2σ Guide

70代で相続対策を始める
今からできる具体策

70代からでも遅すぎるとは限りません。本人の生活資金と判断能力を守りながら、遺言、税務、不動産、認知症対策を順序立てて進めます。

15.60年70歳男性の平均余命
19.97年70歳女性の平均余命
10か月相続税申告の原則期限
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70代で相続対策を始める 今からできる具体策

70代からでも遅すぎるとは限りません。

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70代で相続対策を始める 今からできる具体策
70代からでも遅すぎるとは限りません。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 70代で相続対策を始める 今からできる具体策
  • 70代からでも遅すぎるとは限りません。

POINT 1

  • 70代の相続対策は遅すぎないが順序が重要
  • 本人保護、分割、税務、不動産、手続円滑化を同時に設計します。
  • 本人保護
  • 分割対策
  • 納税・税務対策

POINT 2

  • 70代の相続リスクを家族・税務・不動産・判断能力から診断する
  • 家族関係リスク
  • 再婚、前婚の子、介護した子、通帳管理、音信不通の相続人などがある場合は、税務より先に分割と説明可能性を確認します。
  • 税務リスク
  • 自宅土地、収益物件、有価証券、非上場株式、過去の贈与、名義預金がある場合は相続税試算が重要です。

POINT 3

  • 70代の相続対策は30日・90日・180日・1年以内で進める
  • 1. 本人の希望と生活資金を確認:医療費、介護費、配偶者の生活費、自宅修繕費、税金を保守的に見積もります。
  • 2. 財産と相続人を整理:財産目録、戸籍、不動産、保険、借入、過去贈与を一覧化します。
  • 3. 専門家に論点確認:法律、税務、登記、不動産、認知症対策の論点を分けて相談します。
  • 4. 遺言案と実行計画へ:公正証書遺言、税務試算、不動産整理、任意後見、家族説明の順に進めます。

POINT 4

  • 70代の遺言対策は公正証書遺言と遺留分配慮を軸にする
  • 遺留分を無視する
  • 全財産を一人に残す内容では、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
  • 不動産を安易に共有にする
  • 共有は売却、修繕、賃貸、建替え、次世代相続で合意が必要になり、問題を先送りしやすいです。

POINT 5

  • 70代の相続税対策は基礎控除・10か月期限・特例を同時に確認する
  • 相続税の入口、配偶者軽減、小規模宅地、保険、生前贈与、名義預金を整理します。
  • 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
  • 贈与契約書と送金
  • 相続開始前贈与加算

POINT 6

  • 70代の不動産対策は相続登記義務化と共有回避を先に見る
  • 評価の種類、3年以内の相続登記、共有回避、国庫帰属制度を確認します。
  • 不動産は現金のように均等に分けられず、評価、管理費、固定資産税、修繕、境界、売却可能性が絡みます。
  • 相続税申告の評価と遺産分割で争う評価が違う場合がある点を読み取ってください。
  • 一人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払います。

POINT 7

  • 認知症対策と争族予防は70代の相続対策で一体に進める
  • 1. 本人の状態を確認:物忘れ、金銭管理不安、同じ契約の繰り返し、詐欺被害、施設入居可能性を確認します。
  • 2. 契約できる段階か確認:任意後見、財産管理委任、民事信託、遺言は本人の判断能力を前提にします。
  • 3. すでに不十分な場合:成年後見、保佐、補助の利用を検討します。
  • 4. 本人保護を中心にする:成年後見制度は本人保護の制度であり、相続税対策や相続人の都合で財産を移す制度ではありません。

POINT 8

  • 死亡後の期限と事業承継・債務対策を70代のうちに見える化する
  • 3か月、4か月、10か月、3年、1年の期限と会社株式の論点を整理します。
  • 死亡後の手続は期限が制度ごとに異なります。
  • 読者にとって重要なのは、3か月、4か月、10か月、3年、1年という期限が同時に走り得る点です。
  • 会社株式や事業がある場合は、一般的な相続対策だけでは足りません。

