2σ Guide

遺産目録の書き方
不動産・預貯金・株式の記載例

相続手続の出発点になる遺産目録について、目的別の使い分け、財産別の記載例、チェックリスト、注意点を整理します。

5つ作成前の前提
3年以内相続登記の期限
10か月相続税申告
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遺産目録の書き方 不動産・預貯金・株式の記載例

相続手続の出発点になる遺産目録について、目的別の使い分け、財産別の記載例、チェックリスト、注意点を整理します。

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遺産目録の書き方 不動産・預貯金・株式の記載例
相続手続の出発点になる遺産目録について、目的別の使い分け、財産別の記載例、チェックリスト、注意点を整理します。
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  • 遺産目録の書き方 不動産・預貯金・株式の記載例
  • 相続手続の出発点になる遺産目録について、目的別の使い分け、財産別の記載例、チェックリスト、注意点を整理します。

POINT 1

  • 遺産目録の書き方の全体像
  • 相続判断の出発点として、財産と資料を同じ目線で確認します。
  • 遺産の範囲をそろえる
  • 相続税の概算に使う
  • 不動産を正確に特定する

POINT 2

  • 遺産目録の目的別の書き方
  • 提出先と目的に合わせて、重視する情報を変えます。
  • 遺産目録は、目的によって記載すべき情報が変わります。
  • 協議用、調停用、登記用、相続税申告用、遺言書添付用を同じ形式で済ませようとすると、必要な情報が抜けることがあります。
  • 自分の目的に近い行を確認し、重視する情報を読み取ってください。

POINT 3

  • 遺産目録を書く前に確定すべき5つの前提
  • 被相続人を特定する
  • 相続人を確認する
  • 遺言書の有無を確認する
  • 評価基準日を決める
  • 資料番号を付ける
  • 死亡日、相続人、遺言、評価基準日、資料番号を先にそろえます。

POINT 4

  • 遺産目録の基本構成
  • 財産、参考財産、債務、調査中事項を混ぜずに並べます。
  • 表紙と作成情報
  • 不動産・預貯金・有価証券
  • 生命保険・退職金・年金

POINT 5

  • 遺産目録の不動産・預貯金・株式の記載例
  • 主要財産は、特定情報、評価額、資料番号をそろえます。
  • 不動産の記載例
  • 預貯金・現金の記載例
  • 株式・投資信託の記載例

POINT 6

  • 遺産目録で扱いが分かれやすい財産の書き方
  • 保険、債務、贈与、使途不明金は別欄で整理します。
  • 生命保険、死亡退職金、葬式費用、債務、生前贈与、使途不明金は、遺産分割と相続税で扱いが分かれやすい項目です。
  • 遺産本体へ混ぜず、参考財産や検討事項として分けると誤解を減らせます。
  • 欄を分けることが重要なのは、受取人固有の権利、みなし相続財産、債務控除、争点整理が混ざると判断を誤るためです。

POINT 7

  • 遺産目録テンプレートと完成版の記載例
  • 空欄を埋めるだけでなく、資料番号と調査中欄を持たせます。
  • テンプレートを使う場合でも、空欄を埋めるだけでは不十分です。
  • 財産ごとに評価方法と資料番号を付け、調査中の財産や争いのある事項を隠さず分けておくことが重要です。
  • 区分を先に作ることが重要なのは、後から財産が見つかった場合でも版を更新しやすいからです。

POINT 8

  • 遺産目録作成の実務手順
  • 1. 探索:自宅、貸金庫、郵便物、メール、スマートフォン、通帳、保険証券、借入金書類を確認し、仮目録に入れます。
  • 2. 証明資料の取得:登記事項証明書、残高証明書、取引履歴、証券会社資料、保険資料、ローン残高証明書を集めます。
  • 3. 評価:存在確認、相続税申告用評価額、遺産分割協議用の合意価額を分けます。
  • 4. 相続人間で共有:現時点の調査結果として共有し、異議は資料付きで出してもらいます。
  • 5. 修正履歴を残す:第1版、第2版のように版数と作成日を残し、追加資料を反映します。

