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税理士に依頼した後でも
相続人同士の協議は進めるのか

相続税申告を税理士に頼んでも、遺産分割の合意は相続人が行います。税務、法務、登記の役割分担と、期限から逆算した進め方を整理します。

10か月 相続税申告と納税の期限
3か月 相続放棄の原則期限
3年 相続登記義務化の目安
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税理士に依頼した後でも 相続人同士の協議は進めるのか

相続税申告を税理士に頼んでも、遺産分割の合意は相続人が行います。

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税理士に依頼した後でも 相続人同士の協議は進めるのか
相続税申告を税理士に頼んでも、遺産分割の合意は相続人が行います。
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  • 税理士に依頼した後でも 相続人同士の協議は進めるのか
  • 相続税申告を税理士に頼んでも、遺産分割の合意は相続人が行います。

POINT 1

  • 税理士に依頼した後でも協議は相続人が進めるのが原則
  • 税務申告と遺産分割の合意形成は、役割が違います。
  • 税理士は相続税申告、財産評価、税額試算、未分割申告、税務調査対応などの税務領域を担います。
  • この整理が重要なのは、税理士へ依頼したことで協議主体まで移ると誤解すると、申告期限や特例適用に影響するためです。

POINT 2

  • 税理士依頼後の協議を考える法的枠組み
  • 1. 相続人と財産を確認:戸籍、遺言、財産目録、債務を整理します。
  • 2. 相続人間で合意できるか確認:誰が何を取得するかを話し合います。
  • 3. 弁護士や家庭裁判所手続を検討:交渉、調停、審判、証拠整理が問題になります。
  • 4. 協議書と税務申告へ反映:税理士と司法書士へ内容を共有します。

POINT 3

  • 税理士ができることとできないこと
  • 税務上の説明と、相続人間の法的交渉代理は分けて考えます。
  • 相続税の申告期限は原則10か月であり、分割がまとまらなくても期限は延びません。
  • 区別が重要なのは、事務連絡や税務説明と、対立する相続人の権利を代理して交渉することは性質が異なるためです。
  • 行為ごとに、税務業務の範囲か、弁護士領域に近いかを読み取ってください。

POINT 4

  • 税理士に依頼した後の遺産分割協議の進め方
  • 1. 遺言と相続放棄の初期確認:死亡届、葬儀、遺言の有無、借金の可能性を確認します。
  • 2. 相続人調査と財産調査:相続放棄は原則として自己のために相続開始を知った時から3か月以内の申述が必要です。
  • 3. 税理士へ資料提出:財産評価と概算税額を確認し、分割案を複数作ります。
  • 4. 税額試算と納税資金確認:感情論だけでなく、数字と資金繰りを見て案を比べます。
  • 5. 協議書、申告、納税:署名押印、印鑑証明書、登記、金融機関手続、未分割申告の要否を確認します。

POINT 5

  • 相続人同士で進めてよいケースと危険なケース
  • 使い込み疑い
  • 取引履歴、判断能力、贈与意思、委任関係、証拠評価が問題になり、弁護士の関与が必要になりやすいです。
  • 遺言の争い
  • 遺言能力、方式、遺留分、遺言執行者の権限などは法的確認が必要です。

POINT 6

  • 相続税申告期限と相続登記義務化を並行して見る
  • 1. 相続放棄の検討:借金が疑われる場合は、自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内の申述が問題になります。
  • 2. 相続税申告と納税:協議がまとまらなくても期限内申告が必要です。
  • 3. 分割後の更正の請求:分割があったことを知った日の翌日から4か月以内が問題になる場合があります。
  • 4. 特例期限と相続登記:申告期限後3年以内の分割見込書や相続登記義務化を意識します。

POINT 7

  • 税理士、弁護士、司法書士の連携モデル
  • 誰がどの資格で何を担当するかを明確にします。
  • 相続では、1人の専門職だけですべてを処理できるとは限りません。
  • 専門職ごとの主な役割と連携場面を読み取ってください。
  • 各役割が合意形成や判断にどう関わるかを読み取ってください。

POINT 8

  • 相続人が税理士に伝えるべきことと失敗例
  • 事実を早く共有し、協議と申告のずれを防ぎます。
  • 土台をそろえる
  • 同じ資料で話す
  • 手続へつなげる

