2σ Guide

示談金の提示書が届いたら
まずやるべきこと

署名や承諾の前に、提示書の対象範囲、損害項目、算定基準、治療状況、後遺障害、過失割合、既払金、時効を順に確認するための実務的な見方を整理します。

72時間 初動で保全
120万円 自賠責傷害限度
3年 自賠責請求期限の目安
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示談金の提示書が届いたら まずやるべきこと

金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。

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示談金の提示書が届いたら まずやるべきこと
金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。
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  • 示談金の提示書が届いたら まずやるべきこと
  • 金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。

POINT 1

  • 示談金の提示書が届いたらまず確認する全体像
  • 金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。
  • 最初に見るべき項目を優先度順に並べると、何を先に止め、何を保存し、どの資料を照合するかが分かります。

POINT 2

  • 示談金の提示書と示談書の違いを見分ける
  • 1. 書類名と本文を確認:提示書、計算書、示談書、免責証書、承諾書のどれかを確認します。
  • 2. 清算条項があるか:今後一切請求しない、債権債務なしなどの表現を探します。
  • 3. 対象範囲を保留して確認:人身、物損、後遺障害、将来損害を含むか書面で照会します。
  • 4. 内訳と根拠を検算:検討資料として、項目別の金額と証拠を照合します。

POINT 3

  • 示談金の提示書が届いた直後に避けたい行動
  • 即日返送
  • 早く振り込まれると言われても、示談書や免責証書の対象範囲、清算条項、追加請求不可の文言を確認します。
  • 電話での承諾
  • 「その金額でいいです」と伝えると、後の争点整理が難しくなることがあります。

POINT 4

  • 示談金の提示書は5層に分けて読む
  • 総額ではなく、対象範囲、項目、基準、責任割合、支払条件を分解します。
  • 提示額 = 損害総額 × 相手方責任割合 − 既払金 − 控除額
  • 損害総額、過失割合、既払金、労災や健康保険との調整、支払条件が混ざると、最終的な振込額だけでは妥当性を判断できません。
  • どの層が欠けても、項目漏れや二重控除を見落とす可能性があるため重要です。

POINT 5

  • 示談金の提示書と症状固定・後遺障害の確認
  • 症状が残る場合は、後遺障害の検討前に人身損害全体を終わらせないことが重要です。
  • 痛み、しびれ、可動域制限
  • 記憶障害や性格変化
  • 手術、装具、介護、就労制限

POINT 6

  • 過失割合・保険制度・社会保険を示談前に確認する
  • 1. 警察届出と証拠保全:交通事故証明書、写真、映像、目撃者、車両損傷、信号や道路状況を確認します。
  • 2. 医療資料と一括対応:診断書、診療報酬明細書、通院交通費、治療費一括対応の既払分を整理します。
  • 3. 後遺障害と被害者請求:後遺障害診断書、画像、検査結果を確認し、必要に応じて自賠責への被害者請求を検討します。
  • 4. 労災・健康保険・時効:第三者行為届、労災給付、人身傷害保険、請求期限、消滅時効を分けて確認します。

POINT 7

  • 保険会社への照会と相談先の使い分け
  • 根拠資料を求め、争点が残る場合は相談窓口や専門家の確認へ進みます。
  • 対象とする損害
  • 各項目の算定根拠
  • 後遺障害と過失割合

POINT 8

  • 示談金の提示書で事故類型別に注意する点
  • むち打ち、骨折、高次脳機能障害、自営業、死亡事故などは確認項目が変わります。
  • 提示書の見方は、受傷内容や属性で変わります。
  • 事故の種類によって必要資料が違うため重要です。
  • 自分に近い項目を起点に、提示書で抜けている損害や追加資料を読み取ってください。