まとめ

  • 遺産目録の書き方 不動産・預貯金・株式の記載例
  • 遺産目録の書き方の全体像:相続判断の出発点として、財産と資料を同じ目線で確認します。
  • 遺産目録の目的別の書き方:提出先と目的に合わせて、重視する情報を変えます。
  • 遺産目録の基本構成:財産、参考財産、債務、調査中事項を混ぜずに並べます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

遺産目録の書き方の全体像

相続判断の出発点として、財産と資料を同じ目線で確認します。

遺産目録は、財産を並べるだけの表ではありません。誰が相続人で、何が遺産で、どの資料に基づき、どの評価方法で整理したのかを相続人全員が確認するための基礎資料です。

次の重要ポイントは、遺産目録が使われる場面を大きく整理したものです。遺産分割、税務、登記、金融機関手続では必要な情報が異なるため、目的の違いを先に確認することが重要です。各項目から、どの提出先で何が重視されるかを読み取ってください。

法律

遺産の範囲をそろえる

相続人間で、土地、建物、預貯金、株式、債務、調査中財産を同じ前提で確認します。

税務

相続税の概算に使う

相続税評価額、債務控除、みなし相続財産、非課税財産の確認に役立ちます。

登記

不動産を正確に特定する

住所ではなく、登記事項証明書どおりの所在、地番、家屋番号、持分で書きます。

予防

争いの芽を見える化する

生前贈与、使途不明金、評価差、資料不足を別欄に分けて、断定と確認事項を区別します。

作成時は、死亡日、評価基準日、資料番号、調査中の事項、相続人間で争いのある事項を明示します。曖昧な表ほど、不信感ややり直しの原因になります。

Section 01

遺産目録の目的別の書き方

提出先と目的に合わせて、重視する情報を変えます。

遺産目録は、目的によって記載すべき情報が変わります。協議用、調停用、登記用、相続税申告用、遺言書添付用を同じ形式で済ませようとすると、必要な情報が抜けることがあります。

次の比較表は、目的別に利用場面、重視する情報、主な専門職を整理しています。列ごとに役割が違うため、どの手続で使う目録なのかを先に決めることが重要です。自分の目的に近い行を確認し、重視する情報を読み取ってください。

目的主な利用場面重視する情報主な専門職
遺産分割協議用相続人全員で分け方を決める財産の特定、評価額、取得希望者、争いの有無弁護士、行政書士、司法書士、税理士
遺産分割調停・審判用家庭裁判所で話合いまたは判断を求める遺産の存在、相続開始時の状況、証拠資料、評価の争点弁護士、司法書士、不動産鑑定士
相続登記用不動産名義変更登記事項証明書どおりの所在、地番、家屋番号、持分司法書士、土地家屋調査士
相続税申告用税務署への申告相続税評価額、債務控除、非課税財産、みなし相続財産税理士
遺言書添付財産目録用自筆証書遺言、公正証書遺言財産を誰に承継させるか特定できる情報公証人、弁護士、司法書士、税理士
遺言執行用遺言内容の実現遺言対象財産、受遺者、執行状況遺言執行者、弁護士、司法書士、信託銀行
争いの予防用生前整理、家族会議存在確認、資料の保管場所、負債・保証の把握FP、弁護士、税理士、司法書士

目的が混在する場合は、総合版の遺産目録を作り、提出先ごとに必要項目を抜き出す方法が実務的です。協議では実勢価格、税務では相続税評価額、登記では登記簿上の表示を使うなど、同じ財産でも前提が変わります。

Section 02

遺産目録を書く前に確定すべき5つの前提

死亡日、相続人、遺言、評価基準日、資料番号を先にそろえます。

遺産目録を書く前に、被相続人、相続人、遺言書の有無、評価基準日、資料番号を確認します。ここを曖昧にすると、後の表が正確でも手続の前提が崩れます。

次の判断の流れは、作成前の前提確認を順番に示しています。上から順に確認することが重要なのは、死亡日や相続人が確定していないと、期限計算や共有先、評価基準が決まらないためです。どの段階で資料が不足しているかを読み取ってください。

