2σ Guide

先買権・共同売却権の優先順位
株主間契約・投資契約の設計

スタートアップ投資、M&A、セカンダリー取引で問題となる株式譲渡制限の順序を、契約条項、会社法手続、数値例、チェックリストから整理します。

4層順序・権利者・契約間・会社法
3モデル先買権先行・選択型・共同売却権優先
10営業日期限設計例の単位
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先買権・共同売却権の優先順位 株主間契約・投資契約の設計

スタートアップ投資、M&A、セカンダリー取引で問題となる株式譲渡制限の順序を、契約条項、会社法手続、数値例、チェックリストから整理します。

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先買権・共同売却権の優先順位 株主間契約・投資契約の設計
スタートアップ投資、M&A、セカンダリー取引で問題となる株式譲渡制限の順序を、契約条項、会社法手続、数値例、チェックリストから整理します。
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  • 先買権・共同売却権の優先順位 株主間契約・投資契約の設計
  • スタートアップ投資、M&A、セカンダリー取引で問題となる株式譲渡制限の順序を、契約条項、会社法手続、数値例、チェックリストから整理します。

POINT 1

  • 先買権・共同売却権の優先順位の全体像
  • 契約上の権利として、順序、配分、契約間の関係、会社法手続をまとめて設計します。
  • 優先順位は契約で設計する論点です
  • 権利行使の順序
  • 権利者間の配分

POINT 2

  • 先買権・共同売却権の優先順位と会社法上の譲渡承認
  • 1. 譲渡希望の把握:売主、買主、株式数、価格、対価、関連契約を確認します。
  • 2. 契約上の譲渡通知:会社法上の承認請求に先立ち、株主間契約上の通知を行う設計が一般的です。
  • 3. 先買権・共同売却権の結果確定:買い取られる株式、第三者へ残る株式、共同売却株式を確定します。
  • 4. 会社法上の承認・名義書換:最終条件を前提に承認機関、議事録、株主名簿更新へ進みます。

POINT 3

  • 先買権・共同売却権の優先順位モデル
  • 1. 第三者への譲渡条件を通知:買主、株式数、価格、支払条件、関連合意を通知します。
  • 2. 先買権の行使結果を確定:全部買い取られれば第三者売却は残らず、共同売却権の対象もなくなります。
  • 3. 共同売却権を計算:残余株式数を基礎に、共同売却可能数を按分します。
  • 4. 第三者譲渡なし:共同売却権の前提となる売却がなくなります。

POINT 4

  • 先買権・共同売却権の優先順位を決める判断軸
  • 譲渡人、取引類型、権利者範囲から、設計の重心を決めます。
  • 主要投資家のみ
  • 全投資家
  • 会社を第一次権利者にする

POINT 5

  • 先買権・共同売却権の優先順位を数値例で確認する
  • 保有株式数、先買権行使後の残余株式数、共同売却可能数の関係を具体化します。
  • 数値例では、創業者Fが第三者買主Xへ10,000株を売ろうとする場面を想定します。
  • 次の横棒グラフは、各株主の保有株式数の比率を表します。
  • 保有比率が大きいほど、共同売却権の按分計算で分子や分母に与える影響が大きくなる点を読み取ってください。

POINT 6

  • 先買権・共同売却権の優先順位を契約文言で定める
  • 1. 譲渡通知の受領:通知内容が不足していないかを確認し、期限の起算点を明確にします。
  • 2. 会社の先買権:会社が第一次権利者となる場合、自己株式取得規制や決裁手続も合わせて確認します。
  • 3. 主要投資家の先買権:会社が全部を買い取らない場合、主要投資家または既存株主の申込みを確定します。
  • 4. 共同売却権:残余株式数を基礎に共同売却可能数を計算し、期限内に明確な通知を求めます。

POINT 7

  • 先買権・共同売却権の優先順位と契約間の優先関係
  • 1. 法令・定款・種類株式要項:強行法規上必要な手続や承認は、契約で排除しない前提で確認します。
  • 2. Exit全体ルール:みなし清算、優先分配、ドラッグ・アロング、会社売却の承認要件を確認します。
  • 3. 通常の第三者譲渡条項:先買権、共同売却権、譲渡承認、譲受人加入の順序を確認します。
  • 4. 新規株主の加入:新株発行、株式譲渡、SO行使、転換証券の転換で生じる新規株主にも契約を及ぼします。

POINT 8

  • 先買権・共同売却権の優先順位で起きやすい紛争
  • 「買う」と「売る」の同時主張
  • 投資家Aが先買権を行使し、投資家Bが共同売却権を行使する場面では、順序、通知書式、計算式が争点になります。
  • 買主が共同売却株式を拒否
  • 買主が創業者株式だけを買いたい場合、譲渡希望株主が自己の譲渡を実行できるかを定めます。

まとめ

  • 先買権・共同売却権の優先順位 株主間契約・投資契約の設計
  • 先買権・共同売却権の優先順位の全体像:契約上の権利として、順序、配分、契約間の関係、会社法手続をまとめて設計します。
  • 先買権・共同売却権の優先順位と会社法上の譲渡承認:契約上の手続と会社法・定款上の手続を混同しないことが出発点です。
  • 先買権・共同売却権の優先順位モデル:先買権先行型、選択型、共同売却権優先型、Exit全体ルール優先型を比較します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