まとめ

  • 税理士に依頼した後でも 相続人同士の協議は進めるのか
  • 税理士に依頼した後でも協議は相続人が進めるのが原則:税務申告と遺産分割の合意形成は、役割が違います。
  • 税理士依頼後の協議を考える法的枠組み:協議の主体、用語、家庭裁判所手続を分けて理解します。
  • 税理士ができることとできないこと:税務上の説明と、相続人間の法的交渉代理は分けて考えます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

税理士に依頼した後でも協議は相続人が進めるのが原則

税務申告と遺産分割の合意形成は、役割が違います。

税理士に相続税申告を依頼した後でも、遺産を誰がどのように取得するかという協議は、原則として相続人自身が進め、相続人自身が合意します。税理士は相続税申告、財産評価、税額試算、未分割申告、税務調査対応などの税務領域を担います。

次の比較表は、よくある疑問と実務上の整理をまとめたものです。この整理が重要なのは、税理士へ依頼したことで協議主体まで移ると誤解すると、申告期限や特例適用に影響するためです。左列で疑問、右列で税務と法務の役割の違いを読み取ってください。

問い実務上の整理
税理士が相続人同士の話し合いもまとめてくれるのか原則として、対立する相続人の法的交渉代理は税理士の役割ではありません。
相続人同士で協議してよいのか共同相続人は、原則として協議により遺産分割をすることができます。
税理士は協議に関われないのか税務上の影響説明、財産評価、申告期限管理、分割案ごとの税額試算には関われます。
もめた場合は誰に頼むのか交渉、調停、審判、訴訟、遺留分、使い込み疑いは弁護士が中心になります。
不動産の名義変更は誰に頼むのか相続登記や不動産名義変更は司法書士が中心になります。
協議が終わらないと申告期限は延びるのか延びません。未分割でも期限内申告が必要です。
要点税理士に依頼することは、協議を省略することではありません。税務上の正確な情報を得て、相続人が適切に意思決定するための基盤を作ることです。
Section 01

税理士依頼後の協議を考える法的枠組み

協議の主体、用語、家庭裁判所手続を分けて理解します。

相続人が複数いる場合、遺産分割の内容を決めるのは相続人です。専門職は意思決定を支えることはできますが、専門職自身が相続人の代わりに財産の取得者を決めることはできません。民法907条は、一定の場合を除き、共同相続人が協議により遺産の全部または一部を分割できることを定めています。

次の一覧は、協議を理解するための基本用語を整理したものです。用語の意味をそろえることが重要なのは、税務申告、登記、裁判所手続で同じ言葉が違う場面に出てくるためです。各項目で、誰の手続なのか、何を決めるのかを読み取ってください。

相続人

亡くなった人の権利義務を承継する法律上の地位を持つ人です。配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹などが民法の順位に従って相続人になります。

原因

被相続人

亡くなって相続の原因となった人をいいます。相続税申告では死亡日や住所、本籍などの確認が出発点です。

合意

遺産分割協議

共同相続人が、相続財産を誰がどのように取得するかを話し合って決めることです。

書面

遺産分割協議書

成立した協議内容を書面化したものです。預金払戻し、不動産登記、税務申告の添付資料で重要になります。

税務

未分割申告

分割が未成立でも、法定相続分等に従って取得したものとして期限内に申告する実務上の処理です。

協議が調わないとき、または協議できないときは、家庭裁判所の遺産分割調停または審判に進むことがあります。調停では資料提出や鑑定を行い、合意を目指します。調停が不成立になると審判手続が開始され、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。

次の判断の流れは、協議が進む場合と家庭裁判所手続へ移る場合を表します。分岐を見ることが重要なのは、税理士が税務試算を示せても、対立が強い場面では法的手続の検討が必要になるためです。合意できるかどうかの分岐と、その後の相談先を読み取ってください。

協議が進むかを確認する順番

相続人と財産を確認

戸籍、遺言、財産目録、債務を整理します。

相続人間で合意できるか確認

誰が何を取得するかを話し合います。

対立が強い
弁護士や家庭裁判所手続を検討

交渉、調停、審判、証拠整理が問題になります。

合意できる
協議書と税務申告へ反映

税理士と司法書士へ内容を共有します。

Section 02

税理士ができることとできないこと

税務上の説明と、相続人間の法的交渉代理は分けて考えます。

税理士に相続を依頼した場合、相続税申告の要否判定、財産評価、分割案ごとの税額試算、配偶者の税額軽減と未分割の関係、未分割申告と分割見込書などが中心になります。相続税の申告期限は原則10か月であり、分割がまとまらなくても期限は延びません。