遺産目録を書く前の確認順序

被相続人を特定する

氏名、生年月日、死亡日、最後の住所、本籍、評価基準日を記載します。

相続人を確認する

出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、必要に応じて住民票や戸籍附票を確認します。

遺言書の有無を確認する

遺言で承継先が定められた財産と、未記載財産を分けて整理します。

評価基準日を決める

原則は相続開始日ですが、協議や調停では分割時の実勢価格を参考にすることがあります。

資料番号を付ける

登記事項証明書、残高証明書、通帳写し、株主名簿などと財産番号を対応させます。

次の比較表は、同じ不動産でも価額の種類によって用途が異なることを示します。列を見ることが重要なのは、相続税評価額と遺産分割で参考にする実勢価格を混同しないためです。どの資料がどの価額に対応するかを読み取ってください。

価額の種類主な用途典型的な資料
固定資産税評価額登録免許税、不動産の概算把握固定資産評価証明書、課税明細書
相続税評価額相続税申告路線価図、評価倍率表、財産評価基本通達
実勢価格遺産分割協議、代償金、売却判断不動産査定書、鑑定評価書、売買事例
鑑定評価額争いのある遺産分割、訴訟、審判不動産鑑定評価書

資料番号は、協議や調停で「この数字は何に基づくのか」を確認するための土台です。資料1を土地登記事項証明書、資料2を固定資産評価証明書のように対応させると、後から確認しやすくなります。

Section 03

遺産目録の基本構成

財産、参考財産、債務、調査中事項を混ぜずに並べます。

総合版の遺産目録は、表紙、被相続人情報、相続人情報、作成目的、評価基準日、不動産、預貯金、株式、保険、債務、葬式費用、調査中事項、添付資料一覧の順にすると読みやすくなります。

次の重要ポイント一覧は、遺産目録に入れるべき基本区分を示しています。区分を分けることが重要なのは、遺産分割の対象、相続税の対象、参考財産、債務、調査中事項が混ざると誤解が生じるためです。どの財産をどの欄に置くかを読み取ってください。

基本

表紙と作成情報

作成日、作成者、目的、評価基準日、金額単位、調査中の扱いを明記します。

資産

不動産・預貯金・有価証券

財産番号、評価額、評価方法、資料番号、備考をそろえます。

参考

生命保険・退職金・年金

遺産分割対象か、税務上のみなし相続財産かを分けて記載します。

負債

債務・保証・未払金

借入金、保証債務、未払医療費、未払税金などをプラス財産と同じ重さで確認します。

争点

生前贈与・使途不明金

遺産本体へ断定的に入れず、検討事項別表として証拠と主張を分けます。

資料

添付資料一覧

資料番号、資料名、発行者、発行日、対応する財産番号を一覧化します。

Section 04

遺産目録の不動産・預貯金・株式の記載例

主要財産は、特定情報、評価額、資料番号をそろえます。

財産別の記載例では、財産を特定する欄と、評価額・評価方法・資料を対応させる欄が重要です。次の各表は代表的な財産の書き方を示します。列名と備考欄を見ることで、どの情報を省略すると手続で困るかを読み取ってください。

不動産の記載例

次の表は、土地と建物を登記簿の表示に合わせて分けて書く例です。住所だけでは登記や協議で財産を特定できないため、所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積を確認することが重要です。評価方法と備考から、境界や共有、賃貸の問題も読み取ってください。

番号種類所在等面積等権利評価額評価方法・資料備考
不1土地東京都千代田区〇〇一丁目101番1、宅地150.00平方メートル所有権全部45,000,000円路線価方式、資料1・2自宅敷地、境界確認未了
不2土地埼玉県川越市△△町55番3、畑800.00平方メートル所有権2分の13,200,000円固定資産評価証明書、資料3共有者は弟、農地法確認要
不3建物東京都千代田区〇〇一丁目101番地1、家屋番号101番11階70.00平方メートル、2階55.00平方メートル所有権全部8,500,000円固定資産税評価額、資料4空き家、火災保険あり