先買権・共同売却権の優先順位の全体像

契約上の権利として、順序、配分、契約間の関係、会社法手続をまとめて設計します。

このページは、スタートアップ投資、株主間契約、投資契約、セカンダリー取引、M&Aで問題となる先買権・共同売却権の優先順位を、契約設計と実務運用の両面から整理します。特定案件の結論ではなく、契約書全文、定款、種類株式要項、過去の合意、株主名簿、議事録、財務状況、買主属性を総合して確認するための一般情報です。

先買権・共同売却権の優先順位で最初に読むべき結論を、下の重要ポイントにまとめます。ここでは、法律上当然に一つの順序があるわけではないこと、契約で順序と計算を定める必要があることを読み取ってください。

優先順位は契約で設計する論点です

先買権も共同売却権も、通常は株主間契約や投資契約で定める契約上の権利です。実務では、先買権を先に処理し、買い取られなかった株式について共同売却権を認める設計が分かりやすい一方、選択型や共同売却権を強くする設計もあり得ます。

優先順位を検討するときは、単にどちらが先かだけでなく、契約間の関係や会社法上の譲渡承認手続まで含めて確認する必要があります。次の一覧では、紛争化しやすい4つの焦点を並べています。左から順に、権利行使の順番、権利者間の配分、契約文書同士の衝突、会社法手続との接続を確認してください。

FOCUS 1

権利行使の順序

先買権を先に行うのか、共同売却権を先に判断するのか、または同時に選択させるのかを明文化します。

FOCUS 2

権利者間の配分

会社、主要投資家、全投資家、創業株主、優先株主のうち、誰がどの比率で買い、売れるのかを整理します。

FOCUS 3

契約間の優先関係

投資契約、株主間契約、財産分配契約、サイドレター、定款、種類株式要項が抵触する場合の優先文書を確認します。

FOCUS 4

会社法手続との接続

譲渡制限株式の承認請求、取締役会や株主総会の決議、株主名簿書換の順序を実務カレンダーに落とし込みます。

注意契約に「違反譲渡は無効」と書くだけでは、第三者への対抗、名義書換拒絶、差止め、損害賠償の範囲が当然に整理されるわけではありません。通知、停止条件、譲受人の契約加入、名義書換、表明保証、違約金を一体で設計する必要があります。
Section 01

先買権・共同売却権の定義と優先順位の意味

ROFR、Co-Sale、Tag-Along の役割を分け、優先順位の4つの層を確認します。

先買権・共同売却権の優先順位を判断する前提として、各権利の機能を分けて理解することが重要です。次の比較一覧では、どの権利が何を守るためのものか、第三者譲渡を止める権利なのか、それとも同じ出口機会に参加する権利なのかを確認してください。

ROFR

先買権

ある株主が第三者に株式を譲渡しようとするとき、他の株主、投資家、または会社が、同一または実質的に同一条件で優先的に買い取る契約上の権利です。

  • 望ましくない第三者の参入を抑える
  • 創業者や主要株主の異動を把握する
  • 株主構成の安定を保つ
CO-SALE

共同売却権

ある株主が第三者に株式を譲渡しようとするとき、他の株主、典型的には投資家が、自己の株式も同一条件で売却することを求める契約上の権利です。

  • 創業者や大株主だけの先行回収を防ぐ
  • 少数株主にも出口機会を与える
  • M&Aやセカンダリー取引の公平性を高める
PRIORITY

優先順位

同じ譲渡に両方の権利が関係するとき、どちらを先に処理するか、誰がどの範囲で買い、売れるかを決める設計上の問題です。

  • 権利の順番
  • 権利者間の順位
  • 契約文書間の順位

優先順位という言葉には複数の意味があります。次の表は、契約レビュー時に見落とされやすい4つの層を並べたものです。列ごとに、何を決める問題か、契約書ではどの条項に落とすべきかを確認してください。

何を決めるか契約で確認する点
権利の順序先買権を先に行うか、共同売却権を先に判断するか、同時選択にするか。譲渡通知、行使期限、結果確定の順番。
権利者間の順位会社、主要投資家、全投資家、優先株主などの誰が先に買えるか、誰が売却に参加できるか。第一次先買権、第二次先買権、按分式、対象株主。
契約間の順位投資契約、株主間契約、財産分配契約、サイドレター、定款などが抵触した場合の優先文書。優先関係条項、既存契約の修正、必要承認。
会社法手続との関係譲渡制限株式の承認請求と契約上の手続をどの順番で進めるか。承認請求開始時期、取締役会決議、株主名簿書換。
実務視点先買権は株主構成管理、共同売却権は出口機会の公平性を支える権利です。目的の違いを出発点にすると、なぜ先買権先行型が多いのか、なぜ共同売却権を強める場面があるのかを整理しやすくなります。
Section 03

先買権・共同売却権の優先順位モデル

先買権先行型、選択型、共同売却権優先型、Exit全体ルール優先型を比較します。

先買権・共同売却権の優先順位には、実務上いくつかの設計モデルがあります。次の比較表は、先買権先行型、選択型、共同売却権優先型、Exit全体ルール優先型を並べたものです。各行で、どの利益を重視する設計か、どの場面で使いやすいかを確認してください。

