和解後の情報管理、再紛争予防、公益通報、労務、個人情報、営業秘密、裁判記録までを横断し、強すぎず弱すぎない守秘設計を整理します。
和解後の情報管理、再紛争予防、公益通報、労務、個人情報、営業秘密、裁判記録までを横断し、強すぎず弱すぎない守秘設計を整理します。
秘密にしたい情報と、開示を認めるべき場面を同時に設計することが出発点です。
和解は、当事者が互いに譲歩して争いを終わらせる合意です。裁判上の和解であれば、和解に係る電子調書の記録に確定判決と同一の効力が認められる場面もあります。そのため、口外禁止・守秘条項は儀礼的な一文ではなく、紛争終結後の情報管理、再紛争予防、レピュテーション管理、証拠管理、内部統制、公益通報対応、個人情報保護、営業秘密保護を横断する重要な条項です。
中核は、何を、誰が、誰に対して、どの期間、どの目的で、どの例外のもとで開示してはならないのかを、過不足なく定めることです。単に「秘密にする」と広く書くだけでは、公益通報、行政申告、ハラスメント相談、専門家相談、監査、税務、親会社報告などの正当な開示まで萎縮させるおそれがあります。
次の重要ポイントは、和解条項を作るときに検討すべき視点を並べたものです。何を表すかを一目で確認できる一覧であり、条項の抜け漏れが後日の紛争や無効リスクにつながるため重要です。各項目から、秘密にする対象だけでなく、例外と運用まで同時に決める必要があることを読み取ってください。
和解条項の守秘設計は、広く強く書くことではありません。保護対象、許容開示先、期間、違反時対応、裁判記録、個人情報、営業秘密、公益通報を同じ設計図の中で整えることが実務上の要点です。
和解書で扱う情報とリスクは複数分野にまたがります。次の比較表は、どの情報がどの実務リスクと結び付くかを整理したものです。行ごとの「主なリスク」と「設計上の読み取り」を確認することで、条項を一文で済ませず、必要な保護範囲を分けて考える重要性が分かります。
| 対象情報 | 主なリスク | 設計上の読み取り |
|---|---|---|
| 和解の存在、金額、支払条件 | 前例化、追加請求、社外説明の混乱 | 「解決済み」と言える範囲と、金額を秘匿する範囲を分けます。 |
| 交渉経過、証拠、調査資料 | 一方的な説明、名誉信用毀損、再紛争 | 開示禁止だけでなく、SNS投稿や外部サービス入力も検討します。 |
| 個人情報、要配慮個人情報 | プライバシー侵害、社内共有過多、漏えい | 利用目的、共有範囲、保存期間、廃棄方法を運用まで定めます。 |
| 営業秘密、技術情報、顧客情報 | 競争上の不利益、不使用義務の抜け | 不開示だけでなく、不使用、返還、廃棄、管理義務を明記します。 |
| 公益通報、行政相談に関わる情報 | 通報妨害、公序良俗違反、レピュテーション悪化 | 法令上保護される相談、申告、通報は妨げないことを明示します。 |
開示禁止、情報管理、目的外利用禁止を分けて考えると、条項の射程が明確になります。
口外禁止条項は、和解の存在や内容、紛争の経緯などを第三者に話したり、SNSに投稿したり、報道機関や取引先に伝えたりすることを制限する条項です。典型的には「本和解の存在及び内容を、相手方の事前承諾なく第三者に開示、公表又は漏えいしてはならない」といった形です。
しかし、この短い文言だけでは、和解により解決した事実を言えるのか、弁護士、税理士、監査法人、保険会社、親会社、取締役会、社内上長に説明できるのか、法令や行政調査による開示をどう扱うのか、公益通報やハラスメント相談を妨げないのかが不明確になります。
守秘条項は、開示禁止だけでなく、秘密情報の利用目的の制限、管理義務、複製制限、社内共有範囲、返還または廃棄、違反時の措置まで扱います。企業間紛争では、技術情報、顧客情報、価格情報、原価情報、取引条件、ソースコード、未公表の不具合情報、調査報告書、役員会資料、監査資料、個人データ、従業員の証言メモなどが和解後も管理対象になります。
次の比較一覧は、口外禁止条項と守秘条項が扱う問題の違いを示します。両者を混同すると、禁止したい行為が抜けたり、必要な社内運用まで止まったりするため重要です。左列で条項の性質を、中央列で対象行為を、右列で和解書に反映すべきポイントを読み取ってください。
和解の存在、内容、金額、交渉経過、紛争の説明を外部に伝えないことに重点があります。SNS、報道機関、取引先、業界団体への発信も対象に含めるかを決めます。
秘密情報の利用目的、保存、共有、複製、返還、廃棄、社内アクセス、外部専門家への開示を含めて、情報の扱い方全体を定めます。
和解条項では両者を一体で置くことが多いものの、開示禁止、目的外利用禁止、管理義務、例外開示を分けて書くと運用しやすくなります。
基本形の条項例は次のとおりです。短い文言は出発点としては使えますが、このままでは例外や目的外利用の扱いが不足しやすいことを前提に読みます。
甲及び乙は、本和解の存在及び内容を、相手方の事前の書面による承諾なく、第三者に開示、公表又は漏えいしてはならない。
紛争の蒸し返し、金額の前例化、営業秘密、個人情報、社内説明の5つが中心です。
