2σ Guide

公正証書遺言の作成にかかる
費用の目安

2025年10月改定後の法定手数料、電子交付、出張・病床加算、専門家報酬、相続開始後の登記・税務費用まで分けて整理します。

13,000円1億円以下の遺言加算
5,000円電子交付2通の目安
123,891件2025年の作成件数
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公正証書遺言の作成にかかる 費用の目安

2025年10月改定後の法定手数料、電子交付、出張・病床加算、専門家報酬、相続開始後の登記・税務費用まで分けて整理します。

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公正証書遺言の作成にかかる 費用の目安
2025年10月改定後の法定手数料、電子交付、出張・病床加算、専門家報酬、相続開始後の登記・税務費用まで分けて整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 公正証書遺言の作成にかかる 費用の目安
  • 2025年10月改定後の法定手数料、電子交付、出張・病床加算、専門家報酬、相続開始後の登記・税務費用まで分けて整理します。

POINT 1

  • 公正証書遺言の作成にかかる費用の目安をまず整理する
  • 費用は遺産総額だけでなく、受益者ごとの取得価額、交付方法、出張の有無、専門家の関与で変わります。
  • 公証人手数料は数万円から十数万円が中心
  • 公証人に支払う法定費用
  • 資料・証人・専門家の費用

POINT 2

  • 公正証書遺言とは何かと費用を払う意味
  • 1. 公証人へ相談:財産、受益者、必要資料、証人、交付方法を確認します。
  • 2. 証人2名の立会い:推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になれません。
  • 3. 読み聞かせ又は閲覧:遺言者の真意と内容を確認して、公正証書として確定します。
  • 4. 検認が必要になる場合:自宅保管では家庭裁判所での検認が通常必要です。
  • 5. 検認は不要:相続開始後の手続に進みやすいことが大きな利点です。

POINT 3

  • 公正証書遺言の費用は何で構成されるか
  • 作成時の費用と、相続開始後に別途発生する費用を切り分けます。
  • まずは作成時に発生しうる費用を分けて確認します。
  • 読者にとって重要なのは、固定的に計算しやすい項目と、案件ごとに確認が必要な項目を読み分けることです。
  • 公正証書遺言それ自体の費用ではなくても、実務では周辺費用も問題になります。

POINT 4

  • 公正証書遺言の法定手数料と計算式
  • 2025年10月1日施行の改定後の手数料表を、目的価額ごとに確認します。
  • 総費用の骨格
  • 電子交付と書面交付
  • 公正証書遺言の作成手数料は、公証人手数料令の階層に従って算定します。

POINT 5

  • 公正証書遺言の作成にかかる費用の具体例
  • 電子交付2通、出張なし、外部専門家報酬なしの前提で概算を見ます。
  • 同じ1億円でも、1人にまとめる場合と複数人に分ける場合で手数料が変わることを読み取るために重要です。
  • この比較から、1億円以下だから必ず安い、1億円を超えたら急に高い、という理解は正確ではないことが分かります。
  • 5,000万円超1億円以下は同じ49,000円の階層なので、8,000万円と1億円が同額になる場面があります。

POINT 6

  • 公正証書遺言の費用が上がりやすい場面
  • 受益者の人数が多い
  • 受益者ごとに取得価額を当てはめて合算するため、総額が同じでも人数が増えると高くなりやすくなります。
  • 不動産の表示が詳細
  • 所在、地番、家屋番号などを正確に書くと明確性は高まりますが、書面交付や紙出力の枚数に影響することがあります。

POINT 7

  • 公正証書遺言の費用と専門家報酬は分けて見る
  • 公証人は中立の立場で公正証書を作成し、弁護士・司法書士・税理士等の報酬は別枠です。
  • 公正証書遺言は、士業者や銀行等を介さず、遺言者本人や家族が直接公証役場へ相談・依頼しても差し支えないとされています。
  • 相談自体は無料です。
  • したがって、法律上必須なのは公証人への法定手数料であり、外部専門家への報酬は任意の費用です。

POINT 8

  • 公正証書遺言の必要書類と費用の関係
  • 書類収集を自分で行うか、専門家に依頼するかで総費用が変わります。
  • これらは公証人手数料とは別に、取得実費や収集の手間を発生させます。
  • どの資料を自分で集めるか、どこから専門家に頼むかを考えることで、見積もりの精度と準備の速度を高められます。
  • 印鑑登録証明書又は顔写真付き公的身分証明書を確認します。