預貯金・現金の記載例

次の表は、相続開始日残高と死亡後の動きを分ける例です。金融機関、支店、種別、口座番号、名義をそろえることが重要で、備考欄から死亡後払戻しや葬儀費用への充当を読み取ります。

番号種類金融機関・保管場所口座等相続開始日残高資料備考
預1普通預金〇〇銀行本店12345673,250,000円残高証明書、資料6死亡後30万円払戻し、葬儀費用に充当
預2定期預金△△信用金庫神田支店76543215,000,000円残高証明書、資料7経過利息確認中
現1現金自宅寝室金庫封筒内現金420,000円写真、確認メモ相続人全員立会いで確認

株式・投資信託の記載例

次の表は、証券会社、銘柄、数量、評価方法を分けて書く例です。上場株式は死亡日の終値だけでなく月平均額との比較が問題になることがあり、投資信託では基準価額や信託財産留保額を確認する必要があります。

番号種類金融機関銘柄数量評価額評価方法・資料備考
株1上場株式〇〇証券A株式会社1,000株2,100,000円相続税評価、資料9配当期待あり
株2上場株式△△証券B株式会社500株750,000円相続開始日終値、資料10移管手続要確認
投1投資信託〇〇証券グローバル株式ファンド1,200,000口1,481,400円残高証明書、運用報告書信託財産留保額確認中

非上場株式の確認資料

次の表は、非上場株式で集める資料を示しています。会社規模、株主区分、資産状況で評価方法が変わるため、資料の種類をそろえることが重要です。どの資料が株数、譲渡制限、純資産、支配関係の確認に使われるかを読み取ってください。

資料用途
株主名簿株主、株数、名義の確認
定款株式譲渡制限、種類株式、出資持分の確認
直近3期分の決算書・申告書会社規模、利益、純資産、類似業種比準要素の確認
固定資産台帳会社保有不動産や償却資産の確認
借入金明細純資産評価、事業承継リスクの確認
役員名簿同族関係、支配関係、後継者確認
Section 05

遺産目録で扱いが分かれやすい財産の書き方

保険、債務、贈与、使途不明金は別欄で整理します。

生命保険、死亡退職金、葬式費用、債務、生前贈与、使途不明金は、遺産分割と相続税で扱いが分かれやすい項目です。遺産本体へ混ぜず、参考財産や検討事項として分けると誤解を減らせます。

次の比較表は、扱いが分かれやすい項目をまとめたものです。欄を分けることが重要なのは、受取人固有の権利、みなし相続財産、債務控除、争点整理が混ざると判断を誤るためです。どの項目を本文に入れ、どの項目を別欄にするかを読み取ってください。

項目記載方法注意点
生命保険保険会社、証券番号、契約者、被保険者、受取人、保険金額、支払状況を記載遺産分割対象か、相続税対象かを分けます
死亡退職金・未支給年金支払者、受取人、金額、資料、遺産分割上の扱いを記載会社規程や制度ごとに扱いが異なります
動産・自動車・貴金属種類、内容、保管場所、評価額、評価方法、備考を記載高額品、貸金庫、暗号資産は個別管理します
債務・保証債権者、契約日、残高、担保、保証、資料を記載相続放棄や限定承認の判断に直結します
葬式費用支払先、内容、支払日、金額、支払者、資料を記載税務上控除できる費用と精算対象を分けます
生前贈与・特別受益対象者、時期、金額、資料、主張を別表に記載断定せず、証拠と主張を分けます
使途不明金取引日、口座、出金額、出金者、使途説明、資料、争点を記載通帳履歴、領収書、判断能力資料を確認します

次の表は、使途不明金を別表で整理する例です。疑いだけで断定しないことが重要で、取引日、口座、金額、出金者、使途説明、資料、争点を分けます。どの出金が本人使用か精算対象か、資料欄から読み取ってください。

番号取引日口座出金額出金者使途説明資料争点
使1令和7年12月20日〇〇銀行普通1,000,000円不明不明通帳写し死亡前引出し、本人使用か
使2令和8年2月4日〇〇銀行普通300,000円山田花子葬儀費用領収書死亡後引出し、精算対象

