2σ Guide

ハラスメント相談窓口との
一本化

内部通報制度、公益通報者保護法、ハラスメント防止措置、個人情報保護、ガバナンスを横断し、受付を一元化しながら専門性と独立性を保つ設計を整理します。

4段階一本化のレベル
3層推奨設計モデル
12項目実務上の重要点
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

ハラスメント相談窓口との 一本化

入口を一つにしても、分類・調査・救済・是正・監督まで同じにする必要はありません。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
ハラスメント相談窓口との 一本化
入口を一つにしても、分類・調査・救済・是正・監督まで同じにする必要はありません。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • ハラスメント相談窓口との 一本化
  • 入口を一つにしても、分類・調査・救済・是正・監督まで同じにする必要はありません。

POINT 1

  • ハラスメント相談窓口との一本化の全体像
  • 受付は一元化できます
  • 入口を一つにしても、分類・調査・救済・是正・監督まで同じにする必要はありません。

POINT 2

  • ハラスメント相談窓口との一本化で何をまとめるのか
  • 表示、受付チャネル、受付担当者、判断・調査・是正まで、一本化には複数の段階があります。
  • 一本化には段階があります。

POINT 3

  • ハラスメント相談窓口との一本化で押さえる法制度
  • ハラスメント防止措置、公益通報者保護法、個人情報保護、ガバナンスを一体で確認します。
  • 法的枠組みは複数あります。
  • 相談者保護、通報者保護、情報管理、取締役会監督が同時に問題になることを読み取ってください。
  • 301人以上の事業者には内部通報制度の整備義務、300人以下には努力義務があると説明されています。

POINT 4

  • ハラスメント相談窓口との一本化のメリットとリスク
  • 内部通報機能が埋没します
  • 相談者支援が弱まります

POINT 5

  • 入口は一本、判断は複線、監督は独立という基本設計
  • 1. 第1層 ― ワンストップ受付
  • 2. 第2層 ― 専門分類・トリアージ:公益通報該当可能性、ハラスメント、労務相談、メンタルヘルス、個人情報、役員案件、緊急性を仮分類します。
  • 3. 第3層 ― 調査・救済・是正・監督の分離:調査担当、相談者支援担当、行為者対応担当、法務評価担当、再発防止担当、監督担当を分けます。

POINT 6

  • 初回30分で失敗しない相談受付の実務
  • 1. 相談・通報への謝意を示します:声を上げてくれたことを受け止め、軽く扱わない姿勢を示します。
  • 2. 必要最小限の範囲で取り扱うことを説明します:生命身体の危険、重大な法令違反、他者への危害可能性がある場合の対応例外も説明します。
  • 3. 不利益取扱いは禁止されることを伝えます:相談したことや調査協力を理由にした報復を許さないことを明確にします。
  • 4. 匿名希望や正式調査の限界を説明します:匿名では事実確認や結果通知に制約があることを伝えます。
  • 5. 相談者の希望を確認します:話を聞いてほしい、正式調査してほしい、異動したい、匿名のままにしたいなどの希望を確認します。

POINT 7

  • 公益通報・ハラスメント・労務相談を分けるトリアージ基準
  • 身体的暴力・脅迫・性的暴行等
  • 犯罪該当可能性や公益通報該当可能性を前提に、証拠保全と被害者保護を優先します。
  • 自殺念慮・自傷リスク
  • 産業医、人事、外部相談機関、医療・安全確保の即時対応を検討します。

POINT 8

  • 個人情報・記録管理と報復防止の実務
  • 規程への明記
  • 相談・通報を理由とする不利益取扱い禁止を就業規則・社内規程に明記します。
  • 管理職研修
  • 報復禁止、詮索禁止、口止め禁止、通報者探索禁止を繰り返し教育します。

まとめ

  • ハラスメント相談窓口との 一本化
  • ハラスメント相談窓口との一本化で何をまとめるのか:表示、受付チャネル、受付担当者、判断・調査・是正まで、一本化には複数の段階があります。
  • ハラスメント相談窓口との一本化で押さえる法制度:ハラスメント防止措置、公益通報者保護法、個人情報保護、ガバナンスを一体で確認します。
  • ハラスメント相談窓口との一本化のメリットとリスク:利用者の迷いを減らせる一方で、内部通報機能の埋没、守秘、利益相反、記録管理のリスクがあります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

