国税庁の令和6年分統計を基礎に、相続税が課税された相続の割合、数字の読み方、基礎控除、申告が必要になりやすい場面を整理します。
国税庁の令和6年分統計を基礎に、相続税が課税された相続の割合、数字の読み方、基礎控除、申告が必要になりやすい場面を整理します。
令和6年分の公的統計では、亡くなった人全体を分母にした課税割合が10.4%でした。
相続税を払う人は全体の何割いるのかという問いに対する統計上の答えは、令和6年分では10.4%、約1.04割です。日常的には「およそ10人に1人」と表現できます。
この数字は、相続人一人ひとりの割合ではありません。国税庁が公表する課税割合は、亡くなった人全体のうち、相続税額のある申告書に係る被相続人が占める割合です。令和6年分では、死亡者数1,605,378人に対し、税額のある申告書に係る被相続人数は166,730人でした。
次の強調表示は、この記事全体で最も重要な結論を表しています。統計の分母を取り違えると自分のリスクを過小評価しやすいため、数字そのものよりも「亡くなった人単位の割合」であることを読み取ることが重要です。
国税庁統計では10.4%と表示されます。正確には「相続税が課税された相続は、亡くなった人全体の約1割」です。
なお、令和6年分の「相続税の納税者である相続人数」は361,260人です。これは実際に税額を負担する相続人等の人数として重要ですが、全相続人を分母にした割合は同じ資料から直接計算できません。家族構成、遺言、相続放棄、包括受遺者の有無などにより相続人の総数が変わるためです。
次の3つの要点は、相続税を払う割合を読むときの前提を整理したものです。数字の意味、申告の有無、個別判断の順に見ると、全国平均だけで安心できない理由が分かります。
10.4%は、税額のある相続の件数を死亡者数で割った割合です。相続人全員のうち何%が納めたかではありません。
相続税額のない申告書に係る被相続人数は39,755人です。特例により納税額がゼロでも申告が必要になることがあります。
東京都の課税割合は20.0%です。土地、有価証券、生命保険、生前贈与、相続人の数によって個別の結論は大きく変わります。
令和5年分から令和6年分にかけて、課税割合、納税者数、課税価格、申告税額はいずれも増えています。
令和6年分の相続税統計では、課税割合は令和5年分の9.9%から10.4%へ上昇しました。次の比較表は、前年との差を一覧で示しています。増減率を見ることで、単に割合が増えただけでなく、課税価格と申告税額の総額も増えていることを読み取れます。
| 指標 | 令和5年分 | 令和6年分 | 対前年増減・比率 |
|---|---|---|---|
| 被相続人数(死亡者数) | 1,576,016人 | 1,605,378人 | 101.9% |
| 相続税額のある申告書に係る被相続人数 | 155,740人 | 166,730人 | 107.1% |
| 課税割合 | 9.9% | 10.4% | +0.5ポイント |
| 相続税の納税者である相続人数 | 339,098人 | 361,260人 | 106.5% |
| 課税価格 | 21兆6,335億円 | 23兆3,846億円 | 108.1% |
| 申告税額 | 3兆53億円 | 3兆2,446億円 | 108.0% |
| 被相続人1人当たり税額 | 1,930万円 | 1,946万円 | 100.8% |
次の割合の比較は、税額ありの相続、税額なし申告を含む申告ありの相続、納税者人数という3つの見方を表しています。読者にとって重要なのは、同じ「相続税を払う人」という言葉でも、分母と分子の取り方で意味が変わる点を読み分けることです。
令和6年分の申告事績は、令和7年10月31日までに提出された申告書データを基に作成されています。統計として読むときは、各年の相続発生と申告期限の関係により、公表時期が後ろにずれる点も押さえておくと理解しやすくなります。
被相続人、相続人、受遺者、納税者、課税割合の違いを整理します。
相続税は、亡くなった本人が死後に納める税金ではありません。相続や遺贈によって財産を取得した相続人・受遺者などが納税義務者になります。一方で、国税庁の課税割合は、相続税が発生した相続の件数を把握するため、亡くなった人を単位として計算されています。
次の用語一覧は、統計を読むときに混同しやすい主体を分けて示しています。どの単位で数えているかが違うため、課税割合10.4%と納税者数361,260人を同じ種類の割合として比べないことが重要です。
