2σ Guide

鳥取県の無保険車との事故の対処法

相手が任意保険に入っていない、自賠責も不明、ひき逃げで相手が分からない。警察届出、医療受診、証拠保存、自賠責、政府保障事業、自分の保険を順番に確認できるよう整理します。

548件令和7年県内人身事故
120万円自賠責傷害限度
3年・5年請求期限の目安
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鳥取県の無保険車との事故の対処法

相手が任意保険に入っていない、自賠責も不明、ひき逃げで相手が分からない。

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鳥取県の無保険車との事故の対処法
相手が任意保険に入っていない、自賠責も不明、ひき逃げで相手が分からない。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 鳥取県の無保険車との事故の対処法
  • 相手が任意保険に入っていない、自賠責も不明、ひき逃げで相手が分からない。

POINT 1

  • 要旨
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 次の重要ポイントは、無保険車事故で最初に確認する制度と証拠を整理したものです。
  • 読者にとって重要なのは、相手の任意保険だけを見て判断せず、自賠責、政府保障事業、自分の保険を同時に確認することです。
  • 各項目から、今すぐ集める資料と相談先を読み取ってください。

POINT 2

  • 2. 事故直後の最優先事項 ― 救護・警察・証拠保全
  • 1. 安全確保・119番・110番:けが人の救護、二次事故防止、警察への事故報告を優先します。
  • 2. 相手と車両の情報確認:ナンバー、車検証、自賠責証明書、任意保険、勤務中かどうかを確認します。
  • 3. 医療受診と診断書:痛みが軽くても早期受診し、症状と事故の関係を記録します。
  • 4. 資料を整えて相談:交通事故相談所、保険会社、弁護士等へ資料を持参して確認します。

POINT 3

  • 3. 鳥取県での実務的な相談導線
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 3-1. 鳥取県交通事故相談所
  • 3-2. 鳥取県警察の交通事故関係窓口
  • 3-3. 自動車安全運転センター鳥取県事務所と交通事故証明書

POINT 4

  • 4. 法律構造 ― 誰に、何を、どの根拠で請求するのか
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 4-1. 運転者本人への不法行為責任
  • 4-2. 自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任
  • 4-3. 使用者責任・共同不法行為

POINT 5

  • 5. 自賠責保険・共済で回収できる範囲
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 5-1. 傷害部分
  • 5-2. 後遺障害部分
  • 5-3. 死亡部分

POINT 6

  • 6. 政府保障事業を使う場合
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 6-1. 制度の位置付け
  • 6-2. 政府保障事業の対象になり得る事故
  • 6-3. 物損は政府保障事業の中心対象ではない

POINT 7

  • 7. 被害者自身の保険を確認する
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 7-1. 人身傷害保険
  • 7-2. 無保険車傷害保険
  • 7-3. 車両保険

POINT 8

  • 8. 治療費の支払方法 ― 健康保険・労災・自費の選択
  • 基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 8-1. 交通事故でも健康保険を使える場合がある
  • 8-2. 業務中・通勤中は労災を検討する
  • 8-3. 自費診療のリスク

まとめ

  • 鳥取県の無保険車との事故の対処法
  • 要旨:基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 2. 事故直後の最優先事項 ― 救護・警察・証拠保全:基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 3. 鳥取県での実務的な相談導線:基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

要旨

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

次の重要ポイントは、無保険車事故で最初に確認する制度と証拠を整理したものです。読者にとって重要なのは、相手の任意保険だけを見て判断せず、自賠責、政府保障事業、自分の保険を同時に確認することです。各項目から、今すぐ集める資料と相談先を読み取ってください。

無保険車事故は請求先を一つに絞らない

任意保険がない事故でも、自賠責が有効なら傷害120万円の枠、後遺障害や死亡の限度額、被害者自身の人身傷害保険、車両保険、弁護士費用特約を確認します。

鳥取県で無保険車との交通事故に遭った場合、被害者が最初に理解すべきことは、「相手が任意保険に入っていない事故」と「相手が自賠責保険・共済にも入っていない事故」では、使える制度が大きく異なるという点である。一般に「無保険車」と呼ばれる事故には、任意保険未加入、自賠責保険・共済の未加入または期限切れ、ひき逃げで加害者または保険契約が不明な場合、盗難車・無断運転車の事故などが混在する。したがって、鳥取県の無保険車との事故の対処法は、単に「相手から払ってもらう」問題ではなく、警察への届出、医療記録の確保、相手方情報の確認、自賠責保険への被害者請求、政府保障事業、被害者自身の保険、健康保険・労災、損害賠償請求、強制執行、生活再建支援を組み合わせる総合的な実務である。

国土交通省は、交通事故にあった場合には警察への届出、加害者情報の収集、目撃者やドライブレコーダー映像等の証拠確保、医師の診断を受けることが重要であると案内している。特に、けがをした場合は「人身扱い」の届出が重要であり、交通事故証明書は後の自賠責保険金等の請求に必要となる。 鳥取県警察の交通事故統計では、令和7年中の県内人身事故発生件数は548件、死亡事故は17件、死者数は17人、負傷者数は621人と公表されている。 事故件数そのものは大都市圏より少なくても、地方部では相手方が任意保険に加入していない、現場周辺の防犯カメラが限られる、公共交通の代替手段が少なく通院・通勤への影響が大きい、といった実務上の困難が生じやすい。

このページは、弁護士、警察実務、救急・医療、保険実務、交通事故鑑定、車両修理、労務・福祉支援の観点を統合し、一般の読者にも理解できるよう用語を定義しながら、鳥取県の無保険車との事故の対処法を体系的に整理する。なお、このページは一般的な情報提供であり、個別案件の結論は、事故態様、傷病名、過失割合、保険契約、証拠、相手方資力、時効、既往症、就労状況等により変わる。

Section 01

1. このページでいう「無保険車」を正確に分ける

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

次の一覧は、無保険車と呼ばれる事故の類型を整理したものです。分類が重要なのは、任意保険なし、自賠責なし、ひき逃げでは使える制度が異なるためです。自分の事故がどの類型に近いかを確認してください。

