2σ Guide

政府保障事業に請求する方法と
補償される金額の上限

ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済に請求できないとき、誰がどの窓口へ請求し、どの上限額の範囲で支払が検討されるのかを整理します。

120万円 傷害の上限
3000万円 死亡の上限
75万〜4000万円 後遺障害の上限
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

政府保障事業に請求する方法と 補償される金額の上限

ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済に請求できないとき、誰がどの窓口へ請求し、どの上限額の範囲で支払が検討されるのかを整理します。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
政府保障事業に請求する方法と 補償される金額の上限
ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済に請求できないとき、誰がどの窓口へ請求し、どの上限額の範囲で支払が検討されるのかを整理します。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 政府保障事業に請求する方法と 補償される金額の上限
  • ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済に請求できないとき、誰がどの窓口へ請求し、どの上限額の範囲で支払が検討されるのかを整理します。

POINT 1

  • 政府保障事業に請求する方法と補償上限の全体像
  • ひき逃げ・無保険事故で何を、どこへ、いつまでに請求するかを整理します。
  • 最後の公的救済として、残った人身損害を法定限度額内で塡補します
  • 政府保障事業は、ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済による救済を受けられない被害者を支える最後の公的制度です。
  • 入口は「対象事故か」「誰がどの窓口へ請求するか」で、出口は「どの損害がどの上限の範囲で、何を控除されて支払われるか」です。

POINT 2

  • 政府保障事業に請求する前に知る法的位置付け
  • 1. 加害車両が不明、または有効な自賠責がないか確認:ひき逃げ・無保険事故に当たるかを警察資料や交通事故証明書で確認します。
  • 2. 他の自賠責・共済に請求できないか確認:複数車両事故や同乗者事故では、別車両の自賠責が使える場合があります。
  • 3. 健康保険・労災・任意保険・責任者支払を確認:他制度から受けられる給付や既払金は、塡補額から差し引かれ得ます。
  • 4. なお残る人身損害を政府保障事業で検討:法定限度額の範囲で、対象損害が塡補されるか調査されます。

POINT 3

  • 政府保障事業に請求できる事故と対象外になりやすい事故
  • ひき逃げ・無保険事故でも、他の自賠責や既払金があれば結論が変わります。
  • 加害車両が不明な事故
  • 有効な自賠責がない事故
  • 別の自賠責が使えるか確認

POINT 4

  • 政府保障事業に請求する方法 ― 事故直後から支払まで
  • 1. 110番通報・救急要請・人身事故届出:物損扱いのままにせず、相手車両の逃走方向、車種、色、ナンバー、目撃者、防犯カメラも記録します。
  • 2. 診断書と医療記録を確保:整形外科、脳神経外科など症状に合う診療科で、首・腰・しびれ・めまい・ 認知症 状などを漏れなく伝えます。
  • 3. 加害者不明・無保険・他制度給付を確認:交通事故証明書、車検証、自賠責証明書、健康保険、労災、人身傷害補償などを整理します。
  • 4. 請求キットと必要書類を集める:損害保険会社・共済組合の窓口または損害保険料率算出機構の案内から書類を入手し、コピーを残します。
  • 5. 損害調査・国の審査・支払:損害保険料率算出機構の調査を経て、国土交通省が審査・決定し、損害保険会社等から支払われます。

POINT 5

  • 政府保障事業に請求できる期間と3年ルール
  • 傷害請求
  • 治療が終わるまで損害額が確定しにくい一方、期限は事故発生日から進みます。
  • 後遺障害請求
  • 症状固定日、後遺障害診断書、画像資料、神経学的所見、日常生活支障の整理が重要です。

POINT 6

  • 政府保障事業に請求する必要書類と損害立証資料
  • 基礎書類、傷害資料、後遺障害資料、死亡資料を分けて準備します。
  • 必要書類は、全区分で共通する基礎資料と、傷害・後遺障害・死亡ごとの損害立証資料に分けると整理しやすくなります。
  • 提出資料は原則返却されないため、どの資料をコピーして残すかを考えながら読むことが重要です。
  • 診断書、診療報酬明細書、薬局領収書、通院交通費明細書、休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書、文書料領収書を整理します。