まとめ

  • 示談金の提示書が届いたら まずやるべきこと
  • 示談金の提示書が届いたらまず確認する全体像:金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。
  • 示談金の提示書と示談書の違いを見分ける:検討資料なのか、最終合意の書面なのかでリスクが変わります。
  • 示談金の提示書が届いた直後に避けたい行動:早期承諾、期限への焦り、治療中の包括示談は慎重に扱います。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

示談金の提示書が届いたらまず確認する全体像

金額の妥当性より先に、合意の対象範囲と未確定の損害を切り分けます。

交通事故の示談金の提示書は、支払案を示す資料である一方、示談書や免責証書に署名すると和解契約として強い拘束力を持つことがあります。一般的には、提示書が届いた直後は署名、押印、返送、口頭承諾をせず、対象範囲、損害項目、算定基準、治療状況、後遺障害、過失割合、既払金、時効を順に確認する必要があります。

最初に見るべき項目を優先度順に並べると、何を先に止め、何を保存し、どの資料を照合するかが分かります。この一覧は、署名前の判断を誤ると後遺障害慰謝料や逸失利益などを見落とすおそれがあるため重要です。上から順に、合意を止める行動、資料を残す行動、金額を検算する行動へ進むものとして読んでください。

優先度まず確認すること確認する理由
1署名、押印、返送、承諾メールを保留する示談は和解契約として追加請求を制限することがあるため
2提示書、計算書、封筒、メール、添付資料を保存する提示時期、期限、算定根拠を後から検証するため
3保険会社に検討中であることを書面で伝える期限を理由に急いで合意する状況を避けるため
4金額の内訳を損害項目ごとに分ける治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害、物損の漏れを見つけるため
5治療終了、症状固定、後遺障害の可能性を確認する後遺障害慰謝料や逸失利益の有無で賠償項目が大きく変わるため
6交通事故証明書、診断書、明細、休業資料、写真、映像を整理する損害額と過失割合の検証に必要なため
7自分や家族の弁護士費用特約を確認する相談や交渉の費用を保険でまかなえる場合があるため
8相談窓口や専門家に提示書を持参する第三者の専門的な検証を受けるため
重要提示書を受け取った段階と、示談書や免責証書に署名した段階は意味が異なります。清算条項がある書面では、どの損害を終わらせるのかを署名前に確認する必要があります。
Section 01

示談金の提示書と示談書の違いを見分ける

検討資料なのか、最終合意の書面なのかでリスクが変わります。

「示談金」「損害賠償額計算書」「示談書」「免責証書」「承諾書」は似ていますが、役割は異なります。特に免責証書や示談書に清算条項が入っている場合、対象範囲を誤ると人身損害や後遺障害部分まで終わったと扱われる危険があります。

次の比較表は、届いた書面が何を意味するかを整理するものです。名称だけで判断すると、検討資料と合意書面を取り違えるおそれがあるため重要です。左から書類名、一般的な性質、署名前に読み取るべき注意点の順に確認してください。

書類名一般的な性質署名前の注意点
示談金の提示書保険会社側の支払案受け取っただけでは直ちに合意とは限らないが、根拠資料を確認する
損害賠償額計算書各損害項目の算定根拠項目漏れ、期間漏れ、基準の低さを確認する
示談書当事者の合意内容を確定する契約書署名後は撤回や追加請求が難しくなり得る
免責証書受領後に追加請求しない趣旨を含むことが多い書面清算条項、権利放棄条項、対象範囲を確認する
承諾書、同意書保険金支払や医療照会などへの同意示談承諾なのか、医療照会同意なのかを区別する

示談は民法上の和解契約として理解されることが多く、紛争を終局的に解決する機能があります。後で「もっと高い金額になるはずだった」と分かっても、当然にやり直せるわけではありません。

清算条項の意味は文言で変わります。この判断の流れは、提示書が物損だけなのか、人身損害や将来損害まで含むのかを見落とさないために重要です。上から順に読み、分岐では「署名してよいか」ではなく「何を追加確認するか」を読み取ってください。

