2σ Guide

INCOTERMS 2020の
主な改定ポイント

FCAの積込済み船荷証券対応、CIPとCIFの保険水準、DATからDPUへの変更、費用・安全義務の明確化まで、国際売買契約で確認する実務論点を整理します。

7 主要な改定項目
11 Incoterms® 2020の規則数
A1-B10 売主・買主の義務構成
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INCOTERMS 2020の 主な改定ポイント

国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。

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INCOTERMS 2020の 主な改定ポイント
国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • INCOTERMS 2020の 主な改定ポイント
  • 国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。

POINT 1

  • INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを全体で押さえます
  • 国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。
  • INCOTERMS 2020の主な改定ポイントは、DATがDPUに変わったという名称変更だけではありません。

POINT 2

  • INCOTERMS 2020の基礎 ― 決めることと決めないこと
  • Incoterms® 2020を売買契約の一部として使うため、対象範囲と限界を分けて確認します。
  • 記載の基本形
  • Incoterms® 2020は、ICCが公表する国際売買の標準規則です。
  • Incoterms®は法律や条約そのものではありません。

POINT 3

  • INCOTERMS 2020の11規則とA条項・B条項の構造
  • あらゆる輸送手段の7規則と、海上・内陸水路運送の4規則を分けて読みます。
  • A2/B2とA3/B3を先に確認します
  • Incoterms® 2020は11規則で構成されます。
  • 各規則では、売主の義務がA1からA10、買主の義務がB1からB10として整理されます。

POINT 4

  • INCOTERMS 2020の改定ポイント1 ― FCAと積込済み船荷証券
  • 1. FCAを選ぶ:実際の引渡しがコンテナヤード、ターミナル、フォワーダーなどで行われるかを確認します。
  • 2. 信用状がon-board B/Lを求める:売主が自力で取得できる書類か、買主側の運送人指図が必要かを確認します。
  • 3. 買主が運送人へ指図する:本船積込後に売主へon-board B/Lを発行するよう、買主が運送人またはフォワーダーに指示します。
  • 4. 書類不一致のリスク:信用状、運送契約、売買契約がずれ、ディスクレや代金回収遅延につながります。
  • 5. FCAの構造を維持:FCA上の引渡し・危険移転と、書類提出義務を分けて整理できます。

POINT 5

  • INCOTERMS 2020の改定ポイント4・5 ―自己輸送とDPU
  • 1. 指定場所を細かく特定:工場名だけでなく、ゲート、搬入口、荷卸し場所、搬入時間、担当者を確認します。
  • 2. 売主が荷卸しを実行できるか:作業員、フォークリフト、クレーン、入場許可、保険、安全教育を確認します。
  • 3. DPUを検討:荷卸し済み引渡しとして、作業範囲と協力義務を明記します。
  • 4. DAPを検討:売主は持込みまでとし、荷卸しは買主側の責任として整理します。

POINT 6

  • INCOTERMS 2020の改定ポイント6・7 ―安全義務と使いやすい構成
  • 輸送安全、通関、制裁、危険品、電子書類に関わる協力義務を契約に接続します。
  • Incoterms® 2020では、安全関連義務が運送、通関、費用項目の中でより明確に扱われます。
  • 次の項目一覧は、安全関連義務が交差する領域をまとめたものです。
  • 該非判定、許可取得、エンドユーザー確認、制裁対象者・制裁国・船舶制裁を確認します。

POINT 7

  • INCOTERMS 2020を規則別に見る法務・実務上の留意点
  • EXWからCIFまで、使ってよい場面と補充する条項を整理します。
  • DDPは法務・税務・通関の承認が前提です
  • Incoterms® 2020の各規則は便利な略語ですが、選び方を誤ると通関、保険、税務、貨物事故の負担が想定とずれます。
  • 規則別の確認事項を一度に見ておくことで、営業・購買・物流から出てくる条件の危険度を素早く判断できます。

POINT 8

  • INCOTERMS 2020の契約レビュー・チェックリスト
  • 1. 記載形式:規則名、指定場所または指定港、Incoterms® 2020の版表示を確認します。
  • 2. 書類間の一致:基本契約、注文書、注文請書、インボイス、信用状、船積書類の条件を照合します。
  • 3. 信用状とFCA:on-board B/L、船積日、取得可能書類、銀行のディスクレリスクを確認します。
  • 4. 保険とD規則:CIF/CIPの保険水準、DAP/DPU/DDPの荷卸し、輸入通関、税負担を確認します。

まとめ

  • INCOTERMS 2020の 主な改定ポイント
  • INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを全体で押さえます:国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。
  • INCOTERMS 2020の基礎 ― 決めることと決めないこと:Incoterms® 2020を売買契約の一部として使うため、対象範囲と限界を分けて確認します。
  • INCOTERMS 2020の11規則とA条項・B条項の構造:あらゆる輸送手段の7規則と、海上・内陸水路運送の4規則を分けて読みます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを全体で押さえます

