2σ Guide

売掛金の消滅時効は
民法改正後どう変わったか

民法改正後の売掛金は5年を軸に管理します。2020年4月1日前後の経過措置、催告の6か月、承認による更新を合わせて確認します。

5年 実務上の軸
10年 客観的外枠
6か月 催告の猶予
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売掛金の消滅時効は 民法改正後どう変わったか

民法改正後の売掛金は5年を軸に管理します。

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売掛金の消滅時効は 民法改正後どう変わったか
民法改正後の売掛金は5年を軸に管理します。
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  • 売掛金の消滅時効は 民法改正後どう変わったか
  • 民法改正後の売掛金は5年を軸に管理します。

POINT 1

  • 売掛金の消滅時効は民法改正後5年を軸に考える
  • 5年、10年、2020年4月1日の経過措置、完成猶予・更新を一体で確認します。
  • 売掛金の消滅時効は5年を軸に、10年の外枠と例外を確認する
  • 民法改正後の売掛金の消滅時効は、通常の商取引では「支払期限から5年」を軸に管理するのが実務上の出発点です。
  • 次の重要ポイントは、5年と10年の関係、時効援用、承認、完成猶予、更新をまとめたものです。

POINT 2

  • 売掛金と消滅時効の基本を分けて理解する
  • 会計上の売掛金と法律上の債権、援用、債務承認を整理します。
  • 長期間権利を行使しない場合の制度
  • 時効の利益を受ける意思表示
  • 時効が新たに進み始める可能性

POINT 3

  • 民法改正後の売掛金消滅時効と2020年4月1日の経過措置
  • 1. 施行日前に債権が生じた売掛金:改正前民法・旧商法が問題になり得ます。
  • 2. 原因行為が古い場合:施行日後に債権が生じても、その原因である法律行為が施行日前であれば旧法が問題になる可能性があります。
  • 3. 通常の新しい売掛金:改正後民法が適用され、通常は5年を中心に管理します。
  • 4. 基本契約と個別発注を分ける:古い基本契約と新しい個別発注が混在する場合は、契約書、注文書、納品書、請求書、検収書の時系列を精査します。

POINT 4

  • 売掛金の時効起算点は請求書の日付ではなく支払期限を中心に見る
  • 契約、支払期限、検収、継続取引を分けて確認します。
  • 支払期限の到来時を中心に見る
  • 契約の性質と取引経過を確認する
  • 納品日だけでは足りない場合がある

POINT 5

  • 売掛金の時効を止める・延ばす・リセットする制度
  • 1. 支払期限と完成見込み日を確認:請求書単位で、支払期限、入金、承認、手続の有無を確認します。
  • 2. 催告をするか検討:内容証明郵便などで請求内容と発送日を証拠化します。
  • 3. 催告だけで終わらせない:催告の効果は原則6か月の完成猶予にとどまります。
  • 4. 承認書・分割合意で証拠化:対象債権、金額、支払期日、遅延時の扱いを明確にします。
  • 5. 訴訟・支払督促・仮差押えを検討:6か月以内に次の法的手段へ進む必要があります。

POINT 6

  • 売掛金の時効管理で債権者・債務者が確認すべき実務対応
  • 請求書単位の管理、6か月前アラート、承認、援用を整理します。
  • 確定判決等で権利が確定すると時効期間は10年になる
  • 次の重要ポイントは、判決取得の意味と限界を整理したものです。
  • 判決を取ることと実際に回収できることは別である点を読み取ってください。

POINT 7

  • 売掛金の時効で弁護士に相談すべき場面と選び方
  • 迅速に着手できるか
  • 時効完成が近い案件では、相談から手続着手までの時間が重要です。
  • 費用対効果を説明するか
  • 勝訴可能性だけでなく、実際に回収できるか、費用倒れにならないかを確認します。

POINT 8

  • 売掛金の時効で注意すべき特別法・相殺・予防策
  • 特殊な債権、相殺、保証、契約書での予防を確認します。
  • 通常の売掛金以外の債権に注意
  • 時効後でも相殺できる場合がある
  • 主債務と保証債務を分ける