次の比較表は、税理士が関与し得ることと慎重に整理すべきことを表します。区別が重要なのは、事務連絡や税務説明と、対立する相続人の権利を代理して交渉することは性質が異なるためです。行為ごとに、税務業務の範囲か、弁護士領域に近いかを読み取ってください。

行為税理士の関与注意点
相続税申告に必要な資料リストを出す可能税務業務の中心です。
分割案ごとの相続税額を試算する可能税務上の効果説明です。
相続人全員に申告期限を知らせる可能事務連絡として整理できます。
合意済み内容を税務申告に反映する可能協議成立が前提です。
対立中の相続人に一方の案を受け入れるよう迫る慎重法的交渉に近づく可能性があります。
一方の代理人として他の相続人と交渉する原則不可弁護士の領域です。
調停、審判、訴訟の代理不可弁護士の領域です。

次の比較表は、分割案ごとに税理士が確認する税務上の論点を整理したものです。案を比較することが重要なのは、税額が少ない案が家族全体の最適解とは限らず、二次相続、納税資金、不動産の管理負担も関係するためです。各案について、税務上の検討点を読み取ってください。

分割案内容税務上の検討点
案A配偶者が自宅と預金の大半を取得配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、二次相続リスク
案B子が自宅を取得し、配偶者は預金を取得小規模宅地等の特例の適用可否、納税資金
案C不動産を売却して換価分割譲渡所得税、売却時期、取得費、空き家特例等
案D長男が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う代償分割の税務処理、資金調達、過不足
注意税理士が中立的に日程調整や税額説明をする場面と、一方の相続人の主張を代理して相手を説得する場面は区別する必要があります。争いがある場合は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 03

税理士に依頼した後の遺産分割協議の進め方

税務と合意形成を分けつつ、10か月の期限から逆算します。

税理士に依頼したら、相続税申告のための線と、相続人間の合意形成の線を分けて考えます。前者は財産評価、税額試算、申告期限、納税資金、特例適用を管理します。後者は誰がどの財産を取得するか、代償金を払うか、不動産を売るか、共有にするかを話し合います。

次の比較表は、相続人全員で共有すべき情報をまとめたものです。情報共有が重要なのは、資料の偏りが不信感を生み、協議の遅れや未分割申告につながるためです。情報の種類、内容、主な担当を見比べ、どの資料を誰が集めるかを読み取ってください。

情報内容主な担当
相続人情報戸籍、相続関係説明図、法定相続情報一覧図司法書士、行政書士、弁護士、相続人
遺言の有無公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局保管相続人、公証役場、法務局、専門職
財産目録預金、不動産、株式、保険、貸付金、事業資産税理士、相続人、金融機関
税額試算分割案ごとの相続税額税理士
不動産評価税務評価、時価、売却見込額税理士、不動産鑑定士、宅建業者
争点使い込み、特別受益、寄与分、遺留分弁護士

次の時系列は、10か月の相続税申告期限を前提にした標準的な進行を表します。時期を分けることが重要なのは、7か月目以降に初めて本格協議を始めると、特例や納税資金の調整が間に合いにくくなるためです。上から下へ、いつ何を進めるかを読み取ってください。

死亡直後から1か月

遺言と相続放棄の初期確認

死亡届、葬儀、遺言の有無、借金の可能性を確認します。

1か月から3か月

相続人調査と財産調査

相続放棄は原則として自己のために相続開始を知った時から3か月以内の申述が必要です。

3か月から5か月

税理士へ資料提出

財産評価と概算税額を確認し、分割案を複数作ります。

5か月から7か月

税額試算と納税資金確認

感情論だけでなく、数字と資金繰りを見て案を比べます。

7か月から10か月

協議書、申告、納税

署名押印、印鑑証明書、登記、金融機関手続、未分割申告の要否を確認します。

Section 04

相続人同士で進めてよいケースと危険なケース

信頼関係、財産内容、争点、期限を見て、専門職追加の必要性を判断します。

相続人間の信頼関係が保たれ、遺産の内容が比較的単純で、全員が納得する分割方針があり、税務上の論点を税理士に確認できている場合は、相続人同士で協議を進めることが現実的です。一方、使い込み疑い、遺言の有効性、未成年者や後見利用者、不動産評価争い、非上場株式、情報独占がある場合は、早めに専門職追加を検討します。

次の一覧は、自分たちだけで進めると危険な場面をまとめたものです。危険場面を先に見分けることが重要なのは、協議書に署名した後ではやり直しが難しく、申告期限や登記期限も迫るためです。各項目で、税務だけでは解決しにくい理由を読み取ってください。