弁護士実務では、いつ、どの口座から、誰が、いくら、どのような権限で、何に使ったかを分解します。疑いがあるだけでは足りないため、通帳、取引履歴、ATM利用場所、委任状、介護記録、領収書、医療記録などを確認します。

Section 06

遺産目録テンプレートと完成版の記載例

空欄を埋めるだけでなく、資料番号と調査中欄を持たせます。

テンプレートを使う場合でも、空欄を埋めるだけでは不十分です。財産ごとに評価方法と資料番号を付け、調査中の財産や争いのある事項を隠さず分けておくことが重要です。

次の表は、総合版テンプレートで用意したい区分を示しています。区分を先に作ることが重要なのは、後から財産が見つかった場合でも版を更新しやすいからです。どの欄にどの財産や資料を置くかを読み取ってください。

区分主な列記載のポイント
被相続人氏名、生年月日、死亡日、最後の住所、本籍評価と期限の基準を明確にします
作成情報作成日、作成者、目的、評価基準日、金額単位調査中か完成版かを区別します
不動産所在、地番、種類、面積、権利、評価額、評価方法、資料登記事項証明書どおりに書きます
預貯金・現金金融機関、支店、口座番号、相続開始日残高、資料、備考死亡後払戻しを備考で分けます
有価証券金融機関、銘柄、コード、数量、評価額、評価方法、資料評価方式と資料を対応させます
生命保険等支払者、契約番号、受取人、金額、税務確認、資料遺産分割上の扱いを明記します
債務・保証債権者、契約日、残高、担保、資料、備考相続放棄判断のため漏れを避けます
調査中事項内容、関係者、金額、資料、状況、今後の対応断定せず、争点と資料を分けます
添付資料一覧資料番号、資料名、発行者、発行日、対応財産番号数字の根拠を追えるようにします

次の完成例は、架空事例を使って財産と資料番号を対応させたものです。複数の財産がある場合でも、番号、評価額、資料、備考をそろえることが重要です。相続人全員が同じ表を見たときに、何が確定済みで何が調査中かを読み取ってください。

番号種類内容評価額・金額資料備考
不1土地東京都千代田区〇〇一丁目101番1、宅地150.00平方メートル45,000,000円資料1・2自宅敷地
不2建物同所101番1、居宅、木造瓦葺2階建125.00平方メートル8,500,000円資料3空き家
預1普通預金〇〇銀行本店 12345673,250,000円資料4葬儀費用として死亡後300,000円払戻し
預2定期預金△△信用金庫神田支店 76543215,000,000円資料5経過利息確認中
株1上場株式〇〇証券 A株式会社 1,000株2,100,000円資料7国税庁評価方式
保1死亡保険金〇〇生命、受取人 山田花子10,000,000円資料9原則対象外として整理、税務確認
債1住宅ローン〇〇銀行12,000,000円資料10団信請求中
調1調査中事項令和7年12月20日の預金出金1,000,000円資料13使途確認中
Section 07

遺産目録作成の実務手順

探索から修正履歴まで、更新される資料として管理します。

遺産目録は一度で完成しません。探索、資料取得、評価、相続人間の共有、修正履歴の管理という順番で更新します。途中版を押し付けず、異議があれば資料を添えて指摘してもらう形が実務的です。

次の時系列は、作成手順を5段階に分けたものです。順番が重要なのは、評価額の計算より先に財産漏れを防ぐ必要があるためです。各段階で、何を集め、何を確定し、何を共有するかを読み取ってください。

第1段階

探索

自宅、貸金庫、郵便物、メール、スマートフォン、通帳、保険証券、借入金書類を確認し、仮目録に入れます。

第2段階

証明資料の取得

登記事項証明書、残高証明書、取引履歴、証券会社資料、保険資料、ローン残高証明書を集めます。

第3段階

評価

存在確認、相続税申告用評価額、遺産分割協議用の合意価額を分けます。

第4段階

相続人間で共有

現時点の調査結果として共有し、異議は資料付きで出してもらいます。

第5段階

修正履歴を残す

第1版、第2版のように版数と作成日を残し、追加資料を反映します。

次の比較表は、財産ごとに集める主な資料をまとめています。資料欄を確認することが重要なのは、目録の数字や備考の根拠を後から説明できるようにするためです。財産ごとに、証明資料がそろっているかを読み取ってください。