まとめ

  • 70代で相続対策を始める 今からできる具体策
  • 70代の相続対策は遅すぎないが順序が重要:本人保護、分割、税務、不動産、手続円滑化を同時に設計します。
  • 70代の相続リスクを家族・税務・不動産・判断能力から診断する:最初に問題領域を切り分け、相談順序を決めます。
  • 70代の相続対策は30日・90日・180日・1年以内で進める:財産目録から遺言、税務、不動産、家族説明へ段階的に進めます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

70代の相続対策は遅すぎないが順序が重要

本人保護、分割、税務、不動産、手続円滑化を同時に設計します。

70代で相続対策を始めることは、決して遅すぎるとはいえません。むしろ財産、家族、健康、介護、不動産の現実が見えやすくなり、実行できる対策を具体化しやすい時期です。

次の5つの領域は、70代からの相続対策を総合実務として捉えるための全体像です。読者にとって重要なのは、節税だけを単独で見るのではなく、本人の生活、分け方、税務、不動産、手続を同時に読むことです。

LIFE

本人保護

老後資金、住まい、医療、介護、判断能力低下への備えを優先します。

DIVIDE

分割対策

誰が何を取得するかを明確にし、遺留分や代償金も含めて争いを予防します。

TAX

納税・税務対策

相続税申告、納税資金、特例、生前贈与、相続時精算課税を確認します。

ESTATE

不動産対策

相続登記、共有回避、空き家、境界、売却、国庫帰属を検討します。

PROCESS

手続円滑化

遺言執行者、財産目録、重要書類、専門家連携を整えます。

次の比較グラフは、70代からの対策でも時間的余地が残ることと、死亡後手続の期限が短いことを対比しています。数値の高さは期間の長さを示し、平均余命は目安、10か月や3年は手続期限として読み分けてください。なお、75歳でも平均余命は男性12.08年、女性15.75年とされており、70代という年齢だけで対策不能とはいえません。

15.60年
70歳男性平均余命
19.97年
70歳女性平均余命
10か月
相続税申告期限

平均余命は個人の健康状態を保証するものではありません。それでも70代前半から中盤では、公正証書遺言、相続税試算、生前贈与の再設計、不動産整理、任意後見、民事信託、介護費を含む資金計画などを検討できることが多いです。

最優先70代の相続対策では、相続人のための節税よりも、本人が最後まで安心して暮らせる生活資金と判断能力の確認が先です。
Section 01

70代の相続リスクを家族・税務・不動産・判断能力から診断する

最初に問題領域を切り分け、相談順序を決めます。

相続対策を始める前に、どこにリスクがあるかを診断します。次の一覧は家族、税務、不動産、判断能力、事業・特殊財産の5領域を並べたものです。各項目は、専門家に相談する優先順位を判断する材料として読み取ってください。

家族関係リスク

再婚、前婚の子、介護した子、通帳管理、音信不通の相続人などがある場合は、税務より先に分割と説明可能性を確認します。

税務リスク

自宅土地、収益物件、有価証券、非上場株式、過去の贈与、名義預金がある場合は相続税試算が重要です。

不動産リスク

共有名義、空き家、地方土地、境界未確定、再建築不可、抵当権がある不動産は早期整理が必要です。

判断能力・介護リスク

物忘れ、金銭管理不安、施設入居可能性、遠方の子どもがある場合は任意後見や財産管理を急ぎます。

事業・特殊財産リスク

非上場株式、個人事業、医療法人、暗号資産、海外資産、保証債務は専門家連携が前提になります。

次の表は、相続対策の基本用語を目的別に整理したものです。読者にとって大切なのは、相続人、遺産分割、遺留分、相続税、相続登記、任意後見、民事信託が別々の制度であり、相談先も違う点を確認することです。

用語意味70代での確認ポイント
相続対策死亡後の承継、税金、登記、紛争、認知症後の財産管理を生前から準備すること節税、分割、納税、管理を分けて整理する
相続人民法に基づいて財産上の権利義務を承継する人戸籍で推定相続人を確定する
遺産分割共同相続人が財産の取得方法を決める手続遺言がないと全員合意が必要になりやすい
遺留分兄弟姉妹以外の一定相続人に保障される最低限の取り分一部の人に多く残す遺言では支払原資を確認する
相続登記不動産名義を相続人等へ変更する手続2024年4月1日から義務化され、3年以内申請が原則
任意後見将来判断能力が不十分になった場合に備える公正証書契約本人の判断能力が十分なうちに検討する
民事信託受託者に財産管理・処分を託す仕組み税務、遺留分、受託者責任、登記を慎重に設計する