使い込み疑い

取引履歴、判断能力、贈与意思、委任関係、証拠評価が問題になり、弁護士の関与が必要になりやすいです。

遺言の争い

遺言能力、方式、遺留分、遺言執行者の権限などは法的確認が必要です。

未成年者や後見利用者

利益相反があると、家庭裁判所で特別代理人などの選任が必要になることがあります。

不動産評価争い

相続税評価、固定資産税評価、実勢価格、鑑定評価額、売却見込額が一致しないことがあります。

非上場株式や事業承継

経営権、議決権、遺留分、納税資金、事業承継税制、会社法上の手続が関係します。

情報独占

通帳、権利証、保険証券、取引履歴が開示されないと、不公平な協議になりやすくなります。

次の比較表は、相続人同士で進めやすい状態と専門職追加が必要になりやすい状態を比べたものです。この表が重要なのは、一つでも右欄に強く当てはまる場合、税理士だけでは支えきれない可能性があるためです。判断項目ごとに、現在の状況がどちらに近いかを確認してください。

判断項目進めやすい状態専門職追加が必要な状態
相続人間の関係連絡が取れ、資料開示に協力的連絡拒否、強い対立、感情的衝突
財産内容預金と自宅程度不動産多数、非上場株式、海外資産、債務多数
遺言内容明確で争いなし有効性、解釈、遺留分で争い
税務税理士が試算済み特例適用、未分割、納税資金に不安
不動産単純な名義変更境界、分筆、売却、共有解消、評価争い
相続人の属性成人で判断能力に問題なし未成年、成年後見、所在不明、海外居住
手続段階期限に余裕あり申告期限、相続放棄期限、登記期限が迫っている
Section 05

相続税申告期限と相続登記義務化を並行して見る

10か月、3か月、3年という期限を協議から切り離さないことが重要です。

相続税申告は通常、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。協議がまとまらない状態で放置すると、未分割申告になり、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を当初申告で使えない場合があります。分割後に修正申告または更正の請求が必要になることもあります。

次の比較表は、未分割申告の主なデメリットを整理したものです。デメリットを理解することが重要なのは、税理士に依頼しているだけでは協議遅れによる不利益を防げないためです。左列で不利益、右列で実務上起こることを読み取ってください。

デメリット内容
特例が使いにくい小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が当初申告で使えない場合があります。
納税資金が不安定誰がどの財産を取得するか未確定でも納税が必要です。
後日の手続が増える分割後に修正申告または更正の請求が必要になる場合があります。
争いが長期化する税務申告が終わっても、遺産分割問題は残ります。
追加費用の可能性当初申告と分割後の手続で追加対応が必要になることがあります。

不動産がある相続では、税理士に依頼した後でも相続登記の問題を別に考えます。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をする必要があります。遺産分割が成立した場合にも、成立日から3年以内の登記申請が問題になります。

次の時系列は、相続税申告、相続放棄、相続登記の主要期限を並べたものです。期限を並べて見ることが重要なのは、税務、法務、登記が別々に進み、どれか一つの遅れが全体の不利益につながるためです。短い期限から順に、早めに着手すべき作業を読み取ってください。

3か月

相続放棄の検討

借金が疑われる場合は、自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内の申述が問題になります。

10か月

相続税申告と納税

協議がまとまらなくても期限内申告が必要です。

4か月

分割後の更正の請求

分割があったことを知った日の翌日から4か月以内が問題になる場合があります。

3年

特例期限と相続登記

申告期限後3年以内の分割見込書や相続登記義務化を意識します。

Section 06

税理士、弁護士、司法書士の連携モデル

誰がどの資格で何を担当するかを明確にします。

相続では、1人の専門職だけですべてを処理できるとは限りません。税理士は税務、弁護士は紛争法務、司法書士は登記、行政書士は争いのない書類作成、不動産鑑定士は価格評価、土地家屋調査士は境界や分筆、宅地建物取引士は売却実務を担います。

次の比較表は、税理士依頼後に関係しやすい専門職の役割を整理したものです。役割分担が重要なのは、税務上よい案でも登記できない、登記できても税務上不利、法的には可能でも納税資金が不足する、といったずれを避けるためです。専門職ごとの主な役割と連携場面を読み取ってください。

