2σ Guide

所有権留保・危険負担を
企業法務で整理する

所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷リスクを誰が負うかは別問題です。売買契約、設備取引、継続供給、割賦販売、倒産対応で混同しやすい論点を、契約条項と実務運用に落とし込みます。

5項目 契約で分ける管理軸
536・567 民法の中心条文
2025年 所有権留保法制の転換点
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所有権留保・危険負担を 企業法務で整理する

所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷リスクを誰が負うかは別問題です。

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所有権留保・危険負担を 企業法務で整理する
所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷リスクを誰が負うかは別問題です。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 所有権留保・危険負担を 企業法務で整理する
  • 所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷リスクを誰が負うかは別問題です。

POINT 1

  • 所有権留保・危険負担は所有者とリスクを分けて考える
  • 所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷の負担者は同じ問題ではありません。
  • 一文条項では足りません
  • 所有権留保・危険負担で最も重要なのは、所有権の所在と、偶発的な滅失・損傷リスクの負担者を混同しないことです。
  • 売主が代金完済まで所有権を留保していても、引渡し後の偶発事故リスクは買主側へ移転する設計があり得ます。

POINT 2

  • 所有権留保・危険負担の基本用語を分けて理解する
  • 所有権留保、危険負担、所有権移転、検収、占有移転は別概念です。
  • 誰が法的所有者か
  • 偶発損害を誰が負うか
  • 契約内容に合うかを確認

POINT 3

  • 所有権留保・危険負担を現行民法で整理する
  • 1. 目的物の状態を確認:滅失、損傷、盗難、輸送事故、火災などの事実を整理します。
  • 2. 引渡し前か後か:民法536条と567条のどちらが中心になるかを切り分けます。
  • 3. 双方に帰責できないか:売主の梱包不備、買主の保管不備、第三者原因を確認します。
  • 4. 契約不適合責任を検討:追完、代金減額、損害賠償、解除が問題になります。
  • 5. 危険移転条項を確認:引渡し、受領遅延、検収、保険の条項を確認します。

POINT 4

  • 所有権留保・危険負担の典型場面を契約で読む
  • 火災、引渡し前滅失、検収遅延、運送中損傷を想定します。
  • 企業実務では、同じ所有権留保付き売買でも、事故の時点と原因で結論が変わります。
  • 高額設備、継続供給、運送、検収の各場面では、危険移転時期と保険の開始時期をそろえることが重要です。
  • 各項目は時系列が異なるため、事故が引渡し前か後か、検収前か後か、運送中かを読み取ってください。

POINT 5

  • 所有権留保の法的性質と類型ごとの危険負担設計
  • 被担保債権の広さ
  • 一切の債務を担保すると、目的物と債権の対応が弱くなります。
  • 対象物の特定
  • 在庫や原材料では、ロット、支払状況、保管場所が重要です。

POINT 6

  • 所有権留保・危険負担を判例と2025年新法で点検する
  • 1. 信販会社の独自担保構成と登録名義:信販会社を所有者とする登録がない場合、別除権としての行使が制限されました。
  • 2. 保証人の法定代位と販売会社名義登録:販売会社名義の登録がある場合、保証人が法定代位で取得した留保所有権を行使できると判断されました。
  • 3. 継続的売買と集合動産譲渡担保:期間ごとの代金完済まで所有権が売主に留保され、金融機関の集合動産担保に優先する結論が示されました。
  • 4. 譲渡担保法の成立・公布:所有権留保契約の効力、実行、倒産手続、第三者対抗などについて、明文化されたルールへの移行が始まりました。

POINT 7

  • 所有権留保・危険負担条項を一体で設計する
  • 所有権、危険、保険、転売、契約不適合、回収を分けて記載します。
  • ただし、引渡し時点の契約不適合、売主の故意・過失、梱包不備、売主手配の運送事故などは、危険負担で免責されるとは限りません。
  • 契約書、保険、会計、物流の担当が同じ時点を共有しているかを確認してください。
  • 危険が買主へ移る時点から保険が有効になっていないと、目的物を失い代金債務だけが残る可能性があります。

