2σ Guide

並行輸入への対応
企業法務・知財・通商規制の実務整理

真正品、模倣品、国内規制違反品、競争法リスクを切り分け、税関・EC・警告書・事故対応まで証拠ベースで判断するための実務ポイントを整理します。

3要件 商標の実務判断
10執務日 税関意見提出の目安
31,760件 2025年の輸入差止件数
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並行輸入への対応 企業法務・知財・通商規制の実務整理

真正品、模倣品、国内規制違反品、競争法リスクを切り分け、税関・EC・警告書・事故対応まで証拠ベースで判断するための実務ポイントを整理します。

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並行輸入への対応 企業法務・知財・通商規制の実務整理
真正品、模倣品、国内規制違反品、競争法リスクを切り分け、税関・EC・警告書・事故対応まで証拠ベースで判断するための実務ポイントを整理します。
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  • 並行輸入への対応 企業法務・知財・通商規制の実務整理
  • 真正品、模倣品、国内規制違反品、競争法リスクを切り分け、税関・EC・警告書・事故対応まで証拠ベースで判断するための実務ポイントを整理します。

POINT 1

  • 並行輸入への対応の全体像
  • 真正品かどうかだけでなく、知財、業法、表示、競争法、証拠管理を一体で確認します。
  • 真正性と国内規制を分けて確認します
  • 権利行使と独禁法の均衡を取ります
  • 税関・EC・消費者対応を証拠で設計します

POINT 2

  • 並行輸入への対応で最初に分ける商品類型
  • 正規輸入、並行輸入、模倣品、個人輸入、輸入代行、越境ECの違いを押さえます。
  • 「本物なら必ず売れる」という理解は不完全です
  • 重要なのは、並行輸入品が偽物と同義ではないことです。
  • 一方で、真正品に見える商品でも、日本の知財権や業法、安全規制、表示規制に適合しない場合があります。

POINT 3

  • 並行輸入への対応に必要な法的地図
  • 1. 対象商品を特定します:商品名、型番、SKU、ロット番号、シリアル番号、販売ページ、仕入経路を押さえます。
  • 2. 商品カテゴリと知財権を確認します:商標、特許、意匠、著作権、不正競争防止法の対象かを確認します。
  • 3. 侵害・規制違反の証拠を整理します:税関、警告、EC申告、行政相談、販売停止の必要性を検討します。
  • 4. 表示・保証・事故対応を整えます:販売継続時も国内法令、返品条件、PL体制、記録保存を確認します。

POINT 4

  • 商標法から見る並行輸入への対応
  • 契約範囲外の製造
  • 検査落ち品・横流し品
  • 品質検査を経ていない余剰品、検査落ち品、正規工場から流出した部材の組立品は、真正品と評価できるかが問題になります。

POINT 5

  • 特許・意匠・著作権から見る並行輸入への対応
  • BBS事件、再生品、デザイン、著作物、不正競争防止法の論点をまとめます。
  • 特許権では、特許権者が特許製品を販売した後の転売等に特許権を行使できるかという消尽が問題になります。
  • 並行輸入では、海外で販売された特許製品について、日本の特許権者が日本国内で権利行使できるかが問題になります。
  • 次の項目一覧は、特許権が並行輸入で争点化しやすい商品を整理しています。

POINT 6

  • 税関・業法から見る並行輸入への対応
  • 1. 差止申立・識別資料の準備:権利者は登録情報、真正品と模倣品の比較、侵害理由、写真、シリアル番号、専門家意見を整理します。
  • 2. 認定手続開始通知を確認:輸入者と権利者は期限を管理し、意見・証拠の提出準備を始めます。
  • 3. 真正性・権利関係・業法適合を提出:仕入証憑、三要件、BBS基準、表示、許可、届出、保管状態、偽物識別点への反論を整理します。
  • 4. 通関解放・交渉・販売判断:手続が長引く場合は、担保や要件を踏まえた通関解放、権利者交渉、販売停止判断を検討します。

POINT 7

  • 独占禁止法から見る並行輸入への対応
  • 1. 発見情報を登録します:営業・代理店管理部門が販売ページ、価格、販売者、商品現物、消費者相談を記録します。
  • 2. 知財と品質を評価します:知財部門が商標・特許・意匠を確認し、品質保証・薬事・製品安全部門が品質差や安全差を確認します。
  • 3. 独禁法リスクを確認します:法務・コンプライアンス部門が、価格維持目的や販売ルート保護目的に見えないかを確認します。
  • 4. 重大案件を経営層へ報告します:外部専門家レビューを経て、税関、EC申告、警告、訴訟、注意喚起の範囲を決めます。

POINT 8

  • EC表示・PLから見る並行輸入への対応
  • 電気製品・バッテリー
  • 発火、感電、リチウムイオン電池、輸送規制、リコール対応を確認します。
  • 医療・健康・美容機器
  • 薬機法該当性、添付文書、保守点検、広告表現、安全性を確認します。