まとめ

  • 売掛金の消滅時効は 民法改正後どう変わったか
  • 売掛金の消滅時効は民法改正後5年を軸に考える:5年、10年、2020年4月1日の経過措置、完成猶予・更新を一体で確認します。
  • 売掛金と消滅時効の基本を分けて理解する:会計上の売掛金と法律上の債権、援用、債務承認を整理します。
  • 民法改正後の売掛金消滅時効と2020年4月1日の経過措置:短期消滅時効・商事時効の廃止と、古い売掛金に残る旧法を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

売掛金の消滅時効は民法改正後5年を軸に考える

5年、10年、2020年4月1日の経過措置、完成猶予・更新を一体で確認します。

民法改正後の売掛金の消滅時効は、通常の商取引では「支払期限から5年」を軸に管理するのが実務上の出発点です。正確には、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年のいずれか早い方で時効が完成し得ます。

次の重要ポイントは、5年と10年の関係、時効援用、承認、完成猶予、更新をまとめたものです。単に年数だけを読むのではなく、相手が時効を援用したか、途中で一部入金や支払約束があったかを合わせて確認することが重要です。

売掛金の消滅時効は5年を軸に、10年の外枠と例外を確認する

通常の売掛金では支払期限を認識していることが多いため5年が中心です。ただし、2020年4月1日前後の経過措置、催告、裁判手続、債務承認、協議合意、相殺、特別法により結論は変わります。

次の表は、現行民法166条の基本構造を整理したものです。5年は債権者が請求できることを知った時、10年は権利行使可能な時を基準にする外枠で、通常の売掛金では5年が管理の中心になる点を読み取ってください。

区分時効期間起算点売掛金での実務上の意味
主観的起算点5年債権者が権利を行使できることを知った時通常の売掛金では、支払期限の到来を認識しているため中心になります。
客観的起算点10年権利を行使することができる時債権者が権利行使可能性を知らない例外的場面でも、最長の外枠として機能します。
自動的に消えるわけではありません時効期間が経過しても、債務者が時効の利益を受ける意思表示をするか、途中で承認や裁判手続があったかによって結論が変わります。
Section 01

売掛金と消滅時効の基本を分けて理解する

会計上の売掛金と法律上の債権、援用、債務承認を整理します。

売掛金は会計上の呼び方であり、法律上は売買代金債権、請負報酬債権、業務委託報酬債権などとして扱われます。次の表は、取引内容と法律上の性質を分けたものです。この区別が重要なのは、時効の起算点や特別法の有無を確認する入口になるためです。

取引内容法律上の性質の例実務上の呼び方
商品の販売売買代金債権売掛金、売掛代金
製品の製造・納入売買代金債権または請負報酬債権売掛金、請負代金
システム開発請負報酬債権または準委任報酬債権売掛金、業務委託料
コンサルティング準委任報酬債権等売掛金、報酬
継続的な保守・運用委託料債権、サービス利用料債権等月額売掛金

次の3つの概念は、時効判断の前提になります。制度の名前だけではなく、誰が何を主張する場面で意味を持つかを読み取ることが重要です。

消滅時効

長期間権利を行使しない場合の制度

権利者が一定期間請求しない場合に、権利の実現を制限する制度です。証拠散逸や法律関係の安定を背景にしています。

援用

時効の利益を受ける意思表示

債務者側が、時効が完成しているので支払義務を争うと主張することです。援用がないと裁判所が当然に時効を前提に判断するわけではありません。

債務承認

時効が新たに進み始める可能性

一部入金、分割払いの申出、残高確認書への署名などは、債務の存在を認めたものとして時効更新の根拠になる可能性があります。

Section 02

民法改正後の売掛金消滅時効と2020年4月1日の経過措置

短期消滅時効・商事時効の廃止と、古い売掛金に残る旧法を確認します。

民法改正前は、職業別短期消滅時効や商事消滅時効があり、売掛金の種類によって1年、2年、3年、5年などが混在していました。次の比較表は、改正前後で何が変わったかを示すものです。改正後は管理しやすくなった一方、古い債権には旧法が残る点を読み取ってください。

項目改正前改正後
一般債権の基本期間権利行使可能時から10年が基本主観的起算点から5年、客観的起算点から10年
商品売掛代金旧民法の短期消滅時効により2年が問題になりやすい原則として民法166条の5年・10年枠組み
商行為による債権旧商法522条により5年。ただし短い期間があれば短期が優先商事消滅時効は廃止
職業別短期消滅時効1年・2年・3年などが存在廃止
用語中断・停止更新・完成猶予
協議による猶予明文制度なし書面等による協議合意の完成猶予制度あり