POINT 8

  • 売主・買主双方から見た所有権留保・危険負担の実務対応
  • 契約前審査、納入後管理、不払い時、金融機関担保、会計税務を横断します。
  • 対象物を台帳で追跡
  • 無断搬出を避ける
  • 評価と清算を透明にする

まとめ

  • 所有権留保・危険負担を 企業法務で整理する
  • 所有権留保・危険負担は所有者とリスクを分けて考える:所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷の負担者は同じ問題ではありません。
  • 所有権留保・危険負担の基本用語を分けて理解する:所有権留保、危険負担、所有権移転、検収、占有移転は別概念です。
  • 所有権留保・危険負担を現行民法で整理する:民法536条、567条、契約不適合責任の関係を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

所有権留保・危険負担は所有者とリスクを分けて考える

所有権を誰が持つかと、偶発的な滅失・損傷の負担者は同じ問題ではありません。

所有権留保・危険負担で最も重要なのは、所有権の所在と、偶発的な滅失・損傷リスクの負担者を混同しないことです。売主が代金完済まで所有権を留保していても、引渡し後の偶発事故リスクは買主側へ移転する設計があり得ます。

この比較表は、所有権、占有、危険負担、実務上の意味を局面ごとに分けて示しています。左から順に、いつ、誰が所有者で、誰が物を支配し、どちらが偶発事故リスクを負いやすいかを確認してください。

局面所有権占有・使用危険負担実務上の意味
所有権留保付きで納入済み、代金未払い売主に留保買主が占有・使用契約または民法上、買主側へ移ることが多い売主は担保を残しつつ、偶発事故リスクは買主負担とする設計が可能です。
引渡し前に不可抗力で滅失売主側にあることが多い買主は未占有原則として買主は代金支払を拒める売主の引渡債務が履行不能となる場面です。
買主が受領を拒み、売主が履行提供後に滅失契約による買主未受領民法567条2項で買主側へ移ることがある検収遅延や受領遅延の管理が重要です。
引渡し時点で契約不適合がある契約による買主が占有危険負担ではなく契約不適合責任が問題引渡し後だから全て買主負担とはいえません。

この重要ポイントは、契約書で分けて定めるべき5項目をまとめています。所有権、危険、契約不適合、保険、倒産時回収を一体で見ないと、法務・経理・保険・物流の対応が分断されます。

一文条項では足りません

所有権移転時期、危険移転時期、契約不適合責任の起算点と範囲、保険・保管・使用責任、代金不払い・倒産時の回収権限を別々に設計する必要があります。

Section 01

所有権留保・危険負担の基本用語を分けて理解する

所有権留保、危険負担、所有権移転、検収、占有移転は別概念です。

所有権留保は、代金その他の金銭債務が履行されるまで売主または第三者が目的物の所有権を留保する仕組みです。危険負担は、当事者双方に帰責できない滅失・損傷が生じたとき、代金支払などの反対給付をどう扱うかという制度です。

この一覧は、所有権留保・危険負担で混同されやすい4概念を分けて示しています。各項目の問題の所在と契約条項を見比べ、同じ日付にそろえる必要があるのか、あえてずらすのかを判断してください。

所有権

誰が法的所有者か

代金完済時、契約締結時、引渡時、検収時など、所有権移転時期を合意で設計します。

危険

偶発損害を誰が負うか

火災、地震、盗難、輸送事故など、双方に帰責できない滅失・損傷の経済的負担を定めます。

検収

契約内容に合うかを確認

検収は目的物の種類、品質、数量の確認手続であり、危険移転とは別に設計できます。

占有

誰が物理的に支配するか

納入、荷卸、据付、第三者倉庫保管など、実際に誰が目的物を管理するかを示します。

この比較表は、概念ごとの典型条項を整理しています。左列の概念を混同せず、中央列の問題の所在と、右列の条項例がそれぞれ別の役割を持つことを確認してください。

概念問題の所在典型的な条項
所有権移転誰が所有者か所有権は代金完済時に移転する。
危険移転偶発的滅失・損傷の経済的負担危険は納入時に買主へ移転する。
検収契約内容への適合確認検収合格をもって受領完了とする。
占有移転物理的支配の移転売主は指定場所に納入する。
Section 02

