貸付事業用宅地等の3年規制は、相続税評価を大きく変える重要論点です。原則、例外、事実認定、申告期限までの要件を順番に整理します。
貸付事業用宅地等の3年規制は、相続 税評価を大きく変える重要論点です。
貸付事業用宅地等の3年規制は、相続税評価を大きく変える入口論点です。
相続開始前3年以内に貸付を始めた土地は適用対象外になるかという問いは、土地を相続できるかどうかではなく、相続税の小規模宅地等の特例のうち、貸付事業用宅地等として50%評価減を受けられるかという問題です。
結論としては、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、原則として貸付事業用宅地等から除外される可能性があります。ただし、3年以内だから常に不可ではなく、被相続人等が相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた場合など、例外の検討余地があります。
次の強調表示は、このページで最も重要な結論をまとめたものです。読者にとって重要なのは、単に貸付開始日だけを見るのではなく、「新たに貸付事業に使われたのか」「3年超の特定貸付事業があるのか」「申告期限までの要件を満たすのか」を順番に確認する点です。
3年以内に新たに貸付事業の用に供された土地は原則として除外対象ですが、3年超の特定貸付事業の継続、賃借人の入替え、一時的空室、建替えなどの事情により、適用可能性が残る場合があります。
次の判断の流れは、結論を出す前に確認すべき3つの段階を表しています。各段階で見る資料と意味が異なるため、上から順に確認すると、3年以内という言葉だけで早合点するリスクを減らせます。
相続開始直前に賃貸アパート、貸家、貸駐車場などの貸付事業に使われていたかを確認します。
契約日だけでなく、引渡し、賃料発生、入金、募集状況から供用開始時期を整理します。
3年以内貸付宅地等として50%評価減の対象外になる可能性があります。
事業的規模の継続があれば、除外対象から外れる可能性があります。
国税庁の説明では、貸付事業用宅地等の限度面積は200㎡、減額割合は50%です。この評価減が使えるかどうかで課税価格が数千万円単位で変わることもあるため、日付、利用実態、証拠資料を一体で確認する必要があります。
この論点は相続税評価の特例であり、相続財産から土地が外れる話ではありません。
まず、相続開始前3年以内に貸付を始めた土地という問題は、土地そのものが相続財産から外れる、相続登記ができなくなる、土地を取得できなくなるという意味ではありません。問題になるのは、相続税の計算で小規模宅地等の特例を使い、貸付事業用宅地等として評価減できるかです。
次の比較表は、この論点で「問題になること」と「問題にならないこと」を分けたものです。読者にとって重要なのは、税務上の評価減の可否と、所有権・登記・遺産分割の問題を混同しないことです。
| 確認する項目 | この論点での意味 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 一定の宅地等について相続税評価額を減額する制度です。 | 貸付事業用宅地等では200㎡まで50%減額が問題になります。 |
| 土地の相続そのもの | 3年以内貸付宅地等に該当しても、土地が相続財産から外れるわけではありません。 | 誰が取得するか、登記するかは別途整理します。 |
| 相続開始日 | 通常は被相続人が亡くなった日です。 | この日から逆算して、貸付事業の供用開始時期を確認します。 |
| 3年以内と3年超 | 除外は相続開始前3年以内、例外は相続開始の日まで3年を超える継続が問題になります。 | 3年ちょうどや応当日付近では日付整理が特に重要です。 |
たとえば、2026年4月20日に亡くなった場合、相続開始日は2026年4月20日です。この日から見て、対象土地がいつ新たに貸付事業の用に供されたかを逆算します。契約日、引渡日、入居日、賃料発生日がずれる場合は、税理士が契約書や入金記録などを確認して日付を整理する必要があります。
制度の区分、限度面積、減額割合を押さえると、3年規制の重要性が見えます。
小規模宅地等の特例は、相続または遺贈によって取得した一定の宅地等について、相続税の課税価格に算入すべき価額を一定割合減額する制度です。対象となる宅地等には、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、特定居住用宅地等、貸付事業用宅地等があります。