TYPE 01

任意保険未加入車

自賠責が有効なことがあります。人身損害は自賠責を確認し、物損や限度額超過分は本人・所有者・使用者へ請求します。

TYPE 02

自賠責なし・期限切れ

政府保障事業、自分の保険、健康保険・労災、加害者本人への請求を並行確認します。

TYPE 03

ひき逃げ・保険不明

警察捜査への情報提供、周辺映像の保存、政府保障事業、人身傷害保険の確認が重要です。

1-1. 任意保険未加入車

もっとも多い意味での「無保険車」は、対人・対物賠償の任意保険に加入していない車両である。この場合でも、車検のある自動車であれば自賠責保険・共済には加入していることが多い。自賠責保険・共済は、交通事故による被害者を救済するため、基本的な対人賠償を確保する制度で、すべての自動車、原動機付自転車、電動キックボード、モペット等に加入が義務付けられている。

任意保険未加入の場合、被害者はまず相手方の自賠責保険に対して被害者請求を検討する。もっとも、自賠責保険は人身損害に対する基礎的補償であり、物損、代車料、評価損、休車損、修理費、着衣・眼鏡以外の広範な財物損害までは通常カバーしない。任意保険がない事故では、治療費・休業損害・慰謝料の一部は自賠責で回収できても、総損害額との差額や車両損害は加害者本人または車両所有者に請求することになる。

1-2. 自賠責保険・共済の未加入または期限切れ車

より深刻なのは、自賠責保険・共済にも入っていない車両である。国土交通省は、自賠責保険・共済に加入していない自動車による事故では、被害者が自賠責保険・共済へ請求できず、加害者の経済状態によっては賠償金を受け取れない場合があるため、無保険車やひき逃げの被害者に対し、政府保障事業により国が自賠責保険・共済と同等の損害をてん補する救済が行われると説明している。

ただし、政府保障事業は「自賠責保険の代わりに、すべてを国が払ってくれる制度」ではない。基本的には自賠責と同様、対人損害の範囲・限度にとどまる。物損は別途、加害者本人や所有者等への請求、自分の車両保険、弁護士費用特約、少額訴訟・通常訴訟等で対応する。

1-3. ひき逃げ、加害者不明、保険不明

ひき逃げは、加害者の特定と賠償ルートの確保が分離する。加害者が不明な段階では、相手方保険会社への請求ができない。政府保障事業の対象となる可能性がある一方で、後日加害者が判明した場合には、自賠責・任意保険・本人請求・刑事記録の取得方針が変わる。初期対応では、現場カメラ、ドライブレコーダー、車種・色・ナンバー断片、逃走方向、時刻、道路環境、目撃者の確保が特に重要である。

1-4. 「相手が保険証券を見せない」だけでは無保険と断定しない

事故直後に相手が「保険はない」「保険会社を忘れた」「家族名義だから分からない」と言うことがある。しかし、事故直後の発言は不正確な場合がある。確認すべき情報は、車両登録番号、車検証上の使用者・所有者、自賠責保険証明書の会社名・証明書番号・保険期間、任意保険会社名、運転者の氏名・住所・連絡先、勤務中であれば勤務先、同乗者、車両の使用実態である。国土交通省も、加害車両の登録ナンバー、加害者の住所・氏名・連絡先、自賠責保険・共済や任意保険会社名・証明書番号、業務中であれば勤務先・雇主情報の確認を挙げている。

Section 02

2. 事故直後の最優先事項 ― 救護・警察・証拠保全

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

次の判断の流れは、事故直後の行動順序を示します。順番が重要なのは、警察届出や医療受診が遅れると、交通事故証明書や因果関係の立証で不利になるためです。上から下へ、安全、届出、医療、証拠、相談の順に確認してください。

事故直後の行動順序

安全確保・119番・110番

けが人の救護、二次事故防止、警察への事故報告を優先します。

相手と車両の情報確認

ナンバー、車検証、自賠責証明書、任意保険、勤務中かどうかを確認します。

医療受診と診断書

痛みが軽くても早期受診し、症状と事故の関係を記録します。

資料を整えて相談

交通事故相談所、保険会社、弁護士等へ資料を持参して確認します。

2-1. まず安全確保、119番、110番

道路交通法72条は、交通事故があったとき、運転者等に対し、直ちに停止し、負傷者救護や危険防止措置を行い、警察官へ事故発生日時・場所、死傷者数、損壊物、車両積載物、講じた措置等を報告することを定める規定である。 被害者側であっても、けが人がいれば119番、事故の届出は110番を基本とする。

無保険車との事故では、相手方が「警察を呼ばないでほしい」「現金で払う」「免許に傷がつく」と言ってくることがある。しかし、警察への届出をしないと、交通事故証明書が発行されず、自賠責保険、政府保障事業、被害者自身の保険、勤務先への説明、後日の診療・損害立証で深刻な不利益が生じる。国土交通省は、警察へ届出をしていない事故については交通事故証明書が交付されないため、必ず警察へ届出をするよう案内している。

2-2. 人身事故として扱うべきか

事故直後に痛みが軽くても、頸椎捻挫、腰椎捻挫、頭部外傷、脳振盪、胸腹部損傷、肩関節・膝関節損傷、末梢神経障害は時間差で症状が出ることがある。国土交通省は、事故後速やかに受診しない場合には事故との因果関係が認められないことがあると説明している。

実務上、物件事故として届出をした後に痛みが出た場合は、医師の診断書を取得し、警察に人身事故への切替えを相談する。切替えの可否や手続は事故状況や警察署の判断に左右されるが、被害者側としては、痛み、受診日、診断名、事故態様、車両損傷写真、通院経過を早期に整理する必要がある。

2-3. 現場で集めるべき証拠

無保険車との事故では、相手方保険会社が証拠整理を主導してくれない。被害者自身が、少なくとも次の証拠を確保する。

次の比較表は、この章の項目と確認点を整理したものです。読者にとって重要なのは、列ごとに証拠・制度・注意点を分けて確認できることです。左から右へ読み、どの資料や判断が不足しているかを確認してください。