まとめ

  • 並行輸入への対応 企業法務・知財・通商規制の実務整理
  • 並行輸入への対応の全体像:真正品かどうかだけでなく、知財、業法、表示、競争法、証拠管理を一体で確認します。
  • 並行輸入への対応で最初に分ける商品類型:正規輸入、並行輸入、模倣品、個人輸入、輸入代行、越境ECの違いを押さえます。
  • 並行輸入への対応に必要な法的地図:商品と取引スキームを複数のレイヤーに分解し、担当部門と証拠を対応させます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

並行輸入への対応の全体像

真正品かどうかだけでなく、知財、業法、表示、競争法、証拠管理を一体で確認します。

このページは、並行輸入への対応を企業法務、知的財産、通商規制、消費者保護、内部統制の観点から整理する一般情報です。個別案件の適法性、警告書への回答、税関手続、訴訟対応、行政対応、契約交渉は、商品類型、権利関係、輸入経路、表示、販売態様、関係国法、最新実務で結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、弁理士、通関業者、所管官庁、専門検査機関等へ確認する必要があります。

並行輸入への対応で重要なのは、過度に止めるリスクと、規制違反品を見逃すリスクの両方を管理することです。次の三つの項目は、権利者側、輸入者側、EC運営者側のいずれにも共通する確認軸を表しており、初動で何を優先して調べるべきかを読み取るために重要です。

Point 01

真正性と国内規制を分けて確認します

海外で正規に販売された商品でも、日本で販売できるとは限りません。偽物、無許諾品、契約違反製造品、国内規制違反品を分けて見ます。

Point 02

権利行使と独禁法の均衡を取ります

品質、安全、表示、契約違反を根拠にした措置はあり得ますが、価格維持や流通ルート保護だけに見える排除は独禁法リスクを高めます。

Point 03

税関・EC・消費者対応を証拠で設計します

仕入書、シリアル番号、品質検査、表示、保証範囲、行政手続書類をそろえておくと、税関通知や出品停止への対応力が上がります。

次の強調箇所は、並行輸入への対応で誤解されやすい結論を短く示しています。単に安い商品を止める、または本物だから自由に売る、という二分法から離れることが重要です。

並行輸入は、常に違法でも常に自由でもありません

商標ではフレッドペリー事件の三要件、特許ではBBS事件の考え方、さらに薬機法、食品衛生法、PSE、PSC、電波法、景品表示法、特定商取引法、PL法などを段階的に確認します。

Section 01

並行輸入への対応で最初に分ける商品類型

正規輸入、並行輸入、模倣品、個人輸入、輸入代行、越境ECの違いを押さえます。

並行輸入とは、国内総代理店、国内正規代理店、国内販売子会社などの公式ルートとは別の経路で、海外で流通した商品を日本へ輸入する取引を指します。重要なのは、並行輸入品が偽物と同義ではないことです。一方で、真正品に見える商品でも、日本の知財権や業法、安全規制、表示規制に適合しない場合があります。

次の比較表は、似ている取引類型を整理したものです。どの類型に当たるかで、見るべき法律、証拠、表示、販売可否が変わるため、初動で分類を誤らないことが重要です。各行では、取引の基本的な意味と主な法的論点を読み取ります。

概念基本的な意味主な法的論点
正規輸入国内正規代理店、国内販売子会社、総代理店等の公式ルートによる輸入です。代理店契約、販売店契約、表示、保証、業法遵守を確認します。
並行輸入公式ルートとは別の第三者が、海外で流通した商品を輸入します。商標、特許、税関、独禁法、表示、安全規制を横断して確認します。
模倣品・偽物権利者の許諾なく商標等を付した商品です。商標法、意匠法、著作権法、不正競争防止法、関税法、刑事責任が問題になります。
個人輸入個人が自己使用目的で海外から購入・輸入する行為です。薬機法、関税、数量制限、販売禁止、模倣品輸入禁止を確認します。
輸入代行事業者が購入、配送、通関等を代行する取引です。実質的な輸入者、表示責任、特商法、薬機法、PL法が問題になります。
越境EC海外事業者が日本の消費者へ直接販売する取引です。特商法、消費者保護、税関、製品安全、模倣品規制を確認します。

「本物なら必ず売れる」という理解は不完全です

商標法上は、商標が外国で適法に付されたか、外国権利者と日本権利者が同一または同一視できるか、品質管理可能性と品質の実質的同一性があるかを確認します。特許法上は、海外譲渡者と日本特許権者の関係、日本での販売を排除する合意と製品上の明確表示の有無を確認します。

知的財産権の問題をクリアしても、医薬品、医療機器、化粧品、食品、電気用品、ガス用品、玩具、無線機器、リチウム電池搭載製品などは、業法・安全規制・表示規制の確認が別途必要です。日本向けの承認、届出、表示、検査、技術基準を満たさない商品は、真正品でも販売できない場合があります。

Section 03

商標法から見る並行輸入への対応

フレッドペリー事件の三要件を、権利者側と輸入者側の証拠へ落とし込みます。

商標には、出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能があります。真正品の並行輸入では、商品がブランド権利者の関与の下で作られているため、形式的には日本の登録商標と同一または類似の商標が付いた商品が日本へ入ります。日本の判例は、商標の機能を害しない真正商品の並行輸入について、実質的違法性を欠く場合があると整理しています。