次の表は、小規模宅地等の特例のうち、このページで特に関係する区分を整理したものです。どの区分に当たるかで限度面積や要件が変わるため、まず貸付事業用宅地等の問題なのかを読み取ることが重要です。
| 区分 | 主な対象 | このページでの位置づけ |
|---|---|---|
| 特定事業用宅地等 | 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 | 貸付ではない事業用土地では別の3年規制が問題になることがあります。 |
| 特定居住用宅地等 | 自宅敷地など居住の用に供されていた宅地等 | 同居、配偶者、家なき子などの要件が中心です。 |
| 貸付事業用宅地等 | 賃貸アパート、貸家、貸店舗、貸駐車場などの敷地 | 相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた土地かが問題になります。 |
貸付事業用宅地等の限度面積は200㎡、減額割合は50%です。次の計算例は、面積250㎡、相続税評価額8,000万円の賃貸アパート敷地について、200㎡部分だけが50%減額の対象になることを示しています。数字の順番を追うと、3年以内規制によりこの評価減を失う影響の大きさを読み取れます。
| 計算項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 減額対象部分の評価額 | 8,000万円 × 200㎡ ÷ 250㎡ | 6,400万円 |
| 評価減額 | 6,400万円 × 50% | 3,200万円 |
| 3年以内貸付宅地等に該当する場合 | 貸付事業用宅地等としての50%減額を受けられない可能性 | 課税価格が大きく変動 |
貸付事業には、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業、準事業が含まれます。ただし、無償の使用貸借や名目だけの低額貸付が当然に貸付事業になるわけではありません。相当の対価、継続性、契約内容、入金状況、実態を確認します。
判断の中心は、取得日ではなく「新たに貸付事業の用に供されたか」です。
貸付事業用宅地等は、相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等であることが必要です。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等、すなわち3年以内貸付宅地等は除外されます。
次の比較表は、所有期間ではなく貸付事業として使い始めた時期が重要であることを示しています。読者にとっては、自分の土地が「昔から持っていた土地」でも、貸付を始めたのが相続開始前3年以内なら問題になり得る点を読み取ることが大切です。
| 事実関係 | 3年以内貸付宅地等の検討 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 10年前から所有していた空き地を、死亡2年前に貸駐車場にした | 3年以内に新たに貸付事業の用に供した可能性が高い | 供用開始日、構築物の有無、賃料入金を確認 |
| 死亡2年前に投資用アパートを購入し、直ちに賃貸した | 3年以内に新たに貸付事業の用に供した可能性が高い | 購入日ではなく賃貸供用日を確認 |
| 20年前から賃貸アパートとして貸し、死亡1年前に賃借人が入れ替わった | 通常は新たに貸付事業の用に供されたとは限らない | 募集継続、一時的空室、他用途利用の有無を確認 |
| 長年貸していた老朽アパートを建て替え、速やかに賃貸した | 継続性が認められれば新規供用ではない可能性 | 建替え前後の貸付実態、募集資料、敷地範囲を確認 |
| 死亡時点では建築中で募集準備だけだった | そもそも相続開始直前に貸付事業の用に供されていたかが問題 | 現実の使用収益可能性、賃料発生の有無を確認 |
「新たに貸付事業の用に供された」とは、貸付事業以外の用途で使われていた宅地等が貸付事業に使われるようになった場合、または利用されていなかった宅地等や建物等が貸付事業に使われるようになった場合を指すと整理されます。
次の一覧は、継続していた貸付事業なのか、新たな貸付事業なのかを分けるうえで特に注意すべき事情です。なぜ重要かというと、同じ「死亡前3年以内の変化」でも、単なる入替えと実態の断絶では評価が変わるためです。
