属制度は田舎の山林や農地でも使える可能性があります
  • 制度の対象から一律に外れるわけではありませんが、承認されるには土地を国が通常管理できる状態に近づける必要があります。
  • 価値が低い土地かどうかではなく、国が通常管理できるかが中心です
  • ただし、申請できることと承認されることは別問題です。
  • 次の重要ポイントは、国庫帰属制度を検討するときの結論部分を整理したものです。

POINT 2

  • 国庫帰属制度の申請要件は相続取得と土地の状態から確認します
  • 建物がある土地
  • 山小屋、農業用倉庫、物置、廃屋、納屋、空き家などがあると問題になります。
  • 担保権や使用収益権
  • 抵当権、地上権、地役権、賃借権、使用貸借、農地中間管理権、森林経営管理権、入会権などがあると障害になります。

POINT 3

  • 国庫帰属制度で不承認になりやすい土地は管理負担で見分けます
  • 申請できても、通常の管理又は処分に過分な費用や労力がかかる土地は承認されにくくなります。
  • 袋地は直ちに不可とは限りません
  • 鳥獣リスクは具体的な危険の有無で考えます
  • 田舎の山林や農地では、地形、樹木、地下埋設物、通行、排水、隣地との関係などが複合します。

POINT 4

  • 農地で国庫帰属制度を使うには農業委員会と土地改良区の確認が重要です
  • 1. 登記地目と現況を確認する:田、畑、原野、雑種地などの登記地目と、現地の利用状態を分けて把握します。
  • 2. 農業委員会で権利と転用を確認する:農地台帳、利用権、農地中間管理権、違反転用の有無を確認します。
  • 3. 土地改良区で賦課金を確認する:賦課金、未納金、施設負担、水利の有無を確認します。
  • 4. 現地の障害物を確認する:農業用施設、廃材、危険物、井戸、水路、境界標を確認します。
  • 5. 必要な整理を行う:草刈り、廃材撤去、境界表示、分筆、権利抹消などを検討します。

POINT 5

  • 山林・森林で国庫帰属制度を使うには境界と管理状態が大きな論点です
  • 1. 現況を確認する:登記地目が山林かだけでなく、実際に人工林か天然林かを確認します。
  • 2. 森林整備計画を確認する:追加的な造林、間伐、保育が必要とされるかを市町村資料で確認します。
  • 3. 施業履歴を確認する:森林経営計画、森林簿、林地台帳、森林組合の資料を確認します。
  • 4. 危険と障害を確認する:倒木、病虫害、竹の侵入、作業道崩壊などを現地で確認します。
  • 5. 専門的な確認を行う:森林組合、林業事業体、市町村林務担当、森林管理署、土地家屋調査士との連携を検討します。

POINT 6

  • 国庫帰属制度の費用は審査手数料・負担金・準備費用に分けます
  • 制度上の金額だけでなく、測量、撤去、伐採、登記、専門家費用まで含めて比較する必要があります。
  • 隣接する同種の土地は負担金合算の特例を確認します
  • 承認申請時には、土地一筆当たり 14,000円の審査手数料が必要です。
  • 複数土地をまとめて申請しても軽減されず、10筆なら14,000円 × 10筆で 140,000円が必要です。

POINT 7

  • 国庫帰属制度の申請手続は事前調査から8か月程度の審査まで見込みます
  • 1. 土地の基礎資料を集める:登記、地図、地積、課税、農地、森林、現地写真を集め、問題点を洗い出します。
  • 2. 土地所在地を管轄する法務局本局へ相談する:相談は都道府県の法務局又は地方法務局の本局で受け付けられ、支局や出張所では相談を受け付けていません。
  • 3. 申請書類と必須添付書類を整える:位置及び範囲を明らかにする図面、境界写真、土地形状写真、印鑑証明書などを用意します。
  • 4. 窓口又は郵送で申請する:インターネットやメールによる承認申請はできません。
  • 5. 書面調査、実地調査、追加資料への対応:標準処理期間は8か月とされていますが、事案によってはそれを超えることがあります。
  • 6. 負担金納付で所有権が国へ移る:承認通知と納入告知書が届いた後、期限内に負担金を納付すると所有権が国に移ります。

POINT 8

  • 国庫帰属制度を使えるかは判断の順番で現実的に見極めます
  • 1. 1. 取得原因を確認:相続又は相続人への遺贈で取得した土地かを確認します。
  • 2. 2. 所有者を確認:単独所有か、共有者全員が申請に同意できるかを確認します。
  • 3. 3. 登記と権利関係を確認:抵当権、地役権、賃借権、入会権、農地中間管理権、森林経営管理権がないかを確認します。
  • 4. 4. 土地の現況を確認:建物、廃屋、工作物、危険木、竹、廃材、地下埋設物、墓地、水路がないかを確認します。
  • 5. 5. 境界と土地範囲を確認:現地で範囲と境界点を示せるかを確認します。
  • 6. 整理を先行:土地家屋調査士、隣地調整、測量を検討します。
  • 7. 固有確認へ:農地なら農業委員会・土地改良区、森林なら整備計画・危険木・入会・林道を確認します。
  • 8. 6. 費用比較:審査手数料、負担金、準備費用を算定し、売却、寄附、農地バンク、森林経営管理制度と比較します。
  • 9. 7. 法務局相談と申請:相談票、チェックシート、登記資料、写真を持参し、必要書類を整えて提出します。

まとめ

  • 田舎の山林や農地でも 国庫帰属制度は使えるのか
  • 国庫帰属制度は田舎の山林や農地でも使える可能性があります:制度の対象から一律に外れるわけではありませんが、承認されるには土地を国が通常管理できる状態に近づける必要があります。
  • 国庫帰属制度の申請要件は相続取得と土地の状態から確認します:正式名称、申請できる人、共有地、登記、却下事由を順番に見ると、入口でつまずく要因を把握できます。
  • 国庫帰属制度で不承認になりやすい土地は管理負担で見分けます:申請できても、通常の管理又は処分に過分な費用や労力がかかる土地は承認されにくくなります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