証拠取得目的注意点
車両ナンバー、車検証、自賠責証明書運転者・所有者・保険契約の特定写真撮影は相手の同意を得つつ、読める状態で保存
運転免許証、名刺、勤務先情報請求先・連絡先の特定住所変更未了の可能性もある
現場写真衝突位置、信号、標識、停止線、見通し、路面状況遠景・中景・近景を分ける
車両損傷写真衝突方向・速度感・修理費の立証修理前に複数角度で撮る
ドライブレコーダー信号、速度、回避可能性、相手の発言上書き防止のため早期保存
目撃者連絡先過失割合やひき逃げ特定氏名・電話・見た位置・時刻をメモ
通院記録傷害と事故の因果関係初診から症状を具体的に伝える
休業資料休業損害の立証会社員、自営業、家事従事者で資料が違う

2-4. その場で示談しない

無保険車の運転者は、任意保険会社による示談代行を受けられないため、本人が「今ここで払う」「これで終わりにしてほしい」と持ちかけることがある。事故直後に受け取った金銭や「今後一切請求しません」というメモは、後日重大な争点になる。軽傷に見えても後遺障害が残ることがあるため、少なくとも診断、修理見積り、休業影響、保険確認、自賠責または政府保障の適否が見えるまでは、清算条項を含む合意書に署名しない。

Section 03

3. 鳥取県での実務的な相談導線

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

3-1. 鳥取県交通事故相談所

鳥取県は、県内2か所に交通事故相談所を設置し、専任相談員が損害賠償問題、示談方法、自動車保険の請求方法等の相談に応じるとしている。相談は無料で、鳥取交通事故相談所は鳥取市東町一丁目271の県庁第二庁舎1階、米子交通事故相談所は米子市糀町一丁目160の西部総合事務所1号館3階に置かれている。倉吉市内では要予約の出張面接相談も案内されている。

無保険車事故では、初期に「どの制度を使うか」を誤ると回収が遅れる。鳥取県交通事故相談所は、弁護士依頼前の資料整理、示談の全体像、自賠責・保険請求の確認に利用しやすい。ただし、相手方との交渉代理、訴訟代理、後遺障害等級申請の戦略立案、時効管理、差押えの実行などは弁護士の領域である。

3-2. 鳥取県警察の交通事故関係窓口

鳥取県警察は、交通事故関係の相談窓口として、鳥取警察署交通第二課、倉吉警察署交通課第二係、米子警察署交通第二課、境港警察署交通課、高速道路交通警察隊等の電話番号を公表している。 事故証明、実況見分、人身事故切替え、ひき逃げ捜査、供述調書、診断書提出などは、事故を扱う警察署へ確認する。

3-3. 自動車安全運転センター鳥取県事務所と交通事故証明書

交通事故証明書は、自動車安全運転センターが警察から提供された資料に基づき発行する。自動車安全運転センターは、センター事務所窓口での申込み、郵送、インターネット申請を案内しており、警察署等から交通事故資料が届いていれば原則として即日交付される。 国土交通省の案内では、中国エリアの自動車安全運転センター鳥取県事務所の電話番号は0857-50-1288とされている。

鳥取県警察の例規通達でも、交通事故を認知し事故事実を確認したときは資料をセンターに提供し、警察署・交番・駐在所等に交通事故証明書交付申請書を備え付け、手続を教示する旨が示されている。

3-4. 日弁連交通事故相談センター・鳥取県弁護士会

鳥取県弁護士会は、日弁連交通事故相談センターについて、自動車・二輪車事故の民事関係の問題を相談でき、損害賠償額、賠償責任、過失割合、誰が賠償すべきか、どう請求するか等が相談例であると案内している。 無保険車事故では、相手方保険会社との通常の示談交渉よりも、請求先の探索、本人請求、資力調査、訴訟・強制執行の検討が必要になるため、早期に法律相談へつなげる意義が大きい。

3-5. 法テラス鳥取

法テラス鳥取は、鳥取市西町2-311の鳥取市福祉文化会館5階に所在し、無料法律相談の相談場所・日時や予約方法を公表している。 法テラスの無料法律相談や弁護士費用等の立替制度は、収入・資産が一定基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適すること等が条件とされている。 無保険車事故では、相手方に資力が乏しいことも多いため、弁護士費用特約がない被害者は法テラス利用の可否を確認する価値がある。

3-6. 鳥取地方裁判所・簡易裁判所

交渉で解決できない場合、損害額や手続に応じて簡易裁判所または地方裁判所での民事訴訟、調停、支払督促等を検討する。鳥取県内には鳥取、倉吉、米子の管轄があり、裁判所は鳥取県内の管轄区域表や所在地を公表している。 ただし、どの裁判所に提起できるかは、請求額、被告住所、不法行為地、契約上の管轄合意、共同被告の有無等に左右されるため、実際には弁護士に確認する。

Section 04

4. 法律構造 ― 誰に、何を、どの根拠で請求するのか

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

4-1. 運転者本人への不法行為責任

民法709条は、故意または過失により他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者が、これにより生じた損害を賠償する責任を負うと定める。 交通事故では、前方不注視、信号無視、一時停止違反、速度超過、安全確認不足、車間距離不保持、右左折時の確認不足などが過失の典型である。

4-2. 自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任

人身損害については、自動車損害賠償保障法3条が重要である。同条は、自己のために自動車を運行の用に供する者が、その運行によって他人の生命または身体を害したときに損害賠償責任を負うことを定める。 ここでいう「運行供用者」は、単なる運転者だけでなく、車両の所有者、使用者、業務で車を使わせていた会社、家族名義車の実質管理者などが問題になる。

無保険車事故では、運転者本人に資力がないことが少なくない。したがって、弁護士実務では「運転していた人」だけでなく、「誰が車を所有・管理・使用させていたか」「業務中か」「会社の指示か」「名義貸し・貸与か」「家族車か」「レンタカー・代車か」を確認する。