届いた書面の確認順序

書類名と本文を確認

提示書、計算書、示談書、免責証書、承諾書のどれかを確認します。

清算条項があるか

今後一切請求しない、債権債務なしなどの表現を探します。

ある
対象範囲を保留して確認

人身、物損、後遺障害、将来損害を含むか書面で照会します。

ない
内訳と根拠を検算

検討資料として、項目別の金額と証拠を照合します。

Section 02

示談金の提示書が届いた直後に避けたい行動

早期承諾、期限への焦り、治療中の包括示談は慎重に扱います。

提示書が届いた直後に避けたいのは、書面の意味を理解しないまま署名すること、電話やメールで承諾すること、症状が残るのに人身損害全体を終わらせることです。保険会社の返送期限と、法律上の時効や自賠責の請求期限は同じではないため、期限の性質を分けて確認します。

次の一覧は、初動で特に注意したい行動をリスク別に整理したものです。急いだ結果、未確定の損害や後遺障害部分を放棄するおそれがあるため重要です。左の行動があった場合、右の確認を済ませるまで合意の意思表示をしない、という読み方をします。

即日返送

早く振り込まれると言われても、示談書や免責証書の対象範囲、清算条項、追加請求不可の文言を確認します。

電話での承諾

「その金額でいいです」と伝えると、後の争点整理が難しくなることがあります。検討中であることを記録に残します。

治療中の包括示談

症状固定前や後遺障害診断書作成前は、後遺障害慰謝料や逸失利益が未確定です。

物損と人身の混同

物損のみ先行するつもりでも、「本件事故一切」と書かれていると人身まで含む解釈が問題になります。

検討中であることは、短い文面でも十分に伝えられます。次の文例は、示談成立の意思表示ではないことを明確にし、算定根拠資料と回答期限の延長を求めるために重要です。必要な項目を残し、自分の事故に合わない部分は削って使う形で読み取ってください。

ご提示書面を受領しました。現在、損害項目、治療経過、後遺障害の可能性、過失割合、保険契約内容を確認中です。現時点では示談成立の意思表示はいたしません。検討のため、算定根拠資料一式の送付と回答期限の延長をお願いします。
注意この返答の目的は交渉拒絶ではなく、資料確認の時間を確保することです。不明点は電話だけでなく、メールや書面など記録が残る方法で確認します。
Section 03

示談金の提示書は5層に分けて読む

総額ではなく、対象範囲、項目、基準、責任割合、支払条件を分解します。

提示書を読むときは、総額だけではなく5つの層に分けます。損害総額、過失割合、既払金、労災や健康保険との調整、支払条件が混ざると、最終的な振込額だけでは妥当性を判断できません。

次の比較表は、提示額を検算するための5層構造を表しています。どの層が欠けても、項目漏れや二重控除を見落とす可能性があるため重要です。左から確認層、見る内容、典型的な確認資料の順に読み、提示書の記載と手元資料を照合してください。

確認層見る内容主な資料
対象範囲人身、物損、後遺障害、死亡、労災、家族分を含むか提示書、示談書、免責証書
損害項目治療費、交通費、文書料、休業損害、慰謝料、逸失利益、物損計算書、領収書、診断書、休業資料、見積書
算定基準自賠責基準、任意保険会社の提示基準、裁判実務上の水準算定根拠、日額、期間、日数
責任割合過失相殺、素因減額、既往症、事故との因果関係交通事故証明書、実況見分資料、写真、映像
支払条件支払時期、振込先、清算条項、守秘義務、留保条項示談書、免責証書、保険会社回答

過失割合が入る提示では、次の式を分けて考えます。式の各項目は最終受領額に直接影響するため重要です。損害総額、相手方責任割合、既払金、控除額を別々に確認し、どこで金額が下がっているかを読み取ってください。