空室が長期化し、貸付事業としての実態が弱い場合は継続性の説明が難しくなります。
貸付以外の用途に転用していた期間があると、新たに貸付を始めたと見られる可能性があります。
建替え前後で対象土地が広がった場合、拡張部分について別途検討が必要です。
契約書があっても、相当の対価を得て継続的に行われていたかを説明しにくくなります。
事業的規模で継続していた貸付事業なら、新規物件でも除外されない可能性があります。
相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であっても、常に除外されるわけではありません。被相続人等が相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた場合、その特定貸付事業の用に供された宅地等は、3年以内貸付宅地等に該当しないとされています。
次の3つの項目は、例外を検討する際の中心要素です。読者にとって重要なのは、単に相続時点で物件数が多いかではなく、相続開始の日まで3年を超えて事業的規模の貸付が継続していたかを読み取ることです。
特定貸付事業は、貸付事業のうち準事業以外のものです。相当の規模、反復継続性、管理実態が問題になります。
相続開始時に規模が大きいだけでは足りず、相続開始の日まで3年を超えて引き続き行っていたことが重要です。
新たに取得した物件が、既存の特定貸付事業の用に供されたものといえるかを確認します。
不動産貸付については、所得税実務で用いられる5棟10室基準が一つの目安になります。次の表は、5棟10室基準を使うときの見方を整理したものです。数だけで機械的に決めるのではなく、賃料収入や管理体制も併せて読む必要があります。
| 観点 | 目安・確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 貸室 | 貸間・アパート等は貸与可能な独立室数がおおむね10室以上 | 空室や共有関係、実際の賃貸実態も確認します。 |
| 独立家屋 | 独立家屋はおおむね5棟以上 | 棟数だけでなく、管理・収入・継続性が問題になります。 |
| 駐車場・貸地 | 区画数、構築物、管理状況、収入規模を総合確認 | 5棟10室基準だけでは説明しにくい類型です。 |
| 途中の規模縮小 | 既存物件売却などで事業的規模を失っていないか | 相続開始日まで引き続き行われていたかが重要です。 |
3年規制をクリアしても、承継・継続・保有・分割の要件が残ります。
3年以内貸付宅地等の問題をクリアしても、それだけで貸付事業用宅地等の特例を使えるわけではありません。被相続人の貸付事業なのか、生計を一にしていた親族の貸付事業なのか、取得者が申告期限まで事業を承継・継続し、土地を保有しているかを確認します。
次の表は、3年規制とは別に確認する主な要件を整理したものです。ここを読み取ることで、3年以内ではない土地でも、相続後の売却や事業廃止、未分割によって特例が使えなくなるリスクを把握できます。
| 場面 | 主な要件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 被相続人の貸付事業 | 取得親族が申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで行い、宅地等を保有すること | 相続後すぐの売却、廃業、更地化は問題になり得ます。 |
| 同一生計親族の貸付事業 | その親族が相続開始前から申告期限まで貸付事業を行い、宅地等を保有すること | 事業主体、契約名義、賃料の帰属、所得申告者を整理します。 |
| 相続税申告期限 | 原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内 | 申告、分割、添付書類の準備を同時に進めます。 |
| 未分割財産 | 当初申告で特例を受けられないのが原則 | 申告期限後3年以内の分割見込書などの手続を検討します。 |
次の時系列は、貸付事業用宅地等の検討で意識したい期限を並べたものです。相続税の申告期限、分割の見込み、相続登記の期限はそれぞれ意味が異なるため、順番と期限の違いを読み取ることが重要です。
貸付供用開始日、契約日、引渡日、賃料発生日を整理します。
貸付事業を申告期限まで続け、宅地等を保有しているかを確認します。
期限内に分割できない場合でも、後日の適用余地を失わないよう資料を整えます。