国際売買契約で誤解が起きやすい引渡し、危険移転、費用、保険、通関、安全義務を先に整理します。

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントは、DATがDPUに変わったという名称変更だけではありません。企業法務では、信用状取引、コンテナ輸送、貨物保険、自己輸送、荷卸し、安全・セキュリティ、社内テンプレート更新を一体で確認することが重要です。

次の比較表は、INCOTERMS 2020で押さえたい7つの改定項目と実務上の意味を並べたものです。列ごとに「何が変わったか」と「契約レビューで何を確認するか」を対比して読むことで、社内の見積、注文書、信用状、保険、物流指示のどこに影響するかを把握できます。

No.改定ポイント実務上の意味
1FCAの積込済み船荷証券対応FCA条件でも、信用状取引などでon-board B/Lが必要な場面に対応しやすくなりました。
2費用分担の一覧性向上各規則のA9/B9で費用項目を確認しやすくなり、ローカルチャージや遅延費用の補充規定を検討しやすくなりました。
3CIFとCIPの保険水準の差別化CIFはC条項相当、CIPはA条項相当が基本となり、高額製品や複合輸送で保険確認がより重要になりました。
4自己手配輸送の明確化FCA、DAP、DPU、DDPで、第三者運送人だけでなく自社車両などによる運送にも対応しやすくなりました。
5DATからDPUへの変更ターミナル以外の任意の場所でも、荷卸し済み引渡しを表現しやすくなりました。
6安全関連義務の明確化輸送安全、輸出入通関、安全関連情報、費用負担を契約上確認しやすくなりました。
7解説ノートと構成の改善専門家以外の営業、購買、物流、経理担当者も、規則選択と危険移転を確認しやすくなりました。

この7項目の本質は、国際売買契約における引渡し、危険移転、費用分担、輸送・保険・通関・安全対応を、現代のサプライチェーン実務に合わせて、より誤解の少ない形で整理した点にあります。

要点Incoterms®は価格条件だけではなく、リスク配分の共通言語です。契約書では規則名、指定場所、採用版を明記し、所有権、検収、支払、責任制限、準拠法、紛争解決と必ず整合させます。
Section 01

INCOTERMS 2020の基礎 ― 決めることと決めないこと

Incoterms® 2020を売買契約の一部として使うため、対象範囲と限界を分けて確認します。

Incoterms® 2020は、ICCが公表する国際売買の標準規則です。日本語実務ではインコタームズ2020と表記されることが多い一方、Incoterms®はICCの登録商標であり、契約書では正式表記、版、指定場所を明確にする必要があります。

次の比較表は、Incoterms®が整理する事項と、別途契約書で定める必要がある事項を分けたものです。ここを分けておくことが重要なのは、Incoterms®だけでは所有権、支払、契約不適合、遅延、紛争解決まで完結しないためです。

Incoterms®で整理しやすい事項別途契約で定める事項
物品の引渡し場所と危険移転時点売買対象物の仕様、数量、品質基準、検査方法
運送手配、輸出入通関、保険手配の分担契約価格、支払条件、信用状条件、送金条件
運賃、保険料、荷卸しなどの基本的な費用分担所有権移転、検収、契約不適合責任、保証
輸送・通関・安全関連情報の協力関係遅延損害金、不可抗力、責任制限、損害賠償
売主・買主のA1/B1からA10/B10の義務構成準拠法、裁判管轄、仲裁、言語、通知方法

Incoterms®は法律や条約そのものではありません。そのため、契約当事者が採用することを契約書に示す必要があります。単にFOBやCIFと書くだけでは、どの版の規則か、どの場所で引渡しや危険移転を考えるかが曖昧になります。

記載の基本形

契約書、注文書、見積書、インボイスでは、規則名、指定場所または指定港、採用版を一続きで記載します。指定場所が曖昧な場合、荷卸し責任、通関責任、費用負担の境界がずれやすくなります。

[Incoterms® rule] [named port/place/point], Incoterms® 2020
FCA Seller's Warehouse, Yokohama, Japan, Incoterms® 2020
CIP Buyer's Plant, Munich, Germany, Incoterms® 2020
DPU Buyer's Distribution Center, Bangkok, Thailand, Incoterms® 2020
CIF Port of Shanghai, China, Incoterms® 2020

特に日本企業が英文売買契約を締結する場合、Incoterms®上の危険移転と、日本法、外国法、CISG上の危険負担、所有権移転、検収、支払義務との関係を別途確認します。

Section 02

INCOTERMS 2020の11規則とA条項・B条項の構造

あらゆる輸送手段の7規則と、海上・内陸水路運送の4規則を分けて読みます。

Incoterms® 2020は11規則で構成されます。コンテナ貨物、航空貨物、複合一貫輸送、国際宅配便を含む現代物流では、あらゆる輸送手段に使える規則を適切に選ぶことが実務上重要です。