提示額 = 損害総額 × 相手方責任割合 − 既払金 − 控除額

総損害額が300万円でも、被害者側に20パーセントの過失があるとされれば、単純計算では240万円が賠償対象になります。既払治療費や仮払金、労災給付などがさらに控除される場合があります。

損害項目は一覧に転記すると漏れを見つけやすくなります。この表は、保険会社の提示額、自分の資料、疑問点を同じ行で照合するために重要です。空欄やゼロの項目がある場合、理由が説明されているかを読み取ってください。

項目確認する根拠よくある疑問点
治療費診療報酬明細書、領収書、既払明細未払い分、打ち切り後の通院、自己負担分はあるか
通院交通費通院交通費明細、IC履歴、タクシー領収書タクシー必要性、自家用車の距離、駐車場代は考慮されたか
休業損害休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書有給休暇、家事労働、自営業の売上減は含まれるか
入通院慰謝料治療期間、実通院日数、診療記録自賠責基準だけで計算されていないか
後遺障害後遺障害診断書、画像、等級認定資料申請済みか、逸失利益が抜けていないか
物損修理見積、査定書、写真、車検証評価損、代車費用、全損時価額は反映されたか
既払金振込履歴、支払通知、医療機関支払明細二重控除や別項目からの重複差し引きがないか
Section 04

示談金の提示書と症状固定・後遺障害の確認

症状が残る場合は、後遺障害の検討前に人身損害全体を終わらせないことが重要です。

人身事故では、医師の診断書、診療報酬明細書、画像資料、検査結果、後遺障害診断書が中核資料になります。柔道整復師などの施術記録が補助資料になる場合はありますが、後遺障害や症状固定の判断では医師の資料が中心になります。

主治医への質問は、金額への不満ではなく医学的事実を確認する形にすると整理しやすくなります。次の一覧は、示談前に医療面で未確定の点を明らかにするために重要です。左の質問で、右の目的に対応する資料が整っているかを読み取ってください。

主治医に確認する質問確認の目的
現在の症状は事故による受傷と医学的に関連しますか事故との因果関係を整理する
追加の画像検査、神経学的検査、可動域測定は必要ですか後遺障害資料を整える
症状固定時期はいつ頃と考えられますか後遺障害診断書の作成時期を判断する
後遺障害診断書の作成対象になる可能性はありますか示談前に後遺障害手続を行うべきか確認する
就労制限、家事制限、通院頻度について医学的意見はありますか休業損害、逸失利益、家事労働損害の資料化につなげる
将来の手術、装具、リハビリ、介護の必要性はありますか将来損害を検討する

後遺障害の可能性は、むち打ちや神経症状だけでなく、関節可動域制限、頭部外傷、高次脳機能障害、めまい、耳鳴り、視力障害、歯牙損傷、外貌の傷、精神症状でも問題になることがあります。この一覧は、見た目では分かりにくい症状を示談前に拾うために重要です。各項目で、診療科、検査、生活記録が不足していないかを読み取ってください。

神経症状

痛み、しびれ、可動域制限

事故直後からの症状の連続性、画像所見、神経学的検査、可動域測定が確認点になります。

頭部外傷

記憶障害や性格変化

神経心理検査、家族の生活状況報告、学校や職場の記録が重要になる場合があります。

将来損害

手術、装具、介護、就労制限

将来の治療、装具交換、介護、復職への影響は、示談前に資料化しておく必要があります。

Section 05

過失割合・保険制度・社会保険を示談前に確認する

提示額は事故態様、自賠責、任意保険、労災、健康保険の調整で変わります。

過失割合は提示額の前提条件です。交通事故証明書は事故の事実確認資料として重要ですが、通常は過失割合そのものを確定する書面ではありません。実況見分資料、写真、映像、信号、速度、衝突部位、道路構造などを合わせて検討します。