モデル基本構造利点注意点
モデルA ― 先買権先行・共同売却権後行先買権を先に処理し、買い取られなかった株式について共同売却権を認めます。株主構成管理を先に行い、その後に出口公平性を調整できます。第三者買主から見ると、取得株式数と売主構成が変わり得ます。
モデルB ― 選択型投資家が、買い取るか、共同で売るか、行使しないかを選択します。将来性を重視する投資家は買い増し、回収を重視する投資家は売却参加を選べます。二重行使、計算基礎、撤回可否を明記しないと競合が生じます。
モデルC ― 共同売却権優先型第三者買主の買付総数を、譲渡希望株主と共同売却権者で先に按分します。支配株主だけが売り抜けることを防ぎやすくなります。買主が予定した支配比率を取得できず、取引自体が成立しないことがあります。
モデルD ― Exit全体ルール優先型ドラッグ・アロング、会社売却、みなし清算、IPOなどを上位に置きます。全体M&Aや組織再編を個別譲渡条項で止めにくくなります。適用除外の範囲を広げすぎると、通常譲渡時の保護が弱くなります。

実務で最も説明しやすいのは、先買権を先に処理し、その残余について共同売却権を認める流れです。次の判断の流れでは、第三者譲渡が残るかどうかで共同売却権の出番が変わる点を確認してください。

先買権先行型の判断の流れ

第三者への譲渡条件を通知

買主、株式数、価格、支払条件、関連合意を通知します。

先買権の行使結果を確定

全部買い取られれば第三者売却は残らず、共同売却権の対象もなくなります。

残る
共同売却権を計算

残余株式数を基礎に、共同売却可能数を按分します。

残らない
第三者譲渡なし

共同売却権の前提となる売却がなくなります。

どのモデルを選ぶかは、権利の目的、譲渡人、取引類型、権利者範囲によって変わります。次の重要項目では、設計判断に影響する要素をまとめています。各項目から、株主構成管理と出口公平性のどちらを強く置くべきかを読み取ってください。

株主構成管理

競合会社、望ましくない第三者、情報アクセス上問題のある買主を避けたい場合は、先買権を強く設計します。

出口機会の公平性

創業者や支配株主だけが先に回収することを防ぎたい場合は、共同売却権を強く設計します。

支配権移転

実質的な会社売却に近い場合は、ドラッグ・アロングやみなし清算との優先関係を先に整理します。

買主の取得目的

買主が特定株主の株式取得を重視するか、一定比率の取得を重視するかで共同売却権の影響が変わります。

Section 04

先買権・共同売却権の優先順位を決める判断軸

譲渡人、取引類型、権利者範囲から、設計の重心を決めます。

優先順位モデルを決めるときは、誰が売るのか、どの取引類型なのか、誰に権利を与えるのかを分けて考える必要があります。次の一覧では、譲渡人ごとの実務上の関心を整理しています。各行から、どの利害が強く働くかを読み取ってください。

譲渡人重視される利益設計上の注意点
創業株主会社価値の前提となる経営関与、創業者だけの回収防止。先買権と共同売却権の双方が重要になりやすく、売却株式数や退任時処理も確認します。
投資家ファンド期限、LP分配、セカンダリー売却の自由度。投資家保有株式を共同売却権の対象に含めると、他投資家のExitを妨げることがあります。
事業会社株主競合関係、提携関係、情報管理、取締役派遣権。共同売却よりも、譲受人属性の審査、競合排除、秘密情報アクセス制限が重要になることがあります。
共同創業者退任、ベスティング、リバースベスティング、共同創業者契約。退職・解任時の株式処理、買戻し価格、創業者間の持株比率と合わせて確認します。

取引類型によっても、先買権と共同売却権の重みは変わります。次の比較一覧では、少数株式譲渡、支配権移転、セカンダリー取引を分け、どの条項と接続すべきかを確認してください。

01

少数株式譲渡

株主構成管理が中心となり、先買権先行型がなじみやすい類型です。

先買権重視
02

支配権移転を伴う取引

共同売却権、ドラッグ・アロング、みなし清算、優先分配、取締役会承認を合わせて整理します。

Exit全体
03

セカンダリー取引

買主、売主、売却株式数、会社の情報開示、ファンド期限、税務処理が影響します。

個別調整
04

関連会社・ファンド間移転

許容譲渡として除外する場合でも、契約加入、競合排除、反社排除、情報管理を残す設計が必要です。

除外設計

権利者の範囲を広げすぎると、通知、期限管理、買主説明、クロージングが重くなります。反対に狭めすぎると少数株主保護が弱くなります。次の重要項目では、範囲設計で検討される典型例を確認してください。