相続において亡くなった人です。課税割合の分母は、厚生労働省の人口動態統計に基づく死亡者数です。
相続人は民法上の承継者、受遺者は遺言により財産を受け取る人です。税額を負担する側の人数把握に関わります。
相続税額のある申告書に係る被相続人数を、死亡者数で割って100を掛けた割合です。
税額のない申告書がある点も重要です。令和6年分では、相続税額のない申告書に係る被相続人数が39,755人でした。税額ありの166,730人と単純合計すると206,485人で、死亡者数に対する割合は約12.9%です。ただし、この数字は相続税を払った割合ではありません。
平成27年の基礎控除引下げ以降、課税割合は8%台から10%台へ上昇しました。
相続税の課税割合は、平成27年分以降おおむね上昇傾向にあります。次の推移表は、制度改正後の大まかな流れを示しています。平成27年以降の水準を見ることで、「昔は一部の富裕層だけ」という理解が現在では単純すぎることを読み取れます。
| 年分 | 課税対象被相続人数の概数 | 課税割合 |
|---|---|---|
| 平成27年分 | 約103千人 | 8.0% |
| 平成28年分 | 約106千人 | 8.1% |
| 平成29年分 | 約112千人 | 8.3% |
| 平成30年分 | 約116千人 | 8.5% |
| 令和元年分 | 約115千人 | 8.3% |
| 令和2年分 | 約120千人 | 8.8% |
| 令和3年分 | 約134千人 | 9.3% |
| 令和4年分 | 約151千人 | 9.6% |
| 令和5年分 | 約156千人 | 9.9% |
| 令和6年分 | 約167千人 | 10.4% |
次の比較グラフは、制度改正前後と最新値の課税割合を並べたものです。平成26年分の4.4%から令和6年分の10.4%まで広がっているため、都市部の自宅不動産や金融資産がある一般世帯でも検討対象になりやすいことを読み取れます。
大きな制度的要因は、平成27年1月1日以後の相続等について適用された基礎控除の引下げです。平成26年分の課税割合は4.4%、平成27年分は8.0%であり、改正前後で課税対象が大きく広がりました。
正味の遺産額が基礎控除額を超えるかどうかが、最初の大きな判定軸です。
相続税がかかるかどうかの第一の基準は、正味の遺産額が基礎控除額を超えるかどうかです。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算します。
次の一覧は、法定相続人の数ごとの基礎控除額を示しています。相続人の数が少ないほど控除額が小さくなるため、同じ遺産額でも課税対象になりやすいことを読み取れます。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
| 6人 | 6,600万円 |
次の判断の流れは、基礎控除だけで終わらせず、特例や評価の不確実性まで確認する順番を表しています。読者にとって重要なのは、単純な財産総額ではなく課税価格を見て、必要に応じて専門職に確認する場面を見分けることです。
戸籍を基に人数を確認し、基礎控除額を出します。
財産、債務、葬式費用、非課税財産、生前贈与を確認します。
超える場合は申告・納税の検討が必要になります。
特例、控除、納税資金、期限を確認します。
名義預金、過去の贈与、不動産評価の誤差を見直します。
正味の遺産額は、預貯金残高や不動産の売買価格を足すだけではありません。遺産総額と相続時精算課税適用財産から、非課税財産、債務、葬式費用を控除し、加算対象の暦年課税贈与財産を加える考え方です。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与については、相続税の課税価格に加算される対象期間が段階的に7年へ延長されています。
相続放棄をした人がいても、基礎控除計算では放棄がなかったものとした相続人の数を用います。また、養子を法定相続人に含める数には、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までという制限があります。戸籍上の相続関係の整理は、税額判定の出発点です。
相続税は各人の取得額に単純に税率を掛ける仕組みではありません。
相続税の総額は、各人が実際に取得した財産へ単純に税率を掛ける仕組みではありません。課税価格の合計額から基礎控除を差し引き、法定相続分に従って取得したものと仮定して税率を適用し、その後に実際の取得割合で配分します。