次の時系列は、事故資料と保険制度を同時に整理する順番を示しています。順番を誤ると、事故態様の証拠や請求期限を見落とすため重要です。上から、証拠保全、医療資料、自賠責や任意保険、社会保険、期限管理の順に読み取ってください。

事故直後

警察届出と証拠保全

交通事故証明書、写真、映像、目撃者、車両損傷、信号や道路状況を確認します。

治療中

医療資料と一括対応

診断書、診療報酬明細書、通院交通費、治療費一括対応の既払分を整理します。

症状固定前後

後遺障害と被害者請求

後遺障害診断書、画像、検査結果を確認し、必要に応じて自賠責への被害者請求を検討します。

示談前

労災・健康保険・時効

第三者行為届、労災給付、人身傷害保険、請求期限、消滅時効を分けて確認します。

自賠責保険と任意保険の役割も分けて読む必要があります。この比較表は、提示書の金額がどの制度に由来するのかを見分けるために重要です。対象、使われる場面、注意点を照合し、物損や後遺障害がどこまで含まれるかを読み取ってください。

制度主な役割示談前の確認点
自賠責保険人身被害者の基本的な対人補償傷害120万円、後遺障害や死亡の限度額、被害者請求の期限を確認する
任意保険自賠責を超える対人賠償、対物賠償、人身傷害など自賠責分を含む一括払い、既払金、控除の内訳を確認する
労災保険業務中、通勤中の事故で療養や休業を補償第三者行為災害届、求償、控除、特別支給金の扱いを確認する
健康保険第三者行為による傷病で使える場合がある医療保険第三者行為届、自己負担分、保険者求償との調整を確認する
政府保障事業ひき逃げや無保険車事故で問題になる救済制度警察届出、診断書、領収書、事故証明、目撃者情報を整理する
Section 06

保険会社への照会と相談先の使い分け

根拠資料を求め、争点が残る場合は相談窓口や専門家の確認へ進みます。

照会は感情的な抗議ではなく、算定根拠、対象範囲、既払金、過失割合、清算条項の意味を確認する作業です。電話だけでは記録が残りにくいため、メールや書面で残すと後の相談やADRで争点を整理しやすくなります。

次の一覧は、保険会社に書面で確認したい事項です。どの項目の根拠が不足しているかを見つけるために重要です。上から、損害範囲、算定根拠、後遺障害、過失、控除、条項、期限の順に読み取ってください。

範囲

対象とする損害

人身、物損、後遺障害、将来損害、労災や健康保険との調整を含むか確認します。

金額

各項目の算定根拠

日額、期間、日数、基準名、資料名、既払金と控除額の内訳を確認します。

争点

後遺障害と過失割合

等級認定、非該当理由、基本事故類型、修正要素、参照資料を確認します。

照会文は簡潔でも、示談成立の意思表示ではないことを明記します。この文例は、提示書を受け取った後に算定根拠資料を求めるために重要です。資料名や質問項目を自分の事故に合わせて増減し、記録に残る形で送るものとして読んでください。

件名: 示談金提示書に関する算定根拠資料の照会

本件交通事故に関する示談金提示書を受領しました。
現時点では、提示内容を検討中であり、示談成立の意思表示はいたしません。

適正な判断のため、以下の資料および説明をご送付ください。
1. 各損害項目ごとの算定根拠
2. 入通院慰謝料の算定基準、対象期間、対象日数
3. 休業損害の日額、日数、資料の扱い
4. 後遺障害部分を含むか否か
5. 過失割合の根拠となる事故類型、修正要素、参照資料
6. 既払金、控除額の内訳
7. 示談書または免責証書の清算条項が対象とする損害範囲

上記確認が終わるまで、回答期限の延長をお願いします。

相談先は、争点の種類に合わせて選びます。この一覧は、弁護士相談、ADR、自賠責の紛争処理、労災や健康保険の確認を混同しないために重要です。どの機関が、任意保険会社との賠償全体、自賠責支払内容、保険会社への苦情、労災調整のどれを扱うかを読み取ってください。