POINT 7

  • 政府保障事業で補償される金額の上限
  • 傷害120万円、死亡3000万円、後遺障害75万円から4000万円を制度上の天井として確認します。
  • 補償される金額の上限は、傷害、死亡、後遺障害で大きく異なります。
  • 上限額は実際の支払額ではなく、損害額・控除・減額を適用する前の制度上の天井である点を読み取ってください。
  • 後遺障害の等級別限度額は、等級が下がるほど段階的に小さくなります。

POINT 8

  • 政府保障事業の支払額から差し引かれるもの
  • 健康保険・労災保険
  • 制度上給付を受けられる額、または受けるべき額は政府保障事業の支払対象から外れ得ます。
  • 加害者からの支払
  • 治療費、慰謝料、休業損害などを加害者から受け取っている場合は調整対象になります。

まとめ

  • 政府保障事業に請求する方法と 補償される金額の上限
  • 政府保障事業に請求する方法と補償上限の全体像:ひき逃げ・無保険事故で何を、どこへ、いつまでに請求するかを整理します。
  • 政府保障事業に請求する前に知る法的位置付け:自賠責保険と似ていても、請求者、控除、求償の点で異なります。
  • 政府保障事業に請求できる事故と対象外になりやすい事故:ひき逃げ・無保険事故でも、他の自賠責や既払金があれば結論が変わります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

政府保障事業に請求する方法と補償上限の全体像

ひき逃げ・無保険事故で何を、どこへ、いつまでに請求するかを整理します。

政府保障事業は、ひき逃げ事故や無保険事故で自賠責保険・共済による救済を受けられない被害者を支える最後の公的制度です。入口は「対象事故か」「誰がどの窓口へ請求するか」で、出口は「どの損害がどの上限の範囲で、何を控除されて支払われるか」です。

下の比較表は、政府保障事業に請求する方法と補償される金額の上限を最初に確認するための全体像です。入口、窓口、調査、金額、控除、時効を横断して見ることが重要で、各行から「自賠責の代わりに全額が自動で出る制度ではない」点を読み取れます。

論点実務上の結論
主な対象ひき逃げ事故、無保険事故
請求窓口損害保険会社または共済組合の窓口。保険代理店では受付されません。
支払決定国土交通省が審査し、支払額を決定します。
調査損害保険会社等を経由し、損害保険料率算出機構が損害調査を行います。
請求できる人原則として被害者本人。死亡事故では法定相続人と遺族慰謝料請求権者が問題になります。
補償される金額の上限傷害120万円、死亡3000万円、後遺障害75万円から4000万円です。
控除健康保険、労災保険などの給付額、損害賠償責任者からの支払額などは差し引かれます。
物損車両修理費、代車費用、評価損、携行品損害などは原則として対象外です。
時効傷害は事故発生日から3年以内、後遺障害は症状固定日から3年以内、死亡は死亡日から3年以内です。

次の重要ポイントは、この制度の性質を一文で整理したものです。最初にここを押さえると、請求手順、上限額、控除、対象外事由をつなげて理解できます。

最後の公的救済として、残った人身損害を法定限度額内で塡補します

健康保険、労災保険、任意保険、損害賠償責任者からの支払などを確認したうえで、なお残る損害を制度上の範囲で穴埋めする仕組みです。

Section 01

政府保障事業に請求する前に知る法的位置付け

自賠責保険と似ていても、請求者、控除、求償の点で異なります。

政府保障事業を理解するには、「保障」「補償」「塡補」を混同しないことが重要です。下の用語一覧は制度内で使われる言葉の役割を示し、各行から、保険契約に基づく保険金ではなく法律に基づく公的救済である点を読み取れます。