4-3. 使用者責任・共同不法行為

勤務中の従業員が事故を起こした場合、民法715条の使用者責任が問題になることがある。国土交通省も、業務中に従業員が事故を起こせば、運転者だけでなく雇主も賠償責任を負うことがあると案内している。 また、複数車両が関係する事故、整備不良、道路上の落下物、同乗者の妨害、飲酒提供などが絡む場合には、共同不法行為や複数の責任主体を検討する。

4-4. 過失相殺

被害者にも過失があると、損害額から過失割合に応じた減額が行われる。自賠責保険では、被害者に重大な過失がある場合や、受傷と死亡・後遺障害との因果関係判断が困難な場合に減額が行われることがある。 民事賠償では、信号、速度、横断態様、一時停止、道路幅、優先道路、夜間視認性、ヘルメット、シートベルト、飲酒、スマホ使用などが争点になる。

4-5. 時効・請求期限

自賠責保険・共済の被害者請求は、傷害では事故発生の翌日から3年、後遺障害では症状固定日の翌日から3年、死亡では死亡日の翌日から3年が基本である。 民法上の不法行為による損害賠償請求権については、一般の物損等は損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年が原則であり、人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、民法724条の2により「3年」が「5年」と読み替えられる。 ただし、事故日、症状固定日、後遺障害認定日、加害者判明日、保険請求、時効更新・完成猶予の有無により判断が変わるため、期限が近い場合は直ちに弁護士へ相談する。

Section 05

5. 自賠責保険・共済で回収できる範囲

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

5-1. 傷害部分

自賠責保険・共済の傷害による損害は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料が対象となり、支払限度額は被害者1人につき120万円である。 治療費、通院交通費、診断書料、休業損害、入通院慰謝料等がこの枠の中で処理される。

無保険車事故で相手に任意保険がない場合、治療費を病院へ直接払う任意保険会社が存在しないため、被害者が窓口で立替える、健康保険を使う、勤務先や自分の保険を確認する、自賠責へ都度請求する、といった方法を検討する。

5-2. 後遺障害部分

後遺障害による損害は、障害の程度に応じて逸失利益と慰謝料等が支払われる。自賠責保険・共済の限度額は、介護を要する重度後遺障害では常時介護を要する第1級が4,000万円、随時介護を要する第2級が3,000万円、それ以外の後遺障害では第1級3,000万円から第14級75万円までである。

後遺障害で重要なのは、症状固定前からの医療記録である。頸椎捻挫や腰椎捻挫では、画像所見、神経学的所見、症状の一貫性、通院頻度、治療内容が争点になる。頭部外傷では、意識障害の有無、画像、神経心理学的検査、家族や職場から見た変化、高次脳機能障害の評価が重要である。整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科、精神科・心療内科等の連携が必要になる場合がある。

5-3. 死亡部分

死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、被害者本人および遺族の慰謝料が対象となり、自賠責保険・共済の支払限度額は被害者1人につき3,000万円である。 死亡事故では、損害賠償請求権の相続、相続人の範囲、遺族固有慰謝料、葬儀費、生活費控除、年金、労災、自賠責、政府保障、刑事手続、被害者参加、相続放棄との関係などが重なる。早期に弁護士、必要に応じて司法書士・税理士・社会保険労務士へ相談する。

Section 06

6. 政府保障事業を使う場合

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

6-1. 制度の位置付け

政府保障事業は、無保険車事故やひき逃げ事故により、自賠責保険・共済から救済を受けられない被害者を救済する制度である。国土交通省は、受付・支払・調査業務を損害保険会社等に委託し、調査業務は損害保険料率算出機構に再委託され、国が審査・決定すると説明している。

請求受付は損害保険会社・共済組合の全国各支店等で行われ、保険代理店では受付していない。 つまり、普段付き合いのある代理店に話すだけでは足りず、政府保障事業を扱う損害保険会社の窓口へ正式に請求する必要がある。

6-2. 政府保障事業の対象になり得る事故

典型例は次のとおりである。

  1. 加害車両が自賠責保険・共済に未加入または期限切れだった。
  2. ひき逃げで加害車両や加害者が不明である。
  3. 自賠責保険・共済への請求が制度上困難であり、法令上の要件を満たす。

一方で、単に「相手が任意保険に入っていない」だけで、自賠責保険・共済が有効な場合は、まず相手方自賠責への請求が検討される。政府保障事業に進む前に、相手車両の自賠責の有無、期限、保険会社、事故時の運行性、対象車両性を確認する。

6-3. 物損は政府保障事業の中心対象ではない

政府保障事業は自賠責保険・共済を補完する制度であり、自賠責保険・共済は基本的な対人賠償を確保する制度である。 したがって、車の修理費、代車費用、評価損、積載物、スマートフォン、衣類、営業車の休車損などは、原則として政府保障事業だけでは解決しない。物損は、相手本人・車両所有者への請求、自分の車両保険、弁護士費用特約、民事訴訟、強制執行を組み合わせる。

6-4. 国による求償

国土交通省は、加害者が自賠責保険・共済に加入しておらず、国が損害賠償責任者に代わって被害者へ損害のてん補を行った場合、国土交通省が被害者の損害賠償請求権を代位取得し、損害賠償責任者に求償すると説明している。損害賠償責任者が弁済しない場合、国が訴訟を提起し、判決に従って自動車、土地建物、給与等を差し押さえることも案内されている。

被害者にとっては、「政府保障を受けると加害者本人への請求はどうなるのか」「自分が先に一部弁済を受けた場合の調整はどうなるのか」「健康保険や労災の求償との関係はどうなるのか」が問題になる。請求前に、受領済み金額、示談書、念書、治療費支払状況、健康保険使用状況を整理しておく。

Section 07

7. 被害者自身の保険を確認する

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

無保険車事故では、相手からの回収だけに依存すると資金繰りが破綻しやすい。事故後すぐに、自分や同居家族の自動車保険、勤務先の保険、クレジットカード付帯保険、傷害保険、共済を確認する。

