2σ Guide

税理士に相続税申告を依頼する際の
準備資料一覧

相続税申告を税理士へ相談する前に、戸籍、遺言、遺産分割、財産評価、債務、葬式費用、生前贈与、特例、納税資金までを体系的に整理します。

10か月 申告・納税期限
3層 資料整理の視点
7年 贈与加算の見直し
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税理士に相続税申告を依頼する際の 準備資料一覧

相続税申告を税理士へ相談する前に、戸籍、遺言、遺産分割、財産評価、債務、葬式費用、生前贈与、特例、納税資金までを体系的に整理します。

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税理士に相続税申告を依頼する際の 準備資料一覧
相続税申告を税理士へ相談する前に、戸籍、遺言、遺産分割、財産評価、債務、葬式費用、生前贈与、特例、納税資金までを体系的に整理します。
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  • 税理士に相続税申告を依頼する際の 準備資料一覧
  • 相続税申告を税理士へ相談する前に、戸籍、遺言、遺産分割、財産評価、債務、葬式費用、生前贈与、特例、納税資金までを体系的に整理します。

POINT 1

  • 税理士に相続税申告を依頼する前に資料準備の全体像をつかむ
  • 相続人、財産、債務、特例、納税資金まで、初回相談前に整理する範囲を確認します。
  • 相続税申告は、預金残高や不動産評価額を集計するだけの作業ではない。

POINT 2

  • 税理士への相続税申告依頼で資料準備が成否を左右する理由
  • 1. 期限と相続人を確認:死亡を知った日の翌日から10か月以内の申告・納税期限と、戸籍で確認する相続人の範囲を押さえます。
  • 2. 財産と債務を棚卸し:預貯金、不動産、有価証券、保険、債務、葬式費用、生前贈与を一覧化します。
  • 3. 特例や未分割の有無を確認:配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、未分割、紛争、納税資金不足の有無を整理します。
  • 4. 不足資料とリスクを共有:期限、証拠、特例要件、民事上の争点を税理士等へ早めに伝えます。
  • 5. 通常資料を継続収集:取得予定、不明、該当なしを分けて管理し、申告書作成へ進めます。

POINT 3

  • 相続税申告の資料準備で使う基本用語
  • 戸籍、遺産、みなし相続財産、債務控除、特例など、資料収集でつまずきやすい語を整理します。

POINT 4

  • 税理士へ渡す相続税申告資料は三つの層で整理する
  • 税務署へ提出または添付する可能性がある資料
  • 税理士が評価と集計のために確認する資料
  • 証明書だけでは分かりにくい事情の補足資料
  • 提出資料、申告書作成資料、事情説明資料に分けると、不足資料と未確定事項を見分けやすくなります。

POINT 5

  • 税理士に相続税申告を依頼する際の準備資料一覧
  • 初回相談前に確認したい資料を、分類、取得先、優先度、実務上のポイントで一覧化します。

POINT 6

  • 相続税申告に必要な相続人と戸籍関係資料
  • 法定相続人の確認は、基礎控除、保険金非課税枠、税額計算の前提になります。
  • 相続税申告では、法定相続人の数が基礎控除、死亡保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額計算に影響します。
  • 相続税の基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を乗じた額を加えて計算する。
  • したがって、相続人を誤ると、申告要否の判断と税額計算を誤る。

POINT 7

  • 相続税申告で重要な遺言書と遺産分割資料
  • 遺言の種類、検認、分割協議、印鑑証明書は、取得者や特例適用に直結します。
  • ただし、保管制度は遺言の有効性そのものを保証するものではない。

POINT 8

  • 相続税申告の預貯金・現金・金融資産資料
  • 死亡日残高だけでなく、既経過利息、取引履歴、名義財産の可能性まで確認します。
  • 預貯金は最も基本的な相続財産だが、死亡日現在の残高証明書だけでは十分でない場合が多い。
  • 税理士は、死亡日残高、既経過利息、直前の引出し、家族名義口座への移動、葬式費用支払、医療費支払、過去の贈与を確認します。

まとめ

  • 税理士に相続税申告を依頼する際の 準備資料一覧
  • 税理士に相続税申告を依頼する前に資料準備の全体像をつかむ:相続人、財産、債務、特例、納税資金まで、初回相談前に整理する範囲を確認します。
  • 税理士への相続税申告依頼で資料準備が成否を左右する理由:10か月の期限内に、根拠資料で相続関係と財産評価を説明できる状態を作ることが重要です。
  • 相続税申告の資料準備で使う基本用語:戸籍、遺産、みなし相続財産、債務控除、特例など、資料収集でつまずきやすい語を整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

税理士に相続税申告を依頼する前に資料準備の全体像をつかむ

相続人、財産、債務、特例、納税資金まで、初回相談前に整理する範囲を確認します。

相続税申告は、預金残高や不動産評価額を集計するだけの作業ではない。相続人の範囲、遺言書の有無、遺産分割の状況、財産評価、債務控除、葬式費用、生前贈与、税額軽減、特例適用、納税資金、税務調査リスクまでを、証拠資料に基づいて整合的に説明する手続です。

このページは、「税理士に相続税申告を依頼する際に事前に準備しておくべき資料一覧」を中心テーマとして、一般の相続人が税理士へ相談する前に何を集め、何を整理し、何を未確定事項として伝えるべきかを体系化した記事です。税理士の税務実務を中核に置きつつ、弁護士、司法書士、行政書士、公証人、遺言執行者、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、公認会計士、中小企業診断士、弁理士、社会保険労務士、金融機関、保険会社、家庭裁判所手続の視点を統合しています。

