2σ Guide

保険会社が過失割合を
不当に高く主張してくる場合

保険会社の過失割合提示は最終判断ではありません。事故類型、修正要素、映像や車両損傷、医療記録を整理し、反論書、ADR、調停、訴訟までの実務対応を確認します。

20%1,000万円が800万円へ
7割自賠責の重大過失目安
15段階交渉から訴訟まで
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保険会社が過失割合を 不当に高く主張してくる場合

保険会社の 過失割合 提示は最終判断ではありません。

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保険会社が過失割合を 不当に高く主張してくる場合
保険会社の 過失割合 提示は最終判断ではありません。
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  • 保険会社が過失割合を 不当に高く主張してくる場合
  • 保険会社の 過失割合 提示は最終判断ではありません。

POINT 1

  • 保険会社が過失割合を不当に高く主張してくる場合の全体像
  • 提示割合は最終判断ではなく、事故類型、修正要素、証拠で検討します。
  • 保険会社の提示は最終決定ではありません
  • 提示割合は交渉上の提案です
  • 争点は事故類型と修正要素です

POINT 2

  • 過失割合を争う前に押さえる定義
  • 過失割合、過失相殺、自賠責、交通事故証明書を混同しないことが出発点です。
  • 自賠責では7割未満なら減額なしとされる扱いがあります
  • 過失割合の交渉では、似た言葉を混同すると反論がずれます。
  • 読者にとって重要なのは、交通事故証明書や保険会社の説明だけで過失割合が確定するわけではない点です。

POINT 3

  • 保険会社が不当に高い過失割合を提示しやすい典型パターン
  • 1. 根拠を書面で求める:提示割合、事故類型、参照基準、修正要素を確認します。
  • 2. 事故類型を再構成する:衝突地点、車両の向き、損傷部位、信号、停止線、映像を見ます。
  • 3. 修正要素を証拠で示す:相手の違反、こちらの停止や徐行、視認可能性、回避可能性を具体化します。
  • 4. 代替割合と資料開示を求める:前提事実、証拠、法的評価を組み合わせて反論します。

POINT 4

  • 保険会社の過失割合を覆すための証拠収集
  • 映像、現場、車両、医療、通信、人的証拠を早く保全します。
  • 過失割合争いでは、時間が経つほど証拠が失われます。
  • 各行から、どの資料がどの事実を補強するかを読み取ってください。
  • 映像を確認するときは、単に事故の瞬間を見るだけでは足りません。

POINT 5

  • 保険会社への反論書の作り方
  • 前提事実、証拠、法的評価を組み合わせ、感情的な抗議文にしないことが重要です。
  • 反論文の基本形
  • 反論書は、保険会社への不満を並べる文書ではなく、前提事実、証拠、法的評価を示す文書です。
  • 読者は、この順番で書くことで、相手の提示割合のどこが誤っているかを具体的に示せると読み取ってください。

POINT 6

  • 事故類型別に過失割合の反論視点を確認する
  • 追突、交差点、右折直進、進路変更、歩行者、自転車、駐車場で争点が異なります。
  • 事故類型ごとに見るべき証拠は異なります。
  • 読者にとって重要なのは、同じ「接触事故」でも、追突、右折直進、進路変更、駐車場では基本的な見方が変わることです。
  • 各項目から、どの事実を追加で確認するかを読み取ってください。

POINT 7

  • 過失割合が損害額と保険の使い分けに与える影響
  • 治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、物損、人身傷害まで広く影響します。
  • 被害者請求
  • 損害調査と異議申立
  • 人身傷害保険

POINT 8

  • 過失割合の反論でやってはいけない対応と確認質問
  • その場で過失割合に同意する
  • 正式な示談前でも、不利な発言として扱われる可能性があります。
  • 証拠を保存しない
  • 映像、防犯カメラ、現場状況、車両損傷は時間とともに失われます。

まとめ

  • 保険会社が過失割合を 不当に高く主張してくる場合
  • 保険会社が過失割合を不当に高く主張してくる場合の全体像:提示割合は最終判断ではなく、事故類型、修正要素、証拠で検討します。
  • 過失割合を争う前に押さえる定義:過失割合、過失相殺、自賠責、交通事故証明書を混同しないことが出発点です。
  • 保険会社が不当に高い過失割合を提示しやすい典型パターン:事故類型、修正要素、供述、交通違反、物損と人身の混同を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