次の比較表は、11規則を輸送手段別に整理したものです。分類を見る理由は、FOB、CFR、CIFをコンテナ貨物に機械的に使うと、実際の貨物管理と危険移転時点がずれることがあるためです。

分類規則日本語の一般的理解確認の重点
すべての輸送手段EXW工場渡し輸出者、輸出通関、税務証憑を確認します。
FCA運送人渡し指定場所と運送人への引渡しを確認します。
CPT輸送費込み運賃負担と危険移転のずれを確認します。
CIP輸送費保険料込みA条項相当の保険と付保区間を確認します。
DAP仕向地持込渡し荷卸し前の引渡しと輸入通関を確認します。
DPU荷卸込持込渡し売主の荷卸し実行能力と安全責任を確認します。
DDP関税込持込渡し輸入者登録、税務、許認可を確認します。
海上・内陸水路FAS船側渡し船側での引渡しと港湾費用を確認します。
FOB本船渡し本船上引渡しを観念できる貨物か確認します。
CFR運賃込み運賃負担と本船上危険移転を確認します。
CIF運賃保険料込みC条項相当で足りるか確認します。

各規則では、売主の義務がA1からA10、買主の義務がB1からB10として整理されます。Incoterms® 2020では、引渡しと危険移転に関する項目が上位に置かれ、A2/B2が引渡し、A3/B3が危険移転として読みやすくなっています。

確認順序国際売買紛争では、誰が運賃を払うかより先に、どこで引渡しが完了したか、いつ危険が移転したか、誰が貨物を管理できたか、誰が保険で備える立場だったかが問題になりやすいです。

次の重要ポイントは、A条項・B条項を読むときの確認対象をまとめたものです。順番に確認することで、費用だけに目を奪われず、引渡し、危険、書類、通関、保険、安全関連義務を同時に整理できます。

A2/B2とA3/B3を先に確認します

引渡しと危険移転を先に特定し、その後にA4/B4の運送、A5/B5の保険、A7/B7の通関、A9/B9の費用を確認すると、契約レビューの見落としを減らせます。

Section 03

INCOTERMS 2020の改定ポイント1 ― FCAと積込済み船荷証券

コンテナ輸送と信用状取引のずれを、FCA補充条項でどう扱うかを確認します。

Incoterms® 2020で企業法務上とくに重要なのが、FCAにおけるon-board B/L対応です。信用状では銀行が積込済み船荷証券を求めることが多い一方、コンテナ貨物では売主が本船上ではなく、コンテナヤードやフォワーダーに貨物を引き渡すことが一般的です。

次の判断の流れは、FCAを使いながら信用状上の船荷証券要求へ対応する場面を表しています。順番を確認することが重要なのは、FCA上の引渡し・危険移転と、銀行に提出する船積書類の取得時点が一致しないことがあるためです。

FCAでon-board B/Lを扱うときの判断の流れ

FCAを選ぶ

実際の引渡しがコンテナヤード、ターミナル、フォワーダーなどで行われるかを確認します。

信用状がon-board B/Lを求める

売主が自力で取得できる書類か、買主側の運送人指図が必要かを確認します。

買主が運送人へ指図する

本船積込後に売主へon-board B/Lを発行するよう、買主が運送人またはフォワーダーに指示します。

未整合
書類不一致のリスク

信用状、運送契約、売買契約がずれ、ディスクレや代金回収遅延につながります。

整合済み
FCAの構造を維持

FCA上の引渡し・危険移転と、書類提出義務を分けて整理できます。

この改定は、FCAなら常に売主が船荷証券を取得できるという意味ではありません。買主の運送人指図、B/L交付方法、発行遅延時の責任、発行費用、信用状条件、船積期限とFCA引渡日のずれ、積込前損傷時の処理を契約、信用状、運送指示で整合させます。

FCA補充条項の例

次の英文例は、FCAの引渡し・危険移転と、信用状上の船積書類提出義務を分けて扱うための補充条項です。個別案件では、信用状条件、運送契約、保険、準拠法に合わせて調整します。

Delivery term: FCA Seller's warehouse, Osaka, Japan, Incoterms® 2020.
The Buyer shall instruct its carrier or freight forwarder to issue to the Seller an on-board bill of lading after the goods have been loaded on board the vessel.
The Seller shall tender such bill of lading to the Buyer or the issuing bank solely for the purpose of complying with the documentary credit requirements.
Any delay or failure by the carrier to issue such bill of lading shall not alter the time of delivery or transfer of risk under the FCA rule, unless otherwise expressly agreed in this Agreement.
注意コンテナ貨物でFOBを形式的に使い続けると、売主がターミナルへ貨物を引き渡した後、本船積込前に損傷した場合の管理可能性と危険移転時点がずれやすくなります。
Section 04