このページは一般的な解説であり、個別案件の税額、分割方針、紛争対応、特例適用の最終判断は、依頼予定の税理士、弁護士、司法書士等の専門家に確認する必要があります。

Section 01

税理士への相続税申告依頼で資料準備が成否を左右する理由

10か月の期限内に、根拠資料で相続関係と財産評価を説明できる状態を作ることが重要です。

国税庁は、相続税申告の準備として、相続人の確認、遺言書の有無の確認、遺産と債務の確認、遺産評価、遺産分割を挙げています。これは、相続税申告が単なる計算事務ではなく、相続関係、権利関係、財産評価、取得者、控除、特例を資料で裏付ける作業であることを意味します。

相続税の申告と納税は、原則として、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。期限後申告や期限後納付では、加算税や延滞税の問題が生じ得るため、早期の資料準備が重要です。

税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を担う専門職です。相続税申告を依頼する場合、税理士は相続人から提供された資料をもとに、相続財産の評価、課税価格の集計、控除と特例の判断、申告書作成、税務署への対応を行います。資料が整理されていれば、初回面談で税額概算、不足資料、申告方針、報酬見積り、期限管理を具体化しやすくなります。

次の判断の流れは、資料準備を始めるときの確認順序を示したものです。期限と相続人を先に押さえないと、評価資料や特例資料の優先順位が決めにくくなるため、上から順に確認し、未確定の分岐がある場合は早めに専門家へ共有する点を読み取ってください。

資料準備の判断順序

期限と相続人を確認

死亡を知った日の翌日から10か月以内の申告・納税期限と、戸籍で確認する相続人の範囲を押さえます。

財産と債務を棚卸し

預貯金、不動産、有価証券、保険、債務、葬式費用、生前贈与を一覧化します。

特例や未分割の有無を確認

配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、未分割、紛争、納税資金不足の有無を整理します。

該当あり
不足資料とリスクを共有

期限、証拠、特例要件、民事上の争点を税理士等へ早めに伝えます。

該当なし
通常資料を継続収集

取得予定、不明、該当なしを分けて管理し、申告書作成へ進めます。

Section 02

相続税申告の資料準備で使う基本用語

戸籍、遺産、みなし相続財産、債務控除、特例など、資料収集でつまずきやすい語を整理します。

次の一覧は、この章で扱う情報を「用語」、「意味」、「実務上の注意点」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

用語意味実務上の注意点
被相続人亡くなった人相続税申告では、死亡時の住所地を所轄する税務署が提出先となります。
相続人民法上、相続権を持つ人戸籍、除籍、改製原戸籍、相続放棄の有無で確認します。
法定相続人基礎控除や保険金非課税枠等の計算基礎となる相続人相続放棄がある場合も、相続税計算上の人数には独自の扱いがある。
遺産被相続人に帰属していた財産預貯金、不動産、有価証券、貸付金、事業財産、知的財産、デジタル資産等を含む。
みなし相続財産民法上の遺産そのものではなくても、相続税法上、相続等により取得したものとして扱われる財産死亡保険金、死亡退職金が代表例です。
債務控除相続財産から一定の債務や葬式費用を控除する制度借入金、未払金、未納税金、一定の葬式費用について資料が必要となります。
遺産分割協議書相続人全員で遺産の分け方を合意した書面税務、登記、金融機関手続のすべてに影響します。
小規模宅地等の特例一定の宅地等について相続税評価額を減額する制度取得者、利用状況、保有継続、事業継続、添付資料が重要です。
配偶者の税額軽減配偶者が取得した財産について一定範囲で相続税を軽減する制度遺産分割、戸籍、遺言または協議書、印鑑証明書等が重要です。
相続登記相続で取得した不動産の名義変更登記2024年4月1日から義務化されており、相続税申告とは別手続です。
Section 03

税理士へ渡す相続税申告資料は三つの層で整理する

提出資料、申告書作成資料、事情説明資料に分けると、不足資料と未確定事項を見分けやすくなります。

相続税申告の資料は、税務署へ提出する可能性がある資料、税理士が申告書作成のために確認する資料、事情を説明する補足資料に分けると整理しやすくなります。

次の3つの項目は、資料の役割を層ごとに分けて示したものです。どの資料が提出用で、どの資料が評価や事情説明に使われるのかを分けておくと、初回相談で不足資料と未確定事項を共有しやすくなるため、各項目の違いを読み取ってください。

提出・添付候補

税務署へ提出または添付する可能性がある資料

マイナンバー確認資料、本人確認資料、戸籍関係資料、法定相続情報一覧図、遺言書または遺産分割協議書、印鑑証明書、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、延納、物納に関する資料などです。

申告書作成

税理士が評価と集計のために確認する資料

残高証明書、預金通帳、取引履歴、固定資産税課税明細書、登記事項証明書、証券会社の残高証明書、保険金支払通知書、借入金残高証明書、葬式費用領収書などです。

事情説明

証明書だけでは分かりにくい事情の補足資料

名義預金、家族名義保険、生前贈与、使途不明金、紛争、認知症、事業承継、海外財産、暗号資産、保証債務などでは、メール、メモ、契約書、通帳、診療記録、介護記録、会社資料、議事録などが補足資料になります。

Section 04

税理士に相続税申告を依頼する際の準備資料一覧

初回相談前に確認したい資料を、分類、取得先、優先度、実務上のポイントで一覧化します。

次の表は、初回相談前の総合チェックリストです。すべてを初回までに揃える必要はないが、未取得の資料は「取得予定」「不明」「該当なし」に分けてメモすると、税理士が不足資料を指示しやすくなります。

次の一覧は、この章で扱う情報を「分類」、「準備すべき資料」、「主な取得先」、「優先度」、「実務上のポイント」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