専門職主な役割税理士依頼後の関係
弁護士相続人間の紛争、交渉、遺留分、使い込み疑い、調停、審判、訴訟もめた場合に最優先で連携
司法書士相続登記、不動産名義変更、登記用書類、戸籍収集不動産がある場合に連携
税理士相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応税務の主担当
行政書士紛争、税務、登記申請を除く書類作成争いのない書類整理で連携
不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅建士価格、境界、分筆、売却実務不動産の価格や処分で連携
公証人、遺言執行者、信託銀行等公正証書遺言、遺言内容の実現、遺言保管や執行支援遺言がある場合に協議範囲へ影響
公認会計士、中小企業診断士、弁理士、FP、社会保険労務士会社財務、事業承継、知的財産、家計、年金特殊財産や生活設計で連携
遺言書保管官、市区町村窓口、医師、金融機関遺言保管、死亡届、戸籍、死亡診断書、預金払戻し、保険金請求相続手続の出発点と周辺実務で関わる

次の比較表は、家庭裁判所の手続で関わる人を整理したものです。裁判所手続の登場人物を知ることが重要なのは、協議が調停や審判へ移ると、税額試算だけでなく、資料提出、鑑定、調書、調査報告などが問題になるためです。各役割が合意形成や判断にどう関わるかを読み取ってください。

関係者主な役割協議との関係
裁判官、家事調停官審判、手続指揮、調停事件での判断や進行合意できない場合の手続を進めます。
家事調停委員当事者の話を聴き、合意形成を支援調停で双方の主張と資料を整理します。
裁判所書記官、家庭裁判所調査官調書、記録管理、手続案内、事情調査記録や背景事情が整理されます。
鑑定人、専門委員価格や専門的事項について意見を述べる不動産価格や専門論点の整理に関わることがあります。
特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人利益相反がある未成年者や後見利用者を代理有効な協議を行うために必要になる場合があります。

次の一覧は、実務でよくある連携パターンを表します。パターンを確認することが重要なのは、早い段階で主担当と連絡窓口を決めるほど、資料共有と期限管理が安定するためです。各パターンで、税理士が主担当か補助か、弁護士や司法書士をいつ加えるかを読み取ってください。

税理士単独型

争いがなく財産も比較的単純なケースです。相続人が分割方針を決め、税理士が申告します。

争いなし

税理士プラス司法書士型

不動産があり、相続税申告と相続登記を並行して進めるケースです。

不動産

税理士プラス弁護士型

相続人間に争いがあり、弁護士が交渉や調停を担当し、税理士が税務試算を支援します。

紛争

弁護士主導、税理士補助型

調停や審判が見込まれるケースで、弁護士が手続を設計し、税理士が税額影響を補助します。

期限管理
Section 07

相続人が税理士に伝えるべきことと失敗例

事実を早く共有し、協議と申告のずれを防ぎます。

税理士は、税額計算のために事実を必要とします。事実が曖昧なままでは、正確な申告も、適切な分割案比較もできません。次の比較表では、税理士へ早めに伝える情報を、協議、財産、資金、専門職の観点で確認してください。

分類税理士へ伝えることなぜ重要か
相続人と協議相続人全員の氏名、住所、連絡先、遺言の有無、争いの有無、希望する分割方針申告書の前提、協議書、特例適用の可否に関わります。
財産と管理状況財産を管理している人、預金通帳、証券口座、不動産の所在地、利用状況、賃貸状況財産目録、土地評価、名義預金の確認範囲が決まります。
保険、贈与、債務生命保険金、死亡退職金、生前贈与、名義預金、貸付金、借金、保証債務、未払金課税価格、非課税枠、相続人間の争点に影響します。
資金と相談状況納税資金の見込み、弁護士や司法書士に既に相談しているか期限管理、未分割申告、登記、交渉窓口を整理できます。

次の一覧は、協議前、協議中、合意後に確認したい行動を整理したものです。段階ごとに確認することが重要なのは、口頭のまま進めると、協議書、申告書、登記書類、金融機関書式が食い違う可能性があるためです。各段階で、何を記録し、誰に共有するかを読み取ってください。

初回協議前

土台をそろえる

相続人全員、遺言、相続放棄、暫定財産目録、債務、申告期限、不動産登記、判断能力の不安を確認します。

協議中

同じ資料で話す

全員に同じ資料を共有し、議事メモ、税額試算、不動産価格の基準、代償金、費用負担を記録します。

合意後

手続へつなげる

協議書、実印、印鑑証明書、税理士と司法書士への共有、金融機関書式、代償金の証拠化を確認します。

次の比較表は、典型的な失敗例と起こり得る影響を整理したものです。失敗例を先に知ることが重要なのは、どれも税理士への依頼だけでは自動的に解消されず、相続人側の意思決定や資料共有が必要になるためです。左列で失敗例、右列で実務上の影響を確認してください。