INCOTERMS 2020の改定ポイント2・3 ― 費用分担とCIF/CIP保険

A9/B9の費用整理と、CIPで強化された貨物保険の確認ポイントを扱います。

Incoterms® 2020では、各規則に関係する費用がA9/B9で確認しやすくなりました。これは編集上の改善にとどまらず、港湾費用、保管料、通関費用、セキュリティ費用、検査費用、デマレージ、ディテンションなどを契約書で補う起点になります。

次の項目一覧は、費用分担で争われやすい費用を原因別に整理したものです。どの費用が基本条件に含まれるか、どの費用が原因者負担となるかを読み取ることで、見積書、注文書、インボイス、物流見積の不一致を発見しやすくなります。

通関・税費用

輸出通関費用、輸入通関費用、関税、消費税、VAT、GSTの負担者を確認します。

税務連携

港湾・保管費用

ターミナルハンドリングチャージ、倉庫料、滞船料、デマレージ、ディテンションを確認します。

遅延注意

書類・検査費用

船荷証券、保険証明書、原産地証明、検査費用、セキュリティ関連費用の負担を確認します。

書類条件

費用分担をめぐる紛争を防ぐには、見積書と契約書、基本契約と個別契約、注文書と注文請書、インボイスと信用状条件を横断確認します。遅延・滞留費用は、書類不備、通関不備、支払遅延、荷受遅延など原因別に負担者を定めると整理しやすくなります。

次の比較表は、CIFとCIPの違いを整理したものです。両者は売主が運送と保険を手配する点で似ていますが、対象輸送、危険移転、保険水準が異なるため、高額製品やコンテナ輸送では読み違えないことが重要です。

項目CIFCIP
対象輸送海上・内陸水路運送すべての輸送手段
典型用途バルク商品、海上輸送商品製品、コンテナ、複合輸送、高額機械
危険移転原則として本船上での引渡し時原則として最初の運送人への引渡し時
売主の保険手配Institute Cargo Clauses(C)相当が基本Institute Cargo Clauses(A)相当が基本

CIPでは保険水準が強化されていますが、売主が保険をかけることと、危険が売主に残ることは別です。CIPでは、売主が仕向地までの運送費・保険料を負担しても、危険移転は通常、最初の運送人への引渡し時に生じます。

保険条項で確認する事項

  • 付保区間、保険金額、被保険者、保険金受取人を明記します。
  • インボイス価額の110%など、保険金額の基準を確認します。
  • 免責金額、除外危険、梱包不備、遅延、温度管理、戦争、ストライキ、テロ、制裁の扱いを確認します。
  • 保険証券・保険証明書の提出期限、事故通知、サーベイ、証拠保全、保険金請求協力を定めます。
The Seller shall procure cargo insurance covering the goods from the place of delivery to the named place of destination on terms no less favourable than Institute Cargo Clauses (A), including, where commercially available and agreed by the parties, war, strikes, riots and civil commotions extensions, with the Buyer named as beneficiary or loss payee.
Section 05

INCOTERMS 2020の改定ポイント4・5 ― 自己輸送とDPU

自社車両などによる運送と、DATからDPUへの変更による荷卸し責任を整理します。

Incoterms® 2020は、すべての商取引で第三者運送人が利用されるわけではないことを踏まえ、FCA、DAP、DPU、DDPにおける自己手配輸送を明確化しました。自社トラック、グループ物流、専用車両、特殊輸送を使う取引では、運送人責任に頼れない部分を契約と保険で補います。

次の注意点一覧は、自己輸送で確認する責任と保険をまとめたものです。第三者運送約款がない場合、貨物損害だけでなく、荷役中の人身事故、施設損害、第三者賠償まで広がる可能性がある点を読み取ります。

貨物事故

自社車両の事故時に、貨物損害を売主・買主のどちらが負担し、どの保険で処理するかを確認します。

荷役作業

荷積み・荷卸し時の作業責任、安全衛生、作業員の過失、施設損害の負担を確認します。

国境通過

国境を越える場合、通関、運行許可、危険品規制、制裁、輸出管理との整合を確認します。

DATからDPUへの変更も、実務上の重要論点です。旧DATのTerminalという表現では、引渡場所がターミナルに限られるように読まれやすかったため、DPUでは任意のPlaceで荷卸し済み引渡しを表現しやすくなりました。

次の比較表は、DAPとDPUの違いを整理したものです。両者とも指定場所まで売主が持ち込む点は似ていますが、荷卸しを誰が行うか、危険移転が荷卸し前か後かが異なるため、指定場所の設備・人員・安全責任を必ず確認します。

項目DAPDPU
指定場所仕向地の指定場所仕向地の指定場所
売主の基本義務到着した輸送手段上で、荷卸し準備ができた状態で引き渡します。指定場所で荷卸し済みの状態で引き渡します。
荷卸し原則として買主側が行います。売主側が行います。
危険移転荷卸し前に移転します。荷卸し後に移転します。
確認の焦点荷卸し作業中の損傷リスクを誰が負うかを確認します。売主が設備、人員、安全責任を負えるかを確認します。