分類準備すべき資料主な取得先優先度実務上のポイント
基本情報被相続人の氏名、生年月日、死亡日、死亡時住所、職業、家族構成、連絡先一覧家族、住民票、戸籍、死亡診断書等最重要税務署の管轄、相続人確認、財産所在確認の出発点となります。
本人確認相続人の本人確認書類、マイナンバー確認資料各相続人最重要e-Tax利用時は本人確認書類の扱いが異なる場合があります。
戸籍関係被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍、相続人の戸籍、住民票市区町村最重要相続人を誤ると申告全体に影響します。
法定相続情報法定相続情報一覧図の写し法務局戸籍一式の提出を簡略化できる場面がある。
遺言公正証書遺言、自筆証書遺言、遺言書情報証明書、検認済証明書公証役場、法務局、家庭裁判所最重要遺言の種類により確認先と検認の要否が異なる。
遺産分割遺産分割協議書案、確定版協議書、印鑑証明書、分割協議メモ相続人、専門家最重要特例適用、納税資金、登記に直結します。
預貯金残高証明書、既経過利息計算書、通帳、取引履歴、定期預金証書金融機関最重要死亡日残高だけでなく、生前の資金移動も確認します。
現金自宅現金、金庫内現金、財布内現金、事業用現金のメモ自宅、事業所金額、保管場所、発見日、発見者を記録する。
上場株式等残高証明書、取引報告書、配当通知、特定口座年間取引報告書証券会社、信託銀行最重要相続開始日の保有銘柄、数量、未収配当を確認します。
投資信託、公社債残高証明書、評価額明細、分配金通知証券会社、銀行商品ごとに評価基準が異なる。
生命保険保険証券、死亡保険金支払通知書、契約内容照会、保険料負担者資料保険会社最重要死亡保険金はみなし相続財産となる場合があります。
死亡退職金支払通知書、退職金規程、弔慰金規程、源泉徴収票、会社議事録勤務先、会社死亡後一定期間内に支給額が確定した退職金は相続税の対象となる可能性があります。
不動産固定資産税課税明細書、名寄帳、登記事項証明書、公図、地積測量図、賃貸借契約書市区町村、法務局、管理会社最重要土地は路線価方式または倍率方式等、家屋は固定資産税評価額が基礎となります。
賃貸不動産家賃入金履歴、賃貸借契約書、敷金台帳、管理委託契約、修繕履歴管理会社、銀行未収家賃、預り敷金、貸家評価を確認します。
事業用財産確定申告書、決算書、総勘定元帳、売掛金、買掛金、在庫、設備台帳顧問税理士、会社、事業所個人事業財産と法人財産を区別します。
非上場株式決算書、法人税申告書、株主名簿、定款、議事録、株式評価資料会社、顧問税理士、公認会計士評価に時間がかかるため早期収集が必要です。
貸付金、未収金契約書、借用書、返済表、入金履歴、請求書相続人、借主、銀行中から高回収可能性、利息、時効、親族間取引を確認します。
借入金、未払金借入金残高証明書、返済予定表、請求書、納付書金融機関、債権者、自治体、税務署最重要債務控除の対象になるかを資料で判断する。
葬式費用領収書、請求書、支払メモ、香典帳葬儀社、寺院、相続人控除できる費用とできない費用を分ける。
生前贈与贈与契約書、贈与税申告書、通帳、名義変更資料相続人、税務署、金融機関最重要贈与加算、相続時精算課税、名義財産を確認します。
特例関係小規模宅地等、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除等の資料相続人、自治体、法務局等税額を大きく左右するため、要件資料を早期に確認します。
相続放棄相続放棄申述受理通知書、受理証明書家庭裁判所原則として自己のために相続開始を知った時から3か月以内の申述が問題となります。
紛争資料内容証明、交渉記録、調停申立書、使途不明金資料弁護士、相続人、裁判所案件次第で最重要税務と民事紛争を分けて整理します。
納税資金相続人の納税原資、不動産売却査定、借入資料、延納物納資料銀行、不動産会社、税務署納税資金不足は申告期限前に検討します。
海外財産海外口座、外国証券、海外不動産、海外保険、現地納税資料海外金融機関、現地専門家案件次第で高為替、翻訳、現地税制の確認が必要です。
デジタル資産暗号資産取引履歴、取引所残高、ウォレット情報、電子マネー、ポイント取引所、端末、相続人案件次第で高秘密鍵やログイン情報の取扱いに注意する。
Section 05

相続税申告に必要な相続人と戸籍関係資料

法定相続人の確認は、基礎控除、保険金非課税枠、税額計算の前提になります。

相続税申告では、法定相続人の数が基礎控除、死亡保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額計算に影響します。相続税の基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を乗じた額を加えて計算する。したがって、相続人を誤ると、申告要否の判断と税額計算を誤る。

準備する資料は次のとおりです。

次の一覧は、この章で扱う情報を「資料」、「内容」、「注意点」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

資料内容注意点
被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍婚姻、離婚、養子縁組、認知、子の有無等の確認本籍地が複数ある場合は複数市区町村から取得する。
被相続人の住民票除票または戸籍附票最後の住所の確認申告書提出先、不動産登記で重要となります。
相続人全員の現在戸籍相続人の生存、氏名、生年月日等の確認代襲相続がある場合は追加戸籍が必要です。
相続人全員の住民票住所の確認登記、金融機関、申告書作成で必要となる場合があります。
法定相続情報一覧図の写し相続関係を一覧化した証明金融機関、登記、税務で有用な場合があります。
相続放棄の受理証明書相続放棄をした人がいる場合の資料税務上の法定相続人の数と民事上の取得者を分けて整理します。

法定相続情報証明制度は、戸籍等と法定相続情報一覧図を法務局へ提出し、登記官の確認を受けた一覧図の写しを交付してもらう制度です。相続登記や預貯金解約などで、戸籍一式の提出を繰り返す負担を軽減できることがあります。

Section 06

相続税申告で重要な遺言書と遺産分割資料

遺言の種類、検認、分割協議、印鑑証明書は、取得者や特例適用に直結します。

遺言書の有無は、財産の取得者、遺産分割協議の要否、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、遺留分、遺言執行者の権限に影響します。

次の一覧は、この章で扱う情報を「遺言の種類」、「準備する資料」、「確認先」、「注意点」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

