OEM取引の終了、解除、更新拒絶、量産終了、サプライヤー変更の場面で残る金型・図面・在庫を、所有権だけでなく使用権、秘密保持、保管費、廃棄、買取、証拠化まで分解して整理します。
量産終了時に紛争化しやすい対象を、物、情報、費用、証拠に分けて整理します。
量産終了時に紛争化しやすい対象を、物、情報、費用、証拠に分けて整理します。
OEM契約終了時に最も紛争化しやすいのは、完成品そのものよりも、完成品を作るために残された金型・図面・在庫です。金型は誰の物か、図面は誰が使える情報か、在庫は誰が買い取り、誰が処分費を負担するかが曖昧なまま量産が終わると、返還拒否、無償保管、図面流用、ブランド品の無断販売、不良在庫の押し付け、廃棄費用の転嫁、知財侵害、営業秘密漏えい、会計・税務処理の不備が連鎖します。
この重要ポイントは、OEM契約終了後の金型・図面・在庫処理で最初に分けるべき実務観点を示します。所有権だけで判断すると費用負担や秘密保持を見落とすため、読者はどの権利と義務を別々に合意すべきかを読み取ってください。
OEM契約終了後の金型・図面・在庫処理は、所有権、占有、使用権、知的財産権、秘密保持、保管費用、廃棄権限、在庫買取義務、証拠化を分解して決める必要があります。
特に金型は、発注側が所有する場合だけでなく、受注側が所有していても発注側が廃棄承認権などで事実上管理している場合があります。その状態で受注側に無償保管させると、取適法上の問題になり得ます。公正取引委員会・中小企業庁は、型の無償保管に対する監視を強化しています。
終了時に残る対象を、製造資産、技術情報、棚卸資産に分けます。
OEM契約では、完成品の納入と代金支払だけを見ていると、契約終了時のリスクを見落とします。実務上は、契約終了後にも製造設備、設計情報、専用在庫、包装材、補修部品などが残ります。
次の比較表は、契約終了後にも現場に残りやすい対象と主要争点を整理したものです。対象ごとに争点が異なるため、読者は同じ終了処理でも、金型は保管・廃棄、図面は利用・削除、在庫は買取・処分という違いを確認してください。
| 残るもの | 典型例 | 主要争点 |
|---|---|---|
| 金型・治具・検具・専用設備 | 射出成形金型、プレス金型、鋳造型、木型、治具、検査用ゲージ、専用設備 | 所有者、返還先、保管費、メンテナンス費、廃棄権限、補給部品対応 |
| 図面・仕様書・CADデータ | 製品図、部品図、金型図、加工データ、BOM、検査仕様、工程表、試験条件 | 返還・削除、複製禁止、利用継続可否、営業秘密、著作権、特許・意匠、輸出管理 |
| 在庫 | 完成品、仕掛品、原材料、支給材、包装材、ラベル、補修部品、不良品 | 買取義務、所有権移転、危険負担、販売可否、ブランド表示、廃棄費、会計・税務処理 |
製造委託の現場では、これらが現場運用で管理されていることがあります。しかし終了局面では関係が協調的でなくなるため、曖昧な運用は法的リスクへ転化します。金型は大型で保管コストがかかり、図面はコピーが容易で、在庫は劣化・陳腐化しやすいため、契約締結時または量産開始前から出口ルールを設計しておく必要があります。
次の一覧は、OEM契約終了後の処理で前提となる4つの用語を並べたものです。用語の意味を揃えないと、契約書上の対象範囲がずれるため、読者は自社の契約や台帳で同じ範囲がカバーされているかを確認してください。
委託者がブランド、仕様、設計、品質基準、販売計画等を示し、受託者が製品を製造して委託者または指定先へ納入する取引です。売買、請負、製造委託、寄託、使用貸借、ライセンス、秘密保持、品質保証、継続的取引の要素が混在します。
製品または部品を量産するための型、治具、検具、専用設備、加工用データと一体で機能する製造資産を含みます。取適法実務では、金型、木型、治具、検具、製造設備等が型等として問題になります。
紙の設計図だけでなく、CADデータ、3Dモデル、加工プログラム、仕様書、BOM、工程設計書、検査基準書、試験条件、品質限度見本、金型設計図、技術ノウハウを含みます。