国庫帰属制度は田舎の山林や農地でも使える可能性があります

制度の対象から一律に外れるわけではありませんが、承認されるには土地を国が通常管理できる状態に近づける必要があります。

田舎の山林や農地であっても、相続又は相続人に対する遺贈によって取得した土地で、法律上の却下事由や不承認事由に当たらず、必要書類を整え、審査手数料と承認後の負担金を納付できる場合には、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。

ただし、申請できることと承認されることは別問題です。境界が現地で分からない、共有者全員の同意が取れない、土地改良区の賦課金が残っている、農地中間管理権や賃借権がある、危険木や竹林がある、急傾斜地で災害リスクがあるといった事情は、承認を妨げる可能性があります。

次の重要ポイントは、国庫帰属制度を検討するときの結論部分を整理したものです。最初に制度の使い道と限界を押さえることで、売却、寄附、農地バンク、森林経営管理制度など別の出口と比較しやすくなります。

価値が低い土地かどうかではなく、国が通常管理できるかが中心です

制度利用の可否は、田舎か都市部か、売れるか売れないかだけでは決まりません。相続取得、権利関係、境界、現況、管理可能性、費用負担を総合して判断されます。

次の比較表は、山林・農地・原野で起きやすい問題と、審査上どこに影響するかを整理したものです。土地の種類ごとに確認すべき点が違うため、自分の土地でどの欄に当てはまるかを読み取ることが重要です。

土地の種類問題になりやすい点実務上の意味
山林境界不明、急傾斜、崖、危険木、倒木、竹の繁茂、入会権、地役権、森林経営管理権、管理道の不明、森林整備不足通常の管理又は処分に過分な費用又は労力を要すると判断される可能性があります。
農地農地中間管理権、賃借権、土地改良区の賦課金、水路、農業用施設、耕作放棄、違反転用、境界不明他人の使用収益権、金銭債務、工作物、管理阻害物、農地としての利用調整が問題になる可能性があります。
田舎の原野・雑種地実際は森林化している、境界が分からない、道路から到達できない、第三者が使っている登記地目と現況がずれ、負担金区分や承認可能性が変わる可能性があります。
注意国庫帰属制度は、相続人の出口を作る制度ですが、無条件の土地放棄制度ではありません。国が過大な管理費用、危険、紛争、第三者権利を引き受ける土地は、原則として承認されにくい構造です。
Section 01

国庫帰属制度の申請要件は相続取得と土地の状態から確認します

正式名称、申請できる人、共有地、登記、却下事由を順番に見ると、入口でつまずく要因を把握できます。

この制度の正式名称は、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律に基づく相続土地国庫帰属制度です。制度開始日は2023年4月27日で、それ以前に相続した土地でも、要件を満たせば申請対象になり得ます。

申請できるのは、相続又は相続人に対する遺贈によって土地の所有権又は共有持分を取得した人です。売買で購入した土地、生前贈与で受けた土地、法人が所有する土地は、原則として対象外です。

次の用語一覧は、申請前に混同しやすい言葉の意味を整理したものです。登記上の地目と現況、農地・森林としての扱いがずれると負担金や審査の見方が変わるため、言葉の違いを確認しておくことが重要です。

用語意味確認のポイント
国庫帰属土地の所有権が国に帰属することです。承認後、負担金を納付した時点で所有権が国に移ります。
農地田、畑、採草放牧地など、農業利用される土地全般です。農業委員会への届出、農地中間管理権、賃借権、土地改良区の確認が重要です。
農用地主に農業利用される土地として管理文脈で扱われる土地です。農用地区域や土地改良事業区域に該当すると負担金が面積算定になることがあります。
山林・森林登記上の山林と、主に森林として利用されている土地は分けて検討します。森林として扱われると、負担金は面積に応じて算定されます。
筆・地番・地目・地積筆は登記上の土地単位、地番は土地番号、地目は土地の種類、地積は登記上の面積です。負担金は原則として登記記録の地積を基に算定されます。
却下事由申請の入口で申請できない、又は申請が却下される事情です。建物、担保権、使用収益権、土壌汚染、境界不明などを先に確認します。
不承認事由申請は受け付けられても審査で承認されない事情です。崖、危険木、地下埋設物、隣地紛争、過大な管理負担などを確認します。

制度開始前の相続でも対象になります

2023年4月27日より前に相続した田舎の山林や農地でも、制度開始前の相続であることだけを理由に排除されるわけではありません。ただし、長年放置された土地では、相続人が多数になっている、共有者が不明である、境界が分からない、現地に行けない、古い権利が残っているといった問題が起きやすくなります。

相続登記が未了でも申請できる場合があります

相続登記が未了でも、相続又は相続人への遺贈によって取得したことを証明できれば申請できる場合があります。ただし、所有者であることを証する戸籍事項証明書等が必要です。申請が却下又は不承認となった場合、土地は引き続き申請者側の所有であり、相続登記義務の問題も残ります。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の可能性があります。

共有地は共有者全員の共同申請が必要です

土地が共有である場合、共有者全員が共同して申請する必要があります。古い相続では、登記上は祖父母や曽祖父母名義のまま、実質的に多数の相続人が共有していることがあります。この場合、申請前に相続人調査、遺産分割、持分整理、必要に応じた家庭裁判所手続が必要になることがあります。

原野商法関連の土地も一律不可ではありません

過去に将来値上がりすると勧誘されて購入された原野商法関連の土地であっても、それだけで制度を利用できないわけではありません。相続等で取得した土地であり、引き取ることができない土地の要件に該当しなければ、承認申請は可能とされています。ただし、申請する土地の範囲が明らかである必要があります。