失敗例起こり得る影響
税理士が何とかしてくれると思い協議しない未分割申告となり、特例を当初申告で使えない可能性があります。
税額だけで分け方を決める二次相続、居住の安定、不動産管理、将来売却の問題が残ります。
不動産を安易に共有にする売却、修繕、賃貸、固定資産税、次世代相続で複雑化しやすいです。
一人の相続人だけが税理士と連絡する共同依頼か特定相続人の依頼かが曖昧になり、不信感が生じます。
調停後に税務上の不利益へ気づく未分割申告、特例期限、納税資金の調整が難しくなります。
Section 08

税理士依頼後の相続人協議に関するよくある質問

個別判断ではなく、一般的な役割分担として整理します。

Q1. 税理士に相続税申告を依頼したら、協議は自分たちで進めるのですか。

一般的には、遺産を誰が取得するかを決める主体は相続人です。税理士は分割案ごとの税額、特例適用、納税資金などを説明して協議を支援します。ただし、対立や証拠関係により結論は変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 税理士に相続人全員への連絡や日程調整を頼めますか。

一般的には、資料収集や申告手続のための事務連絡として依頼できる場合があります。ただし、対立する相続人の一方の代理人として交渉することは税理士の通常業務ではありません。争いがある場合は弁護士等へ相談する必要があります。

Q3. 税理士が提示した分割案に従う必要がありますか。

一般的には、税理士の案は税務上の試算や助言であり、相続人を当然に拘束するものではありません。ただし、税務上有利な案、不利な案はあるため、理由を確認したうえで相続人が合意する必要があります。

Q4. 協議がまとまらないと相続税申告はできませんか。

一般的には、協議がまとまらなくても申告は必要です。相続財産が分割されていない場合でも期限内申告が必要とされています。未分割申告後に分割が成立した場合、修正申告または更正の請求を行う可能性があります。

Q5. 税理士に依頼している途中で弁護士を入れてよいですか。

一般的には、争いがある場合に弁護士を加えることがあります。弁護士が入っても税理士の税務申告や税額試算が不要になるわけではありません。連絡窓口と資料共有の範囲を整理する必要があります。

Q6. 兄弟で話し合いたくないので税理士に全部任せられますか。

一般的には、税理士は紛争交渉の代理人ではありません。相手方と直接話したくない事情がある場合は、弁護士を窓口にすることを検討する必要があります。具体的には対立の内容や証拠関係で判断が変わります。

Q7. 不動産がある場合、税理士だけで足りますか。

一般的には、税理士は相続税評価を行いますが、相続登記は司法書士の関与が必要になりやすいです。境界や分筆が問題になれば土地家屋調査士、売却するなら宅地建物取引士や不動産仲介業者、価格が争点なら不動産鑑定士との連携を検討します。

Q8. 相続税がかからないなら協議だけでよいですか。

一般的には、相続税申告が不要でも、遺産分割協議、預金払戻し、不動産登記、保険金請求などは残ります。財産内容や相続人の状況によって、司法書士、行政書士、弁護士等が必要になる可能性があります。

Q9. 遺言がある場合も協議は必要ですか。

一般的には、遺言で財産の帰属が明確に定められていれば、その財産について協議が不要になることがあります。一方、遺言にない財産、遺言の解釈、遺留分、遺言執行者の権限が問題になる場合は、専門家の確認が必要です。

Q10. 税理士費用は誰が負担しますか。

一般的には、法律で一律に決まるものではなく、依頼契約と相続人間の合意によります。遺産から支払う、取得割合で負担する、特定の相続人が立て替えて精算するなどの方法があります。後日の争いを避けるため、早めに合意して書面化する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

税務と法令

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「税理士法」
  • e-Gov法令検索「弁護士法」

専門職と家庭裁判所手続

  • 日本税理士会連合会「税理士とは」
  • 日本弁護士連合会「弁護士の使命と役割」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 日本司法書士会連合会「相続登記相談センター特設サイト 相続する人」
  • 日本行政書士会連合会「遺言・相続」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「特別代理人選任 親権者とその子との利益相反の場合」
  • 裁判所「成年被後見人等に関する特別代理人等の選任」
  • 裁判所「調停委員」
  • 裁判所「家庭裁判所調査官」
  • 裁判所「専門委員制度について」
  • 日本公証人連合会「遺言」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」