次の時系列は、2020年4月1日前後の経過措置を確認するためのものです。左から右へ、契約・発注・納品・請求がいつ発生したかを追うことで、新法の5年だけで処理してよいか、旧法の2年などを検討すべきかを読み取ります。

2020年4月1日前

施行日前に債権が生じた売掛金

改正前民法・旧商法が問題になり得ます。商品の売掛代金では旧2年などを検討する場面があります。

施行日前の法律行為

原因行為が古い場合

施行日後に債権が生じても、その原因である法律行為が施行日前であれば旧法が問題になる可能性があります。

2020年4月1日以後

通常の新しい売掛金

改正後民法が適用され、通常は5年を中心に管理します。ただし特別法や契約の性質は別途確認します。

継続取引

基本契約と個別発注を分ける

古い基本契約と新しい個別発注が混在する場合は、契約書、注文書、納品書、請求書、検収書の時系列を精査します。

Section 03

売掛金の時効起算点は請求書の日付ではなく支払期限を中心に見る

契約、支払期限、検収、継続取引を分けて確認します。

売掛金の時効は、請求書発行日だけで判断すると誤りやすくなります。次の一覧は、支払期限、支払期限の不明確さ、検収条件、継続取引の違いを分けたものです。どの時点から法的に請求できたかを読み取ることが重要です。

支払期限あり

支払期限の到来時を中心に見る

契約書や請求書に「月末締め翌月末払い」などが明記されていれば、各売掛金の支払期限を確認します。分割払いでは各分割金ごとに見ます。

支払期限なし

契約の性質と取引経過を確認する

商品の売買、業務委託、請負などの性質、請求時期、取引慣行をもとに、いつから請求可能だったかを検討します。

検収条件

納品日だけでは足りない場合がある

システム開発や製造委託では、検収完了、検収拒否の正当性、みなし検収条項、契約不適合の主張を確認します。

継続取引

請求書単位で時効を管理する

取引先単位の残高だけでは不十分です。どの請求書がいつ支払期限を迎え、どの請求に一部入金や承認があったかを整理します。

次の具体例は、起算点の考え方を取引類型ごとに示しています。支払期限、契約内容、検収、古い請求書の混在という違いから、時効完成見込み日をどの資料で確認すべきかを読み取ってください。

見るべき時点注意点
商品販売の売掛金月末締め翌月末払いなどの支払期限各月の売掛金ごとに5年を中心に管理します。
支払期限が曖昧な業務委託報酬業務完了、請求書提出、月末締め慣行など請求書発行日から単純に数えるのは不正確です。
検収トラブルのあるシステム開発代金検収完了、みなし検収、契約不適合の主張時効だけでなく請求権の成否自体が争点になり得ます。
古い請求書が多数ある継続取引請求書、支払期限、一部入金、承認、法的手続請求書ごとに一覧化しないと、回収優先順位を判断しにくくなります。
Section 04

売掛金の時効を止める・延ばす・リセットする制度

催告、裁判手続、仮差押え、債務承認、協議合意を整理します。

民法改正後は、従来の中断・停止という用語が整理され、完成猶予と更新という考え方が中心になりました。次の比較表は、売掛金回収で問題になりやすい手段と時効への影響を整理したものです。6か月だけ猶予するものと、時効期間が新たに進み始めるものを読み分けてください。

手段時効との関係実務上の注意
催告原則6か月の完成猶予内容証明郵便は証拠化に有用ですが、何年も止める効果ではありません。
訴訟・支払督促・調停完成猶予や確定時の更新が問題証拠、契約関係、相手の抗弁を整理します。
強制執行・仮差押え完成猶予や更新が問題財産流出のおそれがある場合に検討しますが、担保や疎明資料が必要です。
債務承認承認時から新たに時効が進行一部入金、支払猶予依頼、残高確認書、支払計画書などが問題になります。
協議を行う旨の合意書面・電磁的記録による完成猶予口頭だけでは足りず、対象債権と協議期間を明確にします。