用語意味
政府保障事業ひき逃げ事故や無保険事故などで自賠責による救済を受けられない被害者に対し、国が損害を塡補する制度です。
自賠責保険・共済自動車の人身事故被害者を基本的に救済する強制保険・共済です。
塡補金政府保障事業により支払われる金額です。
法定限度額傷害、後遺障害、死亡ごとに定められた上限額です。
他法令給付健康保険、労災保険など、他の法律に基づいて受けられる給付です。
損害賠償責任者加害者、加害車両の保有者など、事故について損害賠償責任を負う者です。

次の判断の流れは、政府保障事業が「最後の救済制度」といわれる理由を順番で示します。上から確認するほど優先的に検討すべき制度や責任者が分かり、最後に政府保障事業の余地が残るかを読み取れます。

政府保障事業を検討する前の確認順序

加害車両が不明、または有効な自賠責がないか確認

ひき逃げ・無保険事故に当たるかを警察資料や交通事故証明書で確認します。

他の自賠責・共済に請求できないか確認

複数車両事故や同乗者事故では、別車両の自賠責が使える場合があります。

健康保険・労災・任意保険・責任者支払を確認

他制度から受けられる給付や既払金は、塡補額から差し引かれ得ます。

なお残る人身損害を政府保障事業で検討

法定限度額の範囲で、対象損害が塡補されるか調査されます。

Section 02

政府保障事業に請求できる事故と対象外になりやすい事故

ひき逃げ・無保険事故でも、他の自賠責や既払金があれば結論が変わります。

政府保障事業の対象になるかは、事故類型だけでなく、他に請求できる自賠責があるか、物損だけではないか、時効が完成していないかで変わります。次の一覧は典型事故の違いを並べたもので、どの資料を早く集めるべきかを読み取るために重要です。

ひき逃げ

加害車両が不明な事故

相手車両や保有者が分からず、自賠責保険・共済の請求先を特定できない場合に問題になります。人身事故扱いの交通事故証明書、警察届出、映像、目撃者情報が重要です。

無保険

有効な自賠責がない事故

車検切れ、契約期限切れ、自賠責未加入などで加害車両に有効な自賠責保険・共済がない場合です。加害者が判明していても、制度対象になり得ます。

複数車両

別の自賠責が使えるか確認

共同不法行為や同乗者事故では、関係車両のどれかの自賠責に請求できる場合があります。そのときは政府保障事業より自賠責請求が優先されることがあります。

次の対象外一覧は、政府保障事業に請求できると思っても支払対象から外れやすい場面を整理したものです。理由の列を見ると、制度が人身損害の最終救済であり、物損や自賠責で救済できる事故を広く引き受けるものではないことが分かります。

対象外になりやすいケース理由
物損だけの事故車両修理費などは対象外です。
自損事故他車の存在または他車との因果関係が認められない場合は対象外になり得ます。
被害者の100%過失事故加害者側の自動車運行による損害賠償責任が認めにくいためです。
示談どおり支払済みなお残る損害がないと扱われる可能性があります。
他法令給付や責任者支払が法定限度額を超える場合残損害を法定限度額内で塡補する制度だからです。
後遺障害等級に該当しない後遺症後遺障害損害としては支払対象外です。
時効が完成している場合請求権が消滅しているためです。
自賠責保険・共済に請求できる場合政府保障事業は自賠責で救済できない場合の補完制度だからです。
Section 03

政府保障事業に請求する方法 ― 事故直後から支払まで

人身事故届出、医療記録、請求キット、窓口提出、調査、国の決定までを順番に確認します。

請求の実務は、事故直後の安全確保から支払まで連続しています。次の時系列は、各段階で何を行い、何が遅延や不利な判断につながるかを示すもので、上から順に確認すると準備の抜けを防ぎやすくなります。