まとめ

  • 公正証書遺言の作成にかかる 費用の目安
  • 公正証書遺言の作成にかかる費用の目安をまず整理する:費用は遺産総額だけでなく、受益者ごとの取得価額、交付方法、出張の有無、専門家の関与で変わります。
  • 公正証書遺言とは何かと費用を払う意味:公証人、証人2名、原本保管、検認不要という特徴が、費用の背景にあります。
  • 公正証書遺言の費用は何で構成されるか:作成時の費用と、相続開始後に別途発生する費用を切り分けます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

公正証書遺言の作成にかかる費用の目安をまず整理する

費用は遺産総額だけでなく、受益者ごとの取得価額、交付方法、出張の有無、専門家の関与で変わります。

公正証書遺言は「高そう」と受け止められがちですが、2026年4月時点の制度に沿って分解すると、公証人に支払う中核費用はかなり規則的に見積もれます。重要なのは、遺産全体を一括で見るのではなく、誰がいくら受け取るのかという配分ごとに手数料を積み上げる点です。

次の強調部分は、このページ全体で扱う費用の考え方を表しています。読者にとって重要なのは、数万円という一つの金額だけで判断せず、法定費用と周辺費用を分けて読み取り、自分の財産構成に近い項目を確認することです。

公証人手数料は数万円から十数万円が中心

3,000万円を配偶者1人に相続させる典型例では電子交付2通込みで約4万4,000円、1億円を配偶者1人に相続させる例では約6万7,000円が一つの目安です。ただし、複数人に分けると同じ総額でも上がりやすくなります。

費用を考える入口として、まず三つの層に分けると混乱しにくくなります。この一覧は何を公証役場に支払う部分として見て、何を別枠で準備するべきかを表しており、見積もり漏れを防ぐために重要です。

LEGAL

公証人に支払う法定費用

目的価額ごとの手数料、遺言加算、電子データ又は書面の交付費、出張時の日当・交通費などです。計算根拠が比較的明確です。

VARIABLE

資料・証人・専門家の費用

戸籍、評価証明書、証人の手配、弁護士・司法書士・税理士・行政書士等への報酬は、案件ごとに幅があります。

AFTER

相続開始後の実行費用

不動産の相続登記、相続税申告、遺言執行者報酬、紛争対応費用は、遺言作成費と分けて考える必要があります。

概算では、1億円以下の遺言には1万3,000円の遺言加算が加わり、正本相当・謄本相当を電子データで1通ずつ受け取るなら通常5,000円を見ます。したがって、最初に確認すべき問いは「遺産総額はいくらか」だけではなく、「誰に、いくら、どの条項で渡すか」です。

Section 01

公正証書遺言とは何かと費用を払う意味

公証人、証人2名、原本保管、検認不要という特徴が、費用の背景にあります。

公正証書遺言とは、遺言者本人が公証人と証人2名の前で遺言内容を伝え、公証人が真意を確認して作成する遺言方式です。読み聞かせ又は閲覧を経て内容を確定し、原本は公証役場に保管されます。

次の一覧は、公正証書遺言の特徴を手続の順番に沿って整理したものです。費用が単なる文書代ではなく、真意確認、方式不備の予防、保管、相続開始後の利用しやすさに結び付いていることを読み取るために重要です。

作成から相続開始後までの基本的な流れ

公証人へ相談

財産、受益者、必要資料、証人、交付方法を確認します。

証人2名の立会い

推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になれません。

読み聞かせ又は閲覧

遺言者の真意と内容を確認して、公正証書として確定します。

自筆証書遺言
検認が必要になる場合

自宅保管では家庭裁判所での検認が通常必要です。

公正証書遺言
検認は不要

相続開始後の手続に進みやすいことが大きな利点です。

公正証書遺言の特徴は、内容・方式の不備が生じにくいこと、証人2名が立ち会うこと、原本が公証役場に保管されること、相続開始後に家庭裁判所の検認を要しないことです。2025年10月からは公正証書手続のデジタル化が進み、一定の場合にはウェブ会議の利用も可能になっています。