次の判断の流れは、時効が迫っている売掛金について、催告だけで止まらず次の手段へつなぐ順序を表しています。上から下へ進み、6か月以内により強い手段を準備する必要がある点を読み取ってください。

時効が近い売掛金の確認順序

支払期限と完成見込み日を確認

請求書単位で、支払期限、入金、承認、手続の有無を確認します。

催告をするか検討

内容証明郵便などで請求内容と発送日を証拠化します。

催告だけで終わらせない

催告の効果は原則6か月の完成猶予にとどまります。

支払意思あり
承認書・分割合意で証拠化

対象債権、金額、支払期日、遅延時の扱いを明確にします。

支払見込みなし
訴訟・支払督促・仮差押えを検討

6か月以内に次の法的手段へ進む必要があります。

請求書を送り続けるだけでは危険です毎月の請求書や督促状が催告と評価される場合でも、半永久的に延長できるわけではありません。時効が迫る場合は、裁判手続や債務承認の証拠化を具体的に検討します。
Section 05

売掛金の時効管理で債権者・債務者が確認すべき実務対応

請求書単位の管理、6か月前アラート、承認、援用を整理します。

売掛金について確定判決やそれと同一の効力を有するものによって権利が確定した場合、もともとの時効期間が10年より短くても、時効期間は10年になります。次の重要ポイントは、判決取得の意味と限界を整理したものです。判決を取ることと実際に回収できることは別である点を読み取ってください。

確定判決等で権利が確定すると時効期間は10年になる

判決、和解調書、調停調書、仮執行宣言付支払督促などにより債務名義を取得できれば、強制執行の基礎を得られます。ただし、相手に財産がなければ回収は困難です。

次の一覧は、債権者側と債務者側で実務対応が異なる場面を整理したものです。左欄の立場ごとに、確認すべき資料と避けるべき行動が異なることを読み取ってください。

債権者側 ― 請求書単位で管理

取引先名、契約番号、請求書番号、請求金額、支払期限、最終入金日、督促日、承認日、時効完成見込み日、次回対応期限を管理します。

管理

債権者側 ― 6か月前にアラート

時効完成直前では証拠整理や法的手段が間に合わないことがあります。少なくとも6か月前、できれば1年前に確認します。

期限

残高確認書と分割合意

請求書番号、請求日、金額、支払期限、残高を明記し、支払計画や期限の利益喪失条項を文書化します。

証拠化

債務者側 ― まず時効期間を確認

契約日、納品日、検収日、請求日、支払期限、2020年4月1日前後、一部支払い、承認、裁判手続の有無を確認します。

確認

債務者側 ― 安易に支払約束をしない

古い売掛金で時効完成が疑われる場合、一部入金や支払約束が承認として問題になる可能性があります。

注意

時効援用は明確に行う

時効を主張する場合は、対象債権を特定し、証拠が残る方法で意思表示を行うことが実務上一般的です。

援用
会計処理と法的回収は別です貸倒引当金や貸倒損失の処理をしていても法的には請求できる場合があり、帳簿上残っていても時効援用により回収困難になる場合があります。
Section 06

売掛金の時効で弁護士に相談すべき場面と選び方

期限、争点、倒産、保証、代理人、費用対効果を確認します。

時効が絡む売掛金では、弁護士に相談すべき場面が明確にあります。次の表は、相談すべき理由を場面ごとに整理したものです。単に不安だから相談するのではなく、期限、争点、回収可能性、相手の代理人など、判断を急ぐ理由を読み取ってください。

場面相談すべき理由
時効完成が近い催告、訴訟、支払督促、仮差押えの選択を急ぐ必要があります。
相手が支払いを否認している契約成立、納品、検収、瑕疵、相殺など争点整理が必要です。
請求額が大きい回収可能性と訴訟コストを比較する必要があります。
相手が倒産しそう破産申立て、債権届出、保全、保証人請求を検討します。
古い売掛金が多数ある経過措置、旧法、新法、承認履歴を整理する必要があります。
代表者保証・連帯保証がある主債務と保証債務の時効を別々に検討します。
内容証明に反応がない次の法的手段に移行する判断が必要です。
相手が弁護士を立てた交渉・訴訟戦略を誤ると不利になる可能性があります。