保険会社が過失割合を不当に高く主張してくる場合の全体像

提示割合は最終判断ではなく、事故類型、修正要素、証拠で検討します。

交通事故では、相手方保険会社から「こちらにも何割かの過失がある」と提示されることがあります。しかし、その割合は裁判所の最終判断ではなく、交渉上の提案または支払判断です。過失割合は、事故態様、道路状況、交通規制、認識可能性、回避可能性、証拠の信用性、裁判実務上の基準、修正要素を総合して検討されます。

次の重要ポイントは、過失割合を争うときの考え方を三つにまとめたものです。この整理が重要なのは、印象論で争うだけでは交渉が進みにくく、証拠と事故類型に基づく反論が必要になるためです。読者は、保険会社の提示を受け取った後に、どの順序で確認するかを読み取ってください。

保険会社の提示は最終決定ではありません

合意できなければ、ADR、調停、訴訟などの手続で争うことができます。まずは事故類型、基本過失割合、修正要素、証拠を切り分けます。

最初に見るべき論点は、保険会社の提示が何を前提にしているかです。次の一覧は、反論の出発点を三つに分けています。読者は、どの項目も「書面」「証拠」「代替案」と結びつけて確認する必要があると読み取ってください。

結論 1

提示割合は交渉上の提案です

示談で合意すれば確定しますが、合意できなければ中立的な手続で争う余地があります。

結論 2

争点は事故類型と修正要素です

「どちらが悪いか」ではなく、どの類型か、基本割合はいくつか、どの修正要素があるかを確認します。

結論 3

過失割合は損害額に直結します

損害額1,000万円で自分の過失が20パーセントなら、原則として相手へ請求できる額は800万円に減ります。

実務資料交通事故実務では、事故類型ごとの基本過失割合と修正要素を整理した実務文献が広く参照されます。2026年3月には全訂6版である別冊判例タイムズ39号が発売されています。
Section 01

過失割合を争う前に押さえる定義

過失割合、過失相殺、自賠責、交通事故証明書を混同しないことが出発点です。

過失割合の交渉では、似た言葉を混同すると反論がずれます。次の表は、中心用語の意味と、交渉での注意点を並べたものです。読者にとって重要なのは、交通事故証明書や保険会社の説明だけで過失割合が確定するわけではない点です。各行から、どの資料が何を証明するのかを読み取ってください。

用語意味交渉での注意点
過失割合事故発生について当事者がどの程度の不注意または法的責任を負うかを割合で示したもの道徳的な非難の割合ではなく、損害を公平に分担するための法的評価です。
過失相殺被害者側にも過失がある場合に、損害賠償額を減額する仕組み民法上、裁判所が被害者側の過失を考慮できるとされています。
自賠責保険人身損害の被害者救済を目的とする強制保険通常の民事賠償のような細かな過失相殺ではなく、重大な過失がある場合に所定の減額が行われます。
任意保険自賠責を超える部分、物損、人身傷害、車両保険、弁護士費用特約などを担う民間保険相手方任意保険会社が過失割合交渉の前面に出ることが多いです。
交通事故証明書交通事故の事実を確認したことを証明する書面事故があったことを示す資料であり、過失割合を直接確定する資料ではありません。

自賠責の減額ルールは、任意保険交渉の過失割合とは別に理解する必要があります。次の重要ポイントは、被害者に過失がある場合でも、自賠責では重大な過失に限って減額される構造を示しています。読者は、任意保険会社の提示割合と自賠責の支払基準を分けて確認する必要があると読み取ってください。

自賠責では7割未満なら減額なしとされる扱いがあります

金融庁及び国土交通省の支払基準では、被害者の過失割合が7割未満の場合は減額なし、7割以上の場合に所定の減額が行われる表が示されています。

Section 02

保険会社が不当に高い過失割合を提示しやすい典型パターン

事故類型、修正要素、供述、交通違反、物損と人身の混同を確認します。

高すぎる提示が出る背景には、事故の見方のずれがあります。次の一覧は、過失割合が過大になりやすい典型パターンを五つに分けたものです。読者にとって重要なのは、単に「納得できない」と言うのではなく、どの前提が誤っているのかを特定することです。各項目から、反論すべき前提事実を読み取ってください。