ハラスメント相談窓口との一本化の全体像

入口を一つにしても、分類・調査・救済・是正・監督まで同じにする必要はありません。

ハラスメント相談窓口との一本化は、内部通報制度、公益通報者保護法、労務コンプライアンス、個人情報保護、ガバナンスが交差する制度設計の論点です。内部公益通報受付窓口がハラスメント通報・相談窓口等を兼ねることは、組織の実態に応じて可能と説明されています。

ただし、一本化とは、何でも同じ担当者が同じ手続で処理することではありません。この基本整理は、制度設計の誤解を避けるために重要です。三つの項目を読むと、利用者から見える入口は簡潔にしつつ、裏側では公益通報、ハラスメント相談、労務相談、メンタルヘルス、安全配慮、刑事・民事リスク、個人情報保護を分ける必要があることが分かります。

入口

受付は一元化できます

従業員等が迷わず相談・通報できるよう、総合相談・通報窓口として周知できます。

内部処理

分類と専門対応は分けます

公益通報、ハラスメント、労務相談、メンタルヘルス、個人情報、役員案件を初動で仮分類します。

監督

重大案件は独立ルートへ上げます

役員・幹部・人事部門が関わる案件や報復疑いは、監査役、監査等委員、社外取締役、外部専門家に接続します。

結論 ― 多くの場合の最適解は、受付は一元化し、分類・調査・救済・是正・監督は事案類型に応じて分離する二層構造です。利用者から見える入口を分かりやすくし、内部では専門性と独立性を保つことが重要です。
Section 01

ハラスメント相談窓口との一本化で何をまとめるのか

表示、受付チャネル、受付担当者、判断・調査・是正まで、一本化には複数の段階があります。

ハラスメント相談窓口は、職場のパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、その他職場環境を害する言動について相談・苦情を受ける体制です。内部通報窓口は、組織内部の不正、法令違反、コンプライアンス違反、会計不正、品質不正、情報漏えい、贈収賄、横領、労務違反などを受け付け、調査・是正につなげる窓口です。

一本化には段階があります。この表は、どこまでまとめるかを区別するために重要です。上から下へ進むほど統合の程度が強くなり、利便性は上がる一方で、専門性・守秘・利益相反の設計が難しくなることを読み取ってください。

レベル内容実務上の考え方
表示・周知の一本化ポスター、イントラ、メール案内では一つの総合窓口として示します受信後は専門部署へ振り分ける設計がしやすいです
受付チャネルの一本化メールフォーム、電話、外部受付システムなどの入口を共通化します利用者が迷いにくい一方、受付情報の分類が重要です
受付担当者の一本化同じ担当者または同じ外部委託先が初回受付を行います担当者研修、守秘、利益相反対応が重要です
判断・調査・是正までの完全一本化同じ部署、同じ手続、同じ権限で全案件を処理します公益通報対応とハラスメント対応の要請が混線しやすいため慎重に扱います
Section 02

ハラスメント相談窓口との一本化で押さえる法制度

ハラスメント防止措置、公益通報者保護法、個人情報保護、ガバナンスを一体で確認します。

法的枠組みは複数あります。この一覧は、窓口を一本化する際に、どの制度の要請を落としてはいけないかを確認するために重要です。相談者保護、通報者保護、情報管理、取締役会監督が同時に問題になることを読み取ってください。

01

ハラスメント防止措置

方針の明確化、相談体制の整備、迅速・正確な事実確認、被害者・行為者への対処、再発防止、プライバシー保護、不利益取扱い禁止等が求められます。

相談体制全事業主
02

公益通報者保護法

301人以上の事業者には内部通報制度の整備義務、300人以下には努力義務があると説明されています。従事者指定、守秘、通報者探索防止も重要です。

301人以上保護
03

令和7年改正

2025年6月11日に公布され、2026年12月1日から施行される予定です。通報妨害、通報者探索、フリーランス等の追加、直罰等が重要です。

2026年12月1日改正対応
04

カスタマーハラスメント等

2026年10月1日から、カスタマーハラスメントや求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務となる予定です。