完成品、半製品、仕掛品、原材料、支給材、包装材、ラベル、説明書、補修部品、不良品、返品品、試作品、廃棄予定品が含まれます。会計上の棚卸資産としての処理も問題になります。
所有権だけではなく、占有、使用権、知財、費用、法令、証拠まで確認します。
OEM契約終了後の金型・図面・在庫処理を誤る典型原因は、所有権者が誰かだけで結論を出そうとする点です。現実には、受託者が自社費用で金型を製作していても、委託者の承認なしに廃棄できない、他用途に使えない、部品の発注再開に備えた保管を求められている、という状況があります。
次の表は、所有権以外に分解して確認すべき9つの軸を示します。列の左側は検討軸、右側は確認事項であり、読者は各資産について空欄が残る軸ほど紛争化しやすいと読み取ってください。
| 検討軸 | 確認すべき事項 |
|---|---|
| 所有権 | 金型・在庫・紙図面・支給材の所有者は誰か |
| 占有 | 現に誰の工場・倉庫・サーバにあるか |
| 使用権 | 契約終了後も製造・補修・検査・保守のため使えるか |
| 知的財産権 | 特許、実用新案、意匠、商標、著作権、ノウハウは誰に帰属するか |
| 秘密保持 | 図面・工程条件・原価情報が営業秘密または秘密情報として管理されているか |
| 費用負担 | 保管、棚卸、輸送、修理、廃棄、残置生産、監査の費用を誰が負担するか |
| 処分権限 | 返還、移管、保管継続、廃棄、売却、再利用、スクラップ化を誰が決めるか |
| 法令制約 | 取適法、独禁法、不正競争防止法、廃棄物処理法、輸出管理、会計・税務を満たすか |
| 証拠化 | 台帳、写真、検収、廃棄証明、削除証明、議事録、合意書を残したか |
この注意点の一覧は、名義上の所有者と実質的な管理者がずれる場面を示します。委託者が処分を支配しているのに受託者だけが費用を負担する構図は問題化しやすいため、読者は廃棄承認権や再発注待ちの有無に注目してください。
受託者所有型でも、委託者の承認なしに廃棄できない場合は、保管費を誰が負担するかを別途協議する必要があります。
長期間発注がないのに、補給部品や再発注可能性を理由に無償保管を求めると、取適法上のリスクが高まります。
紙図面やデータ媒体を返還しても、複製、バックアップ、工程条件、ノウハウの利用制限が残ります。
金型の費用負担、所有権、保管費、留置、廃棄物処理を整理します。
次の比較表は、金型の費用負担と所有権の組合せごとの終了時処理を整理したものです。類型ごとに基本処理が変わるため、読者は自社の金型台帳に所有者だけでなく費用回収方法と廃棄権限が記録されているかを確認してください。
| 類型 | 典型例 | 終了時の基本処理 |
|---|---|---|
| 委託者所有型 | 委託者が金型代を一括支払し、受託者へ貸与 | 返還、移管、保管継続、廃棄を委託者が指示し、費用負担も定める |
| 受託者所有型 | 受託者が金型を自社資産として製作し、部品単価で回収 | 原則として受託者が管理するが、委託者が廃棄制限する場合は保管費問題が生じる |
| 償却・分割回収型 | 金型代を製品単価に上乗せして一定数量で回収 | 未回収金型費、所有権移転時期、終了時精算が争点になる |
| 共同開発・共同負担型 | 双方が設計・費用を負担 | 共有、使用許諾、第三者利用、廃棄同意、改良帰属の規定が必要になる |
| 支給・転貸型 | 委託者が別の金型メーカーから購入し、受託者に預ける | 委託者、金型メーカー、受託者の三者関係を確認する |
次の判断の流れは、金型の終了処理を返還、移管、有償保管、廃棄、所有権移転の順に検討するためのものです。上から順に、今後使う必要があるか、誰が使うか、誰が費用を負担するかを読むことで、単なる放置を避けやすくなります。
型番、設置場所、所有者、製作費、支払状況、最終使用日を確認します。
将来利用がある場合は、保管期間と費用を合意します。