口外禁止・守秘条項の目的は、和解後に紛争を蒸し返さないことだけではありません。和解金額が相場として扱われることを防ぎ、営業秘密と競争上の情報を守り、個人情報とプライバシーを保護し、社内説明とガバナンスを可能にする役割があります。
和解金額は、責任の有無や損害額だけでなく、訴訟費用、証拠状況、早期解決の価値、将来取引、保険、税務、ブランド、感情的要素などを反映します。外部に知られると同種紛争で前例化し、追加請求や模倣的請求を誘発することがあります。金額を秘密にする必要が強い場合は、「和解金の金額、支払条件及び支払の事実」を明示するのが安全です。
次の一覧は、口外禁止・守秘条項を入れる目的と、それぞれで条項に反映すべき観点を整理したものです。目的を分けて見ることは、過剰な沈黙義務と実効性のない抽象条項を避けるために重要です。各項目から、守る利益に応じて対象情報、開示先、例外、運用を変える必要があることを読み取ってください。
SNS、取引先、メディア、社内外への一方的説明が、反論、信用毀損、追加請求、報道対応を再燃させることがあります。
和解金額が外部に知られると、同種案件で前例として扱われる可能性があります。金額、支払条件、支払の事実を分けて定めます。
顧客情報、原価、技術仕様、解析結果、販売戦略などは、不使用、返還、廃棄、アクセス制限まで組み合わせて守ります。
氏名、診断名、休職歴、懲戒歴、評価、通報内容、給与、退職条件などは、共有範囲と保存期間の設計が必要です。
取締役会、監査、会計、税務、保険、親会社報告ができない条項は企業実務に合いません。必要な例外を置きます。
弁護士、税理士、公認会計士、社労士、医師、カウンセラーなどへの必要最小限の相談を想定します。
裁判外和解、裁判上の和解、調停、労働審判、ADRでは、実効性と記録管理の見方が異なります。
裁判外和解は、契約書、合意書、示談書、覚書、確認書などの名称で締結され、口外禁止・守秘条項は契約上の義務として効力を持ちます。ただし、それ自体が当然に強制執行の債務名義になるわけではありません。金銭支払義務の履行確保が重要であれば、公正証書、裁判上の和解、即決和解、調停調書などの利用も検討対象になります。
裁判上の和解では、金銭支払義務などが明確であれば強制執行との関係でも重要ですが、守秘条項の実効性は文言の明確性に左右されます。また、和解調書に秘密情報が記載される場合、当事者間の守秘義務だけで第三者閲覧から当然に守られるわけではありません。秘密性が高い事項は、和解調書、別紙、別契約、非公開資料、閲覧等制限申立ての関係を別途検討します。
次の時系列は、和解の場面ごとに検討が移る順番を示します。順番を把握することは、和解成立の直前に定型文を入れて済ませるのではなく、交渉初期から情報管理を組み込むために重要です。各段階で、義務の強さと記録管理の要否が変わることを読み取ってください。
和解条項に秘密と書くことと、訴訟記録の閲覧等制限は別問題です。秘密情報を記録に入れる範囲を検討します。
労働事件では、行政機関、労働組合、医療機関、家族、専門家への相談を妨げない例外が特に重要です。
調停、労働審判、ADRでは、迅速な紛争解決が重視される一方、当事者間の情報格差、力関係、感情的負担が大きいことがあります。労働事件では「一切口外しない」という包括的条項を機械的に入れるのではなく、専門家相談、公的機関への相談、公益通報、ハラスメント相談、税務、社会保険、雇用保険、年金、医療、転職手続に必要な開示を検討します。
主体、対象情報、禁止行為、開示先、期間を分けて定義すると、執行可能性が高まります。
基本構造では、誰が義務を負うのかを明確にします。法人だけでなく、役員、従業員、代理人、委託先、親会社、子会社、関連会社、承継人、再委託先、専門家が関与することがあります。ただし、契約当事者ではない第三者に直接の契約義務を負わせることはできません。会社が「自己の役員、従業員、関係会社、委託先に本条と同等の義務を遵守させる」と定める形が実務的です。
対象情報は、和解の存在、和解内容、和解金額、紛争の存在、交渉経過、提出資料、証拠、録音、メール、チャット、議事録、営業秘密、ノウハウ、顧客情報、価格情報、技術情報、個人情報、要配慮個人情報、社内調査、フォレンジック調査結果、謝罪文、再発防止策、懲戒、人事措置などに分けて定めます。すでに公知の事実、報道済みの事実、公表済み情報、正当に取得した情報をどう除外するかも重要です。
次の比較表は、基本構造を5つの設計項目に分けたものです。条項が曖昧だと「誰が」「何を」「どこまで」守るのかが争点になりやすいため重要です。列ごとに、定める内容と読み落としやすい注意点を確認してください。
| 設計項目 | 定める内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 主体 | 当事者、役員、従業員、代理人、委託先、関係会社 | 契約当事者でない者には、当事者が遵守させる義務として書きます。 |
| 対象情報 | 和解の存在、内容、金額、証拠、個人情報、営業秘密 | 公知情報、適法保有情報、独自作成情報の除外を検討します。 |
| 禁止行為 | 口頭、メール、SNS、資料共有、生成AI入力、目的外利用 | 「公表しない」だけでは、外部サービス入力や要約が抜けることがあります。 |