リスク診断では、本人の生活資金を最初に保守的に見積もります。日常生活費、医療費、介護費、施設入居費、配偶者の生活費、自宅修繕費、税金、葬儀費用、死後事務費用、空き家管理費を先に確保しないと、節税目的の贈与が家族全体の負担になることがあります。

Section 02

70代の相続対策は30日・90日・180日・1年以内で進める

財産目録から遺言、税務、不動産、家族説明へ段階的に進めます。

70代からの対策は、思いついた手段から始めるのではなく、30日、90日、180日、1年以内という順番で進めます。次の時系列は、資料整理から家族説明までの段階を示しています。どの段階で財産、遺言、税務、不動産、認知症対策を進めるかを読み取ってください。

最初の30日

財産と相続人を見える化

財産目録、推定相続人一覧、戸籍、不動産一覧、保険一覧、借入・保証一覧、贈与履歴を整理します。

最初の90日

遺言の方針を決める

誰にどの財産を承継させるか、予備的受取人、遺言執行者、不動産共有、代償金、遺留分を検討します。

最初の180日

税務・不動産・認知症対策を実行

相続税試算、小規模宅地等の特例、生命保険、不動産売却・分筆、任意後見、民事信託、介護費の確保を進めます。

1年以内

家族説明と見直し制度を作る

配偶者死亡、施設入居、不動産売却、税制改正、会社業績の変化に応じ、少なくとも2〜3年ごとに見直します。

次の表は、最初の30日に作る資料と主な相談先を対応させたものです。資料がそろうほど、遺言、税務、不動産、認知症対策の判断が正確になり、後日の手続負担も軽くなります。

作成資料内容主な相談先
財産目録預貯金、不動産、有価証券、保険、債務、デジタル資産税理士、弁護士、FP
推定相続人一覧配偶者、子、代襲相続人、前婚の子など弁護士、司法書士、行政書士
戸籍資料出生から現在までの戸籍司法書士、行政書士
不動産一覧登記簿、固定資産税通知、名寄帳司法書士、税理士
保険一覧契約者、被保険者、受取人、保険金額税理士、FP、保険会社
借入・保証一覧住宅ローン、事業借入、連帯保証弁護士、税理士、公認会計士
贈与履歴贈与契約書、振込記録、申告書税理士、弁護士

次の判断の流れは、資料整理後に遺言や贈与へ進む前の確認順序を示します。本人の生活資金と判断能力を先に確認し、その後に税務や分割を検討することで、相続人の都合だけで財産を動かす危険を抑えます。

最初に進める順序

本人の希望と生活資金を確認

医療費、介護費、配偶者の生活費、自宅修繕費、税金を保守的に見積もります。

財産と相続人を整理

財産目録、戸籍、不動産、保険、借入、過去贈与を一覧化します。

専門家に論点確認

法律、税務、登記、不動産、認知症対策の論点を分けて相談します。

遺言案と実行計画へ

公正証書遺言、税務試算、不動産整理、任意後見、家族説明の順に進めます。

Section 03

70代の遺言対策は公正証書遺言と遺留分配慮を軸にする

方式、保管、遺留分、不動産共有、予備的条項、遺言執行者を確認します。

70代では、遺言の方式選択が相続手続の難易度を大きく左右します。次の比較表は、公正証書遺言と自筆証書遺言・法務局保管制度の違いを整理したものです。方式不備、保管、検認、内容の妥当性を分けて読んでください。

方式特徴注意点
公正証書遺言公証人が関与し、原本が公証役場で保管され、検認不要遺留分、税務、不動産評価まで保証するものではない
自筆証書遺言本人が自書して作成でき、費用を抑えやすい方式不備、紛失、改ざん、発見されないリスクがある
法務局保管制度自筆証書遺言を法務局で保管でき、検認不要遺言内容の有効性や税務上の妥当性を保証する制度ではない

次の一覧は、遺言で特に避けたい失敗をまとめたものです。70代では不動産、再婚、遺留分、相続人不仲、会社株式などが絡みやすいため、どの失敗が自分の財産構成に近いかを読み取ってください。