次の一覧は、入口で確認される代表的な却下事由をまとめたものです。どれかに当たると申請段階で進みにくくなるため、建物・権利・利用・汚染・境界の順に点検することが大切です。

建物がある土地

山小屋、農業用倉庫、物置、廃屋、納屋、空き家などがあると問題になります。広大な山林の一部に建物がある場合でも却下され得ます。

担保権や使用収益権

抵当権、地上権、地役権、賃借権、使用貸借、農地中間管理権、森林経営管理権、入会権などがあると障害になります。

他人の利用が予定される土地

通路、墓地、水路、ため池、共同利用施設、電柱敷、送電線地役権の承役地などは、利用実態の確認が必要です。

土壌汚染のおそれ

工場跡地、廃棄物投棄地、農薬や鉱山由来の汚染が疑われる土地では、追加資料を求められる可能性があります。

境界が明らかでない土地

土地の範囲や隣接土地との境界を現地で確認できず、境界写真や土地形状写真を作成できない場合は申請困難です。

確認境界確定書は必須添付書面ではありませんが、土地の範囲や境界を現地で確認できることは必要です。境界に不明点がある場合は、土地家屋調査士への相談が選択肢になります。
Section 02

国庫帰属制度で不承認になりやすい土地は管理負担で見分けます

申請できても、通常の管理又は処分に過分な費用や労力がかかる土地は承認されにくくなります。

田舎の山林や農地では、地形、樹木、地下埋設物、通行、排水、隣地との関係などが複合します。制度の審査では、国が引き取った後に通常の管理又は処分を行える状態かが重要です。

次の比較表は、不承認につながりやすい代表的な事情を、山林・農地での具体例に分けて整理したものです。左欄でリスクの種類を確認し、右欄で自分の土地に近い事情がないかを読み取ってください。

類型山林での例農地での例考え方
崖や急傾斜民家、道路、線路の近くに急傾斜地や崖がある法面崩れ、排水不良、隣地への土砂流出がある管理に過分な費用又は労力を要すると判断される可能性があります。
地上物危険木、枯損木、竹、廃屋、放置車両がある農業用ハウス、倉庫、放置農機、廃材、井戸、ポンプ小屋がある通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両、樹木が問題になります。
地下埋設物古い小屋の基礎、廃棄物、鉱山跡、炭焼き窯跡、治山施設がある農業用井戸、排水施設、暗渠、ハウス基礎、廃棄物の埋設がある除去しなければ通常管理できない有体物があると問題になります。
争い又は妨害通行妨害、山道の利用争い、入会利用の争いがある水利紛争、排水紛争、第三者の無断利用がある争訟によらなければ管理処分できない土地は不承認リスクが高まります。
その他の過大負担森林整備計画に照らして追加的な間伐、造林、保育が必要土地改良区の賦課金、耕作放棄、違反転用、害虫被害がある法令に基づく債務や通常以上の管理負担が残ると承認が難しくなります。

袋地は直ちに不可とは限りません

他人の土地を通らないと出入りできない土地でも、通行を妨害されていない場合は、直ちに不可とは限りません。一方で、通行妨害、境界争い、水利紛争、不法占有などがある場合は、管理処分に争訟が必要になる可能性があるため慎重な検討が必要です。

鳥獣リスクは具体的な危険の有無で考えます

山林にイノシシ、シカ、クマ、サルなどが生息しているという抽象的な可能性だけで直ちに不可とは限りません。ただし、民家や通学路に近く、頻繁な出没や被害が記録され、国が引き取った後に通常以上の安全対策が必要になる場合は、慎重な判断が必要です。

重要建物や危険木を撤去すれば常に承認されるという意味ではありません。境界、権利関係、管理負担、農地・森林固有の法令関係を合わせて確認する必要があります。
Section 03

農地で国庫帰属制度を使うには農業委員会と土地改良区の確認が重要です

農地は対象になり得ますが、利用権、農地バンク、土地改良賦課金、水路、農業用施設を確認する必要があります。

農地は承認申請できます。ただし、農地は農地法、農業委員会、農地中間管理機構、土地改良区、水利、転用規制などが絡むため、宅地よりも確認先が多くなります。

次の確認表は、農地で国庫帰属制度を検討する前に問い合わせる先と、そこで何を確認するかを整理したものです。確認先ごとに情報が分かれているため、左から順に照会先を分けて準備することが重要です。

確認事項確認先重要性
農地の相続届出農業委員会相続後の基本手続です。
農地中間管理権、賃借権、使用貸借農業委員会、農地バンク、登記記録、契約書使用収益権があると問題になります。
農用地区域かどうか市町村、農業委員会負担金算定や農地規制に影響します。
土地改良区の賦課金土地改良区残ると不承認リスクが高くなります。
水路、農道、共同利用施設土地改良区、市町村、隣接農家他人利用や管理負担の問題になります。
違反転用、農業用施設農業委員会、現地調査原状回復や工作物の問題になります。

土地改良賦課金は金額にかかわらず重大です

農地で特に注意すべきなのが、土地改良区の賦課金です。水利施設等の建設費、利用、維持管理に係る経費などが土地所有者に課されている場合、金額が小さくても承認の妨げになり得ます。年間数千円でも、国庫帰属後に国が承継する性質があれば問題になります。

農地中間管理権や賃貸借がある場合

農地を第三者に貸している場合、農地中間管理機構に貸し付けている場合、利用権設定がある場合は、国以外の者の使用収益権があるため、制度利用の障害になります。国庫帰属を目指す場合は、先に利用権関係を解消できるか、契約内容、期間、相手方、農業委員会の手続を確認する必要があります。