相談先主な場面注意点
弁護士後遺障害、過失割合、死亡事故、重度事故、時効が近い場合弁護士費用特約の有無を確認する
日弁連交通事故相談センター無料相談や示談あっせんを利用したい場合取扱対象や回数、地域を確認する
交通事故紛争処理センター任意保険会社との損害賠償問題で話合いが進まない場合対象外事案や必要資料がある
そんぽADRセンター損害保険会社への相談、苦情、紛争解決支援自賠責支払内容など対象外となる場合がある
自賠責保険・共済紛争処理機構自賠責の後遺障害等級、過失、因果関係、休業損害などへの不服示談後の申請不可や時効更新不可に注意する
労働基準監督署、健康保険者労災、第三者行為届、給付調整が関係する場合不用意な示談が給付に影響しないか確認する
Section 07

示談金の提示書で事故類型別に注意する点

むち打ち、骨折、高次脳機能障害、自営業、死亡事故などは確認項目が変わります。

提示書の見方は、受傷内容や属性で変わります。むち打ちでは通院期間や神経症状、骨折では可動域制限や将来手術、自営業では休業損害の立証、死亡事故では相続人や遺族固有慰謝料が問題になります。

次の一覧は、事故類型ごとに見落としやすい点を整理したものです。事故の種類によって必要資料が違うため重要です。自分に近い項目を起点に、提示書で抜けている損害や追加資料を読み取ってください。

1

むち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫

症状の連続性、通院中断の理由、神経学的所見、画像検査、症状固定日の妥当性を確認します。

神経症状後遺障害
2

骨折、関節可動域制限

骨癒合、変形治癒、抜釘予定、将来手術、リハビリ期間、労働能力への影響を確認します。

医学資料将来損害
3

頭部外傷、高次脳機能障害

意識障害、画像所見、神経心理検査、家族の観察記録、職場や学校での変化を確認します。

専門検査生活記録
4

自営業、会社役員、家事従事者

確定申告書、帳簿、案件失注、家事制限、家族構成、医師の生活制限意見を整理します。

休業損害資料化
5

未成年者、高齢者、死亡事故

親権者、後見、将来の学業や就労、既往症、介護、相続人、遺族固有慰謝料、税務を確認します。

権限確認相続関係
Section 08

示談金の提示書を受け入れる前の最終確認

受け入れてよい条件、署名前チェック、短い返答例を一つにまとめます。

提示額を受け入れるかは、金額の大きさだけでは判断できません。治療状況、後遺障害、損害項目、算定基準、過失割合、控除、保険制度、清算条項、時効を確認したうえで、未確定の損害が残っていないかを見ます。

次の一覧は、提示を受け入れる前に最低限そろえたい条件を整理したものです。どれか一つでも重大な未確認項目があると、後から請求できた可能性のある損害を見落とすおそれがあるため重要です。左の条件ごとに、右の確認内容が資料で説明できるかを読み取ってください。

確認条件署名前に見る内容
治療状況治療終了または症状固定の判断、後遺障害診断書の要否を主治医に確認している
後遺障害等級認定、非該当理由、異議申立ての要否、逸失利益の有無を確認している
損害項目治療費、交通費、文書料、休業損害、慰謝料、後遺障害、物損の内訳が分かる
算定基準慰謝料、休業損害、逸失利益の基準名、日額、期間、日数、係数が分かる
事故態様過失割合の根拠、事故類型、修正要素、写真、映像、現場資料が確認できる
控除既払金、労災、健康保険、人身傷害保険、仮払金の内訳が分かる
条項清算条項、権利放棄条項、物損と人身の留保、支払期限を理解している
期限民事上の時効、自賠責の請求期限、ADRの利用条件を分けて確認している