2026年10月1日対象拡張
05

個人情報保護

氏名、所属、健康状態、性的被害、犯罪被害、メンタルヘルスなど機微性の高い情報を扱うため、アクセス権限、閲覧ログ、保存期間が重要です。

要配慮情報安全管理

ハラスメント通報が常に公益通報になるわけではありません。この表は、受付時点でどう分類するかを確認するために重要です。左列の相談内容を起点に、制度上の位置付けと初動の焦点を読み分けます。

相談内容典型的な制度上の位置付け初動の焦点
上司の侮辱的言動、過大な叱責、無視ハラスメント相談、労務相談安全確保、職場環境、事実確認、再発防止
身体的暴力、脅迫、性的暴行・不同意わいせつの疑いハラスメント相談かつ公益通報該当可能性、刑事・民事リスク証拠保全、被害者保護、独立調査、必要に応じ外部専門家
妊娠・育児休業取得を理由とする嫌がらせハラスメント相談、労務法務不利益取扱いの有無、就業環境、制度利用妨害
ハラスメントを訴えた後の降格・異動ハラスメント相談、不利益取扱い、公益通報保護の可能性報復防止、時系列確認、意思決定過程の検証
ハラスメントの背後に残業代不払いや労災隠しがあるハラスメント相談かつ公益通報該当可能性労務コンプライアンス調査、証拠保全、是正
Section 03

ハラスメント相談窓口との一本化のメリットとリスク

利用者の迷いを減らせる一方で、内部通報機能の埋没、守秘、利益相反、記録管理のリスクがあります。

一本化には明確な利点があります。この一覧は、なぜ入口を分かりやすくする価値があるのかを確認するために重要です。早期相談、複合事案の発見、研修のしやすさ、資源集約、モニタリング改善を読み取ってください。

利点1

相談者が迷いません

公益通報、内部通報、ハラスメント相談、労務相談、メンタルヘルス相談の区別を利用者に負わせにくくなります。

利点2

複合事案を拾いやすくなります

ハラスメントの背後に長時間労働、労災隠し、架空請求、報復人事などが潜む場合にも接続しやすくなります。

利点3

周知・研修がしやすくなります

困ったらここへという単純なメッセージにより、対象範囲、匿名可否、守秘、報復禁止を伝えやすくなります。

利点4

中小企業では資源を集約できます

専門部署が少ない場合、入口をまとめ、外部専門家を事案ごとに使い分ける方が実効性を確保しやすいです。

一方で、一本化には設計上のリスクがあります。この一覧は、制度を壊しやすい落とし穴を確認するために重要です。入口をまとめても専門性、支援、守秘、独立性、記録品質を失ってはいけないことが分かります。

内部通報機能が埋没します

ハラスメントや人間関係の相談が多く、会計不正、品質偽装、贈収賄、情報漏えい、安全法令違反への資源が不足するおそれがあります。

相談者支援が弱まります

公益通報型の事実認定に偏ると、まず話を聞いてほしい、相手に知られたくない、配置転換を急いでほしいといったニーズを受け止めにくくなります。

守秘と情報共有が難しくなります

公益通報者を特定させる事項の管理と、ハラスメント相談のプライバシー保護は、どちらも厳格に扱う必要があります。

利益相反が生じやすくなります

人事部長、法務部長、コンプライアンス責任者、役員、経営者自身が関係者になる場合には、通常ルートを外します。

記録が紛争リスクになります

感情的評価、不要な憶測、人格評価、法的評価の断定を書くと、後日の労働審判、訴訟、行政対応で問題になり得ます。

Section 04

入口は一本、判断は複線、監督は独立という基本設計

ワンストップ受付、専門分類、調査・救済・是正・監督の分離という三層で設計します。

実務上採用しやすいのは三層構造です。この手順図は、相談者から見える入口と、会社内部で行う分類・専門対応・監督の順番を示すために重要です。上から下へ読むと、受付を簡潔にしつつ、重大案件や利益相反案件を独立ルートへ上げる流れが分かります。