事故類型の取り違え

停止またはほぼ停止していたのに双方走行中として扱われるなど、分類のずれで基本割合が変わります。

修正要素の見落とし

速度超過、合図なし進路変更、一時停止違反、信号無視、横断歩道、道路幅員などが十分に考慮されていない場合があります。

相手方供述への依拠

映像や第三者目撃者がない場合、相手の説明が初期判断に強く影響することがあります。

交通違反と民事過失の混同

刑事、行政、民事は関係しますが同一ではありません。違反の有無だけで割合が機械的に決まるわけではありません。

物損評価と人身損害評価の混同

物損の早期合意が、後の人身損害にも事実上影響することがあります。

提示割合に反論するときは、手順を固定すると論点が整理しやすくなります。次の判断の流れは、根拠書面を求めるところから、事故類型と修正要素を検討し、代替案を出すまでの順番を表します。読者は、感情的な拒否ではなく、検証可能な反論へ変換する必要があると読み取ってください。

高い過失割合を示されたときの整理手順

根拠を書面で求める

提示割合、事故類型、参照基準、修正要素を確認します。

事故類型を再構成する

衝突地点、車両の向き、損傷部位、信号、停止線、映像を見ます。

修正要素を証拠で示す

相手の違反、こちらの停止や徐行、視認可能性、回避可能性を具体化します。

代替割合と資料開示を求める

前提事実、証拠、法的評価を組み合わせて反論します。

Section 03

保険会社の過失割合を覆すための証拠収集

映像、現場、車両、医療、通信、人的証拠を早く保全します。

過失割合争いでは、時間が経つほど証拠が失われます。次の表は、事故直後から数日以内に確保したい資料を分野別に整理したものです。読者にとって重要なのは、交通事故証明書だけでは過失割合を直接決められず、映像、現場、車両損傷、医療記録などを組み合わせる必要がある点です。各行から、どの資料がどの事実を補強するかを読み取ってください。

分野資料実務上の意味
警察関係交通事故証明書、実況見分調書、供述調書、送致記録事故発生の事実、当事者、日時、場所、現場状況を確認する基礎資料
映像ドライブレコーダー、防犯カメラ、店舗カメラ、車載映像信号、速度、位置関係、進路変更、停止の有無を確認する中核資料
現場道路写真、停止線、横断歩道、標識、信号、道路幅員、見通し、街灯事故類型と修正要素の判断資料
車両損傷写真、修理見積書、車体寸法、損傷方向、部品破損衝突角度、相対速度、接触位置の推定資料
医療診断書、診療録、画像、受傷直後の症状記録衝撃態様と傷害発生の整合性を確認する資料
通信・位置スマートフォン履歴、ナビ履歴、ETC、テレマティクス事故時刻、移動経路、速度推定、注意散漫の検討資料
人的証拠目撃者の氏名、連絡先、陳述書映像がない場合の重要資料

映像を確認するときは、単に事故の瞬間を見るだけでは足りません。次の一覧は、ドライブレコーダーや防犯カメラで確認したい10項目をまとめたものです。順番が重要なのは、信号、停止線、速度感、操作、位置関係を時系列でつなぐことで、事故類型と修正要素を説明しやすくなるためです。読者は、映像の見方にも専門的な確認点があると読み取ってください。

1

信号表示と変化時刻

交差点進入時の信号関係を確認します。

信号
2

停止線通過時刻と停止位置

一時停止や徐行の有無を検討します。

位置
3

車間距離と速度感

追突や進路変更の前提を確認します。

速度
4

ブレーキランプとウインカー

停止、減速、進路変更の合図を見ます。

操作
5

車線境界線との位置関係

どちらが相手の進路へ入ったのかを確認します。

進路
6

危険認識可能性と停止位置

見通し、反応時間、回避可能性を検討します。

分析
EDR重大事故、事業用車両事故、大型車事故、速度やブレーキ操作が争点となる事故では、事故時の加速度、速度、アクセル、ブレーキ、ステアリング、シートベルト着用などを記録する車両データの有無を確認する価値があります。
Section 04

保険会社への反論書の作り方

前提事実、証拠、法的評価を組み合わせ、感情的な抗議文にしないことが重要です。

反論書は、保険会社への不満を並べる文書ではなく、前提事実、証拠、法的評価を示す文書です。次の比較表は、反論書に入れる10項目を、なぜ必要かと一緒に整理しています。読者は、この順番で書くことで、相手の提示割合のどこが誤っているかを具体的に示せると読み取ってください。