ここでいう検認とは、家庭裁判所が遺言書の形状や加除訂正の状態を確認し、相続人に遺言の存在と内容を知らせる手続です。公正証書遺言では検認が不要なので、相続開始後の時間的負担を抑えやすくなります。

Section 02

公正証書遺言の費用は何で構成されるか

作成時の費用と、相続開始後に別途発生する費用を切り分けます。

公正証書遺言の費用で混同しやすいのは、公証人に支払う法定手数料、資料取得や専門家報酬、相続開始後の登記・税務・執行費用を一緒に見てしまう点です。まずは作成時に発生しうる費用を分けて確認します。

次の比較表は、公正証書遺言を作成する段階で発生しうる費用を、金額の決まり方ごとに整理しています。読者にとって重要なのは、固定的に計算しやすい項目と、案件ごとに確認が必要な項目を読み分けることです。

区分内容金額の決まり方
公証人の法定手数料遺言内容そのものの作成手数料公証人手数料令に基づき、受益者ごとの取得価額で計算します。
遺言加算1通の遺言の目的価額合計が1億円以下のときの加算1万3,000円です。
交付費用正本相当・謄本相当の電子データ又は書面の交付電子データは各1通2,500円、書面は1枚300円です。
原本の紙出力加算原本を紙に出力した場合の枚数加算3枚を超える1枚ごとに300円が加わります。
出張関係費用公証人が病院・自宅・施設等へ赴く場合日当は1日2万円、4時間以内は1万円、交通費は実費です。
病床執務加算病床で作成する場合の加算遺言加算を除く基本手数料の5割増しとなる場合があります。

公正証書遺言それ自体の費用ではなくても、実務では周辺費用も問題になります。次の比較表は、作成前後で見積もりに入れておきたい費用を表しており、総費用を低く見誤らないために重要です。

区分内容注意点
戸籍・住民票・評価証明書等必要書類の取得実費役所、通数、不動産の数で変動します。
証人の手配適当な証人がいない場合の費用公証役場で紹介を受けられることがありますが、負担額は確認が必要です。
専門家報酬弁護士、司法書士、税理士、行政書士等への依頼費用法定料金ではなく、依頼内容と事務所ごとに異なります。
相続登記費用登録免許税、司法書士報酬等不動産がある場合は、相続開始後の別費用として見ます。
相続税関連費用税理士報酬、納税資金対応等相続税の要否や申告期限は遺言作成費と分けて検討します。
遺言執行費用遺言執行者報酬等作成費ではなく、死後の実行費用として現れます。

最低限の問いが「公証人手数料はいくらか」であるのに対し、家計負担として知りたい問いは「資料、証人、専門家、登記、税務まで含めるといくらか」です。この二つを分けるだけで、見積もりはかなり見通しやすくなります。

Section 03

公正証書遺言の法定手数料と計算式

2025年10月1日施行の改定後の手数料表を、目的価額ごとに確認します。

公正証書遺言の作成手数料は、公証人手数料令の階層に従って算定します。2025年10月1日施行の改定後は、古い解説にある金額と異なる場合があるため、現行の表を前提にすることが重要です。

次の比較表は、受益者ごとの目的価額に対応する基本手数料を示しています。列の左側は各人が受ける利益の価額、右側はその価額に対応する手数料であり、複数人に財産を分ける場合はこの表を人数分当てはめて合算する点を読み取ってください。

目的価額手数料
50万円以下3,000円
50万円超100万円以下5,000円
100万円超200万円以下7,000円
200万円超500万円以下13,000円
500万円超1,000万円以下20,000円
1,000万円超3,000万円以下26,000円
3,000万円超5,000万円以下33,000円
5,000万円超1億円以下49,000円
1億円超3億円以下49,000円に、超過額5,000万円までごとに15,000円を加算
3億円超10億円以下109,000円に、超過額5,000万円までごとに13,000円を加算
10億円超291,000円に、超過額5,000万円までごとに9,000円を加算

ここでいう目的価額とは、遺言によって各人が受ける利益を金銭評価したものです。妻1人に1億円を相続させる場合は1人分で計算しますが、妻に6,000万円、子に4,000万円を相続させる場合は2人分を別々に計算して合算します。

総費用の骨格

計算式は、各受益者ごとの手数料合計に、遺言加算、交付費用、必要に応じて紙出力加算、出張日当・交通費、病床執務加算、外部専門家報酬・資料取得実費を足す形で把握します。