財産主な資料
不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、名寄帳、課税明細書、公図、地積測量図、賃貸借契約書
預貯金残高証明書、取引履歴、通帳写し、定期預金明細
株式証券会社残高証明書、取引報告書、配当金支払通知、上場株式評価明細書
非上場株式株主名簿、定款、決算書、申告書、法人の固定資産台帳
保険保険証券、支払明細、契約内容照会、受取人確認書類
債務借用書、ローン残高証明書、返済予定表、請求書、納税通知書
葬式費用領収書、請求書、支払メモ、香典帳
Section 08

遺産目録でよくある誤りと争いがある場合の書き方

誤りを直し、争点は中立的な欄で整理します。

よくある誤りは、住所だけで不動産を書く、現在残高だけで預金を書く、評価方法を書かない、生命保険を遺産本体に混ぜる、借金や保証を漏らす、家族名義財産やデジタル資産を見落とすことです。

次の比較表は、誤りと修正方法を並べています。修正方法を見ることが重要なのは、何を足せば実務で使える目録になるかが分かるためです。左の誤りに自分の目録が近くないかを確認してください。

よくある誤り修正方法確認する資料
住所で不動産を書く土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積で書く登記事項証明書
預金を現在残高だけで書く相続開始日残高、死亡後払戻し、現在残高を分ける残高証明書、取引履歴
評価方法を書かない相続税評価額、参考時価、鑑定評価額などを別欄にする路線価図、査定書、鑑定書
生命保険を遺産本体に混ぜる遺産分割対象財産と相続税申告上の参考財産を分ける保険証券、支払明細
借金や保証を漏らす債務・保証・未払金欄を作り、残高と資料を確認するローン残高証明書、契約書
家族名義財産を無視する実質的な所有者を確認し、税務上の名義預金の可能性を検討する通帳、印鑑管理、入出金履歴
デジタル資産を見落とすネット銀行、ネット証券、暗号資産、電子マネー、オンライン資料を確認するスマートフォン、メール、確定申告資料

相続人間でもめている場合は、中立的な形式にします。存在に争いがない財産は通常欄へ、評価に争いがある財産は複数評価を併記し、遺産性に争いがあるもの、使途不明金、特別受益、寄与分は別欄に分けます。

次の比較表は、争いがある場合の整理方法を示します。断定しすぎないことが重要なのは、相手方や裁判所が客観資料として読めるようにするためです。どの区分に入れると対立を整理しやすいかを読み取ってください。

区分書き方
存在に争いがない財産通常の財産欄に記載
存在はあるが評価に争い評価額欄に複数評価を併記
遺産性に争い調査中・争いあり欄に記載
使途不明金取引履歴に基づく別表に記載
特別受益贈与時期、金額、資料、主張を別表に記載
寄与分介護、事業貢献、財産維持の事実を別表に記載
Section 09

遺産目録と専門職・税務・協議書の関係

目録は後の手続に橋渡しする資料として整えます。

遺産目録は、専門職が見るポイントによって確認内容が変わります。また、相続税申告、遺産分割協議書、遺言書、調停・審判、情報管理との関係を意識すると、後の手続に使いやすくなります。

次の比較表は、専門職別のチェックポイントを示します。相談先ごとの視点を見ることが重要なのは、同じ目録でも、紛争、登記、税務、評価、金融手続で見る欄が違うためです。どの専門職に何を確認してもらうかを読み取ってください。