SCOPE

主要投資家のみ

通知先と手続を絞りやすい反面、少数投資家の保護が弱くなる可能性があります。

SCOPE

全投資家

公平性は高まりますが、少額株主まで含めると実行コストが増えます。

SCOPE

会社を第一次権利者にする

株主構成を会社側で管理しやすくなりますが、自己株式取得規制や税務も確認します。

Section 05

先買権・共同売却権の優先順位を数値例で確認する

保有株式数、先買権行使後の残余株式数、共同売却可能数の関係を具体化します。

数値例では、創業者Fが第三者買主Xへ10,000株を売ろうとする場面を想定します。次の横棒グラフは、各株主の保有株式数の比率を表します。保有比率が大きいほど、共同売却権の按分計算で分子や分母に与える影響が大きくなる点を読み取ってください。

創業者F
60%
投資家A
20%
投資家B
10%
その他株主
10%
合計100,000株。第三者買主Xは創業者Fから10,000株を1株10,000円で取得したいと想定します。

先買権先行型では、まず投資家A・Bの先買権を処理します。Aが4,000株について先買権を行使し、Bが行使しない場合、Xへの売却候補は10,000株から6,000株へ減ります。次の表では、先買権後の残余6,000株を基礎に共同売却権を計算した場合の概算を確認してください。

項目計算式または結果実務上の意味
Aの先買権行使10,000株のうち4,000株をAが取得。第三者買主Xへ残る株式数が6,000株に減ります。
Aの共同売却可能数6,000 × 20,000 ÷(60,000+20,000+10,000)=約1,333株。先買権行使後も、設計によっては共同売却に参加できるかが問題になります。
Bの共同売却可能数6,000 × 10,000 ÷(60,000+20,000+10,000)=約667株。Bは先買権を行使しなくても、共同売却権を行使できる設計があり得ます。
FのXへの売却可能数約4,000株。創業者Fが当初予定した10,000株の売却は大きく減少します。

選択型では、Aが「買う」、Bが「売る」を選ぶ場面があり得ます。次の比較表では、当初10,000株を基礎に共同売却権を計算するのか、Aの先買権行使後の6,000株を基礎にするのかで、当事者の主張が分かれやすい点を示しています。契約書で計算基礎を明記することが重要です。

設計計算基礎紛争予防の観点
残余基準先買権行使後の6,000株。先買権と共同売却権の順序が明確で、買主への説明もしやすい設計です。
当初基準譲渡通知時の10,000株。共同売却権者の保護は厚くなりますが、買主の取得予定や先買権者との関係が複雑になります。
共同売却権優先型まず10,000株をF・A・B間で按分。Fからの取得株数が減るため、Xの取引目的が達成できない可能性があります。
確認点共同売却権の計算式では、分母に誰を含めるか、優先株式を転換後ベースで扱うか、潜在株式を含めるか、端数をどう処理するかを明記する必要があります。
Section 06

先買権・共同売却権の優先順位を契約文言で定める

順序、通知、期限、部分行使、按分、買主拒否、条件変更を具体化します。

契約文言で最初に定めるべきなのは、権利行使の順序です。次の表では、通常型、選択型、共同売却権優先型で、どの文言要素が必要になるかを比較します。各行から、どの設計を採る場合でも、対象株式、順序、二重行使、計算基礎を明確にする必要があることを読み取ってください。

設計文言で定める中心事項特に曖昧にしない点
先買権先行型まず先買権手続を行い、買い取られなかった対象株式だけを共同売却権の対象にする。共同売却権の計算基礎を残余株式数とするか。
選択型各権利者が、先買権、共同売却権、不行使のいずれかを選択する。同一譲渡通知について二重行使を禁止するか。
共同売却権優先型共同売却権の行使結果を先に確定し、売却対象とならなかった株式に先買権を及ぼす。通常型と異なることが明確に分かる文言にするか。

譲渡通知は「同一条件」で権利行使するための基礎資料です。次の一覧では、通知に含めるべき情報を、取引条件、買主属性、関連合意、会社法手続に分けて示しています。価格だけでなく、補償、表明保証、サイドペイメントまで見る必要がある点を確認してください。

01

譲渡対象と価格

譲渡希望株主、株式の種類・数・議決権数、譲渡価格、対価の種類、支払時期を記載します。

条件
02

買主の属性

氏名・名称、住所、競合該当性、反社確認情報、資本業務提携の有無を確認します。

買主確認
03

関連する経済条件

表明保証、補償、競業避止、ロックアップ、雇用契約、顧問契約、業務提携契約を確認します。

同一条件
04

承認請求の予定

会社法上の譲渡承認請求をいつ開始するか、契約上の手続完了と整合させます。

期限管理

先買権・共同売却権は期限がなければ実行しにくくなります。次の時系列は、会社、主要投資家、共同売却権者の期限を段階化する例です。順番と期限徒過の効果をあらかじめ決めることで、買主とのクロージング予定を立てやすくなります。

通知到達日

譲渡通知の受領

通知内容が不足していないかを確認し、期限の起算点を明確にします。

10営業日以内

会社の先買権

会社が第一次権利者となる場合、自己株式取得規制や決裁手続も合わせて確認します。

次の10営業日以内

主要投資家の先買権

会社が全部を買い取らない場合、主要投資家または既存株主の申込みを確定します。

結果確定後

共同売却権

残余株式数を基礎に共同売却可能数を計算し、期限内に明確な通知を求めます。

部分行使、買主拒否、条件変更の扱いは、紛争化しやすい実務論点です。次の表では、契約で定めるべき処理を並べています。各行から、買主の希望と権利者保護が衝突したときの処理を事前に決める重要性を確認してください。