次の手順図は、申告実務で整理する大まかな順番を表しています。どの段階で基礎控除、法定相続分、税額控除が入るかを読み取ることで、速算表を誤って使うリスクを下げられます。
相続財産、みなし相続財産、生前贈与等を整理します。
非課税財産、債務、葬式費用などを反映します。
各人の課税価格を計算し、合計額を出します。
課税遺産総額を計算します。
法定相続分どおりに取得したものとして税額を出します。
実際の取得割合に応じて税額を割り振ります。
配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、贈与税額控除などを確認します。
次の速算表は、法定相続分に応ずる取得金額ごとの税率と控除額を示しています。表の金額は各相続人が実際にもらった金額へ直接掛けるものではなく、相続税の総額を出す過程で使う点を読み取る必要があります。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
たとえば、子2人だけが相続人で、正味の遺産額が6,000万円の場合、基礎控除額は4,200万円です。課税遺産総額は1,800万円、各子の法定相続分に応ずる取得金額は900万円となり、税率10%で子1人分90万円、相続税の総額は180万円となります。実務では各種控除、特例、端数処理、税額加算が加わるため、正確な申告には税理士の確認が必要です。
令和6年分の課税対象相続では、現金・預貯金等の構成比が土地を上回りました。
令和6年分の相続税額のある申告書に係る相続財産では、現金・預貯金等34.9%、土地30.2%、有価証券17.8%、家屋4.8%、その他12.3%でした。以前は土地持ちの税金という印象が強く語られましたが、金融資産も大きな構成要素です。
次の割合の比較は、課税対象相続に含まれる財産種類の構成を表しています。相続税を払う可能性を考えるうえでは、不動産だけでなく、預貯金、有価証券、保険、退職金、生前贈与を合わせて見る必要があることを読み取れます。
次の注意要素の一覧は、相続税の要否判定で誤差が出やすい財産や論点をまとめたものです。該当する項目が多いほど、概算だけで判断せず、評価・申告・分割の関係を確認する重要性が高まります。
路線価方式、倍率方式、不整形地、借地権、貸宅地、共有、境界未確定などで評価差が出ます。
上場株式は評価時点の確認が必要です。非上場株式は会社規模、純資産、類似業種比準、支配関係が絡みます。
名義だけでなく、資金の出所、管理支配、贈与契約書、贈与税申告、相続開始前加算の対象を確認します。
海外口座、海外証券、海外不動産は、租税条約等に基づく情報交換制度も踏まえて整理が必要です。
令和6事務年度の相続税調査では、実地調査件数9,512件、申告漏れ等の非違件数7,826件、非違割合82.3%、追徴税額合計824億円とされています。国税庁は、申告額が過少と想定される事案や無申告と想定される事案等を対象に調査を実施しています。
全国平均10.4%だけでは、都市部の不動産を持つ世帯のリスクを測れません。
全国平均は10.4%ですが、東京国税局管内では16.2%、東京都では20.0%です。東京都では、統計上は亡くなった人の約5人に1人の相続で相続税が課税されたことになります。
次の比較グラフは、全国、東京国税局管内、東京都の課税割合を並べたものです。地域による差が大きいため、読者は全国平均ではなく、自宅や収益不動産の所在地、地価、金融資産の規模を踏まえて読む必要があります。
次の表は、東京国税局管内と東京都の具体的な人数を整理したものです。死亡者数に占める課税対象の割合だけでなく、全国に対する申告税額の集中も読み取ると、都市部の資産評価が相続税に与える影響を理解しやすくなります。
| 地域 | 被相続人数 | 税額ありの被相続人数 | 課税割合 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 1,605,378人 | 166,730人 | 10.4% | 基準となる全国統計 |
| 東京国税局管内 | 328,773人 | 53,379人 | 16.2% | 申告税額では全国の43.9%を占める |
| 東京都 | 140,329人 | 28,085人 | 20.0% | 約5人に1人の水準 |
| 千葉県 | 資料上の県別値 | 資料上の県別値 | 11.3% | 同じ管内でも差がある |
東京都心部、神奈川県・愛知県・大阪府の一部、駅近の住宅地、再開発地域、収益不動産を持つ世帯では、土地評価だけで基礎控除を超えることがあります。反対に、財産が自宅と少額預金のみで基礎控除内に収まる場合には、課税可能性は下がります。