相談先主なチェックポイント
弁護士遺産の範囲、遺産性、評価の争い、使途不明金、特別受益、寄与分、遺留分、遺言の有効性
司法書士登記表示、所有者、持分、相続登記の可否、戸籍のつながり、協議書との整合性
税理士課税財産、非課税財産、債務控除、葬式費用、生前贈与加算、小規模宅地等、株式評価
行政書士争いがない範囲での書類作成、資料整理、相続関係説明図
公証人・遺言執行者公正証書遺言の財産特定、遺言執行のしやすさ
不動産鑑定士・土地家屋調査士適正価格、境界、分筆、地積更正、表示登記
金融機関・証券会社・保険会社相続人確認、必要書類、残高証明、移管、受取人、支払明細

次の比較表は、遺産目録と遺産分割協議書の違いを示します。役割を分けることが重要なのは、目録は調査資料、協議書は分割内容の合意文書だからです。いつ作るものか、署名押印の意味がどう違うかを読み取ってください。

項目遺産目録遺産分割協議書
目的財産の把握、評価、資料整理分割内容の合意
作成時期調査段階から作成合意成立後に作成
署名押印必須ではないが確認印を取ることはある相続人全員の署名押印が通常必要
不動産登記参考資料登記原因証明資料として重要
金融機関手続参考資料払戻し・名義変更に必要となることがある
税務申告財産把握に利用取得者や特例適用に関係

次の比較表は、情報管理上のリスクと対応を示します。遺産目録には口座番号、住所、戸籍情報などが含まれるため、共有方法が重要です。どのリスクにどの対応を取るかを読み取ってください。

リスク対応
口座番号の不必要な拡散下4桁以外を伏せた共有版を作る
資料改ざんの疑いPDF化し、版数と作成日を入れる
一部相続人だけが資料を持つ共有フォルダまたは資料一覧で管理
誤送信宛先確認、パスワード別送、紙送付も検討
感情的対立弁護士経由で共有する

相続税の概算では、基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、生命保険金、死亡退職金、名義預金、生前贈与、非上場株式、土地評価、債務控除は専門的判断が必要です。

Section 10

遺産目録の作成前・財産調査・記載内容チェック

確認表で、前提、資料、記載欄を順に点検します。

最後に、遺産目録の作成前、財産調査、記載内容のチェックを分けて確認します。確認表は、抜け漏れを減らすために重要です。左の項目を順に見て、未確認のものがあれば資料請求や専門家確認に回してください。

次の比較表は、作成前チェックを示します。死亡日や相続人、遺言書、相続放棄、税務、登記を先に確認することが重要です。どの前提が未確定かを読み取ってください。

確認事項チェック
被相続人の死亡日、最後の住所、本籍を確認した
相続人の戸籍を確認した
遺言書の有無を確認した
相続放棄の可能性を検討した
相続税申告期限を把握した
相続登記が必要な不動産を確認した
法定相続情報一覧図の利用を検討した

次の比較表は、財産調査のチェックを示します。財産ごとに資料をそろえることが重要で、確認済みと資料請求中を分けると進捗が見えます。どの財産の資料が足りないかを読み取ってください。

財産チェック
不動産の登記事項証明書を取得した
名寄帳または固定資産税課税明細を確認した
預貯金の残高証明書を取得した
取引履歴を確認した
証券会社の残高証明書を取得した
保険契約を照会した
借入金・保証債務を確認した
未払医療費・未払税金を確認した
貸金庫を確認した
デジタル資産を確認した
葬式費用の領収書を整理した

次の比較表は、記載内容のチェックを示します。評価基準日、評価方法、資料番号、調査中欄、備考欄、保険と債務、共有版の管理が重要です。完成前に各行を確認してください。

確認事項チェック
評価基準日を書いた
評価方法を書いた
資料番号を付けた
調査中財産を別欄にした
争いのある事項を備考欄に書いた
生命保険を遺産本体と参考財産に分けた
債務を記載した
相続人全員に同じ版を共有した
修正履歴を残した
Section 11

遺産目録のよくある質問

一般情報として、判断が分かれやすい点を整理します。

FAQでは、遺産目録の一般的な扱いを確認します。実際の対応は、財産内容、相続人間の関係、提出先、税務や登記の要否で変わります。各回答から、どの点を専門家へ確認すべきかを読み取ってください。