所有権留保・危険負担を現行民法で整理する

民法536条、567条、契約不適合責任の関係を確認します。

民法536条は、双方に帰責できない履行不能が生じた場合の反対給付の履行拒絶を定めます。売買では、民法567条が引渡し後の危険移転を具体化し、目的物引渡し後の偶発的滅失・損傷について買主が代金支払を拒めない場面を定めています。

この判断の流れは、目的物が滅失・損傷したときに、危険負担、契約不適合責任、売主・買主の帰責事由を分ける順番を表します。上から順に、引渡し前後、帰責事由、契約内容への適合を確認してください。

滅失・損傷時の確認順序

目的物の状態を確認

滅失、損傷、盗難、輸送事故、火災などの事実を整理します。

引渡し前か後か

民法536条と567条のどちらが中心になるかを切り分けます。

双方に帰責できないか

売主の梱包不備、買主の保管不備、第三者原因を確認します。

不適合あり
契約不適合責任を検討

追完、代金減額、損害賠償、解除が問題になります。

偶発事故
危険移転条項を確認

引渡し、受領遅延、検収、保険の条項を確認します。

この比較表は、民法上の主要ルールを実務論点に置き換えたものです。条文番号そのものより、どの場面で買主が代金支払を拒めるか、どの場面で契約不適合責任が残るかを読み取ってください。

ルール場面実務上の読み方
民法536条1項引渡し前に双方無帰責で履行不能買主は代金支払を拒めるのが原則です。
民法536条2項履行不能が買主側の帰責事由による買主は代金支払を拒めない可能性があります。
民法567条1項引渡し後に双方無帰責で滅失・損傷買主はその滅失・損傷を理由に代金支払を拒みにくくなります。
民法567条2項履行提供後に買主が受領拒絶・受領不能受領遅延後の偶発リスクが買主側へ移ることがあります。
契約不適合責任引渡し時点で品質・数量などが不適合危険負担とは別に売主責任が残る可能性があります。
Section 03

所有権留保・危険負担の典型場面を契約で読む

火災、引渡し前滅失、検収遅延、運送中損傷を想定します。

企業実務では、同じ所有権留保付き売買でも、事故の時点と原因で結論が変わります。高額設備、継続供給、運送、検収の各場面では、危険移転時期と保険の開始時期をそろえることが重要です。

この一覧は、典型的な4場面を、見るべき契約条項と実務上の対応に分けたものです。各項目は時系列が異なるため、事故が引渡し前か後か、検収前か後か、運送中かを読み取ってください。

01

納入後、代金未払いの装置が火災で滅失

所有権は売主に留保されていても、危険は買主側へ移っていることがあります。買主の付保義務、保険金の充当、担保価値喪失への備えが重要です。

保険
02

引渡し前に中古機械が地震で滅失

引渡し前の履行不能として、買主が代金支払を拒める場面が中心になります。所有権留保より、売主の引渡債務と危険負担が問題になります。

引渡前
03

買主が検収を先延ばしにした後の損傷

売主が契約内容に適合する目的物を履行提供していた場合、受領遅延後の危険を買主が負う可能性があります。

検収
04

運送中の商品が損傷

出荷時、運送人引渡時、到着時、荷卸完了時、検収合格時のどこで危険が移るかを契約・運送条件で確認します。

物流

この比較表は、物流条件ごとの危険移転時期を整理するための見方です。左列の設定が変わると、中央列のリスク負担者と右列の付保・証拠管理が変わります。

危険移転時期売主側の関心買主側の関心
出荷時出荷後の輸送事故を買主側リスクとしやすいです。運送保険と梱包責任を確認する必要があります。
運送人引渡時運送人への引渡し証拠が重要です。運送約款、損害発見時の通知期限を確認します。
指定場所到着時到着前の事故は売主側に残りやすくなります。荷受け記録と検品の体制を整えます。
検収合格時検収遅延時のリスクが長く残る可能性があります。検収基準と検収期限を明確にします。
Section 04