輸送費、保険、メンテナンス、棚卸頻度、受領検査を定めます。
廃棄承認、写真、切断・穿孔、証明書、産業廃棄物処理を記録します。
金型の終了処理は、返還なら輸送費、梱包、保険、搬出作業、破損リスク、受領検査を定めます。移管なら新サプライヤー、海外工場、グループ会社への移転と、図面・加工データ・工程条件の移転可否を同時に確認します。有償保管継続なら保管期間、保管料、メンテナンス水準、棚卸頻度を決めます。廃棄なら廃棄承認、立会い、写真、切断・穿孔、廃棄証明、産業廃棄物処理を行います。所有権移転・買取なら、その後の使用制限、秘密保持、競合利用を定めます。
この注意点の一覧は、金型の無償保管が問題になりやすい事情を示します。取適法上のリスクは保管期間だけでは決まらないため、読者は発注停止、廃棄要望、将来発注の具体性、棚卸要求の有無を合わせて確認してください。
その金型を用いる部品の発注が長期間ないのに、保管費を支払わない状態は危険信号になります。
受託者が廃棄、返却、引取りを希望しているのに委託者が応じない場合、無償保管の問題が強まります。
委託者が次回以降の具体的な発注時期を示せない場合は、保管継続の合理性と費用負担を協議すべきです。
受託者所有の型であっても、廃棄に委託者承認が必要なら、委託者が事実上管理していると評価される余地があります。
2026年1月1日以降、旧下請法は中小受託取引適正化法・取適法として運用されています。取適法テキストは、委託事業者が部品等の発注を長期間行わない等の事情があるにもかかわらず、製造に用いる型等の保管費用を支払わず、中小受託事業者に型等を保管させることは、不当な経済上の利益の提供要請に該当すると説明しています。
違反事例では、金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず、無償で保管させた例が示されています。ただし、これは1年未満なら安全という意味ではありません。発注停止期間、保管物の量、保管場所、廃棄要望の有無、将来発注の具体性、保管費の協議状況、取引上の立場などを総合して判断されます。
次の表は、金型保管費を構成する費目を整理したものです。保管費は倉庫賃料だけではないため、読者は場所、移動、維持、管理、廃棄準備、リスク対応の各列を見て、見積りと合意書に含める範囲を確認してください。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 場所費 | 自社倉庫使用料相当額、外部倉庫料、保管スペース占有による機会損失 |
| 搬入・搬出費 | フォークリフト、クレーン、梱包、輸送、保険 |
| 維持費 | 防錆、防湿、温度管理、清掃、注油、定期点検、部品交換 |
| 管理費 | 台帳作成、棚卸、写真、状態報告、システム入力 |
| 廃棄準備費 | 分解、切断、破砕、材料分別、廃棄業者手配 |
| リスク費 | 破損、盗難、劣化、火災、地震、情報漏えいへの保険・管理 |
受託者が委託者所有の金型を占有している場合、未払い金型代、未払い製造代金、保管費、修理費があると、返還拒否や留置が問題となります。留置権の成否は、債権と物との牽連性、弁済期、占有取得の適法性、契約上の排除・制限の有無によります。返還拒否が過度になると、債務不履行、不法行為、営業妨害、秘密情報の保持義務違反と主張されることがあります。
金型や在庫を廃棄する場合は、廃棄物処理法上の排出事業者責任も確認します。実務上は、廃棄承認書、廃棄対象リスト、型番・写真・重量・材質、産業廃棄物処理委託契約書、マニフェストまたは電子マニフェスト記録、切断・穿孔・破砕後の写真、廃棄証明書、会計・税務処理の根拠資料を残します。
紙の返還だけでなく、著作権、営業秘密、産業財産権、輸出管理を整理します。
図面処理の最大の誤解は、図面を返せば終わり、図面データを削除すれば終わりと考えることです。図面には紙やファイルという有体物・記録媒体の問題と、そこに表現・記録された情報・権利の問題が重なります。