| 開示先 | 専門家、役職員、親会社、監査人、保険会社、行政機関 | 必要最小限の範囲と、開示先に守秘義務を課す仕組みを入れます。 |
| 期間 | 一定期間、非公知の間、保護不要になるまで | 和解金、営業秘密、個人情報で期間の考え方が異なります。 |
禁止行為では、口頭で話すこと、書面、メール、チャット、社内掲示板で伝えること、SNS、ブログ、動画配信、匿名掲示板、口コミサイトへの投稿、報道機関や業界団体への提供、資料の送付、複製、転送、共有、アップロード、生成AI、翻訳ツール、外部クラウドへの入力、秘密情報の目的外利用まで検討します。
甲及び乙は、秘密情報を、本和解の履行、税務、会計、監査、法令遵守、紛争対応その他本和解に関連して合理的に必要な目的以外に使用してはならず、相手方の事前の書面による承諾なく、第三者に対する開示、提供、漏えい、公表、送信、投稿、複製、翻訳、要約、外部サービスへの入力その他これらに類する利用をしてはならない。
期間については、常に永久が適切とは限りません。他方、営業秘密、個人情報、医療情報、ハラスメント被害情報、通報者情報は、一定期間後に無限定に公表してよい性質ではありません。紛争類型、情報の性質、業界慣行、当事者属性、公開リスクを踏まえます。
本条に基づく義務は、本和解成立日から5年間存続する。ただし、秘密情報のうち、営業秘密、個人情報、要配慮個人情報、通報者を特定し得る情報その他その性質上継続的な保護を要する情報については、当該情報が公知となるまで、又は法令上若しくは社会通念上保護を要しない状態となるまで存続する。
法令上必要な開示、公益通報、ハラスメント相談、専門家相談、家族や医療支援を妨げない設計が必要です。
どれほど強い守秘条項を置いても、法令上必要な開示を妨げることはできません。裁判所、行政機関、捜査機関、税務当局、金融規制当局、労働基準監督署、個人情報保護委員会、公正取引委員会、消費者庁などへの対応が必要になることがあります。
公益通報者保護法上保護される公益通報、ハラスメント相談、調査協力、行政機関への相談、弁護士等への相談を妨げる条項は、無効リスクやレピュテーション上の問題を生みます。守秘義務を一方的な沈黙義務としてではなく、秘密保護と正当な相談の両立として設計することが重要です。
次の判断の流れは、開示を例外として認めるべきかを検討する順番を示します。分岐を置くことは、守秘義務違反として扱う場面と、法令や社会通念上必要な相談を区別するために重要です。上から順に確認し、最後に必要最小限の範囲と秘密性確保の措置を検討する流れを読み取ってください。
税務、会計、監査、法令遵守、医療、生活支援、紛争対応などの目的を特定します。
裁判所、行政機関、捜査機関、取引所、公益通報受付窓口などへの対応かを確認します。
支障がない限り通知、範囲限定、秘密性確保を検討します。
SNS投稿、拡散、攻撃目的の共有、不要な社内転送は制限対象になります。
法令上必要な開示の条項例は次のとおりです。事前通知を入れる場合でも、捜査、公益通報、内部通報、ハラスメント相談では相手方への事前通知が不適切または禁止される場合があるため、留保を置きます。
前項にかかわらず、甲又は乙は、法令、裁判所、行政機関、捜査機関、金融商品取引所、仲裁機関又はこれらに準ずる機関の命令、要請、規則若しくは手続に基づき開示を求められた場合、必要最小限の範囲で秘密情報を開示することができる。この場合、法令上又は手続上支障がない限り、開示当事者は相手方に対し事前に通知し、開示範囲の限定及び秘密性確保について合理的な協議を行う。
公益通報やハラスメント相談を妨げない条項は、社内説明や通報窓口運用の安全性にもつながります。次の文言は、秘密保持と相談・通報・調査協力を両立させる発想を示します。
本条は、甲又は乙が公益通報者保護法その他の法令に基づき保護される通報、申告、相談、情報提供又はこれらに準ずる行為を行うことを禁止し、制限し、又はこれらを理由として不利益取扱い若しくは損害賠償請求を行う趣旨のものではない。
本条は、職場におけるハラスメントその他これに類する問題について、当事者又は関係者が、会社の相談窓口、外部相談窓口、行政機関、医療機関、弁護士その他適切な専門家に相談し、又は事実関係の確認、調査、再発防止措置に協力することを妨げるものではない。ただし、当該相談又は協力に際しては、第三者の名誉、信用、プライバシー及び個人情報に配慮し、必要最小限の範囲で行うものとする。
守秘義務違反の損害は立証が難しいため、違約金、削除、返還、廃棄、通知義務を組み合わせます。
口外禁止・守秘条項に違反して情報が流出した場合、損害の発生が明らかに見えても、金額の立証は難しいことがあります。和解金額が漏れたために追加請求が増えた、取引先の信用が低下した、採用活動や株価に影響した、行政調査が始まったといった場面でも、因果関係と損害額の証明は簡単ではありません。
そこで、違約金または損害賠償額の予定を定めることがあります。民法上、違約金は賠償額の予定と推定されます。違約金を最低額とし、超過損害の請求も認めたい場合は、その旨を明確に定めます。反対に、違約金を上限にする趣旨であれば、その趣旨も明確にします。