事故直後

110番通報・救急要請・人身事故届出

物損扱いのままにせず、相手車両の逃走方向、車種、色、ナンバー、目撃者、防犯カメラも記録します。

初期治療

診断書と医療記録を確保

整形外科、脳神経外科など症状に合う診療科で、首・腰・しびれ・めまい・認知症状などを漏れなく伝えます。

制度確認

加害者不明・無保険・他制度給付を確認

交通事故証明書、車検証、自賠責証明書、健康保険、労災、人身傷害補償などを整理します。

請求準備

請求キットと必要書類を集める

損害保険会社・共済組合の窓口または損害保険料率算出機構の案内から書類を入手し、コピーを残します。

提出後

損害調査・国の審査・支払

損害保険料率算出機構の調査を経て、国土交通省が審査・決定し、損害保険会社等から支払われます。

次の一覧は、請求キットに含まれる主な書類を示します。書類ごとの役割を知ることは、どの情報が事故態様、損害額、支払先、委任関係の確認に使われるかを理解するうえで重要です。

書類概要
損害の塡補請求書基本的な請求書です。
申告事項に関する書類他制度給付、事故状況、申告事項を確認します。
人身傷害補償保険・共済への確認書任意保険・共済との調整確認に関わります。
支払指図書・振込依頼書支払口座を指定します。
事故発生状況報告書事故態様を図や説明で記載します。
同意書・委任状医療照会や第三者への委任に使います。
通院交通費明細書・休業損害証明書交通費や休業損害を請求する場合に使います。
本人確認令和7年4月1日以降の受付では本人確認書類が求められ、委任請求では電話による委任意思確認が行われます。重度後遺障害、未成年、成年後見、相続人多数の死亡事故では、本人確認と代理権の整理が遅延要因になります。
Section 04

政府保障事業に請求できる期間と3年ルール

傷害、後遺障害、死亡で起算点が異なるため、事故日と症状固定日を分けて管理します。

時効は、請求区分ごとに起算点が異なります。次の比較表は、傷害・後遺障害・死亡の期限を並べたもので、治療終了を待つ場面でも事故日から進む傷害の3年ルールに注意すべきことが読み取れます。

請求区分請求できる時期の目安時効完成日
傷害治療を終えた日事故発生日から3年以内
後遺障害症状固定日症状固定日から3年以内
死亡死亡日死亡日から3年以内

次の重要ポイントは、時効管理で見落としやすい場面をまとめたものです。期限そのものだけでなく、治療の長期化、症状固定、戸籍収集などの準備期間が期限を圧迫することを読み取ってください。

傷害請求

治療が終わるまで損害額が確定しにくい一方、期限は事故発生日から進みます。事故日から2年6か月を過ぎたら準備状況を点検します。

後遺障害請求

症状固定日、後遺障害診断書、画像資料、神経学的所見、日常生活支障の整理が重要です。

死亡請求

死亡日から3年以内ですが、戸籍、相続人、遺族慰謝料請求権者、代表者、委任関係の整理に時間がかかります。

Section 05

政府保障事業に請求する必要書類と損害立証資料

基礎書類、傷害資料、後遺障害資料、死亡資料を分けて準備します。

必要書類は、全区分で共通する基礎資料と、傷害・後遺障害・死亡ごとの損害立証資料に分けると整理しやすくなります。次の表は取得先と注意点を示し、どの資料が制度対象性、因果関係、支払先の確認に使われるかを読み取れます。

書類取得先・作成者実務上の注意点
損害の塡補請求書請求者請求者、事故情報、請求区分、振込先との整合性を確認します。
本人確認書類請求者・被害者等令和7年4月1日以降は本人確認の運用が強化されています。
交通事故証明書自動車安全運転センター人身事故扱いであることが重要です。
事故発生状況報告書原則として被害者図面、信号、位置関係、速度感、回避行動を具体化します。
診断書・診療報酬明細書医療機関受傷、治療内容、医療費、因果関係の基礎資料です。
後遺障害診断書医師後遺障害請求で症状固定日、残存症状、検査結果を示します。
死亡診断書・戸籍資料医師・市区町村等死亡事故で死因、相続人、遺族慰謝料請求権者を確認します。