所有権留保の法的性質と類型ごとの危険負担設計

単純型、拡大型、継続的取引型、転売承諾型、第三者与信型で論点が異なります。

所有権留保は形式的には所有権を売主に残す合意ですが、実質的には売買代金債権を担保する制度として機能します。買主は目的物を占有・使用し、場合によっては転売・加工するため、契約、担保、倒産、会計、物流、保険が交差します。

この比較表は、所有権留保の類型ごとに主な論点を整理しています。左列でどの取引に近いかを確認し、中央列で担保の範囲、右列で危険負担や契約設計上の注意を読み取ってください。

類型内容主な論点
単純所有権留保当該目的物の代金完済まで所有権を留保します。引渡し後の危険負担、倒産時の権利行使、対抗要件。
拡大所有権留保当該目的物代金だけでなく、他の債務も担保します。被担保債権の範囲、第三者対抗、過剰担保、倒産上の扱い。
継続的取引型継続納入される在庫・原材料に適用します。在庫特定、混和・加工・転売、集合動産担保との競合。
転売承諾型通常営業上の転売を認めます。売掛金や転売代金債権への代替的担保。
第三者与信型信販会社・ファイナンス会社が関与します。登録、法定代位、独自担保合意、倒産時の対抗。
登録動産型自動車など登録が公示として重要な動産です。登録名義、倒産手続開始時点の名義、別除権行使。

この注意点一覧は、拡大所有権留保を採用するときに争点化しやすい要素をまとめたものです。所有権を広く留保するほど、第三者や金融機関、倒産手続に与える影響が大きくなるため、各項目の説明可能性を確認してください。

被担保債権の広さ

一切の債務を担保すると、目的物と債権の対応が弱くなります。

対象物の特定

在庫や原材料では、ロット、支払状況、保管場所が重要です。

金融機関担保との競合

ABLや集合動産譲渡担保との優劣が争点になります。

倒産手続への影響

事業継続に必要な物を広範に押さえると、手続内の調整が必要になります。

Section 05

所有権留保・危険負担を判例と2025年新法で点検する

登録名義、法定代位、継続的売買、新法上の第三者対抗を確認します。

所有権留保の判例では、同じ所有権留保でも、法定代位型か独自担保取得型か、登録名義が誰か、買主がそもそも所有権を取得したかが重視されます。危険負担条項と合わせて、権利構造を契約時に明確にする必要があります。

この時系列は、所有権留保に関する主要判例と新法制の流れを整理したものです。上から順に、登録名義、法定代位、集合動産担保との競合、2025年の法制化へ進む流れを確認してください。

2010年

信販会社の独自担保構成と登録名義

信販会社を所有者とする登録がない場合、別除権としての行使が制限されました。

2017年

保証人の法定代位と販売会社名義登録

販売会社名義の登録がある場合、保証人が法定代位で取得した留保所有権を行使できると判断されました。

2018年

継続的売買と集合動産譲渡担保

期間ごとの代金完済まで所有権が売主に留保され、金融機関の集合動産担保に優先する結論が示されました。

2025年

譲渡担保法の成立・公布

所有権留保契約の効力、実行、倒産手続、第三者対抗などについて、明文化されたルールへの移行が始まりました。

この比較表は、新法下で所有権留保契約を点検する観点を整理しています。単純型、拡大型、第三者与信型、登録動産型を同じ扱いにしないことが読み取りの中心です。

点検項目見るべき内容実務対応
契約類型売主留保型か、第三者与信型か。売買契約、支払委託、保証、登録名義を整合させます。
被担保債権代金債務だけか、手数料・費用・他債務を含むか。狭義か拡大型かを明確にし、対抗要件を確認します。
登記・登録留保売主等を所有者とする登記・登録が必要か。自動車、登録動産、所有権留保登記制度への対応を検討します。
倒産解除条項再生・更生申立て等を解除事由とする特約が有効か。新法施行後に制限される可能性を前提に見直します。
Section 06

所有権留保・危険負担条項を一体で設計する

所有権、危険、保険、転売、契約不適合、回収を分けて記載します。

所有権留保・危険負担の条項は、所有権は代金完済まで売主に留保し、危険は引渡し時に買主へ移転する、といったように分けて書く必要があります。ただし、引渡し時点の契約不適合、売主の故意・過失、梱包不備、売主手配の運送事故などは、危険負担で免責されるとは限りません。