耕作放棄地は一律不可ではありません

耕作放棄地であっても、農地であることだけで一律不可とはいえません。ただし、雑木化、竹林化、廃材放置、境界不明、水路閉塞、隣接地への雑草・害虫被害、違反転用などがあれば、通常の管理又は処分に過分な費用又は労力を要する土地と判断される可能性があります。

次の順序一覧は、耕作放棄地で現況整理を進めるときの確認順を示しています。登記、権利、賦課金、現地、必要な整理の順で見ることで、どこで不承認要因が出るかを読み取りやすくなります。

1

登記地目と現況を確認する

田、畑、原野、雑種地などの登記地目と、現地の利用状態を分けて把握します。

2

農業委員会で権利と転用を確認する

農地台帳、利用権、農地中間管理権、違反転用の有無を確認します。

3

土地改良区で賦課金を確認する

賦課金、未納金、施設負担、水利の有無を確認します。

4

現地の障害物を確認する

農業用施設、廃材、危険物、井戸、水路、境界標を確認します。

5

必要な整理を行う

草刈り、廃材撤去、境界表示、分筆、権利抹消などを検討します。

農地の負担金

農地の負担金は、原則として一筆20万円が基本です。ただし、市街化区域又は用途地域が指定されている地域内の農地、農用地区域内の農地、土地改良事業等の施行区域内の農地などは、面積に応じて算定されます。

次の負担金表は、面積算定になる農地の概算式を示しています。地積が大きくなるほど式が変わるため、登記記録の地積をどの区分に当てはめるかを読み取ってください。千円未満の端数は切り捨てます。

地積負担金額
250㎡以下地積 × 1,210円 + 208,000円
250㎡超500㎡以下地積 × 850円 + 298,000円
500㎡超1,000㎡以下地積 × 810円 + 318,000円
1,000㎡超2,000㎡以下地積 × 740円 + 388,000円
2,000㎡超4,000㎡以下地積 × 650円 + 568,000円
4,000㎡超地積 × 640円 + 608,000円

次の計算例は、原則20万円で済む場合と、農用地区域・土地改良事業区域で負担金が大きくなる場合を比べたものです。条件欄を見て、自分の農地が原則区分か面積算定区分かを読み取ることが重要です。

条件負担金の概算
市街化区域外で、農用地区域でも土地改良事業区域でもない田1000㎡原則区分200,000円
農用地区域内の田250㎡面積算定250 × 1,210 + 208,000 = 510,500円。千円未満切捨てで510,000円
土地改良事業区域内の畑2,500㎡面積算定2,500 × 650 + 568,000 = 2,193,000円
農用地区域内の田10,000㎡面積算定10,000 × 640 + 608,000 = 7,008,000円
費用農地では、要件を満たしても負担金が高くなることがあります。特に農用地区域や土地改良事業区域では、面積が大きい田畑ほど費用面の検討が重要です。
Section 04

山林・森林で国庫帰属制度を使うには境界と管理状態が大きな論点です

森林も対象になり得ますが、危険木、竹、森林整備計画、入会権、通行路、災害リスクを丁寧に確認する必要があります。

森林も承認申請の対象になります。しかし、山林は境界、傾斜、危険木、森林整備、入会権、通行路、災害リスクが絡むため、審査では現況と管理可能性が厳しく見られます。

次の一覧は、山林で慎重に検討すべき状況と、その問題点を整理したものです。山林では単に木があることではなく、国が引き取った後に通常以上の管理負担が生じるかを読み取ることが重要です。

手入れされていない人工林

杉や檜の人工林で間伐履歴がない場合、倒木リスクや市町村森林整備計画との不適合が問題になります。

竹が周辺に侵入している土地

定期伐採が必要な竹として、通常の管理又は処分を阻害する可能性があります。

道路や民家に近い危険木

倒木や枝落下防止の伐採が必要になると、通常以上の管理負担が問題になります。

山小屋、廃屋、祠、墓地

建物、工作物、他人利用、管理負担のいずれかに該当する可能性があります。

境界杭がない土地

現地に到達できず、必須添付写真を作成できない場合は申請が困難になります。

入会利用や森林経営管理権

国以外の者が使用収益できる権利があると、申請前に解除や整理が必要になることがあります。

森林整備計画との関係

森林は、市町村森林整備計画との関係が重要です。人工林では適切な間伐等が実施されているか、天然林では標準伐期齢に達しているかを確認する必要があります。

次の確認順は、登記地目だけでは判断しにくい山林の管理状態を整理するためのものです。現況、計画、履歴、危険、相談先の順に確認することで、追加的な造林・間伐・保育が必要かを読み取れます。

1

現況を確認する

登記地目が山林かだけでなく、実際に人工林か天然林かを確認します。

2

森林整備計画を確認する

追加的な造林、間伐、保育が必要とされるかを市町村資料で確認します。

3

施業履歴を確認する

森林経営計画、森林簿、林地台帳、森林組合の資料を確認します。

4

危険と障害を確認する

倒木、病虫害、竹の侵入、作業道崩壊などを現地で確認します。

5

専門的な確認を行う

森林組合、林業事業体、市町村林務担当、森林管理署、土地家屋調査士との連携を検討します。

山林の負担金

森林は面積に応じて負担金を算定します。山林は面積が広くても農用地区域内農地ほど負担金が急増しないことがありますが、境界確認、現地調査、伐採、危険木処理、権利整理、分筆などの準備費用が大きくなる場合があります。

次の負担金表は、森林の面積別の概算式を示しています。地積区分ごとに単価と加算額が変わるため、登記記録の地積を使ってどの式に入るかを読み取ってください。千円未満の端数は切り捨てます。

地積負担金額
750㎡以下地積 × 59円 + 210,000円
750㎡超1,500㎡以下地積 × 24円 + 237,000円
1,500㎡超3,000㎡以下地積 × 17円 + 248,000円
3,000㎡超6,000㎡以下地積 × 12円 + 263,000円
6,000㎡超12,000㎡以下地積 × 8円 + 287,000円
12,000㎡超地積 × 6円 + 311,000円