次の比較表は、違反時に検討する救済を目的別に整理したものです。損害賠償だけでは情報拡散を止められないため重要です。どの救済が金銭回復、拡散防止、証拠確保、再発防止に対応するかを読み取ってください。
| 救済手段 | 主な目的 | 設計上の注意 |
|---|---|---|
| 違約金 | 損害額立証の困難を補う | 金額、発生条件、超過損害の有無、上限か最低額かを明記します。 |
| 削除請求 | SNS投稿、動画、口コミ、掲示板投稿の拡散を抑える | URL、アカウント、期限、削除不能時の対応をできるだけ明確にします。 |
| 返還・廃棄 | 資料、複製物、要約物、翻訳物、入力データを回収する | 紙、電子データ、クラウド、バックアップ、チャット履歴まで確認します。 |
| 通知義務 | 漏えい発生時の初動を早める | 違反またはおそれを知った時点で、相手方へ通知する仕組みを置きます。 |
| 差止め・仮処分 | 拡散や利用継続を止める | 投稿内容、違法性、公益性、証拠、裁判所判断に左右されます。 |
甲又は乙が本条に違反した場合、違反当事者は、相手方に対し、違約金として金300万円を支払う。ただし、相手方に生じた損害が当該違約金額を超える場合、相手方は、当該超過額について別途損害賠償を請求することができる。
高額な違約金は万能ではありません。過大な金額は、公序良俗、消費者契約法、労働法、信義則、権利濫用、交渉過程の公正さとの関係で問題になり得ます。特に、個人、労働者、消費者、中小事業者に一方的に高額違約金を課す場合は慎重に検討します。
次の重要ポイントは、違約金を置く場面と置かない方がよい場面の分かれ目を示します。金額だけに注目すると条項が過剰になりやすいため重要です。守る利益の重大性、損害立証の難しさ、相手方属性、相談や通報への萎縮効果を合わせて読む必要があります。
和解金額や謝罪文言の流出、営業秘密流出、市場影響の大きい役員紛争、SNS拡散リスク、同種紛争の前例化がある場合です。
生活困窮状態の個人、労働者、消費者、公益通報やハラスメント相談を萎縮させるおそれがある場合です。
投稿削除、資料返還、複製物廃棄、第三者への削除要請、再発防止措置、通知義務も組み合わせます。
甲又は乙は、本条に違反し、又は違反のおそれが生じた場合、直ちに相手方に通知し、相手方の合理的な指示に従い、秘密情報の開示又は利用の停止、掲載物の削除、複製物の回収又は廃棄、第三者に対する削除要請、再発防止措置その他損害拡大を防止するために必要な措置を講じる。
和解調書、閲覧等制限、沈黙義務に見える文言、被害者保護と再発防止の両立を確認します。
裁判所の和解条項例には、不開示に関する複数の文例があります。「本和解内容を第三者に開示しない」という基本形だけでなく、正当な理由なく第三者に開示しない文言、和解金支払の合意、金額、支払の事実を秘密とする文言、開示できる相手方や場面を具体的に定める文言が示されています。裁判上の和解でも、定型文を貼るだけでは足りません。
和解調書にどこまで書くかも重要です。金銭支払、引渡し、登記手続、謝罪、撤回、削除、秘密保持、清算条項をどこまで記載するかによって、後日の執行、証明、閲覧、情報管理が変わります。秘密性が高い情報は、和解調書への詳細記載、別紙、別契約、閲覧等制限申立て、仮名化、番号化などを比較します。
次の比較一覧は、裁判上の和解と労働・ハラスメント事件で注意すべき場面を分けて示します。手続ごとのリスクを混ぜてしまうと、記録閲覧の問題や相談妨害の問題を見落とすため重要です。各項目から、守秘義務と例外を別々の法的・実務的問題として読む必要があることを確認してください。
調書に詳細に記載すれば証明や執行に使いやすくなりますが、訴訟記録として管理されるリスクも高まります。
記録管理閲覧注意私生活上の重大な秘密や営業秘密が記録に含まれる場合、当事者間の守秘義務とは別に閲覧等制限を検討します。
裁判記録別問題退職、解雇、賃金、ハラスメント、内部通報では、行政機関、専門家、家族、医療機関への相談例外が重要です。
相談例外萎縮防止被害者、申告者、証人、被申告者の特定可能情報を守りつつ、相談、調査協力、再発防止を妨げない設計にします。
プライバシー再発防止労働事件で避けるべき文言は、「本件に関する一切の事実を、いかなる第三者に対しても、いかなる理由でも開示してはならない」といった包括的なものです。行政相談、弁護士相談、医療機関への説明、公益通報、税務申告、家族への最低限の相談まで禁止するように読めるためです。
乙は、本和解の内容、和解金額及び交渉経過を、正当な理由なく第三者に開示しない。ただし、弁護士、税理士、社会保険労務士、医師、カウンセラー、配偶者その他生活上又は健康上必要な支援者への必要最小限の開示、法令に基づく申告、相談、通報、手続利用及び公益通報者保護法その他の法令により保護される行為を妨げない。
ハラスメント事案では、口外禁止・守秘条項には、被害者や関係者のプライバシーを守る面と、会社の不祥事を外部に出さない面があります。後者だけが前面に出ると、被害者保護や再発防止と衝突します。