遺言の種類準備する資料確認先注意点
公正証書遺言正本または謄本公証役場、遺言執行者、保管者家庭裁判所の検認は不要です。
自筆証書遺言原本、検認済証明書、または遺言書情報証明書家庭裁判所、法務局、保管者法務局保管制度を利用していない場合は検認が問題となります。
秘密証書遺言原本、検認済証明書家庭裁判所、保管者内容解釈や形式が争点になることがあります。
遺言執行者がいる場合就任承諾書、連絡先、職務執行資料遺言執行者金融機関、登記、税務の進行に関係する。

法務局の自筆証書遺言書保管制度では、遺言書の形式面の確認と保管が行われ、相続開始後に相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けられる。ただし、保管制度は遺言の有効性そのものを保証するものではない。

遺産分割協議がある場合は、遺産分割協議書案または確定版、相続人全員の印鑑証明書、財産目録、未分割財産の一覧、分割協議の経緯メモを準備します。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は分割状況と密接に関係するため、申告期限までに分割がまとまらない場合は、未分割であることを税理士に明示する。

Section 07

相続税申告の預貯金・現金・金融資産資料

死亡日残高だけでなく、既経過利息、取引履歴、名義財産の可能性まで確認します。

預貯金は最も基本的な相続財産だが、死亡日現在の残高証明書だけでは十分でない場合が多い。税理士は、死亡日残高、既経過利息、直前の引出し、家族名義口座への移動、葬式費用支払、医療費支払、過去の贈与を確認します。

次の一覧は、この章で扱う情報を「資料」、「内容」、「注意点」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

資料内容注意点
死亡日現在の残高証明書普通預金、定期預金、外貨預金等全金融機関、全支店を確認します。
既経過利息計算書定期預金等の死亡日までの利息金融機関へ依頼する。
通帳過去の入出金履歴記帳漏れ、繰越前通帳、ネット銀行も確認します。
取引履歴通帳がない期間の履歴税理士が取得期間を指定することがあります。
定期預金証書定期預金、定額貯金等家庭内保管の証書も確認します。
直前引出しの使途メモ死亡前後の多額出金葬儀費用、医療費、生活費、贈与を区別します。
家族名義口座資料被相続人が資金拠出した可能性のある口座名義と実質所有者が異なる可能性を検討します。

証券会社や信託銀行にある上場株式、投資信託、公社債については、死亡日現在の残高証明書、取引報告書、特定口座年間取引報告書、配当金支払通知書、投資信託の基準価額資料、外貨建資産の明細を準備します。

Section 08

相続税申告で確認する生命保険金・死亡退職金・年金資料

契約者、保険料負担者、受取人、支給時期を資料で確認し、税目の区分を整理します。

死亡保険金は、契約者、被保険者、保険料負担者、受取人の関係により、相続税、所得税、贈与税のいずれの対象になるかが変わる。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金で、死亡により相続人等が取得するものは、相続税法上のみなし相続財産となる場合があります。相続人が取得した死亡保険金については、500万円に法定相続人の数を乗じた非課税限度額が設けられている。

準備する資料は、保険証券、死亡保険金支払通知書、契約内容照会書、保険料支払口座の通帳、入院給付金や医療給付金の支払通知、受取人資料です。

死亡退職金については、勤務先からの支払通知書、退職金規程、弔慰金規程、源泉徴収票、役員の場合の議事録を準備します。死亡後一定期間内に支給額が確定した死亡退職金は相続税の対象となるみなし相続財産に該当する場合があり、死亡保険金と同様の非課税限度額が問題となります。

未支給年金、遺族年金、企業年金については、年金証書、未支給年金請求書控え、年金振込通知書、企業年金の裁定通知書、遺族年金の決定通知書を準備します。年金は相続税、所得税、非課税所得の区分が問題となるため、社会保険労務士や年金事務所の資料も税理士へ共有します。

Section 09

相続税申告の不動産資料と相続登記の注意点

土地評価、家屋評価、賃貸不動産、相続登記義務化を分けて確認します。

不動産は、相続税申告で評価額が大きく、かつ評価方法が複雑になりやすい。国税庁は、土地について路線価方式または倍率方式等により評価し、家屋について固定資産税評価額を基礎とする考え方を示している。

次の一覧は、この章で扱う情報を「資料」、「取得先」、「用途」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

資料取得先用途
固定資産税課税明細書市区町村から毎年送付所在、地番、地目、地積、固定資産税評価額の確認
名寄帳市区町村同一市区町村内の所有不動産の網羅確認
登記事項証明書法務局所有者、地番、地積、抵当権等の確認
公図法務局土地の位置関係、接道、隣接地の確認
地積測量図法務局面積、分筆履歴、境界の参考資料
建物図面、各階平面図法務局家屋の構造、床面積の確認
賃貸借契約書相続人、管理会社貸家、貸地、借地権、敷金の確認
管理委託契約書管理会社管理費、修繕費、家賃収受の確認
路線価図、倍率表国税庁土地評価の基礎
都市計画、用途地域資料自治体利用制限、売却可能性、評価単位の検討

自宅不動産では、小規模宅地等の特例の適用可能性が重要です。同特例は、一定の居住用または事業用宅地等について、限度面積まで相続税評価額を減額できる制度であり、取得者、居住継続、保有継続、事業継続などの要件が問題となります。

賃貸不動産では、賃貸借契約書、家賃入金履歴、敷金台帳、管理会社の精算書、修繕履歴、空室一覧を準備します。未収家賃、預り敷金、前受家賃、管理費未払、貸家建付地評価などを確認する必要があります。

相続登記は、相続税申告とは別の手続です。2024年4月1日から、相続で不動産を取得した相続人は、原則として取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負う。正当な理由なく申請しない場合、過料の対象となることがあります。制度開始前に発生した相続も対象となる点に注意する。