遺留分を無視する

全財産を一人に残す内容では、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。現金、保険、代償金、付言事項を組み合わせます。

不動産を安易に共有にする

共有は売却、修繕、賃貸、建替え、次世代相続で合意が必要になり、問題を先送りしやすいです。

財産の特定が曖昧

不動産は所在、地番、家屋番号、持分、預金は金融機関名、支店名、口座種別を明確にします。

予備的遺言がない

受取人が先に亡くなった場合に備え、代わりに誰へ取得させるかを定める必要があります。

遺言執行者を指定しない

相続人同士の対立が予想される場合、遺言執行者がいないと手続が進みにくくなります。

付言事項は、財産配分の理由や家族への思いを伝える部分です。法的拘束力はありませんが、相続人の不満を和らげる効果が期待できます。一方で、他の相続人を非難する表現は避け、介護への感謝や生活安定の必要性などを冷静に書くことが望ましいです。

Section 04

70代の相続税対策は基礎控除・10か月期限・特例を同時に確認する

相続税の入口、配偶者軽減、小規模宅地、保険、生前贈与、名義預金を整理します。

税務対策では、相続税がかかるかどうかの入口として基礎控除を確認します。次の強調表示は計算式と具体例を示しています。法定相続人の人数が増えると控除額が変わるため、戸籍確認とセットで読む必要があります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

配偶者と子2人の合計3人が法定相続人であれば、3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円です。判断には預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、死亡退職金、生前贈与加算、債務、葬式費用、非上場株式を含めます。

次の表は、70代の税務対策で頻出する制度と主要な数字を整理したものです。金額、期間、面積、割合は制度ごとに意味が違うため、どの数値が控除枠、期限、評価減、非課税枠なのかを読み取ってください。

制度・項目主要な数字確認ポイント
相続税申告・納税相続開始を知った日の翌日から10か月以内死亡後は葬儀、戸籍収集、財産調査、評価、協議が集中する
配偶者の税額軽減1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額の多い方まで一次相続だけでなく二次相続を試算する
小規模宅地等の特例居住用330平方メートルまで80%減額、事業用400平方メートルまで80%減額、貸付用200平方メートルまで50%減額取得者、居住、保有、申告期限などの要件が複雑
生命保険金の非課税枠500万円 × 法定相続人の数納税資金、葬儀費用、代償金、遺留分支払原資に活用される
暦年課税贈与の加算2024年以後は段階的に7年へ延長毎年110万円だけで判断しない
相続時精算課税60歳以上の父母・祖父母等から18歳以上の子・孫等、2024年以後は年110万円基礎控除制度選択の影響が長期に及ぶため試算が必要

次の一覧は、生前贈与と名義預金で確認する項目を示しています。読者にとって重要なのは、契約、送金、管理、申告、説明がそろって初めて、実質的な贈与として説明しやすくなる点です。

GIFT

贈与契約書と送金

贈与契約書を作成し、実際に資金移動を行い、受贈者が自分で管理できる状態にします。

ADD BACK

相続開始前贈与加算

相続税計算で加算される期間が段階的に7年へ延長される点を試算します。

NAME

名義預金対策

子や孫名義でも、通帳や印鑑を親が管理し、本人が知らなければ相続財産と評価される可能性があります。

Section 05

70代の不動産対策は相続登記義務化と共有回避を先に見る

評価の種類、3年以内の相続登記、共有回避、国庫帰属制度を確認します。

不動産は現金のように均等に分けられず、評価、管理費、固定資産税、修繕、境界、売却可能性が絡みます。次の表は、不動産評価の種類を目的別に整理したものです。相続税申告の評価と遺産分割で争う評価が違う場合がある点を読み取ってください。

評価の種類主な用途主な関与者
相続税評価額相続税申告税理士
固定資産税評価額固定資産税、建物評価市区町村、税理士
実勢価格売却可能価格不動産仲介業者、宅地建物取引士
鑑定評価額争いがある評価、裁判不動産鑑定士

次の一覧は、共有を避けるための代表的な方法です。どの方法も公平に見えるだけで選ぶのではなく、売却可能性、代償金の原資、測量、税務、遺言執行者の有無まで読み取る必要があります。