甲及び乙は、本件に関する関係者の氏名、所属、相談内容、調査内容その他個人を特定し得る情報を、正当な理由なく第三者に開示しない。ただし、相談、申告、通報、医療上の説明、法的助言の取得、事実関係の確認、再発防止措置その他法令上又は社会通念上必要な行為を妨げない。
退職合意書では、退職日、解決金、社会保険、離職票、競業避止、誹謗中傷禁止、貸与物返還、秘密保持、清算条項を一括して定めることがあります。退職者自身の職務経験、一般的スキル、公開情報、転職活動上必要な範囲の説明まで禁止することは慎重に考えるべきです。
個人情報と秘密情報は一致せず、営業秘密は和解書だけでは守り切れません。
和解書や関連資料には、従業員、役員、顧客、取引担当者、通報者、ハラスメント関係者、証人、患者、利用者、株主などの個人情報が含まれることがあります。氏名や生年月日だけでなく、文書、図画、電磁的記録、音声、動作その他の方法により特定の個人を識別できる情報も問題になります。
個人情報は、特定の個人を識別できる情報です。一方、秘密情報は、契約や社内管理により秘密として扱う情報です。両者は重なりますが一致しません。法人間の和解金額は個人情報ではない場合もありますし、従業員の氏名や評価は個人情報であっても、社内共有の範囲によって秘密情報としての性質が異なることがあります。
次の比較表は、個人情報、秘密情報、営業秘密の違いを整理したものです。概念の重なりを理解することは、条項と実際の情報管理を一致させるために重要です。各列から、守秘義務の対象に入れるだけでなく、社内規程、アクセス制限、保存期間、廃棄、ログ管理まで合わせる必要があることを読み取ってください。
| 区分 | 中心となる観点 | 和解条項での扱い |
|---|---|---|
| 個人情報 | 特定の個人を識別できる情報 | 利用目的、共有範囲、第三者提供、保存期間、漏えい対応を検討します。 |
| 秘密情報 | 契約や社内管理により秘密として扱う情報 | 和解内容、交渉経過、証拠資料、調査結果を定義に含めるか決めます。 |
| 営業秘密 | 有用性、秘密管理性、非公知性が問題となる情報 | 和解書だけでなく、秘密表示、アクセス制限、ログ管理、教育と連動します。 |
秘密情報に個人情報が含まれる場合、甲及び乙は、個人情報の保護に関する法律その他適用法令及び各自の社内規程に従い、当該個人情報を適切に管理し、本和解の履行及び管理に必要な範囲を超えて利用又は第三者提供を行わない。
営業秘密や技術情報を含む和解では、単なる不開示では足りません。相手方がすでに情報を知っている場合、外部に漏らさなくても、自社製品開発、価格設定、営業戦略、顧客アプローチに利用することがあります。そのため、不使用義務を明示します。
乙は、本件秘密情報を、自己又は第三者の製品開発、営業活動、価格設定、顧客開拓、特許出願、商標出願、著作物作成その他本和解の履行以外の目的で使用してはならない。
返還・廃棄の対象は、文書や電磁的記録だけでは不十分な場合があります。複製物、バックアップ、クラウド、メール添付、チャット履歴、外部ストレージ、紙資料、翻訳物、要約物、解析結果、生成AI入力データまで確認します。
乙は、本和解成立後10営業日以内に、本件秘密情報を記録した文書、電磁的記録、複製物、要約物、翻訳物、解析資料その他これらに類するものを甲に返還し、又は甲の選択に従い復元困難な方法により廃棄する。乙は、当該返還又は廃棄の完了後、甲に対し、完了報告書を提出する。
匿名でも特定可能なら問題となり得ます。清算条項で将来の守秘義務違反請求を消さないことも重要です。
口外禁止・守秘条項と誹謗中傷禁止条項は異なります。口外禁止・守秘条項は秘密情報の開示を制限し、誹謗中傷禁止条項は相手方の名誉、信用、業務、商品、サービス、役職員に対する虚偽または不当な言動を制限します。和解後の紛争再燃を防ぐには、両者を組み合わせることがあります。
甲及び乙は、本件紛争及び本和解に関連して、相手方、その役員、従業員、顧客、取引先、商品又はサービスに関し、虚偽の事実を摘示し、又は社会通念上相当な範囲を超えて名誉若しくは信用を毀損する言動をしてはならない。
SNSや匿名投稿では、直接名指ししなくても、日時、地域、職種、業界、相手方の特徴、金額、経緯、スクリーンショットなどにより、相手方や関係者が特定されることがあります。条項では特定可能性を意識します。
甲及び乙は、相手方又は本件関係者を直接名指ししない場合であっても、投稿内容、時期、地域、業種、役職、金額、経緯、画像、音声その他の情報を総合することにより相手方又は本件関係者を特定し得る態様で、本件紛争又は本和解に関する情報を公表してはならない。
次の判断の流れは、和解後の投稿や外部発信を見つけたときの初動を整理したものです。感情的な反論が二次紛争につながることがあるため重要です。証拠保存、条項確認、削除要請、法的手続の順に冷静に検討する流れを読み取ってください。
URL、日時、アカウント、閲覧数、スクリーンショット、原本性を確認します。
秘密情報、特定可能性、公益性、相談・通報例外、違反主体を確認します。
警告、削除要請、仮処分、損害賠償、違約金請求を比較します。