弁護士を選ぶ際は、債権回収企業法務、民事訴訟の経験だけでなく、内容証明、交渉、支払督促、訴訟、仮差押え、強制執行まで一連の対応ができるかを確認します。次の一覧は、確認ポイントとその理由をまとめたものです。

迅速に着手できるか

時効完成が近い案件では、相談から手続着手までの時間が重要です。

費用対効果を説明するか

勝訴可能性だけでなく、実際に回収できるか、費用倒れにならないかを確認します。

弱点も説明するか

証拠の不足、相手方の抗弁、反訴リスク、倒産リスクも説明を受ける必要があります。

費用体系が明確か

顧問契約、スポット相談、着手金、報酬金、強制執行費用などを確認します。

Section 07

売掛金の時効で注意すべき特別法・相殺・予防策

特殊な債権、相殺、保証、契約書での予防を確認します。

通常の売掛金は5年を軸に管理できますが、すべての金銭債権が民法166条だけで処理されるわけではありません。次の一覧は、例外や複雑化しやすい論点をまとめたものです。売掛金という名前だけで判断せず、特別法、相殺、保証、倒産手続の有無を読み取ることが重要です。

特別法

通常の売掛金以外の債権に注意

税金、公租公課、労働債権、保険、運送、手形・小切手、金融商品、医療・介護、公共料金、国や自治体の債権などは個別規定が問題になる場合があります。

相殺

時効後でも相殺できる場合がある

時効によって消滅した債権でも、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合は相殺が問題になります。相殺禁止特約、差押え、破産手続なども確認します。

保証・担保

主債務と保証債務を分ける

代表者保証や連帯保証がある場合、主債務と保証債務の時効、保証規制、書面性を別々に検討します。

売掛金の時効リスクは、発生後の督促だけでなく、契約書と社内規程で予防できます。次の表は、契約時に定めることで後日の起算点や争点を明確にしやすい項目です。左の項目が、右のリスクをどのように抑えるかを読み取ってください。

予防策実務上の意味
支払期限を明記する「月末締め翌月末日限り」など、時効起算点を確認しやすくします。
検収手続を明確にする検収期間、検収拒否、みなし検収、軽微な不具合と支払義務の関係を定めます。
期限の利益喪失条項を置く分割払いで不履行があった場合に残額を一括請求できる余地を作ります。
遅延損害金を定める支払遅延への抑止力になりますが、関連規制の確認が必要です。
管轄裁判所を定める訴訟になった場合の手続負担を軽減できることがあります。
代表者保証・連帯保証を検討する相手法人の信用力が乏しい場合の回収可能性を補う方法ですが、保証規制に注意します。
Section 08

売掛金の時効完成日を確認する実務チェックリスト

債権の種類、適用法、起算点、時効障害事由、援用、回収可能性を順番に見ます。

時効完成日を確認するには、債権の種類、適用法、起算点、時効障害事由、援用、回収可能性を順番に見ます。次の判断の流れは、その確認順序を表しています。上から下へ抜けなく進めることで、5年だけを見て誤判断する危険を減らせます。

売掛金の時効完成日を確認する順番

債権の発生原因を確認

売買、請負、準委任、賃貸借、立替金、損害賠償、不当利得、保証債務を分けます。

適用法を確認

2020年4月1日以後の新法か、旧法か、施行日前の法律行為か、特別法があるかを確認します。

起算点を確認

支払期限、請求書の支払期限、納品・検収、分割払い、期限の利益喪失を見ます。

完成猶予・更新事由を確認

催告、訴訟、支払督促、調停、仮差押え、強制執行、協議合意、債務承認を確認します。

援用あり
時効抗弁・通知内容を精査

債務者の一部支払いや承認がないかを確認します。

援用なし
回収可能性を確認

預金口座、売掛先、不動産、保証人、相殺、倒産手続の有無を見ます。

次の一覧は、社内で時効管理メモを作る際の入力項目です。項目は多いですが、契約・請求・入金・督促・承認・手続・新旧法判定を分けて記録することで、弁護士相談や法的手続へ進む際に何を確認すべきかを読み取れます。

分類記録する項目
取引・契約取引先名、請求書番号、契約名・注文番号、契約日、注文日
履行・請求納品日、検収日、請求日、支払期限、請求金額、入金済額、残額
入金・督促最終入金日、督促日、催告書発送日、次回対応期限
承認・協議債務承認の有無、承認日、承認資料、協議合意の有無
法的手続訴訟、支払督促、調停、仮差押え、強制執行の有無
判断欄旧法・新法の判定、時効完成見込み日、弁護士相談の要否、備考
Section 09