7-1. 人身傷害保険

人身傷害保険は、自分側の過失割合にかかわらず、契約条件に従って実損害を一定範囲で補償する保険である。相手が無保険でも、被害者自身の治療費、休業損害、慰謝料相当額、後遺障害、死亡損害が支払われることがある。契約により、契約車搭乗中のみか、歩行中・自転車中・他車搭乗中まで含むかが異なる。

7-2. 無保険車傷害保険

無保険車傷害保険は、相手方が対人賠償保険に加入していない、または保険金額が不十分な場合に、死亡・後遺障害など重大損害を補償する特約・保険であることが多い。傷害のみの軽傷では対象外となる契約もあるため、約款を確認する。

7-3. 車両保険

物損は自賠責・政府保障では解決しにくいため、自分の車両保険が重要になる。車両保険を使うと等級や保険料に影響することがあるが、相手が無資力の場合には現実的な修理資金確保手段となる。保険会社が支払った後、保険会社が加害者に求償することもある。

7-4. 弁護士費用特約

弁護士費用特約があれば、被害者が弁護士へ依頼する費用を保険でまかなえることがある。契約車に乗っていない事故、歩行中事故、自転車事故、同居家族の事故でも使える場合がある。自分の保険だけでなく、同居家族、別居の未婚の子、勤務先車両、火災保険や個人賠償責任保険に付帯する特約も確認する。

Section 08

8. 治療費の支払方法 ― 健康保険・労災・自費の選択

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

8-1. 交通事故でも健康保険を使える場合がある

「交通事故では健康保険が使えない」と誤解されることがある。しかし、全国健康保険協会は、交通事故など第三者の行為による負傷で健康保険で治療を受けたときは「第三者行為による傷病届」の提出を求め、業務上や通勤災害でなければ健康保険を使って治療を受けることができると説明している。 厚生労働省の通知でも、犯罪や自動車事故等の被害による傷病は、医療保険各法上、一般の保険事故と同様に医療保険給付の対象とされている。

無保険車事故では、相手方任意保険会社による一括対応がないため、健康保険を利用することにより窓口負担を抑え、自賠責120万円の枠を有効に使える場合がある。もっとも、第三者行為による傷病届、交通事故証明書、事故発生状況報告書、同意書等が必要になることがあるため、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市町村国保へ早期に連絡する。

8-2. 業務中・通勤中は労災を検討する

仕事中または通勤中の事故では、健康保険ではなく労災保険が問題になる。労災を使うと治療費、休業補償、障害補償、遺族補償等につながる可能性がある一方、加害者への損害賠償請求や自賠責との調整が必要になる。会社の人事労務担当、社会保険労務士、労働基準監督署、弁護士の連携が重要である。

8-3. 自費診療のリスク

相手が無保険で治療費を直接払わない場合に、自費診療で通院を続けると、被害者が高額な立替を迫られることがある。自費診療が常に不利とはいえないが、軽傷から中等症では健康保険利用が現実的な選択肢になる場合が多い。病院に対しては、交通事故であること、相手に任意保険がないこと、健康保険使用を希望すること、第三者行為届を提出予定であることを明確に伝える。

Section 09

9. 損害項目の全体像

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

9-1. 人身損害

人身損害には、治療費、入院雑費、通院交通費、付添看護費、装具・器具費、診断書料、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、将来治療費、将来介護費、家屋改造費、死亡逸失利益、死亡慰謝料、葬儀費などがある。無保険車事故では、このうち自賠責・政府保障で回収できる範囲と、相手本人へ請求すべき範囲を分けて管理する。

9-2. 物損

物損には、車両修理費、全損時の時価額、買替諸費用、レッカー費、保管料、代車料、評価損、積載物、着衣、スマートフォン、眼鏡、営業車の休車損などがある。修理を急ぐ必要がある場合でも、修理前写真、見積書、車検証、走行距離、事故前の状態、修理内容、代車使用期間を記録する。

9-3. 休業損害

会社員は休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、有給休暇使用状況が重要である。自営業者は確定申告書、青色申告決算書、売上帳、受注キャンセル、代替人件費、固定費を整理する。家事従事者は、家族構成、家事への支障、通院状況、医師の指示、家族の代替負担が問題になる。

9-4. 後遺障害

後遺障害は、単に「痛みが残った」だけで当然に認定されるものではない。症状固定、後遺障害診断書、画像、神経学的検査、可動域測定、筋力、知覚障害、日常生活・就労への影響、治療経過が必要になる。無保険車事故では、任意保険会社による事前認定ではなく、被害者請求で資料を整えることが有効な場合がある。

Section 10

10. 事故調査・鑑定の視点

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

10-1. 過失割合は証拠で動く

過失割合は、当事者の言い分だけで決まらない。信号表示、停止線、一時停止標識、優先道路、道路幅、センターライン、速度、衝突角度、車両損傷位置、ブレーキ痕、ドラレコ映像、現場見分、目撃証言、天候、路面状態により変わる。

無保険車の運転者は、保険会社担当者による整理を受けないため、事実認識が曖昧なまま「自分は悪くない」と主張することがある。被害者側は、事故直後の発言をメモし、録音が可能な場面では適法な範囲で保存し、警察官への説明は感情的にならず、時系列で事実を述べる。

10-2. ドライブレコーダーとデジタル証拠

ドライブレコーダーは上書きされる。事故後すぐにSDカードを抜く、コピーを複数作る、ファイル作成日時を保存する、編集前の原本を残す。スマートフォンの写真、位置情報、通話履歴、メッセージ、車載ナビ履歴、EDR・ECUデータ、防犯カメラ映像、店舗カメラ、バス・タクシーの車載映像が役立つ場合もある。

10-3. 鳥取県での地理的特徴

鳥取県では、鳥取市・米子市周辺の市街地、山陰道・国道9号、観光地周辺、山間部、積雪・凍結が絡む道路、農道・生活道路など、事故環境が多様である。冬季や早朝・夜間は視認性、路面凍結、ライト点灯、反射材、歩行者・高齢者の横断が争点になりやすい。鳥取県警は令和7年中の交通死亡事故について、人対車両事故が過半数であり、65歳以上の高齢者の死者が最多であると公表している。