Section 10

相続税申告で事業・会社・非上場株式がある場合の資料

個人事業と法人財産を区別し、非上場株式評価に必要な会社資料を早めに集めます。

被相続人が個人事業主であった場合は、所得税確定申告書、青色申告決算書、総勘定元帳、補助元帳、棚卸表、固定資産台帳、売掛金一覧、買掛金一覧、事業用口座通帳、従業員関係資料を準備します。個人事業では、事業用財産と個人財産が混在しやすいため、税理士による区分確認が重要です。

被相続人が同族会社の株主や役員であった場合は、非上場株式の評価が相続税額に大きく影響します。準備すべき資料は、会社の直近数期分の決算書、法人税申告書、勘定科目内訳明細書、株主名簿、定款、登記事項証明書、役員名簿、株式譲渡制限規定、取締役会または株主総会議事録、会社保有不動産や有価証券の明細、借入金資料、役員借入金、役員貸付金、退職慰労金規程です。

この領域では、税理士に加え、公認会計士、中小企業診断士、弁護士、司法書士が関与することがあります。会社の支配権、後継者、遺留分、株式買取、事業承継税制を検討する場合は、早期に専門家チームを組むことが重要です。

Section 11

相続税申告の債務・未払金・葬式費用資料

債務控除や葬式費用の対象になるかを、請求書、領収書、契約書で確認します。

相続税では、被相続人の債務のうち一定のものを相続財産から控除できる。国税庁は、借入金、未払金、未納税金等を控除できる債務として示している。

次の一覧は、この章で扱う情報を「債務の種類」、「資料」、「注意点」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

債務の種類資料注意点
住宅ローン、事業借入借入金残高証明書、返済予定表、金銭消費貸借契約書団体信用生命保険の有無を確認します。
未払医療費請求書、領収書、診療明細死亡後に支払った分を整理します。
未払介護費施設請求書、領収書、契約書入所一時金、返還金も確認します。
未払税金固定資産税、住民税、所得税、消費税等の納付書準確定申告との関係を確認します。
クレジットカード債務利用明細、引落口座履歴家族利用、事業利用を区別します。
保証債務保証契約書、主債務者資料現実に履行すべき債務か慎重に検討します。
預り敷金賃貸借契約書、敷金台帳賃貸不動産の負債として確認します。

葬式費用については、葬儀社の請求書、領収書、火葬や埋葬に関する領収書、寺院等への支払メモ、通夜や告別式の飲食費明細、香典帳を準備します。国税庁は、葬式費用として控除できるものと、香典返し、墓地や墓石の購入費用、法事費用など控除できないものを区別している。

Section 12

相続税申告に影響する生前贈与・名義財産・資金移動資料

贈与契約、通帳、名義財産、資金の出所は、申告漏れや調査リスクに関係します。

相続税申告では、死亡前に行われた贈与が申告に影響します。2024年1月1日以後の贈与については、相続開始前贈与の加算対象期間が段階的に見直され、最終的に7年となる制度変更がある。

準備すべき資料は、贈与契約書、贈与税申告書、納付書、通帳、振込明細、不動産贈与の登記資料、株式贈与の名義変更資料、住宅取得等資金、教育資金、結婚子育て資金の非課税制度関係資料、相続時精算課税選択届出書です。

名義預金、名義株、名義保険については、名義だけで判断しない。資金の出所、通帳や印鑑の管理者、名義人が自由に使っていたか、贈与契約書や贈与税申告があるか、利息や配当の帰属を確認します。疑わしいものほど、早い段階で税理士に説明する必要があります。

Section 13

相続税申告の特例・控除・税額軽減に関する資料

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、要件資料と分割状況が重要です。

配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者が取得した財産について一定範囲で相続税負担を軽減する制度です。国税庁は、適用のために、相続税申告書の提出に加え、戸籍関係資料、遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し、協議書に押印した印鑑証明書等の添付を案内している。

小規模宅地等の特例は、一定の居住用、事業用、貸付事業用の宅地等について、限度面積まで評価額を減額する制度です。取得者、利用状況、居住継続、事業継続、保有継続、面積、用途などにより要件が異なる。

次の一覧は、この章で扱う情報を「特例、控除」、「準備資料の例」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

特例、控除準備資料の例
配偶者の税額軽減戸籍、遺言書または遺産分割協議書、印鑑証明書、未分割の場合の分割見込資料
小規模宅地等の特例住民票、戸籍附票、同居資料、介護施設資料、事業継続資料、賃貸借契約書、家賃入金履歴
未成年者控除戸籍、住民票、年齢確認資料
障害者控除障害者手帳、認定資料、戸籍、住民票
相次相続控除前回相続の申告書控え、納税資料、戸籍
外国税額控除海外相続税等の申告書、納税証明、翻訳資料
Section 14

相続税申告と納税資金・延納・物納資料

一括納付が難しい可能性がある場合は、資金繰り、売却、借入、延納、物納の資料を並行して整理します。

相続税は原則として金銭で一括納付するが、納税資金が不足する場合には延納や物納を検討することがあります。国税庁の相続税申告関係資料では、延納申請、物納申請に関する書類も整理されている。

次の一覧は、この章で扱う情報を「目的」、「資料」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

目的資料
預金で納付する相続人別の取得予定財産、預金残高、払戻し予定
不動産を売却する査定書、媒介契約、境界資料、登記資料、売却予定価格
金融機関から借入する借入申込資料、担保不動産資料、相続人の収入資料
延納を検討する担保提供予定財産、資金繰り表、延納申請資料
物納を検討する物納対象財産の権利関係、測量、境界、利用状況、登記資料