税務の期限とは別に、登記の期限管理が必要です。
用途、供用開始日、3年判定、例外、承継要件、申告資料の順に確認します。
実務では、対象土地の用途を確認し、いつから貸付事業に使われたか、相続開始前3年以内か、3年超の特定貸付事業の例外があるか、取得者が申告期限まで要件を満たすかを順番に見ます。
次の判断の流れは、確認作業の順番を示しています。読者にとって重要なのは、途中のどこで止まるかにより、そもそも貸付事業用宅地等の候補でないのか、3年以内規制で除外されるのか、別要件で使えないのかが変わる点です。
賃貸アパート、貸家、貸店舗、貸駐車場、建築中、空地、自用地などを確認します。
契約書、引渡し、入居、賃料発生、入金、募集資料から実態を確認します。
新たに貸付事業の用に供された時期が3年以内かを判定します。
既存物件数、収入規模、管理体制、継続年数、所得税申告を確認します。
取得者が事業を続け、土地を保有しているかを確認します。
計算明細書、遺産分割協議書、同意、証拠資料を整えます。
次の一覧は、判断の各段階で必要になりやすい資料を示しています。どの資料が何を裏付けるかを意識して集めると、税務署への説明や相続人間の協議で見落としを減らせます。
賃貸借契約書、引渡確認書、入居日、賃料発生日、賃料入金記録を確認します。
日付確認管理委託契約、募集広告、空室一覧、レントロール、所得税申告資料を確認します。
実態確認物件一覧、室数・棟数・区画数、賃料収入の推移、修繕費・管理費の資料を確認します。
例外確認同じ死亡前2年の貸付でも、空き地の賃貸化と既存事業の拡張では見方が異なります。
典型事例を見ると、相続開始前3年以内という同じ時期でも、原則除外に近いもの、例外の検討余地があるもの、そもそも貸付事業用宅地等の入口で問題になるものに分かれます。
次の比較表は、7つの典型事例について、結論の方向性と理由を並べたものです。読者にとって重要なのは、どの事実が結論を左右するかを読み取り、自分のケースで確認すべき資料を絞ることです。
| 事例 | 結論の方向性 | 理由・確認点 |
|---|---|---|
| 死亡2年前に空き地を賃貸アパート敷地にした | 除外される可能性が高い | 空き地を3年以内に新たに貸付事業の用に供したと考えられ、3年超の特定貸付事業もないためです。 |
| 死亡2年前に投資用マンション1室を購入して貸した | 使えない可能性が高い | 新たに貸付事業の用に供された宅地等に該当しやすく、事業的規模の例外にも当たりにくいためです。 |
| 10年以上12室を経営し、死亡2年前に新規物件を取得 | 例外により検討対象になる可能性 | 3年超の特定貸付事業が継続し、新規物件がその事業の一部といえるかを確認します。 |
| 8室に死亡2年前の新規2室を加えて10室になった | 既存部分は検討余地、新規部分は除外の可能性 | 特定貸付事業規模になったのが死亡2年前なら、3年超の継続とはいえない可能性があります。 |
| 15年前から賃貸し、死亡1年前に賃借人が入れ替わった | 通常は新規供用とは限らない | 一時的空室にすぎず、募集や管理が継続していたかを確認します。 |
| 20年前からの賃貸アパートを建替え中に相続発生 | 直ちに不可とは限らない | 従前の貸付事業の継続として建替えられ、速やかな募集・賃貸予定があったかを確認します。 |
| 死亡2年前に青空駐車場を始めた | 入口から慎重な検討が必要 | 構築物のない単なる青空駐車場では、特例対象の宅地等といえるかが問題になります。 |
これらの事例では、契約書の日付だけでなく、実際の使用収益、賃料発生、募集活動、建替え前後の継続性、構築物の有無が重要です。特に青空駐車場では、3年以内規制の前に、建物または構築物の敷地の用に供されているかという入口論点も確認します。
税務署に説明できる形で、貸付開始時期と事業継続性を資料化します。
3年以内かどうか、特定貸付事業の例外があるか、一時的空室や建替えをどう説明するかは、資料の有無で大きく変わります。実態があっても、書類がなければ説明が難しくなります。
次の一覧は、資料を3つの目的に分けたものです。読者にとって重要なのは、資料名を集めるだけでなく、その資料が「貸付開始時期」「特定貸付事業」「継続性」のどれを支えるのかを読み取ることです。
賃貸借契約書、契約更新書、重要事項説明書、引渡確認書、入居日、賃料発生日、賃料入金通帳、管理会社の募集資料、建築請負契約書、検査済証、駐車場区画図などを整理します。