次の項目一覧は、商標が保護する三つの機能を示しています。並行輸入への対応では、同じロゴが付いているかだけではなく、消費者が出所や品質を誤認しないかを読むことが重要です。

Function

出所表示機能

その商品や役務が誰の業務に係るものかを示します。

Function

品質保証機能

同じ商標が付された商品について、一定の品質が期待できることを示します。

Function

広告宣伝機能

商標に蓄積された信用、ブランド価値、イメージを顧客へ伝えます。

フレッドペリー事件の三要件

次の表は、最高裁平成15年2月27日判決、いわゆるフレッドペリー事件が示した三要件を実務の確認事項へ置き換えたものです。三つの要件を証拠化できるかで、商標権侵害として扱えるか、または真正商品並行輸入として反論できるかが変わります。

要件確認する内容実務資料
適法付与要件外国の商標権者または使用許諾を受けた者が、商標を適法に付したかを確認します。ライセンス契約、製造委託資料、品質検査記録、流通証憑
内外権利者同一性要件外国権利者と日本権利者が同一人、または法律的・経済的に同一視できる関係かを確認します。商標登録原簿、外国登録情報、グループ会社関係図、譲渡契約
品質管理・品質同一性要件日本権利者が品質管理できる立場にあり、国内正規品との実質的品質差がないかを確認します。仕様書、成分表、検査成績書、保管記録、日本語表示、保証条件

次の注意点一覧は、三要件の中でも争点になりやすい場面を整理しています。どの事情があると真正性、適法付与、品質同一性の説明が弱くなるかを読み取ることが重要です。

契約範囲外の製造

海外ライセンシーが禁止された下請工場で製造した場合や、製造地制限に反して別国で製造した場合は、適法付与が争点になります。

検査落ち品・横流し品

品質検査を経ていない余剰品、検査落ち品、正規工場から流出した部材の組立品は、真正品と評価できるかが問題になります。

表示・保証・付属品の改変

パッケージ、ラベル、保証書、付属品が改変されていると、品質保証機能や出所表示機能への影響を確認します。

国内仕様との差異

成分、電圧、言語設定、日本語表示、修理可否、リコール追跡に差がある場合、実質的品質差の有無を検討します。

権利者側と輸入者側の実務対応

権利者側は、明らかな模倣品、無許諾製造品、契約違反製造品、真正品だが日本向け仕様と異なる商品、真正かつ法令適合の可能性が高い商品を分類します。警告書、EC削除申請、販売先通知、税関差止申立では、単に正規ルート外であることだけでなく、偽物識別点、品質差、表示誤認、契約違反、国内規制違反を具体化します。

輸入者側は、仕入先情報、注文書、請求書、ロット番号、シリアル番号、海外正規流通を示す資料、商品写真、保管・輸送記録、成分表、仕様書、試験成績書、日本語表示、保証条件、通関書類を確保します。販売ページでは、並行輸入品であること、国内正規代理店品ではないこと、国内保証対象外の場合の範囲、仕様差、返品条件、使用上の注意を明確にします。

Section 04

特許・意匠・著作権から見る並行輸入への対応

BBS事件、再生品、デザイン、著作物、不正競争防止法の論点をまとめます。

特許権では、特許権者が特許製品を販売した後の転売等に特許権を行使できるかという消尽が問題になります。並行輸入では、海外で販売された特許製品について、日本の特許権者が日本国内で権利行使できるかが問題になります。

次の表は、特許・意匠・著作権・不正競争防止法で確認する論点を並べたものです。商標だけでは止められない、または反論できない場面でも、別の知財・表示規制が問題になるため、各制度の確認軸を読み取ることが重要です。

領域主な基準・確認事項問題になりやすい商品・行為
特許BBS事件の考え方により、日本特許権者または同視し得る者による国外譲渡か、日本除外合意と製品上の明確表示があるかを確認します。医療機器、インクカートリッジ、電子部品、自動車部品、化学品、医薬品、ソフトウェア連動型ハードウェア
再生品・部品交換大幅な加工、改造、部品交換により元の商品との同一性を失っていないかを確認します。使用済み製品の再生、リファービッシュ品、第三者再生品、バルク品
意匠登録意匠に係る真正品か、非正規工場製品やデザイン流用商品かを確認します。コピー商品、非正規工場製品、形状・模様・色彩が類似する商品
著作権正規複製物か、海賊版、無許諾複製物、ライセンス条件違反品かを確認します。書籍、音楽、映像、ゲーム、ソフトウェア、キャラクター商品
不正競争防止法周知・著名表示、商品形態模倣、誤認表示、シリアル削除などを確認します。国内正規代理店との関係を誤認させる表示、国内向けラベル貼付、ロット番号削除

次の項目一覧は、特許権が並行輸入で争点化しやすい商品を整理しています。対象商品がここに近いほど、単に本物かどうかではなく、請求項該当性、譲渡者、販売地域制限、改造・再生の有無を読む必要があります。