次の判断の流れは、DAPとDPUを選ぶ際の確認順を表しています。指定場所で売主が荷卸しを実行できるか、安全ルールや設備を確保できるかを先に見ることで、安易な「顧客先まで全部込み」の約束を避けられます。

DAPとDPUを選ぶ判断の流れ

指定場所を細かく特定

工場名だけでなく、ゲート、搬入口、荷卸し場所、搬入時間、担当者を確認します。

売主が荷卸しを実行できるか

作業員、フォークリフト、クレーン、入場許可、保険、安全教育を確認します。

可能
DPUを検討

荷卸し済み引渡しとして、作業範囲と協力義務を明記します。

困難
DAPを検討

売主は持込みまでとし、荷卸しは買主側の責任として整理します。

Delivery term: DPU Buyer's Warehouse, Gate 3, Loading Bay No. 2, 1-2-3 Example Street, Bangkok, Thailand, Incoterms® 2020.
The Seller shall be responsible for unloading the goods from the arriving means of transport at the above-designated unloading bay. The Buyer shall provide reasonable access, safety instructions and necessary cooperation for unloading.
Section 06

INCOTERMS 2020の改定ポイント6・7 ― 安全義務と使いやすい構成

輸送安全、通関、制裁、危険品、電子書類に関わる協力義務を契約に接続します。

国際物流では、テロ対策、航空貨物保安、港湾保安、輸出管理、経済制裁、サイバーセキュリティ、危険品規制、サプライチェーン・セキュリティの重要性が増しています。Incoterms® 2020では、安全関連義務が運送、通関、費用項目の中でより明確に扱われます。

次の項目一覧は、安全関連義務が交差する領域をまとめたものです。Incoterms®だけで各法令や実務が完結するわけではないため、誰が情報を提供し、誰が費用を負担し、誰の不備で遅延したかを読み取ることが重要です。

輸出管理・制裁

該非判定、許可取得、エンドユーザー確認、制裁対象者・制裁国・船舶制裁を確認します。

規制確認

通関セキュリティ

AEO、事前申告、HSコード、原産地表示、輸入者情報、通関書類の正確性を確認します。

通関協力

貨物安全・危険品

航空貨物保安、ISPS Code、コンテナ封印、IMDG Code、IATA DGR、SDS、ラベル表示を確認します。

安全対応

安全関連義務は、抽象的に貨物を安全に運ぶという話ではありません。輸出管理、経済制裁、危険品、通関、電子船荷証券、フォワーダーポータル、輸送データなど、契約外の規制や運用とも接続します。

Each party shall provide the other party with information and documents reasonably required for compliance with applicable export control, customs, sanctions, transport security and cargo security requirements. Any additional costs or delays arising from a party's failure to provide accurate and timely information shall be borne by that party.

Incoterms® 2020は、利用者向け解説ノートや構成も改善されています。ただし、読みやすくなっても、社内で古い条件や誤った雛形が使われ続ければリスクは減りません。法務部門は、2010版の表記、DAT表記、コンテナFOB、CIF/CIPの保険水準、DAP/DPU/DDPの荷卸し・通関・税負担を棚卸しします。

Section 07

INCOTERMS 2020を規則別に見る法務・実務上の留意点

EXWからCIFまで、使ってよい場面と補充する条項を整理します。

Incoterms® 2020の各規則は便利な略語ですが、選び方を誤ると通関、保険、税務、貨物事故の負担が想定とずれます。規則別の確認事項を一度に見ておくことで、営業・購買・物流から出てくる条件の危険度を素早く判断できます。

次の比較表は、主要規則ごとの実務上の注意点をまとめたものです。各行では、どの規則がどの取引で問題になりやすいか、契約書で何を補うかを読み取ります。

規則実務上の注意点契約レビューで確認する事項
EXW売主の義務は小さい一方、輸出取引では買主が輸出通関を行う構造となり、輸出者情報、輸出許可、税務証憑、輸出管理で問題が生じることがあります。輸出者、通関名義、輸出許可、消費税、輸出証憑、輸出管理責任を明確にします。
FCAコンテナ輸送、航空輸送、国際宅配便、複合輸送に適合しやすく、2020年改定で信用状取引にも使いやすくなりました。指定場所、運送人への引渡し、on-board B/L対応、信用状条件を確認します。
CPT・CIP売主が仕向地までの運送費を負担しても、危険移転は通常、最初の運送人への引渡し時に生じます。費用負担の終点と危険移転時点のずれ、CIPの保険証券、付保区間、保険金受取人を確認します。
DAP売主が指定仕向地まで持ち込みますが、荷卸しと輸入通関は原則として買主側の確認事項になります。通関協力、輸入遅延、保管料、デマレージ、再配達費用の原因者負担を定めます。
DPU売主が荷卸しまで負う唯一のD規則です。荷卸し作業中の損傷、安全、設備、入場許可が問題になります。荷卸し場所、設備、人員、作業責任者、安全ルール、保険を具体化します。
DDP買主には便利ですが、売主が輸入国で輸入者になれるとは限らず、税務・許認可・現地規制の確認が重くなります。輸入者登録、VAT/GST登録、関税、輸入許可、IOR、恒久的施設、移転価格を確認します。
FOB・CFR・CIF海上・内陸水路運送の規則で、バルク貨物では有用です。コンテナ貨物では貨物管理と危険移転がずれることがあります。本船上引渡しを観念できる貨物か、FCA・CPT・CIPへ置き換えるかを確認します。