売掛金の消滅時効でよくある質問

FAQは一般的な制度説明として整理し、契約内容や証拠によって判断が変わる前提で確認します。

Q1. 売掛金の消滅時効は、民法改正後は何年ですか。

一般的には、通常の売掛金は支払期限から5年を中心に考えます。正確には、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年のいずれか早い方です。ただし、契約内容や承認の有無で結論は変わります。

Q2. 2020年4月1日より前の売掛金も5年ですか。

一般的には、必ずしも5年とは限りません。施行日前に債権が生じた場合や、原因となる法律行為が施行日前にされた場合は、旧法が適用される可能性があります。具体的には契約書や注文書の時系列を確認する必要があります。

Q3. 請求書を毎月送っていれば時効は止まりますか。

一般的には、請求書や督促状が催告と評価される場合でも、効果は原則6か月の完成猶予にとどまります。送り続けるだけで何年も止まるわけではないため、時効が迫る場合は訴訟や支払督促などを検討する必要があります。

Q4. 内容証明郵便を送れば時効はリセットされますか。

一般的には、内容証明郵便による催告は時効をリセットするものではなく、6か月の完成猶予にとどまります。更新が問題になるのは、債務者の承認、確定判決等、法律上の更新事由がある場合です。

Q5. 一部入金があれば時効はどうなりますか。

一般的には、一部入金は債務の存在を認める行為として、承認に該当する可能性があります。承認があると時効が更新され、その時から新たに進行を始めることがあります。ただし、対象債権や文脈により判断は変わります。

Q6. 相手が「払います」とメールで返信した場合はどうなりますか。

一般的には、メールの内容、対象債権の特定、金額、文脈によっては債務承認の証拠になり得ます。曖昧な表現では争われる可能性があるため、支払合意書や債務承認書で明確化することが望ましいとされています。

Q7. 時効が完成した売掛金は絶対に回収できませんか。

一般的には、債務者が時効を援用しなければ回収できる場面があります。また、時効完成後の承認が問題になることもあります。ただし、強引な請求は紛争化する可能性があり、具体的な対応は専門家に確認する必要があります。

Q8. 古い売掛金を請求された債務者は、どうすればよいですか。

一般的には、支払期限、最終支払日、承認の有無、裁判手続の有無を確認します。時効完成の可能性がある場合、安易な一部支払い・支払約束を避け、資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q9. 売掛金の時効は請求書発行日から数えるのですか。

一般的には、請求書発行日だけで判断するのは不正確です。契約上・法律上、代金を請求できる時点、つまり支払期限や履行期を中心に判断します。納品日、検収日、支払期限が異なる場合は注意が必要です。

Q10. 弁護士に相談するタイミングはいつがよいですか。

一般的には、時効完成が近い、相手が支払いを拒否している、金額が大きい、古い請求書が多数ある、相手が倒産しそうな場合は早めの相談が望ましいとされています。時効完成直前では打てる手段が限られる可能性があります。

Section 10

売掛金の消滅時効は5年を軸に経過措置と更新・完成猶予を精査する

支払期限、旧法・新法、催告、承認、裁判手続、相殺、保証を総合確認します。

民法改正後、売掛金の消滅時効は、通常の商取引では5年を軸に管理するのが基本です。ただし、2020年4月1日前後の経過措置により、古い売掛金には旧法が適用されることがあります。

最も危険なのは、請求書を送っているから大丈夫、相手と話しているから時効は止まっている、売掛金は全部5年と単純化することです。支払期限、起算点、旧法・新法、催告、承認、裁判手続、協議合意、相殺、保証、倒産手続を総合的に確認する必要があります。

早めの整理が重要です時効完成が近い場合は、催告だけで終わらせず、訴訟、支払督促、仮差押え、債務承認書、分割弁済合意など、次の一手を具体的に検討することが重要です。
Reference

参考資料

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」
  • 法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」
  • 厚生労働省資料「消滅時効の在り方に関する検討の参考資料」
  • 国立国会図書館 日本法令索引「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」