次の比較表は、図面に重なる権利と利益を層ごとに整理したものです。左列は対象の層、中央列は内容、右列は終了時の争点であり、読者は返還だけでは処理できない利用制限や権利帰属を確認してください。
| レイヤー | 内容 | 終了時の争点 |
|---|---|---|
| 物理媒体 | 紙図面、USB、HDD、試作資料、検査成績書 | 返還、破棄、保管 |
| デジタルファイル | CAD、3D、加工データ、BOM、PDM/PLM上のデータ | 削除、アクセス停止、バックアップ、ログ |
| 著作権 | 学術的性質を有する図面等が著作物となる可能性 | 複製、改変、翻案、第三者提供 |
| 産業財産権 | 特許、実用新案、意匠、商標 | 製造・販売継続、改良、侵害回避 |
| 営業秘密 | 工程条件、寸法公差、材料配合、原価、ノウハウ | 秘密管理、目的外使用、漏えい |
| 契約上の使用権 | OEM契約、NDA、ライセンス、共同開発契約 | 終了後の使用可否、監査、損害賠償 |
著作権法は、地図または学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物を例示しており、図面が創作的表現を有する場合は著作権保護の対象となり得ます。しかし、寸法、仕様、機能、アイデア、製造方法そのものは、特許、意匠、営業秘密、契約で保護・調整されることが多く、図面の線や配置が著作物であるかという問題と、その図面を使って製品を作ってよいかという問題は別です。
OEM契約では、図面・CADデータの作成者、著作権の帰属または利用許諾、契約終了後の複製物の返還・削除、バックアップに残るデータの扱い、改良図面・派生図面の帰属、第三者サプライヤーへの提供可否、図面を利用した競合製品の製造禁止、監査・削除証明・違約金を明記します。
次の重要ポイントは、図面を営業秘密として守るための管理要素を示します。情報は有用で非公知でも、秘密管理が弱いと保護が難しくなるため、読者は表示、アクセス、配布履歴、終了時証明を一体で読み取ってください。
図面への秘密表示、図面番号・版数・配布先管理、CADデータのアクセス制御、退職者・外注先・海外拠点への提供履歴、目的外使用禁止、返還・削除・削除証明、バックアップデータの隔離が必要です。
図面を持っていることは、特許発明や登録意匠を自由に実施できることを意味しません。OEM終了後に受託者が同じ図面や似た仕様で別ブランド製品を製造する場合、委託者の特許権、登録意匠、商標権、秘密情報、営業秘密、契約上の競業避止・非流用・非迂回義務に抵触するリスクがあります。逆に委託者側も、受託者が作成した金型図、加工条件、製造ノウハウ、改良技術を当然に第三者工場へ移転できるとは限りません。
次の判断の流れは、図面・CADデータ・技術情報を返還・削除する際の順番を示します。順番どおりに対象範囲、権利区分、使用停止、返還・削除、例外保存、証明、監査を確認することで、データの抜け漏れと過剰削除の双方を避けやすくなります。
製品図、部品図、金型図、CAD、BOM、工程表、検査基準、試験データ、メール添付、チャット添付、共有フォルダ、PDM/PLMデータを棚卸します。
委託者作成、受託者作成、共同作成、第三者作成、オープン情報を分け、契約終了日、最終生産日、補給部品生産終了日を区別します。
紙は返還または裁断、データは削除、アクセス権は停止します。法令、税務、品質保証、製造物責任、紛争対応に必要な最低限の保存は範囲を明示します。
削除証明書、アクセス権停止ログ、返還受領書、廃棄証明書を作成し、必要に応じ第三者監査、サンプルチェック、ログレビューを行います。
海外拠点や外国企業に図面・CADデータ・技術指導を提供する場合は、安全保障貿易管理も確認します。輸出管理の対象には貨物だけでなく技術の提供も含まれ、技術データや設計図の提供、メール送信、技術指導などが対象になり得ます。海外の新サプライヤーへ金型や図面を移管する場合は、該非判定、需要者確認、最終用途確認、提供手段、再輸出・再提供禁止条項、輸出管理責任者の承認、ログ保存を確認します。