次の重要ポイントは、DDPを採用する前に確認する事項を強調したものです。営業上は顧客に説明しやすい条件でも、現地で輸入者になれない場合や税務登録が必要な場合には、契約条件として実行できない可能性があります。

DDPは法務・税務・通関の承認が前提です

売主が輸入者として登録可能か、輸入国でVAT/GST登録が必要か、輸入許可を取れるか、現地代理人またはImporter of Recordを利用できるかを確認してから採用します。

Section 08

INCOTERMS 2020の契約レビュー・チェックリスト

記載方法、基本契約と個別契約、信用状、保険、D規則の現地実務を確認します。

契約書、注文書、見積書、インボイスでは、Incoterms®の規則名、指定場所、採用版を標準形で記載します。基本契約で「個別契約に定める」としていても、個別契約側が曖昧な場合には、引渡し、危険移転、費用分担が空白になります。

次の判断の流れは、契約レビューで確認する順番を表しています。先に記載形式と優先順位を整え、次に信用状、保険、D規則の現地実務を確認することで、書類・物流・保険・税務の不一致を見つけやすくなります。

契約レビューで確認する順番

記載形式

規則名、指定場所または指定港、Incoterms® 2020の版表示を確認します。

書類間の一致

基本契約、注文書、注文請書、インボイス、信用状、船積書類の条件を照合します。

信用状とFCA

on-board B/L、船積日、取得可能書類、銀行のディスクレリスクを確認します。

保険とD規則

CIF/CIPの保険水準、DAP/DPU/DDPの荷卸し、輸入通関、税負担を確認します。

次の比較表は、レビュー項目を契約文書と社内確認事項に分けたものです。各列を対応させることで、法務だけで完結しない項目を営業、購買、物流、保険、経理・税務へ振り分けられます。

確認対象契約文書で見ること社内で確認すること
取引条件[規則] [指定場所], Incoterms® 2020の形になっているかを確認します。見積、注文、インボイス、信用状が同じ条件かを確認します。
優先順位基本契約、注文書、注文請書、船積書類のどれが優先するかを確認します。個別契約で場所・版が抜けた場合の補完方法を決めます。
FCAと信用状売主が取得できない書類を要求していないかを確認します。買主が運送人へB/L発行を指図する運用を確認します。
CIF/CIP保険保険水準、保険金額、付保区間、保険金受取人を確認します。特殊貨物の特約、事故通知、サーベイ手続を確認します。
D規則荷卸し、輸入通関、関税、VAT/GST、遅延費用を確認します。現地で輸入者になれるか、搬入許可や安全教育が必要かを確認します。

優先順位条項の例

次の英文例は、基本契約、注文書、注文請書、インボイス、船積書類の間で取引条件が食い違う場合の優先関係を定める考え方です。

In the event of any inconsistency among the master agreement, purchase order, order confirmation, invoice and shipping documents with respect to the delivery term, the delivery term expressly stated in the applicable purchase order accepted by the Seller shall prevail, provided that such delivery term specifies the applicable Incoterms® rule, named place or port, and version.
Section 09

INCOTERMS 2020対応は法務だけでなく部門横断で進めます

営業、購買、物流、保険、税務、輸出管理の確認事項を分けます。

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントは、法務部門だけで完結しません。営業は見積・価格条件、購買はサプライヤー条件、物流は運送・通関・船積書類、保険部門は付保範囲、経理・税務は収益認識・関税・VAT、輸出管理部門は該非判定・制裁・最終需要者確認をそれぞれ確認します。

次の比較表は、部門別の確認事項をまとめたものです。どの部門がどの情報を持っているかを読み取ることで、契約レビューの段階で不足情報を早く集められます。

部門主な確認事項
法務Incoterms®条項と所有権、検収、支払、責任制限、準拠法・紛争解決の整合を確認します。
営業見積条件と契約条件の一致、DDPなど過大な引受けの有無を確認します。
購買海外サプライヤー提示条件、輸入通関、保険、納期遅延費用を確認します。
物流・貿易実務指定場所、運送手配、B/L、通関書類、デマレージなどを確認します。
保険・リスク管理CIF/CIPの保険水準、付保区間、被保険者、免責、事故通知を確認します。
経理・税務売上計上、関税・輸入消費税、VAT/GST、輸入者登録、移転価格を確認します。
コンプライアンス・輸出管理輸出者、該非判定、制裁、最終需要者、危険品・製品規制を確認します。