基本式総費用の骨格 = 各受益者ごとの手数料の合計 + 遺言加算 + 交付費用 + 該当する加算・実費・外部報酬

電子交付と書面交付

電子データで正本相当と謄本相当を各1通受け取る場合は、2,500円ずつで通常5,000円と見ると整理しやすくなります。書面交付では1枚300円なので、不動産表示が長い遺言や注記が多い遺言ではページ数が費用に反映されます。

旧い費用表に注意旧制度では「5,000万円超1億円以下43,000円」「遺言加算11,000円」などの説明が見られることがあります。2026年時点の見積もりでは、2025年10月改定後の金額を前提に確認する必要があります。

なお、資力が乏しいことが公的な証明書で明らかな場合には、手数料等の全部又は一部について支払猶予が検討されることがあります。一般的な案件で広く使われる前提ではありませんが、福祉的配慮が必要な場面では、公証役場に確認する価値があります。

Section 04

公正証書遺言の作成にかかる費用の具体例

電子交付2通、出張なし、外部専門家報酬なしの前提で概算を見ます。

ここでは、正本相当・謄本相当を電子データで各1通受け取るため交付費用を5,000円とし、出張費、交通費、証人関係費、外部専門家報酬を含めない前提で目安を示します。

次の比較表は、配分の違いによって概算合計がどう変わるかを表しています。同じ1億円でも、1人にまとめる場合と複数人に分ける場合で手数料が変わることを読み取るために重要です。

事例配分基本手数料遺言加算電子交付2通概算合計
A3,000万円を配偶者1人に相続26,000円13,000円5,000円44,000円
B5,000万円を配偶者1人に相続33,000円13,000円5,000円51,000円
C8,000万円を配偶者1人に相続49,000円13,000円5,000円67,000円
D1億円を配偶者1人に相続49,000円13,000円5,000円67,000円
E1億円を配偶者6,000万円・子4,000万円に相続49,000円+33,000円13,000円5,000円100,000円
F1億円を配偶者・子2人にほぼ均等に相続33,000円×313,000円5,000円117,000円
G2億円を配偶者1人に相続79,000円0円5,000円84,000円
H2億円を配偶者1億円・子1億円に相続49,000円+49,000円0円5,000円103,000円

この比較から、1億円以下だから必ず安い、1億円を超えたら急に高い、という理解は正確ではないことが分かります。5,000万円超1億円以下は同じ49,000円の階層なので、8,000万円と1億円が同額になる場面があります。

交付費や出張費を含めず、価額ベース手数料と遺言加算だけを見る簡易早見では、800万円を1人に承継させる例で33,000円前後、1億2,000万円を1人に承継させる例で64,000円前後という整理もできます。前提をそろえないと、同じ費用目安でも金額が違って見える点に注意が必要です。

また、複数人に細かく配分する遺言は、同じ総額でも受益者ごとの計算を合算するため、1人にまとめる遺言より高くなりやすい傾向があります。費用見積もりでは、総額より先に配分案を作ることが大切です。

Section 05

公正証書遺言の費用が上がりやすい場面

受益者数、不動産表示、出張、病床執務、付加条項が増額要因になります。

費用が上がる理由は、単に財産が多いからとは限りません。受益者が増える、不動産の表示が長くなる、病院や自宅で作成する、特別な条項を入れるといった事情が重なると、総費用は上がりやすくなります。

次の一覧は、公正証書遺言の費用を押し上げる代表的な要素を整理しています。どの要素が自分の状況に当てはまるかを確認することで、見積もり時に何を公証役場や専門家へ質問すべきかを読み取れます。

受益者の人数が多い

受益者ごとに取得価額を当てはめて合算するため、総額が同じでも人数が増えると高くなりやすくなります。

不動産の表示が詳細

所在、地番、家屋番号などを正確に書くと明確性は高まりますが、書面交付や紙出力の枚数に影響することがあります。

病院・自宅・施設で作成

公証人の出張が必要な場合、日当と交通費が加わります。4時間以内なら日当1万円、1日なら2万円が目安です。

病床執務加算がある

病床で作成する場合、遺言加算を除く目的価額による手数料額が1.5倍となる場合があります。

祭祀主宰者を指定する

墓、仏壇、祭具等の承継主体を定める条項は、目的価額を算定できない法律行為として1万3,000円と整理されます。

書き方が曖昧になる

作成費を抑えるために記載を省くと、相続開始後に不動産の特定、預金口座の確認、登記、税務で余計な費用が生じることがあります。

病床執務加算の試算

たとえば、8,000万円を配偶者1人に相続させる遺言で、病床執務加算が適用され、4時間以内の日当がかかる場合を考えます。基本手数料49,000円に1.5を掛けるため73,500円、そこに遺言加算13,000円、電子交付2通5,000円、日当10,000円、交通費実費が加わります。