次の一覧は、損害内容ごとに追加で準備しやすい資料をまとめています。提出資料は原則返却されないため、どの資料をコピーして残すかを考えながら読むことが重要です。

傷害請求

診断書、診療報酬明細書、薬局領収書、通院交通費明細書、休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書、文書料領収書を整理します。

治療休業

後遺障害請求

後遺障害診断書、画像、神経学的検査、可動域測定、リハビリ記録、仕事内容や日常生活支障の資料が重要です。

症状固定等級

死亡請求

死亡診断書または死体検案書、出生から死亡までの戸籍、法定相続情報、遺族慰謝料請求権者の確認資料を準備します。

相続戸籍
Section 06

政府保障事業で補償される金額の上限

傷害120万円、死亡3000万円、後遺障害75万円から4000万円を制度上の天井として確認します。

補償される金額の上限は、傷害、死亡、後遺障害で大きく異なります。下の比較グラフは上限額の大小を視覚的に示すもので、棒の高さが上限額の相対的な大きさを表し、傷害枠と死亡・重度後遺障害枠の差を読み取れます。

120万
傷害
3000万
死亡
4000万
後遺障害

次の表は、傷害、後遺障害、死亡の各枠で何が支払対象になり得るかを整理したものです。上限額は実際の支払額ではなく、損害額・控除・減額を適用する前の制度上の天井である点を読み取ってください。

区分上限額主な対象主な基準・注意点
傷害120万円治療費、看護料、入院雑費、通院交通費、義肢等、診断書費用、文書料、休業損害、傷害慰謝料休業損害は原則1日6100円、立証により1日1万9000円限度。傷害慰謝料は1日4300円を基礎に考えます。
後遺障害75万円から4000万円逸失利益、後遺障害慰謝料等介護を要する第1級は4000万円、第2級は3000万円。その他は第1級3000万円から第14級75万円です。
死亡3000万円葬儀費、死亡逸失利益、本人慰謝料、遺族慰謝料葬儀費100万円、本人慰謝料400万円、遺族慰謝料は人数により550万円、650万円、750万円。被扶養者がいれば200万円加算されます。

後遺障害の等級別限度額は、等級が下がるほど段階的に小さくなります。次の表は介護を要しない後遺障害の上限を一覧化したもので、慰謝料だけでなく逸失利益等を含む枠である点を確認できます。

等級限度額等級限度額
第1級3000万円第8級819万円
第2級2590万円第9級616万円
第3級2219万円第10級461万円
第4級1889万円第11級331万円
第5級1574万円第12級224万円
第6級1296万円第13級139万円
第7級1051万円第14級75万円
Section 07

政府保障事業の支払額から差し引かれるもの

社会保険、責任者支払、任意保険、過失、因果関係で支払額は変わります。

実際の支払額は、上限額から機械的に支払われるのではなく、認定損害額と各種控除・減額の組み合わせで決まります。次の式は算定構造の概念を示すもので、上限額よりも「何が差し引かれるか」を確認する必要があると読み取れます。

塡補額 = 認定損害額のうち法定限度額内の金額 − 他法令給付 − 責任者支払 − 任意保険等の既払金 − 重過失減額等

実際の算定は損害の塡補基準、提出資料、調査結果、個別事情で決まります。この式は、上限額と入金額が一致しない理由を理解するための整理です。

次の一覧は、控除・調整で特に問題になりやすい項目をまとめたものです。各項目から、健康保険や労災を使うかどうか、示談書に署名するかどうかが後の請求に影響することを読み取れます。