三層構造の基本

第1層 ― ワンストップ受付

従業員、役員、退職者、派遣社員、パート・アルバイト、フリーランス、取引先従業員、求職者等が迷わずアクセスできる入口を設けます。

第2層 ― 専門分類・トリアージ

公益通報該当可能性、ハラスメント、労務相談、メンタルヘルス、個人情報、役員案件、緊急性を仮分類します。

第3層 ― 調査・救済・是正・監督の分離

調査担当、相談者支援担当、行為者対応担当、法務評価担当、再発防止担当、監督担当を分けます。

受付後の仮分類は、初動対応の質を左右します。この表は、どの事案を誰につなぐかを整理するために重要です。左列の仮分類ごとに、中央列の例と右列の主担当候補を読み、通常ルートで扱ってよいかを確認します。

仮分類主担当候補
ハラスメント相談侮辱的言動、性的発言、妊娠・育休取得への嫌がらせ人事労務、社会保険労務士、労務法務
公益通報可能性あり暴行、脅迫、不同意わいせつ、残業代不払、労災隠し、法令違反コンプライアンス、法務、外部専門家
複合事案ハラスメントと不正会計、報復人事、証拠隠滅が絡む法務、コンプライアンス、人事、内部監査、外部専門家
役員・経営陣関与役員によるハラスメント、隠蔽、報復監査役、監査等委員、社外取締役、外部法律事務所
メンタルヘルス・安全配慮自傷念慮、休職、医療配慮、緊急避難産業医、人事、外部相談機関、法務
個人情報・セキュリティ相談記録漏えい、個人データ不適切共有プライバシー担当、情報セキュリティ、法務
Section 05

初回30分で失敗しない相談受付の実務

相談者を疑う、軽く扱う、すぐ相手方に伝える、秘密保持を説明しない、といった失敗を避けます。

初回対応では、担当者が最初に伝える内容が制度への信頼を左右します。この時系列は、相談者の安全と期待管理を同時に行うために重要です。上から順に、謝意、守秘、例外、報復禁止、匿名の限界、正式調査の流れ、次のステップを説明します。

冒頭

相談・通報への謝意を示します

声を上げてくれたことを受け止め、軽く扱わない姿勢を示します。

守秘

必要最小限の範囲で取り扱うことを説明します

生命身体の危険、重大な法令違反、他者への危害可能性がある場合の対応例外も説明します。

保護

不利益取扱いは禁止されることを伝えます

相談したことや調査協力を理由にした報復を許さないことを明確にします。

限界

匿名希望や正式調査の限界を説明します

匿名では事実確認や結果通知に制約があることを伝えます。

次の一歩

相談者の希望を確認します

話を聞いてほしい、正式調査してほしい、異動したい、匿名のままにしたいなどの希望を確認します。

初回ヒアリングでは、法的評価よりも事実把握を優先します。この表は、何を聞くかと、なぜ聞くかを整理するために重要です。左列の確認事項を順に押さえ、右列の目的を意識すると、相談者の希望と会社の安全配慮を両立しやすくなります。

初回で聞くこと確認する目的
いつ、どこで、誰が、誰に、何をしたか時系列と関係者を把握します
その場に誰がいたか目撃者や追加確認先を把握します
メール、チャット、録音、写真、勤怠、診断書、メモなど証拠はあるか証拠保全の必要性を把握します
同様の行為が反復しているか継続性、重大性、他の被害者の可能性を見ます
健康状態、就業継続の可否、安全確保の必要性安全配慮と緊急対応の要否を見ます
相手方との接点を減らす必要があるか暫定的な配慮措置を検討します
希望する対応と望まない対応相談者の意向と会社対応の必要性を整理します
Section 06

公益通報・ハラスメント・労務相談を分けるトリアージ基準

重大性、公益通報該当性、相談者の意向、利益相反を分けて確認します。

重大性の高い事情がある場合、通常のハラスメント相談より高い優先度で扱います。この一覧は、緊急対応や独立ルートへの接続を判断するために重要です。項目に該当するほど、証拠保全、被害者保護、外部専門家、経営監督の必要性が高まります。