1

単独取得と代償金

一人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払います。生命保険や預金で原資を準備します。

代償金分割
2

生前売却

不要不動産を本人が元気なうちに売却し現金化します。譲渡所得税、住み替え、施設入居との関係を確認します。

売却税務
3

換価分割の方針

遺言で不動産を売却し、売却代金を分配する方針を示します。遺言執行者の指定が重要です。

遺言執行
4

分筆

土地を物理的に分けます。境界確認、測量、接道、利用価値の低下に注意します。

測量登記
5

民事信託

収益不動産や自宅管理に使う場合があります。税務、遺留分、受託者責任を慎重に設計します。

管理信託

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続または遺贈で不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく違反すると10万円以下の過料の対象となります。登記事項証明書、固定資産税納税通知書、名寄帳、権利証または登記識別情報、地積測量図、公図、建物図面、共有者一覧、担保権の有無を確認します。

不要土地相続土地国庫帰属制度は、相続等で取得した土地を一定要件の下で国庫へ帰属させる制度です。建物、担保権、境界不明、管理・処分に過分な費用がかかる土地などは対象外または不承認となる可能性があります。
Section 06

認知症対策と争族予防は70代の相続対策で一体に進める

任意後見、財産管理、信託、成年後見、家族説明の順序を整理します。

相続対策と認知症対策は別々ではありません。判断能力が低下すると、自宅売却、預金引出し、賃貸不動産の修繕契約、信託契約、贈与、任意後見契約の新規締結が難しくなる場合があります。次の一覧は、判断能力低下へ備える代表的な手段を整理しています。

1

任意後見契約

本人が元気なうちに、将来判断能力が不十分になった場合の後見人候補者を公正証書で決めます。

公正証書将来備え
2

財産管理委任契約

判断能力がある段階で支払や管理を任せます。代理権範囲、監督、金融機関対応を確認します。

管理代理
3

見守り契約

定期連絡で本人の状態を確認します。報告先、頻度、緊急時対応を決めます。

見守り連絡
4

死後事務委任契約

葬儀、納骨、家財整理等を委任します。相続財産処分との境界に注意します。

死後事務整理
5

民事信託

親を委託者兼受益者、子を受託者として自宅や収益不動産を管理する設計などがあります。

信託不動産

次の判断の流れは、本人の判断能力に不安が出たときの確認順序を示しています。上から順に、本人の状態、契約可能性、成年後見の要否、本人保護という目的を確認することで、相続人の節税目的だけで制度を選ぶことを避けます。

判断能力低下に備える確認順序

本人の状態を確認

物忘れ、金銭管理不安、同じ契約の繰り返し、詐欺被害、施設入居可能性を確認します。

契約できる段階か確認

任意後見、財産管理委任、民事信託、遺言は本人の判断能力を前提にします。

すでに不十分な場合

成年後見、保佐、補助の利用を検討します。無理な契約作成は後日無効を争われる可能性があります。

本人保護を中心にする

成年後見制度は本人保護の制度であり、相続税対策や相続人の都合で財産を移す制度ではありません。

争族予防では、自宅不動産と少額預金しかない家庭ほど分け方が難しくなることがあります。遺言能力、遺留分、使い込み疑い、特別受益、寄与分、不動産評価は、財産額の大小にかかわらず争点になり得ます。

Section 07

死亡後の期限と事業承継・債務対策を70代のうちに見える化する

3か月、4か月、10か月、3年、1年の期限と会社株式の論点を整理します。

死亡後の手続は期限が制度ごとに異なります。次の表は、死亡届、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記、遺留分の期限を並べたものです。読者にとって重要なのは、3か月、4か月、10か月、3年、1年という期限が同時に走り得る点です。

期限の目安手続主な窓口・相談先注意点
7日以内死亡届市区町村、医師死亡診断書・死体検案書が必要
速やかに年金・健康保険・介護保険関係年金事務所、市区町村、社会保険労務士未支給年金、遺族年金等を確認
3か月以内相続放棄・限定承認家庭裁判所、弁護士、司法書士財産調査と起算点に注意
4か月以内準確定申告税務署、税理士亡くなった人の所得税申告
10か月以内相続税申告・納税税務署、税理士遺産分割、評価、特例適用が重要
3年以内相続登記法務局、司法書士2024年4月1日から義務化
原則1年以内遺留分侵害額請求の意思表示相続人、弁護士相続開始と侵害を知った時から進行