反論投稿や拡散を避け、証拠と条項解釈を整理します。
清算条項では、和解書に定めるものを除き、当事者間に債権債務がないことを確認します。ただし、和解成立後に守秘義務違反が発生した場合の請求を清算条項で消してしまわないよう、対象外であることを明確にします。
甲及び乙は、本和解条項に定めるもののほか、本件に関し、何らの債権債務がないことを相互に確認する。ただし、本和解成立後に発生する本和解条項違反に基づく請求、秘密保持義務違反に基づく請求、及び本和解の履行を求める請求を妨げない。
和解は紛争を終わらせるための合意ですが、犯罪被害の申告、公益通報、行政機関への申告、ハラスメント相談や調査協力を禁止する条項、労働者に過度な沈黙義務と高額違約金を課す条項、違法行為を隠蔽する目的で使われる条項は、効力や運用が問題になり得ます。
情報棚卸し、利害関係者、違反時対応、交渉ポイントを順に確認します。
企業側が条項を作るときは、最初に守るべき情報を棚卸しします。和解の存在自体を秘密にしたいのか、金額だけで足りるのか、紛争の事実関係まで秘密にしたいのか、個人情報や営業秘密が含まれるのか、公開済み情報と非公開情報が混在しているのか、行政、監査、税務、保険、親会社報告に必要な情報は何かを確認します。
次に、誰が情報を必要とするかを確認します。取締役会、監査役、監査等委員会、法務、コンプライアンス、経理、財務、労務、人事、広報、IR、内部監査、親会社、子会社、海外本社、会計監査人、税理士、弁護士、社労士、弁理士、保険会社、金融機関、行政機関、捜査機関、裁判所、退職者、家族、医療機関、支援者などです。
次の時系列は、和解条項レビューの実務順序を示します。順序を明確にすることは、秘密にしたい情報だけを先に書いて、必要な例外や違反時対応を後回しにしないために重要です。各段階で、確認対象が情報、関係者、文言、締結後運用へ移ることを読み取ってください。
秘密にしたい情報、公開済み情報、個人情報、営業秘密、裁判記録に残る情報、監査や税務に必要な情報を分けます。
法令開示、公益通報、専門家相談、家族・医療支援、清算条項、違反時対応との整合性を見ます。
和解書の保管場所、アクセス権限、社内共有先、返還・廃棄、閲覧等制限、初動連絡先を整理します。
提示された側は、「本件に関する一切」ではなく、和解金額、和解条件、交渉経過、相手方の営業秘密、個人情報などに対象を絞る交渉を検討します。公開済み情報、自分が独自に知っていた情報、自分の職務経験、法令上の権利行使に必要な情報は除外する発想が重要です。
次の比較一覧は、提示された側が確認する交渉ポイントを整理したものです。受け入れる側の視点を入れることは、条項が過剰になり、後日運用できなくなることを避けるために重要です。対象、相談先、違約金、法令上の例外を順に確認してください。
和解金額、交渉経過、相手方の営業秘密、個人情報に限定し、公知情報や独自取得情報を除外します。
弁護士、税理士、社労士、医師、カウンセラー、家族、行政機関、労働組合、支援機関を検討します。
金額、発生条件、故意過失、軽微な違反、是正期間、超過損害の有無、上限設定を確認します。
行政相談、裁判手続、刑事告訴、労働相談、ハラスメント相談を妨げない旨を明文化します。
企業間、労働紛争、ハラスメント、SNS、違約金付きの文例を、用途別に確認します。
文例はそのまま使うための完成版ではなく、紛争類型、当事者、法令、裁判手続、個人情報、営業秘密、税務、会計、開示規制、海外法制に応じて修正するためのたたき台です。具体的な案件では、対象情報、例外、期間、違約金、清算条項との関係を調整します。
次の比較表は、文例の用途ごとに向いている場面と注意点を整理したものです。文例を並べるだけでは過不足が見えにくいため重要です。どの文例が企業間、労働、ハラスメント、SNS、違約金のどの問題を扱うかを読み取ってください。
| 文例タイプ | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 企業間標準型 | 取引、投資、M&A、知財、業務委託など | 役職員、関係会社、専門家、監査、保険、行政機関への例外を入れます。 |
| 労働紛争型 | 退職、解雇、賃金、労働審判、退職合意 | 行政相談、専門家、医療、家族、生活支援の例外を確保します。 |
| ハラスメント型 | 相談者、申告者、証人、被申告者がいる事案 | プライバシー保護と相談・調査協力・再発防止を両立させます。 |
| SNS重視型 | 匿名投稿、口コミ、動画、掲示板、報道対応 | 名指しだけでなく、特定可能な発信を対象に含めます。 |
| 違約金付き型 | 損害額立証が難しく、流出リスクが重大な場合 | 金額、上限・最低額、超過損害、是正機会、萎縮効果を確認します。 |
第○条(秘密保持及び不開示)
1 甲及び乙は、本和解の存在及び内容、本件紛争の交渉経過、和解金額、支払条件、提出資料、証拠、相手方から秘密である旨を明示されて開示を受けた情報、並びに相手方の営業秘密、個人情報その他合理的に秘密として取り扱うべき情報を、相手方の事前の書面による承諾なく、第三者に開示、公表、漏えい又は本和解の履行及び管理以外の目的で使用してはならない。