この比較表は、契約書で分けるべき条項を目的別に整理しています。左列の条項ごとに、中央列の狙いと右列の注意点を確認し、一文だけの所有権留保条項に依存しない構成にしてください。

条項狙い注意点
所有権留保金銭債務完済まで所有権を売主に留保します。譲渡、担保提供、移設、改造、第三者占有の制限を実態に合わせます。
危険負担滅失、毀損、盗難などの危険移転時期を明確にします。契約不適合や売主帰責事由を免責しないことを明示します。
保険危険移転後の担保価値喪失に備えます。保険金額、付保開始、証券提出、保険金充当を定めます。
通常営業上の転売商流を止めずに担保機能を維持します。支払遅滞時の在庫報告、転売停止、転売代金の優先充当を定めます。
返還・換価・充当不払い時の回収と清算を透明にします。無断搬出を避け、評価額、費用、残債務、清算金を整理します。

この一覧は、所有権と危険を分けたうえで、実務上連動させる項目を示しています。契約書、保険、会計、物流の担当が同じ時点を共有しているかを確認してください。

01

危険移転時期と付保開始時期をそろえる

危険が買主へ移る時点から保険が有効になっていないと、目的物を失い代金債務だけが残る可能性があります。

保険
02

検収は契約不適合の確認手続として設計する

検収合格まで危険を売主に残すのか、納入時に危険を移すのかを明確にします。

検収
03

転売を認めるなら代替的担保を検討する

転売代金債権、債権譲渡担保、代理受領、信用保険との整合を確認します。

転売
Section 07

売主・買主双方から見た所有権留保・危険負担の実務対応

契約前審査、納入後管理、不払い時、金融機関担保、会計税務を横断します。

売主側では、所有権留保を採用するかを与信審査と連動させ、目的物の識別可能性、搬出可能性、減価速度、保険、他担保との競合、倒産時の重要性を確認します。買主側では、所有権留保条項を定型文として軽視せず、資金調達、事業継続、保険、会計に与える影響を確認します。

この比較表は、売主側と買主側で確認すべき項目を並べたものです。列ごとに利害が異なるため、交渉時にはどちらのリスクをどの条項で処理するかを読み取ってください。

項目売主側の確認買主側の確認
信用・担保決算書、支払実績、与信限度、既存担保を確認します。ABLや集合動産担保と仕入先所有権留保が競合しないか確認します。
目的物個体識別、転売可能性、撤去費用、再販売価値を確認します。使用、移設、加工、転売の制限が事業運営に支障を与えないか確認します。
危険と保険担保価値喪失に備え、保険金充当や証券提出を求めます。危険移転時から付保され、保険金を受けられる設計か確認します。
不払い時対象物、未払い、所在、任意返還、保全手続を確認します。過剰回収、清算義務違反、事業妨害にならない手続を求めます。
会計・税務売上認識、棚卸、貸倒引当、注記との整合を確認します。資産計上、減価償却、リース判定、消費税・法人税を確認します。

この一覧は、納入後から紛争時まで売主側が証拠化すべき事項を整理しています。目的物の法的構成だけでなく、事実認定が勝敗を左右するため、各項目を台帳と資料でつなげてください。

納入後

対象物を台帳で追跡

シリアル番号、型番、納品日、設置場所、所有権留保対象であることを記録します。

不払い時

無断搬出を避ける

任意返還、仮処分、引渡請求、倒産手続上の権利行使を検討します。

紛争時

評価と清算を透明にする

回収後は評価額、売却代金、費用、残債務、清算金を説明できるようにします。

Section 08

所有権留保・危険負担の主張立証とチェックリスト

売主、買主、管財人、金融機関の主張を想定して準備します。

所有権留保に基づく返還や別除権行使を主張する売主は、売買契約の成立、所有権留保条項、対象物の特定、被担保債権の未払い、第三者対抗、公示、倒産手続開始時点の状況、回収・換価・充当の適正性を示す必要があります。