納税資金の検討は遺産分割にも影響します。不動産を取得した相続人に納税資金がない場合、代償金、共有、売却、延納の検討が必要になります。

Section 15

相続税申告で相続人間の紛争がある場合の追加資料

未分割や争点がある場合でも、期限内申告と民事対応を分けて資料を整理します。

相続税申告の期限は、相続人間の紛争が解決するまで自動的に延びるわけではない。遺産分割がまとまらない場合でも、期限内申告が必要となることがあります。紛争がある場合は、税理士だけでなく弁護士へ相談する必要があります。

次の一覧は、この章で扱う情報を「争点」、「追加資料」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

争点追加資料
預金の使い込み疑い通帳、取引履歴、ATM引出し記録、介護費用資料、生活費資料
遺留分遺言書、財産目録、生前贈与資料、不動産評価資料
特別受益贈与契約書、住宅資金援助、学費援助、事業資金援助の資料
寄与分介護記録、診療記録、同居資料、事業貢献資料
遺言能力診療録、介護認定資料、施設記録、医師の資料
遺産範囲名義預金資料、貸付金、未収金、株式、動産、デジタル資産資料

遺産分割調停、審判、相続放棄、特別代理人選任、遺言書検認などは家庭裁判所で扱われる。相続放棄は、原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

Section 16

相続税申告の海外財産・暗号資産・知的財産資料

海外口座、暗号資産、知的財産は、証明、評価、翻訳、アクセス管理が特に重要です。

海外銀行口座、外国証券、海外不動産、海外生命保険、外国籍会社の株式、海外信託がある場合、国内資料だけでは申告できない。海外口座明細、英文残高証明、取引履歴、海外不動産の権利証、現地固定資産税資料、保険契約書、信託契約書、現地申告書、現地納税証明、翻訳資料を準備します。

暗号資産は、取引所の残高、ウォレット、秘密鍵、取引履歴、評価時点、取得経緯の確認が必要です。税理士へは、取引所名、アカウントの存在、相続手続窓口、取引履歴の取得可否を伝える。秘密鍵やパスワードの共有は慎重に行います。

特許、商標、著作権、ライセンス収入、印税、ドメイン等がある場合は、弁理士、弁護士、税理士の連携が必要となります。登録番号、特許庁関係書類、ライセンス契約、印税明細、著作権管理団体資料、契約書を準備します。

Section 17

税理士へ相続税申告資料を渡す整理方法

紙資料と電子データを同じ分類で整理し、財産目録で資料の有無と未確定事項を見える化します。

紙資料でも電子データでも、次のフォルダ構成を使うと整理しやすくなります。

01_basic_information
02_heirs_and_koseki
03_will_and_division
04_bank_accounts
05_securities
06_insurance_and_retirement
07_real_estate
08_business_and_company
09_debts_and_funeral
10_gifts_and_past_transfers
11_tax_relief_and_special_rules
12_disputes_and_court
13_payment_funding
14_overseas_and_digital_assets

財産目録は、次のように作ると税理士が確認しやすくなります。

次の一覧は、この章で扱う情報を「No.」、「財産区分」、「名義」、「所在、金融機関、銘柄等」、「概算額」、「資料の有無」、「取得予定者」、「備考」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

No.財産区分名義所在、金融機関、銘柄等概算額資料の有無取得予定者備考
1預金被相続人A銀行B支店普通預金5,000,000残高証明取得予定未定死亡前に大口引出しあり
2土地被相続人東京都○○区○○30,000,000課税明細あり配偶者予定自宅、同居あり
3生命保険受取人長男C生命死亡保険金10,000,000支払通知あり長男保険料は被相続人口座から支払

避けるべき整理方法は、通帳の一部ページだけをコピーすること、不利そうな資料を税理士へ渡さないこと、葬式費用と法事費用を混在させること、不動産の地番と住所を混同すること、遺産分割協議書を税務確認前に署名押印すること、原本を紛失すること、金融機関ログイン情報や秘密鍵を無秩序に共有することです。

Section 18

税理士依頼までの相続税申告資料準備タイムライン

死亡直後から10か月まで、どの時期にどの資料へ重点を置くかを確認します。

初回相談までの標準的な時系列では、死亡直後から申告期限までに重点資料が変わります。

次の時系列は、相続税申告期限までの各時期に行う作業と資料準備の重点を示したものです。期限に近づくほど選択肢が狭まりやすいため、左の時期、中央の作業、本文の重点資料を順に確認し、今どの段階の資料を優先すべきかを読み取ってください。

死亡直後から1か月

死亡届、葬儀、金融機関への連絡、遺言探索

死亡診断書写し、葬式費用領収書、通帳保全、遺言書確認を優先します。

1か月から3か月

相続人確認、相続放棄判断、財産概要把握

戸籍収集、借入金確認、財産目録の仮作成を進めます。

3か月から5か月

税理士へ正式依頼、財産評価開始

残高証明、不動産資料、証券資料、保険資料の収集が中心です。

5か月から7か月

遺産分割協議、特例検討、税額概算

協議書案、小規模宅地等資料、配偶者税額軽減資料を確認します。

7か月から9か月

申告書作成、納税資金準備

納税資金、売却査定、延納物納資料、添付書類を整理します。

9か月から10か月

申告、納付、控え保管

申告書控え、納付書、税理士報告書、登記や名義変更資料を保管します。

相続税申告、相続登記、金融機関解約、遺産分割、準確定申告、年金手続、保険金請求は並行して進みます。相続人代表者を決め、資料管理表を作ると混乱を減らせます。

Section 19

相続税申告資料を専門職別の視点で整理する

税理士だけでなく、弁護士、司法書士、不動産、年金、知的財産の専門職との連携点を整理します。

次の一覧は、この章で扱う情報を「専門職」、「主な役割」、「税理士依頼時の連携ポイント」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