次の計算例は、小規模山林から大規模山林までの負担金の変化を示しています。面積が増えても制度上の負担金だけでは判断できないため、準備費用と合わせて読むことが大切です。

条件負担金の概算
小規模山林500㎡森林500 × 59 + 210,000 = 239,500円。千円未満切捨てで239,000円
山林3,000㎡森林3,000 × 17 + 248,000 = 299,000円
山林10,000㎡森林10,000 × 8 + 287,000 = 367,000円
山林100,000㎡森林100,000 × 6 + 311,000 = 911,000円
Section 05

国庫帰属制度の費用は審査手数料・負担金・準備費用に分けます

制度上の金額だけでなく、測量、撤去、伐採、登記、専門家費用まで含めて比較する必要があります。

承認申請時には、土地一筆当たり14,000円の審査手数料が必要です。複数土地をまとめて申請しても軽減されず、10筆なら14,000円 × 10筆で140,000円が必要です。審査手数料は、取下げ、却下、不承認でも返還されません。

国庫帰属の承認がされると、負担金額と納入告知書が送付されます。負担金は、通知を受けた翌日から30日以内に納付する必要があります。納付期限内に納付しないと承認は効力を失い、同じ土地について希望する場合でも最初から申請し直す必要があります。

負担金は、国が管理することとなった土地について、元の所有者が管理負担を免れる程度に応じ、国に生じる管理費用の一部を負担するものです。国有地の種目ごとに10年分の標準的な管理費用を考慮して算定されます。

次の費用一覧は、制度上必ず意識する費用と、田舎の山林や農地で発生しやすい準備費用を分けたものです。総額判断では、手数料や負担金だけでなく、準備段階で何が必要になるかを読み取ることが重要です。

費用項目発生し得る場面注意点
審査手数料承認申請時一筆14,000円で、取下げ、却下、不承認でも返還されません。
負担金承認後通知を受けた翌日から30日以内に納付します。
戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書作成所有者が亡くなり相続人が多い場合共有者全員の共同申請が必要な場合は特に重要です。
相続登記、抵当権抹消、地役権等の整理登記名義や権利が未整理の場合申請前に権利関係の整理が必要になることがあります。
境界確認、現況測量、地積更正、分筆境界不明、水路や墓地を除外する場合土地家屋調査士の関与が必要になることがあります。
草刈り、廃材撤去、建物解体地上物がある場合建物や管理阻害物が残ると承認が難しくなります。
危険木伐採、竹林整備山林で管理阻害物がある場合道路や民家に近い危険木は特に慎重に確認します。
土地改良区の未納賦課金整理農地で賦課金が残る場合金額にかかわらず重大な論点になります。
専門家報酬士業や不動産・農地・森林実務者に依頼する場合紛争、測量、登記、税務、申請書類の整理で発生し得ます。

隣接する同種の土地は負担金合算の特例を確認します

隣接する二筆以上の土地については、同じ種目である場合、一筆の土地とみなして負担金を算定できる特例があります。森林など面積で負担金が変動する土地では、面積を合算して算定します。ただし、森林と市街化区域外の宅地のように種目が違う場合は、一体算定できません。

重要制度の費用だけを見て、20万円で土地を手放せると考えると実際の負担を見誤ります。田舎の山林や農地では、境界確認、権利整理、撤去、伐採、分筆などの準備費用が大きくなることがあります。
Section 06

国庫帰属制度の申請手続は事前調査から8か月程度の審査まで見込みます

法務局本局への相談、必須添付書類、窓口又は郵送申請、現地調査、負担金納付までの流れを整理します。

最初に行うべきことは、法務局へ行くことではなく、土地の基礎情報を集めることです。登記、地図、現地写真、農地・森林の資料を先に集めると、相談や申請の精度が上がります。

次の資料一覧は、申請前の調査で用意したい資料と入手先をまとめたものです。資料ごとに確認できる内容が違うため、登記、課税、農地、森林、現地の情報を組み合わせて土地の状態を読み取ってください。

資料入手先目的
登記事項証明書法務局所有者、地目、地積、権利関係の確認
公図、地図法務局土地の位置、隣接関係の確認
地積測量図法務局に備付けがある場合境界、面積の確認
固定資産税課税明細、評価証明書市区町村課税情報、地目、評価額の確認
農地台帳、農地法関係資料農業委員会農地の利用権、転用、届出状況の確認
土地改良区資料土地改良区賦課金、施設負担、水利の確認
森林簿、林地台帳、森林計画資料市町村、都道府県、森林組合森林区分、施業履歴、整備計画の確認
現地写真現地申請添付書類、問題点の把握

次の時系列は、国庫帰属制度の標準的な進み方を示しています。順番を飛ばすと資料不足や権利未整理で止まりやすいため、相談、申請、審査、納付のどこで何をするかを読み取ってください。

事前調査

土地の基礎資料を集める

登記、地図、地積、課税、農地、森林、現地写真を集め、問題点を洗い出します。

相談

土地所在地を管轄する法務局本局へ相談する

相談は都道府県の法務局又は地方法務局の本局で受け付けられ、支局や出張所では相談を受け付けていません。

書類作成

申請書類と必須添付書類を整える

位置及び範囲を明らかにする図面、境界写真、土地形状写真、印鑑証明書などを用意します。

提出

窓口又は郵送で申請する

インターネットやメールによる承認申請はできません。所有者本人又は法定代理人が手続を行う必要があります。

審査

書面調査、実地調査、追加資料への対応

標準処理期間は8か月とされていますが、事案によってはそれを超えることがあります。負担金納付までは申請者側が管理責任を負います。

承認後

負担金納付で所有権が国へ移る

承認通知と納入告知書が届いた後、期限内に負担金を納付すると所有権が国に移ります。国への所有権移転登記は国の機関が行います。

資格者の関与範囲

弁護士、司法書士、行政書士は、承認申請書の作成代行を業務として行える資格者として挙げられています。ただし、承認申請手続そのものを資格者が代理することはできず、所有者本人又は法定代理人が行う必要があります。