Section 11

11. 無保険車事故で弁護士に相談すべき局面

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

11-1. 早期相談が望ましいケース

次の場合は、早期に弁護士へ相談すべきである。

  • 相手が任意保険に入っていない、または自賠責も不明である。
  • 相手が警察届出や人身事故扱いを拒む。
  • 治療費を誰も払わず、通院継続が困難である。
  • 骨折、脱臼、靱帯損傷、頭部外傷、神経症状、めまい、しびれ、記憶障害がある。
  • 後遺障害が見込まれる。
  • 休業損害、家事労働、事業所得、役員報酬、農業収入などの算定が難しい。
  • 相手が未成年、高齢者、無職、外国人、県外在住、勤務中、会社車両、借用車である。
  • ひき逃げ、飲酒、無免許、無車検、無自賠責、盗難車、危険運転が疑われる。
  • 死亡事故、重度後遺障害、介護、成年後見、障害年金、労災が絡む。
  • 示談書、念書、公正証書、分割払い案を提示された。

11-2. 弁護士が行う主な作業

弁護士は、相手方の責任主体の特定、保険調査、交通事故証明書・刑事記録の取得、損害額算定、過失割合検討、後遺障害申請、政府保障事業の利用整理、示談交渉、訴訟、仮差押え、強制執行、法テラスや弁護士費用特約の利用確認を行う。無保険車事故では、通常の保険会社相手の交渉よりも「回収可能性」の検討が重要になる。

11-3. 費用倒れをどう考えるか

相手に資力がない場合、勝訴判決を得ても回収できないことがある。弁護士相談では、請求額、相手の勤務先・給与、車両・不動産・預金、家族・会社の責任、保険の有無、政府保障、自分の保険、弁護士費用特約、法テラス利用可否を総合評価する。回収可能性が低いときは、自賠責・政府保障・自分の保険・健康保険・労災・公的支援を優先する戦略になることもある。

Section 12

12. 手続の時系列モデル

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

次の時系列は、事故当日から示談・訴訟段階までの行動を整理したものです。時期で分けることが重要なのは、証拠の消失、通院の空白、時効、早すぎる示談を防ぐためです。各時期の項目を未対応チェックとして読んでください。

事故当日

救護・警察・医療・証拠

119番、110番、現場写真、相手情報、ドラレコ保存、医療受診を行います。

1週間以内

診断書と事故証明

診断書取得、人身事故扱いまたは切替相談、交通事故証明書申請、保険確認を進めます。

症状固定時

後遺障害の検討

後遺障害診断書、被害者請求、政府保障事業の手続を検討します。

事故当日から24時間以内

負傷者救護、119番、110番、現場写真、相手情報、目撃者、ドラレコ保存、救急・医療受診、保険会社への事故連絡を行う。相手が無保険と述べた場合でも、車検証、自賠責証明書、任意保険の有無、勤務中かどうかを確認する。

1週間以内

診断書取得、人身事故届または切替相談、交通事故証明書申請、通院方針確認、健康保険・労災・自分の保険の確認、修理見積り、休業資料の準備、鳥取県交通事故相談所や弁護士相談を利用する。

1か月以内

自賠責被害者請求の準備、政府保障事業の対象確認、相手方への請求書または通知、治療費支払方法の確定、通院交通費や休業損害の記録、過失割合に関する証拠整理を進める。

3か月から6か月

頸椎捻挫・腰椎捻挫などでは、治療継続の必要性、症状の一貫性、画像検査、リハビリ経過が争点になる。保険会社がいないため、医師とのコミュニケーション、診療録、施術録、薬剤、リハビリ内容を丁寧に管理する。

症状固定時

症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても効果が期待できなくなった時をいい、医師により判断される。 後遺障害が残る場合は、後遺障害診断書を作成してもらい、被害者請求または政府保障事業の手続を検討する。

示談・訴訟段階

全損害額、自賠責・政府保障・自分の保険からの既払い、健康保険・労災の求償、過失相殺、遅延損害金、弁護士費用、分割払い条項、期限の利益喪失条項、連帯保証、強制執行認諾文言付き公正証書の要否を検討する。相手の支払能力が低い場合、形式的な高額示談よりも、現実に回収できる設計が重要である。

Section 13

13. 類型別の具体的対処

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

13-1. 相手が「任意保険なし・自賠責あり」の場合

まず相手方自賠責保険会社を特定する。自賠責証明書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書、休業損害証明書、通院交通費明細等を準備し、被害者請求を検討する。自賠責120万円を超える傷害損害、後遺障害・死亡の限度額を超える損害、物損は、運転者、所有者、使用者、雇主等へ請求する。

13-2. 相手が「自賠責なし・任意保険もなし」の場合

政府保障事業の利用可能性を確認する。損害保険会社・共済組合の窓口で受付されるため、代理店ではなく正式窓口に相談する。あわせて、相手本人・所有者への請求、健康保険、労災、自分の人身傷害保険、車両保険、弁護士費用特約を確認する。

13-3. 相手が「無免許・飲酒・無車検・無自賠責」の場合

刑事手続と民事賠償が並行する。警察への供述、診断書提出、実況見分、検察庁からの連絡、被害者参加、刑事記録の閲覧謄写、行政処分は別の制度である。民事賠償では、悪質性が慰謝料に影響する余地、過失割合、所有者・同乗者・勤務先の責任、求償、政府保障を検討する。

13-4. ひき逃げの場合

直ちに110番し、車両情報を可能な限り記録する。後方映像、周辺店舗、ガソリンスタンド、コンビニ、民家、バス・タクシー、交差点カメラ、通行車両のドラレコが鍵になる。加害者が不明な段階では政府保障事業、自分の人身傷害保険、無保険車傷害保険、健康保険を検討する。後日加害者が判明した場合は、刑事記録、自賠責、任意保険、本人請求へ戦略を切り替える。