2 前項にかかわらず、甲及び乙は、法令上又は職務上守秘義務を負う専門家、自己の役員、従業員、親会社、子会社、会計監査人、税理士、保険会社、金融機関、裁判所、行政機関その他本和解の履行、会計、税務、監査、法令遵守、紛争対応又はリスク管理のため合理的に必要な者に対し、必要最小限の範囲で秘密情報を開示することができる。
3 前項に基づき秘密情報を開示する場合、開示当事者は、開示を受ける者に対し、法令上又は職務上守秘義務を負う場合を除き、本条と同等の秘密保持義務を負わせるものとする。
第○条(不開示)
1 甲及び乙は、本和解の内容、和解金額及び交渉経過を、正当な理由なく第三者に開示しない。
2 前項にかかわらず、乙は、弁護士、税理士、社会保険労務士、医師、カウンセラー、配偶者、同居家族その他生活上又は健康上必要な支援者に対し、税務、社会保険、医療、生活支援、法的助言又は本和解の履行のため必要最小限の範囲で開示することができる。
3 本条は、乙が、裁判所、行政機関、労働基準監督署、都道府県労働局、労働委員会、捜査機関、公益通報受付窓口その他適切な機関に対し、法令上保護される相談、申告、通報、情報提供又は手続利用を行うことを禁止又は制限するものではない。
第○条(公表及びSNS投稿の禁止)
甲及び乙は、本和解の内容、本件紛争の経緯、相手方又は本件関係者を特定し得る情報を、相手方の事前の書面による承諾なく、SNS、ブログ、動画配信サービス、掲示板、口コミサイト、報道機関、業界団体その他不特定又は多数の者が閲覧し得る媒体に投稿、掲載、提供又は送信してはならない。相手方又は本件関係者を直接名指ししない場合であっても、投稿内容、時期、地域、業種、役職、金額、経緯、画像、音声その他の情報を総合して相手方又は本件関係者を特定し得る場合も同様とする。
第○条(違約金及び損害拡大防止)
1 甲又は乙が前条に違反した場合、違反当事者は、相手方に対し、違約金として金○○万円を支払う。
2 前項の違約金は、損害賠償額の予定とする。ただし、相手方に生じた損害が前項の金額を超える場合、相手方は、当該超過損害の賠償を請求することができる。
3 違反当事者は、秘密情報の開示又は公表が判明した場合、直ちに相手方に通知し、掲載物の削除、複製物の回収又は廃棄、第三者への削除要請、再発防止措置その他損害拡大を防止するために合理的に必要な措置を講じる。
金融機関や上場会社では、守秘義務と法令上の開示義務、監督当局対応、監査対応、内部統制、取締役会報告、適時開示、インサイダー情報管理が衝突し得ます。医療、ヘルスケア、介護では、診療情報、要配慮個人情報、行政報告、事故報告、保険、専門職間連携が問題になります。
IT、AI、データビジネスでは、ソースコード、API仕様、ログ、学習データ、利用者データ、脆弱性情報、インシデント対応、クラウド、外部ツールへの入力が問題になります。製造業では、不具合原因、設計情報、品質記録、サプライヤー情報、リコール、行政報告、顧客通知を妨げないことが重要です。フランチャイズ、代理店、下請取引では、同種紛争や行政相談との関係に注意します。
次の一覧は、業種ごとに守秘条項で意識すべき情報と例外を整理したものです。業種の特徴を反映しない定型文は、必要な報告や安全対応を妨げることがあるため重要です。各行から、秘密保持と開示義務・安全対応・監査対応のバランスを読み取ってください。
監督当局、取引所、監査、内部統制、適時開示、インサイダー情報管理との整合を確認します。
開示規制監査対応診療情報、要配慮個人情報、事故報告、行政相談、家族相談、専門職連携を妨げない設計にします。
個人情報安全対応ソースコード、ログ、学習データ、利用者データ、脆弱性情報、クラウドや外部ツールへの入力を扱います。
データ管理外部入力不具合原因、品質記録、サプライヤー情報、リコール、行政報告、顧客通知との関係を整理します。
品質情報製品安全瑕疵、事故、近隣対応、許認可、設計図書、地権者情報、金融機関や行政庁への説明を想定します。
行政対応関係者多数国際取引では、confidentiality、non-disparagement、non-disclosure、non-use、public announcement、permitted disclosure、compelled disclosure、regulatory disclosure、affiliate、representatives、professional advisers、remedies、governing law、jurisdiction、arbitrationといった概念を確認します。日本語の口外禁止は、英語では単純にnon-disclosureと訳されることが多くても、実際には公表禁止、秘密保持、誹謗中傷禁止、不使用、プライバシー義務が混在しています。
生成AI時代には、和解書、準備書面、証拠、調査報告書、メール履歴を外部サービスに入力して要約、翻訳、分析することが問題になります。外部サービスへの入力は、秘密情報、個人情報、営業秘密、弁護士依頼者間の秘密、訴訟戦略の管理に影響します。