専門職主な役割税理士依頼時の連携ポイント
税理士相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応財産資料、贈与、名義財産、特例、納税資金を共有します。
弁護士交渉、遺留分、使い込み疑い、調停、審判、訴訟争いがある場合は税務方針と民事方針を整合させる。
司法書士相続登記、戸籍収集、登記用書類、法定相続情報不動産名義変更と申告書の取得者を一致させる。
行政書士遺産分割協議書、相続関係説明図等の書類作成争いのない書類整理で有用です。
公証人公正証書遺言の作成公正証書遺言の有無、正本、謄本を確認します。
遺言執行者遺言内容の実現金融機関、登記、税務手続の進行役になることがあります。
信託銀行等遺言信託、遺言保管、執行遺言執行資料、財産目録、手続進捗を共有します。
不動産鑑定士不動産の時価評価遺産分割上の価格争い、特殊不動産評価で関与する。
土地家屋調査士境界、分筆、表示登記土地評価、売却、物納、国庫帰属検討で関与することがあります。
宅地建物取引士、不動産仲介業者相続不動産の売却、査定、重要事項説明納税資金確保や換価分割で関与する。
公認会計士非上場株式、会社財務、事業承継会社価値、株式評価、後継者問題で関与する。
中小企業診断士経営改善、後継者育成、承継計画会社を誰が継ぐかが重要な場合に有用です。
弁理士特許、商標等の知的財産知的財産の名義変更、ライセンス関係で関与する。
社会保険労務士遺族年金、未支給年金、社会保険死亡後の周辺手続と年金資料の確認で関与する。
家庭裁判所関係者調停、審判、相続放棄、特別代理人等事件番号、期日通知、申立書、調停条項案を税理士に共有します。
金融機関、保険会社残高証明、払戻し、保険金請求相続手続窓口、支払通知、残高証明を取得する。
Section 20

相続税申告資料のよくある失敗と予防策

資料の一部だけを見て判断すると、名義財産、特例、登記、葬式費用の整理で誤りが生じやすくなります。

相続税申告の資料準備では、証明書の一部だけを見て判断したり、税務と登記を混同したりする失敗が起きやすくなります。

次の一覧は、よくある失敗を原因ごとに整理したものです。見落としは申告漏れ、特例不適用、期限管理の混乱につながるため、各項目で何が不足しやすいかを読み取り、資料管理表に反映してください。

預金残高証明だけで判断する

死亡日残高だけでは、名義預金、生前贈与、使途不明金、未払費用、葬式費用支払、医療費支払が分からないことがあります。通帳や取引履歴も準備します。

不動産の住所と地番を混同する

固定資産税課税明細書、登記事項証明書、地番、家屋番号、住居表示は一致しないことがあります。住所だけでなく地番を確認します。

遺産分割協議書を税務確認前に完成させる

取得者の組合せにより、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、納税資金、不動産登記が変わることがあります。署名前の確認が重要です。

生命保険金を相続税と無関係だと思い込む

死亡保険金は民法上の遺産分割対象と異なる扱いになる場合がある一方、相続税法上はみなし相続財産となることがあります。契約関係を資料で確認します。

葬式費用と法事費用を混在させる

葬式費用として控除できるものと、香典返し、墓石、法事費用など控除できないものを分けます。領収書がない支払は内容をメモします。

過去の贈与を隠す

贈与税申告をしていない贈与や孫名義の預金などは、相続税申告に影響することがあります。隠すと申告漏れや調査対応で不利になる可能性があります。

登記期限と申告期限を同じだと思う

相続税申告と相続登記は別制度です。相続税がかからない相続でも、相続登記義務の対象になる不動産がある場合があります。

Section 21

相続税申告の初回面談で税理士に伝える事項

資料そのものだけでなく、紛争、遺言、認知症、多額出金、納税資金不安などの事情も共有します。

次の一覧は、この章で扱う情報を「伝える事項」、「理由」の順に整理したものです。資料の抜け漏れは相続税申告の前提、評価、期限管理に影響するため、各列を横に見比べ、不明点や未取得の資料をどこで補うかを読み取ってください。

伝える事項理由
相続人間でもめているか弁護士連携、未分割申告、特例適用に影響します。
遺言書があるか、複数あるか取得者、遺産分割、遺留分、執行者確認が必要です。
被相続人が認知症、入院、施設入所していたか贈与、遺言、預金引出し、居住用宅地の判断に影響します。
死亡前後に多額の出金があるか現金、贈与、使途不明金、葬式費用の確認が必要です。
家族名義の預金や保険があるか名義財産、贈与、保険料負担者の確認が必要です。
会社や事業を営んでいたか非上場株式、事業用財産、準確定申告に影響します。
海外資産や暗号資産があるか評価、証明、翻訳、国外税制の確認が必要です。
納税資金に不安があるか延納、物納、売却、借入、分割方針に影響します。
税務署から連絡が来ているか申告期限、照会、調査対応に影響します。
Section 22

相続税申告資料を税理士へ依頼する前のFAQ

よくある疑問を一般的な制度説明として整理します。個別の判断は資料をもとに専門家へ確認してください。

Q1. すべての資料を揃えてから税理士に相談する必要がありますか。

一般的には、相続税申告が必要か分からない段階でも、戸籍の途中、預金の概算、不動産の固定資産税課税明細書、遺言の有無、相続人一覧などがあれば初回相談の材料になるとされています。ただし、財産内容、期限、相続人の状況によって不足資料は変わります。具体的な進め方は、手元資料を整理したうえで税理士等の専門家へ確認する必要があります。

Q2. 相続税がかからなさそうでも税理士へ相談する意味はありますか。

一般的には、基礎控除を下回ることが明らかで、特例適用も不要で、財産関係も単純であれば申告不要となることがあります。ただし、不動産、生命保険、名義預金、過去の贈与、非上場株式がある場合は、見落としで申告要否の判断が変わる可能性があります。個別の見通しは、資料を確認したうえで税理士等へ相談する必要があります。