身体的暴力・脅迫・性的暴行等

犯罪該当可能性や公益通報該当可能性を前提に、証拠保全と被害者保護を優先します。

自殺念慮・自傷リスク

産業医、人事、外部相談機関、医療・安全確保の即時対応を検討します。

複数被害者・反復継続・組織的隠蔽

個別相談にとどめず、組織的な調査と再発防止が必要になります。

役員・幹部・管理部門の関与

通常ルートから外し、監査役、監査等委員、社外取締役、外部専門家に接続します。

証拠隠滅・口止め・報復・退職強要

報復防止と別案件としての調査を検討します。

ハラスメント調査と公益通報調査は目的が異なります。この比較は、調査を混同しないために重要です。左列で調査類型を確認し、中央列の目的と右列の注意点を読むと、支援と是正の両立が必要だと分かります。

調査類型主な目的注意点
ハラスメント調査職場環境が害されたか、業務上必要かつ相当な範囲を超えていたか、不利益取扱いがあったかを確認します目的は処分だけではなく、就業環境回復、再発防止、職場改善です
公益通報調査通報対象事実、法令違反・規程違反、是正措置、行政・取締役会等への報告、証拠保全の要否を確認します通報者を特定させる事項の共有範囲を厳格に管理します
複合事案の調査ハラスメント、報復、人事評価、労務違反、会計不正、証拠隠滅などを切り分けます調査担当者の独立性と、相談者支援担当の分離が重要です
Section 07

個人情報・記録管理と報復防止の実務

相談記録は、後日、労働審判、訴訟、行政対応、監査、開示請求で問題になる可能性があります。

相談記録は区分して保存する必要があります。この表は、どの情報に誰がアクセスできるかを整理するために重要です。左列の記録区分ごとに、中央列の内容と右列のアクセス権を読み、すべての担当者がすべての情報を見られる状態を避けます。

記録区分内容アクセス権
受付記録相談日時、受付者、相談概要、相談者希望窓口担当、管理責任者
本人識別情報氏名、所属、連絡先、匿名ID最小限の従事者・相談担当
調査記録ヒアリング、証拠、認定事実調査担当、法務、必要な決裁者
措置記録配慮措置、懲戒、配置転換、再発防止人事、法務、必要な決裁者
監督報告取締役会・監査役会・内部監査向け統計・重大事案報告匿名化・要約を原則

報復防止は、相談・通報制度の信頼を支える中核です。この一覧は、相談後の降格、異動、契約更新拒否、仕事外し、評価低下、孤立、退職勧奨を防ぐために重要です。案件終結後も一定期間モニタリングする必要があることを読み取れます。

規程への明記

相談・通報を理由とする不利益取扱い禁止を就業規則・社内規程に明記します。

管理職研修

報復禁止、詮索禁止、口止め禁止、通報者探索禁止を繰り返し教育します。

人事決裁の確認

相談後一定期間、評価、異動、契約更新、懲戒の決裁を法務・人事・コンプライアンスが確認します。

フォローアップ

相談者へのフォローアップ面談を行い、二次被害や報復の兆候を確認します。

別案件としての調査

報復申告があった場合は、元の案件とは別に迅速に調査します。

Section 08

ハラスメント相談窓口との一本化の実装ロードマップ

現状診断、設計方針、規程整備、担当者研修、周知、監査改善の順に進めます。

一本化の導入は、既存窓口の棚卸しから始めます。この時系列は、導入作業の順番を示すために重要です。上から下へ読むと、現状診断、設計、文書整備、研修、周知、監査改善へ進む流れが分かります。

第1段階

現状診断

内部通報窓口、公益通報窓口、ハラスメント相談窓口、人事相談窓口、メンタルヘルス相談窓口などを棚卸しします。

第2段階

設計方針の決定

表示だけ一本化するのか、受付チャネルも一本化するのか、外部窓口を使うのか、役員案件の独立ルートをどうするのかを決めます。

第3段階

規程・マニュアル整備

規程、受付票、ヒアリングシート、同意説明文、匿名通報案内、調査報告書、監督報告テンプレートを整えます。

第4段階

担当者研修

ハラスメント法制、公益通報者保護法、個人情報保護、傾聴、トリアージ、記録作成、証拠保全、報復防止を研修します。

第5段階

周知・運用開始

入社時研修、管理職研修、年次研修、イントラ、ポスター、メール署名、社内チャットなど複数チャネルで周知します。

第6段階

監査・改善

認知率、件数、匿名比率、初回応答、調査着手、終結期間、重大案件、報復申告、再発防止策を点検します。

Section 09

監査チェックリストと導入判断マトリクス

法令・規程、受付・初動、調査、情報管理、是正・再発防止まで点検します。

一本化後は、制度が機能しているかを監査します。この一覧は、監査で見るべき観点をまとめるために重要です。制度文書だけでなく、受付、調査、情報管理、是正、再発防止まで運用実態を確認する必要があると分かります。