次の重要ポイントは、部門横断の承認が必要な条件をまとめたものです。EXWでの輸出、DDPでの輸出、DPUでの現地荷卸し、CIPでの高額・特殊貨物、信用状条件とIncoterms®条件が一致しない取引は、単独部門で判断しない運用が有効です。

承認が必要な条件を社内で明確にします

EXW、DDP、DPU、高額・特殊貨物のCIP、制裁国・高リスク国・危険品、信用状と取引条件の不一致は、法務・物流・保険・税務・輸出管理の確認を経て進めます。

Section 10

INCOTERMS 2020の典型事例で改定ポイントを確認します

信用状決済、精密機器、現地荷卸し、DDP要求の4場面で実務対応を整理します。

次の一覧は、INCOTERMS 2020の改定ポイントが現れやすい典型事例をまとめたものです。どの場面でFCA、CIP、DPU、DDPが問題になるかを読むことで、取引開始前に確認する資料と社内部門を想定できます。

Case 01

コンテナ貨物を信用状決済で輸出する場合

日本メーカーが欧州買主へコンテナ貨物を輸出し、信用状がon-board B/Lを要求する場合、FCAを採用し、買主が運送人にB/L発行を指図する補充条項を検討します。

Case 02

高額精密機器をCIPで輸出する場合

CIPではA条項相当の保険が基本になりますが、温度逸脱、衝撃、戦争・ストライキ、物流停止などを十分にカバーするには、特約や事故対応手続を確認します。

Case 03

海外顧客の工場で荷卸しまで行う場合

持込みだけならDAP、売主が荷卸しまで行うならDPUが候補になります。ゲート、搬入口、作業時間、クレーン・フォークリフト、安全ルールを具体化します。

Case 04

買主からDDPを求められた場合

DDPは買主に便利ですが、売主が輸入国で輸入者になれるか、VAT/GST登録や輸入許可が必要かを確認します。対応困難な場合はDAPまたはDPUを交渉します。

Section 11

INCOTERMS 2020でよくある誤解と正しい理解

略語だけで判断しないため、典型的な誤解を実務目線で整理します。

次の注意点一覧は、Incoterms®をめぐる誤解と、実務上の正しい理解を並べたものです。誤解のまま契約すると、貨物事故、保険金請求、代金回収、輸入通関、税務登録で想定外の負担が生じます。

Incoterms®だけで売買契約が完成するという誤解

Incoterms®は売買契約の一部であり、価格、支払、所有権、品質保証、遅延責任、紛争解決を包括的に定めるものではありません。

CIPなら貨物事故はすべて売主責任という誤解

CIPでは売主が保険を手配しますが、危険移転は通常、運送人への引渡し時です。保険対応と売主責任を区別します。

DPUは完全な新設規則という誤解

DPUは旧DATを名称変更し、ターミナル以外の場所での荷卸し済み引渡しを表現しやすくしたものです。

FOBは海上輸送なら常に適切という誤解

FOBは海上・内陸水路運送の規則ですが、コンテナ貨物ではFCAの方が実態に合う場合があります。

DDPは買主に有利なので常に採用できるという誤解

売主が輸入者として通関・納税・許認可対応できることが前提です。国によっては現地法人や代理人の確認が必要です。

Section 12

INCOTERMS 2020を社内規程・契約テンプレートへ落とし込みます

理解で終わらせず、規程、雛形、承認手順、ナレッジ管理へ反映します。

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを理解しても、社内の注文書や契約テンプレートが旧版のままではリスクは残ります。取引条件選択ポリシー、契約テンプレート、承認手順、ナレッジ管理に分けて実装します。

次の時系列は、社内導入を進める順番を表しています。古い表記の棚卸しから始め、条件選択、補充条項、承認手順、教育まで進めることで、営業・購買・物流現場での誤用を減らせます。