概算この例では少なくとも101,500円+交通費という水準になります。出張の日当・交通費と病床執務加算は別概念として確認する必要があります。

予備的な遺言は費用対効果が高い場合がある

「妻が遺言者より先に死亡していた場合は長男に相続させる」といった予備的な遺言を同一の公正証書に盛り込む場合、主位的な遺言で手数料を算定し、予備的な遺言については別途の手数料を算定しないと説明されています。将来のリスクに備える条項を最初から入れておくことは、再作成コストを抑える点でも意味があります。

Section 06

公正証書遺言の費用と専門家報酬は分けて見る

公証人は中立の立場で公正証書を作成し、弁護士・司法書士・税理士等の報酬は別枠です。

公正証書遺言は、士業者や銀行等を介さず、遺言者本人や家族が直接公証役場へ相談・依頼しても差し支えないとされています。相談自体は無料です。したがって、法律上必須なのは公証人への法定手数料であり、外部専門家への報酬は任意の費用です。

ただし、任意だから不要とは限りません。次の比較表は、専門職ごとに強い領域と、公正証書遺言の費用との関係を示しています。どの専門家の費用を別枠で見積もるべきかを判断するために重要です。

専門職主に強い領域費用との関係
弁護士相続人間の対立、遺留分、交渉、調停、審判、訴訟紛争予防条項や、紛争化しやすい配分設計を法的に点検できます。
司法書士相続登記、登記用書類、不動産の名義変更、戸籍収集不動産がある相続では、登記実行を見据えた記載整備が有効です。
税理士相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応基礎控除超過見込み、多額の不動産、非上場株式がある案件で重要です。
行政書士非紛争の書類整理、遺言作成支援、協議書作成支援公証人へ提出する資料整理や草案補助に向きます。
遺言執行者遺言内容の実行作成費用ではなく、相続開始後の実行費用として現れます。
不動産鑑定士・土地家屋調査士等評価、境界、分筆、特殊財産の確認不動産や事業承継の評価が争点になる場合に関与することがあります。

次の一覧は、専門家報酬を節約しやすい案件と、節約しない方が安全な案件を対比しています。費用を抑えること自体より、相続全体の事故・紛争・やり直し費用を抑える視点が重要です。

1

直接公証役場へ相談しやすい案件

相続人関係が単純、財産が預貯金中心、配分が明快、相続税の発生可能性が低い、不動産が少なく承継先が明確な場合です。

簡素
2

専門家を入れた方が安全な案件

再婚家庭、前婚の子、内縁、非嫡出子、養子、認知、遺留分、共有不動産、収益不動産、農地、会社株式、相続税、強い感情対立、判断能力争いがある場合です。

注意

いったん紛争化すると、弁護士だけでなく、家庭裁判所、調停委員、鑑定人、特別代理人、不動産鑑定士、土地家屋調査士などが関与することもあります。公正証書遺言に数万円から十数万円をかけるかどうかは、単なる文書作成費ではなく、紛争予防の初期費用として見る必要があります。

Section 07

公正証書遺言の必要書類と費用の関係

書類収集を自分で行うか、専門家に依頼するかで総費用が変わります。

公正証書遺言では、遺言者本人の確認資料、相続人との続柄が分かる戸籍、不動産資料、預貯金資料、証人の確認資料などが必要になることがあります。これらは公証人手数料とは別に、取得実費や収集の手間を発生させます。

次の一覧は、必要になりやすい資料を種類ごとにまとめたものです。どの資料を自分で集めるか、どこから専門家に頼むかを考えることで、見積もりの精度と準備の速度を高められます。