項目書く内容
事故の概要日時、場所、当事者、進行方向、衝突位置を簡潔に整理します。
提示内容保険会社が示した過失割合と根拠を記載します。
争点事故類型、修正要素、相手方供述、証拠不足などを分けます。
こちらの事故類型本質的な危険発生原因を示します。
基本過失割合どの類型を前提にするかを明確にします。
修正要素速度、一時停止、信号、合図、見通しなどを証拠で示します。
証拠一覧映像、写真、修理資料、医療記録、目撃者を整理します。
相手方主張の誤り客観資料と食い違う点を指摘します。
妥当な割合代替案を提示します。
回答期限と資料開示不足資料の開示と書面回答を求めます。

反論文では、抽象的な怒りではなく、証拠に基づく文章が重要です。次の例は、保険会社の前提事実を指摘し、映像や写真を根拠に代替評価を示す構成を表しています。読者は、どの証拠のどの部分が反論を支えるのかを具体的に示す必要があると読み取ってください。

反論文の基本形

貴社提示は、当方車両が通常速度で交差点内を進行していたことを前提とするものと思われます。しかし、当方車両は停止線手前で一時停止後、徐行して進入しており、相手方車両には一時停止標識を無視した進入が認められます。映像、現場写真、損傷写真から、貴社提示割合は前提事実を誤っているため、再検討を求めます。

Section 05

事故類型別に過失割合の反論視点を確認する

追突、交差点、右折直進、進路変更、歩行者、自転車、駐車場で争点が異なります。

事故類型ごとに見るべき証拠は異なります。次の一覧は、代表的な事故類型ごとの確認ポイントをまとめたものです。読者にとって重要なのは、同じ「接触事故」でも、追突、右折直進、進路変更、駐車場では基本的な見方が変わることです。各項目から、どの事実を追加で確認するかを読み取ってください。

追突事故

前車の急ブレーキ、進路変更直後の停止、理由のない急停止、灯火不備などが主張されていないか確認します。

追突

交差点の出合い頭事故

信号、一時停止、優先道路、道路幅員、見通し、進入速度、徐行義務が重要です。

交差点

右折車と直進車

直進車の速度、信号表示、交差点進入時刻、右折開始位置、矢印信号を確認します。

右折直進

車線変更、進路変更事故

合図、側方確認、接触位置、車線境界線、死角、車間距離を検討します。

進路変更

歩行者事故

横断歩道、信号、児童や高齢者、夜間、見通し、車両速度、視認可能性を確認します。

交通弱者

自転車事故

信号、一時停止、歩道通行、横断歩道、自転車横断帯、夜間無灯火、スマートフォン利用などを見ます。

自転車

駐車場内事故

通路走行車、後退車、歩行者動線、防犯カメラ、停止位置、後退灯、接触部位を確認します。

駐車場
Section 06

過失割合が損害額と保険の使い分けに与える影響

治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、物損、人身傷害まで広く影響します。

過失割合は、慰謝料だけでなく多くの損害項目に影響します。次の表は、損害項目ごとにどのような影響が出るかを整理したものです。読者にとって重要なのは、5パーセントまたは10パーセントの差でも、損害額が大きいほど最終額に強く響く点です。各行から、どの損害項目を再計算すべきかを読み取ってください。

損害項目過失割合の影響
治療費相手方負担額が過失割合に応じて減る可能性があります。
休業損害収入減少分から過失相殺される可能性があります。
入通院慰謝料慰謝料額から過失相殺される可能性があります。
後遺障害慰謝料等級認定後の慰謝料から過失相殺される可能性があります。
逸失利益将来収入喪失分から過失相殺される可能性があります。
車両修理費修理費または時価額から過失相殺される可能性があります。
代車費用必要性、相当性に加えて過失割合が影響します。
評価損認められた場合でも過失相殺される可能性があります。

保険の使い分けは、過失割合争いの間の生活資金や治療継続にも関係します。次の一覧は、自賠責、任意保険、人身傷害保険、自分の保険会社が交渉できない場面を分けたものです。読者は、相手方との交渉が止まっても、別の支払制度や特約確認が必要になることを読み取ってください。

自賠責

被害者請求

示談が成立しない場合でも、被害者が直接、損害賠償額の支払いを請求できることがあります。

自賠責

損害調査と異議申立

事故状況照会、現場確認、医療機関確認が行われることがあり、支払額や等級に不服があれば異議申立を検討します。

任意保険

人身傷害保険

自分の保険から一定の人身損害の支払いを受けられることがありますが、約款の範囲を確認します。

100対0

示談交渉サービスの限界

被害者側に賠償責任がない場合、自分の保険会社が相手方との交渉を代行できないことがあります。

Section 07

過失割合の反論でやってはいけない対応と確認質問

証拠保全、物損先行示談、SNS投稿、医療記録、質問事項をまとめて点検します。

不利な割合を修正するには、避けるべき行動を先に知ることが大切です。次の一覧は、交渉を難しくしやすい対応をまとめたものです。読者にとって重要なのは、一度の口頭同意や証拠の消失が、後の反論を弱める可能性がある点です。各項目から、今すぐ止めるべき行動を読み取ってください。