01

医療・検査・診断機器

国内承認、保守点検、電気安全、添付文書とともに、特許権やソフトウェア制御が問題になります。

特許薬機法
02

消耗品・補修部品

インク、トナー、自動車部品、工具では、再生・加工の程度と製品同一性を確認します。

再生品PL
03

電子・通信・半導体関連

特許請求項、技適、周波数、ソフトウェア更新、セキュリティ条件を合わせて確認します。

技術仕様電波法
04

コンテンツ・ソフトウェア

物理媒体が真正品でも、地域制限、アクティベーション、利用規約、商用利用条件を確認します。

著作権利用規約
Section 05

税関・業法から見る並行輸入への対応

水際措置、認定手続、薬機法、食品衛生法、PSE、PSC、技適を事前に準備します。

並行輸入をめぐる紛争では、裁判所よりも先に税関が実務上の主戦場になることがあります。関税法上、知的財産侵害物品は輸入できない貨物とされ、税関は疑義物品について認定手続を行います。財務省の公表では、2025年の知的財産侵害物品の輸入差止件数は31,760件で、3年連続で3万件を超えたとされています。

次の強調箇所は、税関対応で特に見落としやすい二つの数字を示しています。件数の多さと意見提出期限の短さを読むことで、通知後に初めて証拠を集める運用が危険であることが分かります。

31,760件と10執務日

2025年の輸入差止件数は31,760件とされ、認定手続の意見提出期限は原則として通知書の日付の翌日から10執務日以内とされています。平時から証拠を準備することが重要です。

次の時系列は、税関で疑義貨物が発見された場合の一般的な対応順序を表しています。短い期限の中で誰が何を集めるかを読み取り、輸入者側も権利者側も事前準備の範囲を決めることが重要です。

発見前

差止申立・識別資料の準備

権利者は登録情報、真正品と模倣品の比較、侵害理由、写真、シリアル番号、専門家意見を整理します。

通知時

認定手続開始通知を確認

輸入者と権利者は期限を管理し、意見・証拠の提出準備を始めます。

10執務日以内

真正性・権利関係・業法適合を提出

仕入証憑、三要件、BBS基準、表示、許可、届出、保管状態、偽物識別点への反論を整理します。

継続

通関解放・交渉・販売判断

手続が長引く場合は、担保や要件を踏まえた通関解放、権利者交渉、販売停止判断を検討します。

知財と業法は別問題です

次の項目一覧は、真正品でも国内販売前に業法・安全規制・表示規制を確認すべき商品群を表しています。対象商品がどの規制に近いかを読み取ることで、知財判断とは別に行政手続や技術基準を確認できます。

医薬品・医療機器・化粧品

薬機法上の許可、登録、承認、認証、届出、輸入確認、広告表現を確認します。個人輸入は自己使用が前提とされています。

薬機法広告

食品・添加物・容器包装

販売または営業上使用する目的の食品等は、食品衛生法に基づく輸入届出、検査、表示を確認します。

食品衛生法表示

電気用品・特定製品

PSE、PSC、技術基準、自主検査、検査記録保存、表示を確認します。海外のULやCEだけでは日本の義務を代替しません。

PSEPSC

無線通信機器・IoT機器

スマートフォン、Bluetooth機器、ドローン、スマートウォッチでは、技適、周波数、利用制限、ソフトウェア設定を確認します。

技適電波法
Section 06

独占禁止法から見る並行輸入への対応

真正な並行輸入を根拠なく妨げると、不当阻害として問題になる可能性があります。

公正取引委員会の流通・取引慣行ガイドラインは、真正商品の並行輸入について、一般に価格競争を促進する効果を有すると説明しています。ブランド保護、品質管理、安全確保、消費者保護のための正当な措置はあり得ますが、実質目的が国内価格の維持、正規代理店の利幅保護、安売り販売店の排除に見える場合は、独禁法リスクが高まります。

次の比較表は、独禁法上問題になり得る行為と、正当化され得る措置を対比しています。どちらに近いかは、目的、根拠、範囲、証拠、表現で変わるため、価格維持目的に見える事情を避けることが重要です。

問題になり得る行為正当化され得る措置
海外販売店へ日本向け販売を不当に禁止する行為です。模倣品、無許諾製造品、契約違反製造品へ差止めを求める措置です。
並行輸入業者への供給停止を海外流通業者へ求める行為です。日本の安全基準、薬事規制、食品規制、表示規制に違反する商品の排除です。
国内小売業者へ並行輸入品を扱わないよう圧力をかける行為です。使用期限切れ、劣化、保管不良、改変品への注意喚起です。
根拠なく偽物・違法品と通知し、販売中止を求める行為です。シリアル番号削除、リコール追跡不能品、保証誤認表示への限定的な対応です。
修理、部品供給、広告宣伝を合理的理由なく差別的に妨げる行為です。事故防止のための合理的な修理条件や部品供給条件の設定です。

次の時系列は、権利者側企業が並行輸入への対応方針を社内で承認する順序を表しています。営業部門の商業目的だけで動かず、知財、品質、安全、独禁法を順番に確認することが重要です。