A

本人確認資料

印鑑登録証明書又は顔写真付き公的身分証明書を確認します。運転免許証、旅券、マイナンバーカード等で足りる場合があります。

本人
B

相続関係資料

遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本・除籍謄本、相続人以外へ遺贈する場合の受遺者の住所資料などです。

戸籍
C

財産資料

不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書又は課税明細書、預貯金通帳又は写しなどを確認します。

財産
D

証人・執行者資料

証人の確認資料、遺言執行者を相続人・受遺者以外から指定する場合の特定資料などです。

確認

資料収集を自分で行えば実費中心で済みますが、不動産が多い、相続関係が複雑、戸籍が広範囲に及ぶ、法人や特殊財産がある場合は、専門家に依頼した方が結果的にやり直しを防げることがあります。

分岐点公正証書遺言作成の総費用を左右する第二の分岐点は、資料収集を自分で行うか、専門家にまとめて依頼するかです。
Section 08

自筆証書遺言と比べた公正証書遺言の費用

初期費用だけなら自筆証書遺言は低額ですが、方式の確実性や死後の手続まで含めて比較します。

自筆証書遺言の法務局保管制度では、保管申請手数料は遺言書1通につき3,900円です。法務局保管の自筆証書遺言も相続開始後の検認が不要になるため、初期費用だけを見ると公正証書遺言より低額です。

次の比較表は、初期費用と制度上の違いを整理しています。費用の安さだけで方式を選ぶのではなく、無効、不発見、改ざん、検認、死後の実行可能性まで含めて読み取ることが重要です。

方式初期費用の見方主な特徴注意点
自筆証書遺言(自宅保管)作成そのものに公証人手数料はかかりません。手軽に作れます。方式不備、紛失、隠匿、改ざん、検認の負担が問題になりえます。
自筆証書遺言(法務局保管)保管申請手数料は1通3,900円です。保管制度を使えば検認が不要になります。内容の妥当性や税務・登記の設計まで当然に解決するものではありません。
公正証書遺言数万円から十数万円前後になりえます。公証人と証人2名が関与し、原本が公証役場に保管され、検認が不要です。配分、交付方法、出張、専門家関与によって総費用が変わります。

次の強調部分は、費用比較で見落としやすい視点をまとめています。読者にとって重要なのは、初期費用の差だけでなく、死後の手続遅延や紛争コストを含めて方式を評価することです。

安い方式が常に総費用を下げるとは限らない

公正証書遺言は、真意確認、原本保管、検認不要、相続開始後の検索可能性などの制度的な強みがあります。安全確実性まで含めると、合理的な選択肢になる場面があります。

日公連は、2025年に全国で12万3,891件の遺言公正証書が作成されたと公表しています。公正証書遺言は費用がかかる一方で、現在も相続対策の選択肢として広く利用されています。

Section 09

公正証書遺言を作った後に残る相続費用

不動産登記、相続税、未分割財産、遺言執行は、遺言作成とは別に走ります。

公正証書遺言を作っても、それで相続手続が全て終わるわけではありません。不動産があれば相続登記が問題となり、相続税が発生する規模であれば10か月以内の申告・納税を意識する必要があります。

次の時系列は、遺言作成後から相続開始後に起こりやすい費用項目を並べたものです。順番を確認することで、公正証書遺言の作成費と死後の実行費を混同せず、どの段階で別費用が発生するかを読み取れます。

作成前

配分と資料を整理

財産一覧、受益者ごとの取得価額、必要書類、証人、出張の要否を確認します。

作成時

公証人手数料を支払う

目的価額ごとの手数料、遺言加算、交付費、出張関係費用などが中心です。

相続開始後

不動産があれば相続登記

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。登録免許税は原則として固定資産税評価額の0.4%です。

10か月以内

相続税の申告・納税

相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

実行段階

遺言執行・専門家費用

預貯金、不動産、有価証券、事業資産などの実行で、執行者報酬や専門家費用が生じる場合があります。

相続財産が未分割でも申告期限は延びず、一定の特例が使いにくくなる場合があります。また、配偶者と一親等血族以外の者が遺贈等で財産を取得する場合には、相続税額の2割加算が問題になることもあります。