基礎控除を超える場合の申告期限と、特例適用のための申告を分けて考えます。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うのが原則です。提出先は、相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。
次の時系列は、10か月以内に必要になりやすい作業を並べたものです。期限が先に見えても、戸籍収集、財産調査、不動産評価、遺産分割、納税資金の準備が並行するため、早い段階から逆算して読むことが重要です。
出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、相続関係を整理します。
預貯金、不動産、有価証券、保険、退職金、借入金、葬式費用、生前贈与を確認します。
遺産分割協議、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、納付方法を確認します。
期限までに申告し、原則として金銭で納付します。遅れや過少申告では加算税・延滞税が問題になる場合があります。
次の一覧は、税額がゼロになり得る一方で申告が問題になりやすい制度をまとめたものです。税額の有無だけで申告不要と決めず、制度適用に申告書や添付書類が必要かを読み取ることが重要です。
一定の事業用・居住用宅地等について課税価格を減額する制度です。適用には要件、申告書への記載、計算明細書、遺産分割協議書の写し等が問題になります。
配偶者が取得した正味の遺産額が、1億6千万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税がかからない制度です。
期限までに分割がまとまらない場合でも申告期限は原則として延びません。仮の申告、後日の修正申告や更正の請求、分割見込書などが問題になります。
配偶者が多く取得すると一次相続の税負担は下がることがありますが、次にその配偶者が亡くなった二次相続で基礎控除が減り、税負担が増えることがあります。配偶者の生活保障、納税資金、二次相続、遺留分、家族関係を総合的に考える必要があります。
戸籍、財産目録、評価、基礎控除、申告要否判定の順に確認します。
自分が相続税を払う側かを判断するには、全国平均を見るだけでは足りません。まず法定相続人を確定し、財産目録を作り、相続税評価額を概算し、基礎控除額と比較します。
次の判断の流れは、一般の方が最初に確認する順番を示しています。前の段階が曖昧なまま次へ進むと、基礎控除額や評価額の前提が崩れるため、順番どおりに読むことが重要です。
出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、除籍・改製原戸籍を確認します。
預貯金、不動産、有価証券、保険、債務、葬式費用、生前贈与などを一覧化します。
土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額を基礎に確認します。
課税価格の合計額が基礎控除額を超えるかを確認します。
国税庁の申告要否判定コーナーは入口として使い、土地評価や特例がある場合は最終判断を補強します。
次の表は、財産目録を作るときに確認する資料の例です。資料の種類ごとに取得先や確認項目が異なるため、何が不足しているかを読み取り、申告期限から逆算して集めることが重要です。
| 区分 | 確認資料の例 |
|---|---|
| 預貯金 | 通帳、残高証明書、取引履歴 |
| 現金 | 自宅保管現金、金庫、貸金庫 |
| 土地 | 登記事項証明書、固定資産税課税明細書、路線価図、評価倍率表 |
| 建物 | 固定資産税評価証明書、登記事項証明書 |
| 有価証券 | 証券会社の残高証明書、取引報告書 |
| 生命保険 | 保険証券、支払通知書、契約内容照会 |
| 死亡退職金 | 勤務先の支払通知書 |
| 貸付金・未収金 | 契約書、返済履歴 |
| 借入金・未払金 | 金銭消費貸借契約書、請求書、医療費、施設費 |
| 葬式費用 | 領収書、支払明細 |
| 生前贈与 | 贈与契約書、通帳履歴、贈与税申告書 |
| 海外資産 | 海外口座、海外証券、不動産、外国保険 |
課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合は、原則として申告検討が必要です。基礎控除額以下に見える場合でも、土地評価の不確実性、名義預金、過去の贈与、保険、非上場株式がある場合は再確認が必要です。