論点定めるべき事項曖昧な場合のリスク
部分行使一部だけ買えるか、全部申込みがない場合に先買権が失効するか、残部のみ第三者譲渡できるか。買主が少数株式だけの取得を拒み、取引条件が崩れる可能性があります。
共同売却権の按分分母、分子、転換後ベース、潜在株式、端数処理、譲渡希望株主が複数の場合の計算方法。同じ譲渡通知を基礎に複数の計算結果が主張される可能性があります。
買主拒否買主が共同売却株式を買わない場合、譲渡希望株主の譲渡を止めるか、譲渡希望株主に同一条件で買わせるか。共同売却権が実質的に空文化する可能性があります。
条件変更価格低下、対価変更、買主変更、売却株式数増加、期限徒過、サイドペイメントを再通知対象にするか。形式的には同じ取引に見せつつ、実質的に条件を変えて権利者を迂回するリスクがあります。
Section 07

先買権・共同売却権の優先順位と契約間の優先関係

投資契約、株主間契約、財産分配契約、サイドレター、定款の衝突を整理します。

スタートアップ投資では、ラウンドごとに複数の契約が作られ、後からサイドレターや財産分配契約が追加されることがあります。次の比較表では、契約間で矛盾しやすい例を示しています。どの文書がどの事項に優先するかを確認しないと、先買権・共同売却権の実効性が失われる可能性があります。

矛盾しやすい場面発生し得る問題確認する文書
初期投資家の広い先買権と後続ラウンドの限定的な先買権誰が先に買えるか、全投資家に通知が必要かが争われます。初期投資契約、後続株主間契約、修正合意。
特定投資家のサイドレター特定投資家だけが優先的にセカンダリー参加できるかが問題になります。サイドレター、最恵待遇条項、必要承認条項。
財産分配契約と通常譲渡条項会社売却時の優先分配やみなし清算が、個別譲渡条項に妨げられる可能性があります。財産分配契約、種類株式要項、ドラッグ・アロング条項。
定款・種類株式要項と契約上の手続会社法上必要な承認や種類株主総会を契約で排除できるかが問題になります。定款、種類株式要項、会社法上の決議要件。

契約間の優先関係は、単に「この契約が優先する」と書くだけでは足りない場合があります。次の判断の流れでは、法令・定款、Exit全体ルール、通常譲渡条項、新規株主加入の順に、どの層を先に確認するかを示しています。上から順に、強行的な手続と全体取引を先に整理する点を読み取ってください。

契約間の優先関係を確認する順番

法令・定款・種類株式要項

強行法規上必要な手続や承認は、契約で排除しない前提で確認します。

Exit全体ルール

みなし清算、優先分配、ドラッグ・アロング、会社売却の承認要件を確認します。

通常の第三者譲渡条項

先買権、共同売却権、譲渡承認、譲受人加入の順序を確認します。

新規株主の加入

新株発行、株式譲渡、SO行使、転換証券の転換で生じる新規株主にも契約を及ぼします。

新規株主の契約加入は、優先順位条項の実効性を将来にわたって維持するために重要です。次の重要項目では、加入義務を置く場面と、会社がどの手続に協力しない設計にするかを整理しています。

新株発行・株式譲渡

新たに株式を取得する者に、取得前に加入契約を締結させる設計を置きます。

転換証券・SO行使

J-KISS、転換社債、新株予約権、ストックオプション行使後の株主にも制限を及ぼします。

許容譲渡先

関連会社やファンド内移転でも、契約加入、競合排除、反社排除、情報管理を維持します。

会社の協力制限

法令上許される範囲で、未加入者への名義書換、譲渡承認、株主名簿記載に協力しない設計を検討します。

Section 08

先買権・共同売却権の優先順位で起きやすい紛争

同時主張、買主拒否、ファンド期限、サイドレター、会社法手続のずれを確認します。

先買権・共同売却権の優先順位をめぐる紛争は、同じ譲渡について複数の権利者が異なる行動を選ぶ場面で起こりやすくなります。次の一覧では、典型的な紛争と、契約で事前に処理すべき点をまとめています。各項目から、何を明文化しておけば争点を減らせるかを確認してください。

「買う」と「売る」の同時主張

投資家Aが先買権を行使し、投資家Bが共同売却権を行使する場面では、順序、通知書式、計算式が争点になります。

買主が共同売却株式を拒否

買主が創業者株式だけを買いたい場合、譲渡希望株主が自己の譲渡を実行できるかを定めます。

ファンド期限による売却

投資家相互の共同売却権が、満期やLP分配のための売却を阻害しないよう例外を検討します。

サイドレターの優先

特定投資家だけの優先参加権が、既存契約や最恵待遇条項に反しないかを確認します。

会社法手続とのずれ

契約手続完了前に譲渡承認請求が始まると、会社法上の期限管理が問題になります。

紛争が起きたときは、契約当事者、譲受人の認識、会社の当事者性、定款上の譲渡制限、株主名簿書換、譲渡承認決議を同時に確認します。次の表では、紛争対応の初動で見るべき資料と、そこから分かることを整理しています。