不承認や却下の場合

却下又は不承認になっても、具体的な事由を解消して再度申請することは可能です。また、法務局の却下、不承認、負担金算定に異議がある場合は審査請求が可能で、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。

Section 07

国庫帰属制度を使えるかは判断の順番で現実的に見極めます

取得原因、共有者、権利関係、現況、境界、農地・森林固有の確認、費用比較の順に進めます。

田舎の山林や農地は、調べる項目が多いため、いきなり申請書を作るよりも順番を決めて確認する方が現実的です。次の判断の流れは、申請できる可能性を段階的に絞るためのものです。上から順に進み、該当しない箇所では整理や代替策が必要だと読み取ってください。

田舎の山林・農地で国庫帰属制度を検討する順番

1. 取得原因を確認

相続又は相続人への遺贈で取得した土地かを確認します。

2. 所有者を確認

単独所有か、共有者全員が申請に同意できるかを確認します。

3. 登記と権利関係を確認

抵当権、地役権、賃借権、入会権、農地中間管理権、森林経営管理権がないかを確認します。

4. 土地の現況を確認

建物、廃屋、工作物、危険木、竹、廃材、地下埋設物、墓地、水路がないかを確認します。

5. 境界と土地範囲を確認

現地で範囲と境界点を示せるかを確認します。

示せない
整理を先行

土地家屋調査士、隣地調整、測量を検討します。

示せる
固有確認へ

農地なら農業委員会・土地改良区、森林なら整備計画・危険木・入会・林道を確認します。

6. 費用比較

審査手数料、負担金、準備費用を算定し、売却、寄附、農地バンク、森林経営管理制度と比較します。

7. 法務局相談と申請

相談票、チェックシート、登記資料、写真を持参し、必要書類を整えて提出します。

次の事例一覧は、よくある土地の状態ごとに、比較的進めやすい場合と整理が必要な場合を示しています。結論だけでなく、何が問題点になるかを読み取ることで、自分の土地の調査項目に置き換えられます。

1

境界が分かる休耕田

農業委員会への届出済み、賃借権なし、農地中間管理権なし、土地改良区の賦課金なし、建物なし、境界杭あり、隣接農家との争いなしであれば、制度を使える可能性は比較的あります。

農地費用確認
2

土地改良区の賦課金が残る田

賦課金の金額が小さくても大きな問題です。賦課金の性質、未納の有無、脱退や地区除外の可否、債務消滅の可否を土地改良区に確認します。

農地賦課金
3

長年放置された杉山

境界不明、危険木、人工林の間伐不足、市町村森林整備計画との不適合、現地写真の作成困難が問題になり得ます。森林組合や市町村林務担当への確認が重要です。

山林管理状態
4

山林の一部に古い小屋がある

広い山林の一角であっても、建物がある土地として却下される可能性があります。解体、滅失登記、又は小屋部分の分筆を検討します。

山林建物
5

登記地目は山林だが現地に行けない土地

場所が分からず現地にも到達できない場合、境界写真や土地形状写真を作成できず申請は困難です。公図、航空写真、林地台帳、地元聞き取り、現地探索を先に行います。

山林境界
Section 08

国庫帰属後の農地・森林管理と最新統計も国庫帰属制度の判断材料です

制度は現実に利用されていますが、田畑や山林では審査中・取下げ・却下・不承認も意識した準備が必要です。

国庫帰属後の管理主体も、山林と農地では重要です。法律上、主に農用地又は森林として利用されている国庫帰属地は、農林水産大臣が管理又は処分します。国庫帰属した農地は、農林水産省が直轄管理・処分し、国有農地は主に農業利用目的で農業者に早期売払いする方針が示されています。

次の統計表は、2026年4月30日時点の相続土地国庫帰属制度の申請件数と地目別内訳、帰属件数を整理したものです。田畑や山林が実際に申請されている一方、申請数だけで承認可能性を判断できない点を読み取ることが重要です。

区分件数読み取り方
申請総数5,421件制度全体として一定数の申請が出ています。
田・畑2,124件農地は制度利用の現実的な対象ですが、農業委員会、農地バンク、土地改良区の確認が欠かせません。
宅地1,878件宅地だけの制度ではないことが分かります。
山林828件山林も申請されていますが、境界、森林整備、危険木、斜面、通行、権利関係の確認に手間がかかります。
その他591件原野や雑種地など、登記地目と現況のずれに注意が必要です。
帰属件数2,681件承認後に負担金が納付され、国に帰属した件数です。
統計田畑や山林は制度対象として現実に多数申請されています。ただし、地目ごとの申請数は承認の保証ではなく、取下げ、却下、不承認、審査中の状況も踏まえて準備する必要があります。
Section 09

国庫帰属制度では専門職と公的窓口の役割を分けて使います

相続人間の紛争、登記、申請書類、境界、税務、農地・森林情報では相談先が異なります。

田舎の山林や農地は、相続、登記、境界、農地、森林、税務、不動産流通の論点が重なります。次の役割一覧は、どの専門職や窓口に何を確認するかを整理したものです。問題の種類に応じて相談先を分けることで、必要な整理を読み取りやすくなります。