完成品、仕掛品、原材料、支給材、包装材、補修部品、不良品で結論が変わります。
OEM終了時の在庫は、完成品だけではありません。委託者指定材料、専用品、ロゴ入り包装材、補修部品、不良品、返品品などは、それぞれ所有権、危険負担、販売可否、廃棄費、会計・税務処理が異なります。
次の比較表は、在庫区分ごとの典型例と主な処理を整理したものです。左から在庫の種類、現場で見つかる例、処理方法の順に読めるため、読者は一括して不要在庫と扱わず、区分ごとに買取、転用、返品、廃棄を決めてください。
| 在庫区分 | 典型例 | 主な処理 |
|---|---|---|
| 完成品 | 検収済み製品、未検収製品 | 買取、納入、返品、廃棄、ブランド表示除去 |
| 仕掛品 | 組立途中、加工途中、検査待ち | 完成指示、加工停止、費用精算、廃棄 |
| 原材料 | 委託者指定材料、専用品、汎用品 | 買取、転用、返品、廃棄 |
| 支給材 | 委託者が支給した材料・部品 | 返還、使用実績精算、ロス率確認 |
| 包装材・ラベル | ロゴ入り箱、説明書、保証書、JANラベル | 返還、廃棄、ブランド表示除去 |
| 補修部品 | 保証・保守用の部品 | 保管契約、保守期間、価格、最終発注 |
| 不良品・返品品 | 検査不合格、顧客返品 | 原因分析、費用負担、廃棄、再加工 |
在庫処理では、まず誰の在庫かを確認します。所有権移転時期が製造完了時、検査合格時、納入時、検収時、代金支払時のどれか、保管中の滅失・毀損・劣化を誰が負担するか、委託者都合の終了時に受託者が購入済み材料・仕掛品を請求できるか、MOQ・ロット・長納期部材・専用品の残余を誰が負担するかを確認します。
次の注意点の一覧は、在庫処理で紛争化しやすい要素を整理したものです。発生原因、ブランド表示、会計資料の3つを見落とすと費用負担と販売可否の結論が揺れるため、読者は証憑の有無に注目してください。
委託者の発注、フォーキャスト、仕様変更、終売通知の遅れ、最低ロット指定によって専用在庫が発生した場合、買取、費用補償、保管費、廃棄費が争点になります。
完成済み部品を一括生産させた後に受領せず、無償保管させることも問題になり得ます。金型だけでなく、一括生産部品の保管も確認します。
委託者ブランドの完成品、包装材、ロゴ入りラベルを第三者に販売すると、商標権、不正競争防止法、契約上の販売禁止、品質保証、信用毀損が問題になります。
棚卸資産の評価損、廃棄損、引当、原価差異、ロス処理では、数量、単価、ロット、期限、廃棄証明、稟議、会計処理メモが重要です。
ブランド表示品の処理方法としては、委託者買取、ブランド除去後の転売、部品単位での再利用、廃棄、寄付、リサイクルなどを、契約と書面合意に基づいて実施します。受託者が委託者ブランドの完成品、包装材、ロゴ入りラベルを無断で第三者に販売することは、流通管理やリコール対応を困難にするため、契約上も実務上も明確に禁止・管理します。
会計上は、棚卸資産の評価、評価損、廃棄損、引当、原価差異、ロス処理が問題となります。実務上は、在庫リスト、数量、単価、ロット、期限、保管場所、最終発注日、終了通知日、キャンセル日、専用品か汎用品かの判断資料、委託者の買取合意書または廃棄指示書、廃棄写真、廃棄証明、マニフェスト、評価損・廃棄損の稟議、会計処理メモを残します。
初動、30日・60日・90日、証拠化を時系列で設計します。
OEM終了が決まったら、法務部門は現場に対して、新規発注・追加調達・金型改修・図面配布を停止または承認制にするよう指示します。金型、図面、在庫、支給材、専用設備の台帳を凍結し、最終生産日、最終納入日、最終検収日、保証終了日を分けて確定します。
次の一覧は、終了決定直後に実施する初動対応をまとめたものです。上から順に実行すると、追加発注やデータ拡散を止めながら、棚卸、費用見積り、暫定保管責任まで押さえられるため、読者は自社の終了通知テンプレートに組み込む項目を確認してください。