Q1. 遺産目録は手書きでもよいですか。

一般的には、手書きでも作成できます。ただし、相続人間で共有し、修正履歴や資料番号を管理するには、表計算ソフトや文書ファイルの方が実務的な場合があります。自筆証書遺言に添付する場合は方式要件があるため、具体的には専門家へ確認する必要があります。

Q2. 遺産目録に評価額は必ず必要ですか。

一般的には、遺産分割や相続税申告を進めるには評価額が必要になることが多いとされています。ただし、調査初期では調査中と記載する方法もあります。目的や提出先で必要性が変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q3. 相続税評価額と実勢価格のどちらを書きますか。

一般的には、相続税申告では相続税評価額、遺産分割協議では実勢価格や鑑定評価額を参考にすることがあります。混乱を避けるため、別欄に分けて書く方法が有効です。具体的な評価方法は税理士や不動産鑑定士等へ確認する必要があります。

Q4. 亡くなった後に引き出した預金はどう書きますか。

一般的には、相続開始日残高を記載したうえで、死亡後払戻しとして別欄に記録するとされています。使途、支払先、領収書、残額で扱いが変わる可能性があります。具体的な精算や争点整理は弁護士等へ相談する必要があります。

Q5. 財産資料を見せてもらえない場合はどうなりますか。

一般的には、任意協議で資料開示を求め、応じない場合には金融機関照会、弁護士照会、遺産分割調停などを検討することがあります。相続人関係や資料の所在で対応は変わるため、具体的には弁護士等へ相談する必要があります。

Q6. 借金が多いかもしれない場合でも作成しますか。

一般的には、財産と負債の把握のために目録化は重要です。ただし、相続放棄や限定承認を検討している場合は、財産処分などが単純承認と評価される可能性があります。具体的な対応は、早期に弁護士等へ相談する必要があります。

Q7. 非上場株式の評価額が分からない場合はどうしますか。

一般的には、調査中として株主名簿、定款、決算書、申告書を収集します。税務評価、会社支配、遺留分の争いで結論が変わる可能性があります。具体的には税理士、公認会計士、弁護士等へ相談する必要があります。

Q8. 後から財産が見つかった場合はどうしますか。

一般的には、遺産目録を更新し、追加財産として相続人全員で協議します。遺産分割協議書や相続税申告の状況によって対応が変わる可能性があります。具体的には弁護士、税理士等へ確認する必要があります。

Section 12

遺産目録は相続人全員が同じ事実を見るための資料

正確性、透明性、更新可能性を意識して作成します。

よい遺産目録は、相続人全員が同じ事実を見られる資料です。不動産は登記簿どおりに書き、評価方法を明示します。預貯金は相続開始日残高と死亡後の動きを分け、株式は証券会社、銘柄、株数、評価方法を記載します。

次の強調表示は、遺産目録の目的をまとめたものです。重要なのは、誰かに有利な表ではなく、資料、評価、調査中事項を同じ前提で見られる状態を作ることです。透明性、更新可能性、資料対応の3点を読み取ってください。

遺産目録は相続の出発点であり、紛争予防の設計図です

正確性、透明性、更新可能性を意識すると、協議、家庭裁判所での手続、税務申告、登記、金融機関手続が進めやすくなります。

専門家へ相談する場合も、遺産目録があるだけで相談の質は上がります。弁護士は争点を把握しやすくなり、司法書士は登記対象を確認しやすくなり、税理士は相続税申告の見通しを立てやすくなります。

Reference

この記事の参考情報源

裁判所・法務省関係

  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「遺産分割調停の申立書」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務局「法定相続情報証明制度について」
  • 政府広報オンライン「遺言書に関する一般解説」
  • 法務省「遺言書の様式等についての注意事項」

国税庁関係

  • 国税庁「相続税がかかる場合」
  • 国税庁「相続税の計算」
  • 国税庁「土地家屋の評価」
  • 国税庁「上場株式の評価」
  • 国税庁「取引相場のない株式の評価」
  • 国税庁「相続財産から控除できる債務」