Step 01

旧版・旧表記の棚卸し

2010版、DAT表記、単独のFOB・CIF表記、指定場所が曖昧な注文書を洗い出します。

Step 02

条件選択ポリシーの策定

コンテナ輸出ではFCAを検討し、高額製品ではCIPの保険条件を個別審査し、DDPは法務・税務・通関承認を条件にします。

Step 03

契約テンプレートの改訂

DATをDPUへ更新し、FCAのon-board B/L対応、CIP保険、D規則の荷卸し・通関・遅延費用条項を追加します。

Step 04

承認手順と教育

EXW、DDP、DPU、高額貨物、制裁国、信用状不一致を承認対象にし、営業・購買・物流向けの選択基準を共有します。

次の一覧は、社内規程で定めると有効な原則をまとめたものです。各項目は、取引条件を選ぶ前に確認する基準として使います。

Policy

コンテナ輸出ではFCAを検討します

実際の引渡しが本船上ではなくターミナルやフォワーダーの場合、FCAと補充条項を優先的に検討します。

Policy

DPUは荷卸し実行可能性を条件にします

売主が設備、人員、保険、安全ルールを確保できる場合に限り、DPUを採用します。

Policy

DDPは承認対象にします

輸入者登録、税務、許認可、現地代理人、制裁・製品規制を確認してから採用します。

Section 13

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントに関するFAQ

よくある疑問を一般的な制度説明として整理します。

Q1. Incoterms® 2010はもう使えないのですか。

一般的には、当事者が合意し、契約書類で版を正しく特定すれば、2020年以降もIncoterms® 2010やそれ以前の版を用いることは可能とされています。ただし、意図しない旧版適用を避けるため、契約書にはIncoterms® 2020のように版を明記する必要があります。個別の取引では、契約文書、信用状、運送書類、準拠法を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q2. DATとDPUは何が違いますか。

一般的には、DPUは旧DATのTerminalという限定的な表現を改め、ターミナル以外の指定場所でも荷卸し済み引渡しを表現しやすくしたものとされています。ただし、指定場所、荷卸し設備、安全ルール、保険の有無によって実務上の結論は変わります。具体的な対応は、取引条件と現地作業内容を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q3. DAPとDPUの違いは何ですか。

一般的には、DAPでは売主は荷卸しを行わず、DPUでは売主が荷卸しまで行う点が大きな違いとされています。荷卸し中の貨物損傷、作業事故、施設損害、安全管理の負担は、指定場所や作業体制で変わります。具体的には、契約書、物流指示書、保険証券、現地規則を確認する必要があります。

Q4. CIPの保険はなぜ強化されたのですか。

一般的には、CIFがバルク商品取引で使われることが多い一方、CIPは製品取引や複合輸送で使われることが多く、より高い保険水準が必要になりやすいためと説明されています。ただし、A条項相当でもすべての損害が補償されるわけではありません。貨物の性質、梱包、温度管理、制裁、戦争・ストライキなどを確認する必要があります。

Q5. FOBは使わない方がよいのですか。

一般的には、FOBはバルク貨物など本船上で引渡しを観念しやすい海上取引では有用とされています。ただし、コンテナ貨物では実際の引渡しがターミナルで行われることが多く、FCAの方が実態に合う場合があります。具体的な選択は、貨物形態、運送手配、信用状条件、保険、現場運用を確認して判断する必要があります。

Q6. Incoterms®は国内取引にも使えますか。

一般的には、Incoterms®は国内取引にも利用可能な規則として整理されています。ただし、国内法、運送約款、倉庫約款、税務処理、検収、所有権移転との整合確認は必要です。個別の契約で使う場合は、取引の実態に合うかを確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Section 14

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを実務へ組み込みます

FCA、CIP、DPU、費用、安全義務を、契約全体のリスク配分として扱います。

INCOTERMS 2020の主な改定ポイントを企業法務の観点から総括すると、まずFCAの重要性が増しています。コンテナ輸送と信用状取引の実務に対応するため、FCAのon-board B/Lオプションを理解し、FOBの慣習的利用を見直します。

CIFとCIPの保険水準の違いも明確に理解します。CIPでは保険水準が強化されていますが、貨物特性に応じた保険設計、特約、事故時の証拠保全と保険金請求協力はなお必要です。

DPUは単なるDATの名称変更ではなく、荷卸し責任を正確に表現するための実務的な道具です。DAPとの違いを明確にし、荷卸し現場の安全、設備、費用、責任を契約で具体化します。

費用、安全、自己輸送、解説ノートの改善は、契約レビューの精度を高めるための改定です。法務部門は、営業・購買・物流・保険・税務・輸出管理と連携し、社内テンプレート、承認手順、教育資料を更新します。

最終確認Incoterms®は契約の一部であって、契約全体ではありません。所有権、支払、検収、契約不適合、遅延、不可抗力、制裁、輸出管理、準拠法、紛争解決を別途規定して、国際売買契約全体のリスク配分を完成させます。
Reference

参考資料・出典

公式情報と公的・準公的な実務解説を中心に確認しています。

公式・準公式情報

  • International Chamber of Commerce, Incoterms® 2020
  • ICC Academy, Incoterms® 2020 vs 2010: What’s changed?
  • ICC日本委員会, ICC出版物(英和対比版)のご案内
  • JETRO, インコタームズ2020|貿易・投資相談Q&A
  • International Trade Administration, U.S. Department of Commerce, Know Your Incoterms
  • International Chamber of Commerce, National regulatory barriers to the Incoterms® 2020 rules

利用上の注意

このページは、企業法務・国際取引実務に関する一般的な情報提供を目的としています。特定の取引、紛争、税務処理、通関、保険金請求、輸出管理、制裁対応についての法的助言ではありません。個別案件では、Incoterms® 2020公式書籍、契約書本文、信用状、運送契約、保険証券、通関書類、準拠法、現地法令を確認し、必要に応じて弁護士、通関士、保険ブローカー、税理士、会計士、物流専門家等に相談する必要があります。