約1割に入るかどうかだけでなく、入った場合に現金で払えるかが実務上の焦点です。
相続税は、申告期限までに申告し、原則として金銭で一括納付します。相続財産が不動産中心で手元資金が少ない場合、税額は出るのに現金がないという問題が起きます。
次の選択肢の一覧は、納税資金に困る場合に検討される制度や対応を整理したものです。利用には要件や期限があるため、単に制度名を知るだけでなく、申告期限までに準備が必要な点を読み取ることが重要です。
原則的な納付方法です。預貯金、保険金、売却代金など、期限内に使える資金を確認します。
原則相続税額が10万円を超え、金銭納付が困難で、担保提供など一定要件を満たす場合に年賦で納める制度です。利子税がかかります。
要申請延納によっても金銭納付が困難な場合などに、一定の財産で納める制度です。不動産、国債証券、上場株式等に順位があります。
最終手段に近い売却、代償分割、生命保険、納税用預金、遺言、信託などを早めに検討します。
生前対策延納は自動的に認められるものではなく、申告期限までの申請、担保、納付困難理由の整理が必要です。不動産の売却予定がある場合でも、売却時期と納期限が合わないと延滞の問題が生じます。
物納は、管理処分不適格財産、境界未確定、共有、権利関係の問題などで認められにくい場合があります。物納を期待する前に、現金化、分割方法、保険、資金繰りの設計を確認することが重要です。
不動産がある相続では、税務、登記、遺産分割が互いに影響します。
令和6年4月1日から、相続登記の申請義務化が始まっています。相続により不動産の所有権を取得した相続人は、そのことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられています。正当な理由がないのに申請を怠った場合には10万円以下の過料の対象になるとされています。
次の時系列は、相続税の10か月期限と相続登記の3年期限を並べたものです。期限は違いますが、不動産の評価、誰が取得するか、遺産分割協議書の内容が両方に影響するため、早い段階から一体で読むことが重要です。
登記簿、固定資産税資料、戸籍を確認し、評価と名義変更の前提を整えます。
誰が不動産を取得するかが税額、小規模宅地等の特例、納税資金に影響します。
遺産分割協議書、戸籍、印鑑証明書等を基に、取得者名義への登記を進めます。
令和6年4月1日より前に開始した相続で取得した不動産についても、未登記であれば義務化の対象となり、原則として令和9年3月31日までに相続登記をする必要があるとされています。不動産がある相続では、税理士と司法書士が早期に情報共有し、争いがある場合は弁護士が遺産分割方針を整理する体制が望ましいといえます。
税務、法務、登記、評価、資金繰りは、複数専門職の連携領域です。
相続税を払う人が全体の約1割でも、自分がその1割に入るか、入る場合にどう申告し、どう納税し、どう分けるかは個別の財産構成で変わります。争いがあるのに税務だけで進めること、税額が出そうなのに分割だけで進めること、不動産があるのに登記を後回しにすることは避けたい進め方です。
次の比較表は、状況別に初回相談先の中心と補助的に関わる専門職を整理したものです。何を相談したいのかを先に分けると、税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの役割を読み取りやすくなります。
| 状況 | 初回相談先の中心 | 補助的に関わる専門職 |
|---|---|---|
| 相続税が発生しそう、申告要否が不明 | 税理士 | 司法書士、弁護士、FP |
| 遺産分割でもめている | 弁護士 | 税理士、司法書士、不動産鑑定士 |
| 不動産の名義変更が必要 | 司法書士 | 税理士、土地家屋調査士 |
| 相続不動産の評価が難しい | 税理士 | 不動産鑑定士、土地家屋調査士 |
| 境界、分筆、地積が問題 | 土地家屋調査士 | 司法書士、弁護士、税理士 |
| 相続不動産を売って分ける | 宅地建物取引士・不動産仲介業者 | 税理士、弁護士、司法書士 |
| 非上場株式・会社承継がある | 税理士 | 公認会計士、中小企業診断士、弁護士 |
| 遺言書を公正証書で作る | 公証人への手続支援は弁護士・司法書士等 | 税理士、信託銀行等 |
| 遺族年金など死亡後の社会保険手続 | 社会保険労務士 | 市区町村、年金事務所 |