新規発注、追加調達、金型改修、図面配布を停止または承認制にします。
初動金型、図面、在庫、支給材、専用設備の台帳を凍結し、現物と照合します。
棚卸最終生産日、最終納入日、最終検収日、保証終了日を分けて確定します。
基準日受託者・委託者双方で棚卸日と担当者を合意し、写真とリストを残します。
証拠図面・データのアクセス権を確認し、不要な共有リンクを停止します。
情報管理保管費、廃棄費、輸送費、買取費の見積りを取得し、処理完了までの保管責任と保険を決めます。
費用次の時系列は、終了通知後90日までに何を決め、何を実行するかを示します。上から下へ時間が進むため、読者は30日以内に棚卸と協議開始、60日以内に方針決定、90日以内に実行と最終確認という節目を読み取ってください。
契約書・発注書・NDA確認、資産台帳作成、金型・在庫・図面の棚卸、保管費協議開始を行います。
金型の返還・保管・廃棄方針、在庫買取・廃棄合意、図面返還・削除計画を策定します。
金型移管・廃棄、在庫納入・買取・廃棄、削除証明、費用精算、最終確認書締結を行います。
補給部品、保証対応、残存図面、長期保管金型について、別契約または覚書に切り出します。
終了処理では、口頭合意に頼ってはなりません。終了確認書、金型処理覚書、図面・データ返還削除確認書、在庫買取・廃棄合意書、保管費・棚卸費・廃棄費の見積書と合意書、返還受領書、廃棄証明書、最終精算書を作成します。型管理では、ルール化、データ化、共有化の順に取り組み、型情報の台帳化・共有化を進めることが重要です。
所有権、保管費、返還削除、在庫、ブランド表示を条項化します。
条項例は考え方を示すものであり、そのまま使用するものではありません。個別の契約では、製品、業界、取引構造、適用法令、当事者の交渉力、会計処理、海外移管の有無に応じて調整します。
次の一覧は、OEM契約終了後の処理を契約条項へ落とす際の主要項目を示します。項目ごとに何を明文化するかが異なるため、読者は自社の契約書に金型、図面、在庫、ブランド表示の出口条項がそろっているかを確認してください。
金型、治具、検具その他専用設備の所有権を、金型台帳に従って帰属させます。台帳にないものは、製作費、支払方法、減価償却、管理実態、当事者の合意を踏まえて協議します。
所有保管場所費、搬入搬出費、メンテナンス費、棚卸・状態報告費、保険料その他合理的な保管関連費用の負担を定めます。発注停止時や次回発注時期が不明な場合は、返還、廃棄、保管継続、所有権移転を速やかに協議します。
費用図面、仕様書、CADデータ、BOM、技術資料、品質資料その他秘密情報を返還または削除します。法令遵守、品質保証、税務、紛争対応のため必要最小限の保存を認める場合は、保存範囲、保存場所、アクセス権者、保存期間を通知します。
情報完成品、仕掛品、原材料、支給材、包装材、ラベル、補修部品その他在庫について、在庫リストを作成し、所有権、品質状態、転用可能性、買取価格、廃棄費用、保管費用を協議します。
在庫委託者の商標、ロゴ、型番、包装、説明書、保証書その他委託者表示を付した製品、半製品、包装材、ラベルについて、事前書面承諾のない販売、譲渡、展示、広告、廃棄以外の処分を禁止します。
表示次の表は、条項に入れる具体的な文言要素を整理したものです。終了処理では、表の左列にある対象ごとに、誰が決め、誰が費用を負担し、どの証跡を残すかが異なるため、右列の確認点を契約書、覚書、台帳、終了確認書へ反映できているかを読み取ることが重要です。
| 条項 | 文言に入れる要素 | 確認すべき証跡 |
|---|---|---|
| 金型所有権 | 金型、治具、検具その他専用設備の所有権を金型台帳で区分し、台帳にないものは製作費、支払方法、減価償却、管理実態、当事者の合意を踏まえて協議する旨を置きます。 | 金型台帳、請求書、支払記録、固定資産台帳、刻印写真、貸与証を確認します。 |