Step 01

発見情報を登録します

営業・代理店管理部門が販売ページ、価格、販売者、商品現物、消費者相談を記録します。

Step 02

知財と品質を評価します

知財部門が商標・特許・意匠を確認し、品質保証・薬事・製品安全部門が品質差や安全差を確認します。

Step 03

独禁法リスクを確認します

法務・コンプライアンス部門が、価格維持目的や販売ルート保護目的に見えないかを確認します。

Step 04

重大案件を経営層へ報告します

外部専門家レビューを経て、税関、EC申告、警告、訴訟、注意喚起の範囲を決めます。

Section 07

EC表示・PLから見る並行輸入への対応

景表法、特商法、出品停止、製造物責任を販売ページと事故体制に反映します。

並行輸入品の販売では、知財だけでなく、表示、返品、保証、事故対応が紛争の入口になります。国内正規品ではないのに国内正規品と表示する、メーカー保証がないのに保証付きと表示する、海外仕様なのに日本仕様と表示する、といった表示は景品表示法上の問題になり得ます。

次の表は、EC販売で販売ページに明示すべき情報を整理したものです。消費者が国内正規品と誤認しないか、返品・保証・修理の条件が分かるかを読み取るために重要です。

表示項目確認する内容
並行輸入品であること国内正規代理店品ではないことを、商品ページ上で明確にします。
保証範囲国内正規代理店保証の対象外か、販売者独自保証の有無、期間、範囲を示します。
仕様差日本語説明書、電源、プラグ、言語設定、アプリ対応、付属品差を示します。
返品条件返品の可否、条件、送料負担、初期不良対応を示します。
法令上の表示輸入者情報、原産国、食品表示、警告表示、薬機法・PSE・PSC・技適の必要情報を確認します。

次の項目一覧は、ECプラットフォームで出品停止を受けた場合に準備する資料を表しています。停止後に慌てて集めるのではなく、販売前から証拠を保存しておくことが重要です。

仕入証憑と正規流通資料

注文書、請求書、領収書、仕入先情報、正規流通品であることを示す資料を保存します。

証拠

商品写真と番号情報

商品、包装、ラベル、シリアル番号、ロット番号、付属品、表示差を撮影します。

真正性

国内規制への適合資料

薬機法、食品衛生法、PSE、PSC、電波法、表示規制への確認資料を整理します。

規制

販売ページと保証表示

並行輸入品表示、国内保証対象外表示、返品条件、販売者保証の範囲を保存します。

EC

輸入者は製造業者等になり得ます

製造物責任法上、業として製造、加工または輸入した者は、製造業者等として責任を問われ得ます。海外メーカーが製造した商品であっても、日本で業として輸入した者は、事故発生時に消費者対応、事故調査、回収、行政報告、保険対応を担う場面があります。

次の項目一覧は、PLリスクが高い並行輸入品の例を表しています。安全表示、警告、使用方法、禁止事項、年齢制限、保管方法、廃棄方法、問い合わせ窓口まで整備すべき商品群を読み取ることが重要です。

電気製品・バッテリー

発火、感電、リチウムイオン電池、輸送規制、リコール対応を確認します。

医療・健康・美容機器

薬機法該当性、添付文書、保守点検、広告表現、安全性を確認します。

乳幼児用品・玩具

年齢制限、誤飲、素材、安全基準、日本語警告、事故対応を確認します。

食品・化粧品

アレルゲン、成分、肌トラブル、健康被害、保存方法、問い合わせ窓口を確認します。

Section 08

契約・サプライチェーンで整える並行輸入への対応

販売地域、品質管理、トレーサビリティ、海外子会社、企業類型別の役割を設計します。

ブランド権利者やメーカーが並行輸入への対応を行う場合、契約設計が重要です。ただし、契約で何でも禁止できるわけではありません。地域制限や再販売制限は、運用次第で競争法の問題を生じることがあります。

次の表は、海外代理店契約、販売店契約、ライセンス契約で設計する主な条項を整理したものです。品質、安全、トレーサビリティを守る条項と、価格維持に見えやすい運用を切り分けて読むことが重要です。

設計項目主な確認内容
販売地域・再販売先地域制限、オンライン販売条件、再販売先制限が競争法上過度でないかを確認します。
商標使用・品質管理商標使用条件、品質管理基準、監査記録、ブランドガイドラインを整備します。
製造・部材・再委託製造地、製造工場、部材調達先、下請・再委託制限を明確にします。
トレーサビリティシリアル番号、ロット番号、QRコード、RFID、在庫管理、横流し禁止を設計します。
事故・契約違反時リコール協力、解除、損害賠償、差止め、補償、記録保存、紛争解決を定めます。

次の項目一覧は、並行輸入への対応で企業類型ごとに持つべき視点を示しています。同じ商品でも、権利者、輸入者、EC運営者、法人購買では確認すべき証拠とリスクが異なることを読み取ります。