確認資料確認する内容実務上の意味
株主間契約・投資契約当事者、対象株式、権利者、順序、期限、違反時の効果。契約上の請求権や差止めの根拠を確認します。
定款・種類株式要項譲渡承認機関、種類株主総会、取得条項、取得請求権。会社法上の承認や種類株式に関する制限を確認します。
株主名簿・議事録名義書換の完了、承認決議の有無、特別利害関係人の関与。会社に対する対抗関係や決議手続の問題を確認します。
買主との契約・通知買主が契約上の制限を知っていたか、条件変更があったか。第三者への対応、損害賠償、仮処分の必要性を検討します。
一般情報違反譲渡の効力、差止め、仮処分、損害賠償の見通しは、契約文言、会社の当事者性、買主の認識、名義書換の状況、定款規定によって変わります。具体的な対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家に相談する必要があります。
Section 09

先買権・共同売却権の優先順位チェックリスト

契約レビュー、譲渡実行、紛争発生時の確認事項を一覧化します。

契約レビューでは、定義、対象者、対象株式、順序、按分、会社法手続、契約間の矛盾を一つずつ確認します。次の一覧は、レビュー時に抜けやすい項目をまとめたものです。列ごとに、何を見て、なぜ重要かを確認してください。

確認項目見るべき内容重要な理由
定義と対象範囲先買権・共同売却権の定義、対象譲渡人、対象株式、普通株式・優先株式・転換後株式の扱い。対象外の株式や株主が残ると、優先順位条項が機能しない可能性があります。
権利者と順序会社、主要投資家、全投資家、創業者の誰が権利者か、先買権と共同売却権のどちらが先か。同一譲渡に複数権利が重なったときの処理を決めます。
計算と期限部分行使、按分方法、共同売却権の計算基礎、端数処理、権利行使期限、期限徒過の効果。株式数や期限をめぐる争いを減らします。
周辺手続会社法上の譲渡承認、定款、種類株式要項、財産分配契約、サイドレター、新規株主加入、違反時の効果。契約だけでなく会社法・登記・名簿実務まで整合させます。

譲渡実行時は、通知、買主確認、権利行使、譲渡契約、承認決議、名義書換、税務・会計を同じ予定表で管理します。次の時系列では、譲渡相談からクロージング後までの確認順序を示しています。順番に沿って、契約手続と会社法手続がずれないよう確認してください。

初動

譲渡通知と買主確認

通知日、通知内容の不足、KYC、反社、競合、外為法、業法規制を確認します。

権利行使

先買権・共同売却権の確定

各通知日、期限、行使通知の有効性、共同売却株式数を確定します。

契約締結

株式譲渡契約と共同売却参加

共同売却権者が当事者に入るか、表明保証・補償負担をどう限定するかを確認します。

承認・書換

譲渡承認と株主名簿更新

取締役会または株主総会、譲渡承認通知、名義書換請求、株主名簿更新を行います。

後処理

税務・会計・契約加入

譲渡損益、時価、源泉徴収、自己株式取得、ファンド報告、情報権や取締役指名権の変更を確認します。

紛争発生時は、契約違反だけでなく、会社法、名義書換、買主の認識、開示規制、利益相反を横断して確認します。次の一覧では、紛争対応で特に重要な論点をまとめています。各項目から、損害賠償で足りるのか、差止めや仮処分まで検討すべきかを読み取ってください。

DISPUTE

契約当事者と買主の認識

契約当事者は誰か、譲受人が契約制限を知っていたか、会社が契約当事者かを確認します。

DISPUTE

名義書換と承認決議

株主名簿書換が完了しているか、譲渡承認決議があるか、株券発行会社かを確認します。

DISPUTE

救済手段

違反譲渡の停止を求める仮処分、損害賠償、特定履行、価格算定、表明保証違反を確認します。

Section 10

先買権・共同売却権の優先順位に関する条項例

通常型、選択型、契約間優先、新規株主加入の文言要素を確認します。

条項例は、そのまま使うためではなく、どの論点を文言化する必要があるかを確認するための参考例です。次の表では、各条項が何を解決するためのものかを示しています。左から順に、通常型、選択型、契約間優先、新規株主加入の役割を確認してください。

条項類型解決する論点確認ポイント
先買権先行型先買権を先に処理し、残余株式のみ共同売却権の対象にする。買主拒否時に譲渡希望株主の譲渡を止めるか、同一条件で買わせるか。
選択型各権利者が、買うか、共同で売るか、不行使かを選ぶ。二重行使禁止、放棄みなし、残余株式数基準を明記するか。
契約間優先複数契約が抵触した場合の優先文書を決める。法令、定款、種類株式要項、強行法規上の手続を排除しないこと。
新規株主加入将来の株主にも同じ譲渡制限を及ぼす。取得前の加入契約、未加入者への名義書換協力制限を定めるか。

先買権先行型の条項例では、譲渡通知、先買権の先行、共同売却権の発動条件、計算基礎、買主拒否時の処理をまとめて置いています。どの文がどの論点に対応するかを確認してください。