その場で過失割合に同意する

正式な示談前でも、不利な発言として扱われる可能性があります。

証拠を保存しない

映像、防犯カメラ、現場状況、車両損傷は時間とともに失われます。

受診を遅らせる

事故と症状の因果関係を争われることがあります。

SNSに事故内容を書く

事故状況、体調、仕事、外出、運動に関する投稿が争いに影響することがあります。

物損だけと軽視する

物損で合意した割合が、人身損害の交渉にも事実上影響することがあります。

保険会社に聞く質問は、相手の提示割合を検証可能にするために重要です。次の表は、確認すべき10項目を並べたものです。読者は、口頭説明ではなくメールや書面で回答を求め、事故類型、基準、修正要素、証拠確認の有無を分けて見る必要があると読み取ってください。

確認質問見るべき点
過失割合の根拠となる事故類型は何ですか類型の取り違えがないか確認します。
参照した基準、文献、裁判例は何ですか機械的な説明になっていないか確認します。
基本過失割合はいくつですか出発点となる割合を把握します。
どの修正要素を加算または減算しましたか相手方の違反やこちらの注意義務を分けます。
こちらのどの行為を過失と評価していますか反論対象を具体化します。
相手方の交通違反や注意義務違反をどう評価していますか片方だけを重く見ていないか確認します。
映像、写真、修理資料、実況見分調書を確認しましたか証拠確認の範囲を見ます。
相手方供述と客観資料の食い違いをどう扱いましたか供述依存の判断を防ぎます。
物損と人身で同じ割合を前提にする理由は何ですか対象範囲の広がりを確認します。
提示割合を変更しない理由を書面で示せますか次の手続へ進む資料になります。

反論前の確認項目は、証拠の抜けを見つけるために役立ちます。次の一覧は、提示割合の書面、基本割合、映像、現場、車両、医療、特約、相談先を点検するものです。読者は、空欄が多いほど反論の準備が不足している可能性があると読み取ってください。

チェック項目確認の意味
保険会社の提示割合を書面で受け取った前提と根拠を固定します。
基本過失割合と修正要素を確認した争点を事故類型と修正要素に分けます。
交通事故証明書を取得した事故の基礎事実を確認します。
ドライブレコーダー映像を保存した上書きによる消失を防ぎます。
第三者映像の有無を確認した店舗、防犯カメラ、後続車の映像を探します。
現場写真と車両損傷写真を保存した衝突位置や事故類型を補強します。
修理見積書と損傷説明を取得した衝突方向や損傷部位を説明します。
目撃者の連絡先を確保した映像がない場合の重要資料になります。
診断書、明細、画像資料を保管した衝撃態様と傷害発生の整合性を示します。
弁護士費用特約と相談先を確認した交渉、ADR、訴訟へ進む準備になります。
Section 08

交渉から訴訟までの実務の進め方

事故発生から支払い、後処理までを時系列で見て、重要な局面を把握します。

手続の全体像を知ると、どの時点で証拠と反論を整えるべきかが分かります。次の時系列は、事故発生から支払い後の処理までを15段階に分けたものです。順番が重要なのは、7から10の段階で過失割合の根拠と反論を整えられるかが、交渉結果に大きく影響するためです。読者は、現在地と次に行う作業を読み取ってください。

1から3

事故発生、警察届出、救護、医療機関受診

安全確保、警察報告、初診記録を優先します。

4から6

保険連絡、交通事故証明書取得、証拠保全

映像、写真、車両損傷、目撃者を早く確保します。

7から10

過失割合提示、根拠開示、事故類型、反論書

ここが最重要です。資料が不足したまま感情的に争うと、証拠が失われることがあります。

11から13

再交渉、弁護士介入またはADR、調停または訴訟

交渉で修正されない場合は、中立的手続や法的手続を検討します。

14から15

和解または判決、支払い、保険求償、後処理

合意内容、支払い、保険間の求償、今後の請求範囲を確認します。

死亡事故や重度後遺障害事故では、過失割合が数パーセント変わるだけで賠償額が数百万円から数千万円変わることがあります。次の一覧は、重大事故で確認すべき資料をまとめたものです。読者は、早期合意の前に刑事記録、映像、車両データ、収入や扶養関係まで確認する必要があると読み取ってください。