別枠管理公正証書遺言の作成費用と、相続登記・相続税・遺言執行の費用は、見積書でも家族内の説明でも分けて管理する方が誤解を防げます。
Section 10

公正証書遺言の費用見積もり前に整理すること

公証役場へ相談する前に、配分案と資料をそろえると見積もりの精度が上がります。

費用を正確に把握するには、財産一覧を作り、誰に何を渡すかを決め、不動産・税務・紛争可能性を切り分け、公証役場の法定費用と専門家報酬を別に見積もる順番が合理的です。

次の判断の流れは、公証役場へ相談する前に確認したい順番を表しています。準備不足による見積もりのブレや、あとから専門家費用が膨らむリスクを抑えるために重要です。

費用見積もり前の確認順序

財産一覧を作る

預貯金、不動産、有価証券、事業用資産、祭祀財産を分けます。

誰に何を渡すか決める

受益者ごとの取得価額が分からないと手数料を計算できません。

追加費用の有無を確認

不動産、出張、証人、相続税、遺留分、専門家関与を切り分けます。

複雑
専門家報酬も別見積もり

紛争・税務・登記の費用を公証人手数料と混ぜずに確認します。

単純
公証役場で法定費用を確認

交付方法、証人、資料、出張の要否を具体的に確認します。

公証役場へ相談する前には、誰に何を相続させるか、各人の取得価額のおおまかな見積もり、不動産資料の有無、出張の要否、証人を用意できるか、遺言執行者を指定するか、相続税の可能性、不動産登記の必要性をメモしておくと進めやすくなります。

結論公正証書遺言の作成費用をいくらで抑えるかだけでなく、相続全体の事故・紛争・やり直し費用を含めて、どの方式が最も合理的かを見極めることが大切です。
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公正証書遺言の費用に関するFAQ

一般的な制度説明として、費用を見積もるときに迷いやすい点を整理します。

公正証書遺言は必ず専門家に依頼しないと作れませんか

一般的には、遺言者本人や家族が直接公証役場へ相談・依頼しても差し支えないとされています。ただし、相続人間の対立、遺留分、不動産、相続税、判断能力などの事情によって必要な検討は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

1億円を超えると公正証書遺言の費用は急に高くなりますか

一般的には、1億円を超えると遺言加算1万3,000円が付かなくなる一方、目的価額の階層に応じた加算が問題になります。そのため、1億円を超えたから一律に急騰するわけではありません。ただし、受益者の人数や配分、交付方法、出張の有無で結論が変わる可能性があります。

病院や自宅で作る場合はいくら増えますか

一般的には、公証人の出張が必要な場合、日当と交通費が加わり、病床で作成する場合には遺言加算を除く基本手数料が1.5倍となる場合があります。ただし、場所、所要時間、病床執務加算の適用、交通費実費によって総額は変わります。具体的な金額は公証役場へ確認する必要があります。

自筆証書遺言の方が安いなら、公正証書遺言は不要ですか

一般的には、初期費用だけ見れば自筆証書遺言、特に法務局保管制度の方が低額です。ただし、方式不備、真意確認、原本保管、検認、死後の実行可能性、紛争リスクによって評価は変わります。具体的にどの方式が適切かは、財産構成や家族関係を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

公正証書遺言を作れば相続登記や相続税申告も不要になりますか

一般的には、公正証書遺言を作成しても、不動産を取得する場合の相続登記や、相続税が発生する場合の申告・納税は別に検討する必要があります。財産の種類、評価額、法定相続人の数、取得者によって必要な手続は変わる可能性があります。具体的には司法書士、税理士、弁護士等へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

公的機関・公証実務・税務実務の資料名を整理しています。

公証制度・遺言手続

  • 日本公証人連合会「12 手数料」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料に関するQ&A」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言とはどのようなものかに関するQ&A」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言のメリットに関するQ&A」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言の証人に関するQ&A」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言の必要書類に関する案内」
  • 日本公証人連合会「予備的な遺言に関するQ&A」
  • 日本公証人連合会「遺言公正証書作成件数に関する公表資料」

法令・法務局資料

  • e-Gov法令検索「公証人手数料令」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「公証制度について」
  • 法務省「公正証書に係る一連の手続のデジタル化について」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務局「相続による所有権移転登記に必要な書類と登録免許税」

相続税・周辺手続

  • 国税庁「相続税がかかる場合」
  • 国税庁「相続税の申告と納税」
  • 国税庁「相続財産が分割されていないときの申告」
  • 国税庁「相続税額の2割加算」