健康保険・労災保険

制度上給付を受けられる額、または受けるべき額は政府保障事業の支払対象から外れ得ます。通勤中・業務中の事故では労災申請を放置しないことが重要です。

加害者からの支払

治療費、慰謝料、休業損害などを加害者から受け取っている場合は調整対象になります。清算条項を含む示談は特に慎重に扱います。

人身傷害補償

被害者自身の任意保険・共済からの支払は重複受領できないことがあります。請求キットにも確認書が含まれます。

過失・因果関係

被害者に重大な過失がある場合や事故と症状の関係が不明確な場合、対象外または減額が問題になります。

示談注意人身事故に関する示談が成立し、その条項どおりに支払済みの場合、政府保障事業の塡補対象にならないことがあります。少額の支払でも「一切解決済み」とする文言には注意が必要です。
Section 08

政府保障事業の支払額を左右する過失・因果関係・後遺障害等級

事故態様、医療記録、検査結果、既払金の整理が支払額に影響します。

過失、因果関係、後遺障害等級は、同じ事故類型でも支払額が変わる主要な理由です。次の表は争われやすい場面と争点を対応させたもので、医療記録や事故資料のどこを補強すべきかを読み取れます。

典型例争点
事故後かなり経って初診事故で生じた症状か、別原因かが問題になります。
事故前から同じ症状がある既往症、加齢、事故による悪化の範囲が問題になります。
軽微接触で長期治療受傷機転と治療期間の相当性が検討されます。
画像所見が乏しい神経症状症状の一貫性、神経学的所見、治療経過が重要です。
精神症状、PTSD、不眠事故との関連、発症時期、既往歴、生活変化が確認されます。
高次脳機能障害頭部外傷、意識障害、画像、神経心理検査、家族証言が重要です。

次の判断の流れは、後遺障害が残ったと感じる場合に、制度上の支払対象として検討されるまでの確認順序を示します。順番から、痛みの訴えだけでなく、症状固定、医学的裏付け、等級該当性が必要になることを読み取れます。

後遺障害請求で確認される主な順序

症状固定日を医師と確認

医学上一般に認められた治療を行っても効果が期待しにくい状態かを確認します。

後遺障害診断書・画像・検査を整理

可動域、神経学的所見、画像、日常生活支障、仕事への影響を資料化します。

該当性あり
等級に応じた枠で検討

逸失利益や慰謝料等が限度額内で検討されます。

該当性なし
後遺障害損害は対象外

傷害部分の対象損害があるかを別に確認します。

Section 09

政府保障事業の請求で弁護士に相談すべき場面

資料整理、請求順序、時効、示談、後遺障害が難しい場合は早期確認が重要です。

政府保障事業は本人でも請求できますが、重傷、死亡、後遺障害、労災、示談、時効が絡むと資料の整理と請求順序が複雑になります。次の表は相談を検討しやすい場面をまとめたもので、理由の列から専門家確認の必要性を読み取れます。

相談を検討すべき場面理由
重傷、長期入院、手術、重度後遺障害がある上限、介護、逸失利益、労災、障害年金が複雑です。
死亡事故相続、遺族慰謝料、刑事手続、求償、戸籍資料が複雑です。
相手が無保険で支払能力がない政府保障事業と加害者請求の組み合わせが必要です。
ひき逃げで証拠が乏しい警察資料、目撃者、映像、事故態様の整理が重要です。
後遺障害が見込まれる症状固定、後遺障害診断書、等級認定が重要です。
労災、健康保険、人身傷害補償が関係する給付調整と控除の理解が必要です。
示談書に署名を求められている後の請求権に影響する可能性があります。
時効が近い、または既に低額決定を受けた期限管理、追加資料、訴訟可能性の検討が必要です。

次の一覧は、相談前に準備しやすい資料を整理したものです。資料の種類から、法律だけでなく事故、医療、保険、収入、社会保険を横断して確認する必要があることを読み取れます。