Owner

ブランド権利者・国内正規代理店

発見情報、テスト購入、法的分類、知財評価、規制評価、対応選択、独禁法レビュー、記録化を行います。

Importer

並行輸入業者

商品分類、権利調査、仕入先審査、サンプル検査、輸入手続、販売表示、事故体制、税関対応準備を行います。

Platform

ECプラットフォーム

知財侵害申告、濫用的申告への対応、出品者の反論手続、規制対象商品の審査、リコール時の停止手順を整えます。

Buyer

法人購買側

国内使用に必要な認証、保証、保守、情報セキュリティ、部品供給、事故時の責任分担、監査証跡を確認します。

海外子会社・グループ間取引も整理します

多国籍企業では、海外子会社が現地市場向けに販売した商品が日本へ逆流入することがあります。この場合、商標三要件やBBS事件の同視し得る者の判断に関係するため、グループ会社間契約、知財保有会社、販売会社、製造会社の関係を整理します。価格政策、知財政策、税務政策、移転価格、代理店契約を一体として確認することが重要です。

Section 09

並行輸入への対応で使うリスク評価と証拠整理

リスクマトリクス、証拠チェック、初動期限を使い、判断過程を残します。

並行輸入への対応では、権利侵害、国内規制、表示、事故、独禁法を一つずつ証拠に落とす必要があります。低リスクと高リスクの違いを先に定義すると、販売停止、表示是正、警告、税関、行政相談、訴訟の選択が安定します。

次の表は、主要なリスクごとに低リスク例、高リスク例、主な対応を並べたものです。各行から、自社の商品がどちらに近いか、どの資料が不足しているかを読み取るために重要です。

リスク低リスクの例高リスクの例主な対応
商標海外正規品、内外権利者同一、品質差なしです。契約違反製造品、品質差大、シリアル削除です。三要件証拠化、品質検査、表示是正を行います。
特許権利者同視者が海外販売し、日本除外表示がありません。無関係者製造品、販売地域除外明確表示、再製造品です。権利調査、契約確認、専門評価を行います。
税関証憑が整い真正性を説明できます。仕入先不明、模倣品識別点該当です。認定手続対応資料、通関業者連携を行います。
薬機法許可・届出・表示を整備しています。化粧品・医療機器を無許可で販売しています。薬事確認、行政相談を行います。
食品輸入届出、検査、表示を整備しています。添加物不適合、アレルゲン非表示です。検疫所相談、成分確認を行います。
製品安全PSE・PSC・技適を確認済みです。電気・無線機器を海外仕様のまま販売しています。技術基準確認、検査、表示を行います。
景表法並行輸入品・保証差を明示しています。国内正規品・メーカー保証と誤認させます。表示レビュー、根拠資料保存を行います。
PL取扱説明、警告、保険、事故窓口があります。高リスク商品を無説明で販売しています。PL保険、リコール体制を整えます。
独禁法品質・安全・権利侵害に基づく対応です。価格維持目的の排除、根拠なき偽物扱いです。法務審査、証拠化、表現管理を行います。

次の比較表は、権利者側と輸入者側で保存すべき証拠を分けたものです。税関、EC、警告書、訴訟、行政対応で同じ資料が繰り返し必要になるため、平時から不足を読み取ることが重要です。

権利者側の主な資料輸入者側の主な資料
日本商標・特許・意匠の登録情報、外国権利者との関係資料仕入先調査資料、仕入契約書、注文書、請求書、領収書
ライセンス契約、代理店契約、品質管理契約正規流通品であることを示す資料、商品写真、シリアル番号
正規品と対象商品の比較写真、仕様差、品質差の説明資料輸入許可通知書、通関書類、納税資料、試験成績書
模倣品識別ポイント、税関差止申立資料、EC出品ページ薬機法、食品衛生法、PSE、PSC、電波法の確認資料
消費者クレーム、事故、不具合情報、独禁法レビュー記録日本語表示、取扱説明書、保証・返品規程、PL保険、事故対応マニュアル

次の時系列は、権利者側、輸入者側、EC出品者側の初動期限をまとめています。期限が短いほど証拠整理の遅れが結果に直結するため、当日から数週間の行動順を読み取ることが重要です。

権利者側 当日〜3日

販売ページ保存、商品購入、証拠保全

営業、知財、法務が販売情報と商品現物を確保します。

権利者側 3日〜1週間

真正性、権利、品質差、安全差の一次評価

知財、品質、薬事、製品安全が一次判断を行います。

権利者側 1〜4週間

外部レビューと対応選択

警告、EC申告、税関申立、行政相談の範囲を決めます。

輸入者側 当日〜期限前

通知確認、資料収集、意見提出

税関通知を受けた場合は、通関業者・専門家と連携し、真正性、三要件、BBS基準、業法適合資料を提出します。

EC停止 当日〜5日

停止理由確認、資料収集、再開申請

申告権利、対象SKU、仕入証憑、販売表示、商品写真を整理し、反論と表示修正を検討します。

Section 10

警告書・商品類型別の並行輸入への対応

警告書の主張を分解し、商品ごとに業法・知財・表示・事故リスクを確認します。

並行輸入業者が権利者から警告書を受けた場合、感情的に反論したり、無視したりするのは危険です。まず警告書の主張を分解し、争点が商標、特許、意匠、著作権、不正競争、薬機法、食品、景表法のどこにあるかを確認します。