この比較表は、売主が主張する事実と、買主側・管財人側・金融機関側が検討しやすい反論を対応させたものです。左列と右列を対比し、契約書だけでなく納品書、写真、台帳、保険証券まで準備する必要性を読み取ってください。

売主が示すべき事項想定される反論準備する資料
所有権留保条項の合意条項が合意されていない、約款が組み込まれていない。基本契約、注文請書、約款同意ログ、メール。
対象物の特定商品が特定できない、他社品や完済品が混ざっている。シリアル番号一覧、ロット、写真、在庫台帳。
未払いと所有権未移転代金が完済されている、入金充当が別である。請求書、入金明細、充当ルール、残高表。
第三者対抗・公示登録名義や登記が不足している。登録事項、登記資料、契約類型の整理。
回収・換価・充当の適正性過剰回収、清算不備、占有侵害である。返還確認書、評価資料、売却記録、費用明細。

このチェック一覧は、契約レビューで売主側と買主側が確認する項目をまとめています。所有権、危険、保険、倒産、会計を同時に見て、抜けている管理項目を洗い出してください。

売主側

所有権留保条項、危険負担、検収、保険、対象物特定、転売・加工、倒産時対応、登録・登記、自力救済防止を確認します。

買主側

留保範囲、危険移転、付保、使用・移設制限、金融機関担保、倒産解除、会計・税務、サプライチェーンへの影響を確認します。

高額設備

所有権は代金完済まで留保、危険は納入・据付完了時に移転、検収は契約不適合確認として整理する設計が考えられます。

継続供給

各納入商品の代金完済まで所有権を留保し、通常営業上の転売を認めつつ、支払遅滞時の在庫報告と転売停止を定めます。

Section 09

所有権留保・危険負担のFAQ

一般情報として、個別案件の判断と分けて整理します。

所有権留保があれば、危険も売主が負いますか。

一般的には、所有権と危険負担は別問題とされています。引渡し後の偶発的滅失・損傷については、民法567条の構造上、買主が代金支払を拒めない場面があります。ただし、契約条項、引渡し状況、事故原因、保険、検収の定めによって結論は変わるため、具体的には資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

危険が買主に移転すれば、売主の契約不適合責任も消えますか。

一般的には、危険負担と契約不適合責任は区別されます。危険負担は契約内容に適合した目的物の偶発的滅失・損傷を扱う制度であり、引渡し時点で契約不適合がある場合は、追完、代金減額、損害賠償、解除が問題となる可能性があります。

買主が倒産したら、売主は所有権留保物をすぐ引き揚げられますか。

一般的には、無断引揚げは避ける必要があります。所有権留保条項の効力、対象物の特定、登録・対抗要件、倒産手続の種類、占有状況を確認し、任意返還、保全、訴訟、別除権行使など適法な方法を検討します。

新法施行前の契約も見直す必要がありますか。

一般的には、所有権留保を利用している企業は、施行前に取引基本契約、約款、発注書、ファイナンス契約、倒産解除条項、登録・登記運用を棚卸しすることが望ましいとされています。対象契約の類型や経過措置の扱いで対応は変わります。

検収合格まで危険を売主に残すべきですか。

一般的には、検収を危険移転の条件にするか、契約不適合確認の手続にとどめるかは、目的物の性質、据付・試運転の有無、保険、物流条件によって変わります。高額設備やカスタム品では、危険移転と検収の関係を明示しておく必要があります。

Guide

所有権留保・危険負担で次に確認したいこと

目的に近い詳しい解説へ進めるよう、関連するテーマを整理しました。

知りたい内容を選ぶと、手続、費用、地域、具体的な論点などの詳しい解説に進めます。

このテーマから次に確認されやすい詳しい解説を8件表示しています。

Reference

参考資料と根拠情報

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」
  • 法務省「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」に関する公表資料
  • e-Gov法令検索「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」
  • e-Gov法令検索「破産法」
  • e-Gov法令検索「民事再生法」

裁判例

  • 最高裁判所平成29年12月7日第一小法廷判決
  • 最高裁判所平成30年12月7日第二小法廷判決
  • 最高裁判所平成22年6月4日判決