第X条(先買権および共同売却権の優先順位)
1. 譲渡希望株主は、対象株式の全部または一部を第三者に譲渡しようとする場合、当該譲渡に先立ち、譲渡対象株式の種類および数、譲渡価格、対価の種類、譲受予定者の氏名または名称、譲渡予定日その他重要な取引条件を記載した書面により、会社および権利者に通知しなければならない。
2. 前項の通知に係る対象株式については、まず第Y条に定める先買権の手続を行うものとする。
3. 先買権の行使により買い取られなかった対象株式が譲受予定者に譲渡される場合に限り、権利者は、第Z条に定める共同売却権を行使することができる。
4. 共同売却権の対象となる株式数は、先買権の行使により買い取られなかった対象株式数を基礎として算定する。
5. 譲受予定者が共同売却権の行使に係る株式を取得しない場合、譲渡希望株主は、当該共同売却権者の株式を譲受予定者に提示された条件と同一の条件で取得しない限り、対象株式を譲受予定者に譲渡してはならない。

選択型の条項例では、同じ譲渡通知について、先買権と共同売却権を重複して行使できないことを明示しています。買い増しと売却参加のどちらを選んだかを、撤回不能な通知として扱う設計が実務上重要です。

第X条(選択権)
1. 各権利者は、譲渡通知を受領した場合、当該譲渡通知に係る対象株式について、先買権を行使するか、共同売却権を行使するか、またはいずれも行使しないかを選択することができる。
2. 各権利者は、同一の譲渡通知に関し、先買権および共同売却権を重複して行使することはできない。
3. 先買権を行使した権利者は、当該譲渡通知に係る共同売却権を放棄したものとみなす。
4. 共同売却権の行使株式数は、先買権の行使により取得される株式数を控除した後の残余対象株式数を基礎として算定する。

契約間優先順位の条項例では、Exit関連事項についてどの契約が優先するかを定めつつ、法令や定款上必要な手続は排除しない構造にしています。サイドレターを作る場合の必要承認も確認してください。

第X条(契約間の優先関係)
1. 本契約の規定は、対象株式の譲渡、先買権、共同売却権、譲渡承認、同時売却請求権、みなし清算、Exitおよび新規株主の加入に関する事項について、本契約締結日以前または以後に当事者間で締結された契約の規定と抵触する場合、本契約において明示的に別段の定めがある場合を除き、優先して適用される。
2. 前項にかかわらず、法令、定款、種類株式要項または強行法規上必要となる手続および承認は、本契約により排除されない。
3. 当事者は、本契約の規定と抵触するサイドレターその他の合意を締結しようとする場合、事前に本契約上の必要承認を取得しなければならない。

新規株主加入の条項例では、株式を新たに取得する者へ契約加入を求め、未加入者に対する手続協力を制限する方向を示しています。将来の株主構成が変わっても優先順位条項を機能させるための補助線です。

第X条(新規株主の加入)
会社および既存株主は、対象会社の株式を新たに取得する者に対し、当該取得に先立ち、本契約の加入契約を締結させるものとする。加入契約を締結しない者に対する株式譲渡または株式発行について、会社は、法令上許される範囲で、名義書換、譲渡承認、株主名簿記載その他必要な手続に協力しないものとする。
Section 11

先買権・共同売却権の優先順位を専門職別に確認する

法務、商事法務、税務会計、M&A担当が見るべき観点を分けます。

先買権・共同売却権の優先順位は、契約法だけで完結せず、会社法、M&A、税務、会計、登記、ファンド実務、紛争解決が交差します。次の一覧では、専門職ごとに確認すべき観点を整理しています。自社内で誰が何を担当するかを読み取ってください。

外部弁護士・企業内弁護士

契約解釈、会社法、M&A、紛争解決の観点から、裁判所や仲裁廷が読める条項になっているかを確認します。

契約・紛争

企業内法務担当

誰が契約を確認し、誰が株主に通知し、誰が取締役会を招集し、誰が株主名簿を更新するかを社内手順に落とします。

運用

商事法務担当・司法書士

定款、株主名簿、譲渡承認決議、議事録、登記、種類株式要項、株券発行会社か否かを確認します。

会社法

税理士・公認会計士

譲渡価格、時価、自己株式取得、譲渡所得、法人税、源泉徴収、ファンド会計、時価評価を確認します。

税務・会計
M

M&A法務・経営企画

買主との交渉で、先買権・共同売却権がクロージング条件や取引スケジュールに与える影響を説明します。

取引設計

部門間の連携では、契約文書の一覧化と実行カレンダーの統合が重要です。次の表は、社内で役割分担するときの確認例です。契約レビュー、商事手続、買主対応、税務会計を同時に進める必要がある点を確認してください。

担当主な確認事項共有すべき相手
法務株主間契約、投資契約、サイドレター、譲渡通知、権利行使期限。経営企画、商事法務、外部専門家。
商事法務取締役会・株主総会、譲渡承認、議事録、株主名簿、種類株式要項。法務、司法書士、経営陣。
経営企画・M&A担当買主の取得目的、スケジュール、停止条件、情報開示、クロージング条件。法務、税務会計、買主側アドバイザー。
税務会計譲渡価格、時価、自己株式取得、源泉徴収、ファンド報告、LP通知。法務、経理、投資家対応担当。
Section 12