次の表は、警告書に含まれやすい主張類型と確認事項を整理したものです。回答前にどの主張が証拠で支えられているか、どの主張には反論余地があるかを読み取るために重要です。

主張類型確認すべき内容
商標権侵害三要件のどこを争っているか、偽物主張か、品質差主張かを確認します。
特許権侵害対象特許、請求項、侵害論、BBS基準、日本除外表示の有無を確認します。
意匠権侵害登録意匠、類否、真正品か模倣品かを確認します。
著作権侵害海賊版か、ライセンス違反か、還流防止対象かを確認します。
不正競争表示誤認、形態模倣、周知表示、シリアル削除等を確認します。
薬機法・食品等許可、承認、届出、表示、広告の問題を確認します。
景表法国内正規品誤認、保証誤認、品質表示の根拠を確認します。

権利者側が警告書を出す場合は、主張の正確性が重要です。十分な根拠なく「偽物」「違法品」「商標権侵害品」と断定すると、後に独禁法、不法行為、信用毀損、営業妨害を主張される可能性があります。対象商品、権利、侵害または違法と考える具体的理由、偽物識別ポイント、品質差、表示誤認、求める措置、回答期限、証拠保全要請、任意解決の余地を限定して記載します。

次の商品別一覧は、並行輸入への対応で典型的に確認すべき分野を示しています。自社商品がどの類型に近いかを読み取り、知財だけでなく業法、表示、事故、保証まで確認することが重要です。

ブランドアパレル・バッグ・時計

商標、意匠、不正競争防止法、税関差止、保証、修理、部品供給、シリアル番号削除を確認します。

化粧品・香水

商標三要件に加え、薬機法、成分規制、日本語表示、製造販売業許可、広告表現を確認します。

医療機器・美容機器

医療機器該当性、承認・認証・届出、添付文書、保守点検、電気安全、サイバーセキュリティを確認します。

食品・サプリメント

食品衛生法上の輸入届出、添加物、残留農薬、アレルゲン、食品表示、健康効果表示を確認します。

電気製品・充電器・バッテリー

PSE、PSC、電波法、PL法、電圧、プラグ、発火・感電リスク、日本語警告表示を確認します。

スマートフォン・通信機器・IoT

技適、周波数帯、SIM対応、緊急通報、ソフトウェア更新、個人情報、セキュリティを確認します。

自動車・バイク・補修部品

商標、特許、意匠、PL法、道路運送車両法、保安基準、リコール、整備責任を確認します。

ソフトウェア・ゲーム・デジタルコンテンツ

著作権、ライセンス契約、地域制限、アクティベーション、技術的保護手段、利用規約を確認します。

Section 11

並行輸入への対応のFAQ

よくある疑問を、一般情報として安全側に整理します。

Q1. 並行輸入品は違法ですか。

一般的には、並行輸入品であることだけを理由に違法とは限りません。真正商品であり、商標法上の三要件、特許法上のBBS基準、その他の知的財産法上の問題をクリアし、さらに薬機法、食品衛生法、PSE、PSC、電波法、表示規制などの国内法令に適合していれば、販売できる場合があります。ただし、商品類型や証拠関係で結論は変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 国内正規代理店が「当社ルート品ではない」と言っています。販売停止が必要ですか。

一般的には、国内正規代理店ルートではないことは、並行輸入品であることを示す事情にとどまります。ただし、商標権侵害、特許権侵害、品質差、業法違反、表示誤認、保証誤認などの具体的理由がある場合は結論が変わる可能性があります。警告を受けた場合は、証拠を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 海外の正規店で買った商品なら商標権侵害になりませんか。

一般的には、海外の正規店で購入した事情は重要な資料になりますが、それだけで常に商標権侵害にならないとはいえません。商標が適法に付されたか、外国権利者と日本権利者が同一または同一視できるか、品質管理可能性と品質の実質的同一性があるかを確認します。個別の見通しは、商品と資料を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q4. 並行輸入品であることを表示すれば十分ですか。

一般的には、並行輸入品であることの表示は重要ですが、それだけで十分とは限りません。国内正規代理店保証の有無、日本仕様との差異、返品条件、修理可否、法令上必要な表示、警告表示、輸入者情報も確認します。化粧品、食品、電気製品、医療機器などでは、許可、届出、検査、表示が別途必要になる可能性があります。

Q5. 権利者は並行輸入品の修理を拒否できますか。

一般的には、海外仕様品であり、部品、技術、保証条件、安全上の理由から修理が困難な場合、合理的な条件設定が問題なく整理される可能性があります。他方、取扱商品でないことだけを理由に販売店へ圧力をかけるなどの事情があると、独禁法上の問題が生じる可能性があります。具体的には、修理体制、表示、消費者対応の内容を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

Q6. 税関で止められたら何を確認しますか。

一般的には、通知書、期限、対象権利、疑義の内容を確認し、通関業者、弁護士、弁理士と連携する対応が重要です。意見提出期限は短いため、仕入証憑、真正性資料、商標三要件、特許の国外譲渡関係、業法適合資料を迅速に整理します。個別事情により提出資料や方針は変わります。