13-5. 被害者が歩行者・自転車の場合

歩行者・自転車事故では、人身損害が中心になるが、衣類、自転車、スマートフォン、眼鏡、ヘルメット、通勤・通学への影響も無視できない。鳥取県警の令和7年交通死亡事故では人対車両事故が過半数とされており、高齢歩行者の事故防止も呼びかけられている。 夜間・薄暮、反射材、横断歩道、信号、車両ライト、速度が争点になりやすい。

13-6. 被害者が子ども・高齢者の場合

子どもは症状を正確に言語化できないことがあり、高齢者は既往症や介護状態との区別が問題になる。家族は、事故前後の生活変化、通学・通園、睡眠、食欲、歩行、認知、転倒、痛みの訴え、服薬、介護負担を記録する。後遺障害、介護、成年後見、障害福祉、学校対応、スクールカウンセラー、ケアマネジャー等の支援も視野に入れる。

Section 14

14. 示談書で絶対に確認すべき条項

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

無保険車事故で示談をする場合、少なくとも以下を確認する。

次の比較表は、この章の項目と確認点を整理したものです。読者にとって重要なのは、列ごとに証拠・制度・注意点を分けて確認できることです。左から右へ読み、どの資料や判断が不足しているかを確認してください。

項目確認内容
当事者運転者だけか、所有者・会社・保証人を含むか
事故表示日時、場所、車両、事故証明番号
損害範囲人身、物損、後遺障害、将来損害を含むか
既払い自賠責、政府保障、自分の保険、健康保険、労災との調整
支払方法一括か分割か、期限、振込先、手数料
分割払い期限の利益喪失、遅延損害金、連帯保証、担保
清算条項「今後一切請求しない」の範囲が広すぎないか
後遺障害留保症状固定前に後遺障害分まで放棄していないか
公正証書強制執行認諾文言を付けるか
管轄紛争時の裁判所をどうするか

特に、治療中に「人身・物損すべて解決済み」とする示談を結ぶと、後遺障害や追加治療費を請求できなくなる危険がある。

Section 15

15. 専門家別の役割

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

15-1. 警察官・交通事故捜査

警察は事故の届出を受け、現場確認、実況見分、供述、証拠収集、ひき逃げ捜査、刑事事件処理を行う。民事の損害額や示談交渉を代行する機関ではないが、交通事故証明書や刑事記録の基礎となるため、初動が重要である。

15-2. 救急隊員・医師・医療職

救急隊員は搬送判断と初期対応を担い、医師は診断、治療、画像検査、症状固定、後遺障害診断書作成を担う。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理職は回復過程を支える。後遺障害の中核資料は、通常、医師の診断書、画像、検査所見、診療録である。

15-3. 保険会社・損害調査担当

相手に任意保険がない場合でも、自賠責保険会社、被害者自身の保険会社、損害保険料率算出機構、政府保障事業の委託窓口が関与する。保険担当者は支払基準、必要書類、調査、既払い調整を扱うが、被害者の代理人ではない点に注意する。

15-4. 弁護士

弁護士は、損害賠償請求、示談、訴訟、後遺障害、過失割合、証拠収集、強制執行、法的責任主体の追加、時効管理を担う。無保険車事故では、相手方本人との直接交渉が必要になるため、感情的対立を避け、法的な文書と証拠で進める意義が大きい。

15-5. 交通事故鑑定人・車両修理業者

交通事故鑑定人は、速度、衝突角度、回避可能性、視認性、信号認識、車両損傷を分析する。修理業者は、損傷範囲、修理費、全損判断、事故前価値、代車期間、フレーム損傷、修復歴を説明する。無保険車事故では、相手が修理費を争うことがあるため、見積書だけでなく写真と技術的説明を残す。

15-6. 社会保険労務士・福祉職・心理職

休業、復職、労災、傷病手当金、障害年金、障害福祉、介護保険、生活困窮、PTSD、不眠、不安、家族介護が絡む場合、法律だけでは解決しない。社会保険労務士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネジャー、心理職の支援が重要になる。

Section 16

16. 実務チェックリスト

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

事故直後

  • 119番、110番をした。
  • 相手の車両ナンバーを記録した。
  • 運転者の氏名、住所、電話番号を確認した。
  • 車検証、自賠責証明書、任意保険情報を確認した。
  • 現場、車両、信号、標識、停止線、路面を撮影した。
  • 目撃者、ドラレコ、防犯カメラの可能性を確認した。
  • 痛みが軽くても医療機関を受診した。
  • その場で示談書や念書に署名していない。

1週間以内

  • 診断書を取得した。
  • 人身事故扱いまたは切替えを警察に相談した。
  • 交通事故証明書を申請した。
  • 自分の保険会社に連絡した。
  • 弁護士費用特約、人身傷害保険、車両保険を確認した。
  • 健康保険の第三者行為届または労災を確認した。
  • 鳥取県交通事故相談所、日弁連交通事故相談センター、法テラス、弁護士相談のいずれかを検討した。

治療中

  • 通院日、症状、薬、リハビリ内容を記録した。
  • 通院交通費、駐車場代、タクシー代の領収書を保存した。
  • 休業損害資料を集めた。
  • 医師に症状を具体的に伝えた。
  • 後遺障害の可能性を医師・弁護士に相談した。

示談前

  • 全損害額を計算した。
  • 自賠責・政府保障・自分の保険の既払いを整理した。
  • 物損と人身を分けて確認した。
  • 後遺障害分を放棄していないか確認した。
  • 分割払いなら公正証書や担保を検討した。
  • 時効・請求期限を確認した。
Section 17

17. よくある質問

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

Q1. 相手が任意保険に入っていないと言ったら、治療費は全部自腹ですか。

一般的には、相手の自賠責保険・共済が有効であれば、傷害部分は被害者1人につき120万円を限度として、治療費、休業損害、慰謝料等の対象になり得ます。自賠責がない場合やひき逃げの場合でも、政府保障事業、自分の人身傷害保険、健康保険、労災などを確認する余地があります。ただし、事故態様、傷病名、通院状況、保険契約、既払いの有無で結論は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相手が自賠責にも入っていない場合、国が全部払ってくれますか。