先買権・共同売却権の優先順位の推奨設計

先買権先行型を原則形にしつつ、共同売却権を強める場面と先買権を強める場面を分けます。

多くのスタートアップ投資・株主間契約では、株主構成管理と出口公平性のバランスを取りやすい先買権先行型が安定しやすい設計です。次の判断の流れは、原則形として確認される順序をまとめたものです。上から順に、適用除外、通知、先買権、共同売却権、第三者譲渡、譲受人加入、会社法手続へ進む構造を読み取ってください。

実務上の原則形

会社法・定款上必要な手続の確認

強行的な承認や決議要件を先に把握します。

契約上の適用除外確認

会社売却、IPO、ドラッグ・アロング、組織再編、許容譲渡を確認します。

譲渡通知

第三者買主、価格、株式数、関連条件を通知します。

会社・主要投資家の先買権

第一次・第二次先買権の行使結果を確定します。

残余株式について共同売却権

共同売却可能数、買主拒否時の処理、譲渡希望株主の売却可能数を確定します。

譲渡契約・加入・承認・名義書換

第三者譲渡契約、譲受人加入、譲渡承認、株主名簿更新を行います。

共同売却権を強くするか、先買権を強くするかは、保護したい利益によって変わります。次の比較表では、それぞれを強めるべき場面を並べています。左の場面では出口公平性、右の場面では株主構成管理を重視して読み分けてください。

設計を強くする方向検討すべき場面置きやすい条項
共同売却権を強くする創業者が相当数の株式を売却する、支配権移転に近い、創業者の関与が会社価値の前提、少数投資家が売却機会を得にくい。買主が共同売却株式を買わない限り譲渡希望株主も売却できない、または譲渡希望株主が同一条件で買い取る。
先買権を強くする競合会社への株式流出を防ぎたい、情報権や取締役指名権を持つ株主の属性を管理したい、JVや提携関係で信頼関係が重要。先買権を共同売却権より先に置き、競合・反社・制裁対象者への譲渡を禁止または承認事項にする。
まとめ先買権・共同売却権は雛形条項ではなく、株主構成、支配権、投資回収、創業者インセンティブ、少数株主保護、M&Aの成否を左右する契約設計です。順序、計算式、手続、契約間の優先関係、会社法手続との接続を、実際に動く条項として設計することが重要です。
Section 13

先買権・共同売却権の優先順位に関するFAQ

一般情報として、優先関係、買主拒否、譲渡承認、按分式、サイドレターを確認します。

FAQでは、先買権・共同売却権の優先順位について実務でよく問題になる点を一般情報として整理します。個別の契約文言、株主構成、買主属性、会社法手続、証拠関係で結論が変わるため、具体的な対応は資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

先買権は常に共同売却権より優先しますか

一般的には、株主構成管理を先に行うため、先買権を先に処理し、買い取られなかった株式について共同売却権を認める設計が多いとされています。ただし、契約によっては選択型や共同売却権優先型もあり得ます。契約文言、通知書式、計算式、過去の合意によって結論が変わる可能性があります。

共同売却権を行使した株式を買主が買わない場合はどうなりますか

一般的には、買主が共同売却株式を取得しない限り譲渡希望株主も第三者譲渡を実行できない、または譲渡希望株主が同一条件で共同売却権者の株式を買い取る、という設計が検討されます。ただし、契約にその処理が書かれているか、買主の取得目的、譲渡条件によって判断が変わる可能性があります。

定款上の譲渡承認を得れば、契約上の先買権手続は不要ですか

一般的には、定款・会社法上の譲渡承認手続と、株主間契約上の先買権・共同売却権手続は別の層の手続とされています。譲渡承認を得たことだけで契約上の通知や権利行使手続が不要になるとは限りません。契約書全文、定款、承認決議、株主名簿の状況により確認が必要です。

共同売却権の按分式はどのように決めますか

一般的には、譲渡希望株主の売却予定株式数に、共同売却権者の保有株式数を一定の分母で割った比率を掛ける方法が見られます。ただし、分母に誰を含めるか、優先株式を転換後ベースで扱うか、潜在株式や端数処理をどうするかで結果が変わります。具体的な計算は契約文言に従って確認する必要があります。

サイドレターで特定投資家だけを優先できますか

一般的には、サイドレターで特定の権利を与えること自体が検討される場合があります。ただし、既存株主間契約、必要承認、最恵待遇条項、会社売却やみなし清算の上位ルールに抵触しないかを確認する必要があります。個別の有効性や対応方針は、契約関係全体により変わります。

Reference

この記事の参考情報源

公的・制度資料

  • Japanese Law Translation Database System, Civil Code, Article 521
  • Japanese Law Translation Database System, Companies Act, Articles 136 to 139
  • Japanese Law Translation Database System, Companies Act, Article 145
  • 経済産業省「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」

モデル契約・公開契約例

  • National Venture Capital Association, Model Legal Documents
  • U.S. SEC EDGAR, Right of First Refusal and Co-Sale Agreement の公開契約例
  • ベンチャー投資契約における株式譲渡制限に関する一般的な実務解説