相談先主な役割田舎の山林や農地で重要になる場面
弁護士相続人間の対立、境界紛争、通行妨害、入会権、賃貸借、行政不服申立て、訴訟共有者の同意拒否、遺産分割がまとまらない、第三者の無断利用、法務局判断への不服がある場合
司法書士相続登記、抵当権抹消、戸籍収集、相続関係説明図、裁判所提出書類作成誰が所有者か、登記上の名義は誰か、権利が残っていないかを整理する場合
行政書士紛争性がない範囲での承認申請書類、添付書類、農業委員会関係書類、官公署提出書類の整理書類作成を整理したい場合。ただし申請手続そのものの代理はできません。
土地家屋調査士境界確認、現況測量、地積更正、地目変更、分筆、表示登記境界杭がない、公図と現況が合わない、水路や墓地を除外したい、写真だけでは範囲を説明しにくい場合
税理士相続税申告、固定資産税、相続財産評価、費用負担の整理相続税申告期限、固定資産税の賦課時期、費用の家族内負担を確認する場合
不動産鑑定士・宅地建物取引士・不動産仲介業者価格評価、売却可能性、隣地や地元需要の調査国庫帰属以外に売却、贈与、寄附、利用権設定が可能か調べる場合
農業委員会・土地改良区農地台帳、利用権、農地バンク、転用状況、賦課金、水利、施設負担農地の権利や負担、土地改良区の賦課金を確認する場合
森林組合・市町村林務担当森林簿、林地台帳、森林整備計画、施業履歴森林の管理状態、間伐、危険木、作業道、整備計画との関係を確認する場合
一般情報個別の見通しや対応方針は、登記、現地、権利関係、費用負担、証拠資料によって変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで各分野の専門家へ相談する必要があります。
Section 10

国庫帰属制度と他の選択肢は並行して比較します

相続放棄、寄附、売却・贈与、農地バンク、森林経営管理制度などの出口も同時に検討します。

国庫帰属制度は有力な選択肢ですが、最初から唯一の選択肢と決める必要はありません。法務局相談後に自治体や国の機関、隣接地所有者、農業委員会の調整により別の活用が見つかり、申請を取り下げるケースもあります。

次の比較表は、国庫帰属制度とその他の出口を、向いている場面と注意点で整理したものです。不要な土地だけを手放せるか、費用・時間・地域利用に合うかを読み取ることが重要です。

選択肢向いている場面注意点
相続放棄相続全体を受け継ぎたくない場合不要な土地だけを放棄できません。原則3か月以内の家庭裁判所手続です。
国庫帰属制度他の財産は相続したいが、特定の土地を手放したい場合要件審査、手数料、負担金、準備費用が必要です。
隣地への売却・贈与隣地所有者に利用価値がある場合農地は農地法、山林は境界と権利に注意が必要です。
自治体等への寄附公共利用価値がある場合受け入れは自治体の裁量で、必ず受け入れられるわけではありません。
農地バンク農地として利用見込みがある場合国庫帰属とは逆に、利用権設定が生じ得ます。
森林経営管理制度森林として管理委託や経営管理が可能な場合経営管理権が設定されると、国庫帰属申請では障害になり得ます。
民間の引取サービス他の方法がない場合高額費用、契約内容、将来責任、詐欺的勧誘に注意が必要です。

戦略的な進め方

制度利用を急ぐ前に、引き取ってもらえない要因を洗い出します。特に、建物、権利設定、境界不明、土地改良賦課金、使用収益権、危険木、地下埋設物、隣地紛争は先に確認します。

法務局の審査では、土地の位置、範囲、境界、現況を写真や資料で説明する必要があります。山林なら航空写真、現地写真、境界目印、経路図が重要です。農地なら田畑の全体写真、水路、農道、隣接地との境界、工作物の有無を示す写真が重要です。

費用比較は制度費用だけでなく、準備費用込みで行います。山林では境界確認、伐採、分筆、共有整理に費用がかかることがあります。農地では面積比例の負担金や土地改良賦課金整理が重くなることがあります。

共有者全員の共同申請が必要なため、相続人間の合意形成が遅れると制度利用が止まります。誰が審査手数料、負担金、測量費、伐採費、専門家費用を負担するかを早めに決めることが大切です。

Section 11

国庫帰属制度の申請前チェックリストで山林・農地の弱点を確認します

共通項目、農地固有項目、山林固有項目に分けて、申請前に潰すべき論点を整理します。

申請前チェックでは、まず土地に共通する入口要件と却下・不承認要因を確認します。次の一覧は共通項目と対応の方向性をまとめたものです。該当しない項目があれば、申請前にどの整理が必要かを読み取ってください。

チェック項目確認する内容対応の方向性
相続又は相続人への遺贈で取得した取得原因を確認します。売買や生前贈与の場合は原則対象外です。
共有者全員が申請に同意している共有者と持分を確認します。共有者調査、遺産分割、専門家相談を検討します。
登記名義、戸籍、相続関係が整理できている所有者を証明できるか確認します。司法書士相談が選択肢になります。
建物がない山小屋、倉庫、納屋、空き家、廃屋を確認します。解体、滅失登記、分筆を検討します。
抵当権、地役権、賃借権等がない登記や契約を確認します。抹消、解除、契約整理を検討します。
境界と土地範囲を現地で示せる境界標、写真、図面を確認します。土地家屋調査士相談が選択肢になります。
土壌汚染のおそれがない工場跡地、廃棄物投棄、農薬、鉱山由来の事情を確認します。必要に応じて調査を検討します。
通路、水路、墓地、共同利用がない他人利用や共同施設の有無を確認します。除外、分筆、権利確認を検討します。
隣地との争いがない境界、通行、排水、占有の争いを確認します。弁護士、土地家屋調査士への相談が選択肢になります。
地上物、地下埋設物がない廃材、危険物、基礎、井戸、浄化槽、大きな石などを確認します。撤去、調査を検討します。
審査手数料と負担金を用意できる制度費用と準備費用を試算します。他の処分方法との比較を行います。