会社株式や事業がある場合は、一般的な相続対策だけでは足りません。次の表は、中小企業オーナーの相続で関与しやすい専門家と役割を示しています。株式評価、議決権、遺留分、納税資金、個人保証M&Aや廃業可能性を横断して読む必要があります。

専門家主な役割
税理士株式評価、相続税、贈与税、事業承継税制、納税資金
公認会計士財務分析、株式価値、M&A、内部管理
弁護士株式承継、遺留分、会社法、紛争対応
司法書士役員変更、不動産登記、会社登記
中小企業診断士経営改善、後継者育成、承継計画
金融機関借入、保証、資金繰り、M&A支援
社会保険労務士役員・従業員、退職金、労務管理

相続放棄や債務対策では、金銭消費貸借契約書、住宅ローン資料、事業借入資料、保証契約書、根抵当権設定契約書、リース契約、税金・社会保険料の未納状況、親族・知人の借入保証を整理します。財産を処分すると単純承認と評価される可能性があるため、借金が疑われる場合は死亡後すぐに専門家へ相談することが重要です。

Section 08

70代の相続対策は専門家の役割とケース別論点を分ける

相談先の使い分けと、家族構成・財産別の対策を整理します。

専門家の使い分けは、相続対策の品質に直結します。次の一覧は、中核専門職、不動産関係、家庭裁判所関係、会社・特殊財産、公的・周辺実務の役割を整理したものです。何を相談したいかによって窓口が変わる点を読み取ってください。

分類相談先主な場面
中核専門職弁護士、司法書士、税理士、行政書士、公証人、遺言執行者、信託銀行等紛争、登記、税務、書類整理、公正証書、遺言執行
不動産関係不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士・不動産仲介業者評価、境界、測量、分筆、査定、売却
家庭裁判所関係裁判官、家事調停官、調停委員、書記官、調査官、鑑定人、専門委員遺産分割、遺留分、成年後見、特別代理人
会社・特殊財産公認会計士、中小企業診断士、弁理士、FP、社会保険労務士非上場株式、事業承継、知的財産、老後資金、遺族年金
公的・周辺実務遺言書保管官、市区町村、医師、銀行、生命保険会社遺言保管、戸籍、死亡診断、相続手続、保険請求

次の一覧は、家族構成や財産内容ごとに検討する対策をまとめたものです。ケースごとの違いは、配偶者保護、前婚の子、不動産処分、会社株式、子どもがいない夫婦のように、争点がどこに集中するかで読み取ります。

CASE 1

配偶者と子2人、自宅と預金が中心

夫婦それぞれの財産目録、一次・二次相続の試算、小規模宅地等の特例、公正証書遺言、保険受取人、付言事項を検討します。

CASE 2

再婚家庭で前婚の子がいる

公正証書遺言、配偶者居住権、遺留分対策、生命保険による金銭原資、専門家である遺言執行者を検討します。

CASE 3

地方に不要土地・空き家がある

登記名義、共有者、境界、老朽化、固定資産税、売却可能性を確認し、売却、隣地譲渡、解体、寄附、国庫帰属を比較します。

CASE 4

自社株を持つ会社経営者

後継者、株式評価、議決権、遺留分、納税資金、個人保証、役員退職金を整理します。

CASE 5

子どもがいない夫婦

夫婦それぞれの公正証書遺言、予備的遺言、任意後見、死後事務委任、遺言執行者指定を検討します。

Section 09

70代の相続対策チェックリストで抜け漏れを確認する

財産、遺言、税務、不動産、認知症対策を最後に点検します。

最後に、70代からの相続対策で確認したい項目を一覧にします。次の表は、財産、遺言、税務、不動産、認知症対策の5領域をまとめたものです。チェックの目的は、抜けを探すことであり、すべてを一度に実行することではありません。