| 金型保管費 | 委託者が保管を求める場合、保管場所費、搬入搬出費、メンテナンス費、棚卸・状態報告費、保険料その他合理的な保管関連費用を負担する旨を置きます。 | 最終発注日、次回発注予定、保管写真、保管料見積、廃棄・返還の協議記録を確認します。 |
| 図面・データ返還削除 | 図面、仕様書、CADデータ、BOM、技術資料、品質資料その他秘密情報を返還または削除し、法令遵守、品質保証、税務、紛争対応のための限定保存を例外として定めます。 | 配布先一覧、アクセス権停止ログ、返還受領書、削除証明書、保存範囲の通知を確認します。 |
| 在庫処理 | 完成品、仕掛品、原材料、支給材、包装材、ラベル、補修部品その他在庫のリストを作成し、所有権、品質状態、転用可能性、買取価格、廃棄費用、保管費用を協議する旨を置きます。 | 在庫リスト、数量、単価、ロット、期限、保管場所、専用品か汎用品かの判断資料を確認します。 |
| ブランド表示在庫 | 委託者表示が付いた製品、半製品、包装材、ラベルを、事前書面承諾なく第三者へ販売、譲渡、展示、広告、廃棄以外の処分をしない旨を置きます。 | 商標・ロゴ表示、表示除去の可否、廃棄写真、廃棄証明、買取合意書を確認します。 |
契約終了時の条項は、終了後だけを見て作るものではありません。入口の契約設計で、金型台帳、図面配布先、在庫発生原因、補給部品、保証対応、再発注可能性、保管費算定方法、廃棄証明、削除証明まで決めておくほど、出口の交渉は短くなります。
委託者側、受託者側、交渉上の落としどころ、倒産局面を整理します。
終了処理が曖昧なまま関係が悪化すると、委託者側と受託者側で見えている問題が変わります。早期に証拠を集め、返還、削除、費用、保管、廃棄、買取を分けて協議することが重要です。
次の一覧は、委託者側と受託者側で典型的に生じる悩みを対比したものです。左右の立場によって集める資料が異なるため、読者は自社がどちらの立場でも、契約、台帳、写真、費用見積、発注履歴を早めに整理する必要があると読み取ってください。
受託者が金型を返さない、図面・CADデータを削除した証拠がない、類似製品を別ブランドで販売している、在庫買取を過大請求している、金型の劣化・破損が判明した、海外の新サプライヤーへ移管できないといった問題が生じます。契約条項、発注書、金型代支払証憑、固定資産台帳、図面配布履歴、NDA、メール、議事録、検収記録を集めます。
量産終了後も金型を無償で保管させられる、廃棄承認が出ない、保管スペースが圧迫される、専用材料・仕掛品・ロゴ入り包装材が残る、品質保証・税務・PL対応のため最低限保存が必要、未払い金型代や未払い加工費があるのに返還を求められるといった問題が生じます。金型台帳、最終発注日、保管写真、保管費見積、廃棄要望書、承認要求履歴、在庫発生原因、フォーキャストを整理します。
紛争を訴訟化させないためには、金型を即時返還できるもの、廃棄するもの、一定期間有償保管するものに分けます。保管費は過去分を一定額で精算し、将来分は月額または年額で定めます。図面は製造目的の利用を禁止しつつ、品質保証・税務・紛争対応のため限定保存を認めます。在庫は専用品を委託者が買い取り、汎用品は受託者が転用し、ブランド表示品は廃棄または表示除去します。
次の注意点の一覧は、相手方または自社が倒産・事業再生局面に入ったときの確認事項です。通常時よりも所有権と証拠の重要性が高まるため、読者は台帳、支払記録、刻印、写真、所有権留保、前払い、保証金を重点的に確認してください。
委託者所有の金型や支給材が受託者工場にあるなら、固定資産台帳、金型代請求書、支払記録、貸与証、金型台帳、刻印、写真を準備し、破産管財人等に対する返還請求や取戻しの可否を検討します。
受託者は、残った金型、在庫、仕掛品、専用材料の費用回収が問題になります。未払い代金、保管費、廃棄費、在庫買取請求が一般債権となる可能性があるため、契約上の所有権留保、前払い、保証金、発注キャンセル補償、最低発注義務、支払条件を事前に整備します。