甲及び乙は、秘密情報を、外部の生成AIサービス、翻訳サービス、要約サービス、解析サービスその他第三者が管理する情報処理サービスに入力し、又は処理させてはならない。ただし、当該サービスの利用条件、情報管理体制、学習利用の有無、保存期間、アクセス権限その他の事項を確認し、秘密情報の保護に支障がないと合理的に判断される場合で、かつ本和解の履行又は管理のため必要最小限の範囲で利用する場合はこの限りでない。
個別案件の判断ではなく、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、条項の文言によって扱いが変わるとされています。和解により解決した事実だけは開示可能とし、金額や詳細は秘密にする設計もあり得ます。ただし、紛争類型、当事者の属性、相手方との合意内容、説明先によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、条項と関係資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、法的助言、税務処理、会計処理、監査対応のため、専門家への必要最小限の開示は例外として明記するのが実務的とされています。ただし、開示範囲、専門家の守秘義務、相談目的、条項の書きぶりによって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、親会社報告、連結決算、監査、内部統制、リスク管理、保険、税務のために開示が必要となる場合があるため、例外条項を置くことが望ましいとされています。ただし、開示先、開示目的、必要最小限性、グループ管理体制によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、匿名であっても、投稿内容から相手方や関係者が特定できる場合は違反が問題となる可能性があります。ただし、公益性、相談・通報の性質、投稿内容、特定可能性、条項の対象範囲によって判断が変わります。具体的な対応は、投稿内容と条項を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、違約金は損害額立証の困難を補う手段になり得ますが、高額であれば安心というものではないとされています。当事者の属性、守る利益、損害立証の難しさ、公益通報や相談への萎縮効果、消費者法や労働法との関係によって有効性や相当性が問題になる可能性があります。具体的な金額や条件は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、当事者間の不開示義務と訴訟記録の閲覧制度は別問題とされています。私生活上の重大な秘密や営業秘密等が訴訟記録に含まれる場合、閲覧等制限の申立てを別途検討することがあります。ただし、記録の内容、手続、秘密性、申立ての要件によって判断が変わります。具体的な対応は、訴訟資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、投稿、メール、チャット、URL、日時、閲覧数、送信先、スクリーンショットなどの証拠を保全し、条項の対象情報、例外、違反主体、損害、削除可能性を確認するとされています。ただし、感情的な反論投稿は二次紛争につながる可能性があります。具体的な警告、削除要請、仮処分、損害賠償、違約金請求の選択は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
広く強い文言より、対象と例外を具体化した条項が実務に適合します。
和解条項に盛り込むべき口外禁止・守秘条項は、紛争を静かに終わらせるための補助条項ではありません。企業法務の実務では、和解後の情報管理、内部統制、レピュテーション、個人情報、営業秘密、公益通報、労務管理、裁判記録、違約金、税務会計、監査、開示規制を横断する中核条項です。
優れた条項は、守るべき情報が具体的で、和解の存在、金額、交渉経過、証拠、個人情報、営業秘密を区別し、法令上必要な開示、専門家相談、社内報告、監査、税務、行政対応を例外とし、公益通報、ハラスメント相談、行政申告、裁判手続を妨げません。さらに、期間、違約金、削除、返還、廃棄、通知義務が実務的で、裁判上の和解では和解調書の記載内容と閲覧等制限を別途検討します。
次の重要ポイントは、条項の良し悪しを見分ける最終確認です。まとめとして読むことは、条項を広げすぎたり、必要な例外を落としたりしないために重要です。良い条項は具体性と実行可能性を持ち、問題のある条項は一切禁止と高額違約金に偏りやすいことを読み取ってください。
対象情報、開示禁止、利用禁止、管理義務、例外、期間、違反時対応を分け、公益通報、相談、行政対応、監査、税務、個人情報、営業秘密、裁判記録との整合性を確認することが、和解後の安定につながります。
反対に問題のある条項は、対象を一切とし、例外を置かず、公益通報や相談まで萎縮させ、高額違約金で沈黙を強いるように見えるものです。そのような条項は、交渉上の反発だけでなく、無効リスク、執行困難、企業不祥事対応上の批判を生みます。
法令、公的機関、裁判所、行政機関の公開資料を中心に整理しています。