監査1

法令・規程

ハラスメント防止措置、内部公益通報受付窓口、従事者指定、通報者探索防止、報復禁止が規程と周知に反映されているかを確認します。

監査2

受付・初動

相談者が迷わずアクセスできるか、匿名相談の限界説明、初回対応スクリプト、緊急事案の即時対応基準を確認します。

監査3

調査

利益相反確認、役員案件の独立ルート、証拠保全手順、ヒアリング記録、二次被害・報復防止措置を確認します。

監査4

情報管理

案件単位のアクセス権限、閲覧ログ、識別情報と調査記録の分離、保存期間、漏えい時対応を確認します。

監査5

是正・再発防止

被害者配慮、行為者措置、再発防止、管理職教育、職場環境改善、監督報告を確認します。

一本化に向くか分離に向くかは、会社の状況で変わります。この判断表は、無理に一本化しないために重要です。左列の判断項目ごとに、中央列と右列を比較し、自社がどちらに近いかを確認します。

判断項目一本化に向く場合分離に向く場合
会社規模中小企業、専門部署が少ない大企業、専門部署が十分あります
相談者の迷いやすさ窓口が多く周知が弱い窓口ごとの役割が明確に浸透しています
ハラスメント件数件数が中程度で総合受付可能です件数が非常に多く専門受付が必要です
内部通報の重大性複合事案が多い会計・品質・規制案件が多く高度な専門調査が必要です
独立性外部窓口・監査役ルートを設計できます人事部単独運用になりやすいです
個人情報管理システムで権限分離できますメール転送中心で管理が弱いです
Section 10

ハラスメント相談窓口との一本化のよくある質問

ここでは一般的な制度説明として整理します。個別事案では労働法、公益通報者保護法、個人情報保護法、会社法等の確認が必要です。

Q1. ハラスメント相談窓口との一本化は違法ですか。

一般的には、直ちに否定されるものではないと説明されています。ただし、窓口がハラスメント関連事案だけを対象にしていると誤解されないよう周知する必要があります。具体的な制度設計は、会社規模、窓口体制、規程、事案類型によって変わるため、専門家へ確認する必要があります。

Q2. 一本化すれば規程も一つでよいですか。

一般的には、入口は一つでも、内部公益通報対応規程、ハラスメント防止規程、個人情報取扱規程、調査マニュアル、エスカレーション基準は分けた方が実務上明確です。

Q3. ハラスメントは公益通報ですか。

一般的には、通常のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントは、それだけでは公益通報に該当しない場合が多いと説明されています。ただし、暴行、脅迫、不同意わいせつ等の犯罪行為に該当する可能性がある場合には、公益通報に該当し得ます。

Q4. 人事部が一本化窓口を担当してもよいですか。

一般的には、人事部が担当できる場合もあります。ただし、人事部が被申告者に近い場合、評価・異動・懲戒に関与する場合、役員案件を扱う場合には独立性が問題になります。

Q5. 匿名相談は受け付けるべきですか。

一般的には、匿名相談を受け付けることが望ましいとされています。匿名では事実確認や結果通知に限界がありますが、匿名相談を排除すると初期段階の重要情報を失う可能性があります。

Q6. 一本化しない方がよい会社もありますか。

一般的には、あります。すでに内部通報窓口とハラスメント相談窓口が高い専門性で機能しており、相談者が迷わない周知ができている会社では、無理に一本化する必要はありません。

Reference

参考資料

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
  • 政府広報オンライン「公益通報者保護法が改正。内部通報制度で不正をストップ」
  • 消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」
  • 消費者庁「公益通報者保護制度Q&A」
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
  • 東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」
  • ISO「ISO 37002:2021 Whistleblowing management systems Guidelines」