開始日所得税申告書、青色申告決算書、収支内訳書、固定資産税課税明細書、物件一覧、室数・棟数・区画数がわかる図面、賃料収入の推移表、管理会社契約書を確認します。
事業規模退去通知書、原状回復工事の見積書・請求書、募集広告の開始日、管理会社の報告書、建替え前後の賃貸経営計画、旧建物の賃貸借契約書、新建物の入居申込書を整理します。
継続性税務調査では、相続税対策として急に賃貸化したのか、従前から継続していた貸付事業の一部なのかが問われます。相続人間で資料を集める際は、管理会社、金融機関、司法書士、税理士が持つ情報を早めに照合することが重要です。
税務上の有利不利は、誰が取得するか、どう分けるかにも影響します。
貸付事業用宅地等の特例は、相続税額に大きく影響するため、遺産分割協議や調停で争点になることがあります。税務上有利な取得者、事業を継続できる取得者、不動産の時価評価、賃料収入の帰属を分けて整理する必要があります。
次の一覧は、相続人間で対立しやすいポイントをまとめたものです。なぜ重要かというと、特例の使い方だけでなく、分割案、代償金、申告期限までの対応が連動するためです。
取得者が申告期限まで貸付事業を継続できるかが、特例適用の実務に影響します。
特例適用による税額差を、分割協議でどう反映するかが争点になることがあります。
特例は相続税評価を下げる制度であり、市場価値を当然に50%下げるものではありません。
当初申告で特例が使えない場合、分割見込書や後日の手続を検討する必要があります。
不動産鑑定士の視点では、相続税評価額と遺産分割上の時価は別物です。相続税申告では路線価や倍率方式が中心になりますが、遺産分割では実勢価格、鑑定評価、収益価格、売却可能性が問題になります。
税務の3年規制と、相続登記の3年期限は別の制度です。
不動産を相続した場合、相続税申告だけでなく相続登記も重要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、自己のために相続開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要とされています。
次の時系列は、税務と登記の期限を分けて整理したものです。どちらも3年という言葉が出てくるため、何を起点に、何をしなければならないのかを読み分けることが重要です。
相続開始日から見て、土地が新たに貸付事業の用に供されたかを確認します。
取得者が貸付事業を続け、対象宅地等を保有しているかを確認します。
税務の3年規制とは別に、登記申請義務を管理します。
次の一覧は、貸付不動産の相続で関係する不動産実務の役割を示しています。読者にとって重要なのは、税理士だけで完結しない資料や登記・測量・評価の問題を早めに洗い出すことです。
登記名義、共有持分、抵当権、建物登記、地番・地積、遺産分割協議書の登記適合性を確認します。
境界確認、地積更正、分筆、建物表題登記、貸付部分と自用部分の利用区分を整理します。
遺産分割や調停で時価が争点になる場合、鑑定評価、収益価格、売却見込額を検討します。
税務、紛争、登記、不動産評価で確認すべき事項は異なります。
貸付土地の小規模宅地等の特例は、税理士だけでなく、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、管理会社などが持つ情報をつなげて判断する場面があります。
次の表は、専門家ごとに確認する観点を整理したものです。読者にとって重要なのは、どの専門家に何を確認すべきかを分けることで、資料収集と相談の順番を明確にすることです。
| 専門家・関係者 | 主な確認事項 | 関係する論点 |
|---|---|---|
| 税理士 | 相続開始日、貸付供用開始日、3年超の特定貸付事業、申告期限までの承継・保有、添付書類 | 貸付事業用宅地等の適用可否 |
| 弁護士 | 遺言、遺産分割協議、相続人間の対立、税負担の分担、調停・審判の必要性 | 分割案と申告期限の調整 |
| 司法書士 | 相続登記の期限、登記名義、共有関係、抵当権、遺産分割協議書の登記適合性 | 登記と権利関係の整理 |
| 不動産鑑定士・土地家屋調査士 | 実測面積、敷地利用区分、境界、私道、貸付部分と自用部分の按分、時価評価 | 土地評価と遺産分割上の時価 |
| 行政書士・FP・金融機関等 | 紛争性のない書類作成支援、納税資金、生命保険、借入金、賃貸物件ローン | 周辺手続と資金計画 |