Q7. 並行輸入を止めたい場合、ECモールへ偽物と申告してよいですか。

一般的には、偽物である具体的根拠がある場合は申告を検討できることがあります。ただし、根拠がないのに偽物と断定すると、独禁法、不法行為、信用毀損、営業妨害のリスクが生じる可能性があります。真正品だが品質差や表示誤認が問題である場合は、その根拠に即して限定的に整理する必要があります。

Q8. 個人輸入なら模倣品でも輸入できますか。

一般的には、商標権・意匠権を侵害する模倣品については、海外事業者から個人宛てに送付されるものであっても輸入できないものとされています。個人使用目的かどうかだけで結論を決めず、税関制度、商品類型、権利関係を確認する必要があります。

Q9. 並行輸入品を海外正規品と表示してよいですか。

一般的には、事実として海外の正規流通品であることを証明でき、国内正規品と誤認させない表示であれば、許容される場合があります。ただし、「正規品」という語は国内正規代理店品と誤認させる可能性があります。並行輸入品であること、国内正規代理店品ではないこと、国内メーカー保証対象外であることなどの補足を検討します。

Q10. 海外仕様の電気製品を変換プラグ付きで売れば足りますか。

一般的には、変換プラグを付けるだけでは足りない可能性があります。PSE、PSC、電波法、電圧、周波数、発火・感電リスク、日本語警告表示、PL保険、リコール対応を確認します。海外で適法に販売されていることは、日本の安全基準適合を意味するものではありません。

Section 12

並行輸入への対応の実務上の結論

結論を急がず、事実と証拠を整理して専門家へ相談できる状態を作ります。

並行輸入への対応は、知的財産権を使って安価な輸入品を止めるための単純な手続ではありません。また、並行輸入業者が「本物だから何でも売れる」と考えられる領域でもありません。

次の強調箇所は、このページ全体の結論をまとめたものです。権利者側と輸入者側の双方が、証拠、規制、表示、競争法、内部統制をそろえて判断する必要があることを読み取ります。

最善の対応は、証拠と手続に基づく部門横断の判断です

権利者側は、真正品、偽物、契約違反製造品、品質差商品、国内規制違反商品を精密に分類します。輸入者側は、仕入段階から証拠を残し、商品カテゴリごとの国内規制、販売表示、保証、返品、事故対応を整備します。

次の質問表は、弁護士、弁理士、通関業者、薬事コンサルタント、検査機関へ相談する前に整理する項目を表しています。答えられない項目が多いほど、法務、規制、品質、税関のいずれかで重大なリスクを抱えている可能性があるため、まず事実と証拠の不足を読み取ることが重要です。

No相談前に整理する質問
1商品名、型番、SKU、JAN、ロット番号、シリアル番号は何ですか。
2商品カテゴリは何ですか。医薬品、化粧品、医療機器、食品、電気用品、無線機器に該当しませんか。
3どの国で、誰から、どのような契約・証憑で仕入れましたか。
4仕入先は正規販売店、代理店、卸売業者、マーケットプレイス出品者のいずれですか。
5日本の商標権者、外国商標権者、ブランド保有会社は誰ですか。
6日本の特許・意匠・著作権・不競法リスクは調査済みですか。
7国内正規品との仕様差、成分差、表示差、保証差は何ですか。
8日本語表示、警告、取扱説明書、輸入者表示はありますか。
9PSE、PSC、技適、食品等輸入届出、薬機法上の許可・届出は必要ですか。
10税関で止められた場合に提出できる資料は何ですか。
11権利者から警告を受けていますか。受けている場合、主張の根拠は何ですか。
12ECプラットフォームで出品停止を受けていますか。
13消費者クレーム、事故、不具合、返品は発生していますか。
14PL保険、リコール体制、問い合わせ窓口はありますか。
15今後の販売数量、在庫金額、売上依存度はどの程度ですか。
Reference

並行輸入への対応の参考情報源

公的機関・行政資料

  • 公正取引委員会「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」
  • 税関「模倣品等の水際取締りの強化」
  • 税関「認定手続に係る一般的な流れ」
  • 財務省「令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」
  • 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
  • 厚生労働省「食品等輸入手続」
  • 経済産業省「電気用品安全法」
  • 経済産業省「消費生活用製品安全法」
  • 消費者庁「景品表示法に関するQ&A」
  • 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」
  • 消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」

主要判例

  • 最高裁平成15年2月27日第一小法廷判決・民集57巻2号125頁(フレッドペリー事件)
  • 最高裁平成9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁(BBS事件)
  • 最高裁平成19年11月8日第一小法廷判決・民集61巻8号2989頁(インクタンク事件)

主要法令

  • 商標法
  • 特許法
  • 意匠法
  • 著作権法
  • 不正競争防止法
  • 関税法
  • 独占禁止法
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)
  • 食品衛生法
  • 食品表示法
  • 電気用品安全法
  • 消費生活用製品安全法
  • 電波法
  • 景品表示法
  • 特定商取引法
  • 製造物責任法