Q3. 税理士に通帳を何年分見せる必要がありますか。

一般的には、死亡前数年分の取引履歴を確認することが多いとされています。ただし、生前贈与、名義預金、相続時精算課税、贈与加算期間、事業資金移動の有無によって、より長期間の確認が必要になる可能性があります。確認範囲は、財産状況を説明したうえで依頼先の税理士に確認する必要があります。

Q4. 遺産分割がまとまっていない場合、相続税申告はできませんか。

一般的には、遺産分割が未了でも期限内申告が必要となる場合があります。ただし、未分割申告、法定相続分等に基づく申告、後日の分割に備えた書類、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の扱いは事情によって変わります。具体的な対応は、期限前に税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 司法書士に相続登記を頼んでいれば、税理士への資料準備は不要ですか。

一般的には、相続登記は不動産の名義変更手続であり、相続税申告は財産全体と税額を扱う手続とされています。登記で使う戸籍や遺産分割協議書は税理士にも有用ですが、預貯金、保険、債務、葬式費用、生前贈与など税務固有の資料が別途必要になる可能性があります。必要資料は税理士等へ確認する必要があります。

Q6. 借金が多い場合、税理士へ相談する前に何を整理しますか。

一般的には、借入金、保証債務、税金、未払医療費、クレジットカード債務などの存在と資料を整理することが重要とされています。ただし、相続放棄を検討する場合は家庭裁判所への申述期限や財産処分の扱いが問題となる可能性があります。個別の対応は、弁護士または司法書士、税理士等へ早めに相談する必要があります。

Q7. 相続税申告を依頼する税理士はどのように選ぶとよいですか。

一般的には、相続税申告の経験、財産評価の対応力、不動産や非上場株式への理解、税務調査対応、弁護士や司法書士との連携、報酬体系、資料整理指示の明確さを確認するとされています。ただし、相続人間の争い、会社財産、海外資産などがある場合は必要な専門性が変わります。具体的には相談内容と資料を示して確認する必要があります。

Section 23

税理士に相続税申告を依頼する前のチェックリスト

最重要資料、不動産、会社・事業、紛争や不安の有無を分けて確認します。

23.1 最重要資料

  • 被相続人の死亡日、死亡時住所、生年月日を確認した。
  • 相続人候補者の一覧を作成した。
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集中です。
  • 相続人全員の現在戸籍を取得または取得予定です。
  • 遺言書の有無を確認した。
  • 遺産分割協議の進行状況をメモした。
  • 預貯金口座の一覧を作成した。
  • 固定資産税課税明細書または名寄帳を確認した。
  • 証券会社、保険会社、勤務先の有無を確認した。
  • 借入金、未払金、葬式費用の資料を集めた。
  • 生前贈与、名義預金、家族名義資産の可能性を確認した。
  • 納税資金に不安があるかを確認した。

23.2 不動産がある場合

  • 固定資産税課税明細書を準備した。
  • 名寄帳を取得した。
  • 登記事項証明書を取得した。
  • 公図、地積測量図を取得した。
  • 賃貸借契約書を確認した。
  • 管理会社の精算書を準備した。
  • 自宅、賃貸、事業用、農地、山林、私道を区別した。
  • 相続登記の担当司法書士を検討した。

23.3 会社、事業がある場合

  • 会社の決算書、申告書を準備した。
  • 株主名簿を確認した。
  • 役員退職金、弔慰金の有無を確認した。
  • 個人事業の決算書、元帳、棚卸表を準備した。
  • 後継者、株式承継、事業継続方針をメモした。

23.4 紛争や不安がある場合

  • 相続人間の争点を箇条書きにした。
  • 弁護士へ相談済みか、相談予定かを整理した。
  • 遺留分、使い込み、特別受益、寄与分の資料を分けた。
  • 家庭裁判所の事件番号や期日通知を保管した。
  • 相続放棄の期限を確認した。
Section 24

相続税申告の資料準備で押さえる結論

資料準備を早く、広く、正確に進めることが、税額の適正化と円滑な承継につながります。

税理士に相続税申告を依頼する際に事前に準備しておくべき資料一覧は、単なる書類リストではありません。相続税申告の成否は、相続人の確認、遺言と遺産分割、財産評価、債務控除、生前贈与、特例、納税資金、紛争状況を、証拠資料に基づいて整合的に説明できるかに左右されます。

相続人が最初に重要なのは、完璧な申告書を自力で作ることではなく、被相続人、相続人、遺言、財産、債務、葬式費用、過去の贈与、紛争、納税資金に関する資料を分類し、不明点を隠さず、早期に税理士へ共有することです。不動産があれば司法書士や不動産評価の専門家、争いがあれば弁護士、会社があれば公認会計士や事業承継専門家、年金があれば社会保険労務士、知的財産があれば弁理士と連携します。

次の重要ポイントは、このページ全体の結論を短く整理したものです。10か月という限られた期間では、早期の分類と不足資料の共有が税額、調査リスク、合意形成に影響するため、資料準備の優先順位を読み取ってください。

早く、広く、正確に資料を集める

10か月という限られた期間の中で、資料準備を早く、広く、正確に行うことが、税額の適正化、税務調査リスクの低減、相続人間の合意形成、納税資金確保、次世代への円滑な承継につながります。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関・制度資料

  • 国税庁「相続税の申告のために必要な準備」
  • 国税庁「相続税の申告と納税」
  • 国税庁「令和7年分用 相続税の申告のしかた 参考 相続税の申告の際に提出していただく主な書類」
  • 国税庁「税理士制度」
  • 国税庁「相続税の計算」
  • 国税庁「相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • 国税庁「相続税の課税対象になる死亡退職金」
  • 国税庁「土地家屋の評価」
  • 国税庁「小規模宅地等の特例」
  • 国税庁「相続財産から控除できる債務」
  • 国税庁「相続財産から控除できる葬式費用」
  • 国税庁「贈与財産の加算と税額控除」
  • 国税庁「配偶者の税額の軽減」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務局「法定相続情報証明制度について」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」