事故資料

交通事故証明書、実況見分調書、供述調書、鑑定資料

刑事手続の記録が民事の過失割合に影響することがあります。

映像と車両

映像、車両損傷写真、EDR、運行記録

速度、ブレーキ、接触方向、回避可能性を検討します。

損害資料

死亡診断書、診療録、収入資料、扶養関係資料、葬儀費、介護費

死亡事故や重度後遺障害事故では、損害額の土台になります。

Section 09

保険会社の過失割合提示に関するFAQ

よくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 保険会社が提示した過失割合に納得できません。無視してよいですか。

一般的には、無視ではなく、書面で根拠を求め、どの事実、どの基準、どの修正要素に争いがあるかを整理する対応が考えられます。ただし、治療費対応、物損支払い、示談交渉の状況で影響は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 警察が相手を加害者扱いしていました。過失割合は0になりますか。

一般的には、刑事、行政、民事の判断は一致することもありますが、制度目的が異なります。民事では双方の注意義務違反や事故への寄与度が改めて検討されるため、警察の扱いだけで0と決まるわけではありません。

Q3. 交通事故証明書の甲乙欄は、甲が悪いという意味ですか。

一般的には、交通事故証明書の甲乙欄は過失割合を確定するものではありません。交通事故証明書は事故の事実を確認したことを証明する書面であり、過失割合を争うには映像、実況見分調書、現場写真、車両損傷など別資料が必要です。

Q4. 物損だけ先に示談してもよいですか。

一般的には、物損だけを先に解決することはあり得ます。ただし、示談書の文言によっては人身損害への影響が問題になる可能性があります。対象を物損に限定する文言かどうかは、個別に確認する必要があります。

Q5. 弁護士に相談するタイミングはいつですか。

一般的には、過失割合の提示に納得できない時点で相談を検討できます。特に後遺障害、休業損害、死亡事故、証拠保全、治療費打切りなどが関係する場合は、早めに資料を整理して相談する必要性が高くなります。

Q6. 保険会社との会話を録音してよいですか。

一般的には、自分が当事者として参加している会話を正確に確認する目的で録音する場面はあります。ただし、録音の利用方法、相手への伝え方、個人情報の扱いによって注意点が変わります。重要な内容は録音だけでなく、メールや書面でも確認する必要があります。

Q7. 相手がドライブレコーダーを出してくれません。

一般的には、任意交渉では相手が直ちに提出に応じないことがあります。弁護士から提出を求める、ADRや訴訟手続で証拠提出を促す、第三者カメラを探すなどの対応が考えられます。映像が上書きされる可能性があるため、早期の保全要請が重要です。

Q8. 自分にも少しミスがあります。それでも争えますか。

一般的には、一部過失がある場合でも、保険会社の提示が過大であれば修正を求める余地があります。ただし、事故態様、証拠、基本割合、修正要素によって結論は変わります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Section 10

保険会社が高い過失割合を示したときのまとめ

怒りだけで争わず、事故態様を証拠で再構成して反論します。

保険会社が過失割合を不当に高く主張してくる場合に必要なのは、不信感だけで交渉することではありません。事故態様を証拠で再構成し、適切な事故類型と修正要素に基づいて、前提事実、証拠、法的評価を示すことです。

最終確認提示割合を書面で受け取り、事故類型、基本割合、修正要素、証拠、物損と人身の範囲、保険の使い分け、相談先を確認してから、反論書、ADR、調停、訴訟の順に検討します。

示談は一度成立すると撤回が難しくなります。納得できない過失割合を提示されたときは、すぐに署名せず、根拠を求め、証拠を保全し、専門的な検討を行うことが重要です。

Reference

この記事の参考情報源

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
  • e-Gov法令検索「道路交通法」
  • 金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「大型車EDR(イベント・データ・レコーダー)の国連基準概要」
  • 国土交通省「支払に疑問、不服がある場合には」
  • 金融庁「金融サービス利用者相談室」
  • 自動車安全運転センター「交通事故に関する証明書」

保険・相談機関・実務資料

  • 判例タイムズ社「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕別冊判例タイムズ39号」
  • 日本損害保険協会「自賠責保険」
  • 日本損害保険協会「相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)」
  • 損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」
  • 交通事故紛争処理センター「法律相談、和解斡旋および審査の流れ」
  • 日弁連交通事故相談センター「示談あっせん・審査」