| 争いのない書類整理 | 行政書士 | 税理士、司法書士 |
相続人間で対立がある場合、法律上の交渉・代理は弁護士の領域です。一方、相続税申告は税理士、相続登記は司法書士、不動産の時価評価は不動産鑑定士、境界や分筆は土地家屋調査士が中心になります。目的に応じて役割を分けることが、手続の遅れや判断ミスを防ぐ基本です。
全国平均、配偶者の取得、不動産評価、名義預金、無申告について一般的な注意点を整理します。
一般的には、全国平均は個別案件の安全性を保証するものではないとされています。東京都では令和6年分の課税割合が20.0%であり、都市部の不動産、預貯金、有価証券、生前贈与、相続人の数によって判断が変わる可能性があります。具体的な申告要否は、財産資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、配偶者の税額軽減により一次相続の税負担が大きく下がることがあります。ただし、申告要件、未分割財産、二次相続、遺留分、配偶者の生活資金、将来の判断能力低下リスクによって結論が変わる可能性があります。具体的な分け方は、税務と法律の両面から専門家へ相談する必要があります。
一般的には、建物は固定資産税評価額を基礎にすることが多い一方、土地は路線価方式または倍率方式などで評価するとされています。不整形地、貸宅地、共有、境界未確定などで評価が変わる可能性があります。具体的な評価は、税理士や不動産評価に関わる専門家へ相談する必要があります。
一般的には、名義だけで判断するのは危険とされています。資金の出所、管理支配、贈与の成立、通帳・印鑑の保管、贈与契約書、贈与税申告、受贈者が自由に使えたかなどで結論が変わる可能性があります。具体的には、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、国税庁は資料情報等を活用し、無申告事案や海外資産関連事案にも取り組んでいるとされています。申告の要否、加算税、延滞税、重加算税の可能性は財産内容や経緯で変わります。具体的な対応は、早い段階で税理士等の専門家へ相談する必要があります。
該当項目がある場合は、申告要否の確認価値が高くなります。
次の一覧は、相続税の申告要否を専門家に確認する価値が高い場面を整理したものです。読者は「いくつ当てはまるか」だけでなく、基礎控除に近い財産、不動産評価、過去の贈与、納税資金の不足が重なっていないかを読み取ることが重要です。
正味の遺産額が基礎控除額に近い、または超えそうな場合です。
都市部の自宅、賃貸不動産、駐車場、農地、山林、未登記不動産がある場合です。
相続人が1人または2人で、基礎控除額が比較的小さい場合です。
預貯金、証券、保険、退職金が合計で数千万円以上ある場合です。
生前贈与、子や孫名義の預金・証券、過去の贈与税申告がある場合です。
海外口座、海外証券、海外不動産、非上場株式、会社経営者の相続がある場合です。
相続についてのお尋ねや申告要否検討表が届いた場合です。
遺産分割がまとまらない、特例を使う、納税資金が不足し延納・物納や売却を検討する場合です。
相続税は、払う人が全体の多数派ではない一方で、該当する場合の金額、期限、手続負担、専門性は大きい税目です。相続開始後に慌てて調べるより、生前または相続開始直後に、財産目録、法定相続人、基礎控除、土地評価、納税資金を確認することが有用です。
全国統計、地域差、基礎控除、特例・控除、申告要件を順に確認します。
相続税を払う人は全体の何割いるのかという問いに対する公的統計上の答えは、令和6年分で10.4%、約1割です。これは、亡くなった人全体に対して、相続税額のある申告書に係る被相続人が占める割合です。
次の3段階は、統計から個別判断へ進むための考え方をまとめたものです。全国統計の数字だけで結論を出さず、自分の地域・財産構成・基礎控除との比較に進むことが重要です。
令和6年分の課税割合は10.4%です。これは死亡者数を分母にした統計上の割合です。
東京都では20.0%です。土地、預貯金、有価証券、生命保険、生前贈与、相続人の数で変わります。
課税価格の合計額と基礎控除額を比較し、特例、控除、申告要件、納税資金を確認します。
相続税が課税される相続は全体の多数派ではありません。ただし、該当する場合は金額も期限も手続負担も大きくなります。相続開始前後の早い段階で、法定相続人、財産目録、基礎控除、土地評価、納税資金を確認することが、過不足のない対応につながります。
公的機関の統計、制度解説、税務・登記に関する一次資料を中心に参照しています。