事故資料

交通事故証明書、事故現場写真、車両写真、ドライブレコーダー、防犯カメラ情報、加害者とのやり取りを整理します。

事故態様

医療資料

診断書、診療報酬明細書、画像、後遺障害診断書、検査結果、リハビリ記録を準備します。

因果関係

保険・収入資料

保険証券、弁護士費用特約、休業損害資料、労災・健康保険資料、請求キット、提出済み書類の控えを確認します。

控除時効
Section 10

政府保障事業に請求する方法と補償上限のFAQ

よくある誤解を、一般的な制度説明として整理します。

ひき逃げなら必ず120万円、3000万円、4000万円が出ますか

一般的には、限度額は上限であり、実際の支払額ではありません。傷害では治療費、休業損害、慰謝料、通院交通費などを積算し、120万円を超えない範囲で判断されます。ただし、事故態様、損害資料、他制度給付、既払金、過失などによって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

加害者が分かっている無保険事故では請求できませんか

一般的には、加害者が分かっていても、有効な自賠責保険・共済がない無保険事故では政府保障事業の対象になり得ます。ただし、他の関係車両の自賠責に請求できる場合などは扱いが変わる可能性があります。具体的には交通事故証明書や保険関係を確認し、窓口や弁護士等に相談する必要があります。

物損も政府保障事業で支払われますか

一般的には、政府保障事業は人身損害を対象とする制度であり、車両修理費、代車費用、評価損、衣服や携行品の損害などは対象外とされています。物損は加害者への請求、自分の車両保険、任意保険、個別特約など別のルートで検討する必要があります。

健康保険を使うと不利になりますか

一般的には、一概に不利とはいえません。自由診療で医療費が高額になると、傷害枠120万円を医療費で使い切り、休業損害や慰謝料の余地が小さくなる可能性があります。ただし、治療内容、労災該当性、第三者行為届、医療機関の対応によって判断が変わるため、保険者や専門家へ確認する必要があります。

請求書を出せばすぐ支払われますか

一般的には、請求書提出後に損害保険料率算出機構の調査と国土交通省の審査・決定があるため、すぐに支払われる制度ではありません。追加資料、医療照会、事故状況調査、後遺障害、死亡事故、相続人多数などで長期化する可能性があります。資料を整理して窓口へ確認することが重要です。

Section 11

政府保障事業に請求する前の実務チェックリスト

事故直後、請求準備、後遺障害の3段階で確認します。

次の一覧は、事故直後、請求準備、後遺障害の3段階で確認すべき事項をまとめたものです。段階ごとに見ることで、証拠の保存、時効管理、医療資料、制度確認のどこに抜けがあるかを読み取れます。

段階確認事項
事故直後警察通報、人身事故届出、救急搬送または受診、相手車両情報、目撃者・防犯カメラ・ドライブレコーダー、現場写真、保険会社連絡、弁護士費用特約を確認します。
請求準備対象事故、自賠責に請求できる車両の有無、請求区分、時効完成日、請求キット、交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、休業損害資料、通院交通費、健康保険・労災・人身傷害補償、提出書類のコピーを確認します。
後遺障害症状固定日、後遺障害診断書、画像資料、神経学的検査、可動域検査、専門検査、日常生活支障、仕事内容、収入、復職状況、弁護士相談の必要性を確認します。
まとめ政府保障事業に請求する方法と補償される金額の上限を理解するには、制度を自賠責の完全な代替ではなく、自賠責で救済されない被害者のための最後の公的救済として捉えることが重要です。
Reference

この記事の参考資料

公的機関・制度資料

  • 国土交通省「政府保障事業」
  • 国土交通省「損害賠償を受けるときは?」政府保障事業、請求期間、必要書類、対象外事由、塡補基準に関する説明
  • 国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」
  • 国土交通省「自動車損害賠償保障事業が行う損害の塡補の基準」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」

損害調査・請求書類に関する資料

  • 損害保険料率算出機構「政府の保障事業とは」
  • 損害保険料率算出機構「請求キット 冊子② ご請求に関する書類」
  • 損害保険料率算出機構「請求にあたっての注意事項」