行政書士やFPが関与する場合も、税務代理、登記申請代理、紛争対応に踏み込む領域は専門資格ごとの範囲があります。個別の税額計算、法的紛争、登記申請は、それぞれの専門家に確認する必要があります。
3年、所有期間、契約日、空室、建替え、申告だけで単純判断しないことが重要です。
この論点では、言葉だけを読むと単純に見えるため、実務上の誤解が生じやすくなります。特に「3年以内なら必ず不可」「所有して3年超なら大丈夫」という理解は危険です。
次の一覧は、代表的な誤解と正しい見方を並べたものです。読者にとって重要なのは、自分の判断がどの誤解に近いかを確認し、必要な資料や専門家確認に戻ることです。
必ず不可ではありません。3年超の特定貸付事業を継続していた被相続人等の事業用宅地等なら、例外を検討できます。
所有期間だけでは足りません。10年前から所有していた空き地でも、死亡2年前に貸駐車場にしたなら問題になります。
契約日だけでなく、引渡し、賃料発生、使用開始、入金、管理状況を総合して確認します。
一時的空室は直ちに貸付事業の断絶を意味しません。募集の有無、他用途利用の有無、空室期間が重要です。
従前から貸付事業があり、その継続として建替えられた場合は、継続性を説明できる余地があります。
貸付不動産では、相続登記、賃貸管理、借入金、遺産分割、賃料収入の帰属も連動します。
不明点が残る場合は、税理士などの専門家に資料を見せて確認する必要があります。
貸付土地の特例可否は、日付、利用実態、事業規模、申告期限、分割、登記が重なります。以下の項目を確認すると、専門家へ相談するときに不足資料を整理しやすくなります。
次の表は、読者が手元で確認すべき事項を、日付、土地、貸付実態、相続後の対応に分けたものです。どこに空欄があるかを見ることで、次に集めるべき資料を読み取れます。
| 区分 | 確認事項 |
|---|---|
| 基準日 | 被相続人の死亡日、相続開始日、相続税申告期限を確認した。 |
| 対象土地 | 地番、面積、評価額、相続開始直前の利用状況を確認した。 |
| 貸付開始 | 賃貸借契約書、引渡日、入居日、賃料発生日、実際の入金日を確認した。 |
| 新規性 | 以前からの賃貸、契約更新、賃借人の入替え、一時的空室、建替えの事情を整理した。 |
| 特定貸付事業 | 被相続人等が3年超の特定貸付事業を行っていたか、5棟10室基準その他の事業的規模を検討した。 |
| 相続後 | 誰が取得し、誰が申告期限まで貸付事業を継続し、土地を保有するかを確認した。 |
| 未分割・登記 | 分割見込書、相続登記の期限、管理会社・金融機関・専門家との連携体制を確認した。 |
原則、例外、事実認定、別要件を分けて結論を整理します。
相続開始前3年以内に貸付を始めた土地については、まず原則として3年以内貸付宅地等に該当し、貸付事業用宅地等としての50%評価減から除外される可能性があります。
次の強調表示は、最終的な結論を一文で整理したものです。読者にとって重要なのは、原則だけで終わらず、3年超の特定貸付事業、継続していた貸付事業かどうか、申告期限までの要件を順番に確認することです。
相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた土地は、原則として貸付事業用宅地等の小規模宅地等の特例から除外されますが、3年超の特定貸付事業の例外や、そもそも新たに貸付事業の用に供されたといえるかの事実認定により、適用可能性が残る場合があります。
第一に、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であり、3年超の特定貸付事業の例外にも該当しない場合、原則として貸付事業用宅地等から除外されます。
第二に、被相続人等が相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っており、その土地がその特定貸付事業の用に供されたものといえる場合には、例外的に3年以内貸付宅地等に該当しない可能性があります。
第三に、契約更新、賃借人の入替え、一時的空室、建替え、再開発などでは、新たに貸付事業の用に供されたかを個別に判断します。表面的な日付だけではなく、募集、入金、管理、建築、登記、利用区分の資料を総合します。
第四に、3年規制をクリアしても、申告期限までの事業承継・保有継続、遺産分割、相続人全員の同意、添付書類、相続登記などの別要件を満たさなければ、実際には特例を使えない可能性があります。