一般的には、政府保障事業は無保険車やひき逃げの被害者に対し、自賠責保険・共済と同等の損害をてん補する制度とされています。ただし、物損や自賠責限度額を超える損害まですべて補償される制度ではありません。損害の種類、加害者や所有者の責任、自分の保険、時効によって検討順序が変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 物損だけの事故でも政府保障事業を使えますか。

一般的には、政府保障事業は対人損害を中心とする制度とされています。車の修理費、代車費用、評価損、休車損害などは、相手本人への請求、自分の車両保険、民事手続などを検討することになります。ただし、事故態様や保険契約によって利用できる手段は変わります。具体的には、修理資料と保険証券を整理したうえで弁護士等へ相談する必要があります。

Q4. 警察を呼ばずに後日請求できますか。

一般的には、警察への届出がない事故では交通事故証明書が取得できず、自賠責、政府保障事業、保険請求、後日の立証で不利になる可能性があります。人命・安全に関わる場面では、119番・110番への連絡や医療機関の受診が優先される対応とされています。具体的な扱いは、届出状況、証拠、受診時期によって変わるため、専門家へ確認する必要があります。

Q5. 健康保険を使うと慰謝料が下がりますか。

一般的には、健康保険を使ったこと自体で慰謝料が当然に下がるわけではありません。無保険車事故では、治療費の立替負担を抑え、自賠責の傷害限度額を有効に使うため、健康保険利用が実務上検討される場合があります。ただし、第三者行為による傷病届、労災との関係、自由診療との差、症状の記録によって対応は変わります。具体的には、医療機関、保険者、弁護士等へ確認する必要があります。

Q6. 相手が分割で払うと言っています。合意してよいですか。

一般的には、分割合意は相手の資力、勤務先、支払原資、連帯保証人、期限の利益喪失条項、公正証書、既払い、後遺障害の有無を確認してから検討する必要があります。高額な合意書があっても、現実に回収できない可能性があります。事故態様や損害額によって適切な条項は変わるため、署名前に弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q7. 弁護士に頼んでも相手にお金がなければ意味がないのでは。

一般的には、相手の資力が乏しい場合、回収可能性は重要な検討事項になります。一方で、相手本人以外の責任主体、自賠責、政府保障事業、自分の保険、健康保険、労災、後遺障害、時効、証拠保全、差押え可能性を確認できる場合があります。弁護士費用特約や民事法律扶助の利用可能性も契約や資力で変わるため、資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q8. 鳥取県外の車にぶつけられた場合、鳥取県で相談できますか。

一般的には、相談自体は鳥取県内の相談窓口や弁護士に行うことができます。ただし、裁判管轄、相手方住所、事故地、保険会社の所在地、証拠の場所によって進め方は変わります。県外加害者の場合は、郵送、オンライン打合せ、電話、弁護士間交渉、訴訟提起先を含めて検討する必要があります。

Q9. 後遺障害はいつ考えればよいですか。

一般的には、後遺障害は症状固定時だけでなく、初診時からの症状の一貫性、画像、神経学的検査、治療経過、仕事や家事への影響が重要になるとされています。症状固定後に資料を集め始めると不足が残る可能性があります。事故態様や傷病名で必要資料は変わるため、症状が続く場合は医師や弁護士等に早めに相談する必要があります。

Q10. 鳥取県の無保険車との事故の対処法で、最初にすべきことは何ですか。

一般的には、救護、警察届出、医療受診、相手情報と証拠の確保が優先される対応とされています。その後、相手の自賠責の有無、自分の保険、健康保険・労災、政府保障事業、相談窓口を順に確認します。ただし、事故態様、負傷程度、証拠関係、時期によって判断が変わるため、個別の見通しや対応方針は弁護士等の専門家に相談する必要があります。

Section 18

結論

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

鳥取県の無保険車との事故の対処法は、事故直後の警察届出と医療受診だけで完結しない。無保険の意味を「任意保険なし」「自賠責なし」「ひき逃げ」「保険不明」に分け、自賠責保険、政府保障事業、被害者自身の保険、健康保険、労災、損害賠償請求、後遺障害、物損、生活再建を同時に設計する必要がある。

特に重要なのは、交通事故証明書を取得できるよう警察へ届出をすること、事故直後から証拠を保存すること、速やかに医療機関を受診すること、相手の自賠責証明書と車両所有関係を確認すること、治療費支払方法を早期に決めること、示談を急がないこと、そして後遺障害や相手の無資力が見込まれる場合には早めに弁護士へ相談することである。

無保険車事故では、被害者が「知らなかった」こと自体が回収不能や時効の原因になり得る。鳥取県交通事故相談所、鳥取県警察、自動車安全運転センター、日弁連交通事故相談センター、法テラス鳥取、弁護士、医療機関、保険会社、労務・福祉の各窓口を、段階に応じて使い分けることが、被害回復への最短経路となる。

Reference

参考資料

基本、期限、証拠、相談先を分けて確認します。

参考資料

  • 国土交通省 交通事故にあったらまずどうする
  • 国土交通省 自賠責保険・共済の制度概要
  • 国土交通省 自賠責保険・共済の限度額と補償内容
  • 国土交通省 支払までの流れと請求方法
  • 国土交通省 政府保障事業
  • e-Gov法令検索 道路交通法
  • e-Gov法令検索 民法
  • e-Gov法令検索 自動車損害賠償保障法
  • 鳥取県警察 鳥取県における交通事故発生状況
  • 鳥取県 交通事故相談所のご案内
  • 自動車安全運転センター 交通事故証明書の申請方法
  • 日弁連交通事故相談センター 交通事故相談に関する案内
  • 法テラス鳥取 民事法律扶助に関する案内
  • 全国健康保険協会 第三者行為による傷病届
  • 厚生労働省 第三者行為による傷病の保険給付に関する通知
  • 裁判所 鳥取県内の管轄区域と所在地