購買だけに任せず、法務、知財、調達、生産、品質、経理、税務、環境、輸出管理、内部監査で分担します。
OEM契約終了後の金型・図面・在庫処理は、購買担当者だけに任せるべきではありません。金型や図面の管理は、単なる現場事務ではなく、企業価値とサプライチェーンの健全性に関わる内部統制事項です。
次の表は、関与すべき部門と役割を整理したものです。左列の部門ごとに右列の役割が異なるため、読者は終了通知が出た時点で誰を招集すべきか、どの証跡を各部門が持つべきかを確認してください。
| 部門 | 役割 |
|---|---|
| 法務 | 契約解釈、終了通知、覚書、紛争対応、取適法・独禁法確認 |
| 知財 | 図面、特許、意匠、商標、営業秘密、ライセンス確認 |
| 調達 | 受託者交渉、金型台帳、保管費・廃棄費協議 |
| 生産管理 | 最終生産、補給部品、仕掛品、工程停止 |
| 品質保証 | 検査、保証、リコール、品質記録保存 |
| 経理・会計 | 棚卸資産評価、廃棄損、未払費用、引当 |
| 税務 | 損金算入、廃棄証憑、移転価格、海外移管 |
| 環境・総務 | 廃棄物処理、マニフェスト、倉庫管理 |
| 輸出管理 | 海外移管、技術提供、該非判定 |
| 内部監査 | 台帳整備、規程遵守、証跡確認 |
次の一覧は、終了処理で最低限確認したい項目を、金型、図面、在庫に分けたものです。各項目は抜け漏れを探すための確認順序として読めるため、読者は台帳、権利、費用、証拠、販売・廃棄の可否がそろっているかを点検してください。
OEM取引の出口管理は、入口の契約設計でほぼ決まります。企業は、OEM契約書、金型覚書、図面・データ管理条項、在庫買取条項、終了処理プロトコルを平時から整備しておくべきです。
個別判断ではなく、一般的な制度理解と確認観点として整理します。
一般的には、所有名義だけで保管費負担が決まるとは限らないとされています。受託者所有型でも、委託者の承認なしに廃棄できない、次回発注に備えた保管を求められている、長期間発注がないといった事情によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、契約書、発注履歴、金型台帳、廃棄要望、保管費見積を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、削除だけで終了後の義務がすべて終わるとは限らないとされています。紙図面、CAD、バックアップ、メール添付、共有フォルダ、PDM/PLM上のデータ、品質保証や税務対応のための限定保存、著作権、営業秘密、特許・意匠、輸出管理によって確認事項が変わります。具体的な対応は、保存範囲、削除証明、アクセス権停止ログ、契約上の残存義務を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、委託者の商標、ロゴ、型番、包装、説明書、保証書などが付いた在庫の第三者販売は、商標、契約上の販売禁止、品質保証、流通管理、信用毀損の問題になり得るとされています。ただし、表示除去、委託者買取、廃棄、部品単位の再利用などの結論は契約や在庫の状態で変わります。具体的な対応は、在庫リスト、表示内容、品質状態、契約条項を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、30日・60日・90日という区切りは実務管理上の目安とされています。製品の性質、海外移管の有無、在庫数量、補給部品、保証対応、相手方の協力状況、廃棄物処理や輸出管理の確認によって必要期間は変わります。具体的な対応は、終了通知日、最終生産日、棚卸日、費用見積、削除証明、最終確認書の作成状況を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
公的機関、法令、会計基準、制度解説を中心に整理しています。