実務上の動き方は、止まる、保存する、分解する、医療を確認する、法律と保険を確認する、書面で照会する、相談する、という順番で整理できます。この時系列は、焦って承諾する前にどの確認を済ませるかを見える形にするために重要です。上から順に、次へ進む前に必要な資料を読み取ってください。

第1段階

止まる

署名、押印、返送、承諾メール、口頭承諾を保留します。

第2段階

保存する

提示書、計算書、封筒、メール、診断書、領収書、写真、映像、修理見積を残します。

第3段階

分解する

提示額を項目、基準、期間、日数、過失、既払金、控除に分けます。

第4段階

医療を確認する

症状固定、後遺障害、将来治療、就労制限、家事制限を主治医に確認します。

第5段階

法律と保険を確認する

時効、自賠責請求期限、弁護士費用特約、労災、人身傷害保険、ADRを確認します。

第6段階

書面で照会する

不明点は電話だけでなく、後から確認できる形で質問します。

第7段階

相談する

金額差、後遺障害、過失割合、死亡事故、重度事故がある場合は相談窓口や専門家へ資料を持参します。

保険会社への返答は、場面に応じて短くても構いません。この比較表は、治療中、物損のみ、過失割合への疑問などを一つの承諾と混同しないために重要です。左の場面ごとに、示談成立の意思表示ではないことや留保したい範囲を読み取ってください。

場面返答の趣旨
資料検討中損害項目、治療経過、後遺障害、過失割合、既払金を確認中であり、示談成立の意思表示ではないと伝える
治療中症状固定と後遺障害の有無が未確定であり、人身損害全体の示談は治療経過確定後に検討すると伝える
物損のみ先行人身損害、後遺障害、将来治療費、休業損害、慰謝料は対象外とする文言を求める
過失割合に疑問事故類型、修正要素、現場図、進行方向、信号、速度、衝突部位、映像資料に基づく説明を求める
Section 09

示談金の提示書に関するよくある質問

FAQは一般的な制度説明として整理し、個別事案の結論は資料で確認します。

保険会社の提示だから適正額と考えてよいですか

一般的には、保険会社の提示は支払側の立場から作成された案であり、裁判所の判断そのものではありません。損害項目、証拠、算定基準、過失割合によって評価は変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

自賠責基準が法律上の上限ですか

一般的には、自賠責基準は自賠責保険金を支払うための基礎的な支払基準とされています。民事上の損害賠償全体が常に自賠責基準で上限になるとは限らず、任意保険や加害者本人への請求では別の評価が問題になる可能性があります。具体的な金額は、事故態様や証拠関係で変わります。

物損だけ先に示談しても人身損害は残りますか

一般的には、物損のみを対象とすることが明確な示談で、人身損害を留保していれば、人身部分が別に残る可能性があります。ただし、書面の文言によって解釈が変わるため、「物損のみ」「人身損害は別途」といった趣旨を明確にする必要があります。具体的な文言は弁護士等へ確認する必要があります。

弁護士に相談すると必ず裁判になりますか

一般的には、弁護士相談は裁判のためだけではなく、提示書の確認、資料整理、照会文作成、ADR利用、示談交渉の見通し確認にも使われます。ただし、依頼の必要性や費用対効果は事故内容、金額、争点、弁護士費用特約の有無で変わります。具体的には資料を持参して相談する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関、準公的機関、中立的な実務資料を中心に整理しています。

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済ポータル」
  • 国土交通省「限度額と補償内容」
  • 国土交通省「支払までの流れと請求方法」
  • 国土交通省「政府保障事業」
  • 自動車安全運転センター「交通事故に関する証明書」
  • 厚生労働省・労働局「第三者行為災害」

交通事故実務・紛争解決資料

  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険の損害調査」
  • 日弁連交通事故相談センター「交通事故相談と示談あっせん」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「手続案内」
  • 日本損害保険協会「そんぽADRセンター」
  • 自賠責保険・共済紛争処理機構「よくある質問」
  • 裁判所「民事調停」