次の一覧は、農地だけで追加確認すべき項目です。農業委員会、土地改良区、農地バンク、現地の情報を分けて確認し、賦課金や利用権が残っていないかを読み取ってください。

農地のチェック項目確認先
農地相続届出をしたか農業委員会
農地中間管理権、利用権、賃借権がないか農業委員会、農地バンク、契約書
農用地区域か市町村、農業委員会
土地改良区の区域内か土地改良区
賦課金、未納金、将来負担がないか土地改良区
水路、農道、共同施設が含まれていないか土地改良区、市町村、現地
農業用ハウス、倉庫、井戸、廃材がないか現地
違反転用や無断利用がないか農業委員会、現地

次の一覧は、山林だけで追加確認すべき項目です。境界、森林整備計画、危険木、権利関係、災害危険を分けて見ることで、管理可能性の弱点を読み取ってください。

山林のチェック項目確認先
森林として扱われる可能性があるか登記、現地、市町村
境界杭、境界目印があるか現地、土地家屋調査士
市町村森林整備計画との関係はどうか市町村林務担当
人工林の間伐履歴があるか森林組合、所有者資料
危険木、枯損木、竹林がないか現地、森林組合
入会権、地役権、森林経営管理権がないか登記、契約、市町村
崖、土砂災害危険、道路や民家への危険がないか現地、ハザード情報、市町村
山小屋、廃屋、墓地、祠、放置車両がないか現地
Section 12

国庫帰属制度でよくある誤解を一般情報として整理します

無料で引き取ってもらえる、農地や山林は対象外、境界確定書が必須などの誤解を確認します。

田舎の土地なら国が無料で引き取ってくれますか

一般的には、無料で引き取られる制度ではないとされています。審査手数料が一筆14,000円、承認後には負担金が必要で、測量、撤去、伐採、登記、専門家費用が発生することもあります。具体的な費用は、土地の地目、面積、現況、権利関係によって変わります。

農地や山林は制度対象外ですか

一般的には、農地も森林も承認申請の対象になり得るとされています。ただし、農地中間管理権、土地改良賦課金、危険木、境界不明、森林整備計画との関係などによって結論が変わる可能性があります。

相続登記をしなくても国に渡せばよいですか

一般的には、相続登記未了でも申請できる場合はありますが、所有者であることの証明が必要とされています。また、申請が却下又は不承認となれば所有者として残るため、相続登記義務の問題も残ります。

境界確定書がないと申請できませんか

一般的には、境界確定書は必須添付書面ではないとされています。ただし、土地の範囲や境界を現地で確認でき、境界写真を作成できることは必要です。境界の状況によっては土地家屋調査士等への相談が必要になる可能性があります。

山林は木があるから不承認になりますか

一般的には、木があること自体が問題なのではなく、通常の管理又は処分を阻害する危険木、定期伐採が必要な樹木、竹、補修が必要な工作物などが問題になるとされています。現地の危険性や周辺環境によって判断が変わります。

土地改良区の賦課金は少額なら問題ありませんか

一般的には、金額にかかわらず、賦課金が発生している場合には土地を引き取ることができないとされています。賦課金の性質、未納の有無、債務消滅の可否は土地改良区などに確認する必要があります。

Section 13

田舎の山林や農地で国庫帰属制度を使う結論

使える可能性はありますが、申請前の調査と整備が成否を左右します。

田舎の山林や農地でも、国庫帰属制度を使える可能性はあります。農地や森林は制度対象になり得ますが、山林や農地ほど、申請前の調査と整備が重要です。

制度利用が困難になりやすいのは、建物、廃屋、農業用施設、山小屋がある場合、抵当権、地役権、賃借権、農地中間管理権、森林経営管理権、入会権がある場合、境界や土地範囲を現地で示せない場合、土地改良区の賦課金が残っている場合、竹、危険木、放置車両、廃材、地下埋設物がある場合です。

崖、土砂災害、隣地への危険があり通常以上の管理負担がある場合、隣地との通行、排水、境界、占有の争いがある場合、森林整備計画に照らして追加的な間伐、造林、保育が必要である場合も、慎重な検討が必要です。

国庫帰属制度を現実的に利用するには、次の順序で進めるのが合理的です。順番に確認することで、申請前に解消すべき問題と、別の出口を探すべき場面を読み取れます。

1

登記記録、戸籍、所有者、共有者を整理する

申請できる人か、共有者全員が共同申請できるかを確認します。

2

現地で境界と状態を確認する

建物、工作物、危険木、農地・森林の状態を写真や図面で説明できるか確認します。

3

農地・山林ごとの窓口に確認する

農地は農業委員会と土地改良区、山林は市町村林務担当や森林組合に確認します。

4

権利関係を確認する

抵当権、地役権、賃借権、農地中間管理権、森林経営管理権、入会権を確認します。

5

費用を試算する

審査手数料、負担金、測量・撤去・伐採・登記・専門家費用を比較します。

6

法務局本局へ事前相談する

必要資料をそろえたうえで、申請可能性と不足資料を確認します。

結論国庫帰属制度は、相続人の負担を軽減する制度ですが、無条件の放棄制度ではありません。土地を国が通常管理できる状態に近づける準備が、田舎の山林や農地では特に重要です。
Reference

この記事の参考資料

制度、負担金、農地・森林管理、統計に関する公的資料を中心に確認しています。

制度と手続に関する資料

  • 法務省 相続土地国庫帰属制度に関するQ&A
  • 法務省 相続土地国庫帰属制度の負担金
  • 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
  • 法務省 相続土地国庫帰属制度の統計
  • 政府広報オンライン 相続した土地を手放したいときの相続土地国庫帰属制度

法令と農地・森林に関する資料

  • 日本法令外国語訳DBシステム 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律
  • e-Gov法令検索 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令
  • 農林水産省 農地相続ポータル
  • 農林水産省 国有農地の売払いについて