領域主な確認項目
財産確認預貯金、証券、生命保険、不動産、固定資産税通知、名寄帳、借入金、保証債務、過去贈与、家族名義口座、デジタル資産、会社株式
遺言公正証書遺言、遺留分、不動産共有回避、遺言執行者、予備的遺言、付言事項、判断能力記録、定期見直し
税務基礎控除、概算試算、配偶者軽減、二次相続、小規模宅地等の特例、生命保険非課税枠、生前贈与加算、相続時精算課税、納税資金
不動産相続登記、登記名義、共有不動産、境界確定、売却可能性、空き家、固定資産税、修繕費、国庫帰属制度
認知症対策任意後見、財産管理委任、見守り、死後事務委任、民事信託、医療・介護費、重要書類保管場所、家族への情報共有

次の強調表示は、70代の相続対策の結論を示しています。読者にとって重要なのは、税金を減らすことだけを目的にせず、本人の生活、相続人間の対立予防、財産承継、期限内手続を一体で設計することです。

70代からでも相続対策は十分に可能です

ただし、判断能力、生活資金、遺言、不動産、税務、認知症対策を、専門家の力を借りて早急に順序立てることが不可欠です。

Section 10

70代からの相続対策でよくある質問

FAQは一般的な制度説明として、個別判断を避けて整理します。

以下は、70代からの相続対策でよくある疑問を一般情報として整理したものです。家族構成、財産内容、判断能力、税務状況によって結論が変わる可能性があるため、具体的な対応は資料を整理したうえで専門家に相談する必要があります。

70代で相続対策を始めるのは遅くありませんか

一般的には、判断能力が十分で、財産内容を把握でき、専門家と相談できる状態であれば、遺言、相続税試算、生前贈与、不動産整理、任意後見、民事信託などを検討できます。ただし、健康状態や判断能力によって実行可能な手段は変わります。

まず何から始めればよいですか

一般的には、財産目録と推定相続人一覧を作ることが出発点です。そのうえで、不動産、相続税、家族関係、判断能力、債務を確認します。いきなり贈与や売却を進めると、生活資金不足や紛争につながる可能性があります。

公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらがよいですか

一般的には、財産が単純で紛争リスクが低い場合は自筆証書遺言も選択肢になります。一方で、70代で不動産、再婚、相続人不仲、遺留分、判断能力の争いが予想される場合は、公正証書遺言を優先的に検討することが多いです。

毎年110万円ずつ贈与すれば相続税対策になりますか

一定の効果がある場合もありますが、相続開始前贈与加算、名義預金、遺留分、特別受益、本人の生活資金不足、贈与税申告の要否を確認する必要があります。2024年以後の贈与については加算期間が段階的に7年へ延長される点も重要です。

相続税がかからない家庭でも対策は必要ですか

一般的には、相続税がかからなくても、遺産分割、不動産名義変更、預金解約、空き家管理、相続人不仲、相続放棄、認知症対策は発生し得ます。不動産がある場合は相続登記義務化への対応も必要です。

介護した子に多く相続させることはできますか

遺言で多く残す設計は可能ですが、他の相続人の遺留分を侵害する場合は遺留分侵害額請求が起こる可能性があります。介護記録、支出記録、付言事項、生命保険、代償金などを組み合わせて検討する必要があります。

認知症になってからでも家族信託はできますか

信託契約には本人の判断能力が必要です。すでに判断能力が不十分な場合、新たな信託契約の有効性に問題が生じる可能性があります。その場合は成年後見制度など別の制度を検討する必要があります。

相続登記をしないとどうなりますか

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。相続により不動産を取得した相続人は、原則として取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があり、正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

専門家は誰に最初に相談すべきですか

一般的には、争いがある場合は弁護士、不動産の名義変更や相続登記が中心なら司法書士、相続税が発生しそうなら税理士、公正証書遺言なら公証人、不動産評価が争点なら不動産鑑定士、境界や分筆なら土地家屋調査士が候補になります。複数の問題がある場合は連携して確認する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

  • 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 日本公証人連合会「遺言」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 国税庁「相続税の計算」
  • 国税庁「相続税の申告と納税」
  • 国税庁「配偶者の税額の軽減」
  • 国税庁「小規模宅地等の特例」
  • 国税庁「相続税がかかる財産 死亡保険金」
  • 国税庁「相続開始前に贈与があったとき」
  • 国税庁「相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「土地家屋の評価」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「特別代理人選任」
  • 裁判所「後見開始」
  • 法務省「任意後見制度」
  • 厚